資料① - JBIC 国際協力銀行

資料①
最近の国際協力銀行(JBIC)の取り組み
-総裁定例記者会見-
2016年7月20日
株式会社国際協力銀行
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1.2015年度業務実績
2015年度の出融資・保証承諾実績は、298件・2兆3,974億円。
●出融資・保証承諾額は、昨年度の大型資源案件や化学プラント輸出案件等の承諾によ
る反動もあり、昨年度比▲26.2%
●出融資・保証承諾件数は、M&Aや中堅・中小企業向け支援承諾案件数の増加等により、
昨年度比+27件。
<出融資・保証承諾額>
2011年度
金額
構成比
出融資
13,673
85.7%
輸出金融
2,079
13.0%
輸入金融
1,726
10.8%
投資金融
9,620
60.3%
事業開発等金融
232
1.5%
出資
15
0.1%
保証
2,285
14.3%
合計
金額
15,959
100.0%
件数
146件
(注)数値は切り捨ての関係上一致しない場合がある。
2012年度
金額
構成比
39,377
92.8%
1,266
3.0%
3,043
7.2%
31,385
74.0%
2,937
6.9%
743
1.8%
3,032
7.2%
42,409
100.0%
242件
2013年度
金額
構成比
19,970
90.5%
1,262
5.7%
562
2.5%
16,710
75.7%
460
2.1%
974
4.4%
2,091
9.5%
22,061
100.0%
239件
2014年度
金額
構成比
29,370
90.4%
4,064
12.5%
0
0.0%
24,510
75.4%
467
1.4%
328
1.0%
3,123
9.6%
32,493
100.0%
271件
(単位:億円)
2015年度
金額
構成比
22,907
95.5%
1,410
5.8%
2,523
10.5%
18,581
77.5%
248
1.0%
143
0.6%
1,066
4.4%
23,974
100.0%
298件
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2.2015年度決算概要
業務粗利益
業務純益
経常利益
当期純利益
貸出金残高
うち外貨貸出金
外貨貸出金米ドル換算額(億ドル) 保証残高
総資産
2016.3(A)
1,092
916
427
427
2016.3
135,406
120,676
1,070
24,647
175,806
2015.3(B)
1,132
962
1,204
1,261
(単位:億円)
(A)-(B)
△39
△45
△777
△834
2015.3
144,329
126,195
1,050
25,723
184,638
(単位:億円)
(A)-(B)
△8,922
△5,518
20
△1,076
△8,831
・当期純利益は、経常利益段階における貸倒引当金の繰入れ及び組合出資に係る持分損益の減少
等により、前年度同期比834億円減少。
・貸出金残高は、円貨貸出金の減少及び円高による外貨貸出金の円換算額の縮小により、8,922億
円減少。
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3.最近の取り組み
(1) 資源確保への取り組み
JBICは、上流権益の獲得、調達先の分散化、燃料バ
リューチェーン強化、資源国との関係強化などを幅広く
支援することで、国民生活・経済活動を担う資源の安
定確保に貢献。2015年度においては、資源分野での
取り組みとして、計12件、総額4,892億円の出融資・保
証承諾を実施しました。
2016年1月 ADNOCとの調印式
 アブダビ国営石油会社(ADNOC)向け融資 (2016年1月)
•
JBIC承諾金額:21億米ドル
•
日本企業が長期安定的に原油を輸入するために必要な資金を、ADNOCに供与するもの
JBICがこの目的でADNOCに融資を行うのは4回目
•
産油国との戦略的関係強化により、日本企業が現地に有する油田権益更新に向けた動きを
側面支援
◆ ロシア連邦サハリンⅠ・オドプト鉱区Stage 2開発プロジェクトに対する融資
(2016年3月)
•
JBIC承諾金額:4.5億米ドル
•
日本企業が参画する油田の鉱区開発を支援し、日本のエネルギー供給源の多様化に貢献。
4
3.最近の取り組み
(1) 資源確保への取り組み
(続き)
 トリニダード・トバゴ メタノール/ジメチルエーテル
製造事業向けプロジェクトファイナンス (2015年9月)
•
•
•
JBIC承諾金額:約4.8億米ドル
日本企業によるメタノールの海外生産拡大(年間100万トン)と
調達先分散を支援
メタノール等製造プラント(完成予想図)
JBICによるトリニダード・トバゴ向けの初のプロジェクトファイナンス
 LNGバリューチェーン強化のためのLNG輸送船調達に対するプロジェクトファイナンス
(2015年9月)
•
•
JBIC承諾金額:計約519億円
日本の海運会社のノウハウを活用しつつ、LNG事業参画からLNG輸送に至る燃料バリュー
チェーン強化を支援
※本融資により調達支援を行うLNG船は、米国フリーポートLNG事業において生産されるLNGの輸送に
主として使用される。
 ブラジル沖合におけるFPSO※傭船事業向けプロジェクトファイナンス (2015年9月)
