Trend Report 株式会社フィスコ 2016/8/15 【米連邦準備理事会の金融政策とドルの見通し 9月利上げは困難な状況に】 <7月FOMCで政策金利の据え置きが予想通り決定される> 7月26-27日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、政策金利(フェデラルファンドレート)を現行 の0.25%-0.50%に据え置くことが賛成多数で決定されました。カンザスシティ地区連銀のジョージ総裁は金利据 え置きに反対し、政策金利を0.25ポイント引き上げて0.50%-0.75%に変更すべきと表明しています。 ■金利据え置きの主な理由 ・大半の調査に基づいた長期的なインフレ期待の指標はあまり変わっていないこと ・企業の設備投資は軟調であること <FOMC声明のポイント:インフレ目標達成に向けた進捗と期待を注視> 7月27日公表のFOMCの声明では、最大雇用と2%のインフレ目標達成について、経済状況の実績と見通しを 評価するとの見解を表明しています。金融政策の決定に際して重視するとみられるポイントは以下の通りです。 1)労働市場とインフレ関連の指標、金融動向や国際情勢についての幅広い情報を考慮する。 2)政策金利は当面、長期的に到達すると見込まれる水準を下回るレベルで推移する可能性がある。 3)政策金利の実際の道筋は、今後入手するデータ次第となる。 <FRBの金融政策見通し:労働生産性低下で9月利上げは困難な状況に> 米労働省が9日発表した4-6月期の非農業部門労働生産性は、前期比年率-0.5%で市場予想に反して低下し ました。企業利益を重視した場合、労働生産性の低下は雇用拡大に歯止めをかける要因となるため、9月利上 げは難しいとの見方が広がっています。6月と7月の2カ月で非農業部門雇用者数は50万人以増えたものの、年 末にかけて雇用創出のペースは急速に鈍化する可能性があるとみられています。 ■FRBの金融政策:9月利上げは見送りの公算も年内利上げの可能性残る <ドル・円相場見通し:年内1回の利上げにとどまった場合、ドル弱みか> 6月15日に公表されたFOMCの金利・経済予測では、2016年末時点の米政策金利の予想中央値は0.75%1.00%、年内2回の利上げが想定されていました。しかしながら、4-6月期の非農業部門労働生産性は低下して おり、9月利上げは難しくなっていることから、利上げは年内1回にとどまる可能性が高まっています。米利上げ ペースが大幅に鈍化した場合、日米金利差急拡大の思惑は後退し、リスク選好的なドル買い・円売りは抑制さ れる可能性があります。 ■ドル・円相場の当面の想定レンジ:100.00円-104.00円 ※2016年のFOMC会合スケジュール 9月20日-21日、11月1日-2日、12月13日-14日(あと3回) 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 円 【N 株式会社フィスコ 2016/8/15 為替相場 先週のドル・円相場 取引レンジ 今週の見通し 100.83 円 - 102.66 円 想定レンジ 8月15日 - 100 円 - 8月19日 103 円 ドル・円は伸び悩み。4-6月期米非農業部門労働生 こう着か。米連邦準備制度理事会(FRB)による利上 産性は予想に反して低下したことや、7月米小売売上 げ時期を巡って、市場参加者の思惑が交錯する展 開となりそうだ。17日に公表される米連邦公開市場 高は前月比で横ばいとなったことから、早期利上げ 委員会(FOMC)議事録内容が注目される。年内の引 観測が後退。ドルは一時100円台後半まで下落する き締めについて市場はなお懐疑的であり、7月時点 局面をみせている。 でのFOMCでの利上げの感触を探ることになろう。 2週間の推移 1年の推移 (円) 129.00 (円) 106.00 124.00 119.00 104.00 114.00 109.00 102.00 104.00 100.00 2016/7/29 2016/8/5 2016/8/12 99.00 2015/8/12 2016/2/12 2016/8/12 債券相場動向(米国10年債) 先週の概況 今週の見通し 債券利回りは低下。12日発表された7月米小売売上 高は、前月比0.0%と市場予想の+0.4%程度を下回る 結果となったことが要因。