2 月 4 日(木) ◆10:00~12:00 グループ C-② 地域若者の劇場人人材育成―大都市・都市・地域の交流・連携で地域発信 ◆13:00~15:00 グループ D-① 生き続ける日本語、身体観の「口上と笑い」の芸能 ―地域若者の劇場人人材育成を探る 自治体及び公共ホールにおける<伝統芸能の展開>を通して 伝統芸能プロデューサー 小野木豊昭(古典空間) ◇ ⇒ 今なぜ「伝統芸能」なのか? 2020 年東京オリンピック、第4次基本方針・・・あくまで契機の一つ 現代日本の文化事情・・・日本文化及び地域への「アイデンティティ」の体感、その機会創出の意義 と必要性 ◇ ⇒ 他 「伝統」及び「古典」の意味と意義の再考 = 国民的“共有”事項 「時を経ても、風土や言葉が異なっても、受けとめた人々の胸に響き、明日の糧に昇華するもの」 ・・・ゆえに事業として、より積極的に取り組む必要があるのではないか? ◇ ⇒ 「伝統芸能」とは? 何をイメージするか? ・・・様々なジャンルの存在の認識、その知識・情報と現状の把握 各ジャンルに時間をかけて丁寧に取り組む必要性 ・・・行政の文化事業ゆえに果たせる役割 芸能の上に「伝統」 「古典」と“冠”がある意味とは? ・・・一般の音楽、演劇、舞踊ではないのか? ◇ 「伝統芸能」展開の現状 ⇒ ジャンルに対する情報、各ジャンルの展開方法 ・・・未整理のまま“場当たり的”に対応 落語、歌舞伎、能・狂言など、理解の及ぶ範囲、また知名度の高い出演者が中心の“買い公演” が未だに主流 ◇ 現代的展開 ・ …… キックオフに向けて ジャンルを絞り込む ⇒ ウチはこの芸能! 先ずは「あるもの探し!(地域自慢) 」 伝統芸能と民俗芸能は一体 ・・・劇場系伝統芸能のジャンルを選定し数年間向き合う方法も――拠点館の形成 ・ 目標値と継続 ⇒ この地域が、伝統文化と共に「かくありたい!」 ・・・その“絵(輪郭) ”を明確に描き、実現までの目標期間を設定し、継続的に実践する ・ 情報収集 ⇒ 向き合うジャンルの知識と制作上の情報収集 ・・・目標 = 自らプロデュースと制作を行う/アドバイザー、コーディネーター等の活用 ・ 地域との連携 ⇒ 「地域の伝承者や実演家」、 「教育現場」といかに連携するか? ・・・連携の有無こそ、目標設定と方向性の「ズレとブレ」を測る目安 ・ 対象(世代等)と、地域ごとに異なる方法 ⇒ 世代や地域の特徴や独自性を反映した方法の模索と丁寧な積み上げ ●オリンピック憲章 <オリンピズムの根本原則> 1. オリンピズムは人生哲学であり、肉体と意志と知性の資質を高めて融合させた、均衡のとれた総体としての人間を 目指すものである。スポーツを文化と教育と融合させることで、オリンピズムが求めるものは、努力のうちに見出さ れる喜び、よい手本となる教育的価値、社会的責任、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重に基づいた生き方の創造 である。 <第 5 章> オリンピック競技大会 Ⅰ. オリンピック競技大会の開催、組織と運営 39. 文化プログラム OCOG は、短くともオリンピック村の開村期間、複数の文化イベントのプログラムを計画しなければならない。 このプログラムは、IOC 理事会に提出して事前の承認を得るものとする。 ※ IOC 国際オリンピック委員会、OCOG オリンピック競技大会組織委員会 ●文化芸術の振興に関する基本的な方針(第4次基本方針)より <我が国が目指す「文化芸術立国」の姿> (2) 全国の地方公共団体、多くの文化芸術団体、文化施設、芸術家等の関係者により、世界に誇る日本各地の文化力を 生かしながら,2020 年東京大会を契機とする文化プログラムの全国展開等がなされている。 地域と連携した事業の実例 ①「カナガワ リ・古典プロジェクト」 主催:かながわの伝統文化の継承と創造プロジェクト実行委員会(神奈川県文化課) 「カナガワ リ・古典プロジェクト」は、地域の「たから」である文化遺産を新しい発想で活用するこ とで、現代を生きる文化芸術として“再(=Re)”発信し、伝統文化の魅力を一人でも多くの方に体感し て頂くことを目指している。 神奈川県が、文化庁の文化芸術振興費補助金(文化遺産を活かした地域活性化事業)を得て実施。 単年度助成ではあるが、本年度で3回目を迎えた。 *平成25年度 カナガワ リ・古典プロジェクト 2013 in 紅葉坂 「西洋文化流入の地」横浜を舞台に設定。神奈川県、(公財)神奈川芸術文化振興財団、(公財)横浜市 芸術文化振興財団と所轄はそれぞれ異なるが、紅葉坂にある神奈川県立青少年センター、神奈川県立音 楽堂、横浜能楽堂の3施設が連携して各施設の特徴を活かした企画を実施。 ・鎌倉武士をテーマにした能「鉢木」を、鎌倉に拠点を置く観世流シテ方 中森貫太と、神奈川フィル ハーモニー管弦楽団によるコラボレーションで上演。 ・神奈川ゆかりの「金太郎伝説」を、神奈川県在住の義太夫節・人間国宝 竹本駒之助の素浄瑠璃や、 相模人形芝居の一座による新作人形浄瑠璃の上演など。 *平成26年度 カナガワ リ・古典プロジェクト 2014 in 江の島「江の島まうで 舞をどり」 神奈川県の「海」の文化遺産を象徴する江の島を拠点に展開。藤沢市、江ノ島電鉄㈱、江島神社などの 協力を得て、江の島全島で実施。参道でのパフォーマンスやレクデモ、頂上の灯台下ウッドデッキに特 設ステージを設けて、神奈川県内に伝承される諸芸能や能「江野島」を、コンテンポラリーダンサーた ちのパフォーマンスで紹介(演出:白神ももこ、舞台美術:杉山至)。神奈川県指定無形民俗文化財の「相 模のささら踊り」を基にした白神の振付による「相模のささらダンス・江の島 version」を出演者、来場 者全員で踊る。桜美林大学演劇専修の学生たちによるプレイベントや講座なども実施。 *平成27年度 カナガワ リ・古典プロジェクト 2015 in 大山「大山まうで 舞をどり」 本年度は、神奈川県の「山」の文化遺産・大山にスポットを当てて展開。伊勢原市、小田急電鉄㈱、大 山観光振興会、地元の団体などの協力を得て、大山信仰を象徴する大山阿夫利神社の社務所境内にある 能舞台で、 「相模のささら踊り」をはじめとする神奈川に広く存在する様々な芸能や、大山参りを扱った 日本舞踊「山帰り」 (立方:藤間蘭黄)なども採り込みつつ、神奈川県出身の演出家・杉原邦生の演出に より俳優たちが芝居仕立てで紹介。最後は、昨年に引き続き白神ももこの振付で「相模のささらダンス 大山 CLUB version!!」を出演者、来場者全員で踊る。 その他各種ワークショップ・講座や「スイッチ総研」による街歩き企画なども実施。 ②「とやまのたから 2015 砺波×黒部」 主催:黒部市国際文化センター 後援:富山県、富山県公立文化施設協会 他 「富山県の貴重な文化遺産を県内外に広く紹介する」ことを目的に、富山県内の公共ホールが富山県公 立文化施設協議会と共同で実施。いわゆる民俗芸能大会とは一線を画し、芸能だけに着目する傾向を見 直し、芸能を生み育んできた「まち」にスポットを当てるというコンセプト。 「まち」を紹介する映像が 上映され、ロビーでは地域の物産の紹介や販売も。こうした文化を継承している「まち」そのものが“と やまのたから”であるという視点で企画立案し、事業担当者の皆様が制作にあたる。共同体に代わる地 域の「求心力」とは何かを模索する事業として根付く事を目指す。 ③「神楽坂まち舞台 大江戸めぐり 2015」 主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人 東京都歴史文化財団) 伝統と先端が融合する神楽坂で、神社仏閣、店舗から路上に至るまで「まち全体」を二日間にわたり、 同時多発的に日本の様々な伝統芸能で埋め尽くす伝統芸能フェスティバル。 本年度で 3 回目となり、 神楽坂の地元住民の方々と共に実施。伝統芸能を、世代を超えて多くの方に楽しくわかり易く紹介する とともに、昨年の第 3 回は海外からの観光客を含め約 2 万 5 千人以上の方が来場し、神楽坂の魅力にも 触れていただく「まちと人が一体になった祭」として注目されつつある。神楽坂を支えてきた地元の方々 の大きな協力のもと、若手からベテランまで、伝統芸能の第一線で活躍する様々なジャンルのアーティ ストが集結。 「伝統芸能の展開における機軸」 ・・・課題と未来に向けた提案 ■「いつも通り!」の実現 (→対インバウンドにも) 「いつも通り!」とは? 日本の、また各地域の伝統文化を"当たり前に”生活の一部とし、またある時は刺激として 明日を生きる糧とする・・・そんな価値観を持つ人々が暮らす日常が継続的に在る社会 ※一過性の“打ち上げ花火”(無形)⇒ 要・再考 ハコ物・施設拡充(有形)⇒ 要・熟考 「いつも通り!」の実現こそ 2020 年の“レガシー”ではないか? ■この地域だから、この会館だから できる、求められる事業展開とは? 伝統芸能の普及を求心力にした“アイデンティティ再構築”プロジェクト ~地域ゆえの物語を探す、創る、創り直す~ 共感 & 共有 継続的に着地点に向かう「仕組み」づくり 地域、行政、法律、制度、教育(学校)、人材・・・ 公共の文化事業こそ 今求められる<伝統文化 普及・振興>の最大のパートナーである
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