2015年度マル査事績と最近話題の脱税事件

2015年度マル査事績と最近話題の脱税事件
●脱税規模は低い水準
2015年度に全国の国税局が実施した強制調査
(いわゆるマル査)は189件で、前年より5件減
りました。また、処理(検察庁への告発の可否を
判断したもの)件数は181件でこのうち6割強に
当たる115件が告発されています。
告発分脱税額合計は112億円で、右図の通りこ
の2、3年150億円を切る低い水準で推移してい
ます。内訳は法人税57億円、所得税31億円、消
費税10億円、相続税11億円、源泉所得税3億円で
した。
●“申告が面倒”と2億円を脱税
ネットの株取引で2年間で31億円もの利益を得
たにも関わらず、確定申告せずに脱税した事件。巨
額の所得にも関わらず、当時の軽減税率7%が適用
されて、脱税額はわずか2億2千万円。
脱税したのは44歳男性で、源泉徴収のない一般
口座で株の取引を繰り返していたのに、確定申告を
していませんでした。“確定申告が面倒だった”と
証言し、裁判官の怒りを買っています。現在は、源
泉徴収される特別口座で取引しているので、二度と
脱税はしないと誓ったとか…。
脱税理由はあきれるばかりですが、ネット取引で
巨額の利益をあげた才能はうらやましい限り…?
●偽の遺言で相続税5億円を脱税
兄から10億5千万円を相続した弟が、
「財産を公益法人へ寄付する」という偽
の遺言書を偽造し、4億9,500万円の相
続税を脱税した事件です。この事件で
は、本人のほか、脱税に関与した税理士、知人の落
語家など計7人が逮捕され、ワイドショーでも取り
上げられました。
“公益法人へ遺贈した財産には相続税がかからな
い”仕組みを悪用したものの、寄付先はグルではな
かったため、送金した寄付金がすぐに引き出された
ことから悪事が明らかに…。
★査察件数が多い税目は法人税、所得税の順
★全体の約半数を東京国税局で実施
★ 平 均 脱 税 額 は、法 人 税(8,200 万 円)、所 得 税
(1億2,400万円)、相続税(2億1,800万円)等
査察開始から裁判判決まで
査察着手
●税理士の脱税指南で1億円を脱税
大阪の広告代理店F社は、架空の経営コンサルテ
ィング料を計上するなどで3億9,700万円の所得を
隠し、法人税1億1,900万円を免れていました。架
空の経費計上は経営者と顧問税理士の共謀
によるものでした。
脱税協力や名義貸しをする税理士の増加
で、税理士の懲戒処分は昨年から厳しく改
正されましたが、果たしてその効果は?
NEWS RELEASE 2016.8
2015年度は1事件あたり、着手日に
49か所を調査、延べ155名を動員
9カ月間
処
理
63.5%(115件)
36.5%
検察庁へ告発
告発なし
裁 判/
判 決 脱税の有罪率は高く、
2015年度は100%!
Copyright© EIWA Consulting, Inc. All Rights Reserved