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沖縄を知り、祈り、行動するために…
高橋哲哉(東京大学)
「日本はどこへ向かうのか∼∼沖縄、集団的自衛権、日米同盟」
(2016年 第5回9条世界宗教者会議 公開講座 要約)
●日米同盟と沖縄
和解協議が妥結に至るのはまず無理であろうという見
沖縄県には日本にある米軍基地の3/4が集中していま
通しが強いです。政府は辺野古に基地を作るしかない
す。日本は米国と日米安全保障条約という一種の軍事
と言いつづけています。翁長知事は、辺野古に基地は
同盟を結んでいます。この条約に基づいて、日本には
つくらせないと一貫して言っています。そうすると、も
米軍基地が置かれ、その74%が、日本全国の0.1%の面
う一回裁判に戻されることになると思います。沖縄県
積、人口にしても1%にすぎない沖縄県に集中してい
が敗訴したとしても、沖縄がそれを受け入れる可能性
ます。第2次世界大戦の末期に米軍が沖縄に上陸して
は低いと私は思います。
凄惨な沖縄戦が展開され、その後も米軍が駐留し続け
そして先月、また凶悪事件が起こりました。元海兵
ているのです。これを戦後の日米安保条約という国際
隊員の軍属が20歳の女性に乱暴し、殺害するという事
条約に基づいて正当化、合法化しているのです。
件でした。沖縄の人々にたいへんな衝撃を与え、いっ
沖縄の人々は基地の過剰負担、基地配備によるリス
たい沖縄はいつまで犠牲を強いられれば済むのかとい
クにずっと抵抗し、反対をしてきました。その沖縄の
う思いが、いま噴出しています。沖縄県民の民意はこ
反基地の思いは、たとえば米軍兵士による事件などが
れまで新基地建設を許さないということでしたが、こ
あると噴出してくるのです。
の事件によって、全基地を撤去してほしいということ
1995年、米軍兵士3名による少女暴行事件があり、
になり、沖縄県議会史上初めて、海兵隊の全面撤退を
沖縄で大変な反基地運動が盛り上がりました。日米両
要求する決議がなされました。
政府は日米安保体制崩壊を恐れ、宜野湾市の市街地の
只中にある普天間飛行場の返還で合意しました。とこ
●日米同盟と憲法9条
ろがその合意では、普天間飛行場を返還、閉鎖するか
私は沖縄に日米安保体制の犠牲を強いるのは限界だ
わりに、代替基地として沖縄県名護市の辺野古に新し
と思います。そのためには最終的に日米安保体制を見
い基地を作り、そこに普天間飛行場の海兵隊の機能を
直すほかはないと考えます。これは米国との友好関係
移すことになっていたのです。これでは沖縄県の基地
を断絶するということではなく、安保条約という軍事条
負担は減らない、あいかわらず沖縄県内で基地をたら
約を、日米平和友好条約に変えるということです。現
い回しているだけだということで、沖縄の民意がこれ
在では非常に難しいことです。日本政府がこの日米同
を受け入れず、20年以上新基地の建設は進んでいませ
盟の継続を望んでいます。昨年安倍政権が憲法違反を
ん。ところが、特に安倍政権になってから、辺野古新
犯し、強行採決によって成立したことにしてしまった、
基地建設を強権的に推進しはじめました。現地の辺野
いわゆる安保関連法制も、結局は日米同盟を強化する
古地区では、沖縄、日本本土から集まった市民による
ためです。しかし政権がこのような政策を推進するの
米軍基地ゲート前での座り込みや抗議船での抗議活動
は、日本の民意がこれを支えているからです。
が続いています。沖縄県の民意は、翁長雄志知事が代
沖縄の人口は全国の1%ですから、全国の99%は沖縄
表し、絶対に辺野古に新しい基地はつくらせない、県
以外の本土の有権者ということになります。昨年の共
内基地移設は反対だと日本政府に対峙しています。そ
同通信の調査では、日米安保体制を支持し、これから
れが法廷闘争にまで発展し、裁判所の和解勧告に応じ
も維持すべき、もしくは強化すべきだという人が86%に
て、今は工事が中断しているという状況です。しかし
