地方税法等の改正

地方税法等の改正
目 次
一 平成28年度地方財政計画������ 903
七 自動車税������������ 925
二 平成28年度の地方税収見込み���� 906
八 軽自動車税����������� 936
三 個人住民税����������� 911
九 固定資産税・都市計画税����� 940
四 地方法人課税(法人住民税・法人事業
十 不動産取得税���������� 957
税)
���������������� 914
十一 事業所税����������� 962
五 地方消費税����������� 923
十二 その他������������ 964
六 自動車取得税���������� 924
を行い、国税に関する部分については「所得税法
はじめに
等の一部を改正する法律案」として平成28年 2 月
平成28年度税制改正については、与党において、
5 日に閣議決定され、地方税に関する部分につい
平成27年12月16日に「平成28年度税制改正大綱」
ては「地方税法等の一部を改正する等の法律案」
が取りまとめられました。また、これを受けて政
として同月 9 日に閣議決定され、ともに第190回
府においても、平成27年12月24日に「平成28年度
通常国会に提出されました。その後、国会審議を
税制改正の大綱」が閣議決定されました。
経て、平成28年 3 月29日に可決・成立し、同月31
政府においては、閣議決定に沿って法案化作業
日に公布されました。
一 平成28年度地方財政計画
地方財政計画とは、地方交付税法第 7 条の規定
の歳入歳出規模は、 1 兆7,799億円(対前年度比
に基づいて作成される地方団体の歳入及び歳出総
2,261億円の減、11.3%の減)、全国防災事業の歳
額の見込額に関する書類であり、国会に提出する
入歳出規模は1,310億円(対前年度比3,595億円の
とともに、一般に公表するものです。平成28年度
減、73.3%の減)となっています。
地方財政計画については、平成28年 2 月 9 日に閣
なお、総務省から公表されている平成28年度地
議決定され、同日国会に提出されました。
方財政計画の策定方針のうち、税制改正に関係す
この地方財政計画に計上された歳入歳出項目別
る部分は、以下のとおりです。
の内訳は、
(資料 1 )のとおりですが、このうち、
通常収支分の歳入歳出の規模は85兆7,593億円(対
前年度比4,883億円の増、0.6%の増)
、歳出のうち
1 通常収支分
⑴ 地方税制については、平成28年度地方税制改
公債費、企業償還費普通会計負担分及び不交付団
正では、経済の好循環を確実なものとするため、
体水準超経費を除く地方一般歳出の規模は69兆
成長志向の法人税改革の一環として法人事業税
9,137億円
(対前年度比5,986億円の増、0.9%の増)
所得割の税率引下げと外形標準課税の拡大等の
となっています。
ための税制上の措置を講ずることとしている。
また、東日本大震災分のうち、復旧・復興事業
また、地方創生の推進等を図るため地方法人課
─ 903 ─
――地方税法等の改正――
(資料 1 )
地方財政計画歳入歳出一覧(通常収支分)
⑴ 歳入歳出総括表
平成28年度
区 分
(歳 入)
地
方
地
方
譲
与
地
方
特
例
交
付
地
方
交
付
国
庫
支
出
地
方
う ち 臨 時 財 政 対 策
う
ち
財
源
対
策
使
用
料
及
び
手
数
雑
収
復 旧・ 復 興 事 業 一 般 財 源 充 当
全 国 防 災 事 業 一 般 財 源 充 当
税
税
金
税
金
債
債
債
料
入
分
分
般
財
(水準超経費を除く)
A
平成27年度
B 増減額
A-B C
増減率
C/B
備 考
387,022
24,322
1,233
167,003
132,184
88,607
37,880
7,900
16,247
41,643
▲ 79
▲ 589
374,919
26,854
1,189
167,548
130,733
95,009
45,250
7,800
16,044
40,689
-
▲ 275
12,103
▲ 2,532
44
▲ 546
1,451
▲ 6,402
▲ 7,370
100
203
954
▲ 79
▲ 314
3.2
▲ 9.4
3.7
▲ 0.3
1.1
▲ 6.7
▲ 16.3
1.3
1.3
2.3
-
114.2
857,593
852,710
4,883
0.6
616,792
602,292
615,485
601,685
1,307
607
0.2
0.1
203,274
185,807
17,467
357,931
190,004
140,374
203,351
185,291
18,060
350,589
185,490
139,964
▲ 77
516
▲ 593
7,342
4,514
410
▲ 0.0
0.3
▲ 3.3
2.1
2.4
0.3
計
一
(単位:億円、%)
源
(歳 出)
給
与
関
係
経
費
退
職
手
当
以
外
退
職
手
当
一
般
行
政
経
費
補
助
単
独
国民健康保険・後期高齢者医療制度関係
事業費
ま ち・ ひ と・ し ご と 創 生 事 業 費
重
点
課
題
対
応
分
地 域 経 済 基 盤 強 化・ 雇 用 等 対 策 費
公
債
費
維
持
補
修
費
投
資
的
経
費
直
轄
・
補
助
単
独
うち 緊 急 防 災・ 減 災 事 業 費
うち 公 共 施 設 等 最 適 化 事 業 費
公
営
企
業
繰
出
金
企 業 債 償 還 費 普 通 会 計 負 担 分
そ
の
他
不 交 付 団 体 水 準 超 経 費
15,053
15,135
▲ 82
▲ 0.5
10,000
2,500
4,450
128,051
12,198
112,046
57,705
54,341
5,000
2,000
25,143
15,905
9,238
14,500
10,000
-
8,450
129,512
11,601
110,010
57,252
52,758
5,000
1,000
25,397
16,247
9,150
13,800
0
2,500
▲ 4,000
▲ 1,461
597
2,036
453
1,583
0
1,000
▲ 254
▲ 342
88
700
0.0
皆増
▲ 47.3
▲ 1.1
5.1
1.9
0.8
3.0
0.0
100.0
▲ 1.0
▲ 2.1
1.0
5.1
計
(水準超経費を除く)
857,593
843,093
852,710
838,910
4,883
4,183
0.6
0.5
5,986
公債費、企業債
償還費普通会計
0.9 負担分、不交付
団体水準超経費
を除く
地
方
一
般
歳
出
699,137
693,151
⑵ 歳入歳出構成比
(単位:%)
平 成
28年度
歳 入
地
方
地
方
譲
与
地 方 特 例 交 付
地
方
交
付
国
庫
支
出
地
方
使 用 料 及 び 手 数
雑
収
計 ※
税
税
金
税
金
債
料
入
45.1
2.8
0.1
19.5
15.4
10.3
1.9
4.9
100.0
平 成
27年度
44.0
3.2
0.1
19.6
15.3
11.1
1.9
4.8
100.0
差 引
1.1
▲ 0.4
0.0
▲ 0.1
0.1
▲ 0.8
0.0
0.1
-
歳 出
給
与
関
係
経
費
一
般
行
政
経
費
地域経済基盤強化・雇用等対策費
公
債
費
維
持
補
修
費
投
資
的
経
費
公 営 企 業 繰 出 金
不 交 付 団 体 水 準 超 経 費
計
平 成
28年度
23.7
41.8
0.5
14.9
1.4
13.1
2.9
1.7
100.0
平 成
27年度
23.8
41.1
1.0
15.2
1.4
12.9
3.0
1.6
100.0
差 引
▲ 0.1
0.7
▲ 0.5
▲ 0.3
0.0
0.2
▲ 0.1
0.1
-
※ 歳入構成比については、復旧・復興事業一般財源充当分及び全国防災事業一般財源充当分を含まない場合
の歳入合計に対する構成比になります。
─ 904 ─
――地方税法等の改正――
地方財政計画歳入歳出一覧(東日本大震災分)
(復旧・復興事業)
⑴ 歳入歳出総括表
平成28年度
区 分
(歳 入)
震 災 復 興
一
般
財
国
庫
地
雑
特
源
支
方
収
別 交 付
充
当
出
税
分
金
債
入
計
(歳 出)
給
与
関
一
般
行
補
単
公
投
資
直
轄
単
公
営
企
係
政
経
経
債
的
・
費
費
助
独
費
費
助
独
金
経
補
業
繰
出
計
(単位:億円、%)
A
平成27年度
B 増減額
A-B C
増減率
C/B
備 考
4,802
79
12,528
331
59
5,898
-
13,717
355
90
▲ 1,096
79
▲ 1,189
▲ 24
▲ 31
▲ 18.6
皆増
▲ 8.7
▲ 6.8
▲ 34.4
17,799
20,060
▲ 2,261
▲ 11.3
104
5,464
4,625
839
60
12,024
11,648
376
147
110
5,723
4,481
1,242
90
13,874
13,478
396
263
▲ 6
▲ 259
144
▲ 403
▲ 30
▲ 1,850
▲ 1,830
▲ 20
▲ 116
▲ 5.5
▲ 4.5
3.2
▲ 32.4
▲ 33.3
▲ 13.3
▲ 13.6
▲ 5.1
▲ 44.1
17,799
20,060
▲ 2,261
▲ 11.3
⑵ 歳入歳出構成比
(単位:%)
平 成
28年度
歳 入
震 災 復 興
一 般 財
国
庫
地
雑
特 別 交 付
源 充 当
支
出
方
収
計
税
分
金
債
入
平 成
27年度
27.0
0.4
70.4
1.9
0.3
100.0
29.4
-
68.4
1.8
0.4
100.0
差 引
▲ 2.4
0.4
2.0
0.1
▲ 0.1
-
平 成
28年度
歳 出
給
一
公
投
公
与
般
営
資
関
行
企
債
的
業
計
係
政
繰
経
経
経
出
費
費
費
費
金
0.6
30.7
0.3
67.6
0.8
100.0
(全国防災事業)
⑴ 歳入歳出総括表
方
源
支
方
収
平成28年度
充
出
税
分
金
債
入
当
計
(歳 出)
公
投
資
直
轄
債
的
・
費
費
助
経
補
計
A
平成27年度
B 増減額
A-B C
庫
財
方
源
支
方
収
計
充
平 成
28年度
出
当
0.1
2.2
▲ 0.2
▲ 1.6
▲ 0.5
-
備 考
720
589
-
-
1
708
275
1,524
2,397
1
12
314
▲ 1,524
▲ 2,397
0
1.7
114.2
皆減
皆減
0.0
1,310
4,905
▲ 3,595
▲ 73.3
1,310
-
-
983
3,922
3,922
327
▲ 3,922
▲ 3,922
33.3
皆減
皆減
1,310
4,905
▲ 3,595
▲ 73.3
(単位:%)
歳 入
般
0.5
28.5
0.5
69.2
1.3
100.0
増減率
C/B
⑵ 歳入歳出構成比
地
一
国
地
雑
差 引
(単位:億円、%)
区 分
(歳 入)
地
一
般
財
国
庫
地
雑
平 成
27年度
税
分
金
債
入
55.0
45.0
-
-
0.0
100.0
平 成
27年度
14.4
5.6
31.1
48.9
0.0
100.0
差 引
40.6
39.4
▲ 31.1
▲ 48.9
0.0
-
平 成
28年度
歳 出
公
投
─ 905 ─
資
債
的
計
経
費
費
平 成
27年度
差 引
100.0
-
20.0
80.0
80.0
▲ 80.0
100.0
100.0
-
――地方税法等の改正――
税の偏在是正に向けた措置等を講ずるとともに、
させる地方公共団体金融機構の公庫債権金
消費税率(国・地方)10%引上げ時の平成29年
利変動準備金2,000億円を財政投融資特別
4 月に自動車税及び軽自動車税に環境性能割を
会計から交付税特別会計に繰り入れる。
導入するなど車体課税の見直し等のための税制
ロ 地方財政法第 5 条の特例となる地方債
(臨時財政対策債)を 3 兆7,880億円発行す
上の措置を講ずることとしている。
る。
⑵ 地方財源不足見込額については、地方財政の
ハ 建設地方債(財源対策債)を7,900億円
運営に支障が生じることのないよう、次の措置
増発する。
を講じることとする。
① 財源不足のうち建設地方債(財源対策債)
③ 上記の結果、平成28年度の地方交付税につ
の増発等により対処することとした残余につ
いては、16兆7,003億円(前年度比546億円、
いては、平成26年度に講じた平成28年度まで
0.3%減)を確保する。
④ 交付税特別会計の借入金については、特別
の制度改正に基づき、国と地方が折半して補
塡することとし、国負担分については、国の
会計に関する法律附則第 4 条第 1 項に基づき、
一般会計からの加算により、地方負担分につ
4,000億円の償還を実施する。
いては、地方財政法第 5 条の特例となる地方
債(臨時財政対策債)により補塡措置を講じ
る。臨時財政対策債の元利償還金相当額につ
いては、その全額を後年度地方交付税の基準
⑶~⑹ 省略
2 東日本大震災分
⑴ 復旧・復興事業
財政需要額に算入する。
① 東日本大震災に係る復旧・復興事業等の実
② これに基づき、平成28年度の財源不足見込
施のための特別の財政需要等を考慮して交付
額 5 兆6,063億円については、次により補塡
することとしている震災復興特別交付税につ
する。
いては、直轄・補助事業に係る地方負担分等
イ 地方交付税については、国の一般会計加
を措置するため、4,802億円を確保する。また、
算により8,283億円(うち地方交付税法附
一般財源充当分として79億円を計上する。
則 第 4 条 の 2 第 2 項 の 加 算 額3,436億 円、
②・③ 省略
平成22年12月22日付け総務・財務両大臣覚
書 第 3 項 ⑵ 及 び 平 成27年 1 月12日 付 け 総
⑵ 全国防災事業
務・財務両大臣覚書第 7 項に定める平成28
全国防災事業については、地方税の臨時的な
年度における「乖離是正分加算額」2,100
税制上の措置(平成25年度~平成35年度)によ
億円並びに臨時財政対策特例加算額2,747
る地方税の収入見込額として720億円を計上す
億円)増額する。
るとともに、一般財源充当分として589億円を
また、地方公共団体金融機構法附則第14
計上する。
条の規定により財政投融資特別会計に帰属
二 平成28年度の地方税収見込み
平成28年度地方財政計画における地方税収見込
増減収額(70億円の増収)(資料 3 )込みで38兆
額(通常収支分と東日本大震災分の合算額)は、
7,742億円であり、前年度の地方財政計画額(37
(資料 2 )のとおりです。
兆5,627億円)に比べ、 1 兆2,115億円、3.2%の増
平成28年度の地方税収総額は、税制改正による
となっています。
─ 906 ─
――地方税法等の改正――
道府県税と市町村税に分けてみると、道府県税
村税が20兆6,970億円で前年度の地方財政計画額
が18兆772億円で前年度の地方財政計画額(17兆
(20兆5,267億円)に比べ1,703億円、0.8%の増と
360億円)に比べ 1 兆412億円、6.1%の増、市町
なっています。
(資料 2 )
平成28年度地方税収入見込額(税目別)
⑴ 総 括 表
(単位:億円)
平 成 28 年 度
区 分
平成27年度
平成27年 当初見込額
度当初見 に対する現
込額
行法による
増減(▲)
収見込額
A
B
税制改正による増減(▲)
収見込額
現行法
平成27年
改正法に
Gの構
による 地方税 国税の
度当初見 G
よる収入
×100 成割合
A
収入見 制の改 改正に
込額に対
見込額
計
込額
する増減
正によ 伴うも
C+F
D+E
A+B るもの の
(▲)
収額
C
E
D
G
F
G-A
(%)
(%)
1 .道府県税
170,360
10,388 180,748
▲ 1
25
24
180,772
10,412
106.1
46.6
2 .市町村税
205,267
1,657 206,924
30
16
46
206,970
1,703
100.8
53.4
3 . 計 375,627
12,045 387,672
29
41
70
387,742
12,115
103.2
100.0
利子割交付金、配当割交付金、株式等譲渡所得割交付金、地方消費税交付金、ゴルフ場利用税交付金、
(参考)
自動車取得税交付金及び軽油引取税交付金に相当する金額を道府県税から控除し、市町村税に加算した
場合の金額等は、次のとおりです。
(単位:億円)
平 成 28 年 度
区 分
平成27年度
平成27年 当初見込額
度当初見 に対する現
込額
行法による
増減(▲)
収見込額
A
B
税制改正による増減(▲)
収見込額
現行法
による
収入見
込額
A+B
地方税
制の改
正によ
るもの
国税の
改正に
伴うも
の
C
D
E
計
D+E
平成27年
改正法に
Gの構
度当初見
よる収入
成割合
込額に対 G
見込額
×100
する増減 A
C+F
(▲)収額
G
F
G-A
(%)
(%)
1 .道府県税
144,362
6,667 151,029
▲ 1
30
29
151,058
6,696
104.6
39.0
2 .市町村税
231,265
5,378 236,643
30
11
41
236,684
5,419
102.3
61.0
3 . 計 375,627
12,045 387,672
29
41
70
387,742
12,115
103.2
100.0
※ 数値は東日本大震災分を含みます。
─ 907 ─
――地方税法等の改正――
( 2 - 1 ) 税目別内訳(道府県税)
(単位:億円)
平 成 28 年 度
平成27年度
平成27年 当初見込額
度当初見 に対する現
込額
行法による
増減(▲)
収見込額
区 分
A
A 道 府 県 税
Ⅰ 普 通 税
1.道 府 県 民
B
現行法
による
収入見
込額 A+B
C
税
57,416
1,777
59,193
個 人 均 等 割
906
6
割
46,275
法 人 均 等 割
1,352
法
割
所
得
人
税
6
100.7
538
46,813
46,813
538
101.2
30
1,382
1,382
30
102.2
5,726 ▲
1,033
4,693
4,698 ▲ 1,028
82.0
213
901
当
割
1,340
1,255
2,595
株式等譲渡所得割
703
1,194
1,897
税
36,042
5,793
41,835
個
人
1,887
104
1,991
法
人
34,155
5,689
39,844
税
45,568
2,972
費
5
(%)
G-A
912
配
消
5
G
F
912
1,114 ▲
方
計
D+E
103.1
割
3.地
国税の
改正に
伴うも
の
E
1,782
子
業
地方税
制の改
正によ
るもの
D
改正法 平成27年
G
×100
による 度当初見
A
収入見 込額に対
込額 する増減
C+F (▲)収額
59,198
利
2.事
税制改正による増減
(▲)収見込額
5
5
213
80.9
2,595
1,255
193.7
1,897
1,194
269.8
41,866
5,824
116.2
1,991
104
105.5
31
39,875
5,720
116.7
48,540
▲ 11 ▲ 11
48,529
2,961
106.5
▲ 11 ▲ 11
34,539
2,599
108.1
13,990
362
102.7
3,669
138
103.9
1,499
27
101.8
譲
渡
割
31,940
2,610
34,550
貨
物
割
13,628
362
13,990
4.不 動 産 取 得 税
3,531
139
5.道 府 県 た ば こ 税
1,472
27
1,499
901 ▲
31
31
31
3,670 ▲
1
▲
1
6.ゴ ル フ 場 利 用 税
465 ▲
10
455
455 ▲
10
97.8
7.自 動 車 取 得 税
1,096 ▲
21
1,075
1,075 ▲
21
98.1
8.軽
税
9,383 ▲
138
9,245
9,245 ▲
138
98.5
税
15,397 ▲
149
15,248
15,248 ▲
149
99.0
税
3
0
3
3
0
100.0
16
6
22
22
6
137.5
170,389
10,396
180,809
10,420
106.1
油
9.自
引
動
10.鉱
取
車
区
11.固定資産税(特例分等)
普
Ⅱ
目
通
的
1. 狩
目
Ⅲ
税
計
猟
的
府
25
24
税
税
10 ▲
1
9
9 ▲
1
90.0
計
10 ▲
1
9
9 ▲
1
90.0
10,419
106.1
46
-
-
180,772
10,412
106.1
道 府 県 税 小 計
道
1
税 170,399
Ⅳ 東日本大震災による減免等 ▲
Ⅴ
180,785 ▲
県
税
計
39 ▲
170,360
10,395
180,794 ▲
7 ▲
10,388
1
25
24
46
180,748
180,818
▲
▲ 1
※ 数値は東日本大震災分を含みます。
─ 908 ─
25
24
――地方税法等の改正――
( 2 - 2 ) 税目別内訳(市町村税)
(単位:億円)
平 成 28 年 度
平成27年度
平成27年 当初見込額
度当初見 に対する現
込額
行法による
増減(▲)
収見込額
区 分
A
B 市 町 村 税
Ⅰ 普 通 税
1.市 町 村 民
B
C
170
90,965
2,115
12
2,127
割
69,281
742
法 人 均 等 割
3,905
税
個 人 均 等 割
所
法
得
地方税
制の改
正によ
るもの
D
国税の
改正に
伴うも
の
E
16
計
D+E
改正法 平成27年
G
×100
による 度当初見
A
収入見 込額に対
込額 する増減
C+F (▲)収額
G
F
154
99.8
2,127
12
100.6
70,023
70,023
742
101.1
101
4,006
4,006
101
102.6
16
14,825 ▲ 1,009
93.6
90,981 ▲
1,025
14,809
税
87,079
1,051
88,130
26
26
88,156
1,077
101.2
土
地
33,596
114
33,710
11
11
33,721
125
100.4
家
屋
36,576
860
37,436
14
14
37,450
874
102.4
産
16,000
85
16,085
1
1
16,086
86
100.5
純固定資産税小計
86,172
1,059
87,231
26
26
87,257
1,085
101.3
8
899
8
99.1
償
却
交
3.軽
資
産
資
付
自
899 ▲
1,999
443
2,442
2,442
443
122.2
4.市 町 村 た ば こ 税
9,007
164
9,171
9,171
164
101.8
税
20
0
20
20
0
100.0
6.特 別 土 地 保 有 税
6
2
8
8
2
133.3
189,246
1,490
190,736
190,778
1,532
100.8
6
220
6
97.3
3,612
3
100.1
12,492
170
101.4
0
0
0.0
4
16,324
167
101.0
46
207,102
1,699
100.8
▲ 132
-
-
206,970
1,703
100.8
普
Ⅱ
目
産
通
的
1.入
2.事
車
907 ▲
税
5.鉱
動
金
16
16
(%)
G-A
15,834 ▲
定
税
税制改正による増減
(▲)収見込額
割
2.固
人
91,135 ▲
現行法
による
収入見
込額 A+B
税
計
湯
税
3,612
税
12,322
166
12,488
4.水 利 地 益 税 等
0
0
0
計
16,157
163
16,320
4
市 町 村 税 小 計
205,403
1,653
207,056
30
計
的
画
税
Ⅳ 東日本大震災による減免等 ▲ 136
市
町
42
220 ▲
3
Ⅲ
所
226 ▲
3,609
目
業
市
16
税 税
3.都
Ⅴ
26
村
税
計
205,267
4
4
16
4 ▲ 132
1,657
206,924
※ 数値は東日本大震災分を含みます。
─ 909 ─
30
16
46
――地方税法等の改正――
(資料 3 )
平成28年度の税制改正(地方税関係)による増減収見込額
改 正 事 項
1 法人住民税
地方創生応援税制の創設
2 法人事業税
⑴ 税率の改正(外形標準課税の拡大)
・所得割の税率引下げ
・付加価値割及び資本割の税率引上げ
⑵ 外形標準課税に係る負担変動軽減措置の拡充
⑶ 地方創生応援税制の創設
⑷ 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する
法律の改正に伴う税制上の所要の措置
3 不動産取得税
市街地再開発事業における権利変換において従前資産に
対応して与えられる権利床等を取得した場合の課税標準の
特例の拡充
4 自動車取得税
廃止
5 自動車税
環境性能割の創設
6 固定資産税
⑴ 農地中間管理機構への貸付けなど農地の利用の効率化
及び高度化の促進を図るための農地の保有に係る課税の
強化・軽減の措置の創設
⑵ 中小企業者等が新規取得した生産性向上に資する機械
装置に係る課税標準の特例措置の創設
⑶ 防災及び減災に資する道路の無電柱化の促進に係る特
例措置の創設
⑷ 再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措
置の見直し
⑸ 新たな物流効率化のための計画に基づき取得した事業
用資産に係る課税標準の特例措置の創設等
⑹ 日本郵便株式会社が所有する一定の固定資産に係る課
税標準の特例措置の縮減
⑺ 成田国際空港株式会社が事業の用に供する固定資産に
係る課税標準の特例措置の縮減
⑻ 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する
法律の改正に伴う税制上の所要の措置
7 軽自動車税
環境性能割の創設
8 都市計画税
⑴ 日本郵便株式会社が所有する一定の固定資産に係る課
税標準の特例措置の縮減
⑵ 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する
法律の改正に伴う税制上の所要の措置
合 計
国税の税制改正に伴うもの
個人住民税
法人住民税
法人事業税
地方消費税
再 計
(単位:億円)
平 年 度
道府県税 市町村税
▲ 16 ▲
▲ 16 ▲
▲ 460
初 年 度
道府県税 市町村税
計
▲ 3,940
3,900
▲ 380
▲ 42
2
▲3,940
3,900
▲ 380
▲ 42
2
▲
▲
▲
▲
1
1
▲ 1,075
▲ 1,075
744
744
▲
計
47 ▲ 63
47 ▲ 63
▲ 460
1 ▲
1 ▲
1
1
▲1,075
▲1,075
744
744
36
36
1 ▲ 1
▲
▲
1
1
26
26
▲ 183 ▲ 183
▲
10 ▲ 10
148
▲
148
2 ▲
2
25
25
25
25
1
1
1
1
58
58
147
147
6
4
147
147
6
4
4
4
4
4
2
2
142 ▲ 666 ▲
1
30
29
356 ▲
▲ 10 ▲
▲ 13 ▲
395
▲ 16
95
261
15 ▲ 25
80 ▲ 93
395
▲ 16 ▲
25
16
41
5
31
11
16
21
31
11
▲ 452
47 ▲ 405
24
46
▲ 808
▲
70
(注 1 ) 上記の計数は 1 億円未満を四捨五入しています。
(注 2 ) 法人住民税法人税割の税率引下げによる減収額は、平年度8,709億円と見込まれます。
(注 3 ) 地方法人特別税から法人事業税への復元による影響額は、平年度 1 兆8,809億円と見込まれます。
(注 4 ) 上記の他、国税の税制改正に伴う地方法人特別譲与税の増収額は、初年度22億円と見込まれます。
【別掲】 軽減税率関係
(単位:兆円)
消費税の軽減税率制度の導入 (平成29年 4 月より施行予定)
▲ 1.0程度 (うち地方分▲0.2程度)
(注 1 ) 上記の計数は、国分と地方分の計数を合計し、 1 千億円未満を四捨五入しています。
(注 2 ) 軽減税率制度の導入にあたっては、平成28年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることによ
り、安定的な恒久財源を確保することとされています。
─ 910 ─
――地方税法等の改正――
三 個人住民税
1 スイッチOTC薬控除(医療費控除の
特例)の創設
なお、この特別控除については、相続した親の
住宅を譲渡しつつ、本人が居住している住宅を買
い換える場合等が想定されるため、居住用財産の
現行の医療費控除の特例として、適切な健康管
買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等及び特定
理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点か
居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の規定と重複
