今週の日米株式ストラテジー

2016.8.12
今週の日米株式ストラテジー
~日銀の ETF 買いに対する期待などから日経平均は下げにくい展開に~
8/11 の NY ダウは過去最高値を更新した
図表①
NY ダウとナスダック指数
先週月曜日(8/8)の東京市場では日経平均が 396 ~8/11 のナスダック指数も過去最高値を更新した~
5400
20800
円高と反発した。前週末(8/5)の米国市場で NY ダ
8/11まで
(ポイント) (左軸)ナスダック指数と200日移動平均
(ドル)
↓
ウが 191 ドル高と大幅に反発したことに加えて、為
替市場でドル高・円安が進んだことが好感された。 4950
19500
一方、月曜日の米国市場では利益確定売りが先行し、
NY ダウが 14 ドル安と小幅に反落したが、翌火曜日
4500
18200
(8/9)の東京市場では円相場が 1 ドル=102 円台前
半まで下落したことが好感され、日経平均は 114 円
4050
16900
↑
高と続伸した。その後、火曜日の米国市場では NY
NYダウと
200日移動平均
(右軸)
ダウが 3 ドル高と小反発したが、翌水曜日(8/10)
3600
15600
の東京市場では円相場が 1 ドル=101 円台前半に上
15/8/12 10/8
12/4 16/2/3
4/1
5/27
7/26
昇したことが嫌気され、日経平均は 29 円安と 3 日 出所 大和証券投資戦略部で取りまとめ
ぶりに反落した。さらに、水曜日の米国市場では原
油先物相場の下げを受けてエネルギー関連株など 図表② 日銀の ETF 買い入れ額と日経平均
に売りが広がり、NY ダウが 37 ドル安と反落した。 ~日銀は ETF 買い入れに対する期待から、日経
しかし、東京市場が休場だった翌木曜日(8/11)の 平均は下げにくい展開が続くと想定する~
米国市場ではメーシーズなど小売大手による市場
800
21500
8/10まで
日銀のETF買い入れ額(左軸)
日経平均(右軸)
(億円)
(円)
予想を上回る決算発表が相次いだことや原油先物
700
20000
相場が大幅に上昇したことが好感され、NY ダウは
600
18500
117 ドル高と反発し、7/20 以来約 3 週間ぶりに過去
500
17000
最高値を更新した。
日経平均は下げにくい展開が続くと想定
先週水曜日(8/10)の東京市場では日銀が ETF
を 707 億円買い入れた。同日の日経平均は前場に一
時 100 円超下げたが、午前の相場が下落すれば日銀
の ETF 買いが入るとの観測から下げ渋り、後場に
は 50 円超上げる場面があった
(大引けは 29 円安)。
日銀が ETF を 707 億円買い入れたのは 8/4 に続く 2
回目だが、8/4 の日経平均も前場に一時 160 円超下
げて 16000 円割れとなったが、日銀の ETF 買いが
入るとの思惑から買い戻しが優勢となり、大引けで
は 171 円高と切り返した。目先の東京市場でも、日
銀の ETF 買いに対する期待から日経平均は下げに
くい展開が続くと想定する。
先週日本経済研究センターが発表した ESP フォ
ーキャスト調査によると、日銀の金融政策について
エコノミスト 39 人中最多の 16 人が「9 月頃緩和」
と回答した。日銀は次回 9/20~21 の金融政策決定
会合で現在の緩和政策の総括的な検証を実施する
が、目標とする 2%の物価上昇率が実現していない
こともあり、東京市場では日銀の追加緩和期待が当
400
15500
300
14000
200
12500
100
11000
0
9500
15/8/12 10/13
出所
12/10 16/2/10
4/8
6/9
8/5
日本銀行、日本経済新聞社
図表③ エコノミストによる日銀の金融政策変更予測
~エコノミスト 39 人中最多の 16 人が次回 9/20
~21 の日銀金融政策決定会合での緩和を予測~
2016年8月頃緩和
1人
9月頃緩和
16人
〃 中立
7人
10月頃緩和
11月頃緩和
5人
2人
17年1月頃緩和
5人
4月頃緩和
1人
7月以降中立
1人
〃 引き締め
1人
0人
出所
8月のESPフォーキャスト調査(8/9発表)より
※中立は緩和・引き締め以外の金融政策の変更
3人
6人
9人
12人
15人
18人
日本経済研究センター
本資料は、投資の参考となる情報提供のみを目的としたものです。投資に関する決定はご自身の判断でなさいますようにお願い申し上げます。本資料は、当社が信頼で
きると判断した情報源からの情報に基づいて作成されていますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また、本資料に記載された意見や予測等
は、資料作成時点の当社の判断で、今後、予告なしに変更されることがあります。なお、本資料のご利用に際しては、最終ページの記載もご覧ください。
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面続くと考えられる。
日本経済新聞社によると、先週水曜日(8/10)ま
でに発表された 4~6 月期決算(集計対象企業の
95.6%が開示)を累計すると、経常利益は前年同期
比 16.9%減、純利益は(同)21.9%減と大幅な減益
だが、2017 年 3 月期通期の経常利益は 2.7%減と小
幅な減益予想にとどまっており、純利益は 5.8%増
と増益予想が維持されている。通期の経常利益が減
益予想となっているにもかかわらず純利益が増益
予想となっているのは、前期決算での減損の反動と
考えられる。また、日経平均の予想 PER(日本経済
新聞朝刊掲載値)から逆算される予想 EPS にも目
立った低下は認められない。目先の東京市場では
(日銀の ETF 買いや追加緩和に対する期待が強い
こと加えて)企業業績の下振れ懸念が後退したこと
も、株価の下支え要因になると見ている。
今週の東京市場では月曜日(8/15)に発表される
4-6 月期の GDP、水曜日(8/17)に発表される 7 月
の訪日外国人客数、木曜日(8/18)に発表される 7
月の貿易収支などが注目される。先週発表された
ESP フォーキャスト調査によると、4-6 月期の実質
GDP は前期比年率 0.54%増と 1-3 月期の 1.9%増か
ら減速すると予測された。予想以上に減速しても、
前段で述べたように日銀の ETF 買いや追加緩和に
対する期待が高まる可能性が高く、株式相場への影
響は限定的と想定する。なお、大和総研は今週金曜
日(8/19)に第 190 回日本経済予測を発表する。
米国株式市場では「適温相場」が続くと想定
図表④ 日経平均と日経平均の予想 EPS
~予想 EPS に目立った低下は認められない~
