完全実施に向けて 今後の移行措置スケジュール

教育課程研究集会資料
平成23年8月
新学習指導要領の完全実施に向けて
テーマ1
完全実施に向けて
中学校保健体育部会
徳島県教育委員会体育健康課
今後の移行措置スケジュール
小学校
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
移行措置
移行措置
完全実施
完全実施
完全実施
中学校
移行措置
学習指導要
領告示
非単純分析的作業
非単純相互作用的作業
第1学年102時間 第3学年105時間 第5学年90時間
第2学年105時間 第4学年105時間 第6学年90時間
移行措置
移行措置
全学年90時間
高等学校
職能需要の変化
PISA学力調査OECD教育局指標分析課長 アンドレア・シュライヒヤー教授
完全実施
完全実施
全学年105時間
移行措置
移行措置
移行措置
単純手作業
単純知的作業
求められる
学力の変化
第1学年102時間
第2学年105時間
【求められる学力】
学年移行
時間数の
変更はなし
学校の判断により、教育課程の全部又は一部を新学習指導要領によることも可能
知識を活用できる力
課題に直面したときに乗り切る力
1
◆OECD生徒の学習到達度調査(PISA)の結果から
2000年
平成12年7月調査実施
翌年12月公表
読解力 全参加
〈フィンランドに次
ぐ上位グループ〉
〈OECD平均と
同程度〉
〈OECD平均と
同程度〉
8位/32
14位/32
15位/32
12位/30
15位/30
8位/28
数学的 全参加
10位/57
6位/30
8位/65
5位/34
〈上位グループ〉
有意差なし
9位/65
4位/34
〈上位グループ〉
〈上位グループ〉
〈上位グループ〉
〈上位グループ〉
2位/32
2位/41
6位/57
5位/65
2位/28
2位/30
3位/30
有意差なし
リテラシー
2006年
調査の
中心分野
4位/30
有意に低下
全参加
国・地域
OECD
加盟国
1位/28
6位/41
有意に低下
科学的
1位/32
〈OECD世平均より
高得点グループ〉
〈上位グループ〉
有意差なし
国・地域
OECD
加盟国
〈上位グループ〉
有意差なし
リテラシー
2003年
調査の
中心分野
〈上位グループ〉
有意に上昇
国・地域
OECD
加盟国
平成15年7月調査実施 平成18年6、7月調査実施 平成21年6、7月調査実施
翌年12月公表
翌年12月公表
翌年12月公表
有意に低下
2000年・
2009年
調査の
中心分野
2009年
2006年
2003年
2位/34
我が国の子どもたちの学力と学習の状況
◆平成22年度全国学力・学習状況調査の結果から
○ 小学校第6学年、中学校第3学年の児童生徒(約4万人)が対象
(抽出率約30%)
○ 対象教科は国語、算数・数学、「知識」と「活用」(知識・技能等を実生活の
様々な場面に活用する能力など)に関する問題を出題
教 科に関する調査の結果
○「活用」に関する問題で、記述式
問題を中心に課題が見られる。
○各設問を個別に見ると、「知識」
に関する問題においても継続的
な課題が見られる。
○中学校調査のうち、19年度調査
を踏まえた問題において、小学
校調査から引き続き課題が見ら
れものがある。
児童生徒質問紙の結果
○算数・数学の勉強が好
きな小・中学生の割合
が21年度と比低い。
○関心・意欲・態度,宿題,
基本的生活習慣等の多
く の項目で肯定的な回
答しをした小中学生の
割合が高くなっている。
体育の課題とは
テーマ2 体育科の改訂の内容
○運動する子どもとそうでない子どもの二極化
傾向
○子どもたちの体力の低下が依然として深刻
○生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の
育成が十分に図られていない例も見られる
○学習体験のないまま領域の選択をしている
のではないか
2
生涯にわたって親しむ資質や能力育成のため
に体育で提供する内容は
体育科・保健体育科の改善方向性
体育科、保健体育科について、その課
題を踏まえ、生涯にわたって健康を保
持増進し、豊かなスポーツライフを実現
することを重視し改善を図る。
合理的・意欲的な運動実践
身体能力
(できる)
態 度
(身に付く)
思考力・判断力
(活用する)
知 識
(わかる)
生涯にわたって、末永く運動に
親しむ人を育成
注2)
(中央教育審議会「健やかな
体」専門部会資料)
■授業づくりの方向
体育科・保健体育科の目標の改訂
学力の重要な要素
(学校教育法第30条第2項)
「運動の楽しさ」を吟味し,その楽しさのために,「何を,どのように身に付けていく
必要があるのか」を追究する。
課題を達成することが楽しい
楽しさの追求
運動することが
楽しい
小学校 中学校 高等学校
①基礎的・基本的な知識・技能の習得