ら、健康の保持増進及び疾病の予防への取組を行
適用できることとされました(地法附則 4 、 4 の
っている所得割の納税義務者が自己又は自己と生
2)
。
計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のス
この改正の施行日は、平成29年 1 月 1 日とされ
イッチ OTC 医薬品の購入対価を支払った場合に
ており、平成29年度以後の年度分の個人住民税に
おいて、その年中に支払った対価の額が 1 万 2 千
ついて適用することとされています。
円を超えるときは、その超える部分の金額(その
金額が 8 万 8 千円を超える場合には、 8 万 8 千
円)について、その年分の総所得金額等から控除
する、スイッチ OTC 薬控除を創設することとさ
れました。
3 無記名公社債の利子等の所得の帰属に
係る規定の廃止
無記名の公債、無記名の社債、無記名の株式
(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社
なお、所得税においても、同様の措置が講じら
債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的
れています(地法附則 4 の 4 (措法41の17の 2 )
)
。 受益権に係る受益証券を含みます。
)又は無記名
この措置の施行日は、所得税において施行日が
の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行
平成29年 1 月 1 日とされ、平成29年分所得から適
信託の受益証券については、その元本の所有者以
用することとされていることを踏まえ、平成30年
外の者が利子、配当、利益又は収益(以下「利子
1 月 1 日とされており、平成30年度以後の年度分
等」といいます。)の支払を受ける場合には、そ
の個人住民税について適用することとされていま
の利子等については、その元本の所有者が支払を
す。
受けるものとみなすこととされています。
2 空き家を売却した際の譲渡所得の特別
控除の導入
今回の改正において、この措置は廃止され、無
記名の公社債等(いわゆる現物債)の所有者が利
札を切り離して譲渡し、その利札の譲受人が利子
今回の所得税の改正において、相続時から 3 年
等の支払を受ける場合には、その利札の譲受人に
を経過する日の属する年までに、被相続人の居住
対して課税されることになります。
の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該
なお、所得税においても、同様にこの措置は廃
家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをした
止されています(旧地法24の 4 、294の 4 (旧所
ものに限り、その敷地を含みます。
)又は除却後
法14))。
の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は除却後
平成28年 4 月 1 日前に支払を受ける利子等につ
の土地の譲渡益から3,000万円を控除することが
いては、従前どおりとされています。
できることとされました。この改正により、個人
住民税についても、所得税と同様に空き家の譲渡
所得に係る特別控除が適用されることとなりまし
た(地法附則34、35(措法35)
)
。
4 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損
失の繰越控除等の適用期限の延長
個人が所有期間 5 年超の居住用財産の譲渡をし、
─ 911 ─
――地方税法等の改正――
一定期間内に居住用財産の取得をして自己の居住
課税に係る所得を有する場合の寄附金税額控除に
の用に供した場合において、その譲渡した資産に
おける特例控除額の上限は、個人住民税所得割額
係る譲渡損失につき、一定の要件の下で、申告に
の 1 割とされていました。
より、他の所得との損益通算を認めるとともに、
今回の改正により、この特例控除額の上限を 1
損益通算をしてもなお引ききれない金額について
割から 2 割に引き上げることとされました(地法
は、その年の翌年以後 3 年以内の各年分の総所得
附則 5 の 5 )(資料 4 )
。
金額等からの繰越控除が認められています。
今回の改正により、この措置の適用期限が平成
29年12月31日まで 2 年延長されました。
なお、所得税においても、同様の措置が講じら
れています(地法附則 4 (措法41の 5 )
)
。
7 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算
及び繰越控除の対象となる譲渡の範囲に
係る所要の措置
所得税においては、一定の高額資産家(国外転
5 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除
等の適用期限の延長
出時の有価証券等の評価額が 1 億円以上の者であ
り、かつ、国外転出の日前10年以内において 5 年
を超えて居住者であった者)を対象に、国外転出
個人が所有期間 5 年超の居住用財産の譲渡をし
時に未実現のキャピタルゲイン(含み益)に対し
た場合(その譲渡をした居住用財産に係る住宅借
て特例的に課税する国外転出時課税制度が設けら
入金等の残高を有する場合に限ります。
)におい
れています(所法60の 2 ~60の 4 )。
て、その譲渡した資産に係る特定の譲渡損失(住
一方、個人住民税においては、出国年中に実現
宅ローン残高から譲渡収入を控除した残額を限度
したキャピタルゲイン(例えば出国の直前に売却
とします。)につき、一定の要件の下で、申告に
した株式の譲渡益)に係る個人住民税は課税しな
より、他の所得との損益通算を認めるとともに、
いこととされていることから、国外転出時課税制
損益通算をしてもなお引ききれない金額について
度の創設後は、個人住民税の課税標準の計算にあ
は、その年の翌年以後 3 年以内の各年分の総所得
たり、所得税において課税される出国時における
金額等からの繰越控除が認められています。
株式等に係る未実現のキャピタルゲインに対する
地方税法附則第 4 条は居住用財産の買換えを想
譲渡所得を除いて計算することとされています
定している特例である一方、この特例は買換えで
(地法32②、313②)(資料 5 )
。
はなく居住用財産を譲渡した場合(持ち家から借
今回の改正により、所得税において、国外転出
家等に住み替える場合に、譲渡収入で当該持ち家
時課税制度の適用により譲渡とみなされることで
の住宅ローンを返済しきれなかったとき等)を想
生じた上場株式等の譲渡損失についても、上場株
定しているものです。
式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対
今回の改正により、この措置の適用期限が平成
象に追加することとされています。個人住民税に
29年12月31日まで 2 年延長されました。
おいては、国外転出時課税制度の影響を遮断して
なお、所得税においても、同様の措置が講じら
いることから、今回の所得税における改正を踏ま
れています(地法附則 4 の 2 (措法41の 5 の 2 )
)
。 え、当該改正の影響を遮断する規定を置くことと
6 寄附金税額控除における特例控除額の
上限引上げ
地方団体への寄附金を支出した者について、所
されました(地法附則35の 2 の 6 )。
なお、施行期日については、平成29年 1 月 1 日
とし、平成29年度以後の年度分の個人住民税につ
いて適用することとされています。
得税の課税総所得金額が 0 を下回り、かつ、分離
─ 912 ─
――地方税法等の改正――
(資料 4 )
「特例控除額」の適用について(37の 2 、314の 7 、附則 5 の 5 )
○ 「所得税の課税総所得金額(個人住民税の課税総所得金額-人的控除差調整額)」≧ 0 の場合には、分離課税に係る
所得の有無にかかわらず、当該課税総所得金額に適用される所得税の限界税率(※)をもとに特例控除額を算出する。
(法37の 2 ②、314の 7 ②)
※「所得税の課税総所得金額」< 0 で分離課税を有しない場合には、課税山林所得金額・課税退職所得金額に適用される所得税の限界税率
○ 次のいずれにも該当する場合には、総所得以外の所得に適用される所得税率のうち最も高い税率をもとに特例控
除額を算出する。(法附則 5 条の 5 )
・「所得税の課税総所得金額(個人住民税の課税総所得金額-人的控除差調整額)」< 0 の場合
・分離課税に係る所得を有する場合
○ この場合の特例控除額の上限は、個人住民税所得割の 1 割となっている。(平成27年度改正で上限据え置き)
附則 5 の 5 の対象範囲
本則の対象範囲
課税総所得金額
①所得税の課税総所得金額
(課税総所得金額
-人的控除差調整額)
③課税山林所得金額
課税退職所得金額
適用条項(地方税)
無
本則 1 号(上限 2 割)
有
本則 1 号(上限 2 割)
無
本則 1 号(上限 2 割)
有
本則 1 号(上限 2 割)
無
有
(本則 1 号適用の場合)
有
有
無
②分離課税に係る
課税所得金額
無
無
本則 2 号(上限 2 割)
(本則 2 号適用の場合)
有
附則 5 条の 5 (上限 1 割)
有
無
本則 3 号(上限 2 割)
(本則 3 号適用の場合)
有
附則 5 条の 5 (上限 1 割)
無
住民税額が発生しないため適用なし
有
附則 5 条の 5 (上限 1 割)
無
無
無
有
無
本則 3 号(上限 2 割)
(本則 3 号適用の場合)
有
附則 5 条の 5 (上限 1 割)
※ ①~③は、実際の所得税の税額計算における所得控除の順序
(資料 5 )
出国時の譲渡所得課税の特例について
○ 個人住民税については、翌年 1 月 1 日に地方団体内に住所を有する者に課税される税であるため、年の途中
で出国した者については、当該年中に実現したキャピタルゲイン(例えば出国の直前に売却した株式の譲渡益)
に係る個人住民税は課税されないこととの公平性を踏まえると、所得税と同様の措置を講ずることは現時点で
は困難。
○ 個人住民税に係る出国時における未実現のキャピタルゲインに対する譲渡所得課税の特例については、年の途
中で出国した者等の実現したキャピタルゲイン等についての課税のあり方の検討と併せて、引き続き検討する。
【出国者等に係るキャピタルゲインに対する課税関係】
所得税
(国税)
出国年の 1 月 1 日から
出国時までの間に実現
したキャピタルゲイン
未実現の
キャピタルゲイン
課税
新たに課税
【個人住民税におけるキャピタルゲインに対する課税関係(イメージ)】
1月1日
課税
課税されない
※ 賦課期日(出国年の翌
年 1 月 1 日)時点におい
て 住 所 を 有 し な い た め、
納税義務者にあたらない。
国内
譲渡益
1月1日
個人住民税
(地方税)
1月1日
(住所あり)
(引き続き検討)
─ 913 ─
国内
出国
譲渡益
譲渡益
(未実現)
課税されない
課税?
国外
1月1日
(住所なし)
←出国時の譲渡所得課税
の特例を導入した場合
――地方税法等の改正――
四 地方法人課税(法人住民税・法人事業税)
今回の改正においては、平成27年度に引き続き
確保した上で、法人事業税の所得割の税率を引
法人税改革の一環として法人事業税の外形標準課
き下げることとされました(資料 6 )
。
税の拡大が行われたほか、かねてからの課題であ
具体的には、平成27年度には大法人向けの法
る地方法人課税の偏在是正措置について改正が行
人事業税の 8 分の 3 に導入されている外形標準
われました。
課税について、平成28年度以降の外形標準課税
法人税改革については、平成27年度改正におい
を平成27年度改正時点での 8 分の 4 からさらに
て外形標準課税を平成27年度に全体の 8 分の 3 、
拡大し、 8 分の 5 とすることとされ、見合いの
平成28年度に 8 分の 4 に拡大することとされてい
所得割を縮減することとされました。また、外
ましたが、今回、法人税改革を加速し、平成28年
形標準課税の資本割と付加価値割の比率は、現
度に法人実効税率20%台を実現することとし、平
行通り 1 : 2 とすることとされました。
成28年度に 8 分の 5 に拡大することとされました。
税率ベースでは、改正前6.0%である所得割
地方法人課税の偏在是正については、税制抜本
の税率は平成27年度改正では平成28年度以降は
改革法や平成26年度与党税制改正大綱を踏まえ、
4.8%とされていたところを3.6%とされ、改正
消費税率10%段階において、地方法人特別税・譲
前0.3%である資本割の税率は平成27年度改正
与税制度を廃止するとともに、法人住民税の更な
では平成28年度以降は0.4%とされていたとこ
る交付税原資化を進めることとされました。
ろを0.5%とされ、改正前0.72%である付加価値
また、いわゆる「企業版ふるさと納税」として、
割の税率は平成27年度改正では平成28年度以降
法人が地方公共団体に対し行った、一定の要件を
は0.96%とされていたところを1.2%とすること
満たした寄附について、地方公共団体に対する寄
とされました(地法72の24の 7 ①③)。
附一般の損金算入措置に加え、法人事業税、法人
また、所得割の軽減税率については、それぞ
住民税(及び法人税)に新たに税額控除を設ける
れ比例的に改正し、改正前3.1%である年400万
こととされました。
円以下の所得については1.9%と、改正前4.6%
法人住民税・法人事業税に係る主な改正事項は
である年400万円超800万円以下の所得について
次のとおりです。
は2.7%とすることとされました(地法72の24
の 7 ①)。なお、所得割の税率の改正に伴い、
1 法人税改革
地方法人特別税の実質的な税率(所得割の税率
⑴ 法人事業税の所得割の税率の引下げと外形標
に換算した場合の2.9%相当)を同水準で維持
準課税の拡大
するため、改正前93.5%の地方法人特別税の税
今般の法人税改革は、
「課税ベースを拡大し
率も、平成28年度は414.2%に改めることとさ
つつ税率を引き下げる」ことにより、法人課税
れました(地方法人特別税等に関する暫定措置
を成長指向型に改革することを目指すものであ
法 9 一、13①一)。
り、上述のとおり、平成28年度で法人実効税率
なお、所得割の税率引下げと外形標準課税の
を20%台とすることとされ、地方税においては、
拡大が行われ、かつ地方法人特別税が存続する
引き続き、外形標準課税の拡大によって財源を
平成28年度においては、所得割の実質的な超過
─ 914 ─
――地方税法等の改正――
課税の余地が小さくなることから、平成28年度
(参考) 法人事業税の税率の変更
に限り所得割の制限税率を標準税率の 2 倍(改
改正前
改正後
正前:1.2倍)とすることとされました(地方
平成27年度
平成28年度~
法人特別税等に関する暫定措置法 2 ①)
。
付加価値割
0.72%
1.2%
また、今回の外形標準課税の拡大に際し、平
資本割
0.3%
0.5%
年400万円以下の
所得
3.1%
(1.6%)
1.9%
(0.3%)
年400万円超800万
円以下の所得
4.6%
(2.3%)
2.7%
(0.5%)
年800万円超の所
得
6.0%
(3.1%)
3.6%
(0.7%)
成27年度改正時に創設した、いわゆる中堅企業
度から平成30年度までの間に開始する各事業年
度(以下「適用年度」といいます。
)において、
所 得 割
に係る負担変動の軽減措置を拡充し、平成28年
付加価値額が40億円未満で、所得割の税率引下
げと外形標準課税の拡大による税率改正によっ
て負担が増加する法人については、その負担増
(注 1 )
所得割の税率下段のカッコ内の率は、地方
法人特別税等に関する暫定措置法適用後の税
分の一定割合を軽減することとされました(資
率であり、当該税率の制限税率は標準税率の
料7)
。具体的には、適用年度の課税標準に、
2 倍(改正前:1.2倍)に引き上げられました。
当該適用年度と平成27年度に適用されるそれぞ
(注 2 )
3 以上の都道府県に事務所又は事業所を設
れの税率を乗じた額の差額の一定割合を軽減す
けて事業を行う法人の所得割に係る税率につ
ることとされ、その軽減割合は、付加価値額が
いては、軽減税率の適用はありません。
30億円以下の法人については、平成28年度が 4
(参考) 地方法人特別税の税率の改正
分の 3 、平成29年度が 2 分の 1 、平成30年度が
改正前
改正後
4 分の 1 、付加価値額が30億円以上40億円未満
平成27年度
平成28年度
93.5%
414.2%
の法人については、それぞれの年度における30
億円以下の法人の軽減割合から 0 の間で付加価
値額に応じ連続的に逓減させたものとすること
とされました(地法改正法附則 5 ②等)
。
付加価値割額、資本割額
及び所得割額の合算額に
よって法人事業税を課税
される法人の所得割額に
対する税率
─ 915 ─
――地方税法等の改正――
(資料 6 )
法人事業税所得割の税率引下げと外形標準課税の拡大
法人事業税所得割の税率を引き下げ、外形標準課税を 5 / 8 に拡大する。
〔27年度改正〕
〔改正後〕
~ ㉖ 2 / 8 → ㉗ 3 / 8 → ㉘ 4 / 8 ㉘ ~ 5 / 8
【税率】
〔改正後〕
〔27年度改正〕
付加価値割 ~ ㉖ 0.48% → ㉗ 0.72% → ㉘ 0.96% 資本割 ~ ㉖ 0.2 % → ㉗ 0.3 % → ㉘ 0.4 % 所得割 ~ ㉖ 7.2 % → ㉗ 6.0 % → ㉘ 4.8 % ㉘ ~ 1.2%
㉘ ~ 0.5%
㉘ ~ 3.6%
改正後
㉘~
27年度改正
~㉖
資本割
0.2%
0.96%
付加価値割
1.2%
3.6%
4.8%
6.0%
0.3%
所得割
資本割
所得割
0.72%
7.2%
付加
価値割
所得割
0.48%
㉘
付加
価値割
所得割
付加
価値割
㉗
資本割
資本割
0.4%
0.5%
※ 資本割における特例(圧縮特例、持株会社特例、個別特例)については、現行特例の趣旨を踏まえ、維持。
※ 所得割の所得400万円以下、400万円超から800万円以下の税率は、比例的に措置。
※ 所得割の税率には地方法人特別税を含む。 (資料 7 )
負担変動の軽減措置
外形標準課税の拡大(㉗ 3 / 8 →㉘ 5 / 8 )に対応し、平成27年度改正で創設した負担変動に対する軽減措置を拡充。
外形標準課税の拡大により負担増となる法人(欠損法人、事業規模に比して所得が小さい法人)のうち、
事業規模が一定以下の法人について、 3 年間、負担増を軽減する措置を講ずる。
付加価値額30億円以下の法人
H28 3 / 4
負担増となる額の H29 2 / 4
H30 1 / 4
付加価値額30億円超40億円未満の法人
負担増となる額に各年度の軽減率を乗じた額に、
付加価値額に応じて 1 から 0 までの間の率を乗じた額を軽減
【措置のイメージ(平成28年度)】
税額
所得割
×
平成28年度の
課税標準
平成27年度の
税率
資本割 付加価値割
を軽減
負担増となる場合
【付加価値額30億円以下の法人】
負担増となる額の
3 / 4 を軽減
=
(所得割 6.0% 資本割 0.3% 付加価値割 0.72% )
【付加価値額30億円超40億円未満の法人】
×
平成28年度の
税率
負担増となる額の 3 / 4 に次の算式に
よって得た率を乗じた額を軽減
(40億円-付加価値額)/10億
=
(所得割 3.6% 資本割 0.5% 付加価値割 1.2% )
─ 916 ─
――地方税法等の改正――
⑵ 法人税改革に伴う改正
ための改革の一環として、平成28年度まで65
今回の法人税改革は、国・地方を通じた法人
%、平成29年度以降は50%とされていました
実効税率を引き下げるものであり、法人税にお
が、今回、法人税改革を加速化するに当たり、
いては23.9%の税率を平成28年度に23.4%に、
改革に伴う企業経営への影響を平準化する観
平成30年度に23.2%に引き下げることとされま
点から、平成28年度は60%、平成29年度は55
した。これにより国・地方を通じた法人実効税
%、平成30年度は50%と毎年段階的に控除限
率 は、 平 成28年 度 に29.97 %、 平 成30年 度 に
度割合が減少するよう改正することとされま
29.74%となります。
した。また、欠損金繰越控除制度における欠
法人税率の引下げに必要な財源は、租税特別
損金の繰越期間については、平成27年度改正
措置の見直し、減価償却制度の見直し、欠損金
で平成29年度以後に生ずる欠損金について10
繰越控除制度の更なる見直しにより確保するこ
年とすることとされていましたが、これを平
ととされています。これに対応し、地方税にお
成30年度以後に生ずる欠損金について10年と
いても、次のとおり、所要の措置が講じられま
することとされました。これに伴い、法人住
した。
民税及び法人事業税において所要の規定の改
① 租税特別措置の見直し
正が行われました。
租税特別措置の見直しの主なものとして、
平成28年度改正前
一定の要件を満たした設備投資について特別
事業年度
開始日
償却や税額控除を認めていた生産性向上設備
投資促進税制(法人住民税では中小法人に限
控除限度
割合
平成27年
4 月~
100分の65
平成29年
平成28年
3月
4 月~
100分の60
平成29年
3月
措置の縮減を行った上、平成29年 4 月 1 日に
廃止することとされました(旧地法附則 8 ⑪
⑫)。
この他、環境関連投資促進税制や雇用促進
税制について見直しを行うこととされ、地方
税法においても、所要の規定の整備を行うこ
ととされました(地法附則 8 ⑦⑧等)
。
平成29年
4 月~
② 減価償却制度の見直し
減価償却制度については、建物と一体的に
平成29年
4 月~
100分の55
平成30年
100分の50
3月
平成30年
4 月~
整備される建物附属設備や、建物同様の長期
法をこれまでの定率法と定額法の選択制から、
事業年度
開始日
平成27年
4 月~
100分の65
平成28年
3月
り適用)について、期限通り、平成28年度に
安定的に使用される構築物について、償却方
控除限度
割合
改正後
100分の50
2 地方法人課税の偏在是正
定額法に一本化すること等とされました。地
地方法人課税の偏在是正については、平成20年
方税法の改正を伴うものではありませんが、
度改正で、暫定措置として法人事業税の一部を国
所得計算等を通じて法人住民税・法人事業税
税化してその税収を譲与税として都道府県に譲与
にも影響があるものです。
する地方法人特別税・譲与税制度が創設されまし
③ 欠損金繰越控除制度の見直し
た。その後、税制抜本改革法の規定も踏まえ、平
欠損金繰越控除制度における控除限度割合
成26年度改正で、法人住民税の一部を国税化して
の見直しについては、平成27年度改正で企業
その税収全額を地方交付税原資とする地方法人税
の「稼ぐ力」を高めるインセンティブとする
が創設されるとともに、地方法人特別税・譲与税
─ 917 ─
――地方税法等の改正――
制度の規模が従前の 3 分の 2 に縮減されました。
この改正の施行日は、平成29年 4 月 1 日とさ
この改正を盛り込んだ平成26年度与党税制改正
れており、平成29年 4 月 1 日以後に開始する事
大綱においては、
「消費税率10%段階においては、
業年度分の法人住民税について適用することと
法人住民税法人税割の地方交付税原資化をさらに
されています。
進める。また、地方法人特別税・譲与税を廃止す
改正前
るとともに現行制度の意義や効果を踏まえて他の
改正後
標準税率 制限税率 標準税率 制限税率
偏在是正措置を講ずるなど、関係する制度につい
て幅広く検討を行う。
」とされました。
こうした経緯や議論を踏まえ、平成28年度改正
においては、消費税率が10%となる平成29年度か
道府県民税
法人税割
3.2%
  4.2%
1.0%
2.0%
市町村民税
法人税割
9.7%
12.1%
6.0%
8.4%
ら、暫定措置である地方法人特別税・譲与税制度
を廃止するとともに、法人住民税の更なる交付税
地方法人税
原資化を進めることとされました。
改正前
改正後
4.4%
10.3%
その際、市町村分の法人住民税法人税割の交付
税原資化の一部は地方法人特別税・譲与税制度の
⑶ 法人事業税交付金の創設
代替措置であること、さらに市町村間の税源の偏
法人事業税交付金については、道府県は、納
在の是正を図る必要があることを踏まえ、法人事
付された法人事業税の額の5.4%に相当する額
業税の一部を市町村に交付する法人事業税交付金
を市町村に対して交付する(東京都は、納付さ
を創設することとされました。具体的な改正は次
れた法人事業税の額の5.4%に相当する額を市
のとおりです(資料 8 )
。
町村に対して交付し、特別区相当分については、
特別区財政調整交付金の財源とします(地方自
⑴ 地方法人特別税・譲与税制度の廃止
治法282②)。)こととされ、その市町村に対す
地方法人特別税は平成29年 4 月 1 日以降廃止
る交付については、従業者数を基準として行う
することとされました。また、これに伴い、地
こととされました(地法72の76、地令35の 4 の
方法人特別譲与税は平成30年 8 月譲与分をもっ
4 等)
。
て廃止することとされました(地法改正法 9 、
ただし、初年度である平成29年度は改正の影
附則31等)
。
響が平年度化していないため、その交付率につ
いては、所要の経過措置を講ずることとされ、
⑵ 法人住民税法人税割の交付税原資化
また従業者数を用いることとされている市町村
法人住民税法人税割の交付税原資化について
への交付基準については、激変緩和の観点から、
は、下に示すとおり、法人住民税法人税割の税
平成29年度から平成31年度までの間、所要の経
率について、都道府県分を3.2%から 1 %に、
過措置を講ずることとされました(地法改正法
市町村分を9.7%から 6 %に引き下げるととも
附則 6 ③~⑤、地法改正令附則 4 ②等)。
に、地方法人税の税率を当該引下げ分相当であ
この改正の施行日は、平成29年 4 月 1 日とさ
る5.9%引き上げることとされました。なお、
れており、平成29年度以後に市町村に対し交付
制限税率と標準税率の差は、制度改正前と同じ
すべき法人の行う事業に対する事業税に係る交
幅を維持することとされました(地法51①、
付金について適用することとされています。
314の 4 ①)
。
─ 918 ─
――地方税法等の改正――
(資料 8 )
28年度改正前の地方法人課税の改正状況
[~ H16.3]
[H16.4 ~]
法人事業税
法人事業税
所得割
0.48%
所得割
0.48% 2.9%
7.2%
資本割
0.2%
[H26.10 ~]
法人事業税
地方法人
特別税
所得割
所得割
9.6%
9.6%
5.3%
4.3%
資本割
0.2%
1:3
所得割
所得割
0.48%
4.3%
相当
資本割
0.2%
1:3
付加価値割
付加価値割
付加価値割
9.6%
【中小法人等】
法人事業税
【外形対象法人】
所得割
[H20.10 ~]
法人事業税
地方法人
特別税
2.9%
相当
1:3
地方法人
特別税
所得割
地方法人
特別税
4.3%
相当
6.7%
2.9%
相当
:外形課税部分
:偏在是正措置
※上記の他、収入金額課税対象法人がある。
[H26.10 ~]
[~ H26.9]
法人住民税
法人住民税
法人住民税
都道府県
5%
市町村
12.3%
:偏在是正措置
地方法人税
4.4%
都道
府県
3.2%
市町村
9.7%
※課税標準は法人税額
法人住民税法人税割の交付税原資化の概要
消費税率 8 %及び10%段階において、地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図るため、法
人住民税法人税割の税率引下げに併せて、地方法人税(国税)の創設及び税率引上げを行い、その税収全額
を地方交付税原資化
(28年度改正)
(26年度改正)
(改正前)
H26.10.1 ~
─ 919 ─
H29.4.1 ~
地方団体の財源
計▲5.9%
地方交付税
計▲4.4%
(地方税)
法人住民税法人税割
<税率引下げ>
・都道府県分:
3.2%→1.0%(▲2.2%)
・市町村分:
9.7%→6.0%(▲3.7%)
(国税)
地方法人税
<税率引上げ>
4.4%→10.3%
(+5.9%)
(地方税)
法人住民税法人税割
(地方税)
法人住民税法人税割
<税率引下げ>
・都道府県分:
5.0%→3.2%
(▲1.8%)
・市町村分:
12.3%→9.7%
(▲2.6%)
(国税)
地方法人税
・課税標準:基準法人税額
・税率:4.4%
・賦課徴収:国(税務署)
――地方税法等の改正――
地方法人特別税・譲与税の廃止
税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置として地域間
の税源偏在を是正するための制度として導入
※平成20年10月 1 日以後に開始する事業年度から適用
平成26年度改正 地方法人特別税の規模を 1 / 3 縮小し、法人事業税に復元
※平成26年10月 1 日以後に開始する事業年度から適用
平成28年度改正 地方法人特別税を廃止し、法人事業税に復元
※平成29年 4 月 1 日以後に開始する事業年度から適用
(26年度改正)
(20年度改正)
3.2兆円
