2015年度 決算 2016年度 事業計画 2016年度 予算

(3)
2016年(平成28年)7月29日
第410号
上 智 大 学 通 信
第410号
2015年度事業活動収支計算書
上智大学の2015年度決算および2016年度予算が、5月25日(水)に開催された上智学院理事会、
評議員会において承認されました。以下にその内容を紹介し、解説します。
※2015年度から学校法人会計基準が改正されました。新会計基準による計算書類を掲載し、ご報告
いたします。
2015年度 決算
【2015年度 決算の概要】
2015年度の事業活動収支の概況は、収入面では、2014年度に設置した総合グローバル学部の学年進
行による学生数の増加等により学生生徒等納付金が2014年度決算額と比較し419百万円増加した一方、
寄付金及び資産運用収入は大幅に減少しました。これは、2014年度には大型のご寄付があったことや
予想を上回る好況に支えられた資産運用収入があったことなどの特殊要因による減少です。この結果、
事業活動収入合計は2014年度決算額と比較して1,070百万円減となる23,635百万円となりました。
一方、支出面では、主に教育研究関連施設の改修費の増加や教育研究活動充実化のための支出増加
などによる教育研究経費が700百万円増加した結果、2014年度決算額と比較して548百万円増の21,
677百万円となりました。
以上により、基本金組入前当年度収支差額(事業活動収入-事業活動支出)は、2014年度決算額と
比較して1,618百万円下回る1,958百万円となりました。また、基本金の組入額は、キャンパス整備計
画の推進により第2号基本金から第1号基本金への充当(振替)が発生したことや奨学資金充実のた
めの第3号基本金の組入を実施した結果、1,594百万円の組入額となり、当年度収支差額(基本金組入
前当年度収支差額-基本金組入額)は364百万円となり、翌年度繰越収支差額が改善する結果となり
ました。
2015年度末の財務状況については、6号館(ソフィアタワー)建設に伴う固定資産の増加等により
貸借対照表上の資産の部の合計が117,903百万円となりました。一方で負債の部の合計は、キャンパス
整備計画推進に伴う新規借入金の発生等により、1,986百万円増加の24,068百万円となり、この結果、
純資産の部合計は1,958百万円増加の93,835百万円となりました。
以下に2015年度の事業活動収支計算書と貸借対照表をお示しし、
主たる差額要因をご説明いたします。
【上智学院】
事業活動収支計算書
教育活動収支
入学検定料や各種証明書発行手数料等が計上されています。
文部科学省や日本私立学校振興・共済事業団から交付される国庫補
助金
(施設設備に関する補助金以外)
、
地方公共団体補助金です。上智
大学が採択されているスーパーグローバル大学創生支援事業や私
立大学改革総合支援事業などの補助金収入が計上されています。
主に外部機関などからの委託・共同での研究等に対する収入、公開
講座収入等が計上されています。
教職員の人件費、退職給与引当金繰入額等が計上されています。
主に、退職金支給額が減少したため、
2014年度決算額と比較して約
1億円強減少しました。
その他
244百万円(1.0%)
その他
1,956百万円(8.3%)
受取利息・配当金
1,073百万円(4.5%)
資産処分差額
610百万円(2.6%)
手数料
1,155百万円
(4.9%)
管理経費
1,522百万円
(6.5%)
事業活動収入
計23,635百万円
経常費等補助金
2,324百万円
(9.8%)
学生生徒等納付金
16,178百万円
(68.5%)
【上智学院】
資産の部
年 度
2015年度
2014年度
差 額
108,008
103,892
4,116
有形固定資産
59,836
56,644
3,192
特定資産
46,865
46,410
455
その他の固定資産
1,307
838
469
現金預金
4,998
5,045
△47
その他の流動資産
4,897
5,021
△124
117,903
113,959
3,944
科 目
固定資産
資産の部合計
負債の部
(単位:百万円)
年 度
2015年度
2014年度
差 額
固定負債
17,213
15,305
1,908
流動負債
6,855
6,776
79
科 目
負債の部合計
24,068
純資産の部
22,082
1,986
(単位:百万円)
年 度
107,499
1,594
第1号基本金
82,959
80,039
2,920
奨学基金や有価証券の運用収入
(受取利息・配当金)
が計上されて
います。
2015年度は困難な市場局面が発生しうるとの見方から、
「守り重視」
のスタンスで臨み、運用商品の一部売却により、
