平成28年7月26日 No.16−168 株式会社 いよぎん地域経済研究センター ―堅実な暮らしぶりと安定した将来を求める学生― 株式会社いよぎん地域経済研究センター(略称IRC、社長 重松 栄治)では、このた び、県内大学生へのアンケート結果を取りまとめましたので、下記のとおりお知らせしま す。なお、詳細は 2016 年8月1日発行の「IRC Monthly」2016 年8月号に掲載します。 記 【調査要旨】 ・ アンケートによる月間の収入総額の平均は、自宅生が 6.9 万円、自宅外生が 12.0 万円と、 ともに昨年より増加した。学生全体では 9.8 万円と、2009 年の調査開始以来最高となった。 ・ 貯蓄を除く月間支出総額の平均は、自宅生が 4.5 万円、自宅外生が 10.1 万円となった。 収入額は増加しているが、支出額はほぼ変化なく、学生の財布のヒモは固いようだ。ま た、毎月の貯蓄額は 2.1 万円と過去最高となった。 ・ 就職活動は、7割弱が4回生になる前の春休みから始める・始める予定であり、4回生 は「就職サイトに登録」「企業説明会」「web エントリー」など本格的に活動している が、3回生は6割弱が「特に何もしていない」状況である。 ・ 就職先の希望は男女とも「公務員・団体職員」(40.1%)が最多となった。「経営が安定 している」ことを重視する学生は 98.0%と、大多数が収入や生活に 安定 を求めている。 ・ 「愛媛で就職したい」と答えた愛媛出身の学生は8割弱となった。県外出身者も「出身 地で就職したい」との自由回答が圧倒的に多く、地元志向が強いと言える。 ・ 「結婚したい」と答えた学生は、男性が 93.4%、女性が 88.5%となり、男性が女性を 上回った。2011 年に実施した調査では、男性が 91.8%、女性が 95.2%であり、この5 年で男女の結婚願望が逆転していることが分かる。 ・ 11 年調査では、 「結婚したい」と答えた人全員が「子どもが欲しい」と回答していたが、 今回の調査では「結婚したい」ものの子どもは「欲しくない」とした人が 3.7%、「結 婚したくない」が子どもは「欲しい」と答えた人も 8.4%と、 結婚 や 出産・育児 に対する考え方の多様化が進んでいる。 以 上 私たちはチャレンジします。みなさまの笑顔のために。 株式会社 伊予銀行 NEWS RELEASE 愛媛県松山市南堀端町 1 番地 〒790-8514 TEL(089) 941-1141 (2) 支出状況∼収入は増えても支出は変わらず∼ IRC では、県内大学生の暮らしぶりを把握するため 月間支出総額(貯蓄を除く)の平均は、自宅生が 2009 年からアンケートを実施している。以下は本年 4.5 万円、自宅外生が 10.1 万円となった(図表-2)。 の結果である。 アンケートの概要 時 期:2016 年4月中旬∼5月上旬 対 象:愛媛大学法文学部「現代政治理論」、 「数理的思考」、「卒業演習」、 松山大学経営学部「地域産業論」、 松山大学経済学部「経済政策論Ⅰ」 の受講生 方 法:あらかじめアンケート用紙を配付し、 その場もしくは後日回収。無記名方式。 回答者数:436 人 図表-2 毎月の平均支出額(n=423) (単位:万円) 全体 自宅生 自宅外生 7.7 4.5 10.1 家賃 2.1 0.0 3.7 食費 1.6 0.8 2.2 学習費(授業料除く) 0.4 0.3 0.5 通信費 0.5 0.3 0.7 ファッション費 0.8 0.8 0.8 娯楽費 1.4 1.5 1.3 その他 0.8 0.8 0.9 支出総額 全体の推移をみると、収入が増えているにもかか 回答者属性 大学 愛媛大学 49.4% 松山大学 50.6% わらず、支出額にほぼ変化はない。学生の財布のヒ 性別 男性 52.1% 女性 47.9% モは固いようだ(図表-3)。 0.0% 29.7% 1.4% 63.3% 14.1% 0.9% 45.4% 2回生 4回生 50.7% 18.2% 四国3県 近畿 その他 自宅外 17.3% 2.5% 1.8% 54.6% 1回生 学 年 3回生 その他 愛媛県内 出身地 中国・九州 関東 住まい 自宅 図表-3 支出総額の推移 (万円) 9 8 7 6 注:集計は不明分を除く。また、小数点以下第2位を四捨五入して 表記しているため、内訳の合計が 100%にならないことがある(以 下、同じ)。 5 8 .3 1.5 7 .9 1.0 1.3 1.3 8 .0 0.8 1.3 1.1 1.1 7 .6 0.9 7 .6 1.0 7 .8 1.1 7 .5 0.6 1.2 1.3 1.4 1.4 1.4 0.9 0.6 0.4 0.9 0.7 0.4 0.9 0.6 0.4 0.8 0.5 0.4 4 1.1 0.6 0.3 0.7 0.4 0.8 0.4 1.0 0.7 0.4 3 1.5 1.5 1.5 1.4 1.5 1.5 1.7 1.6 2.0 1.9 2.1 2.0 1.9 1.8 1.9 2.1 2 1. 