膵全摘術後早期の糖代謝の実験的研究 一アラエンからの糖新生

日消外会誌 19(3)i665∼
669,1986年
膵全摘術後早期 の糖代謝 の実験的研究
一 アラエンか らの糖新生 につ いて一
新潟大学医学部第 1 外科
三科
武
小林
孝
吉 川 恵 次
小 山 真
川 島 吉 人
一
武 藤 輝
富山 武 美
EXPttRIMENTAL STUDY ON GLUCONEOGENESIS FROM ALANINE
IN TOTALLY PANCREATECTOMIZED DOGS
Takeshi MISHINA,Ketti YOSHIKAWA,Yoshito KAWASHIMA,
Takemi TOMIYAMA,Takashi KOBAYASHI,Shtt KOYAMA
and Terukazu MUT0
The ist DepartFnent Of Surgery,Niigata University School of Medicine
肝全摘術後早期 の糖代謝 について検討 した。雑種成犬 に勝 胃全摘術 を行 い,術 後 インス リン非投与
群 :I群 (n=3),投与群 :II群 (n=3)に 分け,sham手 術 (陣摘術)群 :HI群 (n=6)を 対照 とし
ラエン10″
Ci/kgを投与 し経時的 に肝静脈 よ り採血 .血 奨 ブ ドウ糖 の放射能を
た。術後 1日 目に14c_ァ
21mg/dlと I群 で高値 となった(p<
測定 した。血糖値 は I,II,HI群でそれぞれ370±64,59±34,105±
14c_ブ
11,994
2,118,27,394±
ドゥ糖放射能 の最高値 はそれぞれ24,311±1,327,8,231±
0.05).肝静脈
一
ニ
dpm/mlと II群で低値 であ った (p<0.05).膵全摘術後早期 ではアラ ンか らの糖新生 は他 の 般手術
と同程度であるが,イ ンス リンで容易 に抑制 される こと,イ ンス リン単独投与 では糖 ・ア ミノ酸代謝
が正常に営 まれていない ことが示唆 された。
索引用語 │ア ラエン,糖 新生,鮮 全摘術,外 因性インス リン
I. は じ3う│こ
手術侵襲後早期 には糖代謝 の特徴 として,い わゆる
surgical diabetesと
呼 ばれ る耐糖能 の低下 がみ られ
る。われわれは これまで このよ うな変化 は,骨 格筋 由
来 の糖原性 ア ミノ酸 な どか らの糖新生 の克進 によるこ
とを明 らかにしてきた'分。この糖新生 の元進 の原因 と
しては,ス テ ロイ ドホルモン,グ ル カゴン, インス リ
ンなどの内分泌系因子の変化や,交 感神経刺激 の克進
な どが挙 げ られて い る31-ф
。 これ らの うち糖 代謝 に
およぼす
と考 えられるグルカゴ
もっとも大 きな影響を
ンタ イ ンス リンが欠如す る ことになる膵全摘術 では術
後早期 の糖代謝 にも大 きな変化 が現れ るもの と考 えら
れ る.わ れわれ は膵全摘術後早期 の糖代謝 について検
討す るため,雑 種成犬を用 い膵 胃全摘術を施行 し,ア
<1985年 9月 11日受理>別 刷請求先 :三科 武
〒951 新 潟市旭町通 1-757 新 潟大学医学部第 1外
科
ラニンか らの糖新生 について実験的研究を行 った。
II.実 験方法
1.対 象
10kg前 後 の雄性雑種成犬を用 い以下 の 3群 に分 け
【
=.
ツ
I群 :膵 胃全摘術 を行 い術後 インス リンを投与 しな
い もの (n=3).
II群 :膵 胃全摘術を行 い術後 イ ンス リンを投与 した
もの (n=3).
i sham術
手 として陣 摘 術 の み を行 った もの
III群
(n=6).