達していました。2010年代に日米安保支持が8割を超
JP通信 VOL.199 2016 AUG.3 3
え、今、9割に迫ろうとしているのです。日米事同盟
を解消したほうがいいという人は昨年の調査ではなん
と2%でした。おそらく日本の有権者の多くは、戦後日
米安保体制を結ぶことで、日本が平和に経済成長する
ことができたと感じているのだろうと思います。
しかし、日米安保体制に基づいて日本に米軍基地が
置かれることで、国内では沖縄の犠牲というものが存
在しているのです。国外を見れば、日本の米軍基地か
ら出撃した米軍が、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦
争、さらにイラク戦争まで、アジアから中東にかけての
戦争に従事しました。私は憲法9条を考えるとき、こ
の日米安保体制との矛盾を考えなければ憲法9条の意
義を真に理解することはできないし、またこれを守る
発揮してきたということの結果であり、世界の国々、ア
意味も理解できないと思います。
ジアの周辺諸国の日本の再軍国主義化に対する警戒感
次に、現在の日米安保体制の法的な側面です。日本
も寄与していたと思います。ギリギリのところで、憲法
はサンフランシスコ講和条約と日米安保条約を同日に
9条は一言一句変えずに今日まで来た。これをどのよう
結んで、そして国際社会に復帰しました。これら二つ
にして具体化していくのかが問われていると思います。
の条約が結ばれる前に始まっていました。占領中なの
安倍政権は戦後最も憲法9条に敵対的な政権で
で米軍が日本から朝鮮半島に出撃しました。日本はす
す。昨年の安保関連法制は、憲法9条を逸脱している
でに日本軍も解体され憲法9条が施行されていて、米
だけではなく、実は安保条約の文言すらも逸脱してい
軍が出撃すれば日本は軍事的にはいわば丸裸だという
る。安保条約は日本の平和と安全、極東の平和と安全
ことで、当時のマッカーサー元帥が警察予備隊の創設
に、日米共同で対処するという条約です。しかし安保
を指令しました。それが保安隊となり、自衛隊となりま
関連法制は、自衛隊が日本、極東どころか、グローバ
した。最初の自衛隊の役割は、日本の米軍基地を守る
ルに、地球の裏側にまで行って米軍を支援できるとい
ことでした。昨年成立した安保法制などによって、米
うものです。米国だけではなく、韓国、オーストラリア、
軍と自衛隊の軍事的な一体化はますます進んでいくと
その他の国々の支援も可能だというものです。さらに、
言われます。しかし私の解釈では、日本の自衛隊は実
日本自身が武力攻撃されていなくても、同盟国アメリカ
は発足のときから米軍の補完部隊という役割をすでに
が武力攻撃された場合には、それが日本の存立を脅か
帯びていた考えるしかないと思います。そして、日米
し、国民の生命、自由、および幸福追求の権利を根底
安保体制では、法的には、日本全土を米軍が自由に使
から覆す明白な危険性にいたる場合には、自衛隊は武
用できることになっています。日本全体が潜在的基地
力行使できるというものです。ですから、実は今、日
なのです。そして実際には、米軍基地は全体の3/4
本では、憲法9条は停止されている状況とも言えるの
が小さな沖縄県に負担させられているのです。これを
ではないかと思います。
どうするかが、憲法9条を守りたいと思っている私たち
そもそも朝鮮戦争以後、憲法9条は麻痺状況にあり
に問われていると思います。日本は実は平和国家の名
ました。さらに日米安保条約すらをも超える形で日米
に値しないのではないか。憲法9条はまだ実現されて
同盟が推進されているのです。それくらい危うい政権
いないのです。
が今日本では政治権力を持っているのです。これにど
とはいえ、この状況の下でなお憲法9条が日本には
う対応するのかということが、目下の憲法9条をめぐる
一言一句かわらずに存在している。これはやはり、戦
最大のポイントであろうと思います。
後日本で憲法9条を守ろうとする人々がそれなりの力を
4 JP通信
VOL.199 2016 AUG.
