ボッシュパッケージングテクノロジー カスタマーマガジン 製薬編 2016年号

packazine
ボッシュパッケージングテクノロジー カスタマーマガジン 製薬編 2016年号
2 | packazine 目次 | はじめに
10
12
14
目次
ニュース
最新情報
04
21
19
容器施栓系の完全性 (CCI) | 100%CCI試験の導入に向けて
お客様紹介と市場傾向
製薬
Imprint
packazine
Customer magazine of the
­Packaging Technology Division,
Robert Bosch GmbH
Editorial
Central Marketing & Communications
Annette Soyke (Leitung)
Phone +49 711 811-0
[email protected]
07
Oncotec | クローズドシステムにおける細胞増殖阻害薬の生産
10
LGLS | 丁寧な搬送を実現したバイアル用高速充填ライン
12
Klosterfrau | 生薬のヒーリングパワーを包む最先端の包装技術
14
Hikma | 最新のシリアライゼーション・ソリューション
16
Novo Nordisk | ダウンタイムの短縮を実現した真の協力関係
19
Pfizer | 完璧に統合されたカプセル充填機
21
SBM | 医薬品の安全性を保証する最終滅菌
Publishing
Board of Management
Stuttgarter Straße 130
71332 Waiblingen
イベント
© Copyright · Packaging Technology Division,
Robert Bosch GmbH
2016~2017年製薬関連イベント
The contents of this publication may not be reprinted except by permission. Subject to alterations.
24
Design
Central Marketing & Communications
Karin Schmückle
Photos
B.J.Y.L.D (picture editing); Bosch P
­ ackaging
­Technology; Ralf Grömminger Fotografie GmbH;
Stock-Asso (Shutterstock)
packazine | 3
はじめに
読者の皆様へ
Packazine 2016年号へようこそ!今回も、
多方面で活躍するボッシュの設備について、
多くの事例をご紹介させていただきます。
最近では、
米国のOsgood Industries社、
英国の
Kliklok-Woodman社のほか、
インドでのボッシュとKlenzaids社の合弁企業などにより、
私達は製品ラインナップをさらに充実させ、
グローバルな事業展開をしています。
製薬の分野では、
ボッシュが提供する一貫ソリューションについて、
LG Life Sciences社や
抗癌剤メーカーOncotec社で採用されたラインの事例などを取り上げています。
Hikma社がヨルダンおよびサウジアラビアで使用しているCPIソフトウェアと25のシリアル
化用CPSモジュールの記事では、
ボッシュが常に広い視点で取り組んでいることをご紹介して
います。
食品分野では、
コスタリカのPozuelo社はボッシュの技術を採用し、
クッキー焼成後の温度
管理の問題等を克服し、
安全な包装を実現しました。
ヨーロッパ全域に展開する食品メーカー
Rapunzel Naturkost社は、
一次包装・二次包装ともに、
ボッシュの総合的なシステム能力を
活用しています。
このように、
お客様のご要望に応じた最適ソリューションを実現する、
弊社の幅広い製品
ラインアップと技術をお伝えできれば幸いです。
新しいpackazineをお楽しみください。
Friedbert Klefenz
Friedbert Klefenz
ボッシュ
パッケージングテクノロジー
社長
4 | packazine ニュース 最新情報
容器施栓系の完全性 (CCI)
100%CCI試験の導入に向けて
製品と患者の安全性を担保する非破壊検査法
米国食品医薬品局
(FDA)
は、
容器施栓系を
「製剤を収容し保護
規制の拡大
する包装の構成要素の全体¹」
と定義しています。
容器施栓系の完
様々なCCI試験法を記載し、
最適な方法を特定することを目的
全性
(Container closure integrity:CCI)
は、
製品と患者の安全性
として、
最近、
米国薬局方
(USP)
のGeneral Chapter 1207²が改
を担保する鍵となります。
容器施栓系の完全性における欠陥は、
医
訂されました 。
確定的方法は、
確率的方法よりも、
定量的でより
(人
薬品の活性成分
(API)
を変化させ、
予期せぬ副作用を引き起こす可
による)
過誤が発生しにくい技術です。
検査方法はさらに破壊検査
能性があるため、
患者にとって極めて有害です。
と非破壊検査に分けられます。
容器内の製剤は高価であることが
多いため、
製剤を保護しつつ検査が可能な非破壊検査が注目され
ています。
packazine | 5
新たな包装形態や医薬品処方により、
規制の適用範囲を拡大す
USPでは特定の技術を推奨していません。
使用可能な方法の中
る必要があります。
例えば、
EU GMP付属書1では、
ガラスアンプル
から、
各製品と製造工程について慎重に方法を選択する必要があ
やプラスチックアンプルのように熔閉される容器は、
全数の完全性
るからです。
医薬品メーカーは、
品質保証レベルと検出率を大幅に
試験を行うべきであるとされています³。
しかし、
リークや無菌性破綻
向上させる技術を採用することが推奨されます。
適切な技術の選択
導電性、
ヘッドスペースパラメータ、
アルコール含量または有効
のリスクはアンプルのみに発生するものではありません。
バイアル、 は、
シリンジ、
カートリッジは複数の異なる要素で構成され、
潜在的なリ
成分など、
製品および容器の個別の特性に基づいて行われます。
スクがより高いことから、
さらに高いCCIが求められるとも言えま
す。
例えばバイアルは、
ガラス容器、
ゴム栓、
キャップで構成されま
す。
そのため、
容器施栓系のすべての部分をあらゆるレベルで十分
様々な試験方法
に検査する必要があります。
高電圧リーク検知
(HVLD)
は、
液剤や懸濁液、
油性製剤を充填した
注射剤用バイアルおよびカートリッジ、
プラスチック容器、
バッグお
よびパウチの容器施栓系試験に使用されます。
その原理は定量的
凍結乾燥の場合
な導電率測定に基づいています。
25 KVまでの導電性の液体を充
感染症治療薬、
バイオ医薬品、
体外診断薬など、
凍結乾燥される
填した容器の電気抵抗を測定します。
リークがあれば、
抵抗は大幅
注射製剤は数多くあります。
凍結乾燥工程は、
凍結、
一次乾燥、
に低下します。
二次乾燥の3段階で構成されます⁴。
各段階でそれぞれのリスクが
非破壊的な真空/圧力減衰法は、
液剤、
凍結乾燥製剤および粉末
あり、
製剤と容器施栓系の両者について詳細な試験が必要となり
に適しています。
ヘッドスペースのリークまたは液剤の蒸発によっ
ます。
例えば、
凍結乾燥バイアルのCCI不良率はアンプルと同程度
て生じる圧力上昇を定量的に測定することにより、
包装からのリー
であるにもかかわらず、
アンプルにのみ100%CCIが義務付けられ、 クを特定しやすくします。
その他の容器には義務付けられていません。
多くの専門家は近い
また、
ヘッドスペース分析
(HSA)
は、
凍結乾燥製剤や真空充填さ
将来、
規制は変化するであろうと予想しています。
れる製品、
ガス置換が行われる製品に適用可能です。
HSA法は、
ヘッ
¹ http://www.fda.gov/downloads/Drugs/.../Guidances/ucm070551.pdf
² United States Pharmacopeia, General Chapter <1207> Sterile Product Packaging –
Integrity E
­ valuation (USP38-NF33 2S). USP Pharmacopeial Forum 40, no. 5, September 2014.
