アイキャン会報64号 - 認定NPO法人 アジア日本相互交流センター・ICAN

アイキャン会報 「こどものこえ」2016 年 5 月号
2015 年 11 月~2016 年 4 月(2015 年度後期)を振り返って
アイキャンの活動の一つに、物品収集活動があります。私たちは、全国の皆様から集めた書き損じハガキや
未使用切手、古本等の物品を換金することで、各事業の活動資金に充てさせていただいています。
今から 10 年前の 2005 年、年間を通して集まるハガキや切手、商品券等の合計は約 8 万円分でした。2009 年
から収集活動の担当になった私は、身近にあるハガキや切手も、集まればこんなに大きな力になるということ
を、多くの人に知っていただきたくて、地域や企業、教育機関等をまわり、個人や法人に呼びかけました。当
時、
「そんな地道な活動で、社会問題を解決するなんて無理だよ」とよく言われたことを覚えています。活動を
進めて行く中で、新聞やテレビなどで取り上げていただいたり、学校や企業、団体等と連携したりすることに
よって、その収入は、2012 年度 約 200 万円分 、2013 年度約 380 万円分、2014 年度約 594 万円分へと増
ICAN 日本事務局
吉田 文
加させることができ、2015 年度は、約 1,000 万円分(集計中)のハガキや切手等をお預かりできるようになりました。
私たちは、このようなご寄付によって生まれた資金を活用し、フィリピンの紛争地や自然災害被災地での学校建設・修復、路上
の子どもたちの児童養護施設の建設、保健医療活動等を行ってきました。現地で子どもたちの笑顔や生活環境の改善を見る度、国
内外で応援してくださる一人ひとりの行動が、子どもの未来や地域を変える大きな力になっていることを実感します。私たちを信
じて、ご寄付を預けてくださった皆様のご期待にお応えできるよう、そのご寄付をお預かりした者としての責任を、これからもし
っかりと果たしてまいります。
さて、今期も、各事業地で幅広い活動を実施することができました。
「路上の子どもたちの事業」では、フィリピンのマニラ郊外
に建設した児童養護施設「子どもの家」に 6 名の子どもが入所し、元路上の若者が運営するカリエカフェでは、9 月からのプレオ
ープンを経て 3 月にグランドオープンを迎えました。また、
「紛争地の子どもたちの事業」では、これまで取り組んできたミンダナ
オ島での平和構築に加え、激しい紛争が続く中東のイエメンの人々に対する新規事業を開始しました。深刻な食糧不足に陥ってい
るイエメン国内で食料提供を行うと同時に、イエメンからの難民が数多くいる対岸のアフリカの国、ジブチの難民キャンプにて、
子どもたちの心のケアや衣類の提供を行っています。次のページ以降に詳細のご報告がありますので、ぜひご高覧いただけますと
幸いです。
このように活動を続けることができ、数多くの子どもたちの笑顔を作ることができているのは、応援してくださる皆様のおかげ
です。ご寄付をくださる皆様、ボランティアとして活動に参加してくださる皆様、アイキャンの活動を広げようと周囲への呼びか
けを続けてくださっている皆様に、心より感謝申し上げます。
特集 1:イエメン紛争下の子どもたちへの事業を開始
イラク
イラン
サウジアラビア
イエメン
ジブチ
~2015 年世界で最も多くの人々を住処から追い出したイエメン紛争~
イエメンは、2011 年に中東で「アラブの春」の嵐が吹き荒れてから、政治的に不安定となり、弱
い中央政府に対してホーシー派と呼ばれる地方の部族勢力が反旗を翻し、これに周辺諸国や大国の
思惑が複雑に絡みあい、2015 年 3 月から内戦状態が続いています。この紛争により、これまでに 250
万人にものぼる国内避難民が発生し、3 万人以上が紅海の対岸にあるアフリカのジブチ共和国に避
難してきました。2015 年、世界中で紛争によって住処を奪われた人の内、最も多くの人が、このイ
エメン紛争によるものとなっています。
(2 番目に多いのが、シリアでの紛争です。
)
~アイキャンの活動~
壊滅的被害のイエメン国内
アイキャンは、昨年 12 月にイエメンとジブチでの事業を立ち上げました。イエメンでは、これま
でに北西部のハッジャ州で食料提供を行っています。反政府勢力の拠点となっているサアダ州のす
ぐ南に位置するハッジャ州では、空爆や戦闘が激しさを増し、一般市民の住宅や病院、学校までも
が被害を受けたサアダ州から逃げてきた人々で溢れていました。テントも食料も枯渇する中、避難
生活を送っていた 1,143 家族に、小麦粉、米、油、砂糖、ミルクといった生存に必要な食料を届けま
した。
(参照:本会報「2015 年 12 月報告」
「2016 年 4 月報告」
、Facebook 等)
一方ジブチでは、イエメン難民が暮らすマルカジキャンプにおいて、
「子どもの広場」の運営を開
始しました。戦火の中、着の身着のまま逃げてきた子どもたちは、様々な形でストレスを抱えてお
イエメンでの食糧提供
り、普段は元気でも、飛行機の音を聞くと地面に身を伏せてしまったり、突然泣き出してしまった
りと、情緒不安定になっています。
「子どもの広場」は、こうした子どもたちの心の回復と将来のた
めに、スポーツやクラフト活動を行う場です。5~11 歳の子どもたちが、活動時間になると毎回 50
人ほど集まり、サッカーやお絵かきの他、長縄跳びや折り紙など、日本の子どもの遊びも時には織
り交ぜながら、活動しています。子どもたちは、ここで大人に見守られながら、安心して遊ぶことで
心の傷を癒し、ルールやマナーを守ることで社会性を身に付けていきます。
~活動後の変化~
ジブチでの子どもの保護活動
イエメン国内で食料を受け取った人々からは、笑顔が生まれ、これまでに「命を繋ぐ活動をあり
がとう」と多くの感謝の言葉を頂いています。ジブチの難民キャンプでは、
「子どもの広場」が子ど
もたちにとって心から安心できる場所となっており、スタッフがキャンプに着くと、笑顔で走り寄
ってきます。また、キャンプ内の大人たちからのこの活動は人気で、ボランティアで子どもの相手
をしてくれる若者やダンスを子どもたちに教えることを申し出る母親など、自らも困難な状況にあ