堅調だった米個人消費は7 月にやや弱含みとなったことから、9月を含めた早期 利上げの可能性は大幅に低下した。年内利上げに対 する懐疑的な見方も増えたようだ。 債券利回りは上げ渋る見込み。米労働市場の改善 は続いているが、4-6月期の非農業部門労働生産性 が低下したことや、個人消費の勢いがやや弱まって いることから、インフレ加速の可能性は低いとの見方 が広がっている。早期利上げの必要性は低下し、長 期債などの利回り水準の上昇は抑制されるとみられ る。 今週の買い要因・売り要因 ◆ 買い要因 ◆ 売り要因 ・原油先物の上昇 ・日銀は9月にも追加緩和の可能性 ・米労働市場の改善継続 1 ・4-6月期米GDP成長は前期比年率+1.2%にとどまる ・米労働生産性低下で早期利上げは難しい状況 ・1-6月期経常黒字額は10兆6256億円と高水準 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 % 日本10年国債利回り 本日の債券市場見通 2010.3.25.Thu. AM 8:20 円 株式会社フィスコ 2016/8/15 【N 為替相場 先週のユーロ相場 取引レンジ ユーロ/円 ユーロ/米ドル 今週の見通し 112.71 円 1.1071 ドル - 想定レンジ ユーロ/円 114.03 円 1.1221 ドル ユーロ/米ドル 8月15日 - 112 円 1.1150 ドル - 8月19日 115 円 1.1400 ドル 下げ渋り。米早期利上げ観測は後退し、米ドル安・円 高の相場展開となったが、米国とユーロ圏の金利差 急拡大の思惑は後退した。短期筋などのユーロ買 い・米ドル売りが活発となったことでユーロの対円レー トは112円台後半で下げ渋り、113円台に戻す展開と なった。 底堅い展開か。9月下旬に開催される石油輸出国 機構(OPEC)非公式会合で市場安定に必要な措置 などが協議される見通しとなり、原油価格反発の期 待が浮上。また、日本銀行による9月追加緩和への 期待は持続しており、ユーロの対円レートは下げ渋 る見込み。 2週間の推移 1年の推移 118.00 (円) 150.00 (円) 140.00 116.00 130.00 114.00 120.00 112.00 110.00 110.00 2016/7/29 2016/8/5 2016/8/12 100.00 2015/8/12 2016/2/12 2016/8/12 債券相場動向(ドイツ10年債) 先週の概況 今週の見通し 債券利回りは低下。欧州中央銀行(ECB)は現行の債 券購入プログラムの期間を延長するとの見方が浮上 し、中核国のドイツを含めてユーロ圏諸国の債券利回 りは総じて低下した。また、英中央銀行は、英国の欧 州連合(EU)離脱への対応として量的緩和プログラム を実施しており、この影響もあったようだ。 債券利回りはもみあいか。米国の早期利上げ観測 は大きく後退し、年内の利上げ実施に対する懐疑 的な見方も浮上した。この影響でドイツ国債の利回 り水準は上げ渋る見込み。ただし、インフレ鈍化に 対する過剰な警戒感は低下しており、リスク回避的 な債券買いが大きく広がる可能性は低いとみられ ている。 今週の買い要因・売り要因 ◆ 買い要因 ◆ 売り要因 ・ユーロ圏の失業率は低下傾向 ・日銀は9月にも追加緩和の可能性 ・ユーロ圏の経常黒字 ・英国のEU離脱はユーロ圏経済への打撃となる可能性 ・米労働市場の改善継続 ・ユーロ圏の低成長率、低インフレ率 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 円 株式会社フィスコ 2016/8/15 【N 為替相場 先週のトルコリラ相場 取引レンジ 33.84 円 今週の見通し - 34.54 円 想定レンジ 8月15日 32.0 円 - 8月19日 35.5 円 しっかり。トルコ軍によるロシア軍機の撃墜事件以 降、険悪なムードだったロシアのプーチン大統領と の首脳会談が実施された。両国の関係修復を受け て、ロシアはトルコへの貿易制裁を段階的に解除 するとのこと。こうした政治の安定化を受けて買戻 される展開となった。 下落か。8日にムーディーズは最新の格付け発表を 90日以内に完了すると先延ばしたが、今週末の19 日にフィッチが最新の格付けを発表する予定。