最新の労働統計 ちょっと気になるデータ 69 失業者の詳細についての統計 5月 10 日に総務省から「労働力調査(詳細集計) 」の 2016 年1~3月期平均の結果が公表された。労働力 調査の詳細集計は、労働力調査の対象となっている約4万世帯のうち1万世帯に追加的に調査される事項を、 基本的な調査事項とあわせて公表されるもので、失業の実態や就業異動の状況など就業及び不就業に関する 詳細な統計である。 2016 年1~3月期平均の詳細集計結果では、完全失業者は 213 万人で前年同期に比べて 15 万人の減少と なっている。この失業者について、 仕事につけない理由と失業期間をみてみる。 (失業者の仕事につけない理由) 失業期間別失業者数(2016 年 1 ~ 3 月期平均) 完 全 失 業 者 213 万 人 に つ い て 仕 事 に つ け な い 理由をみると、 「希望する種類・内容の仕事がない」 6か月~ 1年未満 14.2% が 26.4 %注(55 万人)と最も高く、次いで「その他」 22.1 %(46 万人) 、 「求人の年齢と自分の年齢とがあ 3~6か月 未満 14.2% 3か月未満 31.4% わない」15.4 %(32 万人)などとなっている。男性 1年以上 40.2% では「希望する種類・内容の仕事がない」が 30.5 %と 最も高く、女性では「勤務時間・休日などが希望とあ 0% 20% わない」 が 24.1 %と最も高くなっている。 ている。 「求人の年齢と自分の年齢とがあわない」は 年齢階級が上がるほど高くなっており、55 ~ 64 歳 では3割強、 65 歳以上では半数以上となっている。 失業者の仕事につけない理由(2016 年 1 ~ 3 月期平均) 60% 80% 100% 失業期間別完全失業者の推移 年齢階級別にみると、 「希望する種類・内容の仕事 がない」はどの年齢階級でも2割~3割程度となっ 40% 万人 120 1年以上 100 80 3か月未満 60 6か月~1年未満 40 賃金・給料 が希望とあ わない 8.2% 20 勤務時間・ 休日などが希望と あわない12.5% 3~6か月未満 0 その他22.1% 条件にこだわら ないが仕事が ない 6.7% 希望する種 類・内容の 仕事がない 26.4% 求人の年齢と 自分の年齢とが あわない 15.4% 上の者である。また、 「1年以上」のうち52万人は「2 年以上」となっている。 直近3年程度の推移をみると、 「1年以上」は減少 が続いているが、2016 年1~3月は前年同期と同 自分の技術や技能 が求人要件に満た ない8.7% (失業者の失業期間) 次に、失業期間別に完全失業者をみる。完全失 業者 213 万人のうち、失業期間が「3か月未満」は 31.4 %(64 万人) 、 「1年以上」は 40.2 %(82 万人)と なっており、完全失業者の4割は失業期間が1年以 数となっている。「3か月未満」は 2015 年7~9月 期以降前年同期と比べて減少している。 詳細集計では、この他にも、失業者の求職方法、前 職の離職理由、前職の雇用形態・産業・職業などの統 計が公表されており、失業者の詳細について知るこ とができる。 注 割合は内訳の合計に占める割合。以下同じ。 (調査・解析部) Business Labor Trend 2016.7
© Copyright 2024 ExpyDoc