りながら、私たちと「ともに」活動することで子どもたちを守ろうとしてくれています。厳しい環境
下でも、子どもたちが健やかに育つよう、人々の命を守り、紛争で負った心の傷を癒していきます。
イエメン人のスタッフ
特集 2:フィリピンの 2 つの台風被災地で評価を実施
~レイテ島を襲った大型台風ハイエンから 2 年~
2013 年 11 月にフィリピン中部を襲った台風ハイエン(フィリピン名:ヨランダ)は、約 7,800 人
の死者・行方不明者を含む、約 1,600 万人の被災者を生み出しました。アイキャンは、被災直後よ
り、台風が上陸し、被害の最も激しい地域の 1 つであるレイテ島中部において、9,879 世帯への食
糧・衛生用品の提供、3,438 世帯の家の建設、125 教室の建設・修復等の事業を行ってきました。災
害発生後 2 年経過した今期、今後の効果的な活動を目指して評価を行いました。
評価では、最も多くの活動を展開したドゥラグ町の 16 村において、ランダムに抽出した 603 名の
住民と 15 校の先生に対し、聞き取り調査を行いました。その結果、現在もなお、多くのよい効果が
一人ひとりへの聞き取り調査
持続していることが分かりました。例えば、家の建設は、アイキャンが直接作るのではなく、地域住
民に大工の研修を行い、被災者の緊急雇用として行いましたが、その収入は、その時必要な追加の食
糧等の購入に使われるだけではなく、8 割もの世帯では、生計手段となる二輪車の修理をしたり、小
規模商店を開くなど、長期的な生活の再建に役立てられていました。また、建設に関わった当時の非
熟練工の 24%が、アイキャンの建設活動が終了した後、熟練工として他の建設現場で収入を得てお
り、研修による技術の習得が、長期的な生計の安定に繋がっていることが分かりました。建設した全
15 校において、教室は丁寧に維持管理が行われていたとともに、その内、9 校の PTA では、自らの
毎日掃除が行われている校舎
資金で新たにトイレを作る等の活動が自主的に行われていることが確認されました。
~サマール島を襲った大型台風ハグピートから1年~
台風ハイエン発生から約 1 年後の 2014 年 12 月、新たな大型台風ハグピート(フィリピン名:ル
ビー)がフィリピン中部を横断し、約 350 万人に大きな被害をもたらしました。アイキャンは、翌朝
より被害状況の調査を開始し、台風上陸地点で壊滅的被害を受けたサマール島のドロレス町におい
て、6,182 世帯に食糧や生活必需品を、そして 2,631 名の子どもに学用品を提供し、また 309 世帯の
家の建設においては、住民を緊急雇用し、住民主体の活動として実施してきました。
今期、12 月に学用品と家の使用状況を確かめるために評価を行いましたが、ほぼすべての子ども
子どもとの評価会議
たちが現在も提供した鞄や学用品を使用し、満足していることが分かりました。家の建設では、アイ
キャンと町役場が協力して、安全な再定住地を作りましたが、その場所には、現在「アイキャンビレ
ッジ」の看板が建てられるとともに、各家にも”Thank you ICAN”(ありがとうアイキャン)の文字
が掲げられており、喜んでもらえていることが分かりました。
~評価を活かす~
2015 年、フィリピンは世界で 4 番目に多い 220 万人が自然災害で住処を奪われました。今回の評
価での学びを活かして、今後起きる自然災害にも、効果的に対応していきます。
大切に使われている鞄
2015 年 11 月~2016 年 4 月のアイキャンの活動
Ⅰ
危機的状況にある子どもたちとともに行うプログラム
紛争の影響を受けた子どもたち
※アイキャンの会計年度は毎年 5 月 1 日に始まります。
~フィリピンに加え、イエメン、ジブチで活動開始~
フィリピン・ミンダナオ島コタバト州ピキットでは、2 つの学校で計 4 教室の建設が完了し、3 月に
引き渡し式典を行いました。研修を実施した 3 校も含め、新たに 4 校が「平和の学校」となりました。
また、ミンダナオ島南部教育省やモロ・イスラム解放戦線(MILF)への平和研修を実施しました。
また、新規事業として、12 月からはイエメンにおける食糧や生活物資を提供する活動を、2 月からは、
イエメンの対岸にあるアフリカジブチにおいて子どもを保護し、権利を守っていく活動を実施しました。
路上の子どもたち
~6 名の子どもが入所~
児童養護施設「子どもの家」の
運営を開始し、4 月時点で 6 名の
子どもが暮らしています。また、
9 月にカフェをプレオープンした
若者の協同組合カリエは、3 月に
グランドオープンを迎え、定期営
業を開始しました。
ごみ処分場周辺地域の子どもたち
先住民の子どもたち
~ミンダナオ北部で新事業開始~
ミンダナオの先住民の村で、植林
を行うとともに、パナソニック株式
会社から昨年度寄贈されたソーラー
ランタンのモニタリング活動を行い
ました。また、3 月から先住民の子
どもの教育環境改善や教師の能力強
化を行う事業を開始しました。
ました。また、
~新商品開発に着手~
フェアトレード生産者団体 SPNP
に新しく加入したメンバーの収入
を増やすため、フィリピンらしさ
やユニークさを意識した新商品開
発に取り組みました。バナナやア
ヒルなどを試作し、その改善点を
話し合い、商品化を進めています。
ジェネラルサントスの子どもたち
大学生 7 名に、学用品や学費等
の継続的なサポートを行い、奨学
生が集まるミーティングを 1 回行
いました。また、奨学生で大学 4
年のジェサが、教育実習に参加し、
教師になる夢にための条件を一つクリ
アしました。
災害の影響を受けた子どもたち
~2 事業地で評価活動~
レイテ島のドゥラグ町において実
施してきた食糧・物資提供、家の建
設活動、学校建設活動の評価を行い
ました。また、サマール島では、309
軒の家の建設と 2,631 人の児童への
学用品の提供を行った地域を訪問し、
使用状況を確認しました。
~奨学金提供を継続~
障がいを持った子どもたち
~インターンの成果報告~
インターン生が 6 月から行ってきた調査の成果を、3 月の
外務省インターンプログラム報告会で発表しました。
外国にルーツを持つ子どもたち
~ボランティアが活躍~
翻訳ボランティアが、学年便り等の教育機関からのお便り
