2016・2017年度の全国・中国地域の経済見通し

2016・2017 年度の全国・中国地域の経済見通し
(2016 年 7 月)
最新の経済情勢を織り込み,当研究所の計量経済モデルを用いて,2016・2017 年度の全国・中
国地域の経済見通しを以下のとおりまとめたので報告する。
<中国地域経済は下振れリスクを抱えつつ,しばらく低成長が続く>
(2016 年度)
∼2 年連続のプラス成長となるものの,円高の影響で成長率は鈍化∼
英国の EU 離脱問題を背景とした円高や中国経済の減速などから輸出や生産が伸び悩み,民間設
備投資は伸びが鈍化する。一方,企業の人手不足感が続くなか引き続き雇用情勢は改善するが,企
業収益の悪化から賃金は低い伸びにとどまるため,民間最終消費や民間住宅投資は小幅な伸びとな
る。
景気回復を支えてきた企業部門が力強さに欠けることから,中国地域の実質経済成長率は,前年
比+0.3%と伸びは前年度より鈍化する。
(全国:前年比+0.4%)
(2017 年度)
∼円高基調が続くことから,低い成長率にとどまる∼
欧州経済は先行き不透明感が残るものの,ドル高や原油安の是正を背景に米国経済が回復基調で
推移することから,米国向けを中心に輸出や生産が緩やかに持ち直す。企業収益は徐々に改善に向
かい,設備投資もやや増勢を増す。民間最終消費は引き続き緩慢なペースで増加する。
中国地域の実質経済成長率は,前年比+0.8%と 3 年連続のプラス成長となるが,総じて力強さに
欠けるため1%未満の成長率にとどまる。
(全国:前年比+0.8%)
なお,
英国の EU 離脱問題などを契機とする国際金融市場の混乱を背景とした一段の円高進行や,
中国をはじめとした海外経済の下振れ,米国大統領選挙後の大幅な政策変更,などの不確実な要因
を注視する必要がある。
(%)
6
中国地域 域内総支出(前年比)
4.2
4
3.4
4
2.6
0
1.6
1.0
-0.7
-2
0.8
0.3 0.6
1.1
実質
3.5
2
2.0 1.7
1.4
0.9
0.4
-4
11
12
2.2
0.8
0.0
-0.9
-1.3
-2
1.5
13
14
15
(年度)
16
17
0.9 0.8
1.3
名目
-4
10
注:中国地域の 13 年度までは公表値。14,15 年度の値は当研究所の推計値
資料:内閣府「国民経済計算」
「県民経済計算」
1 ■エネルギア地域経済レポート No.505 2016.8
0.4
実質
名目
-2.4
-3.0
10
予測
0
-0.1
国内総支出(前年比)
2.6
2.3 2.0
2
全国
(%)
6
予測
11
12
13
14
15
(年度)
16
17
調査レポート
○2016・2017年度の全国・中国地域の経済見通し(総括表)
(上段: 兆円,下段:対前年伸び率 %)
中国地域
2015年度
(推計)
2016年度
(予測)
全 国
2017年度
(予測)
2015年度
(実績)
2016年度
(予測)
2017年度
(予測)
名目域内(国内)総支出
29.18
(2.6)
29.35
(0.6)
29.66
(1.1)
500.4
(2.2)
504.7
(0.9)
511.0
(1.3)
実質域内(国内)総支出
30.89
(1.0)
30.97
(0.3)
31.21
(0.8)
529.0
(0.8)
531.0
(0.4)
535.4
(0.8)
民間最終消費
17.54
(-0.7)
17.58
(0.2)
17.67
(0.5)
306.4
(-0.2)
307.5
(0.3)
309.6
(0.7)
民間住宅投資
0.64
(3.4)
0.64
(0.5)
0.65
(0.1)
13.5
(2.4)
13.6
(1.1)
13.6
(0.2)
民間設備投資
4.01
(3.3)
4.05
(0.8)
4.14
(2.4)
72.2
(2.0)
72.7
(0.7)
74.5
(2.5)
公的固定資本形成
1.33
(1.3)
1.32
(-0.8)
1.30
(-1.3)