21000
1290
予想EPS=日経平均÷予想PER
予想PERは日本経済新聞朝刊掲載値
(円)
20000
←日経平均の予想EPS(右軸)
(円)
1260
8/10まで
19000
18000
1200
17000
1170
↑
日経平均
(左軸)
16000
1140
15000
1110
14000
1080
15/8/12 10/13
出所
1230
12/10 16/2/10
4/8
6/9
8/5
大和証券投資戦略部で取りまとめ
図表⑤ 日本の実質 GDP 成長率(前期比年率)
~4-6 月期の実質 GDP 成長率が予想以上に減速
しても、株式相場への影響は限定的と想定する~
12
(%)
8
2016/4-6以降は
ESPフォーキャスト調査
←------→
4
0
▲4
2016/4-6のGDP統計は
8/15(月)発表
▲8
2010
出所
11
12
13
14
15
16
17
内閣府、日本経済研究センター
図表⑥
FF 金利先物相場が織り込む FRB の利上
8/5 に発表された米 7 月の雇用統計では非農業部
げ確率
門雇用者数が前月比 25.5 万人増と市場予想の 18.0
~8/11 時点で 9 月利上げの可能性は 2 割以下~
万人増を上回り、順調な雇用回復の目安とされる 20 70%
67%
66%
(8/11時点)
万人増を 2 カ月連続で大幅に上回った。また、アト
60%
59%
60%
ランタ連銀の経済予測モデル「GDP ナウ」による
52%
50%
と、米 7-9 月期の実質 GDP は前期比年率 3.7%増と 50%
4-6 月期の 1.2%増から急回復すると予想されている。 40%
一方、日経 QUICK ニュースが先週月曜日(8/8)ま 30%
でに金融機関による米金融政策の見通しを調べた
20%
18%
20%
ところ、28 社中 19 社と 7 割弱が(9 月ではなく)
12 月の利上げを予想した。目先の米国株式市場では 10%
(日付はFOMC声明文の発表予定日)
9 月利上げの可能性や大統領選を巡る不透明感が高
0%
16/9/21 11/2
12/14 17/2/1
3/15
5/3
6/14
7/26
まらない限り、景気回復期待と低金利継続期待が共
出所 シカゴ・マーカンタイル取引所、FRB
存する「適温相場」が続くと想定する。(野間口毅)
本資料は、投資の参考となる情報提供のみを目的としたものです。投資に関する決定はご自身の判断でなさいますようにお願い申し上げます。本資料は、当社が信頼で
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-2/3-
お取引にあたっての手数料等およびリスクについて
手数料等およびリスクについて
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「ダイワ・コンサルティング」コースの店舗(支店担当者)経由で
国内委託取引を行う場合、約定代金に対して最大 1.24200%(但し、最低 2,700 円)の委託手数料
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株式等の売買等にあたっては価格変動のほかに為替相場の変動等による損失が生じるおそれがあ
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前交付書面、目論見書、等をよくお読みください。
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商号等 :大和証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第108号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、
一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
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大和証券は、このレポートに記載された会社が発行する株券等を保有し、売買し、または今後売買することがあります。大和証券グループ
が、株式等を合計 5%超保有しているとして大量保有報告を行っている会社は以下の通りです。(平成 28 年 7 月 29 日現在)
大末建設(1814) イチケン(1847) 日成ビルド工業(1916) アコーディア・ゴルフ(2131) サムティ(3244) サンセイランディック(3277)
ムゲンエステート(3299) 日本ヘルスケア投資法人(3308) ケー・エフ・シー(3420) 川田テクノロジーズ(3443) ケイアイスター不動産
(3465) ビリングシステム(3623) エニグモ(3665) 神島化学工業(4026) セプテーニ・ホールディングス(4293) トリケミカル研究所
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【主幹事を担当した会社について】
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ヨシムラ・フード・ホールディングス(2884) 鳥貴族(3193) ホットランド(3196) アクティビア・プロパティーズ投資法人(3279) イオ
ンリート投資法人(3292) ヒューリックリート投資法人(3295) 日本ヘルスケア投資法人(3308) トーセイ・リート投資法人(3451) ケネ
ディクス商業リート投資法人(3453) サムティ・レジデンシャル投資法人(3459) ケイアイスター不動産(3465) 三井不動産ロジスティク
スパーク投資法人(3471) 昭栄薬品(3537) 農業総合研究所(3541) コメダホールディングス(3543) デファクトスタンダード (3545)
テクノスジャパン(3666) オプティム(3694) マイネット(3928) ベネフィットジャパン(3934) グローバルウェイ(3936) 扶桑化学工
業(4368) OATアグリオ(4979) インターワークス(6032) ファーストロジック(6037) 日本ビューホテル(6097) ブランジスタ
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大和証券オフィス投資法人(8976) ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985) 学究社(9769)(銘柄コード順)
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