術後 はす べ て生理 的食塩水 のみを70m1/kg/dayで
投与 し,糖 質,ア ミノ酸,脂 肪 は投与 しなか った。
2,手 術
まず外頚静脈,大腿動脈 にカニ ュレーシ ョンを行 い,
それぞれ輸液路,採 血路 とした。3日 後 に前夜 よ り約
20時間の絶食 とし術前の血糖値 と解 ホルモンの測定 の
78(666)
膵全摘術後早期の糖代謝の実験的研究
図 1 実 験方法
日
消外会誌 19巻 3号
図 2 血 糖値 の変化
姿に糧成 大 10 kg前 後
1群 :棒 胃全摘 術 ・インスリン非投与 (n‐ 3)
1 対象 雄
meanl
400
1群 :鮮 胃全摘 術 ・インスリン投与 (n43)
H:rr+(n-r)
)*
Ш群 :牌 摘術 (n=6)
|
///
2方
法
,/
(
t
r<-
( 1 ) ブ ドウ糖 放射能
P a r k 変法
① ブドウ糖抽出 : E x t o n ―
ブ ドゥ糖 放 射 能 :液 体 シンテレ→
法 ―→ 液体 シンチレーラ ヨンカウンター
(2)血 糖値 :酸 素電極 加速度 法
Rl)
(3)tmmur10,reacttte nsutin(Ⅲ
immunoィ eactive gtucagon(lRC)
gtucagon」 lke immumeacH Ⅲ
-t
I I I結。 果
ヨンカウンター
② 除雲 白上 清 放 射 能
Somoこ 1-Neison変
H:r!t(n-o)
4 rtl'zaki.
P<0.05
,/
↓
SD.
F.:l3t(n-3)
ty(GLl)
ための採血を した。その後 pentObarbita1 25mg/kgに
よる全身麻酔下に以下の手術を行 った.I,II群 では開
1.血 糖値 の変化
I群 ,II群 ,III群の術前 の大腿動脈血 の血 糖値 は そ
れ ぞれ107±20,98±8,97± 13mg/dlと 差 は み られ な
か った。術後 1日 日では I群 370±64,H群 59±34,III
群105±21であ り,I群 ではII群,HI群 に比 べ 有意 に高
値 とな ったが (p<0.05),II群 で はIn群に比 べ 低値 を
示す傾 向 がみ られた (図 2)。 また14c_ァラ ニ ン投与後
2時 間 まで各群 とも血 糖値 は変化 せ ず steady stateと
腹後陣を食道 胃接合部 よ り十二指腸下行脚 まで ととも
に一塊 として切除 し,同 時に肝静脈 カニ ュレーシ ョン
考 え られた。
を行 った。再建 としては食道十二指腸吻合,胆 嚢十二
指腸吻合を行 った。
膵全摘術に胃全摘術を加 えたのは,
イ ヌにおいては 胃底部 の gastric A cellか
らのグルカ
ゴン分泌 が多 くこの影響 を除 くためで ある。.術 後 は
IRIは 術前 I群 ,II群 ,HI群 でそれ ぞれ12.3±1.9,
13.3±6.9,12.5±4.8″u/mlと 差 はみ られず,術 後 1
I群 ではイ ンス リンは没与 せ ず,II群 では0.15∼0.2
u/kg/dayの レギ ュラーイ ンス リンを経静脈的に持続
投与 した,HI群 では陣摘術 のみが行われ,そ の他 のカ
ニ ュレーシ ョンは同様 に行われた。
3.ア ラエンか らの糖新生
術後 1日 目に外頚静脈 よりL‐
ァラエン (150
U‐14c〕
〔
″Ci/mm01,Amersham社 )10″Ci/kgを one shotで
投与 し経時的 に肝静脈 よ り採血 した。血奨分離後吉川
らの方法にて ブ ドウ糖を抽出 し,そ の放射能を液体 シ
ンチ レーシ ョンカ ウンター (Tri‐
C arb,Packard社 )
にて測定 しため,同 時 に血糖値 を酸素電極加速度法 に
て測定 した。14c,ァラエン投与後60分に大腿動脈 よ り
採血 し血糖値 を測定,国 相法 に よ りimmunoreactive
insulin(IRI)を
,ま た30K抗 体を用 いた二抗体法によ
りimmunOreactive glucagon(IRG)を
,非 特異的抗
体を用 いた dextran‐
coated charcOal法に よ りtotal
glucagonをそれぞれ radioimmunoassayにて測 定 し
た。glucagon―
like immunoreactivity(GLI)ヤ
まtOtal
g l u c a g o n IとR G の差 とした ( 図1 ) .
