投資環境マンスリー

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情報提供資料
投資環境マンスリー 2016年8月号
投資環境マンスリー
2016年8月号
経 済 調 査 部
M
Ⅰ. 主要国の投資環境見通し
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①米国
個人消費主導の景気回復が続く見込み
②欧州
③日本
④オーストラリア
⑤中国
⑥為替
欧州金融機関の健全性は2008年比格段に向上。但し収益力は当面苦しいか
事業費28兆円超の経済対策が決まり、景気押し上げ効果が期待される
景気回復も物価上昇圧力は弱く、追加利下げが実施される可能性も
景気は減速感こそ和らぐも、民間部門の低迷が響き加速の兆しは見られず
足元のドル円相場は円安ドル高方向に反発も長続きはしない見通し
Ⅱ. 国際金融市場の動向
Contents
①株式
・・・ 13
②金利
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・ 14
③為替
p.1-12
1-2
3-4
5-6
7-8
9-10
11-12
p.13-15
・・・ 15
Ⅲ. 金融・商品市場のパフォーマンス
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p.16
Ⅳ. 2016年8月の主要な政治・経済日程
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p.17
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
0
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投資環境マンスリー 2016年8月号
Ⅰ. 主要国の投資環境見通し ①米国: 個人消費主導の景気回復が続く見込み
【図1】 高水準の所得増加が続き、小売売上高は堅調

M7月のFOMCは景気判断を上方修正
米国景気は、良好な雇用環境のもとで高めの所得の伸びが続き、堅調な個
人消費が続いています(図1)。5月の雇用統計は、雇用増加幅が縮小し景気
不透明感が広がりましたが、6月は非農業部門雇用者数が前月差+28.7万人と5
月の同+1.1万人から大幅に改善しました(図2左)。企業の積極的な求人活動
を反映して求人率の上昇が続く中(図2右)、企業業績に大きな悪化がみられ
ないことから、当面、良好な雇用環境が続くとみています。2016年1-3月期の
企業利益は、非製造業が高めの水準を維持する一方、エネルギー企業を含む
製造業の鈍化が一服しました(図3左)。4-6月期の決算はヘルスケアや消費
財などの内需セクター中心に増収・増益企業の割合が多い状況です(図3右、
7月26日時点)。また一株当たり予想利益(EPS、Bloomberg集計)は、87%の
企業が市場予想を上回る結果となり、NYダウが7月に史上最高値を更新した
ように米国株上昇の支援材料になった模様です。
7月26-27日のFOMC(連邦公開市場委員会)はジョージ総裁が利上げを提
案も、賛成多数で政策金利を0.25~0.5%に据え置きました。声明文では「米国
景気は労働市場が改善し短期的な下振れリスクが後退」と景気判断を上方修
正しました。しかし、利上げ時期に関する新たな記述はみられず、市場の早
期利上げ観測は高まらなかった模様です(図4)。今後、6月のFOMCで予想
された年内2回の利上げが実現されるのか、FOMC委員の発言に注目です。
 米国の大統領選挙は、両党の対決軸が鮮明に
米国の大統領選は、両党の全国大会が開催され、正副大統領の正式指名・
政策綱領採択が行われました(図5)。共和党は、トランプ氏の主張するメキ
シコ国境への「壁」の建設や米国第一主義の貿易政策等を盛り込んだ綱領を
採択し、保護主義を強力に打ち出しました。一方で、民主党は、同盟国との
関係強化を明記し、最低賃金の引上げや富裕層増税等を盛り込み、両党の政
策の違いが鮮明となりました。党大会後、トランプ氏の国民支持率がクリン
トン氏を逆転した世論調査もあるようですが、選挙人の獲得予想は依然とし
てクリントン氏が優勢の模様です(図6)。今後、9月26日から3回実施される
大統領候補者討論会での内容が勝敗を左右する見込みです。(石井)