³ http://www.gmp-compliance.org/guidemgr/files/ANNEX%2001%5B2008%5D.PDF
⁴ http://www.fda.gov/ICECI/Inspections/InspectionGuides/ucm074909.htm
6 | packazine ニュース 最新情報
ドスペースを通過する光の量をレーザー分光計により測定し、
ヘッ
ドスペースの気体組成または総圧力の変化をモニタリングしま
す。
リークがあれば、
気体が容器外からヘッドスペース内へと侵入
します。
初期段階で容器のヘッドスペース内の気圧を変化させた
場合は、
総圧力の上昇または酸素分圧の部分的上昇がリーク率と
相関性を示します。
最適な技術の選択
各製品と容器について適切な試験方法を選択するためには、
製
品に対する十分な理解が最も重要です。
温度や湿度に対して敏感
か? 特定の真空度が必要か? 分子構造は? 保存期間全体にわた
って製品の無菌性と安定性を維持するために検出しなければな
らない重大な欠陥寸法は? ― その際、
市場と規制要件に関して知
識が豊富な機器メーカーは、
機械だけでなく、
コンサルティングの
サポートも提供することができます。
業界として100%CCIへの志向が高まる中、
ボッシュパッケージ
ングテクノロジーなどのトップメーカーは異物・外観検査および
CCI検査技術の双方において、
幅広いラインナップを構築してい
ます。
これにより、
各医薬品メーカーは有効成分、
剤型、
容器の種類
とサイズの要件に正確に対応したテーラーメードの設備を導入し
ています。
高電圧リーク検知(HVLD)
法では、容器のリークを検
査します。
packazine | 7
クローズドシステムにおける
細胞増殖阻害薬の生産
Oncotec社のボッシュ製シリンジ充填ラインが
FDA承認を取得
がんや自己免疫疾患の治療に用いられる細胞増殖阻害薬は、
とOncotec Pharma Produktion
(オンコテックファルマプロダク
最も複雑で敏感な薬剤のひとつです。
有効成分は細胞毒性薬で
チオン、
以下Oncotec社;ドイツ デッサウ=ロスラウ)
のシリンジ充
あり、
癌細胞の増殖を抑制し、
細胞を阻害する高生理活性物質で
填ライン責任者Saskia Killer氏は言います。
「充填技術は、
高度な
す。
その生産とハンドリングでは、
高水準の要求事項を満たす必
自動化により、
いかにコンタミネーションリスクを最小化するかが
要があります。
要になります。
ラインの各構成部品は、
それぞれ正確に調整されて
「細胞増殖阻害薬の充填では、
医薬品を汚染から保護すること
いる必要があります。
」
と、
オペレータの安全性を担保することは、
共に最優先事項です。
」
8 | packazine お客様紹介と市場傾向 製薬
米国市場への道をひらいたFDA査察
サート
(MXT)
などの細胞増殖阻害薬は、
自己免疫疾患の治療に用
ボッシュパッケージングテクノロジーは2008年、
ユーザーフレ
いられています。
市場で成功するためには、
アイソレーター保護を
ンドリーな全体コンセプトについて、
すでにOncotec社の了解を取
採用した最新技術が不可欠です。
っていました。
設備構成は、
100%IPC機能と追加サンプルチェック
機能を備えたコンパクトな充填・打栓機FXS 3100型、
自動開袋機
ABO型、
自動タブ開封機ATO型、
すべてのモジュールに対するテー
アイソレータ―へのタブの無菌移送
ラーメードのアイソレータ―です。
Oncotec社は、
アイソレータ―を含
「アイソレータ―はオペレータとプロセスエリアを完全に分離し
むライン全体を単一のサプライヤーから調達することを特に重要
て、
最善の方法ですべての人員を保護する、
クローズドシステムで
視していました。
「据付後5年間の間に、
ボッシュの技術は証明され
す。
アイソレータ―システムは高い製品品質を保証し、
機械の操作
ています。
ラインには、
全幅の信頼を置いています。
」
とKiller氏。
を容易にします。
」
とKiller氏は説明します。
特別に開発された全自
Oncotec社は2014年夏、
もう一つの節目を迎えます。
このとき、
動タブローディング工程により、
追加の処理を行うことなく、
滅菌済
同ラインはFDAの査察で最高の評価を得ました。
この認証により、
みシリンジをアイソレーター内へ無菌状態で移送することができ
全世界の顧客に対して、
医薬品生産と充填の両者の信頼性が示
ます。
「タブの自動ローディング・アンローディングは、
当社にとって
されたことになります。
「このラインはFDAの査察に合格し、
かつ
決定的な要素でした。
シリンジの“無菌性”を担保するために、
コン
指摘事項がありませんでした。
わずか数カ月後に米国市場向け
タミネーションフリーの移送は重要な前提条件ですから。
」
の最初の細胞増殖阻害薬を生産することができました。
」
とKiller
自動搬送は、
充填打栓機FXS型の大きな特徴です。
滅菌済みの
氏。
Oncotec社は現在、
細胞増殖阻害薬の需要が成長する世界最
シリンジネストに対して、
最大能力12,000本/時で充填を行いま
大の医薬品市場へのアクセスを得たのみならず、
さらなる市場拡
す。
ネスト1列ごとに充填済みシリンジを打栓するため、
アイソレー
大の前提条件をも満たすこととなりました。
ター内で製品が開放状態になる時間はわずか数秒と最小化され
細胞増殖阻害薬は、
ほぼすべてのがんの治療で一般に用いら
ています。
この点はFXS型プラットフォームの重要な特徴です。
れる化学療法で使用されます。
がんの罹患率が世界的に上昇する
さらに、
開袋機ABO型とタブ開封機ATO型を組み入れることによ
中、
細胞増殖阻害薬の需要も増大しています。
Oncotec社は幅広
り、
当ラインはOncotec社における滅菌済みシリンジの無菌充填
いがん治療薬を生産しています。
がんの分野以外でも、
メトトレキ
の新たな基準を打ち立てました。
packazine | 9
1億本以上のシリンジ
5年前の据付時には、
すばやいラインの構築が重要視されまし
た。
ラインは古い建屋に据付されたため、
初期の段階で、
機械を建
屋の開口部や梁に合わせる必要性がありました。
このことは、
納入
から生産開始までをスムーズに行うための前提条件であり、
この
要求に、
ボッシュの専門技術者は対応しました。
すべてのライン構
成要素が単独のサプライヤーから提供されたため、
インターフェ
ースのコーディネーションは最小限の作業で済み、
迅速な立ち上
げに貢献しました。
さらに、
ボッシュはラインのクオリフィケーショ
ンとバリデーションにおいても、