や団地住民への案内等、計 69 件の依頼に対応しました。
今期のメディア掲載
11 月 20 日
11 月 22 日
11 月 30 日
12 月 1 日
12 月 11 日
12 月 13 日
12 月 17 日
12 月 22 日
1月
1月4日
1 月 14 日
1 月 19 日
1 月 22 日
1 月 22 日
まにら新聞 安倍総理夫人が路上の子どもたちを訪問
中日新聞
日比の子どもの絵手紙交流
まにら新聞 マニラエクスプレスのチャリティコンサート収益を路上の
子どもの保護施設に寄付
The Japan Times 日比の子どもの絵手紙交流
読売新聞
高校生と路上の若者のスカイプ交流
まにら新聞 「子どもの家」の水場完成
読売新聞
「子どもの家」の水場完成
中日新聞
「子どもの家」の水場完成
JICA フィリピン NGO ダイレクトリー 団体紹介
読売新聞
書き損じハガキで協力
電気新聞
中部電力社員がスカイプで路上の若者と交流
中京テレビ「キャッチ!」 書き損じハガキ募集
毎日新聞 「子どもの家」の活動と書き損じハガキ寄付の呼びかけ
NHK
「おはよう東海」 路上の子どもの置かれた現状と「子どもの家」
安倍総理夫人の事業地訪問
マニラチャリティコンサート
子どもの家水場完成
Ⅱ
「できること(ICAN)
」を増やすプログラム
国際理解教育事業
~スーパーグローバルハイスクールとの研修を実施~
3 月に、フィリピンで長野県上田高等学校の研修が行われ、引率者を含め 30 名が参加しました。
7 日間の日程の中で、アイキャンの事業地である路上やごみ処分場周辺地域だけでなく、高齢者福
祉に取り組む団体や施設、JICA や日系企業も訪問しました。文科省指定のスーパーグローバルハイ
スクール(SGH)である同校は、現地で学ぶだけでなく、共通の課題について日本の事例を発信する
ことも目的として掲げており、事前に準備したプレゼンテーションを各訪問先で行いました。
日本国内では、フィリピンの路上の子どもとのスカイプ交流プログラムを 9 回実施し、191 名が
参加しました。また、教育機関や企業、団体、イベント等において、10 件の講演を行い、計 764 名が参加しました。
語学教室事業
~6 名の生徒が入会~
スタディツアー・研修事業
~春のツアーを実施~
今期、6 名の生徒が入会しまし
た。うち 2 名は、ご友人同士での
ご入会となり、英語上級クラスを
新たに開設しました。それに伴い、
これまで代行講師だった 1 名がレ
ギュラーの講師となりました。
スタディツアーを 2 回実施し、
全国から計 21 名が参加しました。
これまでのツアーでは、路上の若
者がパン作りをする工房を訪問し
ていましたが、今回から、オープ
ンしたカフェの訪問となりました。
フェアトレード事業
NGO 相談員事業
~6 回のイベントに出店~
~28 年度の外務省からの受託も決定~
大阪のワンワールドフェスティ
バルを含むフェアトレード関連イ
ベント計 6 つに参加し、パヤタス
ごみ処分場周辺地域で活動するグ
ループ SPNP が作った縫いぐるみ
やフィリピン料理を販売しました。
11~3 月に、536 件の相談対応と、
愛知、山梨、大阪で計 5 件の出張
サービスを実施しました。12 月に
は、神戸で開催された相談員全国
会議に参加しました。2016 年度の
継続受託も決定しています。
インターン育成事業
MY アイキャン事業
~新たに 8 名がインターンに~
マニラ事務所に日本人学生 2 名
とフィリピン人学生 5 名が、日本
事務局に社会人 1 名が、インター
ン生として加わりました。路上の
子どもの事業やフェアトレード、
総務補助などを担当しました。
1 月 23 日
1 月 27 日
1 月 28 日
1 月 29 日
2月2日
2月3日
2月5日
2月5日
3月
3月1日
3月2日
3 月 21 日
3 月 24 日
3 月 25 日
4 月 14 日
~街頭募金で施設建設を呼びかけ~
名古屋の街頭での募金活動を 5
回行い、延べ 107 名のボランティ
アが参加しました。2 月からは、
アイキャンのボランティア有志に
よるグループ「WE CAN」を主体と
した運営への移行を行っています。
中日新聞
「子どもの家」の活動と書き損じハガキ寄付の呼びかけ
オルタナ S 「子どもの家」の運営開始と書き損じハガキ寄付呼びかけ
Global News Asia 天皇皇后両陛下が ICAN 職員にご接見
まにら新聞 天皇皇后両陛下が ICAN 職員にご接見
NHK ラジオ 「夕刊ゴジらじ」 路上の子どもと「子どもの家」について
なごや発国際交流通信 NIC NEWS レイテ島被災地の現状と課題
中日新聞
刈谷北高校の生徒がマニラの路上の子どもとスカイプで交流
読売新聞
刈谷北高校の生徒がマニラの路上の子どもとスカイプで交流
外務省
「2015 年版開発協力白書」 ミンダナオ紛争地での活動について
国際開発ジャーナル 3 月号 紛争地の事業について
Global News Asia 名東高校の生徒が路上の子どもとスカイプ交流
日本テレビ 「NEWS ZERO」 職員吉田の紹介
オルタナ
路上の若者のカフェ起業活動
岐阜新聞
ODA でミンダナオに建設した小学校
中日新聞
路上の子どもたちの事業へのご寄付贈呈
天皇皇后両陛下とご接見
職員吉田 NEWS ZERO 出演
事務局長井川、岸田大臣と会談
2015 年 11 月「ボランティアと同じ目線で活動をつくる」
<MY アイキャン事業>
私は、海外インターンシップや交換留学で開発学を学ぶ中で、現地の人と近い存在である NGO に憧れを持つ
ようになりました。その後、学問だけでなく NGO で実際に働いてみたいと思い、アイキャンのインターンに応
募しました。入職後、アイキャンでは、街頭募金活動を担当することになりましたが、当初は、事前準備や当
日の運営をこなすだけで精一杯でした。参加するボランティアは一回きりで終わる人が殆どで、毎回参加者の
募集に苦労する中、どうにかして「また来たい」と思ってもらえるものにしなければと思うようになりました。
そこで、継続的に来てくれていた数人に、なぜ来てくれるのかを聞くと、圧倒的に多かったのが「楽しいか