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
米国 小売売上高と家計景況感
3.0
(1966年1Q
=100 )
(%)
改善
↑
家計の景況感
↓
悪化
2.0
100
90
8
米国 家計の実質可処分所得
(前年比)
(%)
6
4
ミシガン大学
消費者信頼感指数
(右軸)
80
2
1.0
70
0
60
-2
0.0
50
小売売上高
(左軸、除く自動車、エネルギー、前月比)
-1.0
(年)
2013
2014
2015
40
2016
-4
-6
2001
(年)
2004
2007
2010
2013
2016
注)直近値は左図の消費者信頼感指数が2016年7月、小売売上高が同年6月、右図は同年5月。
出所)米商務省、ミシガン大学より当社経済調査部作成
【図2】 活発な企業の求人が続き、雇用や賃金の改善が継続
米国 雇用者数と失業率
100
50
(万人)
非農業部門
雇用者数
(前月差、左軸)
(%)
2016年6月
+28.7万人
12
(%)
米国 求人と賃金
8
7
0
6
4.9%
4
(%)
平均時給
(右軸、前年比)
+2.6%
10
8
失業率
(右軸)
1995
2000
2005
2010
2015
2
(年)
0
4
3
6
5
2
+3.7%
4
3
-50
-100
1990
9
1
求人率
(左軸)
2
1
2001
2006
2011
2016
(年)
0
注)求人率は求人÷(雇用者数+求人)。直近値は平均時給が2016年6月、求人率が同年5月。
出所)米労働省、Bloombergより当社経済調査部作成
1
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投資環境マンスリー 2016年8月号
【図3】 企業利益は高水準、足元の決算発表は概ね良好
米国 企業利益
M
6,000
(億ドル)
(億ドル)
30,000
米国 2016年4-6月期決算発表
(2016年7月12日~7月26日発表企業)
製造業のうちエネルギー以外
(左軸)
5,000
社数
4,000
20,000
全体
(右軸)
3,000
2,000
非製造業
(右軸)
1,000
10,000
0
エネルギー(左軸)
-1,000
(年)
2004
2007
2010
2013
0
増収企業
の割合
(前年比、%)
増益企業
の割合
(前年比、%)
市場予想EPS
を上回った割合
(%)
民主党
大統領候補
ドナルド・
トランプ氏
ティム・ケイン氏
バージニア州選出上院議員、穏健派
135
59
53
87
15
73
80
93
20
50
60
72
2016年
7月27日
8 月2 5 - 2 7 日
消費財・サービス
ジ ャクソンホール会議
イエ レン議長の講演
資本財・サービス
29
52
59
81
45.2%
9 月2 0 - 2 1 日
FOM C ( 議長会見あり)
素材
8
38
75
57
1 1 月1 - 2 日
FOM C ( 議長会見なし)
生活必需品
3
33
67
33
電気通信サービス
2
50
50
100
情報技術
16
81
44
94
金融
35
71
37
73
エネルギー
6
0
0
67
公益事業
1
0
100
100
出所)米商務省、Bloombergより当社経済調査部作成
副大統領候補
マイク・ペンス氏
・『米国第一』 (同盟国との関係見直し)
・最低賃金を時給15ドルに引上げ
・インフラ再建による雇用の創出
・富裕層への増税
・石油・ガスの大企業への優遇税制撤廃
経済
・公正で簡素な税制の実現
・法人税率の引下げ
・必要に応じて、金融機関を縮小・解体
金融
・グラス・スティーガル法の復活(商業銀行と投資銀行の分離)
・何年も前に交渉した貿易協定の見直し
・雇用を支えず、賃金を上昇させず、
国家安全保障を改善しない協定に反対
貿易
・国益を保護しない貿易協定は拒絶
・重要な貿易協定の議会承認は急ぐべきではない
・不法移民に市民権獲得への道を開く
・オバマ政権の大統領権限による移民
制度改革を守り、実施
移民
・国境への壁の建設を支持
・移民や難民の審査を厳格に
・大統領権限による不法移民の恩赦撤回
社会保障
・購入者の審査徹底等、規制を強化
銃規制
・アジア重視政策を推進
・日本との同盟関係をさらに強化
・中国の不公正な貿易慣行や為替操作等に立ち向かう