Oncotec社をサポートしました。
生産開始以来、
Oncotec社は同ラインですでに1億本以上のシ
リンジを充填しています。
ラインは現在、
日曜~金曜まで3シフトで
1日24時間、
45週間/年以上のペースで稼働しています。
「当社の
目標は、
可能な限り中断せずに生産稼働することです。
よって、
ボッ
シュのスピーディな技術サポートは大歓迎です。
必要であれば、
技
術者が遠隔サービスによって当社の機械にアクセスします。
迅速
な生産再開が担保されています。
」
とKiller氏。
細胞増殖阻害薬市場の成長により、
Oncotec社はおそらく充填
ラインの拡充を行うこととなるでしょう。
Killer氏によれば、
「次回
も、
サプライヤーの最終候補リストにボッシュの名があることでし
ょう。
」
10 | packazine お客様紹介と市場傾向 製薬
丁寧な搬送を実現した
バイアル用高速充填ライン
LG Life Sciences社、
ボッシュ製FLCバイアライで能力向上
を実現
液剤のバイアル充填において、
高速充填と安全で丁寧な搬送を
は、
韓国最大の医薬品メーカーのひとつとなりました。
LGグループ
同時に実現することは難易度の高いテーマです。
とりわけ、
コンベ
子会社として、
抗生剤およびワクチンの開発・製造・販売を手がけ
アベルトを長い距離にわたって使用する場合、
バイアルのような
ており、
世界保健機関
(WHO)
および国連関係機関に対しては、
B型
壊れやすいガラス容器の安定性にリスクが生じます。
さらに、
凍結
肝炎ワクチンを提供しています。
同社のヒト成長ホルモンや糖尿
乾燥製剤ではより複雑な工程処置が必要となるため、
搬送経路は
病薬は、
世界100か国以上に輸出されています。
さらに長くなります。
韓国の医薬品メーカーLG Life Sciences
韓国のオソンにある製造施設では、
ワクチンやバイオ医薬品を
(LGライフサイエンシズ、
以下、
LGLS社)
は、バイオ医薬品やワク
液剤用バイアルおよび凍結乾燥用バイアルに充填しています。
凍
チンの生産能力の拡大を計画。
実現に向け、
ボッシュパッケージン
結乾燥製剤はワクチンとその他の注射剤であり、
製品の有効期間
グテクノロジーとの共同プロジェクトが開始したとき、
まさにこの
を長くするため凍結乾燥されています。
製品から水分を取り除き、
点が主な課題でしたが、
最終的に、
ボッシュの充填機FLC型をベー
バイアル内に密封することにより、
医薬品の保存や輸送が容易に
スにした一貫バイアルラインは理想的なソリューションとなりまし
なります。
注射のために再溶解し、
元の状態に戻すことも容易で
た。
「ボッシュは製薬機器のトップメーカーのひとつ。
当社の期待に
す。
凍結乾燥製剤の需要拡大に伴い、
LGLS社は製造施設に2ライ
こたえる、
高能力で安定した充填ラインを提供できると考えまし
ン目となる多目的バイアルラインの導入を決定しました。
た。そして、
まったくその通りになったわけです。
」
とLGLS社プロジ
「ボッシュからのオファーは、
当社の要求に合致していました。
ェクトマネージャーSung-Kyu Lee氏は語ります。
さらに、
優れたサービスと協力体制が、
ボッシュを選んだ決め手と
なりました。
」
とSung-Kyu Lee氏は言います。
LGLS社は、
洗浄機、
乾燥滅菌トンネル、
充填打栓機で構成される一貫ラインを発注。
B型肝炎ワクチンの世界的メーカー
LG Chemical Investment社の再編に伴って誕生したLGLS社
他のサプライヤーの凍結乾燥機もラインに組み入れられました。
packazine | 11
搬送の安全性と安定性
程で、
ボッシュは当社からの提案に対して常にオープンで、
小さな
「最大の課題は、
最大600本/時という高速で、
安全で丁寧なバイ
問題もすべて一緒に解決することができました。
」
また、
Freisinger
アル搬送を確実にすることでした。
」
とクライルスハイムのボッシ
も
「LGLSとの協力関係はとても調和的でした。
チーム全体で仕事
ュパッケージングテクノロジー プロジェクトマネージャーManu-
をすることが喜びでした。
」と言います。
ela Freisingerは言います。
「LGLS社のラインレイアウトでは、
バイ
高品質の医薬品の需要が高いことで知られる韓国市場に、
ボッ
アル搬送はスクロールを使用せず、
ロータリーテーブルやバッファ
シュは30年以上かかわってきました。
ボッシュパッケージングテク
ーなどの交差部分を含むコンベアベルト上を長距離わたって通過
ノロジーのリージョナルセールスマネージャーRainer Wahlによ
する必要がありました。
バイアルの転倒防止のため、
私たちは慎重
れば、
「長年の代理店であるHakoplan社のおかげで、
韓国全土の
にラインの各段階をつなぎ、
安定した搬送経路としました。
」
お客様に高品質の機器とサービスを安定して供給することができ
新規バイアルラインは洗浄機RRU 3125型で始まります。
空容
ています。
また、
Hakoplan社は専用の統一窓口となってくれてい
器は洗浄され、
いくつかの洗浄メディアで処理された後、
乾燥滅菌
ます。
」今回、
LGLS社との最初の共同プロジェクトでも、
このアプロ
トンネルHQL 3480型に入り、
滅菌・パイロジェン除去が行われま
ーチが効果を発揮し、
ボッシュはすべての約束を果たすことがで
す。
本ラインの中核部分である充填機FLC 3120型は12本立ての
きました。
LGLS社生産チームリーダーWeon-Kyo Oh氏はこのプ
充填ステーションを搭載。
FLC型は連続動作のため、
丁寧で傷をつ
ロジェクトを総括して、
「ボッシュは、
当初から当社の信頼に全面的
けないハンドリングに理想的です。
FLC型の打栓ステーションで
に対応してくれました。丁寧な搬送と高速充填を実現し、
当社の要
は、
ゴム栓がバイアルの開口部に設置されますが、
凍結乾燥中に
求に対する完璧に応えてくれました。
」
と述べています。
水分が逃げる余地を残すため、
すぐにはシーリングしません。
バイアルの充填・半打栓後、
コンベアベルトがバイアルを数メー
トル先の凍結乾燥機まで搬送します。
凍結乾燥工程では、
製品を
凍結して真空下に置くことにより、
液相を経由することなく昇華しま
す。
この工程は3つの独立した段階、
すなわち凍結、
一次乾燥、
二次
乾燥で構成されます。
凍結乾燥バイアルのローディング・アンロー
ディングは自動で行われます。
最後の段階で、
凍結乾燥機からの
アンローディング前に、
ゴム栓がバイアル開口部に押し付けられ、
バイアルは完全に打栓されます。
その後、
バイアルは巻締機VRK
