【設問Ⅰ】以下の空欄を埋めるのにもっともふさわしい人名を語群から選び、符号で答えよ(4点×8題=32点)。 1) ⑴ は、1950年代のアメリカ合衆国を分析し、政府高官・財界幹部・高級軍人から構成されるパワー・エリートに権力が集 中する一方で、権力構造の底辺では大衆社会化が進み、政治的無関心が支配的になっていると述べた。【国税専門官試験 2004年】 2)権力の関係概念は、第二次世界大戦後に西欧で発達した政治学で多く用いられたものであり、ほかからの働きかけがなければ B が行わ ないことを、A が B に行わせることが出来るとき、A は B に対して権力を持つとした ⑵ の権力概念などがその典型である。 【国家 II 種 2003年】 3) ⑶ は、民主主義を目指す大衆政党においても、組織が強固な形態を取れば取るほど、暫定的な指導者はますます職業的な指 導者にとって代わるとし、 「寡頭制の鉄則」を主張した。 【国税専門官試験】 4) ⑷ は、 「政党とは全員が同意してある特定の原理に基づき、共同の努力によって国家的利益を推進するために集まった人々の 集合体である」と定義し、政党がおこなう権力闘争を「地位と利益のために繰り広げられる卑しい不純な争い」から区別した。【地方上級 2002年】 5) ⑸ は、選挙制度と政党システムとの関係に着目し、 「小選挙区制は二大政党制を生み、比例代表制は多党制を生む」と主張し た。これは、小選挙区制においては、議席取得可能な政党が二元化する傾向にあるからである。【国家Ⅰ種 2004年度】 6)1970年代の我が国の政党システムは、 ⑹ により一党優位システムに分類された。さらに、このシステムは、事実上政権 交代がおこなわれなかったが、複数政党間で自由な選挙がおこなわれたため、競合的政党制に属するとされた。 【国家Ⅰ種 2004年度】 7)1960年代、 ⑺ に代表される近代化論が発展理論として盛んになった。彼は、著書『経済発展の諸段階』において、後進 社会が近代化を遂げるには、連続した歴史的な段階を経る必要があると主張し、経済成長の最終段階を高度大衆消費時代とみなした。この 発展段階説は、冷戦期、西側陣営による開発援助政策の理論的支柱となった。 【国家二種 2002年度】 8) 「アーモンドやイーストンなどという政治学者がいるが、かれら流の普遍主義的な概念を駆使した機能主義的理論は、手垢にまみれた国 家論と同様に、端的に言って、第三世界の政治に迫るばあいに大きな限界を呈することになる。第三世界の現実は、これまでのあらゆる政 治学を拒絶するほど多様であり、意外性に富んでいる」 ( 語群 ⑻ 「地域研究と政治学」)。 あ)ダール い)アーモンド う)ミルズ え)ハンター お)丸山真男 か)イーストン き)ヴァーバ く)矢野暢 け)リースマン こ)ロストウ さ)サルトーリ し)デュヴェルジェ た)サン・ジュスト ち)パーソンズ す)マルクス せ)ウェーバー そ)バーク つ)レーマン て)ミヘルス と)キルヒハイマー 【設問Ⅱ】以下の文章のうち、正しいものを選び(ただし、F については間違っているものを選び) 、符号で答えよ(4点×6題=24点)。 A 1)ダールは、権力を行使している者が立脚している基盤を権力基盤と呼び、軍隊の集中および生産手段の所有が権力の基盤であるとした。 2)権力の実体概念は、権力を具体的な人間関係の中でどれだけの服従を確保できるかという実行に即してとらえる。したがって、暴力の 集中や富の所有を権力の基盤とするという考え方は、権力の実体概念ではない。 3)権力の実体概念は、権力を人間または人間集団の保有する何らかの力、たとえば、物理的強制力(暴力) 、経済的強制力(財力)、心理 的強制力(魅力)などととらえるものである。 4)権力の関係概念は、権力を具体的な状況における人間または人間集団の相互関係の中においてとらえるものである。これは、権力を、 具体的な状況や人間関係の中で、どれだけの服従を確保できるかという点に着目してみようとする点で、実体的なとらえ方だともいえる。 B 1)議会制度が早くから発達したイギリスにおいては、政党も早くから発達したが、選挙資格の拡大に伴う有権者数の増加などに伴い、政 党の性格も名望家政党から大衆政党へと変質していった。 