ら」という声でした。募金自体はフィリピンの子どもたちへのものだけれど、そのためにも、まずは募金を集
ICAN 日本事務局
める人が楽しんでくれる環境を作らなければと思い、改善方法を考えました。
インターン 佐野遥香
そして、参加者同士がもっと親しくなれるよう、毎回最初に交流の時間を取ったり、終了後は自由に事務所
に残って歓談してもらったりするようにしました。また、自分が主導するのではなく、2 回目以上の参加者がい
る時は、
「困ったことがあったらこの人に聞いて」と皆の前で言い、可能な限り参加者に任せるようにしました。すると、何度も来
ている人が主体的に動くようになり、スタッフの指示がなくても参加者同士が声をかけ合って動く姿が見られるようになりました。
11 月 28 日、過去最多となる 45 名のボランティアが集まりました。7 月から継続的に参加する社会人の女性は、
「私は街頭募金を
月で一番楽しみにしている」と言ってくれました。また、10 月に続い
て今回も 15 人もの生徒を連れて来てくれた中学校の先生からは、
「こ
こに来ると、普段あまり話さない子がすごく生き生きしている。大学
生や社会人との交流も刺激となり、生徒たちが変わるきっかけになっ
ている。
」と言われ、参加者にとって、色んな人に出会い、学びを得ら
れる場になっているのだと感じました。
この一年間で学んだのは、ボランティアの人と同じ目線で、ともに
活動を作り上げていくことの大切さです。自分一人ではなく、ともに
考え、活動してくれる人のお陰で、続けることができました。まもな
くインターンを修了しますが、社会経験を経て力を伸ばし、いつかア
イキャンに戻ってきたいと思います。
自然災害の影響を受けた子どもたち 11 月 16~20 日/レイテ島ドゥラグ
紛争地の子どもたち
家の建設活動終了から 1 年後の評価
2014 年 10 月に修了した
家の建設活動の事後評価の
ため、56 名の住民に聴き取
りをしました。活動期間中、
シェルター委員会役員を務
めたクリスティーナさん
(58 歳)は、
「以前、地域内を
毎日歩き回って建設中の家
をモニタリングしていたので、どこに誰が住んでいるか熟知し
ています。後に来た台風の時にも、避難所に誰が来ていないか
すぐ分かり、避難するよう呼びかけました。
」と語りました。
日頃から紛争や自然災害に対する危機管理を
紛争・自然災害の危機管
理に関する研修が行われ、
教師や村役員等 20 名が参加
しました。緊急事態への村
の対応方法や学校における
子どもの保護政策について
学んだ参加者のオディンさ
ん(39 歳)からは、
「紛争・
自然災害が発生した時だけではなく、普段から危機管理体制を
整えることが重要であり、しっかりと対策を行うことで、被害
拡大を防げることを知った」と感想がありました。
国際理解教育事業
NGO 相談員事業
11 月 14 日・21 日・28 日/名古屋
路上の子どもたちとスカイプで交流!
マニラの路上の子ども・若者
たちと日本の若者が、スカイプ
を通して交流する活動を 3 回行
い、計 47 名が参加しました。
互いに質問し合い、理解を深め
た日本の参加者からは、
「
『路上
で生活するのは怖い、家族やア
イキャンと過ごす時間が一番
楽しい』と言っていたので、もっとアイキャンの活動が広がれ
ばいいなと思う。皆かわいくて笑顔が素敵だったので、スタデ
ィツアーで実際に会いに行きたい」などの感想がありました。
11 月 11~14 日/ミンダナオ島ピキット
11 月 18 日/名古屋
NGO への就職・転職セミナー
NGO への就職・転職を考え
ている方を対象としたセミ
ナーを開催し、6 名が参加し
ました。NGO の職員に求めら
れる経験や資質、仕事のや
りがい等についてお話を
し、参加者からは、
「教えて
いただいたことを踏まえ、
今後の就職活動をより活発に行っていきたい」「良い部分だけ
でなく、大変な部分も伝えてくださり、より現実的に NGO 職員
のことを学べました」といった感想を頂きました。
2015 年 12 月「イエメン紛争下の子どもたち」
<紛争の影響を受けた子どもたちの事業>
2015 年 9 月、シリア難民の子どもの遺体がトルコの海岸に打ち上げられた写真は、世界中に衝撃を与えま
した。これ以降、日本に住む私たちの周りにもシリア関連のニュースが溢れています。一方、同じ中東にあり、
「最貧国」と言われるイエメンで起きている紛争について、どれ程の人が知っているでしょうか。イエメンで
は、政府側と反政府側の武装勢力同士が戦闘を繰り広げ、更にそこに外部からの介入やイスラム過激派系の武
装勢力、地域の部族勢力などが加わり、出口の見えない紛争が続いています。2015 年 3 月~12 月の間だけで
も、約 6,000 人が殺害され、約 2 万 8,000 人が負傷、250 万人以上が住処を追われ、国連もイエメンの状況を
イラクやシリアと同じ「最悪レベルの人道危機」に認定しています。
ICAN 事務局長
アイキャンのミッションは、「できることを持ち寄って、子どもたちにとって平和な社会をつくること」で
井川定一
す。1994 年に設立されて以降、フィリピンの子どもの問題に活動を絞ってきたことで、いくつかの分野で、高
い課題解決能力を身に着けることができました。ミッションを実現するために、次の 10 年では、フィリピンで培った能力や経験
を、他国の人道危機に活かしていくことが重要であると考えています。アイキャンが 20 年以上取り組んでいるミンダナオも、世界
にほとんど知られていない紛争地域でした。イエメンが世界から忘れられている現状は、ミンダナオと通じるものがあります。
現在、イエメンでは、今回の紛争の影響で、推定人口 2,600 万人のうち約半数に当たる 1,290 万人が食糧不足に陥り、栄養失調
のリスクにある子どもは 180 万人を超え、
「大規模な飢饉の一歩手前」
にあると言われています。これに対し、アイキャンでは、今後食料と生
活必需品の提供をイエメン国内で開始します。また、現在までに約 3 万
人が対岸のアフリカの国ジブチに命からがら避難しています。本国で
の空爆の影響で、今でも大きな音を聞くだけで震える子どもたち、また
着の身着のままで逃げてきたため、服も 1 枚か 2 枚しか持っていない