2.IRI,IRG,GLIの
変化
日目ではそれぞれ5.2±1.5,6.9±2.0,10.4±3.0と I
群 で 低 下 した (p<0.05).IRCは 術 前 178.7±159.0,
133.3±111.5,54.5±21.2pg/mlと バ ラツキが大 き く
差がみ られなかった。術後 1日 目にはそれぞれ27.3士
11,0,31.0±
18.2,259.0±
135.3とШ群 では術前 に比べ
増加傾向を示 したが, I群 ,II群 では配群に比べ低値
で あった ( p < 0 . 0 5 ) . G L個I体
は差 が 大 き く術 前
1,017.3±
907.8,271.0±
8.5,357.8±166.3pg/mlで
あ り, 術 後 1 日 日で は4 7 0 . 71 ±
6 6 . 0 , 2 4 79 .1 0. ±
8,
300.0±150.8といずれの群間 に も差 はみ られなか った
(図3).
3.肝 静脈 における14c_ブドゥ糖放射能
図 4は 14c_ァラニ ン投与後 の肝静脈 にお け る14c_ブ
ドウ糖放射能の経時的変化を示 した ものである.HI群
では投与後 5分 にピークを示 し以後低下す るが,I群 ,
II群でははっきりとした ピークをつ くらず低下 してい
くことが特徴 であ り, I群 では45分以後はHI群に比べ
高値 のまま推移 した。 またII群では14c、
ァラニン投与
べ
に比 低値 のまま推移 した。各群 にお
後早期 よ りIII群
け る 放 射 能 の 最 高 値 は I 群 2 4 , 3 1 1 ,±3 2 7 , I I 群
8,231±
2 , 1 1 8 , H I2群7 , 3 9 4 ±
11,994dpm/mlで
あ り, I I
1986年 3月
図 3 陣 ホルモンの変化
図 4 14c_ブドゥ糖の放射能 (肝静脈)
meani SD
meantt SD.
ト ロ: 1 群( n = 3 )
―
: 1 群 ( n ‐3 )
●―● 測 群 ( n g 6 )
…
: 1 辞( n 口3 )
―
n ‐3 )
:3津
《
―
: a 辞 ( n 口6 )
キ ■, と の比位
率 出群との比較
Pく0.05
lRG
meantt SD.
B ―■: l 群( n ‐3 )
一
: 出群 ( n i 3 )
●―● 測 群 ( n ‐6 )
辛出群との比較
Pく 0.05
GLi
, 4 c フ ニンi V
ラ
14c_ブドゥ糖
図 5 14c,ァラエン投与後 2時 間 までの
累積放射能 (肝静脈)
1
1:除 貫白血清総放射能
iキ
と
=ユ
=rJ:“
Ctブ ドウ糖放射能
%
キ
meantt S D.
」群との比較 Pく0.05
meantt SD.
ト ロ: 1 群( n ‐3 )
卓
:」
群( n ‐3 )
● ― ● : 出津 ( n ‐ 6 )
図 6 除 宝白血奨総放射能 (肝静脈)
r
meantt SD
表 1 14c_ブ
…
: : 客( n , 3 )
―
: = = ( n ‐3 )
―
: 日津 ( n ・ 6 )
中巴津 とのl t t
ドゥ糖放射能 の最高値 (肝静脈)
mean+S.D. dpm/ml
I群 (n=3)
I I 群( ( n = 3 )
口I 群 ( n ‐6 )
24311±
1327
8 2 3 1 ±2 1 1 8 '
2 7 3 9 4 ±1 1 9 9 4
ⅢIH群との比
較 p<0_05
14c_ァ
ラニン
群 で有意 に低下 した ( p < 0 . 0 5 ) ( 表 1 ) 。
1
4
c
_
ブ
ドゥ糖 の累積放射能 をみ る
投与後 2 時 間 までの
と, I 群 , I I 群 , H I 群 でそれぞれ肝静脈血装総放射能
8.6,74.3±
5 . 8 % で あ り, I I 群 で
の7 9 . 7 ±9 , 6 , 5 3 . 8 ±
はH I 群に比べ有意 に低下 したが ( p < 0 . 0 5 ) , I 群 では
H I 群との差はみ られなかった ( 図5 ) .
