救命入門コーステキスト

救命入門コーステキスト
心停止の
早期認識と
一次
予防
通報
救命処置
二次救命処置
と
心拍再開後の
集中治療
名張市消防本部
名 張 消 防 署
平成 28 年8月1日(内容改正)
救命処置の流れ(心肺蘇生とAEDの使用)
処置
①周囲の確認
観察
②反応なし
③大声で叫び応援を呼ぶ
119番通報・AED依頼
通信指令員の指示に従う
④呼吸をみる
普段どおりの
呼吸あり
気道確保
応援・救急隊を待つ
回復体位を考慮する
呼吸なし ※
※死戦期呼吸は心停止として扱う
⑤
・
・
・
・
⑥
・
⑦
胸骨圧迫
強く(成人は約5cm・小児は胸の厚さの約1/3)
速く(100∼120回/分)
絶え間なく(中断を最小にする)
圧迫解除は胸がしっかり戻るまで
人工呼吸
人工呼吸ができないか、ためらわれる場合は胸骨圧迫のみを続ける
心肺蘇生(胸骨圧迫30回+人工呼吸2回)を繰り返す
⑧AED装着
・電源を入れる
・電極パッドを装着する
⑨心電図の解析
電気ショックは必要か?
⑫繰り返し
⑩電気ショック1回
⑪その後ただちに胸骨圧迫から
心肺蘇生を再開
⑫繰り返し
⑪ただちに胸骨圧迫から
心肺蘇生を再開
救急隊に引き継ぐまで、または傷病者が目を開けたり、
普段どおりの呼吸が出現するまで心肺蘇生を続ける
①周囲の確認
「周囲よし」
☞ 周囲の安全を確認し、自らの安全を確保し
てから近づきます。
周囲の安全を確認
②反応(意識)の確認
「大丈夫ですか?」
「もしもし…」
「反応(意識)なし」
《 肩を軽く数回叩きながら、呼びかける 》
③助けを呼び・119番通報とAEDの手配・通信員の指示に従う
「誰か来て下さい」と助けを求めます。
「あなたは119番へ通報してください」
「あなたはAEDを持ってきてください」
助けを呼ぶ
※
119 番通報と AED 手配
協力者が誰も来ない場合は、自分で119番通報とAEDの手配をあ
なた自身が行います。
④呼吸の確認
(10秒以内で確認します。)
☞ 胸や腹部の上がり下がりを見る。
☞
胸や腹部の動きがない、呼吸の状態がよくわからない場合。
☞ しゃくりあげるような、途切れ途切れに起こる呼吸がみられる場合。
「呼吸の確認 1、2、3、4、5、6、普段どおりの呼吸なし」
⑤胸骨圧迫(30回)普段どおりの呼吸がなければ胸骨圧迫を行います。
胸骨圧迫
胸骨圧迫の姿勢
《 胸の真中を、重ねた両手で「強く、速く、絶え間なく」圧迫します。》
☞ 強く ⇒ 胸骨が約5㎝沈むまでしっかり圧迫
☞ 早く ⇒ 圧迫の速さは、1分間に100∼120回のテンポ
☞ 絶え間なく ⇒ 30回連続
圧迫解除は胸がしっかり戻るまで !
この部分(手の付け
根)で圧迫する
両手の置き方
※
両手の組み方と力を加える部位
小児の胸骨圧迫
小児に対しては、両手または片手で胸の厚さの約1/3が
沈むほど強く圧迫します。
⑥人工呼吸
(1)気道(空気の通り道)確保 【頭部後屈あご先挙上法】
☞ 片手を額に当て、もう一方の手の人差し指と中指の2本をあご先に
当て、頭を後にのけぞらせ、あご先を上げます。
(2)人工呼吸(2回) 【口対口人工呼吸】
胸が上がるのが見える程度で、1回に1秒かけて吹き込む
口対口人工呼吸
感染防止にハンカチなどをあてる
☞ 額に当てた手の親指と人差し指で鼻をつまみます。
☞ 口を大きく開けて息を約1秒かけて吹き込み胸が上がるのを確認
します。
☞ いったん口を離し、同じ要領でもう1回吹き込みます。
(合計2回)
※ 口の中が出血している、ハンカチなど感染防護具を持っていないなど
で口対口人工呼吸をためらわれた場合には、人工呼吸を省略し、すぐに
胸骨圧迫のみを続けます。
⑦心肺蘇生法実施
《 胸骨圧迫(30回)+人工呼吸(2回) 》
30
☞
協力者がいれば、1∼2分間程度を
目安に交代して、絶え間なく続ける。
☞ 救急隊が到着しても指示があるまで
実施する。
2
胸骨圧迫と人工呼吸の組合せ
※心肺蘇生法の中止
☞ 目を開けたり、普段どおりの呼吸をし始めた場合。
☞ 救急隊に心肺蘇生法を引き継いだとき(救急隊の指示に従う)
。
* AEDが到着したら、除細動を優先して行う。
「AEDの使用手順」へ進む。
AEDの使用手順
☞
心肺蘇生法を行っている途中で、AEDが届いたらすぐにAEDを使う準備を
始めます。
☞ AEDにはいくつかの機種があり、どの機種も同じ手順で使用できます。
☞
AEDは電源が入ると音声メッセージと点滅するランプで、実施すべきことを
指示してくれますので、落ち着いて音声メッセージに従って操作します。
①AEDの到着・準備《AEDを傷病者の近く(頭の横)に置く》
私の横にAEDを
置いてください!
