『 社会保障 』 世界では新たな「富の再分配」の摸索が始まっている。ベーシックインカム (BI) とは、雇用の 状況にかかわらず、政府が全ての人に最低限必要なお金を配る制度だ。財政支出は膨らむが、 ムダが多い社会保障を整理でき、財政負担を減らすことが期待できる制度だ。労働意欲を削ぐとも いわれるが、生活の心配が無くなり 「創造的な仕事ができる」 との意見もある。背景にはグローバル 化や人工知能などの技術革新によって、賃金労働が失われ、社会保障が機能しなくなったり、 格差が広がることへの危機感がある。 社会保障の目的は、税金や保険料で集めたお金を、困窮した人に「再分配」 し、経済活動に よる所得の偏りを正すことだ。現在の日本のシステムは、現役世代が年金や医療、介護で高齢者を 支えるシステムになっている。人口が増加し経済成長があれば機能するが、バブル崩壊以降、中 間所得層の減少、 さらに人口の減少や、成長が見込めない経済では、そのシステムは崩壊して しまう。 高齢者にも現役世代にも格差が拡大しているのにその対応は後手に回り、再分配のシステ ムがうまく働かないまま多くの世帯が貧しくなってきている。その結果不思議なことに、非正規雇用 などの所得の低い若者たちが払う保険料が、豊かな高齢者に流れ貯蓄されている。国民健康保 険では、 お金に困るシングルマザーに子供の保険料まで負担させ、高齢者の負担割合は軽減され ている。 このように今の社会保険料は、 「逆進性」が強く、負担能力に応じた仕組みに改める必 要があると思う。冒頭のBIではないが、今後の我が国の社会保障の在り方を真剣に議論すべ き時期がきていると思う。 税理士法人 アミック 代表社員 「 推薦図書 」 『日本の15大財閥 ∼現代企業のルーツをひもとく∼ 』 著者 菊地浩之 日本で有名な15財閥の成り立ちとその後の歴史を紹介した本です。 『組織の三菱』、『人の三井』、『結束の住友』は日本を代表する有名な社風ですが、その他にも 有名企業の社風のルーツを発見できる一冊になっています。自分の組織はどの財閥の社風・風土 に近いか考えながら読んでいくのもおもしろいと思います。 また、創業家から始まる企業の家系図も書かれています。あの企業はあの企業と親戚同士で、 つながりが強いことを再発見できます。 長く続く企業には理由があります。企業風土が問われる時代に、自分自身は組織の ために何が出来るのかを考えさせられた一冊でした。 (文:福田泰秀) 当社サイトでは税制改正や各種セミナー情報、職員ブログ等の様々なコンテンツを取りそろえております。 http://www.amic- co. info是非ご覧ください!! 9 月号
© Copyright 2024 ExpyDoc