子どもたちが多くいます。アイキャンでは、キャンプ内に子どもの保護
を目的に、
「子どもの広場」を運営するとともに、衣服の提供の活動を
行っていきます。
私たちは、活動国をやみくもに増やしていくことはしません。フィリ
ピンのように、地域に根を張り、専門性を高め、そこに住む人々と「と
もに」長期的に課題を解決していくことが大切だと思っています。
路上の子どもたち
12 月 9 日/マニラ首都圏ケソン
紛争地の子どもたち
12 月 2~5 日/ミンダナオ島ピキット
活動や想いを伝える「路上新聞」
協同組合カリエの 7 名が、
「路上新聞」第 4 号を作成
しました。アイキャンやカ
リエを知らない人にも、カ
フェや路上教育等の活動や
自分たちの想いを伝えるた
めに試行錯誤し、A4 版裏表
の新聞を完成させました。
エルシーさん(17 歳)は、
「今後も継続して発行し、路上の子
どもの現状や応援してくれる人への感謝を伝えていきたい」と
述べました。新聞は、カフェやマニラ事務所に設置予定です。
教育関係者が仲裁と対話について学ぶ
教育省の 28 名を対象に、
「仲裁と対話」をテーマに
した研修を行い、参加者は、
多様性の尊重や適切な感情
表現等、
「暴力を用いない平
和的な解決」に必要な 5 つ
の要素を学びました。その
後、教育省の各事務所に分
かれ、今後の実施計画を作成したところ、スルタンクダラット
事務所職員からは、
「自分たちの地域でも、学校関係者を対象
に『仲裁と対話』の研修を実施する」との意見が挙がりました。
語学教室事業
MY アイキャン事業
12 月 19 日/名古屋
スマイルチケットのクリスマス会
チャリティ語学教室「ス
マイルチケット」の講師や
生徒、日本事務局のボラン
ティアの方が集うクリスマ
ス会を開催しました。17 名
の参加者は、フィリピン料
理をはじめ、持ち寄った多
国籍な料理を堪能し、英語
を交えながら歓談しました。スマイルチケット生徒の A さん
は、「他のクラスの人とも会えて、クラスを振り替えた時に
も仲良く話せるようになった」と話していました。
12 月 23~26 日/名古屋
4,730 部の発送作業!
新しい会報と 2014 年度の
年次報告サマリー版が完成
し、会員の方や寄付をしてく
ださった方への発送作業を
行いました。4,730 部という
膨大な量でしたが、手伝いに
来てくださったボランティ
アの方総勢 23 名のお陰で、
無事年内に発送を終えることができました。23 日に初めてボ
ランティアに来られた K さんは、
「貴重な体験だった」と言っ
て 26 日にご友人を連れてまた来てくださいました。
2016 年 1 月「『子どもの家』、遂に運営開始!」
<路上の子どもたちの事業>
1 月 27 日、遂に児童養護施設「子どもの家」の運営が始まりました。様々な事情で家族と暮らすことができず、
路上で生きてきた子どもたちが、この「子どもの家」に入所することで、スタッフからの愛情を注がれながら安
全に暮らすことができ、学校にも通えるようになります。
最初に入所することになったミギー君(13 歳、仮名)は、家族からの育児放棄が原因で、12 歳の時に兄と一
緒に線路沿いで路上生活を始めた子どもです。物乞いやゴミ拾いをして暮らす中で、アイキャンが運営するド
ロップインセンター(通所型の保護施設)にも時々姿を見せるようになり、ソーシャルワーカーによる度重なる
カウンセリングを経て、
「子どもの家」への入所が決まりました。
1 月 27 日午後、アイキャンのスタッフと共に、ミギー君が「子どもの家」に到着しました。寮母やソーシャ
ICAN マニラ事務所
岩下奈未
ルワーカー、インターン生等に温かく出迎えられ、ミギー君は大興奮で、施設の中を笑顔で歩き回りました。
それでも、夜になってスタッフが帰宅しようとすると、
「帰らないで」と泣きついていました。
数日経つと、施設での生活に慣れてきたのか、帰ろうとするスタッフに元気に「バイバイ」と言えるようになりました。今も路
上の仲間を思い出して時々寂しくなるようですが、インターン生とバスケットボールをしたり、敷地内で育った果物や野菜を寮母
と一緒に取りに行ったりするのを楽しんでいます。
入所から 3 日目の夕食時、ミギー君は「路上ではお米に醤油や油を
かけて食べていた。ここでは毎日美味しいご飯が食べられる。路上
ではなく施設にいたい。
」と話してくれました。ミギー君は、13 歳な
のに体重はわずか 24 ㎏で、同年齢の平均体重 45 ㎏の半分程しかあ
りません。一刻も早く健康状態を改善できるよう、栄養価の高い食
事の提供や、医療的ケアを行っていきます。
1 名でスタートした「子どもの家」ですが、今年度中に 5 名の入
所を予定しており、その後も徐々に人数を増やしていきます。
「子ど
もの家」の建設・運営を応援してくださった多くの方々の想いが詰
まったこの施設を大切に運営し、これから入所する子どもたちにも
沢山の愛情を注ぎ、大事に育てていきます。
紛争地の子どもたち
1 月 14~16 日/ミンダナオ島ピキット
ジェネラルサントスの子どもたち 1 月 16 日/ミンダナオ島ジェネラルサントス
「平和の学校」をより良いものへ
「平和の学校」の活動の質
を向上させるため、各校の
取り組みを報告する「平和
の学校コングレス」を開催
し、教育省や学校関係者 50
名が集いました。成功事例
を通して、運営には地域の
理解と協力が不可欠であ
ることなどを学んだ参加者からは、「今回学んだことは、現在
学校で直面している問題を解決するために非常に役立ちそう
です」
(アルサドさん/38 歳)などの感想がありました。
奨学生としての気持ちを新たに
奨学生 7 名が集まり、学業
の進捗状況や今後の進路に
ついて共有しました。ジェサ
さん(19 歳)は、
「教育実習
に行って、教師になりたい気
持ちが更に強くなりました。
今まで多くの人に支えられ
てここまで来ましたが、今度
は私が周りの人々を支えられるようになります。」と話しまし
た。7 名は、応援してくださっている方の想いを胸に、引き続き
勉学に励むという気持ちを新たにしました。
MY アイキャン事業
国際理解教育事業
1 月 26 日/名古屋
「書き損じハガキ」ありがとうございます!
