05-安全設計アプローチの可視化_v1.0_20160728

Safety Concept Notation Open Conference 2016
安全設計アプローチの可視化
~ 車載電子機器開発へのSCDL適用事例 ~
2016年 7月 28日
カルソニックカンセイ株式会社
電子事業本部 電子戦略推進グループ
ISO26262推進
佐々木
喜好
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
本日ご紹介したいこと
学問的な難しい所は専門家の方々へお任せするとして
• 「SCDL」=「お絵かき作法」ではなかった
• 可視化って素晴らしい
• カルソニックカンセイ?
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
2
会社紹介
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
会社概要
会社名
本社所在地
設立
代表取締役社長
資本金
カルソニックカンセイ株式会社
埼玉県さいたま市北区日進町2-1917
1938年8月25日
森谷 弘史(CEO)
415億円
※’15年3月31日時点
従業員
20,904名(連結)
3,622名(単独)
※’15年3月31日時点
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
4
何をしている会社なの
6製品群の自動車製品を生産・供給する総合部品メーカー
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
5
電子・電装製品
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
6
Agenda
1.安全コンセプト設計を始めました
2.SCDLが登場しました
3.スッキリしました
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
7
1.安全コンセプト設計を始めました
2.SCDLが登場しました
3.スッキリしました
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
8
ISO26262(自動車 機能安全国際規格)対応
 2011年11月 ISO26262初版発行
 車載電子機器が対象
 ASIL-A, B, C, Dと全てのリスクレベルが対象とな
る製品群を開発
電子・電装製品
技術
ISO26262準拠
プロセス
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
9
ISO26262対応による新たな取り組み
従来の安全設計フロー(弊社)
顧客要求
製品構想
システム設計
ハードウエア設計
ソフトウエア設計
実験
新たな安全設計の導入
安全コンセプト設計
 機能安全コンセプト
 技術安全コンセプト
SCDL適用範囲
生産
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
10
安全コンセプト設計の役割
要求とアーキテクチャー構成要素に基づいて、車載電子機器
の入力から出力まで全体の
 安全なアーキテクチャーを検討
 安全であることの説明
車載電子機器
エレメント
XX機能 ASIL D
ZZ機能
エレメント
機能要求
機能要求
故障
安全要求
安全要求
QM
安全関連の機能
安全アーキテクチャー
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
安
全
なぜならば
・・・
11
安全コンセプト設計の流れ
トップダウンアプローチにて設計
機能安全/技術安全コンセプト共に共通のアプローチ
機能要求の検討
機能要求
安全分析
FMEA / FTA
安全要求の検討
安全要求
安全アーキテクチャー
安全アーキテクチャー
検証
機能要求
安全要求
安全アーキ
テクチャー図
FMEA / FTA
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
12
安全コンセプト設計の実現手段
安全アーキテクチャーはドキュメントで構成し、入力から
出力までの要求をまとめた仕様
安全アーキテクチャー仕様
安全
要求
機能
要求
安全措置
安全アーキテクチャー図
アーキテクチャー全体を俯瞰
安全分析
FMEA / FTA
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
13
安全コンセプト設計と成果物
安全アーキテクチャー仕様は安全コンセプト設計の成果物
同時に要求間のトレーサビリティーも確保
安全分析前の
機能要求
機能要求
ヘッドランプ信号を
取得する
安全分析後の
機能安全要求
技術
安全要求
機能要求
機能要求1:
運転者の操作意図を取得する
制約条件
機能要求1と安全要求1、2
は独立した構造とする
安全要求1:
運転者の操作意図を取得する
安全要求
安全要求2:
取得した運転者の操作意図を
比較する
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
気付きがありました
安全コンセプト設計を導入して見えてきた課題
機能要求の検討
①設計根拠が説明し難い
安全分析
安全要求の検討
安全アーキテクチャー
安全アーキテクチャー
検証
②作り手により
バラツキが出る
③複雑で解り難い
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
15
① 設計根拠が説明し難い
安全アーキテクチャー仕様は設計の結果であり、その
設計過程は見え難い
安全アーキテクチャー仕様
安全分析
結果でまとまっている
安全アーキテクチャー図
どの安全要求が
この機能要求を助けるの?