21.2
(-2.7)
21.2
(-0.1)
21.0
(-0.7)
移出入(純)
1.81
(1.7)
1.75
(-3.4)
1.78
(1.7)
−
−
−
輸出
−
−
−
92.0
(0.4)
92.4
(0.3)
94.3
(2.0)
輸入
−
−
−
80.3
(-0.1)
80.5
(0.2)
82.4
(2.4)
内需寄与度(%)
−
−
−
0.7
0.3
0.8
外需寄与度(%)
−
−
−
0.1
0.0
0.0
94.6
(1.4)
95.1
(0.5)
95.5
(0.4)
域内(国内)総支出
デフレーター
国内企業物価指数
(2010年=100)
消費者物価指数
(2010年=100)
94.5
(1.5)
94.7
(0.3)
95.0
(0.3)
−
−
−
101.8
(-3.2)
100.6
(-1.2)
102.1
(1.5)
−
−
−
103.6
(0.2)
103.6
(0.0)
104.4
(0.7)
注:1.実質値,デフレーターは全国:連鎖方式(2005年基準),中国地域:固定基準年方式(2005年基準)による。
2.公的固定資本形成とは,公共事業など,政府や自治体が行う社会資本整備などの投資をいう。
3.中国地域の「移出入(純)」は「移輸出」から「移輸入」を差し引いたもの。
「移輸出(移輸入)」とは,輸出(輸入),国内他地域向け(他地域から域内へ)の製品出荷額・販売額,
他地域の居住者の(居住者の域外での)観光消費などからなる。
4. 端数処理の関係で合計が一致しないことがある。
○主要前提条件
・米国実質成長率……
雇用所得環境の改善を背景に家計部門を中心に堅調に推移
・為替レート…………
金融市場におけるリスク回避の動きなどから円高水準
・原油価格……………
産油国の増産などを背景に足元の水準で安定的に推移
・国内金融政策……………
緩和的な金融政策が継続
2015年度
2016年度
2017年度
(実績)
(予測)
(予測)
米国実質経済成長率(%)
2.4
1.8
2.5
為替レート(¥/$)
120
106
105
原油価格($/バレル)
49
48
50
注:1.米国実質経済成長率は暦年値 2.原油価格は輸入通関価格
エネルギア地域経済レポート No.505 2016.8■ 2
1.中国地域経済の現状1
図表 2 輸出と鉱工業生産(中国地域)
∼概ね横ばいの動き∼
18000
○企業部門(図表 1,2,3)
16000
日銀短観の業況判断 D.I.は足元(6 月調査)で
(億円)
(2010年=100)
120
通関輸出額
115
14000
110
12000
105
はプラスながら 3 カ月前より悪化している。輸出
10000
100
額は円高や中国経済の減速などから足元では前
8000
95
6000
90
年割れが続いている。生産活動は輸出が減少して
4000
いるなかで底堅い内需に支えられて一進一退で
2000
推移している。設備投資は横ばい圏内ながら堅調
0
に推移している。
80
15
16
(年・四半期)
資料:神戸税関「貿易統計」,中国経済産業局「鉱工業生産動向」
雇用・所得環境が引き続き改善していることな
どから,個人消費は概ね底堅く推移している。住
宅投資はローン金利の低下などを背景に持ち直
している。
○総括
10
11
12
13
14
図表 3 設備投資と住宅投資(中国地域)
(億円)
4000
新設住宅着工戸数(右目盛)
3500
(万戸)
1.6
1.4
3000
1.2
2500
1.0
2000
0.8
1500
0.6
1000
中国地域では,企業部門が海外経済の減速を背
景に一部で弱い動きがみられるものの,家計部門
が個人消費を中心に底堅く推移していることか
ら,総じて景気は概ね横ばいの動きとなっている。
500
0
全体
0.2
※太線は後方4期移動平均
10
11
12
13
0.0
15
16
(年・四半期)
注:設備投資は中国地域に本社のある資本金 10 億円以上の企業
(回答企業のみ)
