活躍するプライベートバンカー紹介(第 7 回) 有田 能正 氏 株式会社青山財産ネットワークス 財産コンサルティング事業本部 第 3 事業部 第 1 グループ長 2016 年 2 月シニアPB認定 お客様との信頼関係を築いて円満な相続・事業承継をお手伝い 私は株式会社青山財産ネットワークスという会社で財産コンサルタントという仕事をしています。 多くの皆様にはあまりなじみのない会社・職種と思いますので、簡単に説明させていただきます。 私たちの仕事の内容は、 ①資産家のお客様 (不動産オーナーや上場会社も含む企業オーナーの方々) が、その財産を守り円滑に次世代に引き継げるように、お客様に財産の管理・運用・承継についての アドバイスをする、②提案後に採用いただいたプランを、オーナーとご一緒に実行あるいは実行支援 する、というものです。 相続・事業承継視点でのコンサルティング会社ですので、税務以外にも、対策として不動産ソリュ ーションを用いることも多く、その2つが弊社及び弊社グループの強みでしょうか。 業務の進め方としては、まずご当主とご家族や同族法人全ての財産状況を把握できる資料をお預か りすることからスタートします。次にファミリー構成員やアセットごとのB/S、P/L、税引き後CF を将来予測も含め分析します。その上で現状や将来における問題点・課題を整理しお客様と解決にあ たる優先順位を付けます。その解決法を全体最適も考慮しながら立案・提案し、採用いただいたプラ ンを実現まで導いて、コンサルティングのワンクルーが一旦終了します。どのお客様も問題点が一つ だけということはありませんので、そこから実行後の結果検証を行い、次の問題解決へと着手してい く、そのようにコンサルティングのPDCAサイクルを回しています。 PB資格に挑戦してみようと考えたのは、協会編の「プライベートバンキング」のテキストを、偶 然書店で手に取ったことがきっかけでした。テキストには財産についての専門知識のみならず、富裕 層顧客とのリレーションシップマネジメントやウェルスマネジメントが体系的にまとめてあり、とて も興味を持ちました。 ご存知のように、PB資格と近いものでFP資格があります。私たちの仕事には、財産全般にかか わる一通りの専門知識が必要ですので、私もCFP®を取得していました。しかしFP資格について、 この仕事に活かす資格としては少し違和感がありました。それは単に対象とする顧客層が違うという ことだけではない漠然とした違和感で、自分自身でもそれが何なのか明確ではありませんでした。そ 1 の違和感がこのテキストを読んではっきりしたのです。 それがまさにRMやWMの部分でした。私たちの業務は、良いプランを提案するだけでは完了しま せん。使い古された言い方ですが、どんなに効果の高い承継スキームを提案できたとしても、それを 実行していただかなければ絵に描いた餅です。 そして、実務では当初の想定通りに物事が進むことは稀なことです。ある相続対策をいざ実行しよ うとすると、急に家族の誰かが反対したり、それまで表に出ていなかった過去のしがらみが一気に噴 出したりと、いろいろな障害や想定外の出来事が起こってきます。そんな中、くじけそうになるお客 様を励ましながら、その一つひとつを取り除いたり、解決しながら、案件を無事ゴールへと着地させ られるかこそが、PBやコンサルタントとしての力量の問われるところだと思います。したがってお 客様ファミリーとの人間関係構築力や利害関係者や諸官庁との交渉力、他の専門家やパートナーの 方々とのコーディネイト力がとても重要となってきます。PB資格保有者同士で情報交換したり、一 緒に研鑽していくことで、それらの力をブラッシュアップできるのではと期待しています。 更には、他業界のPB資格保有者との協業も大切なことだと考えています。お客様の問題解決手段 として税務と不動産については内製化しています。しかしこれ以外の金融商品やファイナンス、保険 などの手法を使った対策では、他のパートナーの方々と協業してコンサルティングを進めています。 協業させていただくパートナーの方も、そのお客様の全体観を理解した上で進めていくことが、より お客様へ利益をもたらすことにつながります。弊社では扱えない分野についてPB資格保有者のパー トナーと協業することにより、更にお客様との関係構築が強化できることになるのではないでしょう か。 あるお客様から、 「あなたに相談して一番良かったと思うのは、家族で財産や相続をどうするかキチ ンと話合えるようになったことだ。それにより息子が後継者として自覚が芽生えてきたことだ。 」とお っしゃっていただき、とても嬉しく思いました。 コンサルティングをすることによる定量的な効果ももちろん大切ですが、PB資格保有者としてコ ンサルティングすることにより、円満に相続できたり、ファミリーの団結力が増したり等の定性的な 効果も大切にしていきたいと思います。 2
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