•
JBIC承諾金額:約2.5億米ドル
•
日本企業による、海洋資源開発に不可欠なFPSO事業を支援
※Floating Production Storage and Offloading Systemの略
浮体式の原油の一次処理(井戸元より生産された原油から、随伴ガス、水を分離すること)・貯蔵・積出のための設備
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3.最近の取り組み (2) 日本企業の海外インフラ事業展開を支援
JBICは、日本企業による大型民活発電事業への投資や、再生可能エネルギー発
電等の機器輸出、新たな成長市場での事業参画を支援。
 カタール Facility D天然ガス焚き複合火力発電・淡水化事業向け
プロジェクトファイナンス (2016年1月)
•
JBIC承諾金額:約12億米ドル
•
日本企業による、国内外で培ったノウハウを活かした海外インフラ事業を支援
 オランダLuchterduinen(Q10)洋上風力発電事業に対するプロジェクトファイナンス
(2016年3月)
•
JBIC承諾金額:約2.44億ユーロ
•
再生可能エネルギーの中でも新しい分野のひとつであり、我が国企業にとって経験の少な
い海外での洋上風力発電事業を、JBICが長期融資を用いて支援。
6
3.最近の取り組み (2) 日本企業の海外インフラ事業展開を支援
(続き)
 アイスランド国営電力公社に対する地熱発電関連機器等の輸出支援(2015年12月)
•
JBIC承諾金額:約3,400万米ドル
•
JBICがアイスランドの企業に融資を行うのは本件が初
 バングラデシュ電源開発公社に対する
ガス複合火力発電関連機器等の輸出支援(2016年2月)
©Hreinn Hjartason
•
JBIC承諾金額:約185億円
•
JBICにとっては15年ぶりのバングラ向け支援。また同国支援としては最大規模の融資。
 インドネシア国営電力会社に対する
超々臨界圧石炭火力発電関連機器等の輸出支援(2016年3月)
•
JBIC承諾金額:約98億円及び約107百万米ドル
7
3.最近の取り組み (2) 日本企業の海外インフラ事業展開を支援
(続き)
◆ アンゴラ開発銀行向け輸出バンクローン(2016年3月)
•
•
JBIC承諾金額:約6,580万米ドル
アンゴラ通信事業会社が、アンゴラとブラジルを直接結ぶ光海底ケーブルシステム敷設プ
ロジェクトに必要なシステム一式を日本企業から購入するための資金の一部を、アンゴラ開
発銀行を通じて融資するもの。
 ミャンマー ダウェー経済特別区開発会社へ出資参画
•
日・ミャンマー・タイ政府間合意を受け、JBICによる同会社への出資参画を目的とした株主
間契約を、ミャンマー政府及びタイ政府機関との間で締結(2015年12月)
•
成長が期待されるミャンマーで、初期段階からの日本企業のインフラ事業参画を支援。
8
3.最近の取り組み (3)日本企業の戦略的な海外事業活動を支援
①M&A支援への取り組み
日本企業の海外での企業・事業買収等(M&A)に係る資金需要は引き続き旺盛。
JBICは海外展開支援融資ファシリティを活用して、食料、飲料、サービス業等の
様々な業種の事業のM&Aを支援。
同ファシリティを活用した2015年度の海外M&A支援承諾実績は、計105件、
約1兆233億円となった。
【JBICによるM&A支援実績】
12,000
105
10,000
120
100
10,233
8,000
80
63
56
6,000
4,000
60
6,571
6,972
40
2,000
20
0
0
2013年度
2014年度
JBIC承諾額(円換算・億円)
2015年度
案件数
【最近の事例】
・テンプホールディングス(株)によるシンガポール法人Capita Pte. Ltd.の買収資金融資
(人材紹介・人材派遣事業)
・東京海上日動火災保険(株)による米国法人HCC Insurance Holdings, Inc. の買収資金融資
(スペシャルティ保険事業)
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3.最近の取り組み (3)日本企業の戦略的な海外事業活動を支援
②中堅・中小企業の海外事業展開への取り組み
2015年度第の中堅・中小企業案件の承諾件数・金額は133件・429億円(うち地銀・信金との協融件
数は43件(全体の32.3%))。承諾件数全体は昨年度から24件増加。
【中堅・中小企業案件出融資承諾実績(件数・金額)】
2010年度
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
承諾件数
14件
16件
34件
54件
109件
133件
(地銀・信金協融件数)
(4件)
(4件)
(8件)
(23件)
(43件)
(43件)
19億円
36億円
341億円
180億円
1,117億円
429億円
(注1)
承諾金額
(注2)
(注1)地銀向け中堅・中小支援ツーステップローンに基づく個別融資契約を含む。
(注2)2014年度出融資承諾実績には、ミツカングループによるユニリーバ米国子会社が有するパスタソースブランドに関する事業等取得資金に係る
融資約754億円相当が含まれる。
【地銀・信金 業務協力協定締結先(最近の例)】
銀行名
締結時期
銀行名