図はあくまで全体を俯瞰するための補足手段
制約条件はどこ?
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
この要求は
何のためにあるの
16
② 作り手によりバラツキが出る
あるプロジェクトの安全アーキテクチャー図。設計者は解るが・・・
中間線(赤線)
は何を表す?
入り乱れている
出力の関係性は?
要求がエレメント(部品)
を跨いでいる意図は?
ブロックの色違い
意味がある?
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
複数出力を持つ
機能の意図は?
17
③複雑で解り難い -1
 要求間の依存関係が理解出来ない
言葉の繋がりで要求の繋がりを読み解く=誤解を招く
安全アーキテクチャー仕様
スイッチ1 と スイッチ2 を別々に取り込む
取り込んだ入力を比較する
スイッチ1を平均化をする
スイッチ2と平均化後のスイッチ1を判断し出力を許可する
スイッチ1
スイッチ2
取得
取得
平均化
判断
比較
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
出力
こういうアーキテクチャー
を想定していたが・・・
18
③複雑で解り難い -2
 制約条件の正確な理解が出来ない
安全アーキテクチャー仕様
スイッチ1とスイッチ2は独立(共倒れ故障の影響を与えない)
スイッチ1
機能
機能
出力
スイッチ2
どちらでも
間違っては
いないが
スイッチ1
安全
安全
出力
機能
スイッチ2
安全
出力
安全
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
出力
19
③複雑で解り難い -3
 そもそも、理解に時間が掛かる
言葉の繋がり、行間、言語表現などを読み解き、
安全アーキテクチャーを正確に捉える事は難しい
弊社製品の安全アーキテクチャー仕様
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
20
何が足りない
文章による仕様表現の限界ではないか
設計過程の有り方が不十分ではないか
欠けているものは何か?
言葉以外の表現 = 可視化
共通会話出来るような仕組み = 標準化
設計過程の見える化 = 残す
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
21
1.安全コンセプト設計を始めました
2.SCDLが登場しました
3.スッキリしました
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
22
希望の光となりました
SCDL仕様 version 1.0 が、2016年4月にリリース
※SCDL=Safety Concept Description Language
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
思い出してみると
ISO26262では
要求仕様の手法について規定がある
引用元:ISO26262-8:2011 表1
要求仕様の手法
ASIL A ASIL B ASIL C ASIL D
1a 非形式記述
強く推奨 強く推奨 推奨
推奨
1b 準形式記述
推奨
推奨
強く推奨 強く推奨
1c 形式記述
推奨
推奨
推奨
推奨
準形式記述
構文形式などのルールを持つ図/表を用いた表記法
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
24
設計の有り方を考えてみました
「設計を伝える」 から 「設計を見せる」ことが必要
安全アーキテクチャー仕様を、安全アーキテクチャー図が助けるのではなく
安全アーキテクチャー図を補足するのが、安全アーキテクチャー仕様
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
25
アプローチの見直し
各検討フェーズでSCDLを活用
まずは図を書く・使う・確認する設計手法を導入
機能要求の検討
安全アーキテクチャー図
SCDL
安全分析
安全アーキテクチャー図
SCDL
安全要求の検討
安全アーキテクチャー図
SCDL
安全要求
安全アーキテクチャー
安全アーキテクチャー図
SCDL
機能要求
安全アーキテクチャー図
SCDL
FMEA / FTA
安全アーキテクチャー
検証
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
機能要求
FMEA / FTA
安全要求
26
機能要求の検討フェーズでは
安全アーキテクチャーの機能要求を明確にし、要求の
役割や依存関係を図に基づいて論じる
安全アーキテクチャー図(SCDL)
運転者の
操作
(スイッチ)
FR1
運転者の操
作意図を取得
する
エレメント:BCM
FR2
操作意図を
判定する
FR3
判定結果に基づ
き点灯要求を
送信する
※BCM: Body Control Module
安全アーキテクチャー仕様
B
FR
ライト点灯
要求
(ライト)
機能要求
ID
要求内容
配置先
FR1
運転者の操作意図を取得する
BCM
FR2
操作意図を判定する
BCM