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
30
国防
アジア
26.4%
9月20-21日会合
0
2016/02
2016/04
2016/06
1 2 月1 3 - 1 4 日 FOM C ( 議長会見あり)
(年/月)
2016/08
注)利上げ確率はFF金利先物市場が織り込む値。
出所)Bloombergより当社経済調査部作成
【図6】 州別選挙人獲得情勢は民主党が有利、討論会が今後の焦点に
❏ 州別選挙人獲得予想(2016年7月27日時点)
9月26日
第1回 大統領候補者討論会
10月4日
副大統領候補者討論会
322人
クリントン/ケイン氏
トランプ/ペンス氏
216人
インディアナ州知事、宗教保守派
外交
・核軍縮に向けてNPT体制を強化
・核兵器関連計画の支出を削減
・NATO(北大西洋条約機構)を重視
60
❏ 今後のスケジュール
《政策綱領要旨》
・医療保険改革(オバマケア)を守る
金融政策関連の主要日程
(2016年)
12月13-14日会合
ヘルスケア
共和党
副大統領候補
米国 利上げ確率
(%)
S&P500
【図5】 全国大会を終え、両党の対決軸が鮮明に
・同盟国との連携強化
90
2016
注)左図の直近値は2016年1-3月期。右表の網掛けは50%以上。
市場予想はBloombergの集計した予想で対象企業127社で算出。
大統領候補
ヒラリー・
クリントン氏
【図4】 年内の追加利上げに半信半疑の金融市場
10月9日
第2回 大統領候補者討論会
10月19日
第3回 大統領候補者討論会
← 過半数(270人)
11月8日 大統領選挙
選挙人(総数538人)
一般有権者
勝者独占方式で、
州ごとに選挙人に投票
12月19日 選挙人団による大統領・副大統領候補への正式投票
・医療保険改革(オバマケア)を撤回
・個人が武器を持つ権利を堅持
・銃の登録制度や半自動小銃禁止法の復活に反対
・敵国の利益になる軍縮条約を廃止
・オバマ政権の進める国防費削減の見直し
・核政策見直し
・中国による為替操作を許さない
・米国は日本、韓国、オーストラリアなどと
経済・軍事・文化面で結びつきをもつ太平洋国家
2017年1月5日 ハイデン副大統領が選挙人票を開票
・連邦議会両院合同会議(新議員就任後)を開催し、その場で集計・承認。
・過半数(270票以上)に達しなかった場合は、議会議員の投票で選出。
2017年1月20日 次期大統領・次期副大統領就任式
出所)RCP、各種報道資料より当社経済調査部作成
2
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投資環境マンスリー 2016年8月号
②欧州 : 欧州金融機関の健全性は2008年比格段に向上。但し収益力は当面苦しいか
 市場はBREXIT(英国のEU(欧州連合)離脱)を消化?
M
6月23日の英国のEU(欧州連合)離脱を問う国民投票では、英国民はEU離脱
を選択しました。大方の市場参加者に驚きを与えたこの結果は、世界の株式市場
を大きく下落させました。しかし、その後世界の株式市場は大きく反発、米NY
ダウは史上最高値を更新するなど、市場はここまでのところ、株式市場を中心に
力強い反発をみせています(図1左)。中でも、震源地の英国主要株式指標のパ
フォーマンスが主要先進国の中で最も好調です。こうした株式市場の反発を受け
、世界の金融市場はBREXITの影響を完全に消化したとの声も聞かれます。
【図1】 株価は英BREXIT後反発も金融機関株は戻り甘い
110
 現在の世界の金融市場にはお金が溢れている
2008年当時のお金の量は約4兆ドル、大雑把には日本の年間名目GDPが約5兆ド
ルですので、それにほぼ近い金額のお金が世界に出回っていました。しかし、現
在は実にあの当時の3倍、12兆ドルものお金が世の中に出回っています(図2)。
現在の金融市場は、例えるならば、ワゴン(金融市場)セールで皆が欲しがって
いるもの(お金)が余りにも沢山積まれていて、無くなっては大変と我先にとワ
ゴンに群がる(金融不安)緊急性もさほどない状況といえるでしょう。ましてや、
その欲しいものがなくならない(中央銀行が常に流動性を供給する)と分かって
いれば(中銀が市場に発信していれば)、その言葉を信じる限り(中銀の信認が
高ければ)、自分は後からゆっくり取ればいい、そんな状況に似ています。