月間の収支状況 1 (1)収入状況∼収入総額は過去最高に∼ 7 .7 0.8 0 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 (n=298) (n=223) (n=212) (n=357) (n=377) (n=305) (n=378) (n=423) 県内大学生の月間収入総額の平均は、自宅生が 6.9 家賃 万円、 自宅外生が 12.0 万円となった。 自宅外生は 2009 食費 学習費 通信費 ファッション費 娯楽費 その他 注:太字は支出総額 年に調査を開始してから最も高い額となり、自宅生 毎月の貯蓄額は 2.1 万円と過去最高となった。推 も前回調査より増加した。 学生全体では 9.8 万円と、 移を見ても、増加傾向にある。収入が増えた分、将 2009 年の調査開始以来最高となった(図表-1)。 来に向けて貯蓄するという最近の学生の堅実な姿が うかがえる(図表-4)。 図表-1 毎月の平均収入額(n=423) (単位:万円) 全体 自宅生 自宅外生 9.8 6.9 12.0 親からの援助 (小遣い・仕送り等) 2.9 〔4.8〕 0.3 〔1.3〕 5.1 〔5.7〕 2.5 アルバイト 4.3 〔5.2〕 4.9 〔5.6〕 3.7 〔4.8〕 2.0 奨学金 2.5 〔5.6〕 1.6 〔5.0〕 3.1 〔5.9〕 1.5 0.2 〔3.6〕 1.0 収入総額 その他 0.2 〔2.5〕 0.1 〔1.5〕 図表-4 貯蓄額の推移 (万円) 2.1 1.8 1.6 1.1 1.2 1.5 1.6 1.2 0.5 注:各数値は全回答を平均したもので、〔 〕内は「ゼロ」との回答を除 き平均したもの。 0.0 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 (n=298) (n=223) (n=212) (n=357) (n=377) (n=305) (n=378) (n=423) -2- 2. 就職に対する意識 図表-6 具体的な就活の内容<複数回答> 今年は3月1日から会社説明会が、6月1日から面接 0 選考が解禁になった。今まさに就活真っただ中の4回生 就職サイトに登録 と、就活を目前に控えた3回生を対象に、就職に対する 意識を調査した。 3.2 就職フェア・合同説明会 2.4 webエントリー 0.8 業界・企業研究 1.6 自己分析 大学 愛媛大学 73.4% 松山大学 26.6% 性別 男性 44.0% 女性 56.0% 学年 3回生 愛媛県内 中国・九州 関東 自宅 62.0% 64.3% 16.4% 1.0% 50.0% 38.0% 14.0% 3.9% 0.5% 50.0% 出身地 4回生 四国3県 近畿 その他 自宅外 (1)就活の現状 ∼4回生から本格化∼ OB訪問 就職活動塾・セミナー SNSを通じて企業・OBに接触 その他 特に何もしていない 71.8 57.7 48.7 44.9 42.3 18.4 35.9 4.8 23.1 18.4 10.3 0.0 資料請求 オンライン説明会に参加 (%) 80 60 70.5 インターンシップ 回答者数 208人 40 8.8 企業説明会 学校のガイダンス 回答者属性 住まい 20 0.0 7.7 7.2 5.1 5.1 1.6 2.6 2.4 3.2 6.4 4回生(n=78) 3回生(n=125) 11.5 56.0 (2)就職先の希望 ∼ダントツ人気は公務員∼ 就活を始める時期について尋ねたところ、「3月 就職先の希望を尋ねたところ、「公務員・団体職 1日の解禁後」に初めて取りかかった、取りかかろ 員」(40.1%)が男女とも最多となった。自由回答 うと思っている人が 45.3%と最も多くなった。4月 のなかにも、「将来はなるべく安定していたい」「安 以降の スロースターター はわずか 3.9%であり、 定した収入を得られるところに就職したい」など、 ほとんどが3回生から4回生に進級する前の春休み 安定 という言葉が多くみられた(図表-7)。 には就活をスタートさせるようだ(図表-5)。 図表-7 就職先の希望<複数回答> 図表-5 就活を始める時期 0 10 20 公務員・団体職員 銀行 広告・出版・マスコミ 未定 30.0% 解禁前 から 20.7% 商社 食品 ホテル・旅行・レジャー 建設・住宅・インテリア 4月以降 3.9% 3月1日 の解禁後 45.3% 証券 医療・福祉 繊維・化学・薬品・化粧品 鉄道・航空・運輸・物流 (n=203) ソフトウェア・通信 保険 具体的な就活の内容について尋ねると、4回生で 不動産 ガス・電力・エネルギー は7割強が「就職サイトに登録」(71.8%)し、「企 各種販売店 業説明会」(70.5%)に参加、「web エントリー」 百貨店・スーパー・コンビニ 農林・水産 (48.7%)を提出するなど、本格的に活動している 教育 様子がうかがえる。