譲与税として、人
口及び従業者数に
よりその全額を都
道府県に譲与
H20.10.1~
H26.10.1~
(28年度改正)
廃止
法人事業税
制度創設時
1 / 3 縮小
法人事業税
法人事業税
法人事業税
2.6兆円
(地方消費税 1 %相当)
(国税)
特別税
地方法人
制度創設時
(国税)
地方法人特別税
(改正前)
H29.4.1~
地方法人特別税等に関する暫定措置法(抄)
第一条 この法律は、税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置として、法人
の事業税(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定により法人の行う事業に対して課する事業税をいう。以下
同じ。
)の税率の引下げを行うとともに、地方法人特別税を創設し、その収入額に相当する額を地方法人特別譲与税として
都道府県に対して譲与するために必要な事項を定めるものとする。
法人事業税交付金の創設
○ 地方法人特別税・譲与税制度の廃止に伴う市町村分の法人住民税法人税割の減収分の補てん措置として、
法人事業税の一部を都道府県から市町村に交付する制度を創設。
(平成29年度~)
※ 年度間の税収変動や偏在性の大きい市町村分の法人住民税法人税割の一部を、外形標準課税が導入され、
税収の安定化が図られてきた法人事業税の交付金に置き換えることにより、市町村の税源の偏在是正と財
政運営の安定化にも寄与。
1 .交付額
都道府県の法人事業税額の100分の5.4(市町村分の法人住民税法人税割の引下げ( 2 %)相当分)
※ 初年度(平成29年度)は交付率につき所要の経過措置を講ずる。
2 .交付基準
従業者数
※ 経過措置として、 3 年間は以下のとおりとする。
H29:法人税割額
H30: 2 / 3 ・・・法人税割額 1 / 3 ・・・従業者数
H31: 1 / 3 ・・・法人税割額 2 / 3 ・・・従業者数
3 .交付回数
年 3 回( 8 月、12月、 3 月)
4 .その他
特別区相当分は、特別区財政調整交付金の財源とする。
※ その他所要の措置を講ずる。
─ 920 ─
――地方税法等の改正――
3 地方創生の推進等に係る税制上の支援
措置・その他
⑵ 地方拠点強化税制の拡充
平成27年度改正で創設された雇用促進税制の
うち地方活力向上地域特定業務施設整備計画に
⑴ 地方創生応援税制(
「企業版ふるさと納税」
)
係る措置については、所得拡大促進税制と重複
の創設
して適用できないこととされていました。今回
昨年夏前から議論のあったいわゆる「企業版
の改正において、この措置について所得拡大促
ふるさと納税」については、
「地方創生応援税
進税制と重複して適用できることとされました。
制」として、都道府県や市町村の行う事業のう
なお、重複して適用する場合には、雇用者給
ち内閣府が認定する一定のものに対する企業の
与等支給額が増加した場合の税額控除制度の適
寄附について、現行の地方公共団体に対する寄
用の基礎となる雇用者給与等支給増加額から、
附の損金算入措置に加えて、税額控除を設ける
雇用促進税制の適用の基礎となった増加雇用者
こととされました(資料 9 )
。
に対する給与等支給額として一定の方法により
具体的な措置の内容は、地域再生法の一部を
計算した金額を控除することとされました(地
改正する法律(平成28年法律第30号)の施行の
法附則 8 ⑨⑩)。
日(平成28年 4 月20日)から平成32年 3 月31日
までの間に、地域再生法の認定地域再生計画に
⑶ その他
記載された同法のまち・ひと・しごと創生寄附
① ガス供給業を行う法人の事業税の課税標準
活用事業に関連する寄附金を支出した場合には、
である収入金額を算定する場合において控除
地方税は法人事業税において寄附額の10%(上
される収入金額の範囲に、他のガス供給業を
限:事業税額の20%)
、法人住民税において寄
行う法人から託送供給を受けてガスの供給を
附額の20%(上限:法人税割額の20%)を税額
行う場合の当該供給に係る収入金額のうち、
控除することとし、法人住民税の税額上限に達
ガス事業法に規定する大口供給に応じるガス
し、寄附額の20%が控除できない場合に、控除
の供給に係る託送供給の料金として他のガス
できなかった部分を法人税において、寄附額の
供給業を行う法人に対して支払うべき金額に
10%を上限に税額控除(上限:法人税額の 5
相当する収入金額を追加する課税標準の特例
%)するものです。
措置について、その適用期限を平成31年 3 月
法人住民税における控除額を寄附額の20%と
31日まで 3 年延長することとされました。ま
する県分、市町村分の割合は、それぞれの法人
た、ガス事業法の改正による事業類型の見直
税割の税率に比例し、それぞれ寄附額に対し、
し等に伴う所要の措置が講じられました(地
平成28年度が県分から 5 %、市町村分から15%、
法附則 9 ⑩)。
平成29年度以降が県分から2.9%、市町村分か
② 国家戦略特別区域において機械等を取得し
ら17.1%とすることとされました。また、平成
た場合の特別償却制度等について、特定中核
29年度以降、地方法人特別税の廃止に伴い、法
事業の用に供される一定の機械装置及び開発
人事業税が復元され、税額が大きくなることを
研究用器具備品について普通償却限度額との
踏まえ、法人事業税の税額に対する控除上限を
合計でその取得価額までの特別償却ができる
15%(平成28年度は20%)とすることとされま
措置(即時償却)を廃止した上、その適用期
した(地法附則 8 の 2 の 2 、 9 の 2 の 2 、地方
限を平成30年 3 月31日まで 2 年延長すること
とされました(地法23①、292①)。
法人特別税等に関する暫定措置法 2 ②)
。
③ 国際戦略総合特別区域において機械等を取
得した場合の特別償却制度について、特別償
─ 921 ─
――地方税法等の改正――
(資料 9 )
地方創生応援税制(
「企業版ふるさと納税」)の創設
地域再生法で整備する枠組み
都道府県・市町村が、地方版総合戦略に位置付けられた事業であって、地方創生を推進する上で効
果が高いもの(KPI、PDCA 等を整備)について、地域再生計画を策定し、国(内閣府)の認定を受ける。
・ 地方交付税の不交付団体かつ三大都市圏に所在する団体については対象外。
・ 企業の本社が立地する都道府県・市町村の事業に対する寄附は対象外。
制度のイメージ
企業
【寄附】
【税額控除】
地方版
総合戦略
地方創生を推進する
上で効果の高い事業
に係る地域再生計画
【税額控除】
・事業
・KPI
・PDCA
【計画の認定】
国
本社、支店、事業所等が
所在する都道府県・市町村
内閣府
道府県・市町村
地方公共団体が行う、地方創生を推進する上で効果の高い一定の事業に
対して法人が行った寄附への課税の特例を措置
寄附を行った企業に対する課税の特例
[措置内容]
地方公共団体が行う、地方創生を推進する上で効果の高い一定の事業に対して法人が行った寄附
(寄附下限額10万円)について、現行の寄附金の損金算入措置(寄附額の約 3 割)に加え、法人事業税・
法人住民税及び法人税から税額控除。
・ 法人事業税 寄附額の10%を控除
・ 法人住民税 寄附額の20%を控除
・ 寄附額の20%のうち法人住民税で控除しきれなかった分を法人税で控除(寄附額の10%限度)
控除額の上限は、法人事業税20%(※)、法人住民税20%、法人税 5 %
※ 地方法人特別税廃止後は15%
[適用期限]平成31年度
[税制措置のイメージ]
寄附額
損金算入(約 3 割) ( 1 割)税額控除( 2 割)
法人
法人住民税
国税+地方税
事業税
+法人税
企業負担(約 4 割)
※ 地域再生法で整備する枠組みの中で都道府県・市町村が寄附を行う企業への「見返り」となる便宜供与を禁止する。
─ 922 ─
――地方税法等の改正――
却率を、機械装置及び器具備品については40
事業所の増加雇用者数及び法人全体の増加
%(改正前:50%)に、建物等及び構築物に
雇用者数を上限とします。)とされた上、
ついては20%(改正前:25%)に、それぞれ
その適用期限を平成30年 3 月31日まで 2 年
引き下げた上、その適用期限を平成30年 3 月
延長することとされました。
31日まで 2 年延長することとされました(地
ただし、上記の改正に伴い、雇用者給与
法23①、292①)
。
等支給額が増加した場合の税額控除制度の
④ いわゆる雇用促進税制(中小企業者等の雇
適用の基礎となる雇用者給与等支給増加額
用者の数が増加した場合の税額控除制度)に
から本措置の適用の基礎となった増加雇用
ついて、次の見直しを行うこととされました
者に対する給与等支給額として一定の方法
により計算した金額を控除した上、雇用者
(地法附則 8 ⑤⑥)
。
イ 地方活力向上地域特定業務施設整備計画
給与等支給額が増加した場合の税額控除制
に係る措置以外の措置について、適用の基
度と本措置とを重複して適用できることと
礎となる増加雇用者数が地域雇用開発促進
されました。
法の同意雇用開発促進地域内にある事業所
ロ 合併、分割等があった場合の増加雇用者
における無期雇用かつフルタイムの雇用者
数の調整計算について所要の措置が講じら
の増加数(新規雇用に限るものとし、その
れました。
五 地方消費税
今回の改正において、
「社会保障と税の一体改
なるごとに区分して計算することとされていまし
革」の一環として行われる消費税率10%への引上
た(税制抜本改革法(地方)附則10①、11)。
げに伴う低所得者への配慮として、平成29年 4 月
一方、今回の改正では、平成29年 4 月の軽減税
に、消費税の軽減税率制度を導入することとされ
率制度の導入に当たり、複数税率に対応した区分
ました。
経理が困難な中小事業者や、システム整備が間に
消費税率10%段階の地方消費税率は78分の22と
合わない事業者等がいることも想定し、売上げ又
なっており、地方消費税の課税標準は消費税額と
は仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業
されていることから、軽減税率制度においては、
者に対し、売上税額又は仕入税額の計算の特例を
・ 標準税率10%(消費税率7.8%、地方消費税
設けることとされました。
仕入税額の計算では、売上げに占める軽減税率
率(消費税率換算)2.2%)
・ 軽減税率 8 %(消費税率6.24%、地方消費税
対象品目の売上げの割合を仕入れに占める軽減税
率対象品目の仕入れの割合として税額を計算する
率(消費税率換算)1.76%)
等の特例が設けられましたが、この特例は、旧税
と複数の税率が存在することとなりました。
1 軽減税率制度導入に伴う仕入税額の計
算の特例が適用される場合に旧税率が適
用される課税仕入れが含まれる際の譲渡
割額の計算
率が適用される課税仕入れも含めた上で簡易な税
額計算を行うこととされています。このため、仕
入税額の計算の特例が適用される場合は、旧税率
が適用される課税仕入れが含まれていたとしても、
税率の異なるごとに区分して計算することを求め
消費税の中間申告額及び確定申告額等の計算の
ず、消費税の中間申告額又は確定申告額等に78分
基礎となる金額に、旧税率( 4 %、6.3%)が適
の22を乗じた額を譲渡割額とすることとされまし
用される課税資産の譲渡や課税仕入れ等が含まれ
ているときは、譲渡割の税額について、税率の異
た(税制抜本改革法(地方)附則10④、11⑥⑦)
(資料10)
。
─ 923 ─
――地方税法等の改正――
(資料10)
軽減税率制度の導入に伴う地方税における改正について
○ 仕入税額の計算の特例が適用されるときは、消費税額に22/78を乗じた額を譲渡割額とする技術的改正を行う。
消費税
~ H29.3
6.3%
6.24%
7.8%
課税標準額
‥‥‥円
‥‥‥円
‥‥‥円
‥‥‥円
×6.3%
‥‥‥円
×6.24%
‥‥‥円
×7.8%
課税標準額に対する
消費税額A
仕入税額B
H29.4~
仕入税額の計算の特例
(売上げにおける軽減税率対象品目の割合を仕入れに適用して仕入税額を簡便に計算)
‥‥‥‥‥円 ×22/78=譲渡割額 とする改正
譲渡割額
○ 現行の規定のままでは、特例が適用される場合、事業者に、平成29年 4 月の消費税率引上げ前後の税率ごと
に区分して仕入税額を計算させることとなり、簡便に仕入税額を計算できる特例を設けた趣旨に反する。
地方消費税
A× 税率
B× 税率
22/78
17/63
17
6.3%適用の
×
消費税額
63
?
譲渡割額
×
? 円
22
左記以外の
×
消費税額
78
17
?
63
×
22
78
? 円
※Bを税率ごとに区分して計算させることとなる
六 自動車取得税
自動車取得税については、累次の税制改正大綱
車排出ガス規制に適合し、かつ、平成27年度燃費
等を踏まえ、今回の改正において、消費税率10%
基準を達成するものを追加することとされました。
への引上げ時である平成29年 4 月 1 日に廃止する
こととされました。また、それまでの間の措置と
⑴ 非課税となる自動車(地法附則12の 2 の 2
して、平成28年 4 月からエコカー減税の対象とな
②)
るディーゼル重量車の追加、都道府県条例に定め
① 平成28年軽油重量車基準に適合すること。
るバス路線に係る非課税措置及び東日本大震災に
② エネルギー消費効率が平成27年度基準エネ
よる被災自動車等の代替取得に係る非課税措置の
ルギー消費効率より15%以上高いこと。
延長を行うこととされました。
1 エコカー減税の対象となる車両の追加
⑵ 税率が80%軽減となる自動車(地法附則12の
2 の 3 ②)
新たなディーゼル重量車の排出ガス規制の導入
① 平成28年軽油重量車基準に適合すること。
に伴い、自動車取得税のエコカー減税の対象車両
② エネルギー消費効率が平成27年度基準エネ
について、車両総重量が7.5tを超えるバス又は
トラックのうち、次のとおり、平成28年軽油重量
─ 924 ─
ルギー消費効率より10%以上高いこと。
――地方税法等の改正――
⑶ 税率が60%軽減となる自動車(地法附則12の
場合の当該取得されたバスに係る非課税措置につ
2 の 3 ③)
いて、その適用期限を平成29年 3 月31日まで 1 年
① 平成28年軽油重量車基準に適合すること。
延長することとされました(地法附則12の 2 の 2
② エネルギー消費効率が平成27年度基準エネ
①)
。
ルギー消費効率より 5 %以上高いこと。
⑷ 税率が40%軽減となる自動車(地法附則12の
3 東日本大震災による被災自動車等の代
替取得に係る非課税措置の延長
2 の 3 ④)
東日本大震災により滅失・損壊した被災自動車
① 平成28年軽油重量車基準に適合すること。
又は原子力災害に伴い指定された自動車持出困難
② エネルギー消費効率が平成27年度基準エネ
区域内の用途廃止等自動車に代わるものと都道府
県知事が認める自動車を取得した場合の当該取得
ルギー消費効率以上であること。
2 都道府県条例に定めるバス路線に係る
非課税措置の延長
一般乗合旅客自動車運送事業を経営する者が、
地域住民の生活に必要な路線で運行の維持が困難
された自動車に係る非課税措置について、その適
用期限を平成29年 3 月31日まで 1 年延長すること
とされました(地法附則52)。
4 自動車取得税の廃止
になっているものとして都道府県条例で定める路
平成29年 4 月 1 日に自動車取得税を廃止するこ
線において運行する一般乗合用のバスを取得した
ととされました(旧地法第 2 章第 7 節)。
七 自動車税
自動車税については、消費税率10%への引上げ
時である平成29年 4 月 1 日から自動車の環境性能
す(地法146)。
⑶ 次の自動車に対しては、環境性能割を非課税
に応じて税率が決定される環境性能割を導入する
とされています。
とともに、新規取得した自動車について、その燃
① 国等が取得する自動車(地法148)
費性能等に応じて税率を軽減するグリーン化特例
② 次の環境への負荷の低減に著しく資する自
(軽課)の見直しや東日本大震災による被災自動
動車(地法149)
車等の代替自動車に係る非課税措置の延長を行う
イ 電気自動車
こととされました。
ロ 天然ガス自動車のうち、平成21年天然ガ
ス車基準に適合し、かつ、窒素酸化物の排
1 自動車税環境性能割の創設
出量が同基準より10%以上少ないもの
平成29年 4 月 1 日から、自動車税に環境性能割
ハ プラグインハイブリッド自動車
を次のとおり創設することとされました(資料11)
。
ニ 次のガソリン自動車
⑴ 課税客体は、道路運送車両法に規定する自動
イ 乗用車のうち、次のいずれにも該当す
車(自動車に付加して一体となっている物を含
るもの
みます。)のうち、普通自動車及び小型自動車
ⅰ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適
のうち三輪以上のもの(以下「自動車」といい
ます。
)とされています(地法145三、146)
。
合すること。
ⅱ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソ
⑵ 納税義務者は、自動車の取得者とされていま
─ 925 ─
リン軽中量車基準より75%以上少ない
――地方税法等の改正――
こと。
基準に適合するもの
ⅲ エネルギー消費効率が平成32年度基
ロ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下の
準エネルギー消費効率より10%以上高
バス又はトラックのうち、次のいずれに
いものであること。
も該当するもの
ロ 車両総重量が2.5t以下のバス又はト
ラックのうち、次のいずれにも該当する
もの
ⅰ 平成21年軽油軽中量車基準に適合す
ること。
ⅱ 窒素酸化物及び粒子状物質の排出量
ⅰ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適
合すること。
が平成21年軽油軽中量車基準より10%
以上少ないこと。
ⅱ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソ
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
リン軽中量車基準より75%以上少ない
準エネルギー消費効率より10%以上高
こと。
いこと。
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
ハ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下の
準エネルギー消費効率より20%以上高
バス又はトラックのうち、次のいずれに
いこと。
も該当するもの
ハ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下の
バス又はトラックのうち、次のいずれに
も該当するもの
ⅰ 平成21年軽油軽中量車基準に適合す
ること。
ⅱ エネルギー消費効率が平成27年度基
ⅰ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適
合すること。
準エネルギー消費効率より15%以上高
いこと。
ⅱ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソ
ニ 車両総重量が3.5tを超えるバス又は
リン軽中量車基準より75%以上少ない
トラックのうち、次のいずれにも該当す
こと。
るもの
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
準エネルギー消費効率より10%以上高
いこと。
ⅰ 平成28年軽油重量車基準に適合する
こと。
ⅱ エネルギー消費効率が平成27年度基
ニ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下の
バス又はトラックのうち、次のいずれに
も該当するもの
準エネルギー消費効率より10%以上高
いこと。
ホ 車両総重量が3.5tを超えるバス又は
ⅰ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適
合すること。
トラックのうち、次のいずれにも該当す
るもの
ⅱ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソ
リン軽中量車基準より50%以上少ない
こと。
ⅰ 平成21年軽油重量車基準に適合する
こと。
ⅱ 窒素酸化物及び粒子状物質の排出量
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
準エネルギー消費効率より15%以上高
いこと。
が平成21年軽油重量車基準より10%以
上少ないこと。
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
ホ 次の軽油自動車
準エネルギー消費効率より10%以上高
イ 乗用車のうち、平成21年軽油軽中量車
─ 926 ─
いこと。
――地方税法等の改正――
ヘ 車両総重量が3.5tを超えるバス又は
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
トラックのうち、次のいずれにも該当す
準エネルギー消費効率より15%以上高
るもの
いこと。
ⅰ 平成21年軽油重量車基準に適合する
こと。
ハ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下の
バス又はトラックのうち、次のいずれに
ⅱ エネルギー消費効率が平成27年度基
準エネルギー消費効率より15%以上高
いこと。
も該当するもの
ⅰ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適
合すること。
(注) イからホまでの自動車の範囲については、
ⅱ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソ
2 年ごとに見直しを行うものとされていま
リン軽中量車基準より75%以上少ない
す。
こと。
③ 相続その他の形式的な所有権の移転により
取得した自動車(地法150)
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
準エネルギー消費効率より 5 %以上高
⑷ 課税標準は、自動車の取得のために通常要す
いこと。
る価額として算定した金額(以下「通常の取得
ニ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下の
価額」といいます。
)とされ、免税点は50万円
バス又はトラックのうち、次のいずれに
とされています(地法156、158)
。
も該当するもの
⑸ 環境性能割の税率は、次のとおりとされてい
ます(地法157)
。
ⅰ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適
合すること。
① 次の自動車(上記⑶②に該当するものを除
ⅱ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソ
きます。
)
1%
リン軽中量車基準より50%以上少ない
イ 次のガソリン自動車
こと。
イ 乗用車のうち、次のいずれにも該当す
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
るもの
準エネルギー消費効率より10%以上高
ⅰ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適
いこと。
合すること。
ロ 次の軽油自動車
ⅱ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソ
イ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下の
リン軽中量車基準より75%以上少ない
バス又はトラックのうち、次のいずれに
こと。
も該当するもの
ⅲ エネルギー消費効率が平成32年度基
準エネルギー消費効率以上であること。
ⅰ 平成21年軽油軽中量車基準に適合す
ること。
ロ 車両総重量が2.5t以下のバス又はト
ⅱ 窒素酸化物及び粒子状物質の排出量
ラックのうち、次のいずれにも該当する
が平成21年軽油軽中量車基準より10%
もの
以上少ないこと。
ⅰ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適
合すること。
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
準エネルギー消費効率より 5 %以上高
ⅱ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソ
リン軽中量車基準より75%以上少ない
こと。
いこと。
ロ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下の
バス又はトラックのうち、次のいずれに
─ 927 ─
――地方税法等の改正――
も該当するもの
ⅰ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適
ⅰ 平成21年軽油軽中量車基準に適合す
ること。
合すること。
ⅱ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソ
ⅱ エネルギー消費効率が平成27年度基
準エネルギー消費効率より10%以上高
いこと。
リン軽中量車基準より75%以上少ない
こと。
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
ハ 車両総重量が3.5tを超えるバス又は
トラックのうち、次のいずれにも該当す
るもの
準エネルギー消費効率より10%以上高
いこと。
ロ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下の
ⅰ 平成28年軽油重量車基準に適合する
こと。
バス又はトラックのうち、次のいずれに
も該当するもの
ⅱ エネルギー消費効率が平成27年度基
準エネルギー消費効率より 5 %以上高
いこと。
ⅰ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適
合すること。
ⅱ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソ
ニ 車両総重量が3.5tを超えるバス又は
トラックのうち、次のいずれにも該当す
るもの
リン軽中量車基準より75%以上少ない
こと。
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
ⅰ 平成21年軽油重量車基準に適合する
こと。
準エネルギー消費効率以上であること。
ハ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下の
ⅱ 窒素酸化物及び粒子状物質の排出量
バス又はトラックのうち、次のいずれに
が平成21年軽油重量車基準より10%以
も該当するもの
上少ないこと。
ⅰ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
準エネルギー消費効率より 5 %以上高
いこと。
合すること。
ⅱ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソ
リン軽中量車基準より50%以上少ない
ホ 車両総重量が3.5tを超えるバス又は
トラックのうち、次のいずれにも該当す
こと。
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
るもの
準エネルギー消費効率より 5 %以上高
ⅰ 平成21年軽油重量車基準に適合する
いこと。
こと。
ロ 次の軽油自動車
ⅱ エネルギー消費効率が平成27年度基
イ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下の
準エネルギー消費効率より10%以上高
バス又はトラックのうち、次のいずれに
いこと。
も該当するもの
② 次の自動車(上記⑶②及び⑸①に該当する
ものを除きます。
)
2%
ⅰ 平成21年軽油軽中量車基準に適合す
ること。
イ 次のガソリン自動車
ⅱ 窒素酸化物及び粒子状物質の排出量
イ 乗用車又は車両総重量が2.5t以下の
バス又はトラックのうち、次のいずれに
も該当するもの
が平成21年軽油軽中量車基準より10%
以上少ないこと。
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
─ 928 ─
――地方税法等の改正――
能割の納税義務者は、次の自動車の区分に応じ、
準エネルギー消費効率以上であること。
ロ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下の
それぞれ次の時又は日までに、申告書を都道府
バス又はトラックのうち、次のいずれに
県知事に提出するとともに、その申告に係る環
も該当するもの
境性能割額を当該都道府県に納付することとさ
ⅰ 平成21年軽油軽中量車基準に適合す
れています(地法159、160)。
① 新規登録を受ける自動車 当該新規登録の
ること。
