資料6 「広域関東圏水素・燃料電池連携体」キックオフシンポジウム クリーン水素エネルギー サプライチェーン実現に向けた 川崎重工の取組 2016年7月19日 技術開発本部 ご説明の構成 1. 水素利用への動き 2. 水素サプライチェーンのコンセプト 3. 実現への取組 © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 2 1. 水素利用への動き 水素と将来のエネルギー需要 ・CO2フリー水素が25円/Nm3 (船上引渡し)で供給可能 ・CO2削減 2020年:-15%、 2050年:-80%(90年比) ・国内でのCCS(CO2 Capture Storage)が困難な場合 600 600 風力 500 500 エネルギー供給量(Mtoe) 検討条件 一次エネルギー供給量(MTOE) CO2を削減しつつ国民経済負担の最少となるエネルギー需要割合を算出* 400 400 LNG バイオマス 水力 300 300 200 200 石油 水素 原子力 100 100 太陽光 風力 バイオマス 水力 水素 原子力 天然ガス 石油 石炭 石炭 00 2005 2010 2005 20152020 2020 2025 20302035 2035 2040 20452050 2050 ・2050年80%減には、エネルギー利用のほとんどをCO2フリーにすることが必要 ・水素価格が35円/Nm3 、45円/Nm3となっても、割合は大きくは変わらない。 *エネルギー総合工学研究所主催「CO2フリー水素チェーン実現に向けた構想研究会」にて GRAPEを用いて2010年に実施 © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 3 1. 水素利用への動き 水素需要の拡大“水素・燃料電池戦略ロードマップ” 「プロセス用」⇒「FCV」⇒「発電用」の 順に需要が進展 水素大量導入 水素発電の本格化 FCVの普及 【発電用途】 東京オリンピック 「水素オリンピックに」 【輸送機器用途】 燃料電池自動車 (FCV) 販売開始 【プロセス用途の水素需要】 2014 © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 2020 2025 4 2. 水素チェーン CO2フリー水素チェーンのコンセプト CO2の排出を抑制しながらエネルギーを安定供給 利用国 (日本) 資源国 (豪州) 未利用資源(褐炭)や 豊富な再生可能エネルギー から低コストに水素製造 プロセス利用 半導体や太陽電池製造 石油精製・脱硫など 安価な再生可能 エネルギー 液化水素 ローリー 液化・積荷 輸送用機器 水素ステーション 燃料電池自動車など エネルギー機器 水素ガスタービン 水素ガスエンジン 燃料電池など 液化水素運搬船 C JAXA CO2フリー水素 褐炭 液化水素 貯蔵タンク CCS (CO2回収・貯留) 水素製造 © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 水素輸送・貯蔵 発電所 コンバインド サイクル発電所など 水素利用 5 2. 水素チェーン 褐炭とは •若い石炭で大量、また世界に広く分布 •水分量が50~60%と多い •乾燥すると自然発火しやすいため、輸送が困難で、 現地の発電でしか利用されていない 輸送できないため、海外取引は皆無で、採掘権のみの 「未利用資源」=「安価」、「権益取得容易」 多くの水素の製造方法中でも、褐炭からの水素製造は 最も経済的な方法の一つ © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 6 2. 水素チェーン 世界の褐炭の分布 7% 31% 20% 64% 34% 62% 13% ロシア (1570億t) 16% 53% カナダ(66億t) 13% 16% ヨーロッパ(1076億t) 54% 30% 41% 中国(1145億t) 7% 10% 87% その他アフリカ(17億t) 52% 93% インド (606億t) 100% 46% USA(2372億t) 46% その他アジア(540億t) 100% インドネシア(280億t) 48% 49% 3% 100% 南アフリカ(302億t) 褐炭 瀝青炭 ・無煙炭 7% 93% 豪州(764億t) 出展:WEC2013 Survey of Energy Resources 2013より作成 © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved コロンビア(67億t) その他南米 (79億t) 褐炭 亜瀝青炭 7 2. 水素チェーン 豪州の褐炭 褐炭発電所 (ロイヤンB) 50万kW×2基 ラトロブバレー 褐炭発電所 (ロイヤンA) 55万kW×4基 褐炭採掘現場 (露天掘り) 地平線まで褐炭炭田 地表から深さ250mまで一つの層 さらに、その下にもあり (日本の総発電量の240年分) © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 8 2. 水素チェーン CCS・CO2貯留場所 (CCS:CO2 Capture and Storage、CO2回収・貯留) 褐炭炭鉱 MELBOURNE (ラトロブバレー) ORBOST BAIRNSDALE MORWELL SALE 80km WELSHPOOL 大規模CO2貯留容量 © CO2CRC 出典元: http://www.co2crc.com.au/publications/ brochures.html 連邦政府とビクトリア州政府は CCSプロジェクト“CarbonNet”を推進中 © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 9 2. 