小栗かおるさんの場合 Part1 - 中国経済産業局

脱・都会! 地方に移住した若者たち
大阪→鳥取県米子市・大山町
小栗かおるさんの場合 Part1
総務企画部 広報・情報システム室
TEL 082-224-5618
このコーナーでは、東京や大阪などの都会から、地方に移住し、充実した生活を送っ
ておられる方をご紹介します。
連載第6回は、大阪から鳥取県米子市にIターンされ、大山町にて結婚式場を営む
(株)プリムローズガーデン 代表取締役 小栗かおるさんにお話を伺いました。
小栗さんは、生まれは三重県尾鷲市。大
阪府にて就職をされたのですが、24歳の
時にイギリスに3年間留学。本場のガーデ
ンデザインを学ばれました。
今は、大山の麓にある結婚式場、(株)プ
リムローズガーデンの代表取締役として活
躍。1000組余りの結婚式をプロデュー
スし、インターネットの口コミサイトで2
015年鳥取県総合ランキング 1 位を獲得
されています。
今回は小栗さんの鳥取に来られたきっかけ、そして、地域への思いを語って頂きます。
ガーデンデザインを学びに本場イギリスへ
--ご出身地、差し支えなければ年齢、そしてIターンされたきっかけを教えてください。
三重県尾鷲市です。年齢は38歳です。生まれた尾鷲市から大阪に出てから24歳の時イギリ
スに留学しました。ガーデニングのことを学んで、将来ガーデンデザインをしたいという思いがありました。
それが現在に大きくつながっていると思います。
ガ-デンデザインの学校といっても、イギリスの学校ですから英語が分からないと入学できません。で
すから1年間は語学留学し、その後ロンドンの郊外にあるガーデンデザインの学校で2年間、計3
年間ほどイギリスにて過ごしました。
旬レポ中国地域 2016 年 8 月号
1
--なぜガ-デニングに興味を?
14、5年前になりますが、ガ-デニングの雑誌が発刊された頃でした。当時、いろんなものが手
に入り豊かになって成熟し、花とか緑などにいろんな人の意識がだんだん向いてきた時期だと思うんで
す。
私は、きれいなものやデザインは結構好きでしたので、そういうことにもっと携われたら、もっと自分に
とっていいんじゃないか、という思いがありました。それなら本場に行くのが一番いいと思ったのでイギリス
に行ったわけです。
ガーデンデザイナーから社長に
--ガーデニング、そして鳥取県への移住、どう結びついたのでしょう?
私が帰国する27歳の時、ここは
原野でしたが、チャペルを中心とした庭
をデザインして欲しいとある方に依頼さ
れました。そして帰国してすぐに鳥取
県に来た、それがきっかけです。
今でこそきれいになっていますが、平
成17年当時はチャペルと水盤だけ
で、披露宴会場もありませんし、何も
ありませんでした。
その時、私は単なるガ-デンデザイ
大山とチャペル
[写真提供](株)プリムローズガーデン ウェブサイト より
ナ-でした。しかしその後、「森と水の教会」という結婚式場も建てられたので、お客さんが来るわけで
す。すると今度は、ウェディングになんの知識もない私に、社長としてウェディングのほうもやってみてほし
いと依頼されました。
そして平成19年、鳥取県に移り、株式会社プリムロ-ズガ-デンとして創業しました。今でこそ、
年間170組ぐらいを取り扱う結婚式場となりましたが、当初は本当に何にもわからない状態でし
た。
--手腕を買われたということですね。
どうでしょう。よくも私に「やってみろ」と言ったと思います。
ここには本当に何もなかったのですが、式場はありますし、このロケ-ションですから人は来ます。とこ
ろが、披露宴会場が無い、売上がとれない。どうやっていいか分からない。しかも当時私含めスタッフ
は3人で、大変厳しい状況でした。
でも私には、お客さんは来るという確信がどこかにありました。そこで、向い側のレストランを披露宴
会場にしたらいけるのではないかと思い、レストランを改装しました。そうすると1億円の単位で売上が
とんとんと上がったんです。
そうこう事業を続けているうちに、今度は、間に合わせのレストランなので狭いですし、式場から敷
旬レポ中国地域 2016 年 8 月号
2
地を越えて移動しなければならないということで、平成21年、地元の方や銀行といったいろいろな
方の協力などを得て、披露宴会場などを建てることができました。今は従業員も12人に増えまし
た。
--お客様がここに魅せられるのはなぜでしょう?