アラニン i比
14c_ァラエン投与後 の肝静脈 における除蛋 白血 奨総
14c_ァラエン
放射能 の変化 についてみ ると, I群 では
に比べ高値を示 した
投与後時間を経 るにしたがいIII群
が,II群 では14c_ァラエン投与後早期 でШ群に比 べ低
80(668)
膵全摘術後早期の糖代謝の実験的研究
値 の ま ま推 移 した ( 図 6 ) .
I V . 考察
近年,解 癌や慢性膵炎に対 し陣全摘術 が行われ る例
がみ られるよ うになって きた。こ の うち膵癌 に対 して
の肝全摘術 の適応 に関 してはいまだに議論 のあるとこ
ろであるがつゆ,実 地臨床上,陣 全摘術 の施行を余儀 な
くされる症例 もみ られ る。一方,膵 全摘術後早期 か ら
遠隔期 において,代 謝栄養管理上多 くの問題点 が未解
決 のままであるのが現状である.膵 全摘術後の内分泌
機能 の欠落 は,糖 代謝 の変動を中心 として術後代謝変
動全般 に大 きな影響をおよばす と考 えられる。しか し,
従来 よ リー般に術後の この よ うな内分泌機能の欠落 に
対 しては,血 糖値 の コン トr― ルを主眼にイ ンス リン
投与 に よる術後管理 が行われて きた。1。
.今 回われわ
れは解全摘術後早期 の代謝変動に関 し,グ ルカゴン欠
落状態での内因性の糖 ・ア ミノ酸代謝を把握す る目的
で,肝 におけるアラニンか らの糖新生の変化 とイ ンス
リン投与 による影響 について検討 した。
まず解 ホルモンの変動 についてみ ると, ヒ トにおい
て は 膵 全 摘 術 後 に は IRI,IRGと も に 低 下 す る
がll)1り
,ィ ヌでは膵全摘術後 は IRIは 低下す るものの
IRGは 高値 が続 くといわれている1め
,こ れ はイヌにお
日消外会誌 19巻
3号
しているため少量 のインス リンで血糖値 は容易 に低下
す るもの と考 えられ る。
次 に14c_ァラニ ン投与後 の肝静脈血奨 中14c_ブドゥ
糖 への とりこみをみると, I群 ではII群と差 はみ られ
ず,II群 ではHI群よ り低下 していた。 この結果 と血糖
値 の変化を考 え合せ ると,解 全摘術後早期ではアラニ
ンか らの糖新生 は本来他 の手術後 と同程度 に維持 され
るが, これ は外因性 のインス リン投与 によ り容易に低
下 させ られている もの と理解 され,臨 床上膵全摘術後
に少量 のインス リンによ り低血糖発作 が容易にお こ り
うる ことを示唆 している.