1 月に新聞やテレビで活
動が取り上げられた反響
で、日本事務局に届く書き
損じハガキのご寄付の量が
大幅に増えました。写真は、
26 日の朝に届いたもので、
長机 2 脚の上に山積みにな
りました。届いたハガキや
未使用切手は、一刻も早く事業に役立てられるよう、ボラン
ティアの方々が日々カウント作業を進めています。まだまだ
募集していますので、ぜひ日本事務局までお送りください。
1 月 27 日/名古屋
路上の子どもについて学ぶ高校生
椙山女学園高校の 2 年生 40
名に、路上の子どもたちの現
状やアイキャンの活動、身近
にある「できること」について
の講演を行いました。担当の
先生からは、
「生徒がしっかり
取り組む様子から、とても充
実した講演だったと感じまし
た」、受講した生徒からは、「小さなことから始めるだけでも、
明日の子どもたちの命につながる。私たちにも確実にできるこ
とがあると感じました。」との感想を頂きました。
2016 年2月「絵手紙を通して考える『平和』
」
<国際理解教育事業>
今年度も、日本とフィリピンの子どもたちによる絵手紙交流「トゥライ・プロジェクト」を行いました。
「ト
ゥライ」はタガログ語で「橋」を意味し、絵手紙が日比の子どもたちの相互理解を促進する懸け橋になること
を願い、2008 年度より毎年実施しています。
8 回目となる今回のテーマは、
「私の『平和』のイメージ」です。戦後 70 年、日本とフィリピンの国交 60 周
年の節目の年に、未来を担う子どもたちに改めて「平和とは何か」を考えてもらいたいと思い、このテーマを
設定しました。2015 年 5 月から参加を呼びかけ、今年度は日本とフィリピンから 4,457 枚が集まりました。
フィリピンからの絵手紙は、10 月に日本の参加校に届け、校内での展示や授業での紹介がなされました。参
ICAN 日本事務局
加した中高生からは、
「国籍や年齢や環境が違っても、平和を願う気持ちは同じだと分かり、フィリピンの子ど
中村 由実子
もたちと繋がれた感覚になって嬉しくなりました。これが感覚だけで終わらず、本当の平和が世界に広がれば
いいなと思いました。」「国境を越えて人と人が力を合わせたり、思いを伝え合えたら、地球上の沢山の涙を笑顔に変えられると思
います。私はそんな笑顔の溢れる世界にしていきたいです。
」などの感想がありました。
その後、日本からの絵手紙と感想をフィリピンに届け、1 月か
ら 2 月にかけて、各地での展示や配布をしました。ミンダナオ島
の紛争地ピキットの子どもたちからは、「日本に友達ができたこ
とを誇りに思います。他の子どもたちと良い関係を築くことで、
平和を導くことができると信じています。
」
「私たち皆が、互いを
愛し合い、分かち合い、助け合うことができれば、平和を実現で
きると思います。
」などのメッセージが届きました。
参加した子どもたちは、自分なりに平和について考え、伝え合
うことで、描かれているものに違いがあっても平和を願う気持ち
は同じであることを学びました。これからも、平和とは何かを「教
える」のではなく、考えや気付きを導き出す活動を行っていけた
らと思っています。
路上の子どもたち
2 月 11 日/リサール州サンマテオ
「平和の学校」をより良いものへ
児童養護施設「子どもの
家」で植栽活動を行い、路
上の子ども 15 名が参加し
ました。スタッフから、各
野菜や育てる際の注意点
を説明した後、一緒に種や
苗を植えました。参加した
子どもたちは、「自分が路
上で売っている野菜がどのようにしてできるのか学ぶことが
できた」
(ジャン/13 歳)、
「路上では喧嘩もする仲間と協力し
て植えることができた」
(アルノール/14 歳)と話しました。
スタディツアー・研修事業
2 月 24~28 日/マニラ首都圏ケソン
交流を通して固めた決意
フィリピンでスタディツ
アーを開催し、
12 名が参加し
ました。
「私ができることは、
出会った人々の声を帰国後
伝えられるよう書き留める
こと」と、常にノートいっぱ
いにメモをとる方もいまし
た。路上やパヤタスの人々と
の交流を終えた最終日、帰国後に自分にできることとして、A
さんは、「マンスリーパートナーになり、毎月引落しの度に子
どもに想いを馳せる。その積み重ねをしたい」と語りました。
紛争地の子どもたち
2 月 4~6 日/ミンダナオ島ピキット
1 年を振り返る評価ワークショップ
1 年間の活動を振り返る評
価ワークショップを行い、3
村の村役員、高校の教師及び
生徒等計 31 名が参加しまし
た。各村・学校で実施された
平和活動について共有する
セッションでは、
「研修で学
んだ平和の概念を盛り込ん
だ授業案の作り方の技術は、どの科目にも応用でき、授業内容や
教材だけでなく、生徒指導の仕方においても役立っている」
(高
校教師/46 歳)などの声が上がりました。
フェアトレード事業
2 月 6~7 日/大阪
今年も大活躍、大阪ボランティア
大阪のワンワールドフェ
スティバルに出店し、フィリ
ピン料理 2 品を販売しまし
た。今年も大阪在住のボラン
ティアが中心となり、材料の
購入やボランティア募集 等
を全て行ってくれました。2
日間で 9 名のボランティアが
集まり、無事完売できました。来店者の中には、
「去年美味しか
ったから今年も食べられるのを楽しみにしていた」とバナナ春
巻きを求めて来てくださる方もいました。
2016 年 3 月「『平和の学校』が新たに 4 校完成」
<紛争を受けた子どもたちの事業>
2016 年 3 月、ミンダナオ島中西部にあるコタバト州ピキット町において、
「平和の学校(School of Peace)
」
が新たに 4 校誕生しました。平和教育に積極的なモデル校「平和の学校」は、これで通算 19 校になります。
アイキャンは、2011 年 11 月から約三年間をかけて、ピキット町北東部で「平和の学校」をつくる活動を行
ってきました。昨年 3 月からの一年間では、同町西部の 3 つの高校の教師らに対する研修を行うとともに、そ
の内の 1 つの高校と、同じ地域にある小学校で、校舎の建設を行ってきました。建設の対象となった 2 校は、
過去 20 年にわたる紛争により、銃撃や爆撃で教室が壊されたマパグカヤ小学校と、雨が降ると授業を中断せ
ざるを得ないような竹製の教室しかない状況にもかかわらず、長引く紛争の中、教育環境の整備に手が付けら
ICAN ミンダナオ
れていなかったダトゥ・ビトル・マンガンサカン記念高校です。3 校における研修に加え、この 2 校における
中部事務所
各 1 棟 2 教室の建設と教室備品の整備が、この 3 月に完了しました。
Edwin S.
