デブラジオ新 NY 市長の都市/住宅政策(1)

デブラジオ新 NY 市長の都市/住宅政策(1)
古本不動産ニューヨーク・エヴァンス山中容子
3月に毎年1回行われる NY の建物オーナーを対象とした定例会に参加いたし
ました。
NY の不動産を保有しているオーナーにとって、建物定期検査基準、ボイラー
検査基準、レントコントロール、レントスタビライズド、新開発地区の発表、
固定資産税、などありとあらゆる情報源が集結し、配管、エコエネルギー、テ
ナントマネジメント、電気、屋根、お水など最新の建物技術を誇る業者が一同
にあつまる定例会は大きなお祭りさながらでした。
私自身も顧客の保有ビルを管理するにあたり、このような機会には必ず参加
し、基準に逸れないよう、アンテナを張っています。多くの不動産オーナーは
今年誕生したデブラジオ市長は果たしてブロンバーグ市長の推進してきた、マ
ンハッタンの数多くのプロジェクト、税務体制を改革するか、推進するかに注
目しておりました。
デブラジオ政権は10年プロジェクトとして低所得者用の住宅の建設を増や
すとともに、マンハッタン地域全域の治安対策、開発を推進することで、世界
中の観光客が安心して通年訪れることのできる街つくり、ビジネスを誘致でき
る街つくりと目指すと発表いたしました。
長年不動産オーナーと市の間で摩擦があった、歴史的建造物指定区域、工事
許可の問題についても触れました。マンハッタン同地域に指定された区域内に
ある建物は増設、改装、建て直し、に関し厳しい規定が定められており、歴史
的建造物保安委員会の審査をとらなければ、何もすることができない、その審
査だけでも6ヶ月以上かかる、などオーナーにとり頭の痛い問題でした。建築
工事一般についても、施工許可が下りるのに数ヶ月かかるなど、建物をきちん
と管理したい、綺麗に改装したい、建て直ししたい、などのオーナーの意欲を
多いに削ぐ、劣悪な環境でした。
デブラジオ政権は不動産オーナーは我々の敵ではなく、パートナーであると
認識し、よい関係を作り上げたい。そのためのサポート体制をつくり、迅速な
対応をしていきたい、と発表いたしました。
今までは敵視さながらの不動産オーナーに対する政策は改善に向かうという
約束のもと、デブラジオ市長側近の不動産担当者のメールアドレスが配られ、
オーナーとしてのご意見を聞かせてほしい、とかなり積極的でした。
アッパーイーストやウエストなど裕福層の地域だけが、優遇され、治安や、
経済の面で半ばほったらかしにされていた、アッパーマンハッタン、ハーレム、
ロウアーイーストサイドなどもすでに開発が始まっています。
マンハッタンは世界中の投資家が注目する“不動産安全天国”が名実ともに
実現するか、大いに期待したいところです。
以上