1-7. 下腹痛 - 日本性感染症学会

7 /下腹痛
症状とその鑑別診断 7
症状とその鑑別診断 PID の診断基準と鑑別を要する疾患
表2 PID の診断基準(CDC、201
0年)
〔必須診断基準〕
1.子宮頸部可動痛
2.子宮圧痛
3.付属器圧痛
〔付加診断基準〕
1.口腔体温>38.3℃
2.異常な頸管や腟内の粘稠膿性帯下
3.腟分泌物の過剰な白血球数の存在
4.ESR の上昇
5.CRP の上昇
6.淋菌またはクラミジアの子宮頸部感染の存在
〔特異的診断基準〕
1.子宮内膜組織診による子宮内膜炎の組織学的根拠
2.経腟超音波や MRI により、卵管肥厚や卵管留水腫の
所見が認められた場合
3.ドップラーにより、卵管の血流増加が認められた場合
4.腹腔鏡でのPIDと一致した所見(卵巣卵管膿瘍の存在)
骨盤内感染症の鑑別診断
表1 骨盤内炎症性疾患(PID)の診断(産婦人科診療
ガイドライン婦人科外来編2
0
1
4(CQ1
0
9)
)
表3 下腹痛(骨盤内感染症)の鑑別を要する疾患の一
覧表
〔必須診断基準〕(A)
1.下腹痛、下腹部圧痛
2.子宮/付属器の圧痛
〔付加診断基準〕(B)
1.体温≧38.0℃
2.白血球増加
3.CRP の上昇
〔特異的診断基準〕(C)
1.経腟超音波や MRI による膿瘍像確認
2.ダグラス窩穿刺による膿汁の吸引
3.腹腔鏡による炎症の確認
(日本産科婦人科学会編、2014年3月、P.23)
1.産婦人科領域
子宮内膜炎
卵管卵巣膿瘍
ダグラス窩膿瘍
骨盤腹膜炎
卵巣胞茎捻転
卵巣チョコレート胞
卵巣出血(出血性黄体胞)
人工妊娠中絶時の子宮穿孔に伴う腸管損傷
2.産婦人科以外の疾患
虫垂炎
腸管(大腸癌、腸閉塞等)の穿孔
憩室炎
尿管結石
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日性感染症会誌/ガイドライン2016
,
下腹痛、下腹部圧痛
子宮/付属器圧痛
発熱、白血球増多 and/or CRP 上昇
妊娠の有無
(尿中 hCG 測定)
(+)
(+)
(−)
経腟超音波検査
骨盤内腫瘤
経腟超音波検査
骨盤内腫瘤
異所性妊娠
流産
(+)
(−)
(+)
(−)
卵管卵巣膿瘍
ダグラス窩膿瘍
子宮内膜炎
付属器炎
骨盤腹膜炎
虫垂炎
卵巣胞茎捻転
卵巣チョコレート胞
出血性黄体胞
子宮留血腫
卵巣出血
図1 PID 鑑別診断のためのフローチャート
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