完成した校舎を現地教育省に引き渡す式典が 3 月 15 日に開催され、生徒・教師などを含む学校関係者、市
Antipuesto
や村の担当者、教育省、モロ・イスラム解放戦線、日本大使館関係者、国際停戦監視団(IMT)
、キリスト教及
びイスラム教の宗教指導者、NGO、地域住民など、約 600 名が参加しました。各代表がスピーチをする中、高校の生徒代表のアドゥ
ラー君(16 歳)は、
「校舎という贈り物を頂き、とても嬉しく、わくわくしています。この教室は、僕たちが知識や能力を高めてい
くための大切な場所になります。
」と話しました。
その後、4 校の「平和の学校宣言」がなされ、学校や地域にお
ける平和教育や平和の文化に対する意識を高めること、教師や行政
官、地域リーダーの平和教育や平和の文化を広める活動を実施する
能力を強化すること、いかなる時も、全ての暴力から子どもたちを
守り適切にケアすること、学校や村の制度や方針、計画に、平和プ
ログラムの実施を取り入れること、などが約束されました。
「平和の学校」は、地域の人々の間に調和をもたらし、地域の平
和と発展への協働を生み出します。私は、30 年近くこの地域の人々
の人権や平和が守られることを願って働いてきましたが、今アイキ
ャンのスタッフとして本事業に従事することで、ミンダナオの平和
に貢献できることを誇りに思っています。
路上の子どもたち
3 月 15 日/マニラ首都圏ケソン
紛争地の子どもたち
3 月 21 日/ジブチマルカジキャンプ
カフェの本格営業開始
路上の若者の協同組合カ
リエが運営するカフェが、
9 月のプレオープンを経
て、この日グランドオープ
ンを迎えました。当日は、
JICA フィリピンの関係者
を招待し、総勢 20 名でセ
レモニーを行いました。エ
ルシーさん(19 歳)は「路上にいた私たちが、今このように
お店を持てていることを幸せに思う。スタッフ一同、一層邁進
していきたい。
」と意気込みを語りました。
絵に表現される子どもたちの心
イエメン難民のキャンプ
で絵を描くワークショップ
を行い、4~13 歳のイエメン
難民の子ども約 50 名が参加
しました。沢山の子どもが
イエメンの国旗を描き「こ
れがイエメン!」と誇らし
げに見せる一方、紛争の様
子を描き「これが飛行機、これが戦車、そしてこれが死んでいる
人」と話す子どももいました。子どもたちが少しでも過去の悲惨
な体験を克服できるよう、活動を継続していきます。
スタディツアー・研修事業
MY アイキャン事業
3 月 7~13 日/マニラ首都圏ケソン市
フィリピンで「いのち・健康」を考える
文科省のスーパーグロー
バルハイスクール(SGH)指定
校である長野県上田高校の
生徒 26 名が、フィリピンで
研修を行いました。
「いのち・
健康」
をテーマにした本研修
では、
アイキャンの事業地に
加え、
高齢者福祉に取り組む
施設や団体も訪問し、事前に準備したプレゼンテーションも行
いました。生徒からは、「この研修に参加し、アイキャンに出
会えて、本当に幸せです。
」などの感想がありました。
3 月 6 日/名古屋
ボランティアグループ主体のイベント
JICA 中部のイベント「見
て・知って・始めてみよう!
国際協力!」において、アイ
キャンのボランティア有志に
よるグループ‘WE CAN’が、
ブースでの活動紹介や路上の
子どもについて考える講座を
行いました。メンバーの A さ
んは、
「WE CAN 主体の外部イベントは初めてで大変だったけど、
当日のメンバー9 人全員が、アイキャンについて説明する機会を
持ててよかったし、課題も見つかった」と話しました。
2016 年 4 月「イエメン国内避難民への食糧提供」
<紛争の影響を受けた子どもたちの事業>
イエメンでは、昨年 3 月に紛争が激化し、空爆と戦闘によってこれまでに 6,000 人以上が亡くなり、36,000
人以上が負傷しました。そして、人口 2,500 万人の 10%以上に上る 270 万人が現在もなお、安全な場所を求め
て国内で避難しています。この状況に対して、アイキャンは、現地 NGO とともに、2015 年 12 月より準備を開始
し、2016 年 4 月より国内避難民が最も多い場所の 1 つであるイエメンのハッジャ州において、避難民への食糧
提供を開始しました。5 日間をかけて、州内の国内避難民が多く集まる場所を回り、合計 1,143 世帯に対し、小
麦粉、米、砂糖、油、ミルクといった、生存に最低限必要な食糧を提供しました。
ここに来た人々は、紛争によって民家や病院、学校までもが破壊される中、戦火を逃れて命からがらたどり
ICAN ジブチ事務所
着いた人々ばかりです。そこには整備された「難民キャンプ」はなく、避難民は木の下で眠ったり、あり合わ
野中亜紀子
せの布でテントを作ったりして、風雨をしのいでいます。僻地にあるため、国際機関や NGO の活動も届かず、
きれいな飲み水も、明日食べる物も欠乏している状況でした。
そのような中、アイキャンの食糧を積んだトラックが到着すると、避難民の中から自らボランティアを志願する人が現れ、荷卸
しを手伝ってくれました。高齢者や体が不自由な人には、テントまで物資を運ぶなど、苦しい状況の中にあってもお互いに助け合
い、労わり合っていました。食糧を受け取った人たちからは、
「本当にありがとう」、「これで明日から食べられる」、「どう
か、こうした活動を継続してほしい」などの声が寄せられま
した。
イエメン紛争は、国連の仲介によって和平協議が続いていま
す。しかしながら、和平合意が成立するかどうかは不透明で
す。また、和平が実現したとしても、紛争によってこれまで
に壊された家、学校、病院、水、電気等の生活インフラを回
復するのには、膨大な時間と労力がかかります。アイキャン
は、これからも食糧などの生活に必要不可欠な物資の提供な
どを継続して実施することで、イエメンの和平に貢献してい
きます。
路上の子どもたち
4 月 9 日/リサール州サンマテオ
先住民の子どもたち
4 月 30 日/ミンダナオ島ブキドノン
「子どもの家」入所の子どもが 6 名に
児童養護施設「子どもの
家」に、新たに 3 名の子ども
が入所し、
入所児童は計 6 名
になりました。皆でとる最
初の食事の際、寂しさから
か泣き出す子もいました
が、ジャストワーカー(路上
の若者のリーダー)2 名が駆
けつけ、子どもたちの親睦を深めるゲーム等を行うと、泣いて
いた子からも次第に笑顔が見られました。6 名は、ここで生活
しながら、6 月の新学期に向けて通学再開の準備をします。
環境教育と植林で、村に緑を
森林の伐採や焼き畑農業が行
われ、環境問題が深刻化してい
るミンダナオの先住民の村で、
100 名の子どもに対し、環境保
全に関する講義を行いました。
講義後は、皆で計 250 本の苗木
を植え、保護柵を作りました。
マリーさん(17 歳)は、
「木の
伐採や焼き畑農業による、環境への悪影響がよく分かりまし
た。今日植えた苗木を大切にし、環境を守っていきたいです。
」
と話しました。
語学教室事業
国際理解教育事業
4 月 7 日/名古屋
スマイルチケット「友だち割」で新規入会!