2)名望家政党も大衆政党も、その基盤を選挙制度に置いていたことから、院内政党組織のほかに、全国的な集票組織を大規模な院外組織 として持つことが不可欠であるという点では共通していた。 3)イギリスにおいては、1832年以来の選挙権の拡大に伴う有権者の増大は、政党が名望家層の強力なリーダーシップにより運営され ることを保証し教養と財産のある一部指導者の専政に道を開いた。 4)政党は近代市民社会の成立とともに発生したものであり、発生当初から地方名望家よりも都市の勤労者を中心とした組織政党としての 性格が強かった。 C 1)政党の持つ高度な公的機能にかんがみ、政党活動に対して国費による一定の助成を行っている国もあるが、政治的中立性を重視するわ が国においては、政党に対する助成は一切行われていない。 2)政党は、有権者の意志を議会に反映するという公的性格を持つものであるため、政治過程において重要な位置をしめるとともに、国家 機能の重要な一部ともなっているから、国家による保護が当然のこととされている。 3)大衆政党化が進むにつれて、民主主義を目指す政党内の民主化もまた促進された。 4)サン・ジュストは、 「ファクションは、人民を分割して、自由を党派心の凶暴と取り替える」として、政党を犯罪的と見なした。 D 1)ヘゲモニー政党制とは、複数政党間の競合が展開されているが、1つの党が圧倒的な力を持っている政党制であり、日本のいわゆる「五 55年体制」下の政党制はその典型である。 2)ヘゲモニー政党制とは、1党以外の政党も存在することは許されているが、第二次的な政党あるいは認可された政党の範囲を超えるこ とができない場合で、冷戦下のポーランドや2000年までのメキシコ、現在の中国はその例である。 3)一党制とは、複数政党間の競合が展開されているが、1つの党が圧倒的な力を持っている政党制であり、1955(昭和30)年から 1993(平成5)年までの日本はその典型である。 4)わが国において、1955年以来38年間一貫して政権を担当してきた自由民主党は、1993年の総選挙で政権を失った。このよう に、自由選挙がおこなわれている国で、ただ1つの政党が継続して政権を担当する体制を一党優位制と呼ぶ。民主主義の条件の一つは、 政権交代が行われることであり、民主化の進んでいる北欧諸国では第二次世界大戦以後一党優位政党制の例はない。 E 1)二党制は、ほとんどの国においてみられる政党制であり、政治的安定をもたらす。一方、多党制は連立政権にならざるを得ないため政 治的不安定を招くとされる。 2)主要な政党数が3から5で、政党間のイデオロギー距離が比較的小さいような政党システムを「穏健な多党制」という。オランダやド イツなどの穏健な多党制の国は、安定した合意形成型の政治が展開されており、多党制や連合政権でも政権が必ずしも不安定ではないこ とを示唆している。 3)政党の数が3~5で、各党間のイデオロギー距離の小さいものが、分極的多党制といわれる政党制である。 4)二大政党制では安定した政治がもたらされるというのは「二大政党制の神話」であって、実際にはそれは不安定なシステムである。 F 1)現代の政治においては、政党と並んで利益集団が大きな発言力を持っている。利益集団とは、政治以外の領域でそれぞれ特定の目的を 持って活動する団体であり、経済団体や労働団体をはじめ、学術文化団体や自然保護団体なども含まれる。 2)現在のわが国の利益団体は、政党別に系列化されていることから、もっぱら政党や議員に働きかけ、行政機構には働きかけないといっ た特徴がある。 3)現代のように多様な利益が噴出する時代では、利益の集約のためには政党以外にも多くの手段によることが必要である。 4)人々が特定の利益や価値の擁護・増進を目的として集団を組織し、政治に働きかけようとするとき、これを「利益団体」と呼ぶ。利益 団体と政党の違いは、政党が究極的には政権の獲得・維持を目的とするのに対して、利益団体はそれを目的としない点にある。 【設問Ⅲ】デービッド・イーストンの政治システム論について、概念図を書き、5行で説明せよ(概念図4点+説明10点=14点) 。
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