時
ⅱ エネルギー消費効率が平成27年度基
② 移転登録を受けるべき自動車 当該移転登
準エネルギー消費効率より 5 %以上高
録を受けるべき事由があった日から15日を経
いこと。
過する日(その日前に当該移転登録を受けた
ハ 車両総重量が3.5tを超えるバス又は
ときは、当該移転登録の時)
トラックのうち、次のいずれにも該当す
③ 上記①及び②の自動車以外の自動車で、自
るもの
動車検査証の記入を受けるべき自動車 当該
ⅰ 平成28年軽油重量車基準に適合する
記入を受けるべき事由があった日から15日を
こと。
経過する日(その日前に当該記入を受けたと
ⅱ エネルギー消費効率が平成27年度基
きは、当該記入の時)
準エネルギー消費効率以上であること。
ニ 車両総重量が3.5tを超えるバス又は
④ 上記①、②及び③の自動車以外の自動車 トラックのうち、次のいずれにも該当す
当該自動車の取得の日から15日を経過する日
⑺ 都道府県は、納付された環境性能割額に相当
るもの
する額から徴税費分(環境性能割額の 5 %相当
ⅰ 平成21年軽油重量車基準に適合する
額)を控除した額の65%相当額を、都道府県内
こと。
ⅱ 窒素酸化物及び粒子状物質の排出量
の市町村に対し、当該市町村が管理する市町村
が平成21年軽油重量車基準より10%以
道の延長及び面積に按分して交付することとさ
上少ないこと。
れています(地法177の 6 )(資料12)
。
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
⑻ 一般乗合旅客自動車運送事業を経営する者が、
地域住民の生活に必要な路線で運行が困難にな
準エネルギー消費効率以上であること。
ホ 車両総重量が3.5tを超えるバス又は
っているものとして都道府県の条例で定める路
トラックのうち、次のいずれにも該当す
線の運行の用に供する一般乗合用のバスを取得
るもの
した場合において、当該一般乗合用のバスの取
ⅰ 平成21年軽油重量車基準に適合する
得が平成31年 3 月31日までに行われたときに限
り、非課税とされます(地法附則12の 2 の10)。
こと。
ⅱ エネルギー消費効率が平成27年度基
⑼ 営業用の自動車に対して課する環境性能割の
準エネルギー消費効率より 5 %以上高
税率は、当分の間、次の自動車の区分に応じ、
いこと。
次のとおりとされています(地法附則12の 2 の
11)。
③ 上記⑶②、⑸①及び⑸②に該当する自動車
① 上記⑸①に該当する自動車 0.5%
以外の自動車 3 %
(注)
①から③までの自動車の範囲については、
② 上記⑸②に該当する自動車 1 %
2 年ごとに見直しを行うものとされています。
③ 上記⑸③に該当する自動車 2 %
⑹ 徴収は、申告納付の方法により行い、環境性
⑽ 一般乗合旅客自動車運送事業を経営する者が
─ 929 ─
――地方税法等の改正――
取得する路線定期運行の用に供する自動車(以
適合するもの
下「路線バス等」といいます。
)のうち、一定
② 車両総重量が3.5tを超え 8 t以下のトラ
のノンステップバスで初回新規登録を受けるも
ック(けん引自動車及び被けん引自動車を除
のについて、当該路線バス等の取得が平成31年
きます。以下同じです。
)であって、平成28
3 月31日までに行われたときに限り、通常の取
年 2 月 1 日以降に適用されるべきものとして
得価額から1,000万円が控除されます(地法附
定められた車両安定性制御装置に係る保安基
則12の 2 の12①)
。
準及び平成26年 2 月13日以降に適用されるべ
⑾ 路線バス等のうち、一定のリフト付きバスで
きものとして定められた衝突被害軽減制動制
初回新規登録を受けるものについて、当該路線
御装置に係る保安基準のいずれにも適合する
バス等の取得が平成31年 3 月31日までに行われ
もの
た と き に 限 り、 通常の取得価額から650万円
③ 車両総重量が 8 tを超え20t以下のトラッ
(乗車定員が30人未満のものは、200万円)が控
クであって、平成28年 2 月 1 日以降に適用さ
除されます(地法附則12の 2 の12②)
。
れるべきものとして定められた車両安定性制
⑿ 一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者が
御装置に係る保安基準及び平成24年 4 月 1 日
その事業の用に供する乗用車のうち、一定のユ
以降に適用されるべきものとして定められた
ニバーサルデザインタクシーで初回新規登録を
衝突被害軽減制動制御装置に係る保安基準の
受けるものについて、当該乗用車の取得が平成
いずれにも適合するもの
31年 3 月31日までに行われたときに限り、通常
⒁ 次の自動車のうち、車両安定性制御装置及び
の取得価額から100万円が控除されます(地法
衝突被害軽減制動制御装置を備えるもので初回
附則12の 2 の12③)
。
新規登録を受けるものについて、①のトラック
⒀ 次の自動車のうち、車両安定性制御装置及び
にあっては当該トラックの取得が平成30年11月
衝突被害軽減制動制御装置を備えるもので初回
1 日から平成31年 3 月31日までに行われたとき
新規登録を受けるものについて、当該自動車の
に限り、②のトラックにあっては当該トラック
取得が平成31年 3 月31日(③のトラックにあっ
の取得が平成29年 4 月 1 日から平成30年10月31
ては、平成30年10月31日)までに行われたとき
日までに行われたときに限り、通常の取得価額
に限り、通常の取得価額から525万円が控除さ
から350万円が控除されます(地法附則12の 2
れます(地法附則12の 2 の12④)
。
の12⑤)。
① 車両総重量が 5 tを超え12t以下の乗用車
① 車両総重量が 8 tを超え20t以下のトラッ
又はバス(以下「バス等」といいます。
)で
クであって、平成28年 2 月 1 日以降に適用さ
あって、平成28年 2 月 1 日以降に適用される
れるべきものとして定められた車両安定性制
べきものとして定められた車両安定性制御装
御装置に係る保安基準及び平成24年 4 月 1 日
置に係る保安上又は公害防止その他の環境保
以降に適用されるべきものとして定められた
全上の技術基準(以下「車両安定性制御装置
衝突被害軽減制動制御装置に係る保安基準の
に係る保安基準」といいます。
)及び平成25
いずれにも適合するもの
年 1 月27日以降に適用されるべきものとして
② 車両総重量が20tを超え22t以下のトラッ
定められた衝突被害軽減制動制御装置に係る
クであって、平成27年 9 月 1 日以降に適用さ
保安上又は公害防止その他の環境保全上の技
れるべきものとして定められた車両安定性制
術基準(以下「衝突被害軽減制動制御装置に
御装置に係る保安基準及び平成24年 4 月 1 日
係る保安基準」といいます。
)のいずれにも
以降に適用されるべきものとして定められた
─ 930 ─
――地方税法等の改正――
衝突被害軽減制動制御装置に係る保安基準の
ックであって、平成28年 2 月 1 日以降に適用
いずれにも適合するもの
されるべきものとして定められた車両安定性
⒂ 次の自動車のうち、車両安定性制御装置又は
制御装置に係る保安基準又は平成26年 2 月13
衝突被害軽減制動制御装置のいずれかを備える
日以降に適用されるべきものとして定められ
もので初回新規登録を受けるものについて、当
た衝突被害軽減制動制御装置に係る保安基準
該自動車の取得が平成31年 3 月31日(④のトラ
のいずれかに適合するもの
ックにあっては、平成30年10月31日)までに行
④ 車両総重量が 8 tを超え20t以下のトラッ
われたときに限り、通常の取得価額から350万
クであって、平成28年 2 月 1 日以降に適用さ
円が控除されます(地法附則12の 2 の12⑥)
。
れるべきものとして定められた車両安定性制
① 車両総重量が 5 t以下のバス等であって、
御装置に係る保安基準又は平成24年 4 月 1 日
平成26年 2 月13日以降に適用されるべきもの
以降に適用されるべきものとして定められた
として定められた衝突被害軽減制動制御装置
衝突被害軽減制動制御装置に係る保安基準の
に係る保安基準に適合するもの
いずれかに適合するもの
② 車両総重量が 5 tを超え12t以下のバス等
⒃ 被災自動車等又は対象区域内用途廃止等自動
であって、平成28年 2 月 1 日以降に適用され
車等に代わるものと都道府県知事が認める自動
るべきものとして定められた車両安定性制御
車を取得した場合の当該取得された自動車につ
装置に係る保安基準又は平成25年 1 月27日以
いて、当該自動車の取得が平成31年 3 月31日ま
降に適用されるべきものとして定められた衝
でに行われたときに限り、環境性能割は非課税
突被害軽減制動制御装置に係る保安基準のい
とされます(地法附則53の 2 )。
ずれかに適合するもの
⒄ 現行の自動車税を種別割とするほか、所要の
③ 車両総重量が3.5tを超え 8 t以下のトラ
規定の整備が行われました。
(資料11)
自動車税・軽自動車税における環境性能割
基本的な考え方
○ 平成29年 4 月 1 日から、自動車税及び軽自動車税にそれぞれ環境性能割を設ける。これに伴い、現行の自
動車税を自動車税種別割とし、現行の軽自動車税を軽自動車税種別割とする。
○ 課税標準は自動車の取得価額とする。免税点は50万円とする。
○ 税率は、燃費基準値達成度等に応じて決定し、非課税、 1 %、 2 %、 3 %の 4 段階を基本とする(営業車
及び軽自動車の税率は、当分の間、 2 %を上限とする)
。
○ 新車・中古車を問わず対象とする。
○ 税率を決定する燃費基準値達成度等については、技術開発の動向や地方財政への影響等を踏まえ、 2 年ご
とに見直しを行う。
○ 自動車税環境性能割について、その税収の一定割合を市町村へ交付する制度を設ける。
─ 931 ─
――地方税法等の改正――
環境性能割における税率等
乗用車
区 分
排ガス要件
税率
燃費要件
ガソリンハイブリッド車
ガソリン車
電気自動車、燃料電池車、プラグインハイブリッド車、天然ガス車(ポスト新
長期規制からNOx10%低減)、クリーンディーゼル乗用車(ポスト新長期規制
適合)
自家用
軽自動車
非課税
非課税
非課税
1.0%
0.5%
★★★★
H32燃費基準+10%達成
(H22燃費基準+65%達成)
★★★★
H32燃費基準達成
(H22燃費基準+50%達成)
1.0%
★★★★
H27燃費基準+10%達成
(H22燃費基準+38%達成)
2.0%
上記以外の車
営業用
登録車
2.0%
3.0%
1.0%
2.0%
注 1 ★★★★:平成17年排出ガス基準75%低減達成。
2 ポスト新長期規制:ディーゼル車等において、平成21年以降に適用される排出ガス規制。
3 JC08モード燃費値を算定していない乗用車については、平成22燃費基準値換算値による。
軽量車 :車両総重量2.5t以下のバス又はトラック
区 分
排ガス要件
税率
燃費要件
ガソリンハイブリッド車
ガソリン車
電気自動車、燃料電池車、プラグインハイブリッド車、天然ガス車(ポスト新
長期規制からNOx10%低減)
自家用
軽自動車
非課税
非課税
非課税
1.0%
0.5%
★★★★
H27燃費基準+20%達成
(H22燃費基準+50%達成)
★★★★
H27燃費基準+15%達成
(H22燃費基準+44%達成)
1.0%
★★★★
H27燃費基準+10%達成
(H22燃費基準+38%達成)
2.0%
上記以外の車
2.0%
3.0%
注 1 ★★★★:平成17年排出ガス基準75%低減達成。
2 ポスト新長期規制:ディーゼル車等において、平成21年以降に適用される排出ガス規制。
3 JC08モード燃費値を算定していない乗用車については、平成22燃費基準値換算値による。
─ 932 ─
営業用
登録車
1.0%
2.0%
――地方税法等の改正――
中量車 :車両総重量2.5t超3.5t以下のバス又はトラック
区 分
税率
排ガス要件
燃費要件
ガソリンハイブリッド車
ガソリン車
電気自動車、燃料電池車、プラグインハイブリッド車、天然ガス車(ポスト新長期規制
からNOx10%低減)
ディーゼルハイブリッド車
ディーゼル車
★★★★
H27燃費基準+10%達成
★★★
H27燃費基準+15%達成
★★★★
H27燃費基準+ 5 %達成
★★★
H27燃費基準+10%達成
★★★★
H27燃費基準達成
★★★
H27燃費基準+ 5 %達成
ポスト新長期規制NOx・PM+10%低減
H27燃費基準+10%達成
ポスト新長期規制適合
H27燃費基準+15%達成
ポスト新長期規制NOx・PM+10%低減
H27燃費基準+ 5 %達成
ポスト新長期規制適合
H27燃費基準+10%達成
ポスト新長期規制NOx・PM+10%低減
H27燃費基準達成
ポスト新長期規制適合
H27燃費基準+ 5 %達成
上記以外の車
自家用
営業用
非課税
非課税
1.0%
0.5%
2.0%
1.0%
非課税
非課税
1.0%
0.5%
2.0%
1.0%
3.0%
2.0%
注 1 ★★★★:平成17年排出ガス基準75%低減達成 ★★★:平成17年排出ガス基準50%低減達成
注 2 ポスト新長期規制:ディーゼル車等において、平成21年以降に適用される排出ガス規制。
重量車 :車両総重量3.5t超のバス又はトラック
区 分
税率
排ガス要件
燃費要件
自家用
営業用
非課税
非課税
1.0%
0.5%
2.0%
1.0%
3.0%
2.0%
ディーゼルハイブリッド車
ディーゼル車
電気自動車、燃料電池車、プラグインハイブリッド車、天然ガス車(ポスト新長期規制
からNOx10%低減)
H28規制適合
H27燃費基準+10%達成
ポスト新長期規制NOx・PM+10%低減
H27燃費基準+10%達成
ポスト新長期規制適合
H27燃費基準+15%達成
H28規制適合
H27燃費基準+ 5 %達成
ポスト新長期規制NOx・PM+10%低減
H27燃費基準+5%達成
ポスト新長期規制適合
H27燃費基準+10%達成
H28規制適合
H27燃費基準達成
ポスト新長期規制NOx・PM+10%低減
H27燃費基準達成
ポスト新長期規制適合
H27燃費基準+ 5 %達成
上記以外の車
注 1 ポスト新長期規制:ディーゼル車等において、平成21年以降に適用される排出ガス規制。
注 2 H28規制:ディーゼル車等において、平成28年以降に適用される排出ガス規制。
─ 933 ─
――地方税法等の改正――
中古車に係る環境性能割について
○ 環境性能割については、新車・中古車を問わず対象とする。
新車と同様に、環境性能に応じて決定される税率が適用される方式とし、非課税区分を新たに創設。
○ 免税点は、50万円。(現行の自動車取得税と同様。現在中古車の約 9 割が非課税)
<参考>
現行の自動車取得税における中古車の特例
環境性能割
区分
税率
電気自動車等
H32基準+10%
非課税
【非課税となる車】
H27基準+10%
トヨタ プリウス、アクア
日産 リーフ
1.0%
H32基準達成
ホンダ フィット(HV)
マツダ デミオ(クリーンディーゼル)
等
2.0%
3.0%※
上記以外の車
※軽自動車は、 2 %
取得価額からの
控除額
区分
注)電気自動車等とは、
電気自動車、燃料電池車、プラグインハイブリッド車、
天然ガス車(ポスト新長期規制から NOx10%低減)
、
クリーンディーゼル乗用車(ポスト新長期規制適合)をいう。
電気自動車等
H32基準+20%
45万円控除
H32基準+10%
35万円控除
H32基準達成
25万円控除
H27基準+10%
15万円控除
H27基準+ 5 %
5 万円控除
上記以外の車
控除額なし
※税率:登録車 3 %
軽自動車 2 %
(資料12)
自動車税環境性能割の交付金制度等について
○ 自動車税環境性能割のうち徴税費(税収の 5 %)を除いた額の65%を都道府県から市区町村へ交付
する制度を設ける。
○ 交付金の交付基準については、市町村道の延長及び面積等によることとし、年 3 回交付する。
:市区町村分
:都道府県分
軽自動車税環境性能割
(市町村税)
自動車税環境性能割(都道府県税)
5%
徴税費
5%
35
市町村から
徴収取扱費
を都道府県
へ交付
※
都道府県が賦課徴収
し、全額を市町村へ払
込み(法定化)
95%
市区町村への
交付金
65
※35%のうち、一部を政令指定都市へ上乗せして交付する(国・県道管理分)
─ 934 ─
――地方税法等の改正――
ガソリンを内燃機関の燃料として用いる電力併
2 グリーン化特例の見直し
用自動車並びに一般乗合用のバス及び被けん引
排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の
)に対する次の年度以後
自動車を除きます。
小さい自動車は種別割の税率を軽減し、初回新規
(平成29年度以後に限ります。)の自動車税の種
登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自
別割について、税率の概ね15%(バス(一般乗
動車は種別割の税率を重くする特例措置について、
合用のものを除きます。)及びトラックについ
次のとおり見直しを行うこととされました(地法
附則12の 3 )
(資料13)
。
ては概ね10%)を重課することとされています
(地法附則12の 3 ①)。
① ガソリン自動車又はLPG自動車で平成16年
⑴ 環境負荷の小さい自動車
3 月31日までに初回新規登録を受けたもの 平成28年度に初回新規登録を受けた自動車に
初回新規登録を受けた日から起算して14年を
対する当該登録の翌年度の自動車税の種別割に
経過した日の属する年度
ついて、次の特例措置が講じられています。
② 軽油自動車その他の①に該当する自動車以
① 次の自動車について、税率の概ね75%が軽
外の自動車で平成18年 3 月31日までに初回新
。
減されます(地法附則12の 3 ③)
規登録を受けたもの 初回新規登録を受けた
イ 電気自動車
日から起算して12年を経過した日の属する年
ロ 一定の排出ガス性能を備えた天然ガス自
度
動車
ハ プラグインハイブリッド自動車
ニ ガソリン自動車のうち、窒素酸化物の排
3 東日本大震災による被災自動車等の代
替自動車等に係る非課税措置の延長
出量が平成17年ガソリン軽中量車基準より
東日本大震災により滅失・損壊した被災自動車
75%以上少ないものであって、エネルギー
及び原子力災害に伴い指定された自動車持出困難
消費効率が平成32年度基準エネルギー消費
区域内の用途廃止等自動車等に代わるものと都道
効率より10%以上高いもの
府県知事が認める自動車(以下「代替自動車等」
ホ 平成21年軽油軽中量車基準に適合する軽
といいます。
)については、平成25年度に取得さ
れた代替自動車等については平成26年度分の、平
油自動車(乗用車に限ります。
)
② ガソリン自動車のうち、窒素酸化物の排出
成26年度に取得された代替自動車等については平
量が平成17年ガソリン軽中量車基準より75%
成26年度分及び平成27年度分の、平成27年度に取
以上少ないものであって、エネルギー消費効
得された代替自動車等については平成27年度分及
率が平成27年度基準エネルギー消費効率より
び平成28年度分の自動車税を非課税とする措置が
20%以上高いもの(上記①ニに該当する自動
講じられています。
車を除きます。
)について、税率の概ね50%
今回の改正では、住宅再建に併せて引き続き代
が軽減されます(地法附則12の 3 ④)
。
替自動車等の取得が見込まれることから、復興支
なお、環境性能割を導入する平成29年度以後
援を行うため、これらの措置を 3 年延長すること
の自動車税のグリーン化特例(軽課)について
とし、平成28年度に取得された代替自動車等につ
は、環境性能割を補完する制度であることを明
いては平成28年度分及び平成29年度分の、平成29
確化した上で、平成29年度税制改正において具
年度に取得された代替自動車等については平成29
体的な結論を得ることとしています。
年度分及び平成30年度分の、平成30年度に取得さ
れた代替自動車等については平成30年度分及び平
⑵ 環境負荷の大きい自動車
成31年度分の自動車税(平成29年度以降は自動車
次の自動車(電気自動車、天然ガス自動車、
税種別割)を非課税とすることとされました(地
メタノール自動車、混合メタノール自動車及び
法附則54)。
─ 935 ─
――地方税法等の改正――
(資料13)
自動車税・軽自動車税におけるグリーン化特例(軽課)の見直し
〔改正前〕
【登録車】
〔改正後〕
取得期間:H28.4.1~H29.3.31
軽課年度:H29年度(取得の翌年度分のみ)
取得期間:H26.4.1~ H28.3.31
軽課年度:H27、28年度(取得の翌年度分のみ)
区 分
税 率
軽 課
電気自動車、燃料電池車、プラグインハイブリッド車、
天然ガス自動車(ポスト新長期規制から NOx10%低減)、
クリーンディーゼル乗用車(ポスト新長期規制適合)
★★★★かつ H27年度燃費基準+20%達成
(H32年度燃費基準達成)
税率を
概ね
75%軽減
区 分
電気自動車、燃料電池車、プラグインハイブリッド車、
天然ガス自動車(ポスト新長期規制から NOx10%低減)、
クリーンディーゼル乗用車(ポスト新長期規制適合)
税 率
税率を
概ね
75%軽減
★★★★かつ H32年度燃費基準+10%達成
★★★★かつ H27年度燃費基準+20%達成
(H32年度燃費基準未達成)
税率を
概ね
50%軽減
★★★★かつ H27年度燃費基準+10%達成
★★★★かつ H27年度燃費基準+20%達成
税率を
概ね
50%軽減
LPG 車)への自動車税の重課(15%)
※重課 登録車のうち、新車新規登録から11年を超えているディーゼル車、13年を超えているガソリン車(又は
措置についても、 1 年間延長する(対象期間:H28.4.1~ H29.3.31、重課年度:H29年度(対象車に該当することとなった翌年度から毎年度))。
【軽自動車】
※軽貨物車を除く。
取得期間:H27.4.1~ H28.3.31
軽課年度:H28年度(取得の翌年度分のみ)
区 分
取得期間:H28.4.1~H29.3.31
軽課年度:H29年度(取得の翌年度分のみ)
税 率
軽 課
電気自動車、
天然ガス自動車(ポスト新長期規制から NOx10%低減)
税率を
概ね
75%軽減
★★★★かつ H32年度燃費基準+20%達成
税率を
概ね
50%軽減
★★★★かつ H32年度燃費基準達成
税率を
概ね
25%軽減
区 分
税 率
同左
注)
★★★★:平成17年排出ガス基準75%低減達成。
八 軽自動車税
とされています(地法442五、443)。
軽自動車税については、次のとおり、平成29年
4 月 1 日から軽自動車の環境性能に応じて税率が
⑵ 納税義務者は、三輪以上の軽自動車の取得者
とされています(地法443)。
決定される環境性能割の導入を行うとともに、新
規取得した一定の環境性能を有する軽四輪等につ
⑶ 次の三輪以上の軽自動車に対しては、環境性
いて、その燃費性能に応じて税率を軽減するグリ
能割を非課税とされています。
ーン化特例(軽課)の適用期限の延長、東日本大
① 国等が取得する三輪以上の軽自動車(地法
震災による被災自動車の代替軽自動車等に係る非
445)
② 次の環境への負荷の低減に著しく資する三
課税措置等の延長をすることとされました。
輪以上の軽自動車(地法446)
1 軽自動車税環境性能割の創設
イ 電気軽自動車
平成29年 4 月 1 日から、次のとおり、軽自動車
ロ 天然ガス軽自動車のうち、平成21年天然
税として環境性能割を創設することとされました。
ガス車基準に適合し、かつ、窒素酸化物の
⑴ 課税客体は、道路運送車両法第 3 条に規定す
排出量が当該基準より10%以上少ないもの
る軽自動車(軽自動車に付加して一体となって
いる物を含みます。
)のうち、三輪以上のもの
─ 936 ─
ハ 次のガソリン軽自動車
イ 乗用車のうち、次のいずれにも該当す
――地方税法等の改正――
エネルギー消費効率以上であること。
るもの
ロ 車両総重量が2.5t以下のトラックのう
ⅰ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適
ち、次のいずれにも該当するもの
合すること。
イ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適合
ⅱ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソ
すること。
リン軽中量車基準より75%以上少ない
ロ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソリ
こと。
ン軽中量車基準より75%以上少ないこと。
ⅲ エネルギー消費効率が平成32年度基
ハ エネルギー消費効率が平成27年度基準
準エネルギー消費効率より10%以上高
エネルギー消費効率より15%以上高いこ
いこと。
と。
ロ 車両総重量が2.5t以下のトラックの
② ガソリン軽自動車のうち三輪以上のもの
うち、次のいずれにも該当するもの
(乗用車又は車両総重量が2.5t以下のトラッ
ⅰ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適
クに限ります。
)であって、次のいずれにも
合すること。
該当するもの(上記⑶②及び⑸①に該当する
ⅱ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソ
リン軽中量車基準より75%以上少ない
ものを除きます。) 2 %
こと。
イ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適合す
ること。
ⅲ エネルギー消費効率が平成27年度基
ロ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソリン
準エネルギー消費効率より20%以上高
軽中量車基準より75%以上少ないこと。
いこと。
(注) 上記イからハまでの三輪以上の軽自動車
ハ エネルギー消費効率が平成27年度基準エ
の範囲については、 2 年ごとに見直しを行
ネルギー消費効率より10%以上高いこと。
③ 上記⑶②、⑸①及び⑸②に該当する三輪以
うものとされています。
上の軽自動車以外の三輪以上の軽自動車
③ 相続その他の形式的な所有権の移転により
3
%
取得した三輪以上の軽自動車(地法447)
⑷ 課税標準は、三輪以上の軽自動車の取得のた
(注) ①から③までの三輪以上の軽自動車の範囲
めに通常要する価額として算定した金額とされ、
については、 2 年ごとに見直しを行うものと
免 税 点 は50万 円 と さ れ て い ま す( 地 法450、
されています。
452)
。
⑹ 徴収は、申告納付の方法により行い、環境性
⑸ 環境性能割の税率は、次のとおりとされてい
能割の納税義務者は、次の三輪以上の軽自動車
ます(地法451)
。
の区分に応じ、それぞれ次の時又は日までに、
① 次のガソリン軽自動車のうち三輪以上のも
申告書を市町村長に提出するとともに、その申
の(上記⑶②に該当するものを除きます。
)
告に係る環境性能割額を当該市町村に納付する
1%
こととされています(地法453、454)。
イ 乗用車のうち、次のいずれにも該当する
① 車両番号の指定を受ける三輪以上の軽自動
もの
車 当該車両番号の指定の時
イ 平成17年ガソリン軽中量車基準に適合
すること。
② ①の三輪以上の軽自動車以外の三輪以上の
軽自動車で、自動車検査証の記入を受けるべ
ロ 窒素酸化物の排出量が平成17年ガソリ
ン軽中量車基準より75%以上少ないこと。
ハ エネルギー消費効率が平成32年度基準
─ 937 ─
き三輪以上の軽自動車 当該記入を受けるべ
き事由があった日から15日を経過する日(そ
の日前に当該記入を受けたときは、当該記入
――地方税法等の改正――
③ 定置場所在道府県は、軽自動車税の環境性
の時)
③ ①及び②の三輪以上の軽自動車以外の三輪
能割に係る地方団体の徴収金の納付があった
以上の軽自動車 当該三輪以上の軽自動車の
場合には、当該納付があった月の翌々月の末
取得の日から15日を経過する日
日までに、軽自動車税の環境性能割に係る地
方団体の徴収金として納付された額を定置場
⑺ 軽自動車税の環境性能割の賦課徴収は、次の
ようにされています。
所在市町村に払い込むものとします(地法附
① ②及び③に定めるもののほか、軽自動車税
則29の12②)。
の環境性能割の賦課徴収は、当分の間、軽自
⑼ 軽自動車税の環境性能割の賦課徴収又は申告
動車税の環境性能割を課する三輪以上の軽自
納付に関する報告等は、次のようにされていま
動車の主たる定置場所在の道府県(以下「定
す。
置場所在道府県」といいます。
)が自動車税
① 定置場所在道府県の知事は、定置場所在市
の環境性能割の賦課徴収の例により行います
町村の長に対し、軽自動車税の環境性能割の
申告の件数、軽自動車税の環境性能割額その
(地法附則29の 9 ①)
。
他必要な事項を報告するものとします(地法
② 定置場所在道府県の徴税吏員は、当分の間、
附則29の15①)。
軽自動車税の環境性能割に係る地方団体の徴
収金に係る督促状を発した場合には、当該定
② 定置場所在市町村の長が、定置場所在道府
置場所在道府県の条例で定める自動車税の環
県の知事に対し、軽自動車税の環境性能割の
境性能割に係る督促手数料に相当する金額を