ポートフォリオのリス
ク削減を行いながら、予算を上回る資産運用収入を確保することが
できました。
第2号基本金
13,029
14,710
△1,681
第3号基本金
11,807
11,452
355
第4号基本金
1,298
1,298
-
繰越収支差額
△15,258
△15,622
364
教育活動収入と教育活動外収入から同支出を差し引いた金額です。
経常的な事業活動が安定的であるかを判断する指標となります。
翌年度繰越収支差額
△15,258
△15,622
364
93,835
91,877
1,958
科 目
基本金
純資産の部合計
負債の部及び純資産の部合計
年 度
主に建物や機器備品、図書資産などの除却損が計上されています。
科 目
従来の
「帰属収支差額」
と呼ばれる項目で、負債とならない全ての収
入から事業活動支出を差し引いた収支差額です。
2014年度決算額との差額は主に受取利息・配当金の減少によります。
負債及び純資産の部合計
事業活動収支計算書とは…
当該会計年度の事業活動毎の収支の内容と均衡状態を明確にし、経営状況を表すものです(企業会計の「損益計算書」に
似た性格を持つ計算書)。
事業活動収支計算書では、「教育活動収支」、「教育活動外収支」、「特別収支」の3区分を設けており、経常的な収支(教育
活動収支と教育活動外収支)と臨時的な収支(特別収支)の各区分の収支を把握することができます。また、基本金組入
後の収支均衡の状態を明らかにします。
学校法人は利益の追求を目的としていないため、学校法人に入ってきた事業活動収入は、すべて教育・研究に還元し、
「当
年度収支差額」が均衡していることを理想としています。
基本金とは…
学校法人が諸活動の計画に基づき、教育研究の維持・充実に必要な資産を継続的に保持するための金額であり、以下のと
おり、第1号基本金から第4号基本金まであります。
・第1号基本金…設立や規模の拡大若しくは教育の充実向上のために取得した固定資産の額
・第2号基本金…将来取得する固定資産に充てる金銭その他の資産の額
・第3号基本金…基金として継続的に保持し、運用する金銭その他の資産の額
・第4号基本金…恒常的に保持すべき資金
主に6号館(ソフィアタワー)建設のため、2014年度決算
額と比較して約32億円増加しました。
使途が特定されている預金、有価証券等をいいます。主な
特定資産には「第2号基本金引当特定資産」、
「第3号基本金
引当特定資産」、
「退職給与引当特定資産」、
「減価償却引当
特定資産」があります。
2015年度は奨学基金の拡充に伴う第3号基本金引当特定資
産への計上や施設設備等の取替更新に備え減価償却引当
特定資産への計上が増加したことにより、2014年度と比べ
約5億円増加しました。
主に国際学生寮建設予定地の借地に係る前払金の計上に
より、2014年度決算額と比較して5億円増加しました。
6号館(ソフィアタワー)建設に伴い新規の借入が発生し
2014年度決算額と比較して約19億円増加しました。
自己資金で取得した校地、校舎、教育用機器備品、図書等
の固定資産総取得額が計上されています。
将来取得する固定資産に充当するため、事前に計画的・段
階的に積み立てる資産(現預金や有価証券)相当額が計上
されています。キャンパス整備計画の推進により第1号基
本金への充当(振替)が発生し、2014年度決算額と比べて
17億円減少しました。
奨学基金や研究基金など、基金として継続的に保持し運用
する資産の額が計上されています。
奨学基金充実を図ったことにより2014年度決算額と比較
して約4億円増加しました。
翌年度に繰り越される収支差額のことです。
2015年度期末の繰越収支差額は2014年度期末と比べ4億円
の改善となりました。
(単位:百万円)
2015年度
2014年度
差 額
117,903
113,959
3,944
※百万円未満を四捨五入しているため、合計は決算資料と一
致しない場合があります。
貸借対照表とは…
期末(年度末)における資産・負債・純資産を把握し、財政状態の健全性を表すものです。
2016年度 予算
【2016年度予算の概要】
2016年 4 月 の 法 人 合 併 に よ り、 前 年 度 予 算 に 比 べ 事 業 活 動 収 入 は7,080百 万 円 の 増 加、 支 出 は
5,238百万円の増加となりました。基本金組入前当年度収支差額は1,842百万円のプラスですが、基本
金の組入が5,320百万円必要であることから、当年度収支差額はマイナス3,478百万円の予算となって
おります。
このように、極めて厳しい状況となりますが、これを改善するには学生生徒等納付金の安定的な確
保を図るための戦略や外部資金獲得策の積極的な推進の他、最大の支出要因である人件費支出の抑制