資料:中国財務局「法人企業統計調査」
,国土交通省「住宅着工統
計」
図表 1 業況判断 D.I.(中国地域)
20
0.4
民間設備投資額
09
14
図表 4 有効求人倍率と消費総合指数
(中国地域)
(%ポイント)
製造業
85
75
09
○家計部門(図表 3,4)
40
鉱工業生産指数(季)(右目盛)
(2005年度=100)
115
(倍)
1.6
有効求人倍率(季)
(右目盛)
0
110
1.2
-20
-40
非製造業
-60
-80
0.4
100
※業況判断D.I.=景気が「良い」(%)−「悪い」(%)
99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
(年・四半期)
注:最終期(16 年 3Q)の値は企業の予測値
資料:日本銀行広島支店「企業短期経済観測調査結果の概要」
1
0.8
105
足元の経済状況は,本誌「経済情勢」
(p.17∼)も参照されたい。
3 ■エネルギア地域経済レポート No.505 2016.8
消費総合指数(季)
0.0
95
09
10
11
12
13
14
15
16
(年・四半期)
注:消費総合指数の四半期値は各月の平均値
資料:厚生労働省「一般職業紹介状況」
,内閣府
調査レポート
2.中国地域経済の見通し
(1)主な前提条件
○海外経済(図表 5)
図表 5 欧米と中国の実質経済成長率の推移
(%)
15
10
中国
∼欧米経済は堅調,中国経済は減速∼
米国経済はドル高・原油安に歯止めがかかった
5
ことで輸出や設備投資が徐々に持ち直しに向か
0
う。また,雇用・所得環境の改善が続くことから
-5
個人消費は緩やかな回復が続く。2016 年の実質経
-10
済成長率は+1.8%,2017 年は+2.3%と想定した。
米国
欧州
-15
欧州経済は英国の EU 離脱問題で金融市場を中
09
10
11
12
13
14
心に当面は不透明感が持続するものの,雇用環境
の改善が続くことで消費が底堅く推移すること
から 1%台半ばの緩やかな伸びを想定した。
15
16
(年・四半期)
注:1.欧州はユーロを使用する 19 ヵ国
2.米国,欧州は前期比年率,中国は前年比の成長率
資料:米国商務省,ユーロスタット,中国国家統計局
中国は過剰な生産能力と債務の調整が続くこ
図表 6 原油価格の推移
とから,設備投資を中心に緩やかな減速傾向で推
160
移する。2016 年,2017 年の実質経済成長率は 6%
140
台半ばと想定した。
120
(ドル/バレル)
WTI(米国産標準油種)
(2016/6) 48.9
100
○原油価格(図表 6)
∼足元の水準で安定的に推移∼
80
60
40
世界経済の緩やかな持ち直しで原油需要が
20
徐々に増加するなかで,OPEC など産油国の減産
0
09
が見込めないことなどから,引き続き供給過剰状
況が続く。通関輸入原油価格は,2016 年度は 48
通関輸入原油価格
(2016/5) 40.6
11
12
13
14
15
16
(年・月)
資料:米国エネルギー省,財務省
図表 7 為替レート等の推移
ドル/バレル,2017 年度は 50 ドル/バレルと安定
的な推移を想定した。
10
(%)
3.0
(円/ドル)
130
為替レート(右目盛)
○為替レート〔円ドル〕
(図表 7)
2.5
120
2.0
110
1.5
100
∼当面は円高水準が続く∼
英国の EU 離脱問題などを契機に国際金融市場
で先行き不透明感が持続するなかリスク回避の
動きから円高圧力が持続する。2017 年にかけては
米国の利上げなどから一方的な円高進行は回避
され,ほぼ現状の水準で推移する。2016 年度は
106 円/ドル,
2017 年度は 105 円/ドルと想定した。
1.0
FF レート誘導目標
(FRB )
0.5
0.0
90
80
70
09
10
11
12
13
14
15
16
(年・月)
注:FF レート誘導目標はレンジの上限を記載
資料:日本銀行