賦課徴収に関する書類を閲覧し、又は記録す
軽自動車税の環境性能割に係る督促手数料と
ることを請求した場合には、当該定置場所在
して徴収することができます(地法附則29の
道府県の知事は、関係書類を当該定置場所在
9 ②)。
市町村の長又はその指定する職員に閲覧させ、
又は記録させるものとします(地法附則29の
③ 軽自動車税の環境性能割を課する三輪以上
15②)。
の軽自動車の主たる定置場所在の市町村(以
下「定置場所在市町村」といいます。
)が減
⑽ 定置場所在市町村は、定置場所在道府県が軽
免に関する条例を定めた場合には、軽自動車
自動車税の環境性能割の賦課徴収に関する事務
税の環境性能割の減免に関する事務は、当分
を行うために要する費用を補償するため、徴収
の間、定置場所在道府県の知事が行います
取扱費を定置場所在道府県に交付することとさ
れています(地法附則29の16)。
(地法附則29の10)
。
⑻ 軽自動車税の環境性能割の申告等は、次のよ
⑾ 営業用の三輪以上の軽自動車に対して課する
うにされています。
環境性能割の税率は、当分の間、次のようにさ
① 軽自動車税の環境性能割の申告又は報告は、
れています(地法附則29の18①)。
① 上記⑸①に該当する三輪以上の軽自動車 当分の間、自動車税の環境性能割の申告の例
0.5%
により、定置場所在道府県の知事にすること
② 上記⑸②に該当する三輪以上の軽自動車 とされています(地法附則29の11)
。
1%
② 軽自動車税の環境性能割の納税義務者は、
③ 上記⑸③に該当する三輪以上の軽自動車 当分の間、自動車税の環境性能割に係る地方
2%
団体の徴収金の納付の例により、軽自動車税
の環境性能割に係る地方団体の徴収金を定置
⑿ 自家用の三輪以上の軽自動車で上記⑸③に該
場所在道府県に納付することとされています
当するものに対して課する環境性能割の税率は、
当分の間、 2 %とされています(地法附則29の
(地法附則29の12①)
。
─ 938 ─
――地方税法等の改正――
ー消費効率より15%以上高い貨物用の軽自動車
18②)
。
⒀ 被災自動車等又は対象区域内用途廃止等自動
のうち、窒素酸化物の排出量が平成17年ガソリ
車等に代わるものと道府県知事が認める三輪以
ン軽中量車基準より75%以上少ないもの(ガソ
上の軽自動車を取得した場合の当該取得された
リンを内燃機関の燃料として用いるものに限り、
三輪以上の軽自動車について、当該三輪以上の
上記⑵に該当するものを除きます。)について、
軽自動車の取得が平成31年 3 月31日までに行わ
税率の概ね25%が軽減されます(地法附則30⑤)。
れたときに限り、環境性能割は非課税とされて
なお、環境性能割を導入する平成29年度以後
います(地法附則56の 3 )
。
の軽自動車税のグリーン化特例(軽課)につい
ては、環境性能割を補完する制度であることを
⒁ 現行の軽自動車税を種別割とするほか、所要
明確化した上で、平成29年度税制改正において
の規定の整備が行われています。
具体的な結論を得ることとしています。
2 グリーン化特例(軽課)の延長
平成27年度から導入され、平成27年度末で期限
切れを迎える軽自動車税のグリーン化特例(軽
3 東日本大震災による被災自動車等の代
替軽自動車等に係る非課税措置の延長
課)について、適用期限を 1 年延長し、平成28年
東日本大震災により滅失・損壊した被災自動車
4 月 1 日から平成29年 3 月31日までの間に初めて
及び原子力災害に伴い指定された自動車持出困難
道路運送車両法の規定による車両番号の指定を受
区域内の用途廃止等自動車等に代わるものと市町
けた、次の三輪以上の軽自動車に対する平成29年
村長が認める三輪以上の軽自動車(以下「代替軽
度分の種別割について、次のようにされました。
自動車等」といいます。
)については、平成25年
⑴ 電気軽自動車及び天然ガス軽自動車(平成21
度に取得された代替軽自動車等については平成26
年天然ガス車基準に適合し、かつ、窒素酸化物
年度分の、平成26年度に取得された代替軽自動車
の排出量が当該基準より10%以上少ないもの)
等については平成26年度分及び平成27年度分の、
について、税率の概ね75%が軽減されます(地
平成27年度に取得された代替軽自動車等について
法附則30③)
。
は平成27年度分及び平成28年度分の軽自動車税を
⑵ エネルギー消費効率が平成32年度基準エネル
非課税とする措置が講じられています。
ギー消費効率より20%以上高い乗用の軽自動車、 今回の改正では、住宅再建に併せて引き続き代
または、エネルギー消費効率が平成27年度基準
替自動車等の取得が見込まれることから、復興支
エネルギー消費効率より35%以上高い貨物用の
援を行うため、これらの措置を 3 年延長すること
軽自動車のうち、窒素酸化物の排出量が平成17
とし、平成28年度に取得された代替軽自動車等に
年ガソリン軽中量車基準より75%以上少ないも
ついては平成28年度分及び平成29年度分の、平成
の(ガソリンを内燃機関の燃料として用いるも
29年度に取得された代替軽自動車等については平
のに限ります。)について、税率の概ね50%が
成29年度分及び平成30年度分の、平成30年度に取
軽減されます(地法附則30④)
。
得された代替軽自動車等については平成30年度分
⑶ エネルギー消費効率が平成32年度基準エネル
及び平成31年度分の軽自動車税(平成29年度以降
ギー消費効率以上の乗用の軽自動車、または、
は軽自動車税種別割)を非課税とすることとされ
エネルギー消費効率が平成27年度基準エネルギ
ました(地法附則57)。
─ 939 ─
――地方税法等の改正――
九 固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税(以下「固定資産税
地に係る評価方法を追加しています(固定資産評
等」といいます。)については、次のとおり、農
価基準第 1 章第 2 節の 3 )。
地保有に係る課税の強化・軽減、住宅に係る税負
また、固定資産の評価は、課税事務の簡素化を
担軽減措置等、その他の税負担軽減措置等、設備
図り、徴税コストを最小に抑える必要性等から、
投資促進を目的とした償却資産課税に関する税制
3 年に一度評価替えすることとし(基準年度)、
措置等について、それぞれ必要な措置が講じられ
第 2 年度及び第 3 年度は原則として基準年度の価
ました。
格を据え置くこととされていますが(地法349)、
平成29年度以降の第 2 年度又は第 3 年度に係る賦
1 農地保有に係る課税の強化・軽減
課期日までの間に農地法に基づく勧告があった場
平成27年11月にとりまとめられた「一億総活躍
合(又は、勧告遊休農地が勧告遊休農地以外の農
社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」にお
地となる場合)においては、第 2 年度又は第 3 年
いて、ローカルアベノミクスの推進を通じた地域
度であっても評価を変更することとされました
の付加価値創造力の強化のため、攻めの農林水産
(地法附則17の 3 )。なお、勧告遊休農地に対して
業の構築に向けて、農地集約を加速(農地中間管
課する固定資産税等については、農地に係る負担
理機構の取組の見える化、農地税制等の活用)す
調整措置を適用しないこととされました(地法附
る旨が記述されたこと等を踏まえ、今回の改正に
則17の 4 )。
おいて、農地保有に係る課税の強化・軽減を行う
次に、課税の軽減については、農地中間管理機
こととされました(資料14)
。
構が平成28年 4 月 1 日から平成30年 3 月31日まで
まず、課税の強化については、農地法に基づき
の間に農地中間管理権(賃借権等)を取得した土
農業委員会から農地中間管理権の取得に関し機構
地で一定のもののうち、農地中間管理権の存続期
と協議すべきことを勧告された遊休農地(以下
間が10年以上のものについては、固定資産税等の
「勧告遊休農地」といいます。
)について、限界収
課税標準を最初の 3 年度分は価格の 2 分の 1 (農
益修正率(固定資産税における農地の評価におい
地中間管理権の存続期間が15年以上のものについ
て農地の売買事情の特殊性を考慮し、正常売買価
ては、最初の 5 年度分は価格の 2 分の 1 )とする
格を修正するために乗じられている率(平成27年
こととされました(地法附則15)
。なお、上記
度の評価替えにおいて0.55)
)を乗じないことと
の軽減の対象となる一定の土地については、その
する評価方法の変更を平成29年度から実施するこ
土地の所有者が所有する全ての農地(10a未満の
ととされました。限界収益修正率は固定資産評価
自作地を除きます。
)に農地中間管理権を新たに
基準に定められていることから、地方税法の改正
設定したものとされています(地規附則 6 )。
に併せて固定資産評価基準を改正し、勧告遊休農
─ 940 ─
――地方税法等の改正――
(資料14)
農地保有に係る課税の強化・軽減
農地保有に係る課税の強化
〇 農地法に基づく農業委員会による農地中間管理機構の農地中間管理権の取得に関する協議の勧告を受けた
遊休農地
→ 固定資産税における農地の評価において農地売買の特殊性を考慮し正常売買価格に乗じられている割合
(平成27年度評価替えにおいて0.55)を乗じないこととする等の評価方法の変更を平成29年度から実施
農地法の枠組み
農業委員会
農業委員会
農業委員会
毎年 1 回、農地の
利用状況を調査
利用意向調査
農地中間管理機構との
協議の勧告
遊休農地の定義
1 年以上耕作されてお
らず、かつ、今後も耕
作される見込みがない
周辺地域の農地と比較
して、利用の程度が著
しく劣っている
農地法第三十条
農地所有者等に対し、
① 自ら耕作するか
② 農地中間管理事
業を利用するか
③ 貸し付けるか
等の意向を調査
第三十二条
① 意思表明から 6 月経過し
ても、耕作されないとき
② 所有者等に耕作の意思が
ないとき
③ 利用意向調査から 6 月経
過後も意思表明がないとき
等に該当するときは、機構と
協議すべきことを勧告するも
のとする(正当な理由がある
ときは除く。) 第三十六条
農地中間
管理機構
裁定の申請
都道府県
意見書
提出の機会
の付与
勧告から 2 月以
内に協議が整わ
ない場合、勧告
から 6 月以内に
申請することが
できる
所有者に対し、
意見書の提出
の機会を与え
なければなら
ない
第三十七条
第三十八条
都道府県
知事の裁定
引き続き農業上の
利用の増進が図られ
ないことが確実であ
り、機構が利用権を
取得し農地の貸付け
を行うことが当該農
地の農業上の利用増
進を図るため必要か
つ適当であると認め
るときは、その必要
の限度において裁定。
第三十九条
※ 「勧告」の対象となる遊休農地は、農業振興地域内にある遊休農地に限られる。
農地保有に係る課税の軽減
〇 所有する全ての農地(10a 未満の自作地を除く。)に農地中間管理事業のための賃借権等を新たに設定し、
かつ、当該賃借権等の設定期間が10年以上である農地
→ 最初の 3 年間課税標準を価格の 1 / 2
(当該賃借権等の設定期間が15年以上である農地については、最初の 5 年間課税標準を価格の 1 / 2 )
〇 特例の適用期限
平成28年 4 月 1 日から平成30年 3 月31日までの間において賃借権等の設定がされたもの
摘や、本特例措置の存在を知らずに新築住宅を
2 住宅に係る税負担軽減措置等
購入する者が多数に上り、新築住宅購入のイン
⑴ 新築住宅に係る税額の減額措置(新築住宅特
センティブになっていないのではないかとの指
例)の延長
摘があり、また、床面積140㎡以下である新築
新築された住宅に対しては、平成28年 3 月31
住宅が全体の90%以上を占めている状況等も踏
日までの新築分について、一般の新築住宅は最
まえると、その対象となる新規住宅を重点化す
初の 3 年度分、 3 階建以上の中高層耐火住宅は
べきとも考えられます。
最初の 5 年度分、固定資産税額(居住部分の床
一方で、耐震性を満たさない住宅は未だに約
面積120㎡に対応する税額を限度とします。
)の
900万戸もあり、質の高い住宅ストックを将来
2 分の 1 を減額することとされています。
世代へ承継するため、耐震性を満たさない住宅
本特例措置は、戦後の住宅ストックが不足し
の建替え等による更新が必要です。
ている中、住宅の建設を促進する観点から、新
今回の改正においては、消費増税の時期が平
築住宅の所有者の購入当初における税負担の軽
成29年 4 月に延期され、反動減対策として住宅
減を図ることを目的として昭和39年度に創設
ローン減税も延長されたことも踏まえ、本特例
(昭和27年度から通達で実施)されたものであ
措置の適用期限を 2 年延長することとされ、平
り、以来延長が繰り返されてきているものです。
成30年 3 月31日までに新築された住宅について
本特例措置については、その適用期限の終了
引き続き適用することとされました(地法附則
とともに税額が上昇することから、納税者の税
15の 6 )。
の負担感を強くする仕組みとなっているとの指
─ 941 ─
――地方税法等の改正――
⑵ 認定長期優良住宅に係る税額の減額措置の延長
ています。
長期にわたって良好な状態で使用される構造
本特例措置については、その適用件数と耐震
等を備えた良質な住宅の普及を促進するため、
改修を行った戸数(実績)との間に大きな乖離
長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定
があること、独自の補助制度を設ける市町村も
する認定長期優良住宅に対しては、平成28年 3
増加していることがある一方で、住宅の耐震化
月31日までに新築された住宅について、一般の
は、国民の生命・身体の安全の確保など非常に
新築住宅は最初の 5 年度分、 3 階建以上の中高
高い公益性を持つこと等を考慮に入れる必要が
層耐火住宅は最初の 7 年度分、固定資産税額
あります。
(居住部分の床面積120㎡に対応する税額を限度
今回の改正においては、固定資産税を 1 年度
とします。
)の 2 分の 1 を減額することとされ
分(通行障害既存耐震不適格建築物であった住
ています。
宅の耐震改修の場合には 2 年度分) 2 分の 1 減
本特例措置については、耐震性能、バリアフ
額する措置について、適用期限を平成30年 3 月
リー性能、省エネ性能等の要件を備えた認定長
31日まで延長することとされました(地法附則
期優良住宅の普及促進のため、予算措置や融資
15の 9 ①)。
制度と併せて税制面からも支援するものであり、
なお、現行の適用期限は平成27年12月31日ま
上記⑴の新築住宅特例と併せて適用期限を 2 年
でであり、 2 年 3 月延長( 3 月遡り適用)する
間延長することとされ、平成30年 3 月31日まで
ことにより、他の特例措置と同様、その適用期
に新築された住宅について引き続き適用するこ
限は年度末とされています。
ととされました(地法附則15の 7 )
。
(注) 「通行障害既存耐震不適格建築物」とは、地
なお、住生活基本計画(平成28年 3 月18日閣
震によって倒壊した場合においてその敷地に
議決定。以下「新計画」といいます。
)におい
接する道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な
ては、耐震、断熱・省エネルギー、耐久性能等
避難を困難とするおそれがある建築物のうち
に優れた長期優良住宅等の資産として承継でき
耐震基準を満たしていない一定の建築物をい
る良質で安全な新築住宅の供給を図ることとさ
います。
れ、成果指標として、新築住宅における認定長
期 優 良 住 宅 の 割 合11.3 %( 平 成26年 ) →20 %
⑷ バリアフリー改修工事を行った住宅に係る税
額の減額措置の延長等
(平成37年)とされています。
改正前の制度においては、平成19年 1 月 1 日
⑶ 耐震改修を行った住宅に係る税額の減額措置
以前から所在する住宅(賃貸住宅を除きます。)
の延長
のうち、人の居住の用に供する部分において、
昭和57年 1 月 1 日以前から所在する住宅のう
同年 4 月 1 日から平成28年 3 月31日までの間に、
ち、平成18年 1 月 1 日から平成27年12月31日ま
バリアフリー改修工事( 1 戸当たり工事費が50
での間に、新たに一定の耐震改修工事( 1 戸当
万円超のものに限ります。)が行われたもので
たり工事費が50万円超のものに限ります。
)が
あって、そこに高齢者等が居住している住宅に
行われたもので、耐震基準に適合することが証
ついては、 1 年度分に限り、固定資産税額の 3
明された住宅については、平成25年 1 月 1 日か
分の 1 を減額することとされています。
ら平成27年12月31日までに実施した場合、 1 年
少子高齢化・人口減少が急速に進展する中、
度分(通行障害既存耐震不適格建築物であった
高齢者が安全に安心して生涯を送ることができ
住宅の耐震改修の場合には 2 年度分)に限り、
るための住宅の改善・供給を図る必要があり、
固定資産税額の 2 分の 1 を減額することとされ
新計画においても、成果目標として高齢者の居
─ 942 ─
――地方税法等の改正――
住する住宅の一定のバリアフリー化率41%(平
とされ、また、新計画においても、成果目標とし
成25年)→75%(平成37年)とされています。
て省エネ基準を充たす住宅ストックの割合 6 %
今回の改正においては、固定資産税を 1 年度
(平成25年)→20%(平成37年)とされています。
分 3 分の 1 減額する措置について、次の拡充及
今回の改正においては、固定資産税を 1 年度
び縮減を行った上でその適用期限を平成30年 3
分 3 分の 1 減額する措置について、次の縮減を
月31日まで 2 年延長することとされました(地
行った上でその適用期限を平成30年 3 月31日ま
。
法附則15の 9 ④⑤)
で 2 年延長することとされました(地法附則15
本特例措置の創設時(平成19年)には、平成
の 9 ⑨⑩)。
19年以降の新築住宅についてバリアフリー化が
また、 1 戸当たり工事費について、国又は地
進むものと考え、平成19年 1 月 1 日以前に所在
方公共団体から交付される補助金等を控除した
する住宅をその対象としたところですが、住宅
額が50万円を超えるものに縮減されました(地
の一次取得者の多くを占める30歳代にとっては、
令附則12)。
バリアフリー機能が直ちに必要ではなく、ライ
一方、上記⑷のバリアフリー改修工事を行っ
フステージに応じて住宅を改修することが一般
た住宅に係る税額の減額措置とは異なり、対象
的であり、バリアフリー機能を備えた新築住宅
となる住宅の見直しは行っていません。これは、
は全体の 3 割に留まっています。このため、今
新築後10年以上経過した住宅とした場合には、
回の改正において、新築後10年以上経過した住
現在、対象となっている平成19年に新築された
宅が対象とされました。
住宅が適用除外となるためです。
また、 1 戸当たり工事費について、現行、地
方公共団体から交付される補助金等を控除した
3 その他の税負担軽減措置等
額が50万円を超えるものとされていますが、国
固定資産税等の税負担軽減措置等については、
又は地方公共団体から交付される補助金等を控
特定の政策目的の実現のため、
「公平・中立・簡
除した額が50万円を超えるものとされました
素」という租税原則の例外措置として設けられる
(地令附則12)
。
ことに鑑み、その目的、効果等を検証しながら随
時見直し、整理・合理化を図る必要があります。
⑸ 省エネ改修工事を行った住宅に係る税額の減
今回の固定資産税等に係る改正においては、農
額措置の延長及び縮減
地中間管理機構に貸し付けられた一定の農地に係
改正前の制度においては、平成20年 1 月 1 日
る特例措置並びに一定の機械及び装置に係る特例
以前から所在する住宅
(賃貸住宅を除きます。
)
措置を含めて 9 件の創設、 3 件の拡充を行った上
のうち、人の居住の用に供する部分において、
で、11件の廃止・縮減を含む延長・整理合理化な
同年 4 月 1 日から平成28年 3 月31日までの間に、 ど所要の措置を講ずることとされました。
省エネ改修工事( 1 戸当たり工事費が50万円超
その際、地域決定型地方税制特例措置(わがま
のものに限ります。
)が行われた住宅について
ち特例)の導入拡大についても検討を行い、新た
は、 1 年度分に限り、固定資産税額の 3 分の 1
に固定資産税において 4 項目、都市計画税におい
を減額することとされています。
て 1 項目、わがまち特例を導入しています。これ
地球温暖化をはじめとする環境問題への対応
により、わがまち特例を導入した特例措置は、固
として住宅の省エネ化を図る必要から、エネル
定資産税において累計16項目、都市計画税におい
ギー基本計画(平成26年 4 月11日閣議決定)で
て累計 4 項目となりました(資料15)
。
は「2020年までに新築住宅・建築物について段
以下、固定資産税等の税負担軽減措置等の改正
階的に省エネルギー基準の適合を義務化する」
項目について、順次解説します。
─ 943 ─
――地方税法等の改正――
(資料15)
平成28年度税制改正におけるわがまち特例の導入について
【固定資産税・都市計画税】
○ 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法に規定する認定発電設備に係る課税
標準の特例措置について、わがまち特例を導入した上、適用期限を 2 年延長。
【固定資産税】
対象資産
設備区分
特例率
(注)
太陽光発電設備
風力発電設備
2 / 3 を参酌して 1 / 2 以上 5 / 6 以下で市町村の条例
で定める割合を乗じて得た額(改正前: 2 / 3 )
再生可能エネルギー発電設備 水力発電設備
1 / 2 を参酌して 1 / 3 以上 2 / 3 以下で市町村の条例
地熱発電設備
で定める割合を乗じて得た額(改正前: 2 / 3 )
バイオマス発電設備
(注)
太陽光発電設備:電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法に規定する認定
発電設備の対象外であって政府の補助を受けて取得した設備に限る。
○ 都市再生特別措置法に基づき、認定誘導事業者が整備した公共施設等の用に供する家屋及び償却資産に係
る課税標準の特例措置について、わがまち特例を導入した上、適用期限を 2 年延長。
【固定資産税・都市計画税】
対象資産
特例率
公共施設等の用に供する家屋 4 / 5 を参酌して 7 /10以上 9 /10以下で市町村の条例で定める割合を乗じて
及び償却資産
得た額(改正前: 4 / 5 )
※具体的な対象資産:公園、広場、緑化施設、通路等
○ 津波防災地域づくりに関する法律に規定する推進計画に基づき新たに取得等された津波対策の用に供する
償却資産に係る課税標準の特例措置について、わがまち特例を導入した上、適用期限を 4 年延長。
【固定資産税】
対象資産
特例率
津波対策の用に供する償却資 1 / 2 を参酌して 1 / 3 以上 2 / 3 以下で市町村の条例で定める割合を乗じて
産
得た額(改正前: 1 / 2 )
※具体的な対象資産:防潮堤、護岸、胸壁、津波避難施設
わがまち特例 従来法律で一律に定めていた課税標準又は税額の特例措置を各自治体の自主的判断に基づ
き、条例で決定できるようにするもの。
、都市計画税・・・ 4 項目( 1 項目)
、不動産取得
導入状況:固定資産税・・・16項目( 4 項目)
税・・・ 2 項目
※( )書きは平成28年度税制改正による追加分
⑴ 税負担軽減措置等の創設・拡充
率に係る目標が設定されたこと(平成26年
① 防災上重要な道路における無電柱化のため、
度:16%→平成32年度:20%)、無電柱化議
道路の地下に埋設するために新設した電線等
員連盟や自民党ITS推進・道路調査会無電
に係る課税標準の特例措置の創設
柱化小委員会における議論、無電柱化を推進
東日本大震災の発生を踏まえ、第 4 次社会
する市区町村長の会の設立(平成27年10月)
資本整備重点計画(平成27年 9 月18日閣議決
等も踏まえ、予算・計画・規制による政策パ
定)において市街地等の幹線道路の無電柱化
ッケージで無電柱化推進を図ることとしてい
─ 944 ─
――地方税法等の改正――
等が指定されています(平28. 3 総務告142)。
ます。
今回の改正においては、税制においても無
③ 新たな物流効率化のための計画に基づき取
電柱化促進のための支援措置が必要との観点
得した事業用資産に係る課税標準の特例措置
から、一般送配電事業者や電気通信事業者等
の創設等
が、災害対策基本法に基づく都道府県地域防
物流分野における労働力不足、より一層の
災計画に位置付けられた緊急輸送道路におけ
地球温暖化対策の必要性等、昨今の物流をめ
る無電柱化のため、道路の地下に埋設するた
ぐる社会経済情勢の変化に対応するため、流
めに新設した電線等について、課税標準を最
通業務の総合化及び効率化の促進に関する法
初の 4 年度分は価格の 3 分の 2 (道路法に基
律の一部を改正する法律(平成28年法律第36
づき道路上における電柱の占用を禁止する区
号)により、複数の事業者が共同で物流の効
域として指定された区域の地下に埋設するた
率化に資する計画を作成し、当該計画に基づ
めに新設した設備にあっては、最初の 4 年度
き事業を行う場合には、関係法律の登録等を
分は価格の 2 分の 1 )とする措置を 3 年間に
受けたものとみなす等の特例が設けられまし
限り講ずることとされました
(地法附則15)
。
た。
② 世界遺産に登録された稼働中の産業遺産に
これを踏まえ、流通業務の総合化及び効率
係る課税標準の特例措置の創設
化の促進に関する法律の認定を受けた事業者
稼働中の産業遺産は、稼働を継続すること
が、総合効率化計画に基づき取得した一定の
が遺産価値の保全につながることを踏まえ、
家屋及び償却資産に対して、流通機能の高度
平成26年度与党税制改正大綱において「景観
化に寄与する倉庫等に係る特例措置の要件を
法の規定により指定を受けた景観重要建造物
流通業務の省力化にも寄与するものに見直す
のうち世界遺産に登録された一定の固定資産
とともに、旅客鉄道を利用して貨物輸送を行
に係る固定資産税等について、課税標準を価
う新たな物流システム構築のために取得した
格の 3 分の 1 とする措置を講ずることとし、
一定の設備に係る特例措置を新たに講ずるこ
対象となる資産が世界遺産に登録された場合
ととされました(資料16)
。
に、法制上の措置を講ずる」こととされまし
具体的には、同法に規定する総合効率化事
た。
業者が、総合効率化計画に基づき実施する流
平成27年 7 月に「明治日本の産業革命遺
通業務総合効率化事業により取得した次の施
産」が世界遺産に登録されたことを受け、平
設又は設備について、最初の 5 年度分の課税
成26年度大綱のとおり、世界遺産に登録され
標準をその価格にそれぞれ次の割合を乗じて
た稼働中の産業遺産に係る課税標準の特例措
得た額とすることとされました(地法附則15
置を講ずることとされました。具体的には、
①)
。
景観法の規定により指定された景観重要建造
イ 倉庫業者である総合効率化事業者が新設
物のうち、「世界の文化遺産及び自然遺産の
又は増設した流通機能の高度化及び流通業
保護に関する条約」に規定する世界遺産一覧
務の省力化に寄与する倉庫として政令で定
表に記載された家屋及び償却資産で総務大臣
めるもの 2 分の 1
が指定するもの並びに当該家屋の敷地の用に
供されている土地について、課税標準を価格
ロ イの倉庫に附属する機械設備で政令で定
めるもの 4 分の 3
の 3 分の 1 とする措置を講ずることとされま
ハ 鉄道事業者、軌道経営者又は鉄道貨物を
した(地法349の 3 )
。総務大臣指定では、
利用する貨物運送事業者である総合効率化
長崎県の三菱造船所や北九州市の八幡製鐵所
事業者(JR貨物を除きます。)が取得した
─ 945 ─
――地方税法等の改正――
貨物運送用設備で政令で定めるもの 5 分
こととされていますが、旅客鉄道を利用し
の3
て貨物輸送を行う総合効率化事業者が取得
また、現在、鉄道事業者等が取得した新
した新造車両をこの特例措置の対象に加え
造車両について、固定資産税の課税標準を
ることとされています(地法附則15⑯、地
最初の 5 年度分は価格の 3 分の 2 (小規模
令附則11⑯)。
鉄道事業者等については 5 分の 3 )とする
(資料16)
新たな物流効率化のための計画に基づき取得した事業用資産に係る課税標準の特例措置の創設等
施策の背景
現行の枠組みに加え、新たに創設する枠組み
【目的】輸送フローの効率化及びモーダルシフトの
一層の促進による物流の効率化
従前の環境対策に加え、物流分野における
労働力不足、より一層の地球温暖化対策の
必要性等、昨今の物流をめぐる社会情勢の
変化に対応する必要
28改正
新たな物流効率化計画に対する支援制度の創設
複数の事業者が共同で物流の効率化に資する計画
を作成し、認定を受け、それに基づき事業を行う場
合、所要の支援措置を講ずるものとする。
新たな物流効率化のための計画に基づき取得した事業用資産について、特例措置を創設
〇都市鉄道等の旅客鉄道を利用した新たな物流
システム構築
〇輸送と保管の連携が図られた倉庫の整備促進
現状の課題
手待ち!