今 回の よ うに tracerのsingle itteCtionに
よる解析
一
をす る場合 precursor poolが 定 でなければな らず,
今回の方法はあ くまで も半定量的な解析法 と考 えられ
る。一方,膵 全摘術後には高 ア ミノ酸血症 がみ られ る
lの
といわれてお りlω
,preCursor p001が陣全摘術後 と
sham手 術後 で異 っている可能性 もある ことか ら両群
での比較 は正確ではないか もしれない。今回の実験 で
は この preCursor poolであ るア ラニ ンの測定 は行わ
れなかった. しか しなが ら,わ れわれが最近行 った他
の肝 胃全摘犬におけるア ミノ酸分析 の結果 によれば,
イ ンス リン投与,非 投与で アラエン濃度 にはそれほ ど
いては陣 グル カゴン と同様 の活性を示す グルカゴンが
胃底部 の gastric A cellよ
り多量 に分泌 され るため と
いわれている。1"。今回われわれはイ ヌに対 し膵全摘
術に胃全摘術を加 え,IRIの みではな くIRGも 低下す
ることを確認 した。 この ことは今回の膵 ・胃全摘犬に
大 きな差 はみ られていない。こ の ことよ り少 くとも膵
全摘術後 において,イ ンス リン投与 によリアラエンか
おける内分泌環境が ヒ トにおける膵全摘術後 のそれに
よ り近似 していることを示 している。
ところで一般 に外科手術侵襲後 はいわ ゅ る surgical
と,14c_ブ ドゥ糖 の消失 が遅 い こ とが膵全摘術後 にみ
られた特徴である。今回の実験 にお ける14c_ブドゥ糖
放射能一時間曲線 は一種 の appearance disappearan‐
diabetesと呼 ばれ る耐糖能 の低下 した 状態 にな る こ
とが知 られている。こ れは ステ ロイ ドネルモン, グル
ce curveと考 えられ る配).膵 全摘群でみ られた14c_ブ
ドウ糖放射能 の減衰率が緩慢であるとい う現象 はプ ド
カゴンの分泌増加や,交 感神経刺激 の元進 のため とい
われ, この際骨格筋異化の元進 によ り末浦組織 よ り遊
出した アラニン,グ ル タ ミンなどを中心 とす る糖原性
ウ糖利用 の低下お よび glucOse‐
alanine cycle, Cori
cycleなどの three carbon unitと
しての recyclingの
ア ミノ酸 が肝 において糖新生 の材料 となっているとい
め
うことも知 られて いるll 。今回
の実験的膵全摘術 に
おける血糖値の変動をみ ると,イ ンス リンを投与 しな
い I群 では牌摘術 のみ を行 ったIII群
に比べ高血糖状態
らの糖新生は低下す ると考 えられる。
また14c_ァラニ ン投与後 の14c_ブドゥ糖放射能 の経
時的変化 をみ る と,明 らか な ピークを示 さない こ と
増大な どを反映 しているもの と考 えられ る。 また,こ
の現象 はインス リン欠如によ リブ ドウ糖 が末浦組織 に
uptakeさ れに くく酸化 が低下す ることや,グ ルカゴン
の欠如 によ リアラニンか らの糖新生が円滑にすす まな
後で は外因性 の鮮 ホルモンを補充 しないか ぎ り,グ ル
カゴン とイ ンス リンが同時に欠如す るため高血糖状態
いことを示唆す るもの と考 えられ る。Issekutzらは解
全摘術後 に glucose oxidationが
低下す ることを報告
してお り1り
,ま た膵全摘術後 にはアラニンな どの糖原
性 ア ミノ酸を中心 とした高 ア ミノ酸血症 がみ られ ると
の報告 もみ られ崎)1つ
,今 回の解全摘群 での14c_ブドゥ
とな り,イ ンス リンのみの投与ではグルカゴンが欠如
糖放射能 の減衰率の低下 とい う結果 は,い ずれ の報告
が続 いたが,イ ンス リンを投与 したII群では IRI,血糖
値 ともに低 い傾向がみ られた,こ の結果 か ら膵全摘術
81(669)
1986左
「3月
か らも予想 され る現象であ る。
今 回の実験結果 よ り膵全摘術後 にイ ンス リンのみ に
よる血 糖 の コン トロール を行 って も,糖 代謝 お よび こ
れ と関連 した ア ミノ酸代謝 が 円滑 に行わ れて い ない こ
とが示 唆 され,グ ル カ ゴンの投与 に よる正 常化 が期待
され るが,今 後 の検討 が必要 と考 え られ る。
V 。ま と め
今回 の実験的研究 よ り,膵 全摘術後早期 ではイ ンス
リン投与 のみで術後 の代謝管理 が 行われ て もア ミノ酸
か らの糖 新 生 が 著 し く抑制 され る こ とが 明 らか とな
り,糖 。ア ミノ酸代謝 が必ず しも円滑 に営 まれていな
い こ とが示唆 された 。
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