②知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等の育成
③学習意欲の向上
現行学習指導要領
新学習指導要領
運動に親しむ資質
や能力
生涯にわたって運動に親
しむ資質や能力の基礎
生涯にわたって運動に親
しむ資質や能力
積極的に運動に
親しむ資質や能力
計画的に運動に
親しむ資質や能力
生涯にわたって豊かなス
ポーツライフを継続する資
質や能力
指導内容の明確化
生涯にわたって,運動と豊かに関わっていくことを強調
3
指導内容の体系化
小学校
3・4年
各種の運動の基
礎を培う時期
5・6年
1・2年
3年
多くの領域をしっか
り学習する時期
体つくり運動
年間授業時数
高等学校
体つくり運動
入学
年次
次の
年次
それ
以降
自分にあったスポーツ
選びを深める時期
体つくり運動
器械・器具を使っ
ての運動遊び
器械運動
器械運動
器械運動
器械運動
器械運動
走・跳
の運動遊び
走・跳
の運動
陸上競技
陸上競技
陸上競技
陸上競技
水遊び
浮く・泳ぐ
運動
水泳
水泳
水泳
水泳
表現・リズム
遊び
表現運動
表現運動
ダンス
ダンス
ダンス
ゲーム
ゲーム
ボール運動
球技
球技
球技
武道
武道
小学校の運動領域を6領域に
保健領域
豊かなスポーツライフ
1・2年
中学校
武道
体育理論
体育理論
保健分野
科目保健
体育分野改訂のポイント
○発達段階のまとまり(結果として4-4-4)を
考慮し て、系統性を重視。
○「武道」「ダンス」の必修化。
○第3学年では、「体つくり運動」「体育理論」を
除き選択とする。(選択は3年から)
○各運動領域について、具体的な指導内容を
明示
○「球技」については、「ゴール型」「ネット型」
「ベースボール型」として、類型で規定。
○「体育に関する知識」を「体育理論」に改めた。
○年間授業時数が105時間(週3時間)
○3学年で、体育分野は267単位時間程度
保健分野は48単位時間程度を配当
○体育分野の内容の
「体つくり運動」は各学年で7単位時間以上、
「体育理論」は各学年で3単位時間以上
を配当
保健分野改訂のポイント
○二次災害によって生じる傷害に関する内容、
医薬品に関する内容を扱う (第2学年)
○思考力、判断力を育成するため,実習や実
験などの指導方法の工夫を行う
○応急手当には心肺蘇生法があること示した
(第2学年)
○医薬品は正しく使用すること (第3学年)
4
体つくり運動
各領域では
1・2年(必修)
体ほぐしの運動
体力を高める運動
3年(必修)
体ほぐしの運動
体力を高める運動
・各学年7単位時間以上を配当
・技能の評価はしない(だから運動)
・準備運動ではなく、単独単元として指導
体育理論
1・2年(必修)
3年(必修)
(1)運動やスポーツの多
様性
(1)文化としてのスポーツ
の意義
(2)運動やスポーツが心
身の発達に与える効果
と安全
・各学年3単位時間以上配当
器械運動
1・2年(必修)
ア マット運動
イ 鉄棒運動
ウ 平均台運動
エ 跳び箱運動
3年(ア~エから選択)
ア マット運動
イ 鉄棒運動
ウ 平均台運動
エ 跳び箱運動
(2年間でアを含む2選択)
器械運動・陸上競技・
水泳・ダンスから1以
上選択
5
水泳
陸上競技
1・2年(必修)
ア 短距離走・リレー、長距離
走またはハードル走
3年(アおよびイのそれぞ
れから選択)
ア 短距離走・リレー、長距離
イ 走り幅跳びまたは走り高
跳び
(2年間でアおよびイのそれぞ
れから選択)
走またはハードル走
イ 走り幅跳びまたは走り高
跳び
器械運動・陸上競技・
水泳・ダンスから1以
上選択
1・2年(必修)
ア クロール
イ 平泳ぎ
ウ 背泳ぎ
エ バタフライ
3年(ア~オから選択)
ア クロール
イ 平泳ぎ
ウ 背泳ぎ
エ バタフライ
(2年間でアまたはイを含
む2選択)
オ 複数の泳法またはリ
レー
器械運動・陸上競技・水
泳・ダンスから1以上選択
球技
1・2年(必修)
ア ゴール型
イ ネット型
ウ ベースボール型
(2年間でア~ウまでのす
べてを選択)
3年(ア~ウから2選択)
ア ゴール型
イ ネット型
ウ ベースボール型
球技・武道から1以上
選択
武道
1・2年(必修)
ア 柔道
イ 剣道
ウ 相撲
3年(ア~ウから1選択)
ア 柔道
イ 剣道
ウ 相撲
(2年間でア~ウから1選択)
球技・武道から1選択
武道では、「地域や学校の特別の事情がある場合は、
替えて履修させることができる。
①地域に根ざしたもの ②学校として継続的な指導ができる ③安全上の配
慮がある ④ねらいや趣旨から逸脱しない ⑤指導計画を立てる
6
ダンス
1・2年(必修)
ア 創作ダンス
イ フォークダンス
3年(ア~ウから選択)
ア 創作ダンス
イ フォークダンス
ウ 現代的なリズムのダ
ンス
ウ 現代的なリズムのダ
ンス
テーマ3
言語活動と体育科の
授業について考える