ガーデンがあるからこそプリムローズガ
ーデンは支持されているのだと思いま
す。
ウェディング事業から始めてガ-デン
を整備すると、普通のウェディング会社
です。結果論ですが、今なぜ当社がこ
れだけ鳥取県のなかでもお客さんに支
持されているかというと、たぶんガ-デン、
この環境からスタ-トしたからこそ、と私
は思っています。
地域の宝を目指す
[写真提供](株)プリムローズガーデン ウェブサイトより
--地域への思いをお聞かせください。
私が平成19年に来たときに掲げた理念のなかで、一番の理念は、「プリムロ-ズガ-デンは地
域の宝、訪れる全ての人が安らぎを感じられるガ-デン作りを目指します」ということです。それが原点
なので、地域への思いというのは、会社全てのベ-スにあります。
このガ-デンをきれいにすると、ガ-デンがきれいだからお客様が来てくれる、お客様が来てくれるか
ら、ガ-デンも維持ができる。ガーデンへは自由に入場可能ですし、そして平日にはカフェを営業して
いるので、結婚式のお客さんだけでなく、地域の方にもこのガーデンを楽しんでいただくことができるよう
にしています。
--平日も営業を?
ここが地域の方にとって安らぎを感じられる場所になったらいいな、という思いもありました。カフェで
庭を見ながら、美味しいお料理を召し上がっていただくというのは、地域への還元といえるでしょうか。
また、その他にも2か月に1回、無料のコンサ-トをチャペルで開催しています。定員100名です
が、すぐ埋ります。
これらの取り組み全てに会社の理念があり、それに基づいて私たちは結婚式行い、プリムロ-ズガ
-デンが「地域の宝」になるよう目指しています。
--この地域も若い方が少なくなり、結婚する方も少なくなっているのでは?
旬レポ中国地域 2016 年 8 月号
3
だからこそ、”大山”です。松江市から来て
くれるし、出雲市、鳥取市、そして広島県
呉市からも来てくれる、それはこの”大山”が
あるからです。
都会の式場には本物がないけれど、当社
は本物の自然と大山があり、その中にプリム
ロ-ズガ-デンがある、その中に森の水の教
会とチャペル、そして披露宴会場を設けてい
るのです。
英国調ゲストハウス
山陰道の大山インターチェンジから車で南東方面に10分、大山の麓を少し登ったと
ころに、プリムロ-ズガ-デンはあります。周辺は折しも初夏の緑が濃い森が拡がって
いたのですが、このガーデン内は別世界で、手入れの行き届いた庭園のなかで様々な花
が出迎えてくれました。
いきなりのイギリス留学もですが、結婚式のノウハウもないのに結婚式場の社長を引
き受ける小栗社長の行動力は羨ましいものあります。
次回は、創業時からのご苦労や、その企業理念をベースとした会社の取り組みを教え
て頂きます。
● プリムローズガーデン公式サイト http://www.primrosegarden.co.jp/
マップをクリックするとガーデンマップのあるページが開きます。
http://www.primrosegarden.co.jp/garden.html
[資料提供](株)プリムローズガーデン ウェブサイトより
経済産業省 中国経済産業局 広報誌
旬レポ中国地域 2016 年 8 月号
Copyright 2016 Chugoku Bureau of Economy , Trade and Industry. 4