大学の物理学科で学ぶこと

大学の物理学科では何を学ぶのか?:伊藤 優汰
ここにいる高校生の皆さんの中に大学の物理学科に進学したいと考えてる方がい
るかどうかはわかりませんが、私からは大学の物理学科で学生は何を学ぶのかについ
てお話ししたいと思います。
まずそもそも物理学科とは、その名の通り高校でもおそらく授業の科目として存在
しているであろう「物理学」について高校以上に専門的に学ぶための学科なのですが、
もう少し具体的に高校の「物理」と比較したいと思います。大阪大学では 3 年生にな
ると高校物理では詳しく扱わない「量子力学」や「統計力学」、またその後にさらに
専門的な「物性物理学」や「原子物理学」などの講義もありますが、先程述べた”専
門的に学ぶ”という部分を端的に示していると思います。その他にも、これは私が大
学に入学して力学の講義を受けた時、最初は力学の講義を受けているはずなのに数学
の講義を受けているみたいだ、と感じたことがあります。というのもその講義では最
初に物理で使う計算の手法などから勉強し始めたためでした。これは単なる個人的な
印象で、もちろん高校の物理でも数学は必須ですが、大学の物理学ではさらに高度な
数学的技法を用いることで、力学にしても電磁気学にしてもより一般的な記述ができ
るようにします。
ここまでで述べたのは高校物理と大学の物理学科目との内容の違いについてでし
た。正直な話、物理学科を目指す高校生の方々なら私が説明するまでもなくご存知の
内容だったかもしれません。次は大阪大学物理学科 3 年で行う物理学実験を通して学
んだことについてお話しようと思います。ここで話す物理学実験というのは各テーマ
について実験を行い、データを解析して物理現象について考察する物理学科の科目な
のですが、これは後々物理学を研究する際に基礎となる技術のようなものを学ぶ科目
です。大学の物理学科とは物理の理論を学ぶだけでなく、それを踏まえて研究を行う
ことも見据えて重きを置いているのが、この科目が必修科目になっている点からもう
かがえます。
では具体的に何の練習になったのかということですが、実験では当然得られた結果
について何故そうなったのかを考察します。ここまでは高校までの実験と変わらない
と思いますが、違ったのは予想されてた結果にならないことも多くあったことでした。
この場合も何故予想していた結果と差が出たのかについて考える必要があります。実
験を通してこのように実際に得られた結果について自分で悩みながら考察し、教授の
方々と議論したことで、どういった方向から問題にアプローチしていくのかを試行錯
誤できたことは自分の研究を始めた際にもプラスになる要素の 1 つなのではないか
と思います。これ以外にも実験結果と考察をまとめることは自分の研究の論文を書く
際にプラスになると思います。
最後にまとめると大学の物理学科というのは専門的な物理学を学ぶだけでなく、先
程述べたように、研究する時の基礎となる技術を学ぶ場所だと考えています。