最近の年金制度改革と 今後の課題

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最近の年金制度改革と
今後の課題
パ ブ リ ッ ク ・ ポ リ シ ー ・ チ ー ム 神 田 慶司
老 後 の 生 活 に 強 い 不 安 を 抱 え る 家 計 は か な り 多 い。 そ の 背 後 に は、 現 在
の年金制度が経済社会の変化に対応していないことがある。将来の公的年
金は当初の想定よりも引き下げられる可能性が高まっており、就業形態や
勤め先企業が引退後の所得に与える影響も大きくなっている。
2016 年に入り、年金制度改革に進展が見られた。3月には年金改定ルー
ルの見直しを含む公的年金改革関連法案が国会へ提出され、5月には企業
年金の普及・拡大や個人型確定拠出年金(DC)の加入対象者拡大などが
盛り込まれた改正DC法が成立した。企業負担が大幅に軽減されるリスク
分担型確定給付年金は 2016 年度に導入される予定である。
家 計 の 将 来 不 安 を 和 ら げ る 観 点 か ら は、 マ ク ロ 経 済 ス ラ イ ド の 実 施 条 件
をなくし、短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大を着実に進める必要
がある。企業年金の普及・拡大には企業の自主性が不可欠であり、インセ
ンティブ設計がカギだろう。所得水準の低い就業者が主体的に個人型DC
へ加入する環境整備も重要課題である。仕組みを周知するとともに、個人
型DCへ最も加入すべき人々が利用しやすい制度とする工夫が求められる。
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1章
強い将来不安の背後にある年金制度のほころび
2章
最近の年金制度改革
3章
将来不安の緩和に向けた年金制度の今後の課題
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