大学若手研究者と企業研究者の第三種接近遭遇 1.ファーストコンタクトプログラム とは 従来の産学連携・交流のあり方としては、知的財産に基づくライセンシング、共同 研究や、協議会が促進する中長期研究インターンシップなどが挙げられます。 前者で は知的財産を保有する教授クラスの研究者が、 後者では大学院生(もしくは研究者歴 の浅いポストドクター)が大学側のカウンターパートとして参加し、産学間の知識交 流を深めてきました。しかしながら、 両者の中間世代に相当する准教授・助教クラス の若手研究者と産業界の研究者との交流機会は十分ではありませんでした。 図 1 従来の産学連携のあり方にあった空隙 K-CONNEX が 実 施 し て い る 「 フ ァ ー ス ト コ ン タ ク ト プ ロ グ ラ ム 」 で は 、 国 際 公 募 で選抜された優秀な若手研究者(助教・准教授クラス)が企業研究所を訪問して、ア カデミアの最新研究をわかりやすく紹介するセミナーを行います。セミナーにおける 大学若手研究者との活発な質疑応答を通じて、大学内シーズと企業内ニーズの相互発 見を促し、これまでになかった産学連携のかたちを醸成します。 2. ファーストコンタクトプログラムの具体的な流れ ① セミナーを依頼したい若手研究者を選ぶ K-CONNEX の 若 手 研 究 者 ( 以 後 、 K-CONNEX 研 究 者 と 呼 ぶ 。) か ら 、 セ ミ ナ ーを依頼したい研究者を選んで頂きます。セミナーを開催したい候補日とともに、 ご 連 絡 下 さ い 。 所 属 研 究 者 と 研 究 内 容 は 、 K-CONNEX も し く は 人 材 育 成 協 議 会 の ホ ー ム ペ ー ジ に て 紹 介 し て お り 、 紹 介 冊 子 を PDF 形 式 で ダ ウ ン ロ ー ド 可 能 で す 。 図 2 大学若手研究者と企業研究者の知識交流制度 ファーストコンタクトプログラム ② 招待講演者としての招聘をお願いします セ ミ ナ ー を 依 頼 す る K-CONNEX 研 究 者 は 、 招 待 講 演 者 と し て セ ミ ナ ー に 招 聘 していただけるようお願い します。 ③ セミナーでは異分野研究者にも理解し易い研究紹介を行います 講 演 す る K-CONNEX 研 究 者 は 、 自 分 の 専 門 領 域 の 研 究 背 景 と 最 近 の 研 究 成 果 を、他分野の研究者の方々にも理解し易く紹介します。 セミナー後は質疑の時間を 十分に設けることにより、一方向の講演ではなく、意見交換が活発なセミナーとな る よ う 配 慮 し ま す ( セ ミ ナ ー 時 間 の 目 安 は 、 質 問 を 含 め て 1-2 時 間 程 度 を 想 定 )。 ④ 発表内容に対するコメントのフィードバックをお願いします 企業研究者の方々には、研究内容やプレゼンテーション スキルについての評価・ コ メ ン ト を 所 定 の フ ィ ー ド バ ッ ク 用 紙 ( A4、 1 -2 枚 程 度 ) に 記 載 し て 頂 け る よ う お願いいたします。頂いたアンケートの結果は、講演者である若手研究者にフィー ドバックすることにより、研究の新たな展開やプレゼンテーションスキルの向上に 役立たせます。 * 将 来 的 に は 、 K-CONNEX だ け で な く 、 他 の 研 究 者 育 成 プ ロ グ ラ ム に 所 属 す る優秀な若手研究者も、セミナー講演候補者としてお選びいただける仕組みを検 討しております。 3.企業研究者と大学若手研究者の双方にメリット アカデミアにおける最新の研究情報の獲得 ファーストコンタクトプログラムに参加して頂く企業側のメリットとしては、国際 的な研究競争の第一線に立っている若手研究者と直接コンタクトできること、及び、 彼らとの議論を通じて最新の研究知見を得られることにあります。 潜在的シーズの発見と共同研究の萌芽探索 企業の開発研究に携わる方々にとって、アカデミアの研究に埋もれているシーズを 発見し開拓することで、自社研究の飛躍的な発展に繋がる可能性があります。一方、 アカデミアの若手研究者には、応用開発が可能な潜在的シーズをもっているにも関わ らず、そのことに気づいていない場合が少なくありません。製品化を念頭におく企業 研究者との意見交換は、アカデミア研究者が市場でのニーズを発見し、自分の研究が もつ可能性に気付かせる機会となります。このように企業・大学研究者のファースト コンタクトは、双方にとって有望な萌芽的研究が生まれる土壌を 形成します。 他者評価を通じた自己分析とニーズ把握 大 学 若 手 研 究 者 は 、 自 分 自 身 の 研 究 テ ー マ を 深 化 さ せ る だ け で な く 、 将 来 、 PI と し て研究チームを率いるためのコミュニ ケーション能力やプレゼンテーション能力の研 鑽が求められます。他分野を専門とする企業研究者の方々に対して、研究発表を行 い、その発表内容・プレゼンテーションスキルへの 評価・コメントをフィードバック してもらうことは、若手研究者が自分のコミュニケーション・プレゼンテーション能 力を把握するための重要な機会となります。また、企業研究者の方にとっても、他者 の研究発表を評価することは、自身の研究発表 において改善点を見つける能力を高め る良い機会になると期待されます。 問い合わせ先 ■ 京阪神次世代グローバル研究リーダー育成コンソ-シアム The Keihanshin Consortium for Fostering the Next Generation of Global Leaders in Research( K-CONNEX) http://k-connex.kyoto-u.ac.jp/ja/ 事務局 京都大学 次世代研究創成ユニット 〒 606-8501 京 都 市 左 京 区 吉 田 本 町 京 都 大 学 吉 田 キ ャ ン パ ス 学 術 研 究 支 援 棟 ( 旧 VBL 棟 ) 1 階 E-mail: [email protected] Tel: 075-753-5916 K-CONNEX に つ い て 文部科学省・JST の科学技術人材育成のコンソーシアムの構築事業として選 定され、京都大学、大阪大学、神戸大学がコンソーシアムを形成することによ り、平成 27 年 2 月に設立されました。本事業では、優秀な若手研究者を雇用 し、研究者として成長する機会を提供することにより、次代の研究を牽引する 先導的研究者として輩出することを目指しています。 ■ 一般社団法人 産学協働イノベーション人材育成協議会 http://www.c-engine.org/ 事務局 〒 606-8302 京都市左京区吉田牛ノ宮町 4 日 本 イ タ リ ア 会 館 305 E-mail: [email protected] Tel: 075-746-6872 産学協働イノベーション人材育成協議会について 経済産業省の研究人材育成コンソーシアム構築事業として、平成 26 年 1 月 に設立された。日本を代表する全国の主要 13 大学及び 34 のグローバル企業 が参画している(平成 28 年 6 月現在) 。中長期研究インターンシップを中心と した実践的な産学連携活動を整備することにより、世界の科学・技術を牽引す る人材と、グローバル市場における日本企業の産業競争力を主導する、イノベ ーションマインドを有する人材を育成することを事業目的としています。
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