【第 24 回世界遺産検定 実施報告書】 2016 年 8 月 2016 年 7 月に実施された「第 24 回世界遺産検定」について、下記のとおりご報告いたします。 (1) 実施概要 ● ● ● ● ● 実 施 日:2016 年 7 月 10 日(日)※団体受検は 別日程の場合もあり 会 場:札幌、仙台、水戸、宇都宮、高崎、さいたま、千葉、柏、東京(23 区)、東京西部(多摩地区) 、 川崎、新潟、金沢、松本、静岡、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、高松、福岡、熊本、沖縄 全 国 24 会場 実 施 級:マイスター(論述式・120 分) 、1 級(90 問・90 分) 、2 級(60 問・60 分)、 3 級(60 問・50 分) 、4 級(50 問・50 分) 解答形式:1 級・2 級・3 級・4 級はマークシート方式 、マイスターのみ論述式 申込方法および期間:インターネットまたは郵便払込 2016 年 3 月 18 日(金)∼ 6 月 6 日(月) (2) 受検状況および認定結果 申込者数 (前年実績/前年比率) マイスター 1級 2級 3級 4級 合計 46 (一般:45/団体:1) 801 (一般 726:/団体:75) 3,235 (一般:2,165/団体:1,070) 4,558 (一般:1,900/団体:2,658) 1,179 (一般:400/団体:779) 9,819 (一般:5,236/団体:4,583) 受検者数 認定者数 43 21 727 150 2,876 1,189 4,279 2,820 1,099 818 9,024 4,998 認定率 (一般/団体) 平均点/満点 [ 認定ライン ] 48.8% 非公開/20 点 (一般:47.6%/団体:100.0%) [12 点] 20.6% 112.2 点/200 点 (一般:20.4%/団体:23.2%) [133 点(※1)] 41.3% 55.5 点/100 点 (一般:49.1%/団体:27.0%) [59 点(※2)] 65.9% 66.2 点/100 点 (一般:79.4%/団体:56.7%) [60 点] 74.4% 71.3 点/100 点 (一般:95.5%/団体:64.2%) [60 点] ※1・・・認定点は通常 140 点だが、1 級の採点規則「140 点以上を取得した受検者が全体の 20%未満の場合は、全体の上位 20%の受検者が認 定となるよう、認定基準を調整」に沿って調整が行われた。※2・・・認定点は通常 60 点だが、2 級の採点規則「60 点以上を取得した受検者が 全体の 40%未満の場合は、全体の上位 40%の受検者が認定となるよう、認定基準を調整」に沿って調整が行われた。 (3) 今回の出題内容と特徴 4級 <世界遺産の基礎と日本の遺産を中心に、親しみやすい切り口から問う> 4 級では、日本の遺産を中心に、「世界遺産」という視点から世界を見ることの修得を目指している。平均点が 71.3 点で、認定率が 74.4%と、前回に比べて認定率が下がっていた。一般の受検者の認定率が 95.5%で例年とほ ぼ同じであったのに対し、団体の受検者の認定率は 64.2%で、30%ほどの差が出ていた。正答率が 41.6%と低か った、法隆寺の特徴で「正しくない」選択肢を選ぶ問題において、4 割弱の受検者が「エンタシス」というキーワ ードを含む「正しい」選択肢を選ぶなど、落ち着いて解けば解ける問題を落としてしまっていることが多く見受 けられた。キーワードを単語で問う問題は、高い正答率のものが多かった。 *出題内容の例 ・世界遺産の基礎知識:世界遺産がもつとされる価値や世界遺産委員会の委員国数など ・日本の遺産:平泉に理想郷を築こうとした人物や、姫路城の天守閣の解体大修理を行った時代など ・世界の遺産:中国の四川省で保護されている絶滅危惧種の動物や、負の遺産と考えられる遺産名など ・その他:今年のオリンピックの開催地で世界遺産になっている都市名など *教科書 書籍名:『きほんを知る世界遺産 44 世界遺産検定 4 級公式テキスト』(2014 年 4 月発行) 3級 <日本の遺産と世界の遺産の共通点を通して日本と世界のつながりを学ぶ> 「世界遺産学習」を通じて現代を生きる幅広い知識と教養を身につけることが 3 級の目的である。平均点が 66.2 点で、認定率が 65.9%と、認定率が大きく下がった。一般の受検者の認定率が 79.4%に対し団体の受検者は 56.7% で、約 20%の差があった。 