しかし、ワゴンセールと金融市場はひとつだけ勝手が違います。前者はワゴン
を囲むのが全て買いたい人、後者は買いたい(売りたい)人と共に「銀行」とい
う仲介人がいることです。仲介人にあたる金融機関が信頼できれば、安心して取
引の仲介を託す、ないしは直接取引することができます。つまり、金融機関が健
全な財務状況にあるか、銀行の健全性が金融危機に陥るか否かの鍵を握ります。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
105
英FT100 107.3
106.5
NYダウ
105
100
100
98.9
米国
95
独DAX
80
87.9
75
日経
平均
70
85
英国
85.4
85
92.9
®
80
75
2016/1/1
(2015年末=100)
90
95
90
しかし、こと欧州金融機関についてはその限りではないようです。金融機関の
株価の戻りは市場全体に比して鈍く(図1右)、一部では欧州発の金融システム
不安が再燃するのでは?2008年の世界同時金融危機が再来か?といった過激な声
も聞かれます。もっとも、我々投資家は冷静に本質を直観する必要がありましょ
う。2008年の世界同時金融危機の時と現在の金融環境は様相が全く異なります。
日米欧英 金融機関株セクターパフォーマンス
(年初来)
日米欧英 主要株価指標
(年初来)
(2015年末=100)
79.7
ドイツ
75.2
日本
65
2016/4/1
2016/7/1
(年/月
/日)
60
2016/1/1
2016/7/1 (年/月
2016/4/1
/日)
注)直近値は2016年7月19日。金融機関株セクターパフォーマンスはMSCI各国の金融機関サブインデックス。
出所)Bloomberg、MSCIより当社経済調査部作成
【図2】 世界に流動性は溢れている
14
日米欧英 中央銀行総資産
(兆ドル)
2016年6月30日
約12.3兆ドル
12
10
3中銀合計
2008年9月
世界同時金融危機
日本銀行
8
6
3倍超
欧州中央銀行
2008年
9月11日
約4兆ドル
4
2
米連邦準備理事会
0
2007
2009
2011
2013
2015
2017
(年)
注)各行総資産額(現地通貨建)をThomson Reuters Datastreamによりドル換算。
出所)Thomson Reuters Datastreamより当社経済調査部作成
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投資環境マンスリー 2016年8月号
 金融機関の健全性は2008年比格段に高い
2008年9月15日、米リーマン・ブラザーズが破綻したのも金融機関の信用力失
墜が引き金でした。同社が保有していた住宅ローン担保証券等証券化商品の価格
が市場の混乱で評価できなくなったことから、これらの証券を担保に市場から資
金調達ができなくなり、同社は破綻しました。では現在の金融機関、特に世界中
に事業展開する大規模な銀行は信頼できるか、財務状況は健全なのでしょうか。
M
【図3】 資本は2008年当時の2倍、レバレッジは半減
G-SIBs(2015)
RWA / 総資産と高流動性資産比率
G-SIBs(2015) 資本勘定とレバレッジ
8
(倍)
(兆ドル)
30
2008年末
28.6倍
100%
7
25
(総資産=100%)
(淡色)低リスク性資産比率
90%
RWA(Risk Weighted Asset)個別資産にリスクウェイトを乗じて算出
「例)国債のリスクウェイト=0.0%」低リスク資産ほどウェイト小。
(右軸)線グラフ
総資産 / 株主資本
6
20
80%
70%
5
その答えは「Yes」といえましょう。2008年当時と足元を比べると、銀行の株
主資本は当時の2倍(図3左棒グラフ)に膨らみ、同時に驚くほどリスクをとらな
くなっています(同図線グラフ)。各国政府は2008年以降、窮地に立った金融機
関に税金を使い資本注入を実施、金融機関の健全性回復を図りました。これによ
り政府債務は増大し、後に欧州では債務問題の一因となりました。この経験から
政府は金融機関に万が一のことがあっても、税金を使った損失処理(ベイルアウ
ト)ではなく、まずは銀行の利害関係者(株主や債権者、預金者)が損失を負担
(ベイルイン)するべく、金融規制を強化しました。その結果、個別行、特に世