6160 B型に搬送され、
巻締めされます。
高品質を求める市場
半打栓状態の凍結乾燥バイアルにとって、
搬送中のインターフ
ェースは最も大きなチャレンジのひとつであり、
高い専門技術を
必要とする課題です。
「ボッシュの専門技術者と最新技術により、
非常に安定した搬送ルートを構築することができました。
ライン
全体を通じて高い製品品質を維持しつつ、
高速プロセスによって
生産効率も向上しました。
」
とSung-Kyu Lee氏。
「プロジェクトの過
12 | packazine お客様紹介と市場傾向 製薬
生薬のヒーリングパワーを
包む最先端の包装技術
伝統あるKlosterfrau社
ボッシュのフレキシブルなボトル充填ラインを導入
200年前にドイツのケルンで設立された伝統あるKlosterfrau
します。
社。
今日、
Klosterfrau Healthcare Group
(クロスターフラウヘル
「製品が多様であるため、
充填機に求めた主な要求事項は、
フレ
スケアグループ、
以下Klosterfrau社)
は従業員数1,000名を超え
キシビリティと信頼性のあるクリーニングシステムでした。
味や匂
る、
ドイツの主要な医薬品メーカーのひとつです。
本部のあるケル
いの異なる製品を同一の機械で生産すると、
味や匂いが大きく変
ンから、
有名で人気のある生薬「Klosterfrau Melissengeist」な
動する可能性があります。
つまり、
ある製品に他の製品の匂いや味
ど、
220の製品をヨーロッパ全域で販売しています。
が混ざり合ってしまう懸念がありました。
この意味で、
ボッシュの革
Klosterfrau社は薬によって顧客の健康を改善し、
福祉を向上さ
新的なクリーニングシステムは完璧なソリューションでした。
」
とベ
せ、
最高の良質な生薬を提供するべく努力しています。
同社にとっ
ルリンの生産工場のLiquida部門長Lutz Müller氏は総括してい
て、
新たな市場に参入することは、
革新的な製品によって製品ライ
ます。
ンナップを拡大すること、
そして最新の技術で生産工程を最適化
することをも意味しています。
この試みにおいて、
製品とサービス
の両面において最高の品質を求めています。
同社は、
将来的に生
バリデートされたクリーニング
産の大部分を担うベルリン工場において、
様々な液体や粘性の経
充填機には定置洗浄
(CIP)
Plusシステムが搭載されています。
口製剤をガラスボトルに充填するためのフレキシブル
残留物のない確実なクリーニングが行われるため、
同一の機械で
な充填・巻締機を探していました。
異なる製品を生産しても、
交叉汚染を引き起こす可能性が排除さ
れます。
CIP Plusシステムにより、
Klosterfrau社は各製品に対し
て、
個別のクリーニングプログラムを設定することができます。
フレキシブルなボトル充填
そのため、
充填対象製品が多様であっても、
クリーニングプロセ
ボッシュの容量充填システムは、
液体から高粘度の製品まで、
製
スを繰り返し行い、
バリデートすることができます。
特に保存剤を添
品特性の異なる様々な製品を高い充填精度・能力でハンドリング
packazine | 13
加していない製品の場合、
CIP Plusシステムを導入して、
製品の
長年の実績に裏付けられたソリューション
有効期間と品質を担保することが重要です。
クリーニングはクロー
トップクラスの充填・巻締ラインの設計と構築における長年の実
ズドプロセス内で行われるため、
機械を分解する必要がなく、
機械
績 ― これがKlosterfau社がボッシュを選定した決定的な理由でし
停止時間の短縮につながります。
た。
「機械は信頼性と使いやすさを兼ね備えています。
運転モード
でも清掃モードでも、
さらには品種替えにおいても、
再現性がある
ため、
操作は容易でスムーズです。
従来の機械は、
当社製品の限ら
様々なキャップの使用
れた範囲内でのみ対応可能ですが、
ボッシュ製ラインでは、
現在
Klosterfrau社では多種多様なキャップを使用しているため、
10種類のフォーマットをハンドリングしています。
」とPabst氏。
高度なフレキシビリティを必要としています。
充填機の後、
容器は
いくつかのキャッピングステーションを備えた巻締機を通過しま
同氏は、
提供されるサービスについても感銘を受けたといいます。
「今回の新規ラインに関するどんな問題についても、
電話や現地
す。
最初の巻締機では、
製品の使用方法に応じて、
個々のボトルに
ですぐにサポートを得ることができます。
これにより、
非常に良好な
注ぎ口が取り付けられます。
業務関係が築かれています。
その他の協力関係も、
同じようにスム
その後、
2台目の機械でキャップが取り付けられます。
サーボ技
ーズに進むことと思います。
」今後も両社のプロジェクトには明る
術により、
各キャップのフォーマットに合わせてトルクと位置を調節
い未来が待っているようです。
し、
多様なキャップを取り付けることが可能です。
また、
キャップの
上に計量カップをかぶせる製品もあります。
ラインのモジュラー構造により、
様々な包材の使用が可能です。
これにより、
将来の用途に対する高度なフレキシビリティが担保さ
れています。
効率的な生産
充填から巻締めまで、
ライン全体がラミナーフローフードで保護
されているため、
異物の侵入を防ぎます。
この保護機能により、
ボト
ルは製薬グレードの包装条件下で製造工程の出発点である供給
テーブルに到着します。
これにより、
清浄な連続生産工程が担保さ
れます。
また大容量の供給テーブルがバッファー機能となり、
万が
一ラインでトラブルが生じても、
20~30分間は連続生産すること
が可能です。
連続動作原理の回転式充填機では、
高い能力での生産が可能
です。
すべての製造工程は分断されることなく行われます。
これに
左: Lutz Müller, Liquida部門長、
よりKlosterfrau社は、
製品によって最大能力160本/分で充填する
中央: Angelika Scholtz, Lutz Müller氏のアシスタント
ことが可能です。
モジュラー式ロータリーシステムの充填ポイント
右: Tobias Pabst, プロジェクトマネージャー
数は、
同社の求める容量レベルに従って調節可能です。
同社プロジ
ェクトマネージャーのTobias Pabst氏は、
「間欠式のリニア型充填
システムと比べて、
連続式ロータリーシステムでは生産速度が大
幅に速くなりました。
新システムは容量が大きいため、
速度は倍以
製造ラインのビデオをご覧いただけす。
上になりました。
」
と評価します。