に向けた対策を喫緊の課題として取り組む必要があります。そのためにも、今後も引き続き、
「グラ
ンド・レイアウト2.0」を着実に実行し、上智学院の各学校の発展に要する一定の蓄積を確保できるよ
う財務体質の改善に努める所存です。以下に2016年度の事業活動収支予算書をお示しいたします。
なお、詳細な予算内容と事業計画については、上智大学ホームページに掲載の「財務情報」をご参
照ください。
(掲載場所:トップページ>上智について>上智の概要>財務情報)
【上智学院】
2016年度 事業活動収支予算書
科 目
2016年度 2015年度 差 異
学生生徒等納付金
手数料
寄付金
経常費等補助金
付随事業収入
雑収入
教育活動収入計
人件費
教育研究経費
管理経費
教育活動支出計
教育活動収支差額
受取利息・配当金
その他の教育活動外収入
教育活動外収入計
借入金等利息
その他の教育活動外支出
教育活動外支出計
教育活動外収支差額
経常収支差額
教育活動外収支
特別収支
109,093
基本金組入後の当年度最終損益にあたります。
基本金組入額が2014年度決算額よりも19億円減少したことにより、
2015年度収支差額は4億円
(前年度比+3億円)
となりました。
教育研究経費
7,460百万円
(32.1%)
【はじめに】
本年4月に、イエズス会系中等教育機関である栄光学園、六甲学院、広島学院及び泰星学園の4つ
の学校法人との法人合併により、新しい学校法人上智学院が誕生します。
“Men and Women for Ot
hers,with Others”
(他者のために他者とともに)というイエズス会の教育精神を共有する5法人は、
この合併によって高等教育と中等教育をより緊密に連携させ、
「イエズス会教育の深化」
、国内外の「幅
広いネットワーク教育の構築」
、世界の持続的発展をリードする「次世代の担い手の養成」を目指し
て協働してまいります。
また、創立100周年の2013年に上智のミッションを「叡智(ソフィア)が世界をつなぐSophiaBringing the World Together」と定め、グローバル化やIT革命が進み、18歳人口が激減してい
く今後を展望しつつ、上智学院将来構想「グランド・レイアウト2.0」を公表しました。その改革構想
は2014年度から実現に向けてスタートし、今年はその3 年目を迎えます。
上智学院は、次に掲げる事業を展開することにより地球規模の課題の解決に寄与し、未来の社会を
リードする役割を果たしてまいります。
16,218
1,248
150
2,378
672
930
21,597
12,235
7,678
1,811
21,724
△128
796
0
796
171
42
213
583
456
2,868
△63
2,426
1,137
10
64
6,443
3,370
1,620
205
5,195
1,248
△116
0
△116
11
△42
△31
△85
1,163
(単位:百万円)
2016年度 2015年度 差 異
0
0
982
229
982
229
532
453
0
0
532
453
450
△224
227
231
1,842
1
△5,320 △1,618
△3,478 △1,617
△15,258 △15,622
3
0
△18,733 △17,239
0
753
753
79
0
79
674
△4
1,841
△3,702
△1,860
364
3
△1,493
(参考)
事業活動収入計
事業活動支出計
29,702
27,859
22,622
22,621
7,080
5,238
※表示単位未満を四捨五入しているため、合計などにおいて
差異が生じる場合があります。
主たる比率の推移(2011~2016年度)
(%)
120
2016年度 事業計画
19,086
1,185
2,577
3,516
682
994
28,040
15,605
9,298
2,016
26,919
1,121
680
0
680
182
0
182
498
1,619
科 目
資産売却差額
その他の特別収入
特別収入計
資産処分差額
その他の特別支出
特別支出計
特別収支差額
予備費
基本金組入前当年度収支差額
基本金組入額合計
当年度収支差額
前年度繰越収支差額
基本金取崩額
翌年度繰越収支差額
特別収支
教育活動外収支
差 額
キャンパス整備計画の推進により第1号基本金への充当
(振替)
が発
生し、2014年度決算額と比べて約19億円組入額が減少しました。な
お、奨学基金充実のための第3号基本金への組入れは例年どおり実
施しています。
事業活動支出
+
基本金組入額
23,271百万円
(単位:百万円)
2014年度
主に土地や建物の不動産や有価証券の売買差益が計上されています。