「古都京都の文化財」の特徴を問う問題が 32.2%の正答率、「ピサのドゥオーモ広場」 の特徴を問う問題が 38.5%など、理由を問う問題や遺産の特徴を問う問題など、選択肢が文章になっている問題 の正答率が低い傾向にあった。毎回、検定ポスターのメインビジュアルになっている遺産からは出題されている ので、対策をとることが必要である。一方で、 「神仏習合」やユネスコの正式名称など、よく出題されるキーワー ドの問題は 95%以上の人が正答するなど、基本的な重要語句は学習できていることがわかった。 *出題内容の例 ・世界遺産の基礎知識:世界遺産条約の正式名称や世界で最初に登録された世界遺産名など ・日本の遺産:古都奈良の文化財の東大寺にある建造物や、屋久島の地図上の位置など ・世界の遺産:アテネのアクロポリスにある建造物や、ロベン島に投獄されていた人物など ・その他:2016 年の世界遺産委員会で審議された日本の遺産や、世界遺産委員会の開催国など *教科書 書籍名:『はじめて学ぶ世界遺産 100 世界遺産検定 3 級公式テキスト』(2013 年 12 月発行) 2級 <歴史や地理など周辺領域の知識から世界遺産の価値を問う> 確かな知識に基づいた「国際的視野」をもつことを重視し、歴史や地理、建築様式など周辺領域を通じて遺産 価値を問う出題が中心。平均点が 55.5 点で、認定率が 41.3%と、例年よりわずかに認定率が下がった。一般の受 検者の認定率が 49.1%だったのに対し、団体の受検者は 27.0%となり、団体受検者には厳しい結果となった。ア ポロンの神託が行われていた神殿を含む遺産名や、イエスキリストの生誕地を登録した世界遺産の地名と保有国 名の組み合わせなどが 2 割台の正答率で低くなっていた。アポロンの神託に関しては、約半数以上の受検者が「ア テネのアクロポリス」を選ぶなど、イメージで解答しており勉強が不十分であると感じられる。また、時事問題 で出題された文化庁が指定する文化保護事業「日本遺産」を問う問題で正答率が 14.6%となるなど、時事問題の 正答率は全体的にあまり高くなく、世界遺産や文化財事業に対する情報収集が求められる。 *出題内容の例 ・世界遺産の基礎知識:顕著な普遍的価値の英文や、世界遺産条約誕生までの出来事の順番など ・日本の遺産:登録基準(ii)が認められている日本の遺産や、白神山地の説明など ・世界の遺産:リオ・デ・ジャネイロの景観の説明や、バルセロナにある世界遺産の建造物名など ・その他:2016 年の世界遺産委員会の開催地や、国立西洋美術館を設計した人物名など *教科書 書籍名:『くわしく学ぶ世界遺産検定 300 世界遺産検定 2 級公式テキスト』 (2013 年 12 月発行) 1級 <2013 年 5 月までの全世界遺産を対象とし、世界遺産の知識を極める> 世界遺産の知識を広く深くすることで、世界遺産を極めることを目指している。平均点が 112.2 点で、認定率 が 20.6%と、平均点が上がり難易度はわずかに下がった。1 級は、一般の受検者の認定率が 20.4%だったのに対 し、団体の受検者は 23.2%となり、団体の受検者の認定率のほうが高かった。これは団体の受検者数が少なく同 じように比較することが難しいことも理由である。世界遺産条約を採択した際の議長名や知床の特徴の説明など、 よく出題される問題は 96%以上の受検者が正答するなど、よく対策がとられていたように感じる。一方で、ナン シーの広場を設計した人物など赤文字でも難易度が高い問題は正答率も 3 割弱と低くなっていた。認定点に数点 足りていない受検者も多く、こうした難易度の高い問題に正答できたかどうかで合否が分かれた。時事問題でも、 宗像・沖ノ島の構成資産に含まれる資産名を答える問題などは正答率が 5 割を切っており、一歩踏み込んだ時事 問題対策も必要である。 *出題内容の例 ・世界遺産の基礎知識:登録基準(ix)の説明や、世界遺産委員会の審議内容など ・日本の遺産:琉球王国のグスクで見られる石積み方の名前や、古都京都の文化財の二条城の庭園様式など ・世界の遺産:2015 年に地震の被害を受けたカトマンズの古都の名前や、バイロイトの辺境伯オペラハウスの説 明など ・その他:ル・コルビュジエの建築作品の構成資産がない国や、長崎の教会群が推薦書を取り下げた理由など *教科書 書籍名:『すべてがわかる世界遺産大事典』<上・下>(2016 年 1 月発行)
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