FR3
判定結果に基づき点灯要求を送信する
BCM
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
27
安全分析フェーズでは
安全アーキテクチャー図を補足的に用いて、機能要求の
安全分析を実施し安全への影響を見極める
安全分析(FMEAのケース)
運転者の
操作
(スイッチ)
FR1
運転者の操
作意図を取得
する
故障
FR2, FR3についても同様に行う
FR2
操作意図を
判定する
FR3
判定結果に基づ
き点灯要求を
送信する
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
ライト点灯
要求
(ライト)
28
安全要求の検討フェーズでは
機能要求に対する安全要求を図表記を用いて論じる
制約条件の可視化が重要
安全アーキテクチャー図(SCDL)
運転者の
操作
(スイッチ)
運転者の
操作
(スイッチ)
FR1
運転者の
操作意図を
取得する
FR2
B
B
SM1-2
入力比較
を実施する
操作意図
を判定する
FR3
判定結果に
基づき点灯要
求を送信する
ライト点
灯要求
(ライト)
NFSR1
B
制約条件
共倒れの影響を
与えない
SM1-1 B
運転者の
操作意図を
取得する
安全アーキテクチャー仕様
機能
要求
FR1
FR
SM
機能要求
安全要求
安全アーキテクチャー仕様
分類
ID
内容
ASIL
配置先
Functional Requirement
FR1
運転者の操作意図を取得する
B
BCM
Non Functional Safety
Requirement
NFSR1
FR1とSM1-1.SM1-2は独立
共倒れ故障の影響を与えない
B
-
Safety Mechanism
SM1-1
運転者の操作意図取得する
B
BCM
Safety Mechanism
SM1-2
入力比較を実施する
B
BCM
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
29
安全アーキテクチャーフェーズでは
機能要求毎に検討した結果を一つにまとめ、安全コンセプトを
完成させる
FR1
FR2
FR1
FR3
統合
FR2
FR3
安全アーキテクチャー仕様
安全アーキテクチャー図(SCDL)
等しい
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
30
安全アーキテクチャー検証フェーズでは
統合後の安全アーキテクチャーの成立性を再検証する
安全アーキテクチャー図
安全アーキテクチャー仕様
 矛盾はないか
 過剰設計となっていないか
 最適化されているか
 制約条件は成立しているか
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
31
1.安全コンセプト設計を始めました
2.SCDLが登場しました
3.スッキリしました
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
32
ここまで色々お話して来ましたが
機能要求の検討
①設計根拠が説明し難い
安全分析
安全要求の検討
安全アーキテクチャー
安全アーキテクチャー
検証
②作り手により
バラツキが出る
③複雑で解り難い
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
33
①設計根拠が説明し難い →スッキリ
アプローチ自体が安全のエビデンスとなっている
機能要求
安全分析結果
安全アーキテクチャー
安全要求
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
34
②作り手によりバラツキが出る →スッキリ
SCDL仕様
スタイルガイドライン
SCDL仕様に準拠した
スタイルガイドラインに従う設計
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
35
③複雑で解り難い
→スッキリ
文章による言語表現だけでは上手く理解出来ない
 要求間の依存関係が理解出来ない
 制約条件の正確な理解が出来ない
 そもそも、理解に時間が掛かる
 図表記により直感的な理解が可能となった
 設計者以外も正確且つ容易な理解が可能
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
36
まとめ
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
37
まとめ
 SCDLを活用し、安全コンセプト設計の各フェーズを検
討することが、エビデンスを作り上げることに繋がる
 SCDLを取り入れることにより、より正確でスピード感あ
る理解が可能。
 設計品質、レビュー品質向上にも貢献している
 可視化の実現にはSCDLに準拠した開発ツールを活用
するのが良い(重要)
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
38
ご清聴ありがとうございました
© 2016 CALSONIC KANSEI CORPORATION. All Rights Reserved.
39