エネルギア地域経済レポート No.505 2016.8■ 4
(2)主な需要項目別の見通し
○民間最終消費(図表 8)
∼所得の増勢鈍化などを背景に低い伸びにとどまる∼
(2016 年度)
雇用・所得環境の改善が押し上げ要因となる。ただし,企業収益の悪化から賃金は低い伸びにと
どまるほか,株価下落による逆資産効果などが下押し要因となり,緩慢な伸びとなる。消費増税の
影響が一巡し,民間最終消費は+0.2%と 3 年ぶり
図表 8 実質民間最終消費(前年比)
に前年比プラスとなるものの,低い伸びにとどま
る。
(全国+0.3%)
(2017 年度)
(%)
4
3
予定されていた消費税率の引き上げ時期が 2 年
2
半先送りされたことから,懸念された駆け込み需要
1
の反動減や実質所得減少による押し下げもなく,改
0
善が続く雇用・所得環境を背景に緩やかに持ち直す。
-1
民間最終消費の伸び率は+0.5%とやや伸び率が高
-2
まる。
-3
(全国+0.7%)
予測
3.1
2.7
2.3
1.6
1.1
1.7
1.4
0.5
0.2 0.3
-0.2
-0.4
-0.7
中国
-3.2
-2.9
全国
(年度)
17
-4
10
○民間住宅投資(図表 9)
∼駆け込み需要がなくなり横ばい圏内で推移∼
0.7
11
12
13
14
15
16
注:中国地域の 14,15 年度は当研究所の推計値(以下,同様)
資料:内閣府「国民経済計算」「県民経済計算」
(2016 年度)
雇用・所得環境の改善や歴史的な低水準の住宅
図表 9 実質民間住宅投資(前年比)
ローン金利を背景に緩やかに増加する。ただし,
予定されていた消費税率引き上げが延期された
(%)
15
ことで駆け込み需要がなくなることから,民間住
10
宅投資の伸び率は+0.5%と緩やかな増加にとど
5
まる。
0
(全国+1.1%)
(2017 年度)
8.8
7.6
2.8 2.2
5.4 5.7
3.4
3.2
2.4
0.5 1.1 0.1 0.2
-5
低金利を背景に引き続き住宅取得意欲は高い
状況が続く。一方で,旺盛だった貸家建設が徐々
に落ち着きを見せることなどから,増勢は鈍化す
る。民間住宅投資の伸び率は+0.1%とほぼ横ばい
となる。
予測
13.7
(全国+0.2%)
5 ■エネルギア地域経済レポート No.505 2016.8
-10
-11.7
-15
中国
全国
-17.3
-20
10
11
12
13
14
15
資料:内閣府「国民経済計算」「県民経済計算」
16
(年度)
17
調査レポート
図表 10 実質民間設備投資(前年比)
○民間設備投資(図表 10)
∼企業業績の悪化から伸びが鈍化∼
(%)
10
予測
6.8
(2016 年度)
航空機関連,エレクトロニクス関連,医薬品を
5
3.8
4.8
はじめとして,必要な投資が着実に実施されてい
く。半面,円高による企業業績の悪化から,投資
3.7
2.8
3.0
3.3
2.0
0.9
0.8 0.7
0.1
0
2.4 2.5
2.0
の増加ペースは鈍化する。民間設備投資の伸び率
-5
は+0.8%と前年より伸び率が低下する。
中国
全国
(全国+0.7%)
-10
-8.0
(年度)
17
10
11
12
13
14
15
16
資料:内閣府「国民経済計算」「県民経済計算」
(2017 年度)
輸出や生産が緩やかな持ち直しに向かうなか,
企業業績も徐々に上向くことから,設備投資はや
や増勢を増す。民間設備投資は+2.4%と 7 年連続
図表 11 実質移出入(純)
(億円)
25000
予測
の前年比プラスとなる。
(全国+2.5%)
20000
18919
18761
16747
∼輸出は横ばいから緩やかな増加へ∼
18128
14
15
17804
17513
14830
15000
○移出入(純)
(図表 11,12)
17829
10000
5000
(2016 年度)
円高や中国経済の減速に加え,持ち直しに向か
0
10
う先進国経済の回復ペースも緩やかであること
