流れの横断・平面特性を指標とした持続可能な樹木管理方策に関する検討

流れの横断・平面特性を指標とした
持続可能な樹木管理方策に関する検討
吉武央気・清原正道・本多信二・横路朋子・川口滋・星淳一・菅原誠人
パシフィックコンサルタンツ株式会社
国土交通省東北地方整備局酒田河川国道事務所
Sheet 1
序論
• 樹林の繁茂が洪水流下の妨げとなり、堤防からの越流を誘発
背 • 樹林化が澪筋や砂州の固定化を助長し、澪筋における局所
洗掘が生じ、魚類の生息・産卵環境である瀬や淵が消失
景
• 樹木伐採等の河道管理を実施するものの、数年後に樹木の
再繁茂が発生
• より効果的な樹木管理の方策が求められる
目
的
◆従来の樹木管理指標
冠水日数 無次元掃流力
◆本研究の樹木管理指標
相対水深 蛇行度
を新たに設定
対象地点の物理量を指標
流れの横断・平面特性に着目
Sheet 2
対象河川の概要
セグメント
代表粒径
河床勾配
14.0-17.2k
2-1
42.91mm
1/1000
56.93mm
1/380
105.11mm
1/190
17.2-22.4k
22.4-31.6k
1-1
日本海
河道区間
赤川
 山形県の庄内平野を流れる一級河川
 流量や土砂供給量の減少等にともない、
河原にシロヤナギやハリエンジュが繁茂
 流路の固定化の助長、澪筋での
河床洗掘や流下能力の低下が懸念
14.0k
31.6k
赤川
流域
山形県
新潟県
N
:ダム
指標値を用いた樹林化の要因分析
相対水深:砂州上の平均水深HH/低水路平均水深HL
Sheet 3
流れの横断特性に着目
平均年最大流量
流下時の水位
砂州上の平均水深
HH
低水路平均水深
HL
砂州幅
低水路幅
流れの縦断特性に着目
蛇行度:蛇行長 Lm /蛇行波長 L
蛇行波長 L
蛇行長Lm
横断面の最深河床位置
堤間の中心位置
 距離標ごとに算出
 定期横断測量データが
あれば算出可能
1.0
混在
0.9
エリア
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
1.00 1.04
樹林化エリア
相対水深
相対水深
指標値を用いた樹林化の要因分析
礫河原
樹木
1.08
1.12
蛇行度
1.16
1.20
1.24
1.0
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
Sheet 4
混在エリア
未樹林化
エリア
樹林化エリア
0.1
1.0
10.0
冠水日数(日/年)
• 相対水深が0.3より小さい場合、樹木が繁茂
• 蛇行度が1.04より大きい場合、樹木が繁茂
• 冠水日数が25日以上の場合、礫河原を維持
礫河原
樹木
100.0
1.0
混在
0.9
エリア
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
1.00 1.04
樹
木
伐
採
樹林化エリア
相対水深
相対水深
赤川おける樹木管理方策(案)
礫河原
樹木
1.08
1.12
蛇行度
1.16
1.20
1.24
1.0
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
Sheet 5
混在エリア
未樹林化
エリア
樹林化エリア
0.1
1.0
10.0
冠水日数(日/年)
礫河原
樹木
100.0
砂州の掘削
相対水深が0.3以上となるように
掘削高を設定
低水路線形
の是正
蛇行度が1.04以上の場の対策として、
水制工等により縦断方向の流れを変化
Sheet 6
河床変動解析モデルを用いた管理指標の検証
 平成21年に樹木伐採+掘削を実施し、礫河原を維持している地区
CASE2
CASE1
植生伐採
範囲
29.0k
29.0k
29.2k
29.2k
洪水前河床高
河床高(m)
66
64
62
60
58
56
0
50
100
横断距離(m)
69
66
63
60
57
54
洪水後河床高
0.10
0.08
0.06
0.04
0.02
0.00
150
無次元掃流力
河床高(m)
29.2k
150
0
50
100
横断距離(m)
66
64
62
60
58
56
69
66
63
60
57
54
洪水後河床高
0
50
100
横断距離(m)
無次元掃流力
150
河床高(m)
河床高(m)
29.3k
29.4k
29.4k
河床高変動量
(m)-1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0
50
100
横断距離(m)
150
0.10
0.08
0.06
0.04
0.02
0.00
無次元掃流力
Flow
Sheet 7
河床変動解析モデルを用いた管理指標の検証
 平成23年に樹木伐採+掘削を実施したものの、植生の侵入が生じている地区
植生伐採
範囲
200
300
0
100
200
300
横断距離(m)
400
河床高(m)
0.15
0.12
0.09
0.06
0.03
0.00
無次元掃流力
河床高(m)
0.09
23
0.06
21
0.03
河床高(m)
25
0.09
0.06
0.03
0.00
19
0.12
0
洪水後河床高
29
27
25
23
21
19
0
100
100
200
300
0.00
横断距離(m)
横断距離(m)
21.6k
29
27
25
23
21
19
300
0.15
無次元掃流力
河床高(m)
無次元掃流力
河床高(m)
横断距離(m)
200
無次元掃流力
29
0.15
27
0.12
無次元掃流力
29
0.15
27
0.12
25
0.09
200
300
横断距離(m)
400
0.06
0.03
0.00
河床高(m)
100
洪水後河床高
29
27
25
23
21
19
0
100
無次元掃流力
0
0.15
0.12
0.09
0.06
0.03
0.00
0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
無次元掃流力
河床高変動量
(m)-1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0
21.8k
29
27
25
23
21
19
CASE4
CASE4
Flow
0.15
0.12
0.09
23
0.06
21
0.03
19
0
100 200 300
横断距離(m)
400
0.00
無次元掃流力
CASE3
Sheet 8
結論
平均年最大流量流下時の相対水深
0.0
単断面的な蛇行流れ
→樹林化しやすい
0.3
経過
年数
事業後
事業
直後
事業前
1.0
複断面的な蛇行流れ
→樹林化しにくい
礫河原
樹林化
人為的な管理
自然営力
に任せた管理
• 相対水深が0.3より小さい砂州を対象に、樹木伐採と掘削を実施
→適用条件として、蛇行度が1.04以上、川幅の増加率が●●以
上の場を対象とする。
• 蛇行度が1.04以上、川幅の増加率が●●以上の場では、縦断的
に流れの向きを変えることで樹木管理を実施する。