界の中でも欧州や英国金融機関によるリスクテイクは縮小しました(図3右)。
 事業再構築の最中にある欧州銀行勢の収益は苦しい
リスクとリターンのトレードオフ(リスクをとればより追加的リターンを獲得
するチャンスが生まれ、リスクをとらなければ追加的なリターンをとるチャンス
は少ない)は我々投資家の不文律ですが、これは銀行にとっても同様です。欧州
の銀行は、前述のとおりリスクを非常に抑えている結果、リターンは米銀に比べ
芳しくありません(図4左)。そして、こうした状況はしばらく続きそうです。
2008年以降、金融機関はそれまで稼ぎ頭であったトレーディング業務等に厳し
い規制が敷かれ事業再構築を迫られました。これにいち早く対応したのが米銀で
す。米大手銀で信用力が最も高いウェルズ・ファーゴは、伝統的な商業銀行業務
や、富裕層向け資産サービスを行うウェルス・マネジメント業務へ経営資源をい
ち早くシフト、収益面で世界のトップバンクへ登りつめました。一方欧州銀行勢
は目下事業再構築にまい進中で、いわば米銀から半周遅れています(図4右)。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
2010年~
欧州債務問題本格化
4
15
60%
10
50%
高流動性資産比率
3
日本
2008年9月
世界金融危機
5
中 国
2
40%
30%
0
(左軸)棒グラフ
株主資本
20%
欧 州
1
-5
米 国
0
-10
10%
(濃色)高リスク性資産比率
0%
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
(年末:2016年は1-3月期)
注)G-SIBs(2015)は2015年11月選定の世界的大規模金融機関30行。日本3行、中国4行、米国8行、欧州(含む英国)15行
で構成されるが(行名非表示)、英国1行のデータなし。棒グラフはG-SIBs(2015)各行を示す。データはいずれも2016年
1-3月期。黒印は2014年12月末時点のRWA/総資産比率。
出所)SNL Financialより当社経済調査部作成
【図4】 欧州銀の収益力は低迷
G-SIBs(2015)
総資産利益率
2016年1-3月期実績と予想
(%)
1.5
G-SIBs(2015)主要銀行
RWAの累積変化と累積ネット収益の比較
(2011-2013年と2014-2016年)
2,000
増加
リスク減らし収益拡大
リスク増やし収益増加
1,500
(丸印)
2017年 総資産利益率(ROA)予想
1
黒線:2016年1-3月期平均
米JPモルガン
米ウェルズ
チェース
ファーゴ
1,000
500
0.5
青棒=米銀
0
桃棒=中国銀
0
-500
紫棒=邦銀
(
累
積
)
収
益
の
変
遷
(
億
ド
ル
)
欧州銀
米銀
仏BNPパリバ 英HSBC
スペイン
バンコ・
米バンクオブ
サンタンデール
スイス
アメリカ
伊ウニ
UBS
スイス
クレディット
クレディスイス
英RBS
仏クレディ 英バー
アグリコル クレイズ 独ドイツ銀行
緑棒=英銀
深緑棒=欧州銀
-0.5
欧州銀の相対的な低収益環境は2016年も続くとみられ、収益見通しを価値源泉
とする株式は上値の重い展開が続く一方、資産の質を価値源泉とする債券は、そ
の価値と価格の間にギャップが生じ割安感が今後高まるとみています。(徳岡)
2015年末
15.3倍
-1,000
※各棒グラフはG-SIBs各行を示す。
リスク減らし収益減少
減少
リスク増やし収益減少
リスク資産の変化(累積)の変遷(億ドル)
増加
-1,500
0
1,000
2,000
3,000
注)左図の棒グラフはG-SIBsの2016年1-3月期総資産利益率(ROA) -4,000 -3,000 -2,000 -1,000
(「ネット収益/(期中・期末)平均総資産」)を示す。英銀1行、欧州2行の一部データなし。予想は米格付会社S&Pに
よる。右図の横軸は、米欧主要銀行のRWA変化(線グラフの基点が2011年から2013年の累積、矢印先の終点が2014年か
ら2016年の累積)。縦軸は同期間の収益の累積変化。2016年は1-3月期を年率換算。
出所)SNL Financialより当社経済調査部作成
4
M
投資環境マンスリー 2016年8月号
③日本: 事業費28兆円超の経済対策が決まり、景気押し上げ効果が期待される
M足元の景気は足踏み状態、外需の伸びに期待

