8/4 は英国「Super Thursday」、 追加緩和規模に注目!

【2016年8月3日公開】
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~丸わかり! ロンドン発★欧州経済事情~
「松崎美子」が注目テーマを一刀両断!
『8/4 は英国「Super Thursday」、
追加緩和規模に注目!』
執筆者:(ロンドン在住/元為替ディーラー)
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2015 年 8 月、英中銀は金融政策判断に関する情報提供手段のタイミングを変更した。そのため、
四半期インフレーション・レポートが発表される 2・5・8・11 月の第一木曜日を、マーケットでは
「Super Thursday スーパー・サーズデー」と呼ぶようになった。最近では、アメリカの雇用統計に
続く「FX 業界のお祭りイベント」として認識度が高くなってきている。
今回のコラムでは、8 月 4 日(木)の「Super Thursday」に向け、発表内容や注意点などについて、
現地ロンドンからお伝えしたい。
●金融政策変更の手段と種類
金融政策の変更手段には、標準的/非標準的措置の 2 種類がある。2008 年秋のリーマン・ショ
ックまでは、標準的措置、つまり政策金利の変更がメインであったが、世界的金融危機の影響で
政策金利がゼロに近づいてきたため、それ以外の手段が必要となってきた。そこで登場したのが、
国債購入などに代表される量的緩和策であり、これを非標準的措置と位置づけている。
英国に限っていえば、今までに導入された非標準的措置は、以下の 3 種類ある。
(以下参照)
▽APF について
http://www.bankofengland.co.uk/markets/Pages/apf/default.aspx
▽FLS について
http://www.bankofengland.co.uk/markets/Pages/FLS/default.aspx
●100%織り込み済みの政策金利カット
それでは、8 月 4 日(木)の発表内容を予想してみよう。
ブルーンバーグ社が実施した最新のエコノミスト調査によると、47 人中、45 人が「利下げ」を予想
している。
そして、ポンドの翌日物スワップ市場では、利下げの可能性は「100%」となっており、そのうち 95.3%
は 25bps カット、残りの 4.7%が 50bps カットと意見が分かれているようだ。
英国民投票後、初の英中銀金融政策理事会(以下、MPC)は 7 月 14 日(木)に開催されたが、マー
ケット予想とは裏腹に、英中銀は政策金利の据え置きを発表している。これは、英中銀の
Credibility(信用性)を著しく傷つけたという認識で一致していることもあり、今月の MPC で政策金
利をカットしないという選択は許されないと考えるのが妥当であろう。
つまり、25bps カットは想定内であり、マーケットは「それ以上」の何かを期待している訳だ。
●「Super
Thursday」 の見所はズバリこれ!
今回の「Super Thursday」での注意点について、思いつく限り書き出してみた。
●APF 再開の可能性と購入対象の追加について
まず最初は、APF の再開の可能性である。この制度は 2009 年 3 月から導入され、2012 年 7 月
を最後にずっと手付かずになっていたものである。もし Brexit にならなければ、英中銀は APF で購
入した国債規模を縮小し、バランスシート調整に動く予定であった。その作業の責任者として、
2014 年 8 月にシャフィク副総裁がわざわざ就任したのである。しかし思わぬ Brexit により、下手を
すると同副総裁はバランスシートの調整をしないまま、2019 年 7 月の任期満了を迎えることになる
かもしれない。
次は APF での購入対象の追加である。APF が始まった当時は、英国債と格付けの良い社債両方
が対象となっていた。しかし、当時の MPC は、社債は購入対象にふさわしくないと判断し、2010 年
11 月以降は購入対象から外されている。
▽社債購入に関する変更通知
http://www.bankofengland.co.uk/archive/Documents/historicpubs/news/2010/088.pdf
どうして今頃になって、社債をもう一度加えるという議論が高まってきたのか? それは、お隣り欧
州中銀(ECB)の影響が大きい。ECB は今年 6 月から社債も購入対象に加えた。ECB がやっている
のなら、英中銀も出来るのではないか?という考えが浸透してきたに他ならない。
▽ECB からの発表
https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2016/html/pr160310_2.en.html
▽社債購入に関する変更通知
http://www.bankofengland.co.uk/archive/Documents/historicpubs/news/2010/088.pdf
社債が英中銀の購入対象に含まれた場合、その規模は約 1,300 億ポンドと言われており、QE 策
の規模が一気に拡大する。つまり、これは追加緩和規模の拡大ということで、英ポンド売りに直結
することになる。
●議事録の投票配分にも要注意
今月の決定に向けた MPC9 名の理事達の投票配分も非常に気になる。
果たして 9 名全員が「利下げ」に投票するのか?もし、APF 増額が決定された場合、何名の理事
がそれに同意したのか?その投票配分内容によっては、来月すぐにでも、追加の金利カットや
APF の再増額観測が出てきて、英ポンドがさらに急落しないとも限らない。
●「Super
Thursday」と「英ポンド」
最後に、「Super Thursday」当日の英ポンドの動きを考えてみよう。ここでは、英ポンドの下落シナ
リオと上昇シナリオに分けてみた。
■英ポンド上昇シナリオ
1)政策金利据え置き
2)政策金利の 25bps カット、しかし APF 増額なし
3)インフレーション・レポートの内容が、思ったほどハト派的でない。
例えば GDP 予想が大きく落ち込んでいなかったり、今後の金融政策の緩和度が穏やかなものに
なると予想される内容を指す。その場合、追加緩和期待が低下する。
4)カーニー総裁や副総裁による記者会見で、これ以上の追加緩和に対してあまり前向きでないと
取れる発言をする
5)最近のポンド安に対して、ネガティブな見解を披露する
■英ポンド下降シナリオ
1)政策金利の 50bps カット
2)マイナス金利導入を臭わす
英中銀は ECB や日銀と違い、マイナス金利導入には非常に消極的
3)APF 増額幅が、500 億ポンドかそれ以上になる
4)APF の購入対象に社債を加える
5)政策金利カットや APF の増額以外の緩和策を発表する
いずれにしても、「Super Thursday」当日は、日本時間 20 時に政策金利・APF などの追加緩和策
の有無・議事録での投票配分・インフレーションレポートが同時に発表されるため、何段階かに分
けて、英ポンドが相当乱高下するだろう。その 30 分後には、カーニー総裁やブロードベント副総裁
らが記者会見をする。インフレ・レポート内容についての説明に加え、記者団からの質疑応答にも
答えるため、ここで第 2 波の大きな動きがあることは間違いない。
-------------------------------------------------------------------------------【執筆者:松崎美子氏(ロンドン在住/元為替ディーラー)プロフィール】
東京でスイス系銀行 Dealing Room で見習いトレイダーとしてスタート。18 カ月後に渡英決
定。1989 年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店 Dealing Room に就職。1991
年に出産。1997 年シティーにある米系投資銀行に転職。
その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、
証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。
-------------------------------------------------------------------------------【本レポートの趣旨】
本レポートは松崎美子氏より発行されているレポートであり、情報提供のみを目的として
おります。
本レポート中のコメントは独自の見解に基づいたものであり、松崎美子氏、およびワイジ
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