11
12
13
(年度)
17
16
資料:内閣府「県民経済計算」
から,輸出は横ばい圏内にとどまる。一方,輸入
は円高を背景に緩やかに増加する。移輸出から移
図表 12 <参考> 通関輸出額
(%)
輸入を差し引いた移出入(純)は 1.75 兆円と前
20
年度に比べて減少する。
15
(全国の輸出+0.3%)
15.9 14.9
13.4
10.8
10
6.3
(2017 年度)
5
5.4
海外経済の持ち直しを背景に輸出は緩やかに
増加する。個人消費や設備投資などの国内需要が
少しずつ明るさを増すことから移出はやや伸び
0
-5
率が高まる。移出入(純)は 1.78 兆円と前年度
-10
に比べて増加に転じる。
-15
-3.7
-3.1
-4.7
中国
-8.2
全国
(年度)
10
(全国の輸出+2.0%)
-0.7
-2.1
11
12
13
14
15
資料:財務省「貿易統計」,神戸税関「貿易統計」
エネルギア地域経済レポート No.505 2016.8 ■ 6
(参考1)わが国 GDP を押し上げる訪日外国人消費
近年,アジア諸国の経済発展やわが国のビザ緩
規模はわが国の貿易収支(純輸出)と比較しても
和などを背景にアジア諸国,とりわけ中国を中心
いまや無視できない大きさで,GDP の約 0.4%に
に訪日外国人客数が急増している(図表 13)
。
も相当する(図表 15)
。これは小規模県1県の年
これに伴い,外国人旅行者による日本国内での
消費額(購入金額)も急増し,足元では日本人が
海外で行う消費の額を約 2 兆円上回る 3.26 兆円
間民間最終消費額を上回り,重要な構成要素とな
りつつある。
一方で,訪日外国人の国内訪問先は首都圏や近
畿などに偏りが強く,中国地域は宿泊数の構成比
の規模に達している(図表 14)
。
外国人旅行者の国内消費額から日本人の海外
でわずか 1.8%を占めるに過ぎない(図表 16)
。
での消費額を差し引いた差である約 2 兆円は,わ
現状では訪日客の経済効果は地域的な偏りが大
が国の GDP を押し上げる効果を有するが,その
きい。
図表 13 訪日外国人客数の推移
(万人)
2,000
図表 15 訪日客と日本人海外旅行者の消費額収支
(兆円)
25
1974
※いずれも季調値,年率
1,800
1665
1,600
外国人旅行者の
直接購入(純)
20
純輸出
1,400
総数
1,200
15
アジア
1,000
韓国
800
12.7
10
5兆円でわが国
の実質GDPを
約1%押し上げ
中国
北米+欧州
600
499
400
400
※韓国,中国は
アジアの内数
256
200
5
1.95
0
実質GDP
の約0.4%
0
-5
(年)
資料:日本政府観光局(JNTO)
05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
図表 14 訪日外国人客の消費額の推移
(年・四半期)
資料:内閣府「国民経済計算」
(兆円)
図表 16 地域別の外国人延べ宿泊者数(2015 年)
4.0
外国人旅行者の日本国内での購入
3.5
(参考)日本人旅行者の海外での購入
3.26
3.0
2000
2.5
1500
2.0
1000
1.5
1.31
(35.6)
2338
(万人)
2500
(24.3)
1592
(8.6)
564
500
61 59
1.0
全国計:6561万人
(3.8)
246
78
(8.2)
541
(1.8)
117 44
(8.4)
553 (5.6)
368
0
北 東 北 首 甲 北 東 近 中 四 九 沖
海 北 関 都 信 陸 海 畿 国 国 州 縄
道
東 圏 越
0.5
0.0
05
06
07
08
09
10
11
12
13
資料:内閣府「国民経済計算」
7 ■エネルギア地域経済レポート No.505 2016.8
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16