2015年度は従来から計画をしていた一部の厚生施設の売却が計上
され、2014年度決算額と比較して約9億円増加しました。
人件費
11,841百万円
(50.9%)
貸 借 対 照 表
2015年度
学生の教育活動、教員の研究活動に係る経費が計上されています。
主に、教育研究関連施設の改修費の増加、
また教育研究活動充実化
のための支出増加により、2014年度決算額と比較して約7億円弱増加
しました。
基本金組入額
1,594百万円(6.9%)
(2)
Ⅰ.事業計画
上智学院の運営基盤に関する計画
1.全体計画
①上智学院全体の意思決定過程の見直し及び企画立案の強化と迅速化
②適切なPDCA(Plan-Do-Check-Act)の整備
③IR(Institutional Research)機能の整備
④ステークホルダーとの連携の強化
2.組織・人事計画
①教員組織及び運営(事務)組織の再編成
②教員評価制度の導入
③人件費依存率の改善
④多様な人材の育成と組織の活性化
3.財政計画
①財政基盤強化のための諸方策の実施
②収入源の安定的確保
③効果的支出の実現
4.施設・設備計画
①各キャンパスの有効活用と施設設備の整備計画の策定
5.ICT(Information and Communication Technology)計画
①ICTによる教育研究及び学生支援への新たな価値の創出
②システム監査体制の構築
※詳細な事業計画については、上智大学ホームページに掲載の「事業計画書」をご参照ください。
(掲載場所:トップページ>上智について>上智の概要>事業計画書・事業報告書・財務状況)
教育活動収支
(単位:百万円)
科 目
2015年度 2014年度 差 異
学生生徒等納付金
16,178
15,760
419
手数料
1,155
1,245
△90
寄付金
297
544
△247
経常費等補助金
2,324
2,366
△41
付随事業収入
672
735
△64
雑収入
798
776
22
教育活動収入計
21,424
21,426
△2
人件費
11,841
11,976
△135
教育研究経費
7,460
6,789
672
管理経費
1,522
1,433
89
徴収不能額
0
46
△46
教育活動支出計
20,823
20,244
580
教育活動収支差額
601
1,182
△581
受取利息・配当金
1,073
2,984 △1,911
教育活動外収入計
1,073
2,984 △1,911
借入金等利息
161
145
16
その他の教育活動外支出
82
0
82
教育活動外支出計
243
145
98
教育活動外収支差額
830
2,839 △2,009
経常収支差額
1,431
4,021 △2,590
資産売却差額
949
79
870
その他の特別収入
190
216
△26
特別収入計
1,138
295
843
資産処分差額
610
740
△130
その他の特別支出
1
0
1
特別支出計
611
740
△129
特別収支差額
528
△444
972
基本金組入前当年度収支差額
1,958
3,576 △1,618
基本金組入額合計
△1,594 △3,560
1,965
当年度収支差額
364
17
347
前年度繰越収支差額
△15,622 △15,639
17
翌年度繰越収支差額
△15,258 △15,622
364
(参考)
事業活動収入計
23,635
24,705 △1,070
事業活動支出計
21,677
21,129
548
※表示単位未満を四捨五入しているため、合計などにおい
て差異が生じる場合があります。
授業料、入学金等の学生から徴収する学費が計上されています。
2014年度に開設した総合グローバル学部の年次進行に伴う学生数増
加や学費単価引き上げにより2014年度決算額と比較して4億円増加
しました。
資産売却差額
949百万円(4.0%)
2016年(平成28年)7月29日
上 智 大 学 通 信
人件費依存率
100
学生生徒等納付金比率
80
教育研究経費比率
60
事業活動収支差額比率
40
20
0
-20
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
2016年度(予算)
※2014年度以前は、
新会計基準に置き換えて算出しています。
※2011年度の人件費依存率が上昇した理由は、
文部科学省通知に基づく退職給与引当金特別繰入額を計上されたことによります。
○学生生徒等納付金比率 = 学生生徒等納付金/経常収入
(教育活動収入+教育活動外収入)
○人件費依存率 = 人件費/学生生徒等納付金
○教育研究経費比率 = 教育研究経費/経常収入
(教育活動収入+教育活動外収入)
○事業活動収支差額比率 = 基本金組入前当年度収支差額/事業活動収入