日本事務局で行っている
チャリティ語学教室「スマ
イルチケット」の無料体験
で 3 月に英語のクラスを受
講された方 2 名が、4 月から
揃って入会されました。紹
介した人もされた人もレッ
スン料が割引になる「友だ
ち割」の適用となりました。2 名ともフィリピンに長期で滞在
された経験があり、
「フィリピン人の先生たちの英語を聞くと、
当時の事を懐かしく思い出すし、楽しい」と話していました。
4 月 13 日/名古屋
マニラ事務所職員が伝える、住民の声
マニラ事務所駐在職員の阿
部による帰国報告会を行い、
8 名の方が参加しました。パ
ヤタスごみ処分場周辺地域
の現状や、そこで生計向上の
ためにフェアトレード商品
の生産に励む母親たちを紹
介しました。参加者からは、
「フィリピンの現状を知ることができ、以前よりも興味がわい
た。今までは、フェアトレード商品を積極的に買っていなかっ
たが、買ってみようと思う」などの感想を頂きました。
路上の子ども緊急募金キャンペーンに
ご協力ありがとうございました!
●ご寄付の集計結果●
・マンスリーパートナー:220 人(4 月末時点)
・路上の子どもへのご寄付:2,587,422 円(2015 年 12 月~16 年 4 月)
今期、
「路上の子ども緊急募金キャンペーン」を実施し、約 250 万円のご寄付をお預か
りしました。また、マンスリーパートナーも 220 名となりました。誠にありがとうござ
います。この度、皆様からお預かりした路上の子どもへのご寄付は、路上の子どもたち
が学び、将来について考える路上教育活動やドロップインセンターでの活動、新設した
児童養護施設「子どもの家」での長期的な保護活動等に、使用させていただきます。
線路沿いで暮らすマニラの路上の子ども
(空腹や辛い現実から逃れるために、
多くの子どもが薬物を摂取しています。
)
アイキャンの活動を応援してください!
アイキャンの活動は、皆さま一人ひとりの寄付によって成り立っております。
ぜひ、下記いずれかの方法で、アイキャンを応援してください。
1、マンスリーパートナー
毎月 1,000 円(1 日あたり約 33 円)から 10,000 円の任意の定額を寄付してくださる
「マンスリーパートナー」を募集しています。
「危機的状況」にある子どもたちの生活を
改善するために、ぜひマンスリーパートナーとして継続的に活動を応援してください。
2、通常のご寄付
活動に参加する路上の子ども
(元路上の子どもが、現在も路上にいる
子どもに活動を行っています。)
アイキャンの活動全体、指定の事業のご寄付を、募集しています。
【ご寄付の方法】
クレジットカード:サイトから今すぐお手続きできます。https://kessai.canpan.info/org/ican/
口座(引落し・振込):下記サイトからお申し込みいただくか、お電話又はメールにてご連絡ください。
http://www.ican.or.jp/j/my_ican.html
【アイキャンの口座一覧】
ゆうちょ銀行
00850-6-78233 特定非営利活動法人アイキャン
三菱東京 UFJ 銀行
―マンスリーパートナーさんのご紹介―
名古屋駅前支店(221)
普通
2361021
特定非営利活動法人アイキャン
伊井恵さん「まずは勉強し、いつかフィリピンの子どもの力に」
私は、栄養士として外国で働きたいと以前から思っていました。まずは、スタディツア
ーに参加しようと思い、アイキャンを見つけました。どういう団体か、どんな人が働いてい
るか、何が学べるかを、ツアーで知ってから考えることにしました。
2 月のツアーに参加し、現地に行かないと分からないことが沢山あると思いました。依然
は、自分にできることはないのではないかと思っていましたが、実際は、わずかな寄付や少
しの行動が、積み重なって大きな動きに変わり、自分の小さな力は全く無駄にならないと
感じることができました。そして、まずは自分自身が勉強し、その力をつけることで、いつ
かフィリピンの子どもたちの役に立てると考え、帰国後に日本事務局のインターンに応募しました。栄養士としての知識
だけでなく、運営や資金に関する知識が重要であると考えたからです。また、アイキャンの活動は、ボランティアの方々に
支えられているので、ボランティアコーディネートにも携わり、ともに成長できたらと思っています。
アイキャンは認定 NPO 法人のため、寄付者は、税制の優遇を受けることができます。
税額控除の額:その年の認定 NPO 法人等への寄付合計額(※)-2000 円×40% ※所得税額の 40%が上限
詳しくは、国税庁のサイト(https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1263.htm)またはお近くの税務署へ
認定 NPO 法人アイキャン
平成 22 年度外務大臣表彰団体
アイキャンは 1994 年より、貧困削減や紛争解決等に取り組む国際 NGO です。
住所:
〒460-0011 愛知県名古屋市中区大須 3 丁目 5-4 矢場町パークビル 9
TEL&FAX: 052-253-7299(火曜~土曜:12~19 時)
Website: http://www.ican.or.jp/
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