http://bit.ly/1VUX8Sd
14 | packazine お客様紹介と市場傾向 製薬
最新のシリアライゼーション・
ソリューション
ボッシュはHikma社の包装ラインのアップデートを
行いました
医薬品製造において、
安全性は最優先事項です。
これは製造工
将来のあらゆるシリアライゼーションの要求にこたえる
程のみではなく、
医薬品包装においても当てはまります。
世界中
Hikma Pharmaceuticals
(ヒクマファーマシューティカルズ;
の多くの地域で、
シリアライゼーションの基準は厳格化しつつあり
以下、
Hikma社)
は、
急速に成長しつつある多国籍グループであ
ます。
今後、
医薬品メーカーは各国の要件に応じて、
生産ラインに
り、
受託品を含む様々なジェネリック医薬品とライセンス製品開
トラック&トレースソリューションを採用しなければなりません。
例
発、
製造および販売しています。
同社は中東および北アフリカでの
えば中東・北アフリカ地域では、
サウジアラビアが2015年にデー
マーケットリーダーとして、
当地域で事業を行い、
また欧米でも活
タマトリックスコードとロット番号を包装上に示すことを義務付け
動しています。
最高品質の製造の実現に取り組み、
シリアライゼー
ています。
ション基準の適用や医薬品偽造への取り組みでパイオニア的存
2019年には、
EUで販売される製品にはシリアライゼーションの
在です。
「サウジアラビアの食品医薬品当局のすべてのガイドラ
みならず、
製品が開封されていないことを証明する改ざん明示仕
インにあらかじめ対応するため、
いくつかの施設の包装ラインを
様
(セキュリティラベルの貼付)
が求められるようになります。
米国
アップグレードすることを決定しました。
」
と同社技術購買マネー
食品医薬品局は、
すべての処方箋薬の包装に標準化されたコード
ジャーのAyman Abusalem氏は言います。
識別子
(標準数値識別コード:SNI)
の適用を推進しており、
2017年
Hikma社ではすでにボッシュ製機械を使用しているため、
ボッ
末までに段階的に導入される予定です。
Hikma社はその生産ライ
シュもこのプロジェクトのパートナー候補でした。
「ボッシュは、
段
ンにおいて、
高い品質水準に照準を定めており、
世界中の製造施
取り替えが速く、
ランニングコストが低く、
効率的な設計の汎用機
設において、
様々な要求をすべて満たすフレキシブルな製造ライ
を提供することが可能です。
また、
アフターセールスサービスも
ンの導入が必要になりました。
優れています。
」
とAbusalem氏。
ヨルダンとサウジアラビアの既
packazine | 15
存包装ラインをアップグレードするため、
同社は2014年9月、
25
Sanwaldによれば、
「管理ビュー機能により、
Hikma社では各ライ
台のCPSモジュールおよび適切なCPI
(Connected Packaging
ンを直ちにチェックし、
比較することができます。
」
さらに各施設の
Industry)
ソフトウェアをボッシュに発注しました。
機械は、
生産開始に必要な、
記録されたデータと特定のシリアル
番号にアクセスすることができます。
この新規ソリューションによ
り、
規制当局など、
外部データベースへのデータのエキスポート
機械とソフトウェアの接続
も可能です。
ボッシュのベースモジュールCPS 0800型は最大で400カー
トン/分の印字と照合を行い、
インクジェットやレーザーなど様々
なマーキングシステムを取り付けることができます。
シリアル番
次のステップへ
号、
1Dまたは2Dコードのほか、
バッチデータや有効期限などを折
Sanwaldによれば、
「2014年9月の発注から、
2015年初頭のコ
りたたみカートンに印字できます。
CPS 1400型にはさらに計量
ミッショニングまで期間が短いことや、
規模が大きなプロジェクト
システムを搭載可能です。
CPS 1900型は秤量器を備えている
であることが大きな課題でした。
良好なプロジェクトマネジメント
だけではなく、
改ざん明示仕様も備えています。
新たなシリアライ
とチームワークにより、
2月の期日までに、
25のラインで最初のバ
ゼーション機器を既存機および対応するソフトウェアと組み合わ
ッチで運転を行うことができました。
」今回新たに導入されたシリ
せることにより、
ボッシュはHikma社に効率的で信頼性のあるシリ
アライゼーションにより、
Hikma社は医薬品生産と包装における
アライゼーションソリューションを提供することができました。
次のステップに進むことができました。
「ボッシュの設備にはとて
ボッシュの新たなCPIソフトウェアは、
シリアライゼーションプ
も満足しています。
機械の設計が適合しているだけでなく、
最小限
ロセス内で、
ソフトウェアと機械を確実に接続します。
アンマン本
の機械停止時間と非常に高い効率で稼働しています。
シリアライ
社のセントラルオフィスから、
様々なラインをすべてモニタリング
ゼーションの要件を満たすために当社が必要とするソリューショ
可能です。
CPIはシリアライゼーション番号の生成を行うだけでな
ンを提供してくれました。
」
とAbusalem氏は総括します。
く、
受注管理も単純化しているため、
同社のERPシステムへの統
合も容易でした。
ボッシュのトラック&トレース専門技術者Daniel
ボッシュが提供する“Connected Industry”ソリューション
ボッシュのCPIソフトウェアは、バッチ管理やシリアライゼーション―シリアルナンバーの割付けから最
終の集積段階まで ― に対応しています。製造工程内で、ソフトウェアと機械モジュールを確実に接続す
るための理想的なソリューションであり、真の“Connected Industry”を実現します。お客様のメリット
として、すべての包装ラインが可視化され、1つの画面ですべての活動をリアルタイムで概観することがで
きます。本ソフトウェアは外部のシリアルナンバーのインポートと、内部シリアルナンバーの管理の双方
に適しています。また、製品照査の利便性と信頼性のため、CPIはシリアライゼーションデータや集積デ
ータのエキスポートも行います。
16 | packazine お客様紹介と市場傾向 製薬
ダウンタイムの短縮を
実現した真の協力関係
ボッシュパッケージングサービスは
Novo Nordisk社向けに予防保全キットを開発
メーカーにとっては、
予期しない機械停止があっという間に大き
カギとなります。
な経済的損失につながることがあります。
突発的で予測不可能な
Novo Nordisk Pharmaceutical Industries, Inc.