(2年間でア~ウから選択)
器械運動・陸上競技・
水泳・ダンスから1以
上選択
【言語活動の基本的な考え方】
国内外の学力調査などから、思考力・判
断力・表現力等を問う読解力や記述式の
問題に課題が見られることなどがあった。
学力の重要な要素(学校教育法第30条第2項)
①基礎的・基本的な知識・技能の習得
②知識・技能を活用して課題解決するために
必要な思考力・判断力・表現力等の育成
③学習意欲の向上
言語に関する言葉の整理
言語 生活全般に使われる事項
言語に関する能力
知識と経験、論理的思考、感性・情緒等を基盤として、
自らの考えを深め、他者とコミュニケーションを行うた
めに言語を運用するのに必要な能力
全ての教育活動を通じて育成
言語活動 各教科等で取り組む「言語に関する能力」
を高める具体的な活動
教科の目標を実現するための手段として、言語
活動を充実する必要がある。
7
言語活動を整理する
(学習指導要領解説総則編 第五節教育課程実施上の配慮事項)
1生徒の言語環境の整備と言語活動の充実(第一章4の2(1))
(1)各教科等の指導にあたっては、生徒の思考力、判断力、表
現力等をはぐくむ観点から、基礎的・基本的な知識及び技能の
活用を図る学習活動を重視するとともに、言語に対する関心や
理解を深め、言語に関する能力の育成を図る上で必要な言語
環境を整え、生徒の言語活動を充実すること。
体育における学力の育成を考える
豊かな人間性
確かな学力
生きる力
課題解決能力の育成
○知識・技能を習得する学習活動
○これらを活用し課題を解決するために思考し、判断し、表現す
る学習活動
健康・体力
基礎的・基本的な知識や技能
豊かなスポーツライフ
思考力・判断力・表現力等の育成
言語に関する能力が基盤
思考は言葉で行うため、自分が表現できる言語の能力以上の
思考は生まれない。
改善の基本方針(体育)1.17答申より
【体育について】
体を動かすことが、身体能力を身につけるとと
もに、情緒面や知的な発達を促し、集団的活動
や身体表現などを通じてコミュニケーション能力
を育成することや、筋道を立てて練習や作戦を
考え、改善の方法などを互いに話し合う活動な
どを通じて論理的思考力をはぐくむことに資す
る。
体育への学習効果
言語活動の重視
体育科
保健体育科
言語活動の指導にあたっての具体的な方向
(1)知的活動(論理や思考)に関すること
ア 事実を正確に理解し、他者に的確に分かりやすく伝えるこ
と
・・・・・
教え合い
イ 解釈・活用・説明、評価・論述により自らの考えを深めること
・・・・・ 学習カードへの記述、振り返り
ウ 考えを伝え合うことで、自らの考えや集団の考えを発展させること
・・・・・
作戦を立てる
(2)コミュニケーションや感性・情緒に関すること
ア コミュニケーションに関すること
自分の考えや他者の考えを整理して、互いに理解し合うことでよりよい
生活や人間関係を築くこと
イ 感性・情緒等に関すること
感じたことを言葉にしたり、心のこもった言葉を交流することによって一
層、育まれていくもの
8
言語活動に至るまでの学習活動
個人の内で行われ
る言語活動
他者に対して表現さ
れる言語活動
個人の外に出され
る言語活動
課題を考える
自分の考えを練り
直す
思考・判断
自分の考えを
表現する
考えを書き留める
練り直した考えを
書き留める
最終的に表現する
体育における言語活動の課題
ゲームの作戦に時
間をたっぷりとる
振り返りのための記載
に時間をたっぷりとる
教え合いの活動を
位置づけるが・・・
課題1 話し合うことや書くことが無くなり、時間をもて余す
課題2 何を教えてよいのかわからず、形式的な学習
課題3 運動に従事する時間が減少
言語活動の量ではなく、質が重要
(鳴教大附属中学校)
■言語活動を充実させるための基本
体育と言語活動
体育では,目標を達成するために「言語活動」がとても重要
1)「運動しながら学ぶ」 → 運動量の確保
2)「量ではなく質」
①課題の明確化
・・・「動きの言語化」「動きのポイントの焦点化」「情報の発信と共有化」
のための明確な課題提示と適宜修正。
②情報の適切さ
・・・思考の前提となる適切な情報のタイミングや量。
③楽しい教材,わかりやすい教材
・・・自分から話したくなる,教えたくなる。
④喜びや感動のある授業づくり
・・・自然に声が出る。
3)「形式からではなく内容から」
「教え合う」時間を設けるより,「特性にふれる楽しさ」を味わわせ,自然と生徒から
言葉が生まれるような授業づくりに努める。
○体育にとって、言語活動は深い関係
○体育の目標の実現のための手段として
充実を図ることが必要
○言語に関する能力は、全ての教育活動
を通して育成するもの
○体育では、運動の楽しさが十分味わえ
る授業づくり(=感性や情緒)が言語が活
動の基盤
9
学習評価とは
テーマ4
評価について
学習評価は何のために行うか?