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●憲法9条と歴史認識
ません。安保法制は集団的自衛権の行使の一部を認
韓国の場合にも韓米相互防衛条約という、日米安保
めたにすぎません。これを全面的に認めるには憲法9
条約に対応する条約が韓国と米国の間で結ばれていま
条の明文改憲が必要だと安倍政権は考えているのです。
す。その他、東南アジア諸国やオーストアリアも米国と
集団的自衛権は日本自身が攻撃されていなくても、同
条約を結んでいます。東アジア、太平洋地域というの
盟国アメリカが攻撃された場合、日本が武力行使を行
は、各国が米国と相互防衛条約を結び、それから全体
うという内容でした。これは憲法9条のもとではできな
として、安全保障秩序を作っているのです。ですから、
いと歴代の日本政府は言ってきました。安倍政権は憲
憲法9条を実質化していくためには、東アジア、太平洋
法解釈を変え、これを一部認めることを強行したので
諸国との関係をぬきにして、日本だけではできません。
すが、集団的自衛権を全面行使するには、憲法9条の
朝鮮半島で南北朝鮮は対峙しています。朝鮮に対
明文改憲が必要であるとして、自由民主党は2012年に
する植民地支配を行った日本は、両国と歴史認識にお
憲法改正草案を出しました。
いて植民地支配の責任問題について基本的な合意をし、 現行の憲法9条は、第1条で戦争と武力の行使は永
信頼関係を安定したものにしなければ、憲法9条を日
久にこれを放棄する、そして第2項でその目的を達成
本だけで実現していくことは困難です。
するために、陸海空軍その他の戦力、すなわち軍隊を
残念ながら、北朝鮮と日本は政治的に対立していま
持たない、国の交戦権を認めない、と規定しています。
す。韓国とも、歴史認識や領土問題など、さまざまな
自民党の改正案第1項は、
「永久に放棄する」の「永
問題が、なお存在しています。
「慰安婦」問題について
久に」を削除して戦争は放棄します、武力による威
は、2015年安倍政権が日韓合意を達成し、これで「最
嚇と武力の行使は行いません、というかたちで保持し、
終かつ不可逆的に」解決したと報道されました。しか
第2項を全面的に変えています。前項の規定、戦争放
し実体は決してそうではありません。日本政府の立場は、 棄と武力による威嚇と武力の行使は行わないにもかか
「元慰安婦」の皆さんに対する法的な責任を認めたもの
わらず「自衛権の発動はさまたげられない」と憲法9
ではありません。日本軍の「慰安所」は当時のいくつか
条第2項を変えることで、集団的自衛権を全面的に認
の国際条約に違反しており、法的に違法であったという
める案になっているのです。
責任を認めることが、私は解決につながると思います。
現行の9条のもとでも日本政府は日本自身が武力行
今回の合意でも日本は責任を「道義的責任」という
使を受けた場合には、国民の生命財産をまもるために
意味で理解しているとしか考えられません。しかも日
反撃できるとしてきたわけですから、自民党の改正案
本は「慰安婦」の人たちに対する気持ちとして、お金
の「自衛権の発動は妨げられない」とは、自衛権は個
を拠出するそうですが、その前提として、ソウルの日
別的自衛権だけではないことは明らかです。個別的自
本大使館前の少女像を撤去しなければならないと言っ
衛権を認めるだけなら、明文改憲をする必要はありま
ている。これでは、とても和解とは言えません。いろ
せん。
「自衛権の発動はさまたげられない」と変えたい
いろな条件をつけて条件をのまなければ謝罪しないと
ということは、集団的自衛権の行使も含めて、全面的
いう謝罪が、はたして本当に謝罪と言えるのでしょう
に自衛権の行使を認めるということになるわけです。
か。この問題を始めとして、韓国との間の信頼関係は
国連憲章のなかで戦争は違法化されています。自衛
憲法9条の実現にも深く関わってくると思います。その
のための武力行使で戦争はできないとしています。歴
ためには日本側で、もっともっと歴史を直視した態度
史的にも戦争は自衛戦争の名前でおこなわれてきたか
が求められると私は思っています。
らです。日本軍の戦争もそうでした。ですから個別的、
集団的、すべての自衛権を全面的に認めるような憲法
●自民党改憲案と憲法9条
改正をしてしまったのでは、憲法9条の独自性はなく