(ノボノルデ
生産停止に対する完全な対処法はありませんが、
積極的なメンテ
ィスクファーマシューティカルインダストリーズ、
以下Novo社)
は、
ナンス戦略を導入することにより、
リスクを大幅に低下させること
カスタマイズされた予防保全キットを導入し、
米国工場
(ノースカロ
は可能です。
なぜなら、
機器のメンテナンスが定期的かつ体系的
ライナ州クレイトン)
で時間とコストの節約を実践しています。
に行われるため、
より信頼性の高い生産が可能となるからです。
す
1923年にデンマークで設立されたNovo社は糖尿病薬や糖尿
べての機械部品について、
各部品の摩耗や損傷のしやすさに応じ
病用デバイスの分野で世界的なマーケットリーダーとなっていま
て設定した、
テーラーメードの部品交換スケジュールが成功への
す。
上記工場で、
製剤の製造、
バイアル・カートリッジの無菌充填、
検
packazine | 17
査、
包装などを行い、
また、
米国市場向けにはインスリン用のプレフ
Novo社のエンジニアがボッシュパッケージングテクノロジー
ィルドデバイスの組み立て・包装も行っています。
クレイトンの工場
にサポートを求めてコンタクトしたのは、
ちょうどボッシュが前述の
には、
ボッシュパッケージングテクノロジーが納入した3ラインの
機種について予防保守キットを策定したところでした。
それぞれの
液剤用一貫充填ラインが設置されています。
2つのカートリッジラ
予防保守キットと新たな保全スケジュールを組み合わせ、
両社は
インと1つのバイアルラインで注射剤の包装とシーリングが行わ
非常に効率の良いソリューションを構築することに成功。
「過去の
れています。
機械停止時に、
ボッシュのサービス専門員に定期的に相談してい
ました。
」
とBuckley氏。
「当社の方針の調節や改善において、
大い
に助けられていました。
そのため、
定期的に交換が必要なスペア
保全戦略を一歩進める
パーツを正しく規定するために、
同じ技術者を頼りにしたのは当然
Novo社のバイアル充填ラインは、
ボッシュの洗浄機RRN 3084
なことでした。
」
型、
滅菌トンネルHQL 3480型、
充填機FSM 2700型、
巻締機VRK
4010型で構成されています。
「機械の寿命を延ばし、
コスト効率を
改善するため、
年に2回、
メンテナンスのための定期的な機械停止
高度にカスタマイズされたソリューション
を行います。
」
とNovo社の信頼性エンジニアJim Buckley氏。
ある
RRN型、
FSM型、
VRK型は可動部品が多い機械であるため、継
機械停止の際に、
Novo社は3台の重要な機械、
すなわち洗浄機、
充
続的なサービスが極めて重要になります。
さらに、
RRN型とVRK型
填機、
打栓機を対象に、
自社の予防保全キットの開発を開始し、
予
が同社のバイアルラインに加えられたのは、
比較的最近のことで
防保全戦略を1歩前進させました。
あり、
オペレータは機器の保全についての経験がほとんどありませ
キットの種類
アソートメント
予防保全
オーバーホール
モダナイゼーション
基本型・拡張型
交換間隔(h+1)
旧式化
アップグレード
消耗部品
予備部品または電子部品
すべて
アセンブリグループ
機能的モジュール
すべて
定期保全
最新の部品
最新技術
規定
消耗部品・予備部品・電子部品
機械レベル
機械システム
適用対象
初期機器
SAT
FAT
立ち上げ
コミッショニング
FAT
SAT
工場出荷検収
現地検収
モダナイ
ゼーション
オーバーホール
予防保全
機械性能
アソートメント
機械のライフサイクル
Time
モダナイゼーション
移行
現地検収
事後メンテナンス・日和見的な部品管理
18 | packazine お客様紹介と市場傾向 製薬
んでした。
ボッシュのエンジニアは、
各機械の目に見える部品に注
目するだけではなく、
他の主要な部品の定期交換も提案しました。
Novo社のプロダクトトランスファーエンジニアCarrie Walker
氏は、
「当社エンジニアの用途中心の観点と、
ボッシュの専門技術
者による長期的な技術的観点を効果的に組み合わせることによ
り、
高度にカスタマイズされたソリューションを構築することがで
きました。
」ボッシュのサービスチームとNovo社のラインエンジニ
アが現地で何度もミーティングを行い、
様々な戦略について話し
合い、
Novo社の特殊なニーズに合致するまで、
実施間隔などにつ
いて細かく設定しました。
保全間隔の設定
ボッシュが提供する予防保全キットは通常、
マイナーキットとメ
ジャーキットで構成されます。
マイナーキットは、
生産時間約2,000
時間の間隔で交換を要する消耗部品が対象です。
メジャーキット
は、
4,000時間で交換を要するものです。
それに対して、
Novo社の
保全コンセプトではもともと6カ月、
12カ月、
24カ月の間隔が想定
されていました。
新たに共同で策定されたコンセプトは、
ボッシュ
の稼働時間ベースのモデルと、
Novo社の3つの交換間隔パターン
とを組み合わせたものです。
稼働時間ベースのスケジュールでは、
機械の稼働時間に応じて
機器がスムーズに稼働するよう、
ボッシュはお客様のテーラーメードの保全計
画策定をサポートします。
一定時間使用された際にのみ部品を交換します。
新たに作成され
た予防保全キットには、
2,000時間
(カテゴリA)
、
3,000時間
(カテゴ
リB)
、
4,000時間
(カテゴリC)
後に交換される部品が規定されてい
ます。カテゴリAは常に水にさらされる洗浄機のベアリングなど摩
耗しやすい部品、
カテゴリBはベルトなど中程度に摩耗しやすい部
品、
カテゴリCはガイドなど比較的寿命が長く消耗が遅い部品を含
みます。
時間とコストの節約
新たな予防保守キットの開発は、
2週間以内に完了しました。
Novo社はそのメリットをすでに実感しています。
「必要な部品が
すべて手元にあるため、
以前よりも機械停止がスムーズになりま
した。
より周到に準備し、
組織化できるため、
必要なマンパワーも
低減されています。
」
とWalker氏は言います。
「時間の節約だけで
はありません。
予防保全キットにより、
何が必要かを常に確認し、
不必要な在庫を避けることができるため、
コストも削減されます。
」
ボッシュとの協力関係を
「真の共同作業」
と説明する同氏らは、
今後さらにカートリッジラインの機械についても予防保全キットの
策定を検討しています。
巻締機VRK 4010型
定期保全によって、
安定稼働と機械寿命の延長を実現します。
packazine | 19
完璧に統合された
カプセル充填機
Pfizer社
(ドイツ フライブルク)
は30年以上、
ボッシュのGKFシリーズを使用しています