【図1】 今年度後半は政策効果の顕在化で緩やかな景気拡大に
15
8月に決定する経済対策がまとまりつつあり、事業規模は安倍政権下で最
大の28兆円規模になる模様です。骨格は①一億総活躍の関連施策、②21世紀
型のインフラ投資、③英国のEU離脱対策、④復興・防災対策です(図3)。
焦点の真水(国と地方の財政支出)は6兆円で、今年度第二次補正予算は2兆
円程度になる見込みです。そうなると今年度の成長率押し上げ効果は+0.4%
程度にとどまる可能性があり、事業規模ほどのインパクトはありません。
内閣府の見通しでは現在GDPギャップは約6兆円の需要不足であり(図4)、
今回の経済対策で需要不足を補うとみられます。ただ、経済成長に持続性を
もたせるには、企業に賃金上昇を促し好循環を生じさせる必要があります
(図5)。また、人工知能やIOTなど技術革新による新規需要の拡大で付加
価値を追加していく事が重要であり、アベノミクス再始動への期待が海外投
資家による日本株投資の呼び水になる事が期待されます(図6)。(向吉)
実質GDP
(前期比年率)
10
公的需要
在庫投資
0
-5
2016年1-3月期
実質GDP+1.9%
(2次速報値)
個人消費
-10
民間住宅投資
-15
民間設備投資
-20
2012
2013
2014
2015
2016
2017
(年)
注) 2016年4-6月期から2017年4-6月期までが当社経済調査部の予想値。
出所)内閣府より当社経済調査部作成
【図2】 BREXITの懸念で足元の景況感は悪化、輸出は回復基調か
日本 景況感と景気動向指数
70
(2010年=100)
115 115
景気動向指数
先行CI(右軸)
65
(
日本 地域別輸出数量指数
110 110
60
米国
105
105
55
100
50
100
45
95
40
35
90
景気ウォッチャー調査
先行き判断DI(左軸)
30
←景気後退期
20
(年)
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
注)直近値は2016年6月。
世界全体
EU
95
90
85
80
85
25
出所)内閣府
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
(予想)
純輸出
5
IMF(国際通貨基金)は世界経済見通しの改定値を発表し、2016年を+3.1%、
2017年を+3.4%(4月からいずれも0.1%下方修正)としました。英EU離脱問
題が深刻化した場合のリスクシナリオはともに+2.8%ですが可能性は低いと
みられます。新興国経済は回復しつつあり、米国経済が堅調なことから来年
に向け輸出は上向く見通しです。今年度後半には大型経済対策(事業規模は
28兆円超)の経済効果が加わるため、景気は緩やかに拡大する見通しです。
 2000年以降で3番目に大きい経済対策が決定
日本 実質GDP(需要項目別寄与度、前期比年率)
(%)
足元の景気は足踏み状態が続き、4-6月期の実質GDP速報は前期比ゼロ%
前後の予想です(図1)。景気先行CIは横ばいですが、6月23日の英国民投票
でのEU離脱選択をうけ景況感は悪化しています(図2左)。ただ英EU離脱
問題による金融市場のリスク回避は収束しつつあり、8月以降はマインドの
回復が見込まれます。生産が足踏み状態となるなか、輸出の回復が景気拡大
への鍵となっており、特にアジア向け輸出の回復が期待されます(図2右)。
80
アジア
75
70
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
(年)
2017
注)直近値は2016年6月。データは季節調整値。
出所)財務省、内閣府
5
M
投資環境マンスリー 2016年8月号
【図4】 需要不足は6兆円弱、低下する潜在成長率が課題
【図3】 8月に真水6兆円、事業規模28兆円超の経済対策編成
M
日本 経済対策の骨格
(兆円)
事業規模28兆円超(国と地方の財政支出(真水)6兆円超、
財政投融資6兆円超)
①一億総活躍の関連施策
・働き方改革
・雇用保険料の引き下げや育児休業の期間延長
・年金受給資格を25年から10年へ短縮
・返済不要の給付型奨学金の創設
②21世紀型のインフラ投資
・20年に外国人旅行客を4000万人に増やす目標の実現に
向けて「観光インフラプログラム」の年内策定