空車!
輸送拠点
倉庫
着荷主
輸送連携型倉庫
〇輸送拠点の併設
倉庫
輸送拠点
又は
着荷主
〇トラック予約受付システムの導入
到着時間予約
倉庫
着荷主
輸送拠点の併設又はト
ラック予約システム整
備で空車や手待ち時間
を解消し、
①輸送フローの効率化
②生産性の向上
を実現する。
渋滞!
環境負荷!
①CO₂ の排出量削減
②トラックドライバー不足対策
③定時性・スピード性に優れた
貨物輸送を実現する。
【特例内容】
①貨物用鉄道車両
課税標準を 5 年間2/3※
※中小鉄軌道事業者は
5 年間3/5
【特例内容】
○倉庫事業者が所有す
る倉庫(施設及び附
属設備)
課税標準を 5 年間
1/2
(附属設備は3/4)
④ 国立研究開発法人等に係る税制上の所要の
トラックの代わりに都市鉄道等
の旅客鉄道を貨物輸送に利用し、
②貨物搬送装置
課税標準を 5 年間3/5
については、非課税法人として従来から非
措置
課税措置が講じられており、また、国立研
イ 国立研究開発法人量子科学技術研究開発
究開発法人日本原子力研究開発機構の業務
機構に係る非課税措置等
の用に供する固定資産については、課税標
平成28年 4 月 1 日に、国立研究開発法人
準を最初の 5 年度分は価格の 3 分の 1 、そ
日本原子力研究開発機構が行っている量子
の後 5 年度分は価格の 3 分の 2 とすること
科学技術に関する基礎研究及び量子に関す
とされているところであり、名称変更後の
る基盤的研究開発に関する業務が国立研究
新法人においてもその公益性等に鑑み、引
開発法人放射線医学総合研究所の業務に追
き続き非課税措置等を講ずることとされま
加され、国立研究開発法人量子科学技術研
した(地法348②四十四、349の 3 )。
ロ 独立行政法人労働者健康安全機構に係る
究開発機構に改組されました。
国立研究開発法人放射線医学総合研究所
─ 946 ─
非課税措置
――地方税法等の改正――
平成28年 4 月 1 日に、独立行政法人労働
平成28年 4 月 1 日に、独立行政法人水産
安全衛生総合研究所は解散し、独立行政法
大学校は解散し、国立研究開発法人水産総
人労働者健康福祉機構に業務が承継され、
合研究センターに業務が承継され、国立研
独立行政法人労働者健康安全機構に改組さ
究開発法人水産研究・教育機構に改組され
れました。また、国が行っているバイオア
ました。
ッセイ研究センター(国が選定した化学物
国立研究開発法人水産総合研究センター
質について、長期吸入によるがん原性試験
については、一定の業務の用に供する固定
を行う試験機関)の事業に係る業務及び資
資産について非課税措置が講じられており、
産についても改組後の新法人に移管されま
また、独立行政法人水産大学校については
した。
非課税独立行政法人として従来から非課税
独立行政法人労働者健康福祉機構につい
措置が講じられているところであり、統合
ては、一定の業務の用に供する固定資産に
後の新法人においてもその公益性等に鑑み、
ついて非課税措置が講じられており、また、
引き続き非課税措置を講ずることとされま
独立行政法人労働安全衛生総合研究所につ
した(地法348②三十七)。
いては、非課税独立行政法人として従来か
ら非課税措置が講じられているところであ
⑵ 税負担軽減措置等の拡充
り、統合後の新法人においてもその公益性
① 鉄道の安全性向上設備に係る課税標準の特
等に鑑み、引き続き非課税措置を講ずるこ
例措置の拡充
ととされました(地法348②十六)
。
改正前の制度においては、中小鉄軌道事業
ハ 国立研究開発法人農業・食品産業技術総
者が、平成29年 3 月31日までの間に政府の補
合研究機構に係る非課税措置
助を受けて取得した車両の運行の安全性の向
平成28年 4 月 1 日に、国立研究開発法人
上に資する一定の償却資産について、課税標
農業生物資源研究所、国立研究開発法人農
準を最初の 5 年度分は価格の 3 分の 1 とする
業環境技術研究所及び独立行政法人種苗管
こととされています(地法附則15⑭)。
理センターは解散し、国立研究開発法人農
今回の改正においては、鉄道施設総合安全
業・食品産業技術総合研究機構に業務が承
対策事業費補助の対象の拡充(橋梁、トンネ
継されました。
ルの大規模な改良→橋梁、トンネル、土留擁
国立研究開発法人農業・食品産業技術総
壁、護岸壁等の長寿命化に資する改良等)に
合研究機構については、一定の業務の用に
合わせて特例措置の対象も拡充することとさ
供する固定資産について非課税措置が講じ
れました(地規附則 6 )。
られており、また、国立研究開発法人農業
② 鉄軌道事業者が駅のバリアフリー化により
生物資源研究所、国立研究開発法人農業環
取得した償却資産等に係る課税標準の特例措
境技術研究所及び独立行政法人種苗管理セ
置の拡充
ンターについては非課税法人として従来か
改正前の制度においては、鉄軌道事業者に
ら非課税措置が講じられているところであ
よる駅のバリアフリー化に伴い、平成28年 3
り、統合後の新法人においてもその公益性
月31日までに取得された一定の家屋又は償却
等に鑑み、引き続き非課税措置を講ずるこ
資産について、課税標準を最初の 5 年度分は
ととされました(地法348②三十六)
。
価格の 3 分の 2 とすることとされています。
ニ 国立研究開発法人水産研究・教育機構に
今回の改正においては、次の駅において整
備されたホームドアシステムを対象に追加し
係る非課税措置
─ 947 ─
――地方税法等の改正――
た上で、その適用期限を平成30年 3 月31日ま
具体的には、課税標準の特例率を、太陽光
で 2 年延長することとされました(地法附則
発電設備及び風力発電設備については 3 分の
15、地令附則11)
。
2 を参酌して 2 分の 1 以上 6 分の 5 以下の範
イ 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促
囲内において市町村の条例で定める割合とし、
進に関する法律に規定する公共交通特定事
中小水力発電設備、地熱発電設備及びバイオ
業計画に基づき公共交通特定事業が実施さ
マス発電設備については 2 分の 1 を参酌して
れる駅
3 分の 1 以上 3 分の 2 以下の範囲内において
ロ 利用者数10万人以上の駅を含む路線の駅
市町村の条例で定める割合とし、その適用期
のうち、当該10万人以上の駅から100㎞以
限を平成30年 3 月31日まで 2 年延長すること
内にある駅
とされました(地法附則15、地規附則 6
)。なお、バイオマス発電設備については、
③ 再生可能エネルギー発電設備に係る課税標
準の特例措置の拡充(わがまち特例の導入)
バイオマス以外との混焼による発電設備を対
改正前の制度においては、固定価格買取制
象から除外するため、出力が 2 万キロワット
度(FIT)の対象として認定された一定の再
未満の設備に限ることとされました(地規附
生可能エネルギー発電設備については、平成
則 6 )。
28年 3 月31日までの間に取得したものに限り、
また、平成28年 3 月31日までの間に取得さ
課税標準を最初の 3 年度分は価格の 3 分の 2
れたものについては、従前の取扱いを継続す
とすることとされています。
ることとされました。
FITによる導入量については、太陽光発電
設備がその約95%を占め(平成26年度末まで
⑶ 税負担軽減措置等の整理合理化
の実績)、また、制度開始前(平成24年 3 月
① 特定鉄道事業者により新たに敷設された特
末まで)と平成27年 3 月末までの導入量の推
定鉄道の線路設備等に係る課税標準の特例措
移をみると、太陽光発電設備については約
置の廃止
4.5倍と飛躍的に導入が加速されている一方、
改正前の制度においては、大都市地域にお
風力・中小水力・地熱・バイオマス発電設備
ける宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関
については横ばいから1.2倍程度と導入が伸
する特別措置法に規定する特定鉄道事業者が
び悩んでいます。
新たな営業路線の開業のために新設した線路
これらのことを踏まえ、今回の改正におい
設備等について、課税標準を最初の 5 年度分
ては、本特例措置の対象からFITの対象とな
は価格の 4 分の 1 とし、その後 5 年度分は価
る太陽光発電設備を除外し、FITの対象外で
格の 2 分の 1 とすることとされています。
ある自家消費型太陽光発電設備を対象に追加
現在特例対象となっている資産は、平成17
した上で、自然条件によらず安定的な運用が
年度に開業したつくばエクスプレスに係る線
可能な中小水力・地熱・バイオマス発電設備
路設備等のみであり、平成27年度で特例対象
については特例率を拡充することとされまし
の大半は適用が終了することに加え、新たな
た。また、再生可能エネルギーの導入加速に
営業路線の開業は当面見込まれず、今後の特
向けた取組は市町村によって様々であり、地
例適用が見込まれないことから、今回の改正
域の実情に応じて市町村が判断できるように
においては、一定の経過措置を講じた上で、
することが望ましいことから、わがまち特例
本特例措置を廃止することとされました(旧
を導入した上で、その適用期限を延長するこ
地法349の 3 )。
② 公害防止用設備に係る課税標準の特例措置
ととされました。
─ 948 ─
――地方税法等の改正――
の縮減及び延長
の貨物輸送の転換)を進めるため、JR貨物
改正前の制度においては、公害防止用設備
が取得する一定の新造車両(機関車及びコン
に係る固定資産税については、設備の種類に
テナ貨車のうち貨物鉄道事業に係る輸送の効
応じた課税標準の特例措置が講じられていま
率化に資する車両として総務省令で定めるも
す。
の)について、課税標準を最初の 5 年度分は
今回の改正においては、以下の見直しを行
価格の 5 分の 3 とすることとされています。
った上で、その適用期限を平成30年 3 月31日
本特例措置については、平成10年度の創設
まで 2 年延長することとされました(地法附
からすでに17年が経過し、JR貨物による車
則15②、地規附則 6 ⑮)
。
両の買換えが相当程度進み、コンテナ貨車の
イ 有害物質の排出抑制装置を有するテトラ
約 8 割、機関車の約 6 割が、JR貨物が新規
クロロエチレン溶剤及びフッ素系溶剤を利
に取得したものとなっている(平成26年度
用したドライクリーニング機について、特
末)こと、車両の買換えは本来企業の経営努
例措置の趣旨が、経営基盤が脆弱な中小事
力として取り組むべきものであることといっ
業者等の公害対策等に資する設備投資の促
た点がある一方で、環境への配慮等から引き
進であることを踏まえ、所得税等と同様に、
続きモーダルシフトを促進する必要があるこ
特例措置の対象を中小事業者等が取得した
と、依然として旧国鉄から承継した車両も一
ものに限定したこと。
定程度存在していること等を踏まえ、見直し
ロ 一般廃棄物処理施設のうちごみ処理施設
を行った上で延長することとされました。
の石綿含有廃棄物無害化処理用設備につい
具体的には、本特例措置の対象となる新造
ては、平成19年度の特例措置対象への追加
車両について、旧国鉄から承継した車両の更
以来適用実績がなく、今後の適用見込みも
新に係るものに限定した上で、その適用期限
ないことから、特例措置の対象から除外し
を平成30年 3 月31日まで 2 年延長することと
たこと。なお、産業廃棄物処理施設に係る
されました(地法附則15⑦、地規附則 6 )。
石綿含有廃棄物無害化処理用設備について
④ 成田国際空港株式会社が事業の用に供する
は、引き続き特例措置の対象であること。
固定資産に係る課税標準の特例措置の縮減及
ハ 一般廃棄物処理施設のうち最終処分場に
び延長
ついては、リサイクルの一層の推進及び廃
改正前の制度においては、成田国際空港株
棄物の減量化等により、その残余年数は改
式会社が所有し、かつ、直接滑走路等又は航
善傾向にあり、平成26年度は19.3年(平成
空保安施設の用に供する固定資産については、
16年度は13.9年)である一方、廃棄物処理
平成27年度分までに限り、課税標準を価格の
施 設 整 備 計 画(平成25年 5 月31日閣議決
6 分の 5 とすることとされています。
定)の残余年数目標は平成29年度に20年で
今回の改正においては、成田国際空港株式
あること等を踏まえ、特例率を 2 分の 1 か
会社の収益状況は良好で多額の法人税等の国
ら 3 分の 2 としたこと。
税を支払い、国に対する株主配当も行ってい
③ JR貨物が取得した新規製造車両に係る課
ること(経常利益:約333億円、法人税:約
税標準の特例措置の縮減及び延長
50億円、国への配当:59億。いずれも平成26
改正前の制度においては、JR貨物による
年度)
、前回延長の理由とされた発着枠30万
鉄道貨物輸送の近代化・効率化を図り、鉄道
回化はすでに達成されたこと等がある一方で、
貨物の輸送力を増強することによりモーダル
2020年東京オリンピック・パラリンピック競
シフト(環境負荷の小さい鉄道・海運輸送へ
技大会までに、年間発着枠約 4 万回拡大達成
─ 949 ─
――地方税法等の改正――
に向けた設備投資が約1,220億円と多額であ
いる事例が存在することも考慮し、その適用
ることなどを踏まえ、特例率を 8 分の 7 に縮
期限を平成30年 3 月31日まで 2 年延長するこ
減した上で、その適用期限を平成29年度分ま
ととされました(地法附則15)。
で 2 年延長することとされました(地法附則
なお、地域公共交通確保維持改善事業費補
15⑲)
。
助又は鉄道施設総合安全対策事業費補助を受
⑤ 日本郵便株式会社が所有する一定の固定資
けて取得した一定の鉄道資産が対象とされて
産に係る課税標準の特例措置の縮減及び延長
いますが、このうち鉄道施設総合安全対策事
改正前の制度においては、郵政民営化後の
業費補助については、本特例措置に係る適用
負担軽減のための経過的措置として、日本郵
実績がなく、今後の適用見込みもないことか
便株式会社が所有する一定の固定資産につい
ら、特例措置の対象となる補助金から鉄道施
ては、平成27年度分までに限り、課税標準を
設総合安全対策事業費補助を除外することと
価格の 5 分の 3 とすることとされています。
されています(地規附則 6 )。
今回の改正においては、民営化からすでに
⑦ JR九州株式会社の国鉄から承継した固定
8 年が経過していることや日本郵政株式会社
資産及び事業用固定資産に係る課税標準の特
の株式が平成27年11月に上場されたこと等が
例措置(いわゆる承継特例及び三島特例)の
ある一方、郵便事業の経営環境は依然として
廃止
厳しいこと、郵便・物流ネットワーク再編等
JR北海道、JR四国及びJR九州(三島会社)
の投資に伴う費用削減効果を見極める必要が
が所有等する固定資産に係る特例措置(いわ
あること等から、特例率を 5 分の 3 から 5 分
ゆる三島特例。課税標準を価格の 2 分の 1 と
の 4 に縮減した上で、その適用期限を平成29
するものです。
)並びに三島会社及びJR貨物
年度分まで 2 年延長することとされました
が旧国鉄から承継した固定資産に係る特例措
置(いわゆる承継特例。課税標準を価格の 5
(地法附則15)
。
⑥ 鉄道事業者が鉄道事業再構築事業を実施す
分の 3 とするものです。
)については、平成
る路線において取得した一定の家屋及び償却
24年度の特例措置延長時に、税制改正大綱に
資産に係る課税標準の特例措置の縮減及び延
おいて「各会社の経営状況や株式上場の動向
長
を勘案し、今後、必要な見直しを行います」
改正前の制度においては、鉄道事業者が地
とされています。
元の地方公共団体と連携して、地域公共交通
JR九州は、旅客鉄道株式会社及び日本貨
の活性化及び再生に関する法律に規定する認
物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正す
定鉄道事業再構築実施計画に基づき鉄道事業
る法律(平成27年法律第36号)により平成28
再構築事業を実施する路線において、鉄道事
年 4 月 1 日から特殊会社から除外されること
業者が国の補助を受けて新たに取得する一定
や、経営基盤が確立し、株式全部上場(平成
の鉄道資産について、課税標準を最初の 5 年
28年度予定)により完全民営化する見込みで
度分は価格の 4 分の 1 とすることとされてい
あることなどを踏まえ、平成28年度改正にお
ます。
いて、JR九州に係る特例措置の取扱いが議
本特例措置については、適用対象事業者や
論となり、所要の経過措置を講じた上で、廃
適用金額が僅少であるものの、東日本大震災
止することとされました。
の被災地も含め鉄道事業の存続に向けて継続
具体的には、特例措置の根拠規定からJR
して取り組んでいる事例があること、鉄道事
九州が削除された上で、三島特例については、
業の存続について地域ぐるみで検討を行って
平成30年度まで課税標準を価格の 2 分の 1
─ 950 ─
――地方税法等の改正――
(平成29年度及び平成30年度にあっては価格
し、被災地域の復旧・復興は概ね順調に進め
の 5 分の 3 )とする経過措置が、承継特例に
られ、特例対象となる資産の取得等が終了し
ついては、平成28年度まで課税標準を価格の
たことから、本特例措置を一定の経過措置を
5 分の 3 とする経過措置が、それぞれ講じら
講じた上で、廃止することとされました(旧
れました(地法附則15の 2 ②、15の 3 )
。
地法附則56の 2 ④)。
⑧ 東日本大震災により被災した鉄道施設等に
⑩ 農協等が取得した農林漁業者の共同利用に
代わるものとして取得又は改良した償却資産
供する機械及び装置に係る課税標準の特例措
に係る課税標準の特例措置の廃止
置の縮減
改正前の制度においては、被災した鉄道事
改正前の制度においては、農業協同組合等
業者が、国の災害復旧事業費補助を受けて、
が政府の補助や貸付けを受けて取得した農林
東日本大震災により滅失又は損壊した車両等
漁業者の共同利用に供する一定の機械及び装
に代わるものとして取得又は改良した車両等
置について、課税標準を最初の 3 年度分は価
について、課税標準を最初の10年度分は価格
格の 2 分の 1 とすることとされています(地
の 3 分の 2 とすることとされています。
法349の 3 ④)。
今回の改正においては、震災後 4 年が経過
今回の改正においては、適用実績がほとん
し、被災地域の復旧・復興は概ね順調に進め
どなく、今後も見込まれない農業改良資金、
られ、特例対象となる資産の取得等が終了し
沿岸漁業改善資金及び木材産業等高度化推進
たことから、本特例措置を一定の経過措置を
資金の貸付けを受けて取得したものを特例措
講じた上で、廃止することとされました(旧
置の対象から除外することとされました(地
地法附則56の 2 ③)
。
令52の 2 の 2 ②)。
⑨ 東日本大震災により被災した特定地方交通
線又は地方鉄道新線に係る鉄道施設に代わる
⑷ 税負担軽減措置等の延長
ものとして取得又は改良した家屋又は償却資
① 高速道路株式会社及び独立行政法人日本高
産に係る課税標準の特例措置の廃止
速道路保有・債務返済機構が事業の用に供す
旧国鉄が所有していた鉄道路線のうち収支
る固定資産に係る非課税措置の延長
の均衡を確保することが困難な鉄道路線(特
高速道路株式会社(東日本高速道路株式会
定地方交通線)について、第三セクターが無
社、首都高速道路株式会社、中日本高速道路
償譲渡を受けて運営を引き継いだ場合を対象
株式会社、西日本高速道路株式会社、阪神高
に、当該鉄道資産に係る課税標準を価格の 4
速道路株式会社及び本州四国連絡高速道路株
分の 1 とする「特定地方交通線特例」が措置
式会社)及び独立行政法人日本高速道路保
されています(地法349の 3 ⑲)
。
有・債務返済機構が一定の事業・業務の用に
特定地方交通線特例の適用を受けていた鉄
供する固定資産については、平成27年度分ま
道資産が東日本大震災により被災し、それに
で固定資産税等の非課税措置が講じられてい
代わるものとして取得した資産については、
ます。
当該特例の適用外となりますが、改正前の制
今回の改正においては、道路公団民営化10
度においては、東日本大震災という鉄道事業
年後の国土交通省における検討において、引
者の責に帰さない事由により買換えを余儀な
き続き同様のスキームを継続することとされ
くされたものであることを考慮し、特定地方
ていることから、これまでと同様に非課税措
交通線特例と同等の措置が講じられています。
置を講ずることとし、その適用期限を平成37
今回の改正においては、震災後 4 年が経過
年度分まで10年延長することとされました
─ 951 ─
――地方税法等の改正――
平成26年度又は平成27年度において新たに固
(地法附則14①)
。
② 国内路線に就航する航空機に係る課税標準
定資産税が課されることとなるものについて
の特例措置の延長
は、
(別表 1 )のとおり固定資産税の課税標
航空運送事業者が運航する航空機のうち、
準の特例措置が講じられています。
(別表 1 )
区分
就航条件
最大離陸重量(注 1 )が200t以上の航空機
最大離陸重量(注 1 )が200t未満の航空機
-
地方的な路線
(注 2 )
の就航時間割合が
2 / 3 未満の航空機
特例率
課税標準を 3 年度分
価格の 2 / 3 とする。
地方的な路線
(注 2 )
の就航時間割合が
2 / 3 以上の航空機
課税標準を 5 年度分
価格の 2 / 5 とする。
最大離陸重量(注 1 )が50t未満の航空機
(リージョナル機)
特に地方的な路線
(注 3 )
の就航時間割合が
2 / 3 以上の航空機
課税標準を初年度分
価格の 3 / 8 、その
後 4 年度分価格の
2 / 5 とする。
最大離陸重量(注 1 )が30t未満の航空機
(リージョナル機)
特に地方的な路線
(注 3 )
の就航時間割合が
2 / 3 以上の航空機
課税標準を 5 年度分
価格の 1 / 4 とする。
(注 1 ) 最大離陸重量:航空機の機種ごとに定められた、その機種が離陸することができる総重量の最大値。
(注 2 ) 地方的な路線:成田国際空港、東京国際空港、関西国際空港、新千歳空港、大阪国際空港、福岡空港
及び那覇空港の相互間の路線を除く国内路線。
(注 3 ) 特に地方的な路線:地方的な路線のうち、東京国際空港又は大阪国際空港発着の路線を除く国内路線。
今回の改正においては、国内線旅客数は順
今回の改正においては、平成34年度末に北
調に増加しており、直近の収支状況を見ると、
陸新幹線の金沢-敦賀間が開業予定であり、
幹線航路、地方路線ともに収支は安定し、路
これに伴いJR旅客会社から並行在来線の分
線全体では黒字となっている状況ですが、地
離が予定されていることを踏まえ、並行在来
方空港を結ぶ路線を運行する地域航空会社の
線の経営を取り巻く環境は非常に厳しいこと
経営状況は依然として厳しいことや平成26年
等を考慮し、並行在来線に講じられている財
度に本特例措置の拡充を行った効果を見極め
政措置等を含めた支援措置制度全体の一部と
る必要があること等を踏まえ、その適用期限
して、本特例措置に係る適用期限を平成35年
を平成29年度分まで 2 年延長することとされ
3 月31日まで 7 年延長することとされました。
(地法附則15⑬)。
ました(地法附則15③)
。
③ 整備新幹線の開業に伴いJR旅客会社から
④ バイオ燃料製造事業者が取得したバイオ燃
経営分離される並行在来線の鉄道施設に係る
料製造設備に係る課税標準の特例措置の延長
課税標準の特例措置の延長
農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料
整備新幹線の開業に伴いJR旅客会社から
としての利用の促進に関する法律に基づく認
経営分離されたいわゆる並行在来線に係る鉄
定生産製造連携事業計画に沿って一定のバイ
道資産について、JR旅客会社から譲り受け
オ燃料を製造する事業者が新たに設置するバ
た鉄道事業の用に供する固定資産に係る課税
イオ燃料製造設備については、平成28年 3 月
標準を最初の20年度分は価格の 2 分の 1 とす
31日までの間に新設したものに限り、課税標
ることとされています。
準を最初の 3 年度分は価格の 2 分の 1 とする
─ 952 ─
――地方税法等の改正――
こととされています。
なお、平成28年 3 月31日までの間に取得等
今回の改正においては、平成20年度の特例
されたものについては、従前の取扱いを継続
措置創設以来、適用件数・金額ともに僅少で
することとしています。
あるものの、バイオ燃料の活用が地球温暖化
⑥ 放送ネットワーク災害対策用設備等に係る
防止や循環型社会の形成に資するものであり、
課税標準の特例措置の延長
また、家畜排せつ物バイオガス製造事業を中
放送法に規定する基幹放送事業者(NHK
心に適用対象の増加が具体的に見込まれてい
及び放送大学学園を除きます。
)又は基幹放
ることも踏まえ、その適用期限を平成30年 3
送局提供事業者が、平成28年 3 月31日までの
月31日まで 2 年延長することとされました
間に取得した災害時におけるラジオ放送の確
実な実施に著しく資する一定の予備送信設備
(地法附則15)
。
⑤ 津波対策の用に供する港湾施設等に係る課
等について、課税標準を最初の 3 年度分は価
税標準の特例措置の延長(わがまち特例の導
格の 4 分の 3 とすることとされています。
入)
本特例措置の政策目標である、民間ラジオ
津波防災地域づくりに関する法律に規定す
放送事業者の親局に係る移転やFM補完中継
る市町村が定める津波防災まちづくりのため
局等の整備率を平成30年度までに100%とす
の推進計画に基づき、民間事業者が新たに取
ることについては、平成29年度末で達成する
得又は改良した津波対策の用に供するための
見込みであることから、その適用期限を平成
港湾施設等(防潮堤、護岸、胸壁、津波避難
30年 3 月31日まで 2 年延長することとされま
施設)については、平成28年 3 月31日までの
した(地法附則15)。
間に取得等したものに限り、課税標準を最初
⑦ 国家戦略特別区域における特定研究開発事
の 4 年度分は価格の 2 分の 1 とすることとさ
業の用に供する設備に係る課税標準の特例措
れています。
置の延長
本特例措置については未だ適用実績はない
国家戦略特別区域法に規定する認定区域計
ものの、推進計画の策定に取り組み、具体的
画に定める特定開発研究事業(医療に関する
に護岸かさ上げや津波避難施設整備を予定し
研究開発を実施する事業であって、基礎的な
ている民間企業が存在する市町村があること
ものその他の収益性の低いもの)の実施主体
から、平成30年度以降においては特例措置の
として認定区域計画に定められた者が、当該
適用が見込まれるところです。また、津波に
認定区域計画に係る国家戦略特別区域内にお
対する防災・減災機能の強化の重要性・緊急
いて平成28年 3 月31日までの間に取得した特
性は市町村の地理的条件等によって程度の差
定開発研究事業の用に供する一定の機械その
異があり、地域の実情に応じて市町村が判断
他の設備について、課税標準を最初の 3 年度
できるようにすることが望ましいため、今回
分は価格の 2 分の 1 とすることとされていま
の改正においては、わがまち特例を導入した
す。
上で、その適用期限を延長することとされま
平成26年度の創設から適用件数は 1 件のみ
した。
であり、適用金額も極めて少額であるものの、
具体的には、課税標準の特例率を、 2 分の
今後認定区域計画が策定され、本特例措置の
1 を参酌して 3 分の 1 以上 3 分の 2 以下の範
適用対象となる見込みの事業が存在すること
囲内において市町村の条例で定める割合とし、
から、今後の適用件数の推移やニーズ等を慎
その適用期限を平成32年 3 月31日まで 4 年延
重に見極めるため、その適用期限を平成30年