サステナビリティ、
効率性、
全自動化 ― これらはフライブルク
(ドイツ)
のPfizer Manufacturing GmbH
(ファイザーマニュファ
では、
秤量済みのカプセルを容器に回収し、
その後の包装工程に
搬送します。
クチャリング、
以下Pfizer社)の製造拠点を説明するキーワードで
「2階では1名のオペレータが作業をしています。
」
とPfizer社製
す。
現在950人の従業員を雇用するこの工場は、
環境保護とサス
造エンジニアEric Fisch氏は言います。
「他の2つの階には、
清掃と
テナビリティにおいて高く評価されています。
また、
Pfizerグルー
メンテナンスの専門スタッフが出入りします。
」
また、
エネルギー効
プの枠を超えて、
リーン生産方式における高い能力でも有名です。
率において、
カプセル充填機も、
新たな基準をうち立てています。
毎年、
60億錠/個の錠剤およびカプセルを生産し
(包装単位では
2億以上)
、
3,000種類以上の包装タイプで提供しています。
「この工場では当初から、
上層階から下層階へ重力に従った粉末
のフローが計画されており、
このコンセプトは今日に至るまで実現
されています。
」
1~3階の全自動化
このような大量生産を行うため、
生産工程および搬送工程はす
同一工場に3世代の機械
べて高度に自動化されています。
カプセル充填は建屋の3つの階
Pfizer社が3シフト稼働のために必要としているのは、
高性能、
高
で行われています。
3階には粉末容器と空カプセルが収容されて
効率でフレキシブルな機器です。
同社はボッシュパッケージング
います。
同フロアでは、
原薬が入った容器が遠隔操作の無人搬送車
テクノロジーと30年以上にわたって協力してきました。
1980年初
(AGV)
により搬送されます。
粉末は天井を通じて2階にあるカプ
セル充填に直線ラインで供給され、
カプセルに充填されます。
1階
頭から、
何世代ものカプセル充填機GKF型がフライブルクで稼働
してきました。
2001年以降は、
5台のGKF 2000シリーズが一貫し
20 | packazine お客様紹介と市場傾向 製薬
て生産を行っています。
Fisch氏によれば、
「どの機械も生産に対し
パーツやメンテナンス全般について非常に効率的です。
」
て大きく貢献しています。
」GKF 2000 ASB 100%型が2台導入さ
れた後、
さらに2台のGKF 2500 ASB 100%が追加されました。
最
も新しいものは2005年のGKF 2500 S型で、
定評ある特許取得済
継続的な最適化
みのスライドゲートシステムが特徴です。
Fisch氏は、
技術的基礎と機械の稼働についても確信していま
最大能力15万カプセルのカプセル充填機GKF 2500型は、
高性
す。
「新しいオペレータでも、
トレーニングを短時間で完了し、
長時
能機に分類されます。
また、
GKF 2500 ASB 100%型は、
カプセル
間指導しなくても、
すぐに機械を理解しています。
」
この言葉は、
特
を個別に計量する秤量機が搭載されています。
重量が許容範囲内
にボッシュの秤量機KKE型に当てはまります。
KKE型では、
その他
のカプセルのみが良品とされます。
フォーマット部品点数が少な
の測定システムよりも大幅に使いやすい重量測定技術を採用し
いため、
フォーマット替え・製品替えがすばやく容易です。
また、
機
ています。
カプセル充填機GKF型について、
Fisch氏はトラブルシ
械調整も容易で、
重量調節や生産開始の際も、
必要な操作はごく
ューティングのしやすさを挙げています。
「特別に訓練された専門
わずかです。
技術者である必要はありません。
また、
小さな故障を発見するため
に、
機械を分解する必要もありません。
」
Pfizer社は、
長年培ってきた膨大な知識を活用して、
工程や機械
製品ロスを低減するスライドゲート
の細部を継続的に最適化しています。
例えば、
Pfizer社とボッシュ
「新しい機械に投資をする際、
私たちは常に製品のことを考えま
は、
GKF型とKKE型を同期化させ、
個々に制御される速度で一貫し
す。
」
とFisch氏。
「ですから、
その機械が満たすべきパラメータを決
た充填を行えるようにしました。
リーン生産方式に従い、
同社は常
定する前に、
各薬剤に対して必要となる充填技術を確認します。
」
に最適化の可能性を探っています。
ここには、
ソフトウェアの定期
2015年に導入されたカプセル充填機では、
より高速で、
メンテナ
的なアップデートや、
すべての機械を既存のレイアウトに適合させ
ンスがより容易であることが理想的な条件でした。
さらに、
清掃時
ることなどが含まれます。
例えば、
ボッシュが最初に別置きの制御
間、
能力 、
既存の機械設置場所との適合性も、
この決断において重
盤を提供した顧客企業のひとつがPfizer社です。
要な役割を果たしました。
ボッシュのGKF 2500型はこれらの基準
をすべて満たしています。
特に、
スライドゲートシステムには大きなメリットがあります。
ス
同じ言葉を共有
ライドゲートは特に製品にやさしく、
吸塵機に収容される粉末ロス
スペースの制約にもかかわらず、
フライブルクの生産能力はま
も少ない技術です。
Fisch氏は、
「スライドゲートのおかげで、
製品
だその限界に達していません。
2017年には全く新しい生産工場が
ロスを1~2%まで低減することができました。
以前からすでに良
計画され、
完全に自動化された3階建ての工場建屋も拡張されま
い結果が得られていましたが、
当社の製品にとって1%でもロスが
す。
そのため、
カプセルの生産と充填工程は、
近い将来、
さらに導入
減ることは、
大きな成果です。
全体として、
ボッシュの機械はスペア
される2台のGKF型機により補強されます。
適切なサプライヤーを
選定するための主な前提条件は、
技術です。
一方、
地理的な近さも
大切であるとFisch氏は言います。
「当社の現場とボッシュとの連
絡は本当に速いのです。
さらに、
同じ言葉を話しています。
」
これは、
現地語という意味だけではなく、
両社の間で培われた技術的な専
門性と信頼に基づく協力関係を意味しています。
packazine | 21
医薬品の安全性を保証する
最終滅菌
医薬品・包装・製品安全性について、
重要な情報が得られる
滅菌試験についてご紹介します
シリンジの外観からは、
その製造の複雑さはほとんどわかりませ
は、
容器の最終滅菌を行って製品と患者双方の安全性を担保する
ん。
現実には、
シリンジの製造には設備開発、
包装の選択および充
ことが国際的な規制によって求められます。
このように、
包装後の
填から容器設計に至るまで、
