7/25 2016/ 原油価格週間動向 投資情報部 シニアコモディティアナリスト 津賀田 真紀子 原油相場、強材料不足で値崩れ継続の可能性 原油相場の動きがさえない。WTI 原油先物相場は先週、一時1バレル=43 ドル台と今年 5 月以来、およそ 2 ヵ月ぶりの安値をつけた。世界的な供給過剰懸念がいまだ根強いことが背景にある。また、米国内の石 油掘削装置(リグ)の稼働数が再び増加傾向にあることも売り圧力となっている。非商業筋の新規の売残 も再び増加に転じており、ネットロングは直近のピークから 2 割以上も減少している。今週、FOMC の追加 利上げ見送りによって一時的にドル安に傾き、これによって原油が買い戻される可能性も考えられるが、 ファンダメンタルズの弱さを考えると、引き続き売られやすい展開が続くことになるだろう。 原油相場の動きがさえない。国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト 世界的な供給過剰 懸念が下押し圧力 に (WTI)原油先物相場は先週、一時 1 バレル=43.69 ドルと 5 月上旬以来、およそ 2 ヵ 月半ぶりの安値をつけた。 石油輸出国機構(OPEC)の原油生産量が過去最高を更新するなど、世界的な供給 過剰懸念がいまだ根強いことが背景にある。また、需要面では英国の欧州連合(EU) 離脱問題を受け、欧州を中心に需要が下振れる可能性も取りざたされている。 米国内の石油掘削装置(リグ)の稼働数が再び増加傾向にあることも相場にとっては マイナス要因だ。ベーカー・ヒューズ社の報告によると、7/22 時点の米国内のリグ稼 働数は前週比 14 基増の 371 基であった。今後の動向に市場の関心が寄せられてい る。 一方、米国の原油生産量は減少傾向にあり、足元では日量約 849 万バレルと 2015 年 6 月のピーク時から▲11.6%となっている。しかし、米国内の原油在庫は潤沢であ り、前年同期を 12.0%も上回る状況だ。決して需給がひっ迫しているわけではない。 原油価格動向 W T I原油先物価格とドルインデックス 2016/7/11 ~ ~ 2016/7/18 期間 始値 WTI 北海 ブレント (1バレル=ドル) 前週比 2016/7/22 2016/7/15 46.12 45.07 46.14 46.93 ▲ 0.79 安値 43.69 44.42 ▲ 0.73 終値 44.19 45.95 ▲ 1.76 始値 47.92 46.49 1.43 高値 47.95 48.57 ▲ 0.62 安値 45.17 45.90 終値 45.69 47.61 76 110 78 80 100 1.05 高値 (週次:2013/1/4~2016/7/22) 120 82 90 84 80 86 88 70 90 60 92 50 94 96 40 ▲ 0.73 WTI原油先物(左目盛) 30 ドルインデックス(右逆目盛) ▲ 1.92 20 13/1 13/7 14/1 14/7 98 15/1 100 15/7 (注)価格は 1 バレル=ドル 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1 16/1 102 16/7 (年/月) 2016/7/25 原油価格週間動向 非 商 業 筋 の ネ ット ロングは縮小傾向 非商業筋のネットロングは依然として縮小傾向にある。米商品先物取引委員会 (CFTC)の建玉報告によると、7/19 時点でのネットロングは 28 万 9,581 枚と前週から 5,214 枚減少。ピーク時(5/17)からは▲21.5%となっている。買残の減少よりも、新規 の売残に押されている状況だ。足元のファンダメンタルズから判断すると、引き続き売 り圧力に押される展開が続く可能性が高い。 なお、今週の最大の材料は、26~27 日に開催される米連邦公開市場委員会 (FOMC)だろう。今回は追加利上げが見送られる公算が大きく、為替相場が一時的 にドル安に振れた場合、WTI 原油先物相場を支える可能性がある。ただし、6 月の雇 用統計が堅調など米経済自体は悪くなく、基本的には今後の利上げを意識した動き が続くと見込まれるため、ドルの下落幅は限られるのではないかとみている。 強材料を 1 つ挙げるとすれば、米国のシェール業者がリグ稼働数を今後も増やし続 けるだけの資金力を持っているのかという問題だ。ハイイールド債で資金調達を行う 企業が多いものの、米エネルギーセクターのハイイールド債発行額をみると、前年同 期を大幅に下回っているためだ。このままリグ稼働数が増加し続けるとは考えにくい。 米国内リグ稼働数と原油生産量 米国エネル ギーセクターハイイールド債発行額 (週次:2014/1/3~2016/7/22) (基) 1,600 (千バレル/日) 10,000 原油生産量(右目盛) リグ稼働数(左目盛) 1,400 (億ドル) 160 140 9,500 120 1,200 2016年 9,000 1,000 800 100 過去3年平均 80 過去3年最高 8,500 過去3年最少 60 600 40 8,000 400 20 200 7,500 15/1 15/4 15/7 15/10 16/1 16/4 0 16/7 (年/月) 1 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 (月) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 米国原油在庫 C FT C非商業筋建玉とWTI原油先物価格 (週次:2013/1/4~2016/7/15) (千バレル) 600,000 2 (週次:2014/4/1~2016/7/22) (万枚) (1バレル=ドル) 50 120 45 550,000 500,000 450,000 2013年 40 2014年 35 買残-売残(左目盛) 110 WTI原油先物(右目盛) 100 90 80 70 2015年 30 60 2016年 400,000 25 350,000 20 50 40 30 15 300,000 14/4 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 14/7 14/10 15/1 15/4 15/7 15/10 16/1 (月) 16/4 20 16/7 (年/月) (注)CFTC 非商業部門建玉は 7/19 現在 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 22 2016/7/25 原油価格週間動向 ■ エネルギー関連統計 日付 国・地域 7 月 27 日 7 月 27 日 7 月 27 日 7 月 27 日 7 月 27 日 7 月 27 日 7 月 27 日 7 月 27 日 7 月 29 日 7 月 29 日 7 月 29 日 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 イベント 米国原油在庫(前週比・千バレル) オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル) 米国ガソリン在庫(前週比・千バレル) 米国中間留分在庫(前週比・千バレル) 米国製油所稼働率(前週比) 