安保法制は、安保体制自体をも逸脱してしまってい
なってしまうと言わざるを得ません。
ます。しかし安倍政権はこれで満足したわけではあり
自民党の憲法改正草案は、国防軍の保持を明記して
JP通信 VOL.199 2016 AUG.5 5
います。日本がもし自民党の憲法改正草案のとおりに憲
●歴史的責任としての沖縄県外移設
法改正をするならば、戦後70年以上を経て、ついに正
こういう状況の中で沖縄の問題をどのように考えた
式に軍隊を保有し、自衛の名で日本の国はいかなる武
らよいのか、最後に少し踏み込んで、私が最近考えて
力行使も可能な国になってしまうのです。核武装すらあ
いることを申し上げます。
りうるのです。米国の大統領選挙の共和党候補者ドナ
私は沖縄の米軍基地は、本来、本土にあってしかる
ルド・トランプ氏は、必要があれば日本や韓国の核武装
べきものだと考えています。実際に歴史的に沖縄の米
を認めると発言しました。日本政府はこれに対して、現
軍基地は、沖縄戦で沖縄に上陸した米軍がその後駐
行憲法下で核武装は原則的に禁じられているとは言え
留を続け、それを日米安保条約によって法的にいわば
ない、という回答を出しました。実はすでに1960年代か
正当化するというかたちで、存在しています。沖縄の
ら日本政府はそういう解釈を取っていました。核武装も、 人たちはこの日米安保条約の成立に何ら関わっていま
必要最小限度の防衛力という概念に入れば、憲法9条
せん。サンフランシスコ講和条約とともに日米安保条
下でできるということです。核兵器が必要最小限度の
約が結ばれた1951年の時点で、沖縄の人たちは選挙
防衛力とは、まったく理解に苦しむものです。しかし現
権を持っていませんでした。日本の議会に議員を送り
実に、日本は戦後ずっと、米国の核の傘のもとに入って
出す権利を持っていませんでした。占領下で、米国が
きました。これは、やはり、日本自身の持っている矛盾
沖縄の施政権、行政を行う権利を日本から奪っており、
として問われなければならないだろうと思います。
1945年、日本は沖縄の人の選挙権を当分の間停止しま
この核の傘についても、沖縄は常に特別な状態にあ
した。したがって、サンフランシスコ講和条約で沖縄
りました。冷戦状況下、沖縄に核兵器が貯蔵されてい
が米国の施政下に置かれ、日米安保条約が結ばれた時
たと言われています。沖縄返還後も密約として、有事
点で、沖縄の人たちの民意はいっさい反映されません
の際には核兵器の持ち込みを認めるということが相互
でした。それから1960年の安保条約改定の際も、沖縄
に認識されていたと言われます。
は返還前、復帰前ですから、沖縄は国会に議員を送り
キューバ危機の際、米軍は沖縄の核基地から核兵器
出していません。日米安保条約の成立、改定に沖縄の
を発射するという誤命令を出したことが、最近明らか
人たちの民意はいっさい反映されていない。日米安保
になりました。現場の技術者がそのおかしさに気づい
体制自体が沖縄の人たちに、いわば押し付けられてい
て発射ボタンを押さなかったということです。沖縄は
るのです。一方、日米安保条約の支持率は8割から9
そのような形で、冷戦下、核戦争のまっただなかに置
割に達しています。その99%は本土の有権者で占めら
かれていたのです。核兵器が沖縄の米軍基地にあると
れています。安保条約によって日本に置かれる米軍基
いうことは、核戦争が起きた時、まっさきに沖縄が壊
地が、沖縄に集中させられていること自体、まったく
滅させられる恐れがあるということです。
の矛盾です。沖縄の人からすれば、これほどの不条理
オバマ大統領は、先ほど述べた沖縄の元米兵によ
はないと言わざるを得ない。米軍基地が置かれるなら、
る殺人事件について遺憾の意を表明し、綱紀粛正と再
そのほとんどが本土に置かれてしかるべきです。
発防止につとめると、これまで何度も繰り返されてき
沖縄では、いわゆる県外移設という主張が1995年以
た言葉を述べるだけで、抜本的な改善策は提示しませ
降、徐々にかたちをとっています。県外移設とは、基
んでした。そして実は裏で、安倍首相はオバマ大統領
地を本土のどこかに移すということです。これを政治
に、やはり辺野古が唯一の解決策ですと述べたという
的に最初に表現したのが、95年の少女暴行事件当時の
