積極的な景気刺激策は財政健全化に貢献 - 三菱UFJモルガン・スタンレー

景気循環研究所レポート
積極的な景気刺激策は財政健全化に貢献
2016 年 7 月 27 日
15 年度の基礎的財政収支
の赤字が縮小
基礎的財政収支の赤字幅が縮小している。内閣府が 26 日公表した「中
長期の経済財政に関する試算」によると、15 年度の国・地方の基礎的財
政収支は対 GDP 比で▲3.2%となり、前回 1 月時点の試算値(▲3.3%)か
ら 0.1%ポイント改善した。税収等の上振れ(0.4 兆円、国の一般会計ベ
ース)と基礎的財政収支対象経費(PB 対象経費)の下方修正(1.0 兆円、
同)が、ともに 15 年度の対 GDP 赤字の縮小に寄与した。この結果、政府
が掲げていた 15 年度の対 GDP 赤字の削減目標(10 年度▲6.6%→15 年度
▲3.3%)は、小幅ながら超過達成された。
増税見送りと政府支出増
で財政収支が改善
15 年度は当初、10 月に消費税率の 2%ポイント引上げが予定されてい
たが、それに先立つ 14 年 4 月の消費税率引上げ後に景気が大幅に下振れ
たことを受けて、15 年度の消費税増税が先送りされ、同時に景気対策と
して 3.3 兆円の補正予算が編成された。増税先送りと財政支出増額にもか
かわらず、15 年度の基礎的財政収支赤字の削減目標が達成された格好だ。
積極的な景気対策が財政
赤字削減に貢献
先行きについては、18 年度の対 GDP 赤字の削減目標(▲1.0%)や、20
年度の収支黒字化の達成に依然として目途が立っていない。政府は今回、
PB 対象経費の削減ペースを加速することで、基礎的財政収支の黒字化の
嶋中 雄二
景気循環研究所長
時期を 1 年前倒しする方針を打ち出している。しかし、12 年 12 月の安倍
鹿野 達史
景気循環研究所副所長
対象経費の増額以上の税収増を生み出すという実績を積み上げてきた(図
政権発足以来の財政運営を振り返ると、積極的な景気刺激策によって、PB
1)。過度の歳出抑制は、深刻な税収の下振れを招く恐れがある。
シニアエコノミスト
図 1. 積極的な財政刺激策が税収等の上振れに貢献
宮嵜
浩
(兆円)
シニアエコノミスト
03-6627-5132
miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp
福田
圭亮
シニアエコノミスト
03-6627-5133
fukuda-keisuke@sc.mufg.jp
本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ
き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。
景気循環研究所
東京都千代田区大手町 1-9-2
大手町フィナンシャルシティ
グランキューブ
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
-2
-4
-6
14.3
税収等の修正幅(12年→16年)
11.6
6.6
3.4
7.9
5.1
4.0
2.3
基礎的財政収支対象経費の修正幅(12年→16年)
12
13
14
15
-1.4
-2.6
16 (年度)
(注)国の一般会計ベース。12年8月試算と16年7月試算の比較。15年度は実績見込み、
16年度は見通し。
(資料)内閣府「中長期の経済財政に関する試算」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー
証券景気循環研究所作成
1
2016 年 7 月 27 日
表 1. 中長期の経済財政に関する試算(16 年 7 月)
国・地方の財政
国の一般会計
基礎的財政収支(PB)
年度
-4.1
-3.2
-3.1
-2.2
-1.9
-1.6
-1.0
-0.5
-0.2
0.1
0.6
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
基礎的財政収支(PB)
GDP比・%
PB対象経費
兆円
(-4.1)
(-3.3)
(-2.9)
(-2.2)
(-1.7)
(-1.4)
(-1.1)
(-0.7)
(-0.4)
(-0.1)
(0.4)
-14.0
-12.1
-11.6
-10.3
-10.0
-8.3
-6.6
-6.0
-5.3
-4.0
-3.0
(-14.0)
(-13.5)
(-10.8)
(-9.2)
(-8.4)
(-7.6)
(-7.0)
(-6.3)
(-5.6)
(-4.4)
(-3.4)
税収等
兆円
76.6
75.8
73.9
74.0
75.9
77.8
80.6
82.7
84.8
86.5
88.7
兆円
(76.6)
(76.8)
(73.1)
(75.3)
(77.8)
(79.4)
(81.2)
(83.2)
(85.3)
(87.1)
(89.2)
62.6
63.6
62.3
63.7
65.9
69.4
74.0
76.7
79.5
82.6
85.7
(62.6)
(63.2)
(62.3)
(66.1)
(69.4)
(71.7)
(74.2)
(76.9)
(79.7)
(82.7)
(85.8)
(注)15年度は実績見込み、16年度以降は見通し。カッコ内の数値は16年1月試算値。
(資料)内閣府「中長期の経済財政に関する試算」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
図 2. 基礎的財政収支の推移(国と地方の財政)
1
(GDP比、%)
黒字化
0
-1.0
-1
-1.0
-2
-1.9
-3.3
-3
-3.2
-4
16年1月試算
16年7月試算
-5
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24(年度)
(注)国・地方の基礎的財政収支(復旧・復興対策の経費及び財源の金額を除いたベース)。
(資料)内閣府「中長期の経済財政に関する試算」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー
証券景気循環研究所作成
(兆円)
図 3. 基礎的財政収支の内訳(国の一般会計)
85
80
76.6
76.1
75.8
75
70
80.6
見通し
78.9
73.9
74.0
75.9
74.0
基礎的財政収支対象経費
69.4
65
60
55
77.8
62.6
62.6
63.6
13
14
15
62.3
63.7
65.9
税収等
57.7
50
12
16
17
18
19
20(年度)
(注)国の一般会計ベース。16年7月試算値。15年度は実績見込み、16年度以降は見通し。
(資料)内閣府「中長期の経済財政に関する試算」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー
証券景気循環研究所作成
(以
上)
みやざき
ひろし
(16.7.27 宮嵜
浩)
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際してはお客様
ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
2
2016 年 7 月 27 日
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