米国原油推定需要(千バレル/日) 米国ガソリン推定需要(千バレル/日) 米国留出燃料推定需要(千バレル/日) ベーカー・ヒューズ掘削リグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ稼働数 期間 7 月 22 日 7 月 22 日 7 月 22 日 7 月 22 日 7 月 22 日 7 月 22 日 7 月 22 日 7 月 22 日 7 月 29 日 7 月 29 日 7 月 29 日 前回 ▲2,342 189 911 ▲214 0.9% 16,963 10,180.4 5,224.6 462 88 371 ■ 今週の経済指標 日付 国・地域 7 月 25 日 7 月 26 日 7 月 26 日 7 月 26 日 7 月 26 日 7 月 26 日 7 月 26 日 7 月 27 日 7 月 27 日 7 月 27 日 7 月 27 日 7 月 27 日 7 月 27 日 7 月 27 日 7 月 28 日 7 月 28 日 7 月 28 日 7 月 28 日 7 月 28 日 7 月 28 日 7 月 28 日 7 月 28 日 7 月 29 日 7 月 29 日 7 月 29 日 7 月 29 日 7 月 29 日 7 月 29 日 7 月 29 日 7 月 29 日 7 月 29 日 7 月 29 日 7 月 31 日 7 月 31 日 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 欧州 欧州 欧州 欧州 欧州 米国 米国 米国 欧州 欧州 欧州 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 米国 中国 中国 イベント ダラス連銀製造業活動 S&P/ケース・シラー米住宅価格指数(季調前) マークイット米国サービス業 PMI マークイット米国コンポジット PMI 消費者信頼感指数 リッチモンド連銀製造業指数 新築住宅販売件数 MBA 住宅ローン申請指数 耐久財受注(前月比) 製造業受注-資本財(非国防/除航空機) 製造業出荷-資本財(非国防/除航空機) 中古住宅販売仮契約(前月比) FOMC 政策金利(上限) FOMC 政策金利(下限) 景況感 業況判断指数 鉱工業信頼感指数 サービス業信頼感指数 消費者信頼感 新規失業保険申請件数 失業保険継続受給者数 カンザスシティ連銀製造業活動 失業率 CPI 予想(前年比) CPI-コア(前年比) GDP(季調済/前年比) 雇用コスト指数 GDP(年率/前期比) 個人消費 コア PCE(前期比) シカゴ購買部協会景気指数 ミシガン大学消費者マインド 製造業 PMI 非製造業 PMI 期間 7月 5月 7 月 速報 7 月 速報 7月 7月 6月 7 月 22 日 6 月 速報 6 月 速報 6 月 速報 6月 7 月 27 日 7 月 27 日 7月 7月 7月 7月 7 月 確報 7 月 23 日 7 月 16 日 7月 6月 7月 7 月 1 次速報 4-6 月期 1 次速報 4-6 月期 4-6 月期 1 次速報 4-6 月期 1 次速報 4-6 月期 1 次速報 7月 7 月 確報 7月 7月 前回 ▲18.3 178.69 51.4 51.2 98.0 ▲7 551,000 ▲1.3% ▲2.3% ▲0.4% ▲0.5% ▲3.7% 0.50% 0.25% 104.4 0.22 ▲2.8 10.8 ▲7.9 253,000 2,128,000 2 10.1% -0.9% 1.7% 0.6% 1.1% 1.5% 2.0% 56.8 89.5 50.0 53.7 (注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 33 2016/7/25 金融商品取引法に係る重要事項 原油価格週間動向 ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化等により、投 資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負担いただ きます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手 数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含む)、国や地域 の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込むことがあり、損失を被るこ とがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与えることがあ ります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が当該証券の 高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売却してお客さ まの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市場があっても当該証券の 流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生しても本邦投資家が取り扱いできないこ とがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商品取引法に基 づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および諸費用の額 は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。詳細は当社の担当者まで お問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金に対して最大 1.08%+2,700 円(税込 み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対 して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別途手数料お よび諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負 担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を 委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券取引口座管理 料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決定した為替 レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書またはお客さま向け 資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-160725-30 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 44
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