市場 では格下げによって売り圧力が強まるとの声が多 い。年初来安値32.99円を下回る可能性もある。 2週間の推移 1年の推移 36 (円) (円) 48 35 43 34 38 33 33 2016/7/29 2016/8/5 2016/8/12 2015/8/12 2016/2/12 2016/8/12 債券市場動向(トルコリラ5年債) 先週の概況 今週の見通し 債券利回りは低下。8日に発表された6月鉱工業生 産は、前月比増加予想に反して減少したことや、米 長期金利の低下が意識されたようだ。米労働市場 のさらなる拡大に対する懐疑的な見方が浮上し、 早期利上げの思惑は後退したことが要因。為替相 場がリラ高・米ドル安に振れたことも材料視された。 債券利回りは強含みか。通貨リラの先安観は後退 しており、資金流出に対する投資家の警戒感は低 下しつつある。ただし、経常収支悪化は利回り上昇 につながる要因。また、トルコ中央銀行は8月も主 要政策金利である指標レポレートを7.50%に据え置 く可能性が高いことも、債券利回りの低下を阻む要 因となる。 今週の買い要因・売り要因 ◆ 買い要因 ◆ 売り要因 ・米早期利上げは困難との見方 ・トルコ政府の経済成長戦略への期待感 ・治安正常化への期待 ・米労働市場の改善継続 ・主要政策金利据え置きで通貨安の懸念 ・観光収入激減で経常赤字拡大の可能性 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 株式会社フィスコ 【11月米雇用統計 予想通りならば、12月利上げを最終確認へ】 【N ディスクレーマー(免責条項) 本レポートは、本取引所が㈱フィスコから提供を受けて、公表しているものであり、本レポートの 内容に関する一切の権利は、㈱フィスコに帰属いたします。本取引所は、本レポートの正確性、 完全性、適時性等を保証するものではありません。また、本取引所は、本レポートを用いて行う 一切の行為及び本レポートに基づいて被った損害について、何ら責任を負うものではありませ ん。 株式会社東京金融取引所 株式会社フィスコ(以下[フィスコ]という)は株価情報および指数情報の利用について東京証券取引所・大阪取引 所・日本経済新聞社の承諾のもと提供しています。“JASDAQ INDEX” の指数値及び商標は、株式会社東京証券取引所 の知的財産であり一切の権利は同社に帰属します。 掲載される情報はフィスコが信頼できると判断した情報源をもとにフィスコが作成・表示したものですが、その内容 及び情報の正確性、完全性、適時性について、フィスコは保証を行っておらず、また、いかなる責任を持つものでは ありません。 本資料に記載された内容は、資料作成時点において作成されたものであり、予告なく変更する場合があります。 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権はフィスコに帰属し、事前にフィスコへの書面による承諾を得ること なく本資料およびその複製物に修正・加工することは堅く禁じられています。また、本資料およびその複製物を送 信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。 フィスコが提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものでは ありません。 本資料に掲載される株式、投資信託、債券、為替および商品等金融商品は、企業の活動内容、経済政策や世界情勢な どの影響により、その価値を増大または減少する事もあり、価値を失う場合があります。 本資料は、本資料により投資された資金がその価値を維持または増大する事を保証するものではなく、本資料に基づ いて投資を行った結果、お客様に何らかの損害が発生した場合でも、フィスコは、理由のいかんを問わず、責任を負 いません。 フィスコおよび関連会社とその取締役、役員、従業員は、本資料に掲載されている金融商品について保有している場 合があります。 投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いい たします。 以上の点をご了承の上、ご利用ください。 株式会社フィスコ
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