ことが、明らかになりました。安倍政権は沖縄の辺野
沖縄県知事大田昌秀さんでした。日米安保体制を日本
古の問題について裁判所の勧告に従って和解協議に応
が維持するのであれば、
「応分の負担」を本土がして
じることになっていますが、実は全く譲歩する気はなく、 当然ではないか。そして2009年に成立した民主党鳩山
辺野古新基地は既定路線だと考えていることが、これ
内閣が、普天間飛行場の県外移設の政策を掲げました。
で裏付けられたわけです。
しかし、鳩山由紀夫首相は最後には孤立し、破綻しま
6 JP通信
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6
した。そして鳩山首相自身が、辺野古が受け入れざる
基地問題は、まずは本土に移設するという考え方を提
を得ないという発言をして沖縄の人々の大変な怒りを
起する必要があると思います。もし本土が受け入れる
買いました。しかしその鳩山政権の時代を受けて沖縄
のであれば、沖縄の人々の過剰な負担が解消されるわ
の政治の前面に県外移設は定着しています。その後は
けですから、私はこれを一刻も早くすべきだと思いま
県外移設を言わないと選挙でなかなか当選できないと
す。そしてその上で、これ以上は基地を本土に移すこ
いう事情にもなりました。現在、翁長知事は政治家と
とはできないということであれば、日米安保体制自体
して普天間飛行場の県外移設を求める立場です。ただ
を見直すという流れになると考えます。
し翁長知事を支持するオール沖縄には、日米安保体制
を解消することで沖縄の基地をなくしていこうという
私は日米安保条約を日米平和友好条約に変え、東
意見もあり、オール沖縄は県内移設反対という言い方
アジアの周辺諸国との信頼関係を醸成して、その上で、
をしています。しかし翁長知事は当選後、県政の基本
東アジアで米国に依存しない形の安全保障をつくって
方針として、普天間飛行場の県外移設と辺野古新基地
いくことが望ましいと思っています。そのためにも日本
建設の阻止を求めると、繰り返し発言しています。翁
は憲法9条を維持し、そしてできるだけのことをしてい
長県政を支持する沖縄県の民意には、はやり県外移設
くことが求められていると考えています。そのためのひ
がかなり浸透していると私は思います。世論調査をす
とつの筋道として、沖縄の人たちに強いた犠牲を一刻
ると、国外移設という選択肢、無条件撤去という選択
も早くやめるために、県外移設を、沖縄の基地を本土
肢、県外移設、それぞれ20%から30%に分かれますが、
で引き取るという可能性を本土で検討することが求め
大田知事から翁長知事まで、沖縄の国会議員もそうで
られていると考えているのです。
すが、沖縄の政治家の主張として県外移設が定着して
(以上、2016年6月8日、大阪 真宗大谷派難波別院に
来ました。その民意を私たちがどう考えるのかが、今、
て)
問われていると考えています。その意味で私は沖縄の
第5回
「9条世界宗教者会議」報告
2016年6月7日から9日まで、真宗大谷派難波別
バイタルチェック』公演などが行われ、最終日は聖
院(大阪)を会場に、第5回「9条世界宗教者会
書と仏典の以下の言葉で締めくくられました。
議」が開催されました。
「9条世界宗教者会議」は、2007年第1回(東
京)以来、沖縄やソウルでの開催をへて今回第5
回目を迎えました。今回のテーマは、
「憲法9条と
世界の平和−危機を平和への転機に−」とし、日
本、韓国、香港、中国、タイ、インド、ドイツ、ア
イルランド、カナダ、米国から約120名が参集しま
した。本誌に掲載した高橋哲哉さんの公開講座の
ほか、SEALDSの若者や高田健さんによる市民運
主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。
彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌
とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦う
ことを学ばない(イザヤ2:4)
兵戈無用(無量寿経)
(武力も武器も用いる必要はない)
以上、報告・日本カトリック正義と平和協議会事務局
動の状況報告、きむ きがんさんの一人芝居『在日
JP通信 VOL.199 2016 AUG.7 7