長することとされました(地法附則15)
。
3 月31日まで 2 年延長することとされました
─ 953 ─
――地方税法等の改正――
こととされています。
(地法附則15)
。
⑧ 認定誘導事業者が取得した公共施設等に係
震災から 4 年以上経ったものの、被災地域
る課税標準の特例措置の延長(わがまち特例
内における産業用地の整備は平成27年度以降
の導入)
に大規模な整備が予定されており、その整備
コンパクトシティの実現に向けて、認定誘
のピークは平成29年度と見込まれていること
導事業者(都市再生特別措置法に基づく都市
等を踏まえ、今回の改正においては、今後、
機能誘導区域内に誘導すべき医療施設、福祉
産業用地整備に併せた被災事業者の設備投資
施設等の整備計画の認定を受けた民間事業
が一層促進されると考えられることから、そ
者)が取得した公共施設等(公園、広場、緑
の適用期限を平成31年 3 月31日まで 3 年延長
化施設、通路等)については、平成28年 3 月
することとされました(地法附則56⑫)。
31日までの間に取得したものに限り、課税標
⑩ 東日本大震災に係る独立行政法人中小企業
準を最初の 5 年度分は価格の 5 分の 4 とする
基盤整備機構が整備する工場等の用に供する
こととされています。
家屋に係る非課税措置の延長
本特例措置については未だ適用実績はない
独立行政法人中小企業基盤整備機構が、被
ものの、立地適正化計画の策定に取り組み、
災事業者の早期の事業再開を支援するために、
具体的な誘導施設等整備事業の実施を予定し
東日本大震災の被災地域において整備する被
ている市町村があることから、平成28年度以
災事業者用仮設施設で、平成28年 3 月31日ま
降においては本特例措置の適用が見込まれる
でに取得し、 1 年以内に地方公共団体に無償
ところです。また、コンパクトシティの実現
譲渡することを条件に無償貸与するものに係
による利便性・快適性の高いまちづくりに向
る固定資産税等について、非課税措置が講じ
けた取組は市町村が自主的に行うものであり、
られています。
地域の実情に応じて市町村が判断できるよう
被災直後に比べ市町村の行政機能は回復し
にすることが望ましいため、今回の改正にお
てきていることから適用件数・金額とも減少
いてわがまち特例を導入した上で、その適用
しているものの、平成27年 6 月12日の閣議決
期限を延長することとされました。
定において、「原子力災害からの福島復興の
具体的には、課税標準の特例率を、 5 分の
加速に向けて」の改訂がなされ、避難指示解
4 を参酌して10分の 7 以上10分の 9 以下の範
除準備区域は遅くとも平成29年 3 月までに解
囲内において市町村の条例で定める割合とし、
除する方針となったことから、今後当該区域
その適用期限を平成30年 3 月31日まで 2 年延
を有する市町村を中心に仮設施設整備の一定
長することとされました(地法附則15)
。
のニーズが想定されることを踏まえ、その適
なお、平成28年 3 月31日までの間に取得さ
用期限を平成30年 3 月31日まで 2 年延長する
れたものについては、従前の取扱いを継続す
こととされました(地法附則56の 2 ①)。
ることとしています。
⑨ 東日本大震災による被災代替償却資産に係
4 その他の改正事項
⑴ マイナンバーと固定資産課税台帳の閲覧
る課税標準の特例措置の延長
災害救助法が適用された市町村の区域内に
固定資産課税台帳(以下「台帳」といいま
おいて、東日本大震災により滅失・損壊した
す。)については、地方税法上、納税義務者、
償却資産に代わる償却資産を平成28年 3 月31
借地借家人等の閲覧に供しなければならないこ
日までに取得又は改良した場合には、課税標
ととされ、その閲覧対象は台帳に記載されてい
準を最初の 4 年度分は価格の 2 分の 1 とする
る全ての事項とされています。
─ 954 ─
――地方税法等の改正――
行政手続における特定の個人を識別するため
けた「限定的」な対応が検討され、中小企業の
の番号の利用等に関する法律(以下「番号法」
設備投資を後押しするための固定資産税の時限
といいます。)に規定する個人番号又は法人番
的な特例措置を創設することとされました(資
号(以下「番号」といいます。
)の利用が平成
料17、18)
。
28年 1 月 1 日から開始されたことに伴い、台帳
具体的には、租税特別措置法に規定する中小
の様式に納税義務者の番号の欄を設ける改正が
企業者又は中小事業者(注 1 )が、中小企業等
行われ、平成28年度分より、同欄が台帳に追加
経営強化法の施行の日から平成31年 3 月31日ま
されることとなりました。
での間に認定を受けた経営力向上計画に基づき
このため、平成28年度分の台帳の閲覧より、
取得(事業の用に供されたことのないものの取
地方税法上、番号欄も含めて閲覧対象となりま
得に限ります。)した一定の機械及び装置(注
すが、一方で、番号法において、個人番号に係
2 )に対して課する固定資産税の課税標準は、
る提供の制限に係る規定が設けられ、一定の場
新たに固定資産税が課されることとなった年度
合を除き個人番号の提供をしてはならないこと
から 3 年度分は価格の 2 分の 1 とすることとさ
とされており(番号法19)
、固定資産税の納税
れました(地法附則15㊻)。
義務者以外の者の閲覧に供する際には、当該納
本特例措置の対象資産は、経営力向上設備等
税義務者に係る個人番号を閲覧に供してはなら
として経営力向上計画に記載される機械及び装
ないこととなります。
置のうち、 1 台又は 1 基の取得価額が160万円
今回の改正においては、この取扱いを法令上
。
以上のものとされています(地令附則11㊷)
明確化する観点から、納税義務者以外の者が台
なお、中古品の取得は対象外となります。
帳の閲覧を行う際には、納税義務者の個人番号
(注 1 )
中小企業者とは、①資本金が 1 億円以下
を閲覧対象から除外することとされました(地
の法人(発行済株式の総数の 2 分の 1 以上
法382の 2 ①、地規12の 3 の 2 )
。
が同一の大規模法人の所有に属している法
人等を除きます。
)
、②資本金を有しない法
⑵ 償却資産に対する固定資産税について
人のうち常時使用する従業員の数が1,000人
償却資産に対する固定資産税については、経
以下の法人をいい、中小事業者とは、常時
済産業省より「新たな投資による地域経済活性
使用する従業員の数が1,000人以下の個人を
化の観点から、新規取得する機械装置等につい
いいます。
て固定資産税の償却資産課税の減免を図る」と
(注 2 )
リース事業者が新たに取得し、中小企業
して、新たに取得される機械及び装置に絞った
者等がファイナンス・リース取引による資
償却資産に対する固定資産税の減免が要望され
産の引渡しを受けた場合における機械及び
る一方で、地方 6 団体等からは、固定資産税は
装置を含みます。
市町村にとって安定した非常に重要な基幹税で
この措置は、中小企業等経営強化法の施行日
あり、国の経済対策のために償却資産に対する
以後に中小企業者又は中小事業者が取得をした
固定資産税の見直しを行うべきではなく、現行
経営力向上設備等に該当する機械及び装置に対
制度堅持との要望が出されていました。
して課する施行日の属する年の翌年の 1 月 1 日
与党税制調査会においては、これらを踏まえ
(施行日が 1 月 1 日である場合には、同日)を
た議論がなされ、償却資産に対する固定資産税
賦課期日とする年度以後の年度分の固定資産税
の制度は堅持した上で、地域経済の活性化に向
について、適用することとされています。
─ 955 ─
――地方税法等の改正――
(資料17)
平成28年度税制改正大綱(機械及び装置の固定資産税の特例措置部分抜粋)
平成27年12月16日
|自 由 民 主 党|
|
|
公 明 党
第一 平成28年度税制改正の基本的考え方
1 デフレ脱却・日本経済再生に向けた税制措置
⑶ 地域の中小企業による設備投資の支援
わが国の経済は緩やかな回復基調にあるが、地方によっては経済環境に厳しさがある。ローカル・アベノミクス
の更なる浸透による地域経済の活性化に向けて、地域の中小企業による設備投資の促進を図るため、固定資産税の
時限的な特例措置を創設する。
なお、固定資産税が市町村財政を支える安定した基幹税であることに鑑み、償却資産に対する固定資産税の制度
は堅持する。
第二 平成28年度税制改正の具体的内容
二 資産課税 / 5 租税特別措置等 /(地方税)/ 〔新設〕/ 〈固定資産税・都市計画税〉
⑵ 中小企業の生産性向上に関する法律(仮称)の制定を前提に、中小企業者等が、同法の施行の日から平成31年 3
月31日までの間において、同法に規定する認定生産性向上計画(仮称)に記載された生産性向上設備(仮称)のう
ち一定の機械及び装置の取得をした場合には、当該機械及び装置に係る固定資産税について、課税標準を最初の 3
年間価格の 2 分の 1 とする措置を講ずる。
(注 1 ) 上記の「中小企業者等」とは、次の法人又は個人をいう。
① 資本金の額又は出資金の額が 1 億円以下の法人
② 資本若しくは出資を有しない法人の場合、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
③ 常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人
(注 2 ) 上記の「一定の機械及び装置」とは、次の①から③までのいずれにも該当するものとする。
① 販売開始から10年以内のもの
② 旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均 1 %以上向上す
るもの
③ 1 台又は 1 基の取得価額が160万円以上のもの
中小企業者等が新規取得した生産性向上に資する機械装置に係る課税標準額の特例措置の創設
中小企業者等が、中小企業等経営強化法(※)の施行の日から平成31年 3 月31日までの間に認定経営力向上
計画に基づき新たに取得した一定の機械及び装置について、固定資産税の特例措置(課税標準額を最初の 3 年
間価格の 1 / 2 )を創設
※ 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律により、中小企業等経営強化法に題名を改正
適用期間
特例対象・内容
取得が法施行の日 ~ 平成31年 3 月31日
中小企業等経営強化法のスキーム
・対象者 : 中小企業者等
国(基本方針・事業分野別指針)
事業分野別 中小企業者等
推進機関 による認定申請
主務大臣によ
る計画認定
租税特別措置法に規定する中小企業者又は中小事業者
① 資本金の額又は出資金の額が 1 億円以下の法人(※)
② 資本若しくは出資を有しない法人の場合、常時使用する従業
員の数が1,000人以下の法人
③ 常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人
※発行済株式の総数の 2 分の 1 を超える数の株式が一の大規模法
人等の所有に属していないこと
計画策定
支援
・対象資産 : 認定経営力向上計画に基づき新たに取得した一
定の機械・装置(リース取引により引渡しを受
けた場合における機械・装置を含む。)
経営力向上計画
中小企業者等
対象となる機械装置の例
金属加工設備
ベルトコンベアー
次の①から③までのいずれにも該当するもの
① 販売開始から10年以内のもの
② 旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネ
ルギー効率等)が年平均 1 %以上向上するもの
③ 1 台又は 1 基の取得価格が160万円以上のもの
・特例内容 : 課税標準額を最初の 3 年間価格の 1 / 2
減収規模 初年度:64億円
─ 956 ─
3 年目(最大):183億円
――地方税法等の改正――
(資料18)
「中小企業等経営強化法」の概要
①生産性の格差
②成長の実現
③賃上げの原資
④支援策等の連携
少子高齢化、人手不足、国際競争の
激化等の中、中小企業・小規模事業者
(従 業 者 の 7 割、付 加 価 値 の 5 割 強)
の生産性(従業員一人当たり付加価値
額)は大企業に比して半分、格差は拡
大。サービス業の生産性が低い。
アベノミクスの効果を地方に行き
渡らせるためには、中小企業・小規
模事業者の生産性向上が不可欠(地
方ほど中小企業・小規模事業者の比
率が高い)。これによって、GDP600
兆円の達成にも貢献。
「最低賃金・賃金引上げによる消費
の喚起」
(一億総活躍国民会議)を実
現するためには、経営体力の弱い中
小企業・小規模事業者の生産性向上
を支援し、賃金引上げの原資を確保
する。
中小企業・小規模事業者・中堅企業
の成長・発展に向けて、税制・金融の
支援、認定事業者の予算面での優遇等
による経営力向上施策や下請取引の適
正化・取引条件の改善と一体的に取り
組む。
中小企業・小規模事業者等の経営力向上のための法的枠組み
( 1 )基本方針の策定【第 3 条】
( 4 )支援措置【第16条~第20条、附則第 3 条】
従来の「経営革新」(新商品の開発等)に加え、新たに、
「経営力向上」
(情報システム導入、財務分析、人材育成等)のための基本方針を経済産業大
臣が策定。
(成果目標(KPI))予算・税制・金融支援との連携により達成を目指す。 ・マクロの労働生産性の向上(2020年までに0.8%→2.0%(サービス業)
)
・黒字企業数の増加(2020年までに70万社→140万社)
(PDCA)達成度を評価し、政策に反映。
(※)「中小企業者「等」」:中堅企業や非営利の法人等も対象。
【第 2 条第 2 項】
( 2 )事業分野別指針の策定【第12条】
事業所管大臣が事業分野別指針を策定
(製造業のみならずサービス業も広く対象)
(成果目標(KPI))
・事業分野毎の状況に応じて目標を設定(労働生産性、経常利益率等)
・優良事例に基づき、取組の方策をマニュアル化。
(PDCA)分野毎に目標達成度をチェック。新たな優良事例を指針に盛り込み。
( 3 )経営向上計画の認定【第13条~第15条】
事業者が経営力向上計画を策定。事業分野別指針(定められていない場合には
基本方針)に基づき事業所管大臣が認定。申請の電子化・簡素化を図る。
(成果目標(KPI))
・自社の経営目標・取組内容を設定。
(PDCA)取組内容について定期的にチェック・フォロー
経営力向上計画に基づく事業に必要な資金繰りを支援【第16条~第20条】
(債務保証、輸出信用状の発行(日本公庫)等)
固定資産税の課税標準の特例【附則第 3 条による地方税法改正】
(生産性の高い機械・装置にかかる固定資産税を 3 年間半額)
ものづくり・商業・サービス補助金等の重点採択
( 5 )経営革新等支援機関の活用【第21条】
経営力向上を行おうとする中小企業者等の経営状況の分析、計画の策定・実施
を支援するために、支援機関(商工会議所、商工会、地域金融機関、税理士、
中小企業診断士等)を活用(従来の経営革新等支援機関に業務追加)
。
( 6 )事業分野別経営力向上推進機関の認定【第26条~第30条】
事業分野別の経営力向上に知見のある団体・組合等が、成功事例・優良事例
の収集・分析・普及や、研修(人材育成)を実施(研修(人材育成)については、
労働保険特別会計の資金も活用)
。
※施行期日:
公布の日から 3 月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(支援措置の早期実現のため、施行日は極力前倒し)
十 不動産取得税
不動産取得税については、今回の改正において、
の用に供する一定の不動産を取得した場合にお
セルフメディケーションの推進に資する薬局に係
ける不動産取得税の課税標準の算定については、
る課税標準の特例措置を新設することとされたほ
平成30年 3 月31日までに取得されたものに限り、
か、今年度末に期限が到来することなどにより見
当該不動産の価格の 6 分の 1 に相当する額を価
直しが検討された税負担軽減措置等について、 1
格から控除することとされました(地法附則11
項目を廃止し、その他の特例措置については、適
⑭)
。
用期限を延長するなどの措置が講じられました。
なお、本特例措置については、健康サポート
主な改正事項は次のとおりです。
薬局となるためには、一定の面積規模や設備が
要求されることから、特に資金力に乏しく、初
1 税負担軽減措置等の創設・拡充等
期コストへの負担感が強い中小企業(個人事業
⑴ セルフメディケーションの推進に資する薬局
主を含みます。)に対象を絞っています。また、
に係る課税標準の特例措置
特例措置の対象となる不動産については、利用
セルフメディケーションを推進する観点から、
について対価又は負担として支払うべき金額の
かかりつけ薬局の機能強化のため、中小企業基
定めのある駐車施設等を除外することとされて
本法に規定する中小企業者が健康サポート薬局
います(地令附則 7 ㉑)。
─ 957 ─
――地方税法等の改正――
⑵ 市街地再開発事業の施行に伴う権利変換によ
開発機構(以下「量子機構」といいます。
)に
って従前資産に対応して与えられる不動産を取
改組されました。
得した場合の課税標準の特例措置の拡充
今回の改正において、放医研については非課
地方都市において、人口減少、少子高齢化の
税独立行政法人であり、その業務の用に供する
進展や財政制約等の条件下で、コンパクトで賑
不動産については従来から非課税とされてきた
わいのあるまちづくりを進める観点から、有用
ことを踏まえ、新たに量子機構が取得する旧放
なストックを残しつつ市街地整備を行い散在す
医研の業務の用に供する不動産について、引き
る低未利用地を集約し、連続的な街並みを形成
続き非課税とすることとされました。また、量
することにより地域の活性化を図るため、都市
子機構に追加される業務は原子力機構から承継
再生特別措置法等の一部を改正する法律(平成
されるものであり、当該業務の用に供する不動
28年法律第72号)により、市街地再開発事業の
産については従来から不動産取得税の非課税措
うち第一種市街地再開発事業に関して、新たに
置が講じられてきたことを踏まえ、新たに量子
個別利用区への権利変換を可能とする制度を導
機構が取得する原子力機構から承継される業務
入することとされています。
の用に供する不動産について、同様に非課税と
都市開発法に基づく市街地再開発事業の施行
することとされました(地法73の 4 ①一)。
に伴い、権利変換によって、施行区域内に所有
する宅地、借地権又は建築物に対応して与えら
⑷ 独立行政法人労働安全衛生総合研究所を統合
れる不動産を取得した場合、従前の資産相当価
する独立行政法人労働者健康福祉機構の独立行
額を控除することとされていますが、今回の改
政法人労働者健康安全機構への改組に係る非課
正において、都市再開発法の改正により新たに
税措置
導入される権利変換手法により従前の権利者が
平成28年 4 月 1 日に、独立行政法人労働安全
取得した個別利用区内の土地についても、同様
衛生総合研究所(以下「安衛研」といいます。)
の措置が講じられました(地法73の14⑦)
。
は解散し、独立行政法人労働者健康福祉機構
この改正は、都市再生特別措置法等の一部を
(以下「労福機構」といいます。)に業務が承継
改正する法律(平成28年法律第72号)の施行の
され、独立行政法人労働者健康安全機構(以下
日以後の不動産の取得に対して課すべき不動産
「労安機構」といいます。)に改組されました。
取得税について適用することとされています。
今回の改正において、安衛研については非課
税独立行政法人であり、その業務の用に供する
⑶ 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の
不動産については従来から非課税とされてきた
一部業務を承継する国立研究開発法人放射線医
ことを踏まえ、新たに労安機構が取得する旧安
学総合研究所の国立研究開発法人量子科学技術
衛研の業務の用に供する不動産について引き続
研究開発機構への改組に係る非課税措置等
き非課税とすることとされました。また、労福
平成28年 4 月 1 日に、国立研究開発法人日本
機構が一定の業務の用に供する不動産について
原子力研究開発機構(以下「原子力機構」とい
は従来から不動産取得税の非課税措置が講じら
います。)が行っている量子科学技術に関する
れてきたことを踏まえ、新たに労安機構が取得
基礎研究及び量子に関する基盤的研究開発に関
する旧労福機構の一定の業務の用に供する不動
する業務が国立研究開発法人放射線医学総合研
産について、引き続き非課税とすることとされ
究所(以下「放医研」といいます。
)の業務に
ました。加えて、統合に伴い、労安機構に追加
追加され、国立研究開発法人量子科学技術研究
される一定の業務の用に供する不動産について
─ 958 ─
――地方税法等の改正――
も非課税とすることとされました(地法73の 4
ことを踏まえ、新たに水研機構が取得する旧水
①三の二、十三)
。
産大の業務の用に供する不動産について、引き
続き非課税とすることとされました。また、水
⑸ 国立研究開発法人農業生物資源研究所、国立
研センターが一定の業務の用に供する不動産に
研究開発法人農業環境技術研究所及び独立行政
ついては従来から非課税措置が講じられてきた
法人種苗管理センターを統合する国立研究開発
ことを踏まえ、新たに水研機構が取得する旧水
法人農業・食品産業技術総合研究機構に係る非
研センターの一定の業務の用に供する不動産に
課税措置
ついて、引き続き非課税とすることとされまし
平成28年 4 月 1 日に、国立研究開発法人農業
た(地法73の 4 ①三十三)。
生物資源研究所(以下「生物研」といいます。
)
、
国立研究開発法人農業環境技術研究所(以下
2 税負担軽減措置等の延長等
「農環研」といいます。
)及び独立行政法人種苗
⑴ 鉄道事業者が整備新幹線の開業に伴い旅客鉄
管理センター(以下「種苗センター」といいま
道株式会社等からの譲渡により取得する並行在
す。)は解散し、国立研究開発法人農業・食品
来線の鉄道施設の用に供する一定の不動産に係
産業技術総合研究機構(以下「農研機構」とい
る非課税措置
います。
)に業務が承継されました。
全国新幹線鉄道整備法の規定による整備新幹
今回の改正において、生物研、農環研及び種
線の開業に伴い、地方公共団体に 2 分の 1 以上
苗センターについては非課税独立行政法人であ
出資等されている法人が、旅客鉄道株式会社よ
り、その業務の用に供する不動産については従
り譲渡を受けた並行在来線の鉄道事業の用に供
来から非課税とされてきたことを踏まえ、新た
する不動産については、その取得が平成28年 3
に農研機構が取得する旧生物研、旧農環研及び
月31日までに行われた場合に限り、非課税とさ
旧種苗センターの業務の用に供する不動産につ
れています。
いて、引き続き非課税とすることとされました
今回の改正において、この特例措置について
は、今後においても、北陸新幹線(金沢・敦賀
(地法73の 4 ①三十二)
。
間)や九州新幹線(長崎ルート)の開業が見込
⑹ 独立行政法人水産大学校を統合する国立研究
まれることから、その適用期限を平成35年 3 月
開発法人水産総合研究センターの国立研究開発
31日まで 7 年延長することとされました(地法
法人水産研究・教育機構への改組に係る非課税
附則10②)。
措置
なお、上場に伴いJR九州は旅客鉄道株式会
平成28年 4 月 1 日に、独立行政法人水産大学
社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の適
校(以下「水産大」といいます。
)は解散し、
用対象から除外されましたが、JR九州から並
国立研究開発法人水産総合研究センター(以下
行在来線の譲渡を受けた鉄道事業者についても
「水研センター」といいます。
)に業務が承継さ
引き続き本特例措置の対象とすることとしてい
ます。
れ、国立研究開発法人水産研究・教育機構(以
下「水研機構」といいます。
)に改組されまし
⑵ 高速道路株式会社及び独立行政法人日本高速
た。
今回の改正において、水産大については非課
道路保有・債務返済機構が事業の用に供する不
税独立行政法人であり、その業務の用に供する
動産に係る非課税措置の延長
不動産については従来から非課税とされてきた
高速道路株式会社(東日本高速道路株式会社、
─ 959 ─
――地方税法等の改正――
首都高速道路株式会社、中日本高速道路株式会
に行われた場合に限り、不動産取得税は非課税
社、西日本高速道路株式会社、阪神高速道路株
とされています。
式会社及び本州四国連絡高速道路株式会社)及
今回の改正において、この特例措置について
び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機
は、平成26年末時点のマンションストック約
構が、高速道路の新設又は改築等の事業の用に
613万戸のうち、旧耐震基準に基づき建設され
供する不動産を取得した場合について、その取
たものが約106万戸あるなど、人命保護や良好
得が平成28年 3 月31日までに行われた場合に限
な居住環境の確保の観点から、引き続き安全性
り、不動産取得税は非課税とされています。
を備えたマンションへの建替えの円滑化を図る
今回の改正において、この特例措置について
必要性があることを考慮し、その適用期限を平
は、平成17年の特例措置創設時と基本的なスキ
成30年 3 月31日まで 2 年延長することとされま
ームに変更はないこと等に鑑み、その適用期限
した(地法附則10⑤)。
を平成38年 3 月31日まで10年延長することとさ
⑷ 新築家屋を宅地建物取引業者等が取得したも
れました(地法附則10④)
。
のとみなす日を家屋新築の日から 1 年(本則:
⑶ マンション建替事業等により取得される要除
6 月)を経過した日とする特例措置
却認定マンション等に係る非課税措置の延長
家屋が新築された場合には、当該家屋を新築
国民の生命保護の観点から、旧耐震基準に基
した日ではなく、原則として、当該家屋の最初
づき建設された老朽化マンションの再生が喫緊
の使用又は譲渡(ただし、宅地建物取引業者等
の課題となる中、マンションの建替えの円滑化
が家屋を注文して、その請負人から当該家屋の
等に関する法律の一部を改正する法律(平成26
新築後に譲渡を受けた場合においては、その譲
年法律第80号)により、構造耐力不足のマンシ
渡後最初の使用又は譲渡)が行われた日に家屋
ョンを行政庁が認定する制度及びその認定を受
の取得がなされたものとされますが、新築した
けたマンション(要除却認定マンション)につ
日から 6 か月を経過しても使用又は譲渡が行わ
いて、建物敷地売却制度が設けられています。
れない場合には、その 6 か月を経過した日をも
マンションの建替え等の円滑化に関する法律
って家屋の取得がなされたものとみなされてい
に基づく要除却認定マンションの建替え及び売
ます。
却制度においては、そのマンションの建替事業
しかしながら、いわゆるデフレ経済が続く中、
の施行者又は売却事業を実施する者(マンショ
宅地建物取引業者等からの住宅の流通が停滞し
ン敷地売却組合)が、当該マンションの各区分
ている状況に鑑み、宅地建物取引業者等が売り
所有者から一時的に権利を集約することを義務
渡す新築住宅については、住宅を取得したもの
づけられています。これについては、施行者又
とみなされる時期は新築の日から「 6 月」では
はマンション敷地売却組合は、自ら使用するこ
なく「 1 年」とされています。
となく建替え又は買受者に権利を移転するもの
今回の改正において、この特例措置について
であり、特例措置を講じることに一定の合理性
は、現下の経済情勢や住宅の流通状況に鑑み、
があることから、平成26年度改正において、施
その適用期限を 2 年延長し、平成30年 3 月31日
行者又はマンション敷地売却組合がマンション
までの間に新築された住宅について適用するこ