一方、3回生はまだ6割弱が「特 その他 特にない に何もしていない」 (56.0%)状況である(図表-6)。 未定 -3- 20.8 19.8 21.6 12.8 17.8 21.6 13.7 11.7 16.3 12.2 8.1 15.3 12.2 2.3 19.8 10.7 10.5 10.8 7.1 6.38.1 6.6 3.5 9.0 6.1 5.47.0 6.1 5.8 6.3 6.1 4.5 8.1 5.1 5.8 4.5 5.1 8.1 2.7 5.1 3.6 7.0 4.6 3.55.4 2.34.1 5.4 3.6 3.5 3.6 1.23.65.4 10.5 15.2 7.2 2.5 3.5 1.8 8.6 11.6 6.3 30 (%) 50 40 40.1 39.5 40.5 全体(n=197) 男性(n=86) 女性(n=111) 就職する際に重視することを尋ねたところ、「経 3. 結婚観・子ども観 営が安定している」ことを重視する(「重視する」 学生の結婚や子どもに対する意識についても調査 「やや重視する」の合計)学生が 98.0%と最も多く、 した(1∼4回生対象)。 「将来性がある」(同 95.9%)、「休暇制度が充実 「結婚したい(「なるべく早く」「年齢にはこだ している」(同 93.4%)が続いた。やはりここでも わらない」の合計)」と答えた男性が 93.4%である 安定 を重視する学生が多くなった(図表-8)。 のに対し、女性は 88.5%と、「結婚したくない」割 合は女性(11.5%)が男性(6.5%)を上回った。2011 年調査では、 「結婚したい」と答えた男性は 91.8%、 図表-8 就職する際に重視すること(n=199) 女性は 95.2%であり、ここ5年で男女の結婚願望が (%) 20 40 経営が安定している 62.3 将来性がある 65.8 給料がよい 6.00.5 図表-10 結婚のタイミング 8.00.0 12.6 3.0 22.7 30.2 0 2.0 8.5 18.6 2011(n=210) 2016(n=415) 30.7 14.1 29.1 22.6 11.6 12.1 35.2 46.2 あまり重視しない 2011(n=86) 2016(n=215) 8.0 42.2 35.7 7.0 11.6 やや重視する 19.1 38.7 36.2 女性 女性が働きやすい 1.0 28.3 男性 44.9 25.8 地元(出身地)で働ける 重視する 逆転していることが分かる(図表-10)。 4.0 0.0 46.0 42.7 社会に貢献している 海外で働くことができる 0.5 1.5 34.7 29.3 転勤がない・少ない 35.7 46.7 49.7 自分の能力・専門性が生かせる 100 27.6 45.2 土日・祝日が休み 80 44.4 51.5 休暇制度が充実している 大手企業である 60 全体 0 20 40 36.1 40.5 26.7 38.1 2011(n=124) 42.7 2016(n=200) 43.0 60 80 (%) 100 57.6 6.2 50.6 8.9 65.1 8.1 55.3 52.4 45.5 6.5 4.8 11.5 重視しない なるべく早く 年齢にはこだわらない 結婚したくない また、11 年調査では、「結婚したい」人全員が「子 (3)どこで働きたいか ∼地元志向が強い∼ 就職するなら愛媛か県外かを尋ねたところ、出身 どもが欲しい」と回答したが、今回の調査では「結 地別にみると、愛媛出身で「愛媛で就職したい」と 婚したい」ものの子どもは「欲しくない」とした人 答えたのは 76.0%と8割弱を占めた(図表-9)。ま が 3.7%、「結婚したくない」が子どもは「欲しい」 た、県外出身で「県外で就職したい」と答えた学生 と答えた人も 8.4%と、 結婚 や 出産・育児 に は、ほとんどが自由回答で「自分の出身地で就職し 対する考え方の多様化が進んでいると言える。 たい」と答えており、地元志向の強い学生が多いと 言える。 おわりに 県内大学生の月間収入総額は調査を開始してから 図表-9 どこで就職したいか 0 20 60 80 に回すという堅実な学生の姿が浮かび上がった。 また、地元で就職・結婚し、安定した生活を送り 全体 (n=190) 54.7 愛媛出身 (n=125) 県外出身 (n=65) 40 最多となったが、収入が増えても支出ではなく貯蓄 (%) 100 45.3 76.0 13.8 たいと考える学生が多い一方、自分のやりたいこと を模索する学生や、結婚にこだわらずキャリアを積 24.0 みたい女性も増えているようだ。就職や結婚は、今 後の人生を左右する大きな節目となる。愛媛の将来 86.2 を担う若者たちの選択に幸多からんことを。 愛媛で就職したい 県外で就職したい (加藤 あすか) -4-
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