(年・四半期)
注:図中( )内は全国に占める構成比(%)
資料:観光庁「宿泊旅行統計調査」
調査レポート
(参考2)三菱自動車工業水島製作所の生産活動による経済効果(試算)
平成 28 年 4 月に明らかになった三菱自動車工
図表 17 三菱自動車の協力企業が多い都道府県
業の燃費不正問題を受け,軽自動車の生産を担っ
てきた同社水島製作所(岡山県倉敷市)の早期の
企業数
順位
都道府県
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
19
―
―
愛知県
東京都
大阪府
広島県
岡山県
神奈川県
京都府
埼玉県
静岡県
兵庫県
岐阜県
滋賀県
その他
計
稼働正常化が望まれるなか,今回あらためて自動
車産業が雇用・生産面で各地域に大きな影響を及
ぼしていることが再認識される形となった。
(株)帝国データバンクの調査によると,三菱
自動車工業グループと直接,間接の取引がある協
力企業は全国で 7,777 社,従業員数は約 41 万人
に上る。このうち中国地域における協力企業は岡
山県,広島県を中心に 1,151 社,従業員数は約 5
企業数
(社)
1,409
1,228
1,009
570
509
426
270
257
249
238
230
75
1,307
7,777
うち 1次
協力会社
177
167
74
39
99
58
52
8
15
15
27
8
57
796
従業員数
(人)
71,054
86,279
57,560
26,790
23,630
17,993
11,093
7,730
11,763
15,000
14,321
4,580
64,039
411,832
注:網掛行は三菱自動車工業の生産拠点がある県
資料:
(株)帝国データバンク「
『三菱自動車工業』グループの
下請企業実態調査」より一部加工
万 4 千人に達する(図表 17)
。
水島製作所の平成 27 年度の生産台数は約 30 万
9 千台。その生産・販売による生産誘発効果を当
円,
雇用効果 1,840 人と全国で 3 番目に大きい
(図
研究所が試算したところ,全国で年間約 9,500 億
表 18)
。
円,またそれに伴う雇用効果は全国で約 40,000
一方,生産誘発効果を県別の経済規模(総産出
人に上る。
額)と比較してみると,岡山県(2.4%)
,広島県
このうち中国地域では生産誘発効果が約 4,650
(0.2%)で影響が大きいほか,島根県,鳥取県,
億円,雇用効果が約 13,600 人となる。県別に見
山口県など中国地域の各県でも総生産額の 0.1%
ると,岡山県での経済効果が最も大きく年間
弱程度と比較的影響が大きい(図表 19)
。生産誘
3,940 億円,雇用効果が約 10,870 人。2 番目は愛
発効果が大きい地域では逆に減産の悪影響も大
知県。中国地域では広島県での経済効果が 530 億
きいことから,生産の早期正常化が一層望まれる。
図表 18 水島製作所における自動車生産の経済効果
(上位 10 県)
(億円)
4500
4000
3500
3000
2500
2000
1500
1000
500
(%)
(10870)
3938
3.0
全国での生産波及効果:9535億円
(雇用効果:約40000人)
2.5
中国5県での生産波及効果:4649億円
(雇用効果:約13600人)
注:
( )内の値は雇用効果
2.44
2.0
(4570)
1298
(1840)
531
352 335 301 215
199 197 174
0
図表 19 水島製作所における自動車生産の経済効果
(総産出額に占める比率,上位 10 県)
1.5
1.0
0.5
0.24 0.17
0.13 0.11 0.09 0.09 0.09 0.08 0.07
0.0
資料:電力中央研究所「47 都道府県間産業連関表」により当研究所が試算
経済産業グループ 森岡 隆司,黒瀬 誠,角野 豪哉
エネルギア地域経済レポート No.505 2016.8 ■ 8