建替事業又はマンション敷地売却事業により要
ととされました(地法附則10の 2 ①)。
除却認定マンション又はその敷地を取得した場
合について、その取得が平成28年 3 月31日まで
─ 960 ─
――地方税法等の改正――
⑸ 新築された特例適用住宅の土地に係る税額の
ものと都道府県知事が認める家屋(以下「代替
軽減措置について、土地取得後の住宅新築まで
家屋」といいます。)を取得した場合における
の経過年数要件を緩和する特例措置の延長
課税標準の算定については、その取得が平成28
不動産取得税においては、原則として土地の
年 3 月31日までに行われたときに限り、代替家
取得の日から 2 年以内に、当該土地の上に一定
屋の価格から従前の家屋の価格を控除すること
の住宅が新築された場合等については、150万
とされています。
円又は住宅の床面積の 2 倍(200㎡を限度とし
本事業の場合、事業が長期間にわたり、元の
ます。)までの土地の価格に税率を乗じて得た
土地に戻るのに 3 ~ 5 年かかるため、通常の公
額を税額から減額することとされています。
共事業に適用される代替不動産の取得に係る本
ただし、マンションの高層化・大規模化に伴
則の規定( 2 年以内に代替不動産を取得した場
い、建築期間が長期化する場合が増加している
合、課税標準から元の不動産の価格を控除)
こと、また、高層マンションの建設に当たって
(地法73の14⑥)の対象外となることから、本
は、近隣住民との十分な調整のため、着工に至
特例措置が設けられているところです。
るまで長期間を要する場合があること等から、
今回の改正において、この特例措置について
土地の取得から住宅の新築までに 2 年以上を要
は、今後も高規格堤防の整備を円滑かつ効率的
するものも見受けられるため、平成11年度改正
に促進する必要があることに鑑み、その適用期
において、土地の取得から「 2 年」以内として
限を平成30年3月31日まで 2 年延長することと
いる要件を原則「 3 年」以内とすることとされ
されました(地法附則11②)。
たほか、平成16年度改正において、一定の要件
を満たす建物(大型マンション等)について、
⑺ 新築の認定長期優良住宅に係る課税標準の特
最大で「 4 年」以内にまで緩和する見直しが行
例措置の延長
われました。
良質な住宅ストックの形成及びその普及促進
今回の改正において、これらの特例措置につ
を図るため、行政庁の認可を受けて新たに建築
いては、建築期間の長期化傾向が依然続いてい
される認定長期優良住宅については、新築住宅
ること等に鑑み、その適用期限を 2 年延長し、
の課税標準の特例措置の控除額(1,200万円)
平成30年 3 月31日までの間に取得された土地に
が1,300万円とされています。
ついて適用することとされました(地法附則10
今回の改正において、この特例措置について
の 2 ②)
。
は、引き続き長期優良住宅の普及促進を図る必
要性があることを考慮し、その適用期限を平成
⑹ 高規格堤防の整備に係る事業の用に供された
30年 3 月31日まで 2 年延長することとされまし
土地の上に取得した代替家屋に係る課税標準の
た(地法附則11⑨)。
特例措置の延長
河川法に規定する高規格堤防(いわゆる「ス
⑻ 独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う被
ーパー堤防」
)の整備に係る事業の用に供する
災事業者用の仮設施設整備事業に係る非課税措
ために使用された土地の上に建築されていた家
置の延長
屋(以下「従前の家屋」といいます。
)につい
独立行政法人中小企業基盤整備機構が、市町
て、移転補償金を受けた者が、当該土地につい
村に無償貸与及び無償譲渡するために被災事業
て高規格堤防特別区域の公示があった日から 2
者用の一定の仮設施設を取得した場合には、不
年以内に、当該土地の上に従前の家屋に代わる
動産取得税は非課税とされています。
─ 961 ─
――地方税法等の改正――
今回の改正において、この特例措置について
特例措置については、平成22年度改正において、
は、引き続き、原子力災害被災地を中心とした
平成28年 3 月31日まで 6 年間延長されましたが、
東日本大震災の被災地において、仮設施設整備
その際、適用期限の到来とともに特例を廃止する
のニーズが見込まれること等に鑑み、その適用
ことを前提に、軽減幅を段階的に縮減していく方
期限を平成30年 3 月31日まで 2 年延長すること
式(新サンセット方式)が導入されました。
とされました(地法附則51の 2 ①)
。
今回の改正において、平成22年度改正において
平成27年度末で廃止することを前提に延長されて
3 税負担軽減措置等の廃止
いることや、前回延長時における政府目標(出生
都道府県が策定する医療計画に定められた周産
人口 1 万人あたりのNICU病床数)を既に達成し
期医療の連携体制を担う医療提供施設の開設者が
ていることを踏まえ、適用期限の到来に伴い廃止
取得する、周産期医療を提供するための施設(分
することとされました(旧地法附則11⑨)。
娩施設、陣痛室、新生児室等)に係る課税標準の
十一 事業所税
1 国立研究開発法人等に対する非課税措
置の創設
労働者健康安全機構に改組されました。
⑶ 国立研究開発法人水産研究・教育機構
事業所税の課税団体である指定都市等は、国及
平成28年 4 月 1 日に、独立行政法人水産大学
び非課税独立行政法人並びに法人税法第 2 条第 5
校は解散し、国立研究開発法人水産総合研究セ
号の公共法人(非課税独立行政法人であるものを
ンターに業務が承継され、国立研究開発法人水
除きます。)に対して、事業所税を非課税として
産研究・教育機構に改組されました。
います(地法701の34①)
。以下の法人については、
新たに法人税法第 2 条第 5 号の公共法人に該当し、
事業所税が非課税とされました。
2 公益法人等が事業所等において行う事
業のうち収益事業以外の事業に対する非
課税措置の創設、見直し
⑴ 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
事業所税の課税団体である指定都市等は、法人
平成28年 4 月 1 日に、国立研究開発法人日本
税法第 2 条第 6 号の公益法人等又は人格のない社
原子力研究開発機構が行っている量子科学技術
団等が事業所等において行う事業のうち収益事業
に関する基礎研究及び量子に関する基盤的研究
以外の事業(以下「非収益事業」といいます。
)
開発に関する業務が国立研究開発法人放射線医
に対して、事業所税を非課税としています(地法
学総合研究所の業務に追加され、国立研究開発
701の34②)。
法人量子科学技術研究開発機構に改組されまし
⑴ 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研
た。
究機構
⑵ 独立行政法人労働者健康安全機構
平成28年 4 月 1 日に、国立研究開発法人農業
平成28年 4 月 1 日に、独立行政法人労働安全
生物資源研究所、国立研究開発法人農業環境技
衛生総合研究所は解散し、独立行政法人労働者
術研究所及び独立行政法人種苗管理センターは
健康福祉機構に業務が承継され、独立行政法人
解散し、国立研究開発法人農業・食品産業技術
─ 962 ─
――地方税法等の改正――
総合研究機構に業務が承継されました。
臨時措置法の趣旨に鑑み、同法に基づく経営改善
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研
措置計画の承認を受けた特定農産加工業者等が当
究機構については、法人税法第 2 条第 6 号の公
該計画に従って実施する経営改善措置に係る事業
益法人等に該当しており、業務の承継後も引き
の用に供する一定の施設に対して、法人にあって
続き非収益事業に係る事業所税が非課税とされ
は平成28年 3 月31日までに終了する事業年度分、
ています。
個人にあっては平成28年分までに限り、資産割の
課税標準の特例措置( 4 分の 1 控除)を講じてお
⑵ 使用済燃料再処理機構
り、12の業種に係る施設を対象としています。
原子力発電における使用済燃料の再処理等の
今回、本特例措置の適用期限が到来したところ
ための積立金の積立て及び管理に関する法律の
ですが、現下の情勢に特に配慮して、その適用期
一部を改正する法律(平成28年法律第40号)に
限を法人にあっては平成30年 3 月31日まで、個人
おいて設立することとされている使用済燃料再
にあっては平成30年分まで、それぞれ 2 年間延長
処理機構については、法人税法第 2 条第 6 号の
することとされました(地法附則33⑤)。
公益法人等に該当することとしているから、非
収益事業に係る事業所税が非課税となります。
⑶ 民間都市開発推進機構
4 学校教育法の改正に伴う非課税措置等
の見直し
学校教育法等の一部を改正する法律(平成27年
都市再生特別措置法等の一部を改正する法律
法律第46号)に基づき、学校教育法上の学校に、
(平成28年法律第72号)において、民間都市開
新たに、小学校から中学校までの義務教育を一貫
発推進機構が行う参加業務である共同型都市再
して行う「義務教育学校」を加えることとされて
構築業務の支援限度額に、新たに、国際競争力
います(平成28年 4 月 1 日施行)。
強化施設の整備費を追加することとされました。 事業所税においては、法人税法第 2 条第 5 号の
この点について、法人税法上、上記の支援限
公共法人である国立大学法人、地方公共団体に対
度額拡充後の業務に伴い民間都市開発推進機構
しては非課税とされ(地法701の34①)、法人税法
が行う不動産販売業、不動産貸付業についても
第 2 条第 6 号の公益法人等である学校法人が行う
引き続き収益事業の範囲から除外することとし
事業のうち収益事業以外の事業に対しては非課税
ているところから、当該非収益事業に係る事業
とされています(地法701の34②、地令56の22)。
所税も非課税とされています。
また、事業所税の使途について、学校、図書館
3 特定農産加工業経営改善臨時措置法に
規定する承認計画に従って特定農産加工
業者等が事業の用に供する一定の施設に
対する資産割に係る課税標準の特例措置
の延長
その他の教育文化施設の整備事業が規定されてい
ます(地法701の73五)。
今回の学校教育法の改正により追加された義務
教育学校についてもこれらの規定の適用を受ける
こととされています。
事業所税においては、特定農産加工業経営改善
─ 963 ─
――地方税法等の改正――
十二 その他
1 個人住民税に係る市町村から道府県へ
の徴収引継特例の対象拡大
⑴ 現行の徴収引継特例の概要
なお、個人住民税の賦課徴収は原則として市
町村が行うこととされており、また、道府県の
徴収引継対象が、現行法上、滞納繰越分に限定
されていることも、徴収の責任は原則として市
毎年 5 月31日現在における個人の道府県民税
町村にあることを明らかにする趣旨であると解
に係る滞納の状況の報告が市町村長から道府県
されています。徴収引継特例の対象を拡大する
知事にされた場合においては、道府県知事が市
に当たっても、
町村長の同意を得て、当該報告に係る滞納者の
・ 徴収引継の際には市町村長の同意が必要と
全部又は一部について 1 年を超えない範囲内で
されていること
定めた一定の期間に限り、道府県の徴税吏員が
・ 現年度滞納分の引継のためには、地方税法
個人住民税を市町村民税の徴収の例により徴収
第46条第 3 項に基づく道府県知事の請求を受
し、又は滞納処分の例により滞納処分をするこ
けての市町村長からの報告が必要とされるが、
とができることとされています(地法48①)
。
同項に基づく請求は、みだりに市町村の事務
ただし、徴収引継の対象は、上記報告に記載
に介入し、その事務の円滑な執行を阻害しな
される 5 月31日現在の滞納分であることから、
いよう注意しなければならないと解されてい
徴収引継の対象は滞納繰越分に限定され、現年
ること
度滞納分は含まれないこととされています。
・ こうした前提の下に現年度滞納分について
この徴収引継特例は、個人住民税の徴収の責
も対象とすることは、道府県と市町村の協力
任者は原則として市町村であることを前提とし
体制の確立及び徴収成績の向上等に寄与する
つつ、一定の場合において道府県による徴収又
という地方税法第48条の規定の趣旨に合致す
は滞納処分を認めることとし、道府県と市町村
るものであること
の協力体制の確立、徴収成績の向上等に寄与し
等から、個人住民税の賦課徴収を市町村が行う
ようとするものです。
という原則が変更されるものではありません。
なお、施行期日については、平成28年 4 月 1
⑵ 徴収引継特例の拡大の概要
日とされています。また、施行日時点での現年
現行の徴収引継特例制度の対象に加えて、滞
度滞納分は、平成27年 6 月 1 日以後に納期限が
納繰越分の滞納のない者の現年度滞納分につい
到来するものですが、納税者の権利保護を図る
ても、道府県が徴収又は滞納処分を行えるよう
必要があることや、今回の対象拡大において主
徴収引継の対象の拡大を行うこととされました。
に想定されているケースが突発的な高額滞納案
また、併せて、現年度滞納分のみの滞納者が徴
件であり平成27年 6 月 1 日まで遡って適用させ
収引継期間終了までに新たに滞納をした場合に
る必要性も高くはないこと等を踏まえ、施行日
おいても、徴収を引き継いでいる道府県が当該
以後に納期限が到来するものを適用対象とする
滞納分の徴収又は滞納処分を行えることとされ
こととされています。
ました(地法48)
(資料19)
。
─ 964 ─
――地方税法等の改正――
(資料19)
個人住民税に係る市区町村から都道府県への徴収引継特例の対象拡大について
改正後
改正前
○ 市区町村と都道府県との合意による、市
区町村から都道府県への個人住民税の徴収
引継特例の対象は、①過年度滞納分、②過年
度分の滞納者に係る現年度滞納分とされて
いる(地方税法第48条)。
○ 現年度課税分のみの滞納についても徴収引継
特例の対象とする(対象拡大)
。
→ 市区町村では徴収等が困難な滞納事案について、
早期に都道府県に引き継ぐことにより、当該事案の
早期解決に資する。
(注)平成28年 4 月 1 日から施行
※ 現年度課税分のみの滞納についても徴収引継特例の対象
とすることにつき、地方団体から要望あり。
都道府県
市区町村
納税義務者
原則
市区町村が(都道府県分を
含 め、)賦 課、徴 収 及 び 滞
納処分を行う。
⑴ 引 継
⑵ 徴 収 ・ 滞 納 処 分
特例
⑴ 都道府県は市区町村の同意を得て、滞納者の全部又は一部につ
いて、徴収及び滞納処分を引き継ぐことができる。
⑵ 引き継いだ分について、都道府県が徴収及び滞納処分を行う。
<対象>
① 過年度滞納分
② 過年度分の滞納者に係る現年度滞納分
③ 過年度分の滞納者以外の者に係る現年度滞納分
2 個人住民税における特別徴収税額通知
(特別徴収義務者用)のオンライン送付
対象拡大
一方、特別徴収義務者が当該データをダウンロ
ードしない限り、当該通知が「到達」しないこと
となってしまう(行政手続等における情報通信の
eLTAXの機能追加(平成27年 8 月)に伴い、
技術の利用に関する法律 4 ③)ため、市区町村は、
特別徴収義務者がeLTAXを通じて給与支払報告
eLTAXにより特別徴収税額通知(特別徴収義務
書を提出する際、個人住民税に係る特別徴収税額
者用)を送付する場合でも、紙ベースでの「正
通知(特別徴収義務者用)をオンラインで受け取
本」の通知も併せて行う必要があるという課題が
ることを希望すれば、平成28年度課税分の個人住
ありました。
民税からは、市区町村から電子署名を添付した
そこで、eLTAXにより送付する特別徴収税額
「正本」をオンラインで送ることが可能となりま
通知(特別徴収義務者用)について、当該特別徴
す。
収義務者の同意がある場合には、当該通知の内容
特別徴収義務者は、オンライン送付された特別
が電子情報処理組織に記録され、市区町村が、そ
徴収税額通知(特別徴収義務者用)をeLTAXか
の旨を事前に登録された当該特別徴収義務者の電
らダウンロードして当該データを給与支給時の特
子メールアドレス宛に送信したときに到達したも
別徴収に用いることとなりますが、特別徴収税額
のとみなすこととし、平成28年度以後の年度分の
通知(特別徴収義務者用)は毎年 5 月末までに通
個人住民税について適用することとされました
知することが市区町村に義務づけられています
(地法321の 4 、321の 6 )(資料20)
。
(地法321の 4 ②)
。
─ 965 ─
――地方税法等の改正――
(資料20)
個人住民税における特別徴収税額通知(特別徴収義務者用)のオンライン送付
○ eLTAX の機能追加(平成27年 8 月)に伴い、eLTAX を通じて送付する個人住民税に係る特別徴収税
額通知(市区町村から特別徴収義務者への通知)について、平成28年度課税分の個人住民税からは、
電子署名を添付した「正本」のオンライン送付が可能となる。
○ 特別徴収義務者は、この通知を eLTAX からダウンロードして当該データを給与支給時の特別徴収に
用いることとなるが、特別徴収税額通知は毎年 5 月末までに通知することが市区町村に義務づけられ
ていることから、オンライン送付の場合における特別徴収税額通知の「到達」に係る規定を整備。
(平
成28年 4 月 1 日施行)
<特別徴収税額通知のオンライン送付のイメージ>
特別徴収税額通知の電子的送付
の希望の有無を画面上で選択
特別徴収義務者
通知をダウンロード
給与支払報告書の提出
(毎年 1 月)
市区町村 A
市区町村 B
地方税ポータル
システム(eLTAX)
・ ・ ・
eLTAX で給与支払報告書を提
出し、オンラインでの特別徴
収税額通知の送付を希望
特徴通知をダウンロードで
きるようになった旨をメー
ルでお知らせ(毎年 5 月)
特別徴収税額通知(毎年 5 月)
(特別徴収義務者用)
電子署名の添付
特別徴収税額通知を
オンライン送付
(見直し後)
○ 特別徴収義務者の同意がある場合、市区町村が、
①eLTAX に特別徴収税額通知のデータを保存し、
②eLTAX からのダウンロードが可能になった旨を事前に特別徴収義務者が登録したメールアドレ
ス宛に送信することにより、特別徴収税額通知が特別徴収義務者に到達したものとみなす。
収しなければならず、更正による不足税額又は
3 不申告加算金及び重加算金に係る加重
措置
修正申告書によって増加した税額の35%(不申
告加算金が徴収される場合には40%)とされて
⑴ 現行制度
います。これらの加算金の割合は国税と同様の
ものとなっています。
法人事業税や事業所税などの申告納税方式の
税目
(国税に連動する法人住民税を除きます。
)
については、申告書の提出期限後に申告若しく
⑵ 改正の概要
は修正申告(更正又は決定があるべきことを予
国税の改正に合わせ、過去 5 年以内に不申告
知してされたものでないもの等を除きます。
)
等に基づき不申告加算金又は重加算金を賦課さ
又は更正若しくは決定があった場合には不申告
れた者が、再び不申告等に基づき不申告加算金
加算金を徴収することとされています。不申告
又は重加算金を課される場合には、その割合を
加算金については、申告、更正又は決定により
それぞれ10%加重することとされました(地法
納付すべき税額の15%(納付すべき税額が50万
71の14、71の15等)(資料21)
。
円を超えるときは、当該超える部分は20%)と
なお、この改正は、平成29年 1 月 1 日以後に
されています。納税者が課税標準額の計算の基
納入申告書等の提出期限等が到来する地方税に
礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又
ついて適用されることとされています。
は仮装して過少申告した場合には重加算金を徴
─ 966 ─
――地方税法等の改正――
(資料21)
短期間に繰り返して不申告又は仮装・隠蔽が行われた場合の加算金の加重措置の導入
○ 申告納付方式の地方税(国税に連動するものを除く)には、不申告加算金及び重加算金制度が存在。
<該当税目>個人住民税利子割、配当割、株式等譲渡所得割及び分離課税に係る所得割、法人事業税、たばこ税、ゴルフ場利用税、自動車取得税、
軽油引取税、法定外普通税、鉱産税、特別土地保有税、入湯税、事業所税、水利地益税等並びに法定外目的税
○ 不申告又は仮装・隠蔽(以下「不申告等」)が行われた場合の加算金の割合は、現行不申告等が行われ
た回数にかかわらず一律であるため、意図的に不申告等を繰り返す者に対する牽制効果は限定的。
○ そのため、悪質な行為を防止する観点から、過去 5 年以内に不申告等に基づき不申告加算金又は重加
算金を賦課された者が、再び不申告等に基づき不申告加算金又は重加算金を課される場合、その割合に
10%加重する措置を導入(平成29年 1 月 1 日施行)。
(独占禁止法や金融商品取引法の課徴金制度においても、再度の違反に対する加算措置が設けられている。)
× 2 年 3 月15日
▼
申告期限
× 2 年10月
▼
税務調査において
“ 不申告 ”
or
“ 仮装・隠蔽 ”
の事実に基づく処分
×6年9月
▼
5 年 以 内
※短期間に繰り返して
不申告又は仮装・隠蔽
× 7 年10月
▼
数年後、調査において、また
“ 不申告 ”
or“ 仮装・隠蔽 ”
の事実に基づく処分
10%加重
【改正後】
《不申告の場合》不申告加算金
⇒ 15%(20%)
《不申告の場合》不申告加算金
⇒ 25%
(30%)
《仮装・隠蔽の場合》重加算金(過 少)⇒ 35%
《仮装・隠蔽の場合》重加算金(過 少)⇒ 45%
重加算金(不申告)⇒ 40%
重加算金(不申告)⇒ 50%
※ 括弧内は50万円を超える税額に対する加算率
(注 1 ) 過少申告加算金については、上記の見直しの対象外。
(注 2 ) 更正予知前等に適用される不申告加算金については、上記の見直しの対象外。
せる更正があった後に、修正申告書の提出があ
4 延滞金額の計算の基礎となる期間の見
直し
ったとき(個人住民税にあっては、国の税務官
署が所得税の更正をしたときを含みます。)は、
⑴ 現行制度
その修正申告書の提出により納付すべき税額の
個人住民税、法人住民税及び法人事業税に係
うち、当初申告書に係る税額に達するまでの部
る延滞金の額については、賦課額の変更や更
分についての延滞金の計算の基礎となる期間に
正・決定により生じた不足税額について年7.3
ついて、次のとおり控除することとされました
%又は14.6%の割合で計算することが規定され
(地法56、64、72の44、72の45、321の 2 、321
ており(実際には、地方税法附則第 3 条の 2 の
の12、326)。
規定により特例基準割合(平成27年は1.8%)
・ 詐偽その他不正の行為により納税を免れた
に年 1 %又は7.3%を加算した割合を適用しま
ものが更正があるべきことを予知して修正申
す。
)
、その延滞金の計算の基礎となる期間につ
告書を提出した場合:下記①の期間を控除
いては、修正申告書の提出又は更正があった場
・ 減額更正が、更正の請求に基づくもの(法
合、一定の要件を満たすときは、納期又は申告
人税に係る更正によるものを除きます。)及
書の提出日(若しくは提出期限)から 1 年を経
び法人税に係る更正(法人税に係る更正の請
過する日後の期間は控除するという除算期間の
求に基づくものに限ります。
)によるもので
特例が規定されています。
ある場合:下記①及び②の期間を控除
・ 上記以外の場合:下記①及び③の期間を控除
⑵ 改正の概要
① 当初申告書の提出により納付すべき税額
当初申告書が提出されており、かつ、その当
の納付があった日の翌日から減額更正の通
初申告書の提出により納付すべき税額を減少さ
知をした日までの期間
─ 967 ─
――地方税法等の改正――
② 減額更正の通知をした日の翌日から起算
承継会社に債務の履行の請求をすることができる
して 1 年を経過する日の翌日から修正申告
債権者(承継債権者)と、当該請求をすることが
書を提出した日等までの期間
できない債権者(残存債権者)を恣意的に選別し
③ 減額更正の通知をした日の翌日から修正
た上で、承継会社に優良事業や資産を承継させる
などする会社分割)が行われた場合に、残存債権
申告書を提出した日等までの期間
なお、この改正は、平成29年 1 月 1 日以後に納
者の保護を直接的かつ簡明に図るために、分割会
期限が到来する法人又は個人の地方税に係る延滞
社が残存債権者を害することを知って会社分割を
金について適用することとされています。
した場合には、残存債権者は、承継会社等に対し
て、承継した財産の価額を限度として、債務の履
5 法人の分割無効時の徴収手続
行を請求することができることとされました。
会社分割によりA社がA社とB社に分割された
その一方で、地方税法上に定める現行の第二次
場合に、会社法第828条の規定により当該会社分
納税義務制度では、濫用的組織再編等に対応しに
割につき無効の訴えが提起され、当該会社分割の
くい事例が散見されるため、事業を譲り受けた特殊
無効の判決が確定したときは、同法第843条に基
関係者の第二次納税義務に関する規定について、以
づき当該会社分割後に設立会社(B社)において
下のとおり改正することとされました(地法11の 7 )
。
生じた私債権については会社分割を行った会社
・ 事業を譲り受けた特殊関係者の範囲について、
(A社)が連帯して弁済の責任を負う一方で、現
「その親族その他納税者又は特別徴収義務者と
行の地方税法上においては、当該会社分割後に設
特殊の関係のある個人又は同族会社」を「生計
立会社(B社)において生じた租税債権について
を一にする親族その他納税者又は特別徴収義務
は、会社分割を行った会社(A社)は納付する責
者と特殊の関係のある個人又は被支配会社(当
任を負わないこととなっており、徴収不能になる
該納税者を判定の基礎となる株主又は社員とし
事例も見受けられました。
て選定した場合に法人税法第67条第 2 項に規定
このことを踏まえ、合併又は分割(以下「合併
する会社に該当する会社)」と改正
等」といいます。
)を無効とする判決が確定した
・ 第二次納税義務の範囲について、「譲受財産
場合には、当該合併等をした法人は、合併後存続
(取得財産を含む。)を限度として」を「譲受財
産の価額の限度において」と改正
する法人若しくは合併により設立した法人又は分
割により事業を承継した法人の当該合併等の日以
なお、この改正は、平成29年 1 月 1 日以後に滞
後に納付し、又は納入する義務の成立した地方団
納となった地方団体の徴収金(同日前に事業を譲
体の徴収金について、連帯して納付し、又は納入
渡した場合における当該事業に係るものを除きま
する義務を負うこととされました(地法10の 3 )
。
す。)について適用することとされています。
なお、当該判決が確定した日以前に質権が設定さ
れている場合には、地方団体の徴収金は、その換
7 日台民間租税取決めの実施に係る対応
価代金について当該質権に劣後することとされま
平成27年11月26日に、「日台民間租税取決め」
した(地法14の 9 ①七)
。
に署名が行われました。
「日台民間租税取決め」
なお、この改正は、平成29年 1 月 1 日以後に行
には法的効力はなく、租税条約等の実施に伴う所
われる合併等について適用することとされています。
得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する
6 事業を譲り受けた者の第二次納税義務
法律の適用もされないため、
「日台民間租税取決
め」の内容を日本国内で実施するための国内法が
会社法等の一部を改正する法律(平成26年法律
整備されました。地方税についても、国税の取扱
第90号)により、詐害的会社分割(分割会社が、
いに準じた所要の措置が講じられています。
─ 968 ─