1) 聖路加国際病院予防医療センターに おける超音波併用検診

特 集
Women’
s Imaging 2016
Breast Imaging
Vol.11
さらなる精度向上に向けた
乳がん画像診断 の 最新動向
Ⅱ 超音波検診の最新動向
‌
3.超音波併用検診の実際 ─実施施設からの報告
1)‌聖路加国際病院予防医療センターに
おける超音波併用検診
向井 理枝* 1 / 鈴木 咲子* 1 / 小山 智美* 2
森下恵美子* 2 / 角田 博子* 2
* 1 聖路加国際病院臨床検査科 * 2 聖路加国際病院放射線科
超音波(以下,US)検診は,乳がんの
のの技師がレポートを作成してカテゴ
触子(18 〜 5 MHZ)を 2 台使用している。
死亡率減少効果が証明されたモダリティ
リーを記載する。後日,読影医が MG
現在は臨床検査技師 12 名が検査を担
ではないが,その簡便性や検出率の高さ
と US の静止画を個別にカテゴリー判定
当しており,そのうち 1 日あたり 4 名が
から広く普及している。任意型検診では,
し,さらに両方のモダリティを合わせて
交代で検査に当たる。US 検査の件数は
マンモグラフィ(以下,MG)と US を使用
総合的に判断して,最終的なカテゴリー
1 日の上限を設けており,1 名の US 技師
している施設も多い。両方のモダリティを
判定を行う。読影は超音波ガイドライン
が連続して検査に携わる時間は最長で
使用するに当たっては,それぞれを別に取
およびマンモグラフィガイドラインを用い,
3 時間半程度,その間に 12 〜 16 件程度
り扱う独立判定よりも,総合判定により
日本乳腺甲状腺超音波医学会(以下,
の検査を施行している。
効率的に判定できることがわかってきてお
JABTS)による総合判定基準 2)を考慮
US 技師 12 名のうち,11 名は超音波検
り,2015 年には総合判定マニュアル も
して総合判定を行っている。
査士の表在領域,もしくはJABTSあるい
1)
作成された。総合判定には同時併用方式
と分離併用方式がある。当施設は同時併
用検診を施行しており,その実際と成果
や課題について報告する。
当施設における乳がん検診
2.MG 検査の環境
2004 年からフルデジタルマンモグラフィ
(F F D M)の装置 2 台を用いて検診を
行っているが,2012 年に 1 台をトモシン
セシスが可能な GE 社製“SenoClaire”
に,
もう1台を富士フイルム社製「AMULET」
は精中機構の認定を取得している。現時
点では,2 名が精中機構主催の超音波従
事者のための MG 読影の認定を取得して
いる。
4.‌同
時併用検診における‌
US 検査の流れ
当施設の乳がん検診は,人間ドック
に更新した。
U S 検 査の大まかな流れを 図 2 に示
のオプションとしての任意型検診である。
MG は診療放射線技師(以下,MG 技
す。当施設では,US 単独と併用の受診
1999 年に MG を開始し,2002 年に US
師)の女性 9 名が交代で担当しており,
者が混在して検査に来るため,まず施設
を導入した当初から,MG と US の両方
そのうち 2 名で 1 日 40 〜 60 名の受診者
内の検査誘導システムなどから同日 MG
を希望する受診者には同時併用による
に対し,MLOとCC の 2 方向撮影を行っ
の有無を確認する。併用の場合は,受
総合判定を行ってきた。過去 5 年間,
ている。2 名のうち,少なくとも 1 名は日
診者を呼び入れる前にデスクトップ型パ
年間 MG 受診者約 1 万 2000 名,US 受
本乳がん検診精度管理中央機構(以下,
ソコンのモニタ(22インチワイド型,解像
診者約 9500 名,併用受診者約 4000 名
精中機構)の A 認定者とし,撮影後の
度 1680 × 1050 ピクセル)で,PACS の
で推移している。
カテゴリー判定を一緒に行う。
MG 画像(MLO 撮影と CC 撮影)を参照
1.検診方法
3.US 検査の環境
する。MG の参照時間は平均で 1 分程度
である。適宜 MG および US の過去画像
当施設での併用検診の流れを図 1 に示
U S 診断装置は,2007 年 11 月から
やレポートも参照する。検査の基本操作
す。MG は US を施行する前に撮影し,
日立メディコ社(現・日立製作所)製
は併用も US 単独と同じように施行する
US 検査を担当する臨床検査技師(以下,
「E U B - 7 5 0 0」と 電 子 リニア 探 触 子
が,MG で何らかの所見があると判断し
US 技師)は MG 画像を参照した後に検
(13〜7 MHz)
,2016 年 5月からは日立製
た場合は対応部位を注意深く観察して
査を開始する。検査終了後は,おのお
作所製「ARIETTA 60」と電子リニア探
静止画を撮像する。検査の所要時間は,
16 INNERVISION (31・8) 2016
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