水素チェーン 液化水素・水素の大量輸送手段 液化水素の特徴 ・ 極低温(-253℃) ・ 気体の1/800の体積 ・ 産業利用やロケット燃料として実用化済の輸送媒体 ・ 高純度=精製不要 (蒸発させるだけで燃料電池に供給可能) JAXA 国内最大 液化水素タンク (種子島ロケット基地) © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved LNG船 (エネルギー大量輸送) 10 2. 水素チェーン CO2フリー水素商用チェーン Feasibility Study 燃料電池自動車 (FCV) 褐炭 水素製造 液化 貯蔵・積荷 輸送 揚荷 コジェネ、 エネルギー機器 CCS 発電所 • 水素原料 :豪州の褐炭 • 副生CO2処理 :現地で貯留 ⇒ CO2フリー • 水素製造規模(用途) :770t/day、 FCV 300万台 or 火力発電100万kW の燃料相当 © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 11 2. 水素チェーン 商用チェーン FSの結果 【規模】 水素コスト(船上引渡し) 29.8円/Nm3 FCV 300万台 2.6 水素輸送船 3.2 積荷基地 水素液化 9.8 0.5 水素 パイプライン 8.5 水素製造 2.9 CCS 2.3 褐炭燃料 © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 水素製造より上は 日本の技術・製品 FCV または 水素発電 100万kW1基 相当 水素発電所 12 2. 水素チェーン 発電コストの比較 化石燃料発電よりは高いが、CO2フリーエネルギーの中では、 再生可能エネルギーより安く、かつ安定で大量に利用可能 固定買取価格 2015年4月~、20年 20.0 CCS + 水素 参照:「発電コストWG検証報告書 2030年モデルプラント、平成27年5月」 © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 13 3. 実現への取組 水素インフラ技術開発の展開 ●褐炭水素製造 つくる 乾燥・粉砕他 褐炭処理技術 ●水素液化機 プラント・タービン技術 ●液化水素運搬船 LNG船技術 ●ローディングシステム 極低温シール機構技術 はこぶ ●液化水素タンク ・ 極低温技術 ためる JAXA ●液化水素コンテナ 極低温技術 ●高圧水素トレーラー 複合材関連技術 つかう © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved ●水素ガスタービン 安定・クリーン燃焼技術 14 3. 実現への取組 水素プロジェクトの展開 当社が 合せ持つ技術 2014 「エネルギー基本計画」 2020 2025 東京オリンピック パイロット 実証 商用チェーン LNG技術 液化水素技術 © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 15 3. 実現への取組 パイロット実証(NEDO事業) 褐炭ガス化プラント 液化水素運搬船 積荷基地 基本設計を実施中 小型液化水素運搬船は世界初の基本認証を取得 2020年度に、褐炭ガス化技術、水素の大量海上輸送技術を技術研究組合 CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)にて実証 ⇒ 川崎重工(幹事)、岩谷産業殿(基地)、電源開発殿(褐炭ガス化)、 シェルジャパン(安全、液化水素取扱い技術) © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 16 3. 実現への取組 HyGrid研究会 電気と水素を活用し、多様なエネルギーから成り立っている社会 http://www.hygrid.jp 火力発電 EV・PHV 再生可能 エネルギー 蓄電設備 電気グリッド 風力 化石燃料 産業利用 HV 都市・家庭 水素-電力 変換 太陽光 水電解 発電ユニット 都市・家庭 バイオマス 化学プラント 水素タンク エネルギーの流れ 水素グリッド 製油所・ 化学プラント 大量・長期保存 下水処理 FCV・FCバス 都市・家庭 自動車燃料 電気 水素 化石燃料 ◆参画企業・団体 岩谷産業株式会社、川崎重工業株式会社(会長企業)、九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、株式会社システム技術研究所、株式会社テクノバ(事務局)、 トヨタ自動車株式会社、豊田通商株式会社、日産自動車株式会社、株式会社本田技術研究所、三井物産株式会社、株式会社ローランド・ベルガー (五十音順、2013年12月現在) © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 17 おわりに CO2フリー水素チェーンの意義と効用 ①供給安定性 ・褐炭:世界に広く分布、莫大な埋蔵量 現状価格がなく、自主権益の獲得が容易 → エネルギーセキュリティに貢献 (豪州だけで240年分) ②環境性 ・使用時にCO2排出なし (排出は水だけ) →“究極のクリーンエネルギー” ③産業競争力向上 ・日本の技術・製品でエネルギー確保 → 国富流出を抑制 ・水素の普及により、関連産業が成長 → 成長戦略へ貢献 インフラ輸出へ展開 © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 18 ご清聴ありがとうございました 川崎重工業株式会社 技術開発本部 〒105-8315 東京都港区海岸一丁目14番5号 Tel: 03-3435-2259 Fax.03-3435-2081 http://www.khi.co.jp © 2016 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All Rights Reserved 19
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