農業ICT技術を活用して 水田作業を効率化

グリーンレポートNo.566(2016年8月号)
現地レポート
農事組合法人 舘合ファーム(秋田県)発
青森県
農業ICT技術を活用して
水田作業を効率化
秋田県
横手市
岩手県
山形県
宮城県
秋田県横手市にある農事組合法人 舘合ファームは水
気温
(℃)④湿度
稲、飼料用米、すいかを生産する農業法人で、JAの組
(%)を確認するこ
合員の後継者である若手4名が中心となって農作業を行
とができる水田水
っている。今後規模拡大することを検討しており、作業
位管理システムで
計画など効率のよい運営方法を確立したいと考えている。
ある。データは10
そこで、JAあきたふるさととJA全農あきたから提
分ごとに記録され、
案のあった生産管理システム「agrinote(アグリノー
クラウドサーバー
ト)
」と、水田センサ「PaddyWatch(パディウォッ
に送信される。指
チ)
」
」を導入して、作業の効率化・省力化に向けて新た
定したメールアド
な取り組みを始めた。
レスにCSV形式で出力したファイルを送信すれば、過
▲水田センサを設置して水位の変化を調べる
去のデータを確認することもできる(図−1)
。
「アグリノート」
を活用して圃場を管理
5
「アグリノート」は、衛星写真を使って、圃場管理を
水位変化
︵㎝︶
はじめ作業内容、作業時間、使用した肥料や農薬などを
記録できるシステムである。記録したデータは、パソコ
ンだけでなく、タブレット端末やスマートフォンの専用
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2
1
日
15
6月
日
13
6月
日
日
11
6月
6月
6月9日
6月7日
6月5日
い、圃場ごとの管理を開始した。日々の入力はパソコン
6月3日
0
舘合ファームでは、今年3月から「アグリノート」を使
6月1日
アプリでも活用することができる。
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を利用している。パソコン入力でも、並行して行った農
図−1 水抜けする圃場の水位変化(2016年)
作業の記録を結果として残す場合は手間がかかることも
舘合ファームでは、水持ちが悪い圃場と、水持ちが良
ある。この生産管理システムは、従業員に作業指示を出
い圃場に水田センサを設置して、担当者が水位の変化を
す際、その日に
スマートフォンで確認している。水田センサで収集した
作業を行う圃場
過去データを振り返ると、見回りした際の記憶と、セン
を航空写真上で
サが感知した水位のデータがほぼ一致しているという。
確認することが
また、水位のデータに加え、気温のデータも収集できる
でき、スマート
ため、積算温度を算出することで、近隣圃場で栽培して
フォンのGPS
いるすいかの収穫適期を推測できるのではないかと期待
している。
機能で自分がい
る現在地を確認
▲舘合ファームの事務所
★
しながら目的地へ行くことができる。一方で「
『アグリノ
舘合ファームでは、生産管理システムや水田センサを
ート』の機能面を改善し、より使いやすく改良していく
活用した取り組みはまだ始まったばかりである。今後は、
ことが必要がある」という意見があがった。
これらのデータを使って次年度への作付計画にどのよう
に反映させていくのかを検討していく。
「パディウォッチ」
で水位や気温を確認
「アグリノート」
「パディウォッチ」の実証試験は他県
「パディウォッチ」は、水田センサを設置してタブレ
でも行われている。それらの取り組みについても、今後
ット端末、スマートフォンに「PaddtWatch」アプリを
本誌で紹介していく予定である。
インストールすると、圃場の①水位
(㎝)②水温
(℃)③
【全農 営農販売企画部 アグリ情報室】
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