絵本の可能性 文部科 学省 では小 学校中 学年 用の教材 として 絵本 (In the Autumn Forest, Good morning) を制作しました。小学校 3 年生と 4 年生で活用が検討されており、現在、研究 開発学校などで教材の検証が行われています。 さて、6 月 18 日~19 日、東京で日本児童英語教育学会全国大会が開催されました。私も 参加しました。様々な研究発表がありましたが、絵本に関する研究発表が 2 本、また、絵本 に関するワークショップが 1 本あり、大変勉強になりました。中でも印象に残ったのが C 大学教育学部附属小学校での実践でした。C 大学附属小学校の低学年では週に 20 分という 短い時間の活動しかありませんが、その短い時間の中に、絵本をうまく取り入れていました。 絵本を活用することで、児童は自然な場面設定の中で英語の表現に出会います。また、繰り 返し聞くことによって、その表現に慣れ親しんでいきます。それらを踏まえて、無理のない 表現活動に移っていくという流れです。当日は‟What’s in my lunch box” という絵本の実 践例が示されました。この絵本はゾウさんやほかの動物たちが「縄跳び」をしているところ から始まります。 Jump rope, jump rope, will I miss? Jump rope, jump rope, just watch this! Oh, I am hungry. Let’ eat lunch! Look, here are our lunch boxes. Which one is mine. Where is mine? Of course it is mine. Whose is this? ….. 「縄跳びをしてお腹がすいたのでランチにしよう、それが僕の弁当かな・・・」絵があるの で内容も類推しやすいです。そして英語の表現に十分に慣れ親しんだ後に、その中から活動 で取り上げる表現や語彙などを用いて活動を行います。 この活動を年間 20 分×27 回(45 分授業に換算すると 12 時間)を実施し、児童にインタ ビューテストを実施したところ、かなりの効果があることが分かりました。絵本の有効性が 証明されたということです。 因みに、この研究を発表されたのは C 大学教育学部准教授の M 先生という方です。実際 に附属小学校へ出かけていき、担任の先生と一緒になって授業を実施し、研究の成果を検証 したそうです。大学の教員が現場にどっぷりつかり、実際に授業をして、そこから生み出さ れた研究ですから説得力もあります。大学の先生は、データをとったり、他人の授業を数回 観察したりして研究データを集めることは多いのですが、自ら 1 年間にわたり授業をしな がらデータを集めるようなことはあまりしません。また、M 先生は現場を実際に見ること が大切と考えていることもわかりました。フィールドワークを大切にするということです ね。研究者の姿勢としても見習うことが多い発表でした。私も附属小学校で週 1 回ぐらい は教えてみたいと思っているのですが、いまだに実現していません。 (私よりも、ずっと附 属小学校の先生のほうが、授業が上手いので入る余地がありません・・・)
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