極めて複雑な工程が必要となります。
薬剤の最終滅菌は、
公的規制に従って微生物を最大限排除するも
充填を終了しても、
工程は完了ではありません。
有効成分によって
のです。
22 | packazine お客様紹介と市場傾向 製薬
医薬品メーカーでは、
特に新製品の場合、
カスタマイズされたプ
そく済み容器の液剤に適しています。
加熱・冷却サイクルは短時間
ラスチック製包装を採用する傾向が強くなっています。これらの
で、
温度に過敏な製品に対する温度ストレスを最小限に抑えます。
包装形態は、マーケティングやデザインの要件に従って、
しばしば
一次包装メーカーとの協力により開発されますが、
プラスチック容
器は、
最終滅菌中に破裂や変形、
脆弱化し、
使用できなくなるリスク
すべての工程パラメータを考慮
があります。
したがって、
医薬品・包装メーカーは様々な薬剤や容器
液剤と包装は、
様々な程度の温度ストレス・機械的ストレスにさら
に応じて理想的な滅菌条件を構築しなければなりません。
されます。
容器内の圧力が高すぎると、
容器壁が軟弱化したり、
バッ
グのシーミングが破裂したりするおそれがあります。
さらに、
温度に
対して不安定な医薬品は、
高圧・高温条件に曝露されると変質して
製品に応じた適切な工程
効果がなくなるリスクがあります。
よって、
滅菌パラメータを液体お
剛性・多孔性素材の機器、
プレフィルドアンプル、
PTP包装製品
よび容器に適切となるよう正確に設定することが極めて重要です。
は、
真空蒸気プロセスにより滅菌されます。
空気は圧力チャンバー
そこで鍵となるのが事前試験で、
基本的な工程パラメータ
(ロー
および容器から完全に排気され、
飽和蒸気が多孔性材質の微細な
ディング、
温度、
圧力、
加熱・冷却速度、
製品保存など)
が確認されま
孔にも侵入します。
後者はその後、
ピュアスチームの吹き込みによ
す。
これらの試験運転は数時間~数日かけて行われ、
製品ごとに必
り加熱滅菌されます。
積載物の種類に応じて、
真空乾燥またはジャ
要となる滅菌工程のマッピングを行います。
これにより、
製品自体
ケット冷却により工程が終了します。
が滅菌可能かを判断します。
バイアルおよびプレフィルドシリンジなどの開放状態/半打栓
状態/完全閉塞状態の容器やシングルチャンバーバッグ・マルチ
チャンバーバッグは、
蒸気/空気混合プロセスにより滅菌されま
あらゆる結果を開発に活用
す。
これにより、
サイクル終了時に製品を乾燥した状態で取り出す
承認済み薬剤については、
通常、
必要とされる滅菌手順は規定
ことができます。
蒸気を直接吹き込み、
ファンによりチャンバー内
されています。
この場合は、
試験結果から、
工程およびサイクルタ
を循環させ、
加熱滅菌を行います。
冷却は内部の熱交換器で行い
イムをより効率的にするためにはどの項目を調節すべきかについ
ます。
保持圧力は要求に応じて調節可能であり、
サイクル全体を通
て、
貴重な知見が得られます。
容器に関しても同様です。
包装メー
じて、
変形、
ストッパーの位置ずれ、
容器破損が防止されます。
カーは、
容器特性と潜在的な弱点について詳細な分析結果を入手
熱水シャワーは特にブロー・フィル・シールや輸液バッグなど、
閉
することができ、
包装をいかに最適化するかについて、
重要なヒン
packazine | 23
トが得られます。
正確な手順やパラメータが未定の場合は、
一種の「ストレステス
ト」
として試験運転を実施し、
滅菌可能性や包装品質、
最適な手順
について検討することも可能です。
メーカーは、
クオリフィケーショ
ンおよびバリデーション中の時間と労力を大幅に節約することが
でき、
製品上市までの期間を短縮できます。
試験結果が否定的な
ものであっても、
生産の中止に至るものではありません。
むしろ、
包
装メーカー・製薬企業は、
より正確に目標を定め、
各製品のさらなる
開発を加速することが可能となります。
SBM社の“プロセスX-pertセンター”
Schoeller-Bleckmann Medizintechnik
(SBM社)は、
ボッシュパッケージングテクノロジーの子会社
であり、
製薬産業において35年の実績を有しています。オーストリアのテルニッツを拠点とし、
同社の“プ
ロセスX-pertセンター”では、
真空蒸気滅菌、
蒸気/空気混合滅菌プロセスおよび熱水シャワー滅菌のテ
ストを行うことができます。
最新技術を採用した滅菌装置
(混合システムを含む)
が2台あり、
多様な製品に
対して正確に適合した滅菌プロセスを開発するために必要なフレキシビリティを提供します。
サイトグラスを通して試験中の製品を観察することができ、
また写真やビデオによるドキュメンテーシ
ョンも可能です。
経験ある専門スタッフが試験運転のさらなるドキュメンテーションを行い、
温度設定から
ローディングに至るまで、
最適な滅菌パラメータについてお客様にアドバイスいたします。
SBM社のサー
ビスには、
製品保存や廃棄といった専門分野も含まれます。
日程
2016~2017年
2016年
製薬関連
イベント
2017年
イベント名
開催地
分野
製薬
5月10~11日
Crailsheimer Pharmatag
クライルスハイム
6月29日~7月1日
Interphex Japan
東京
製薬
9月18~21日
ISPE Annual Meeting
アトランタ
製薬
9月27~29日
Fachpack
ニュルンベルク
一般
9月29日~10月1日
Total Processing & Packaging
バーミンガム
製薬
10月17~18日
PDA Universe of Pre-filled Syringes
ハンティントンビーチ
製薬
11月5~8日
CIPM China (Autumn)
武漢
製薬
11月6~9日
Pharma Expo
シカゴ
製薬
11月8~10日
Maghreb Pharma
アルジェ
製薬
11月13~17日
AAPS Annual Meeting
シカゴ
製薬
11月14~17日
All4pack (Emballage)
パリ
一般
11月22~25日
PharmTech
モスクワ
製薬
5月4~10日
Interpack
デュッセルドルフ
一般
(上記は変更されることがあります)
本
社 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-12-22 渋谷プレステージ 7階
関西営業所 〒532-0004 大阪府大阪市淀川区西宮原2-1-3 SORA新大阪21 18階
TEL: 03-5466-2550 FAX: 03-5466-2551
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