ICU-AW患者の横隔膜機能の検討

■ICU-AW 患者の横隔膜機能についての調査です。
Jung B, et al. Diaphragmatic dysfunction in patients with ICU-acquired weakness and its
impact on extubation failure. Intensive Care Med. 2016; 42: 853-61.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26572511
ICU-acquired weakness (ICU-AW) の重症患者の横隔膜機能について、横隔膜磁気
刺激、肺機能検査、横隔膜超音波を用いて評価した研究です。
2013 年にフランスの単施設で行われた前向き観察研究で、ICU-AW の評価は
MRC Score<48 点未満としています。横隔膜機能は、SBT 時に PPEP – PS 7cmH2O
で 20-30°頭部挙上の状態で実施されました。横隔膜磁気刺激時の気管チューブ
内圧の変化、最大吸気圧、超音波検査による横隔膜の筋厚の変化の 3 種類の評
価を行っています。
結果、48 時間以上人工呼吸器患者を行った 185 名のうち、MRC Score が 48 未満
であったのは 40 名で、そのうち横隔膜機能不全があったのは 32 名でした。最
大吸気圧と MRC Score は有意な相関を認めましたが、横隔膜磁気刺激時の気管
チューブ内圧の変化や超音波検査による横隔膜筋厚さの変化と MRC Score は相
関がありませんでした。本研究は ICUAW と横隔膜機能不全の関連を示した最初
の報告で、ICU-AW 患者の 80%で横隔膜機能不全があり、その半数は人工呼吸器
から離脱できず、死亡率は 50%でした。この研究では ICU-AW でない患者の横
隔膜機能を検討していないため、関連があるということを強く言うことは難し
いかと思いますが、今後も ICU-AW と横隔膜機能不全の関連を非侵襲的な方法
を用いて検討しながら、呼吸器離脱困難の患者に対してどのように介入し予防
ないし改善が行えるのか明らかにされることが期待されます。