締結時期
池田泉州銀行
福岡銀行
熊本銀行
親和銀行
百十四銀行
2011年7月
2011年8月
2011年8月
2011年8月
2012年11月
群馬銀行
西武信用金庫
清水銀行
滋賀銀行
2013年4月
2013年5月
2014年6月
2014年8月
(注)その他、八十二銀行、千葉銀行、静岡
銀行、荘内銀行、京都銀行、中国銀行、広
島銀行、西日本シティ銀行等との間でも締結
済。
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3.最近の取り組み (3)日本企業の戦略的な海外事業活動を支援
② 中堅・中小企業の海外事業展開への取り組み(続き)
メキシコ州政府との連携
•
2015年度海外直接投資アンケート結果の有望国において、
メキシコは全体で第6位、業種別「自動車」で初めて第1位を
獲得。投資先としてのメキシコに注目が集まっている。
•
JBICは4つのメキシコ州政府(アグアスカリエンテス、ハリス
コ、グアナファト、ヌエボ・レオン)及びメキシコ地場金融機関
(Banamex)とそれぞれ覚書を締結。これは日本の中堅・中小企業の各州への進出支援を目的としたもの。日
本の中堅・中小企業が、本支援枠組みに参加した本邦金融機関を通じて、両州の日本企業担当窓口等の
サービスを効果的に利用することを期待。
情報提供・セミナー等
JBICは、海外事業展開に対するコンサルティングや、専門家によるアジア12カ
国の法務・会計・税務関連アドバイザリー・サービスを取引先企業に提供。また、
地域金融機関等と連携し、海外進出セミナーや勉強会、「移動相談室」等を開催
するとともに、アジア・中南米等14ヵ国の投資環境について取りまとめ、冊子や
ウェブサイトを通じて広く提供。
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3.最近の取り組み (3)日本企業の戦略的な海外事業活動を支援
③現地通貨建て支援
 2015年度の現地通貨建て出融資承諾実績は計18件、
約74億円相当
 JBICは今までに11種類の現地通貨建て出融資保証の
実績有
2016年6月末時点
 2015年度にはJBIC初となるインド・ルピー建て融資案件を承諾
• 日本電産(株)のインド法人が行う車載及び家電・商業・産業用
モータ等の製造・販売事業に必要な設備投資資金の融資(2015年8月)
• 日鍛バルブ(株)のインド法人が行う四輪車及び二輪車向けエンジンバルブの製造・販売事業に必
要な設備投資資金の融資(2015年10月)
• 森六ホールディングス(株)のインド法人(自動車部品の製造・販売事業)の第2工場設立資金の融資
(2015年12月)
④船舶関連支援
 カナダ系海運大手が本邦造船所からアンカーハンドリング・
タグ船※を購入するための資金の融資等を実施
※海洋石油・ガス田の開発及び生産を支援するオフショア支援船の一種
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3.最近の取り組み (4) 地球環境保全等への取り組み
日本政府が発表したActions for Cool Earth(ACE)などの政府の施策も踏まえつ
つ、JBICは途上国の気候変動対策への支援を実施。
※日本政府は、ACEで示した日本の気候変動対策への貢献を一段と強化することを目的として、2015年11月にACE2.0を発表。
①地球環境保全業務(GREEN)
 ブラジル国立経済社会開発銀行に対する第4次クレジットラインの設定 (2015年12月、総額1億米ドル)
 メキシコ外国貿易銀行に対する第3次クレジットラインの設定 (2016年3月、総額1億米ドル)
 アンデス開発公社に対する第2次クレジットラインの設定 (2016年4月、総額1億米ドル)
②日本企業が関与する再生可能エネルギー関連事業に対する支援
 アイスランド国営電力公社に対する地熱発電関連機器等の輸出支援(2015年12月)
•
JBIC承諾金額:約3,400万米ドル
 トルコ企業に対する地熱発電関連機器等の輸出支援(2015年8月)
•
JBIC承諾金額:約800万米ドル
•
トルコ法人が、日本企業製の蒸気タービン設備など地熱発電関連機器等を購入するための
資金を、イシュバンクを通じて融資
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4.JBIC法改正
「質の高いインフラパートナーシップ」等を踏まえたJBICの機能強化を目的とする「株式会社
国際協力銀行法の一部を改正する法律」が、本年5月18日に公布されました。
① 特別業務
• リスク・テイク機能強化のため、リスクを伴う海外インフラ事業向けの投融資を行う「特
別業務」を開始。
2017年3月31日までの間で政令で定める日より開始
② 外国通貨長期借入
• 外国通貨の長期借入も活用し、途上国インフラ事業で需要が大きい現地通貨建
ての融資等を促進。
③ 支援手法の多様化
•
海外インフラ事業に係る国内銀行向けツー・ステップ・ローン
•
海外インフラ事業に係る社債等(プロジェクトボンド)取得
•
日系現地法人等の海外における製品等の販売支援(ローカル・バイヤーズ・クレ
ジット)
•
国産設備の海外向けリース事業支援
•
イスラム金融
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