生徒 生徒一人ひとりのよさや可能性を積極的に
評価し、豊かな自己実現に役立つようにする。
自分が何ができ、何が不十分なのか、今ある課題の
解決方法を理解できるとともに、次に行う学習に意欲
を持って取り組めるようにするために評価は行われる。
教師 生徒の学習状況を把握し、指導方法を振り返り、
よりよい指導に役立てる。
学習評価の大きな役割は、生徒の『自己理解の援助』
にある。
*生徒が何をどのように身につけている
か。
*どのような点でつまづき、困難を感じて
いるか。
*解決・改善をするためにはどのような指
導や支援をしていけばよいのか。
観点別学習状況の評価
体育
保健
関心・意欲・態度
関心・意欲・態度
思考・判断
思考・判断
運動の技能
知識・理解
知識・理解
評価のための評価にならないように
10
保健体育科学習評価の現状
円滑に実施できている(小)
・関心・意欲・態度
84%
・思考・判断
59%
・技能
96%
・知識・理解
78%
円滑に実施できている(中)
・関心・意欲・態度
92%
・思考・判断
59%
・技能
92%
・知識・理解
83%
小中の教員ともに、思考判断の評価に課題を
感じている
関心・意欲・態度の評価
*観点の特徴
日々の観察の積み重ねが必要。客観的に評価か
をするために、生徒の言動、文字記述等により、総
合的に判断。
*具体的な内容
興味・関心・学習意欲・学習への取り組み姿勢・態度
*標記例
体育 ~しようとする
保健 ~しようとしている
ある特定の時間のみの評価はさける
思考・判断の評価
*観点の特徴
課題解決的な学習を行う課程で培われていく。
*具体的な内容
学習状況の把握、課題発見と設定、課題解決
への計画や方法の工夫、学び方の習得と実
践、自己評価や相互評価での判断力等
*標記例 ~している
生徒同士が互いに考え、発表しあう場を意図的・計画
的に組み込む。→ 言語活動
知識・理解の評価
*観点の特徴
自ら体験して、実感を持って学ぶことにより、
学習や生活に生きて働く。
*具体的な内容
運動の特性の理解、運動技能の知識や理解
運動の保持増進の知識、安全に関する知識
運動のルール、ゲームの進め方
*標記例 ~している
知識を生きて働く形にして表現する学習活動を多く取
り入れ、様々な角度から評価する。
11
運動の技能の評価
*観点の特徴
教師の指導の下、経験した中から身につけた「技能
」、課題解決的な学び方やものの考え方から体得し
た技能を評価する。
動きの「量」よりも「質」を観察する。
*具体的な内容
個人的技能、集団的技能、体力を高めることができ
る技能等。
*標記例 ~できる
どうすればできるようになるかと言うことを、教
えることが大切
評価規準の作成
「十分満足できると判断できる」状況のうち、特
に程度が高いもの(A○)
「努力を要すると判断される」状況のうち特に程
度の低いもの(C△)
どの程度の実現状況とするのか明らか
にしておく必要がある
どのように作成するのか?
①目標の設定
②評価規準の作成
(すべての生徒における「基礎・基本」、学習活
動がイメージできるように作成、生徒の実現、
習得すべき内容は何かを観点別に表す。)
③「おおむね満足できる」と判断される状況(B)
の確認
④評価規準の工夫・改善(繰り返す)
12