AEDを持って来ま
した!
②AEDの電源を入れる
☞ AEDのフタを開け、電源ボタンを押します。
( フタを開けると自動的に電源が入る機種もあります。
)
☞
AEDの電源を入れると、音声メッセージと点滅するランプに従って操作しま
す。
まず、電源を入れます!
③電極パッドを装着
☞ 傷病者の胸の衣服を取り除き、胸をはだけます。
☞ 電極パッドの袋を開封し、パッドを 1 枚ずつシールからはがし、粘着面を傷病者
の肌《右鎖骨下と左側腹部(脇の5∼8cm下)
》にしっかりと貼り付けます。
注意事項を確認し「胸部よし」
。
右鎖骨下
左側腹部
小児の貼り付け位置
未就学児(6 歳未満)の場合
☞ 小児用電極パッドが備わっている場合は、これを用いる。
☞ 小児用モードが備わっている機種では、そのモードを小児に切り
替えます。
☞ 電極パッドに表示されている絵に従い、電極パッドを貼ります。
機種によって、胸と背中に貼るタイプのものもあります。
☞ 小児用電極パッド(小児用モードや小児キー)が備わっていない
場合は、成人用パッドを用いる。
※ 電極パッドを貼る時の注意事項
☞ 貼り付ける位置
⇒
電極パッドに表示されているイラストに従います。
☞ 汗や水などで胸が濡れている場合
☞ 胸に貼る薬が貼られている場合
⇒
⇒
タオルなどで拭取ります。
はがしてからタオルなどで拭取ります。
☞ ペースメーカーなどが埋め込まれている場合
⇒
埋め込まれている胸の皮
膚が盛り上がっているので、そこを避けて貼りつけます。
☞ 成人には小児用の電極パッドを使用しないでください。
電極パッドに貼る位置が描かれています。
④心電図の解析《離れる(自分、あなた、周囲)》
☞
電極パッドを貼り付けたら、コネクターをAEDのランプが点滅しているとこ
ろに差し込みます。
☞ 電極パッドを貼り付けると、
「体に触れないでください」などと音声メッセージ
が流れ、自動的に心電図の解析が始まります。
☞ このとき、
「皆さん離れてください」と周囲に注意を促し、誰も傷病者に触れて
いないことを確認します。さらに自分も離れていることを確認します。
みなさん、離れ
てください!
私も離れてま
す!
☞ 一部の機種には、心電図の解析を始めるために、音声メッセージに従って解析ボ
タンを押すことが必要な機種もあります。
⑤指示があれば除細動(電気ショック)
☞ AEDが電気ショックを加える必要と判断すると、
「ショックが必要です」など
の音声メッセージが流れ、自動的に充電が始まります。充電には数秒かかります。
☞ このとき、
「皆さん離れてください」と再度周囲に注意を促し、誰も傷病者に触
れていないことを確認します。
☞ 充電が完了すると、
「ショックボタンを押してください」などの音声メッセージ
が出て、ショックボタンが点滅し充電完了の連続音が流れます。
☞ 充電が完了したら、
「電気ショックをします。みなさん離れてください!」と再
度周囲に注意を促し、誰も傷病者に触れてないことを確認し、ショックボタンを
押します。
離れてくださ
い!
電気ショックを
します!
☞「ショックは不要です」などのメッセージが流れた場合は、ただちに胸骨圧迫を
再開します。
⑥心肺蘇生法を再開(2分間)
☞ 電気ショックが完了すると、
「ただちに胸骨圧迫を開始してください」などの音
声メッセージが流れるので、これに従って、ただちに胸骨圧迫(30 回)+人工呼
吸(2回)を再開します。
☞ AEDを使用する場合でも、AEDによる心電図の解析や電気ショックなど、や
むを得ない場合を除いて、胸骨圧迫の中断をできるだけ短くすることが重要!!
ただちに胸骨圧迫から再開する!!
⑦2分後に心電図の解析
☞ 心肺蘇生法を再開して2分経つと、再びAEDが自動的に心電図の解析を行いま
す。このときも音声メッセージの指示に従います。
☞ 以後は、心電図の解析
→
電気ショック(必要があれば)又は心肺蘇生法
→ 心電図の解析 の手順を繰り返します。