・大型クルーズ船受け入れのための施設整備とホテルや旅
館などの容積率の緩和
・リニア中央新幹線に3兆円、整備新幹線に8000億円を融資
③英国のEU離脱対策
・中小企業向けの資金繰り支援が柱
・国際協力銀行(JBIC)による企業の海外展開向け融資を2
年間延長
④復興・防災対策
・熊本地震向けに基金を創設
・海外で過激化しているテロ対策の強化
注)7月27日時点。
出所)日本経済新聞をもとに作成
日本 経済対策規模と補正予算額
(%)
6
60
50
40
補正予算
消費者物価(生鮮食品を除く)
前年比
20
0
0
-10
-2
-20
-4
-30
金融緩和効果
(インフレ期待)
(日本銀行)
量的・質的
金融緩和
賃金
消費
0
1
9
9
8
年
4
月
1
9
9
8
年
1
1
月
1
9
9
9
年
1
1
月
2
0
0
0
年
1
0
月
2
0
0
1
年
1
0
月
2
0
0
1
年
1
2
月
2
0
0
2
年
1
2
月
2
0
0
8
年
8
月
2
0
0
8
年
1
0
月
2
0
0
8
年
1
2
月
2
0
0
9
年
4
月
2
0
0
9
年
1
2
月
2
0
1
0
年
9
月
2
0
1
0
年
1
0
月
2
0
1
3
年
1
月
2
0
1
3
年
1
2
月
2
0
1
4
年
1
2
月
2
0
1
6
年
8
月
GDPギャップ(内閣府推計)
潜在成長率(右軸)
1990
1995
2000
2005
2010
2015
1990
1995
2000
2005
2010
(年)
0
2015
注)直近値は2016年1-3月期。潜在GDP、成長率は内
閣府推計。
出所)内閣府
【図6】 アベノミクス再始動を呼び水に日本株投資増加に期待
(兆円)
4
3
4
日本 株価と投資家別売買動向
海外投資家は
2013年に約15兆円
の買い越し
(円)
(%)
主要株価指数の年初来変化率
21,000 10
日経平均株価
(右軸)
現地通貨ベース
18,000
5
名目賃金
日本銀行
(左軸)
2
15,000
1
12,000
0
9,000
-1
6,000
0
0
-4
実質賃金
1996
2000
2004
2008
2012
2016
注)直近値は2016年5月。3ヵ月移動平均。
出所)厚生労働省
2013
米ドルベース
3,000
海外投資家
(左軸)
-3
2012
-5
-10
年金基金等
(左軸)
-2
(年)
1992
出所)当社経済調査部が作成
-50
1985
(年)
注)直近値は2016年1-3月期。消費者物価は消費税の影響
を除く。GDPギャップは(現実のGDP-潜在GDP)/
潜在GDP。 出所)内閣府、総務省
日本 賃金指数(前年比)(
(%)
1
-40
-8
1985
注)2016年8月の今回の経済対策は報道ベース。
出所)内閣府、各種報道
-6
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
5
2
-6
-2
(家計部門)
消費・貯蓄
6
3
10
(企業部門)
設備投資
減税・
補助金等
10
2
2
租税・公債
国債
買い入れ
現実のGDP-潜在GDP(左軸)
(%)
4
6
租税
日本 現実のGDPと潜在GDPとの差
30
日本 経済効果の波及イメージ
公共事業
(兆円)
20
4
【図5】 賃金上昇率が上向き、景気の好循環が維持できるか
(政府部門)
一般会計・
特別会計
日本 GDPギャップと消費者物価
2014
2015
2016
(年)
0
注)直近値は2016年6月。売買高は現物取引の純購入額。
日本銀行はETF購入額。 出所)東京証券取引所、日本銀行
-15
英国
(FTSE100)
米国
(NYダウ)
豪州
(ASX200)
ドイツ
(DAX®)
日本
(日経平均)
注)2016年7月26日株価と昨年末株価の比較。
出所)Bloomberg
6
M
投資環境マンスリー 2016年8月号
④オーストラリア: 景気回復も物価上昇圧力は弱く、追加利下げが実施される可能性も
 豪ドルは底打ちの兆し、2014年以降の通貨安圧力が緩和
M
オーストラリア(豪)ドル相場は下げ止まりの兆しがみられます(図1左)。
市場では追加利下げ観測が残り(図1右)、豪ドルの上値を抑えるものの、
2014年後半以降の下落相場は一服した可能性があります。中国の過度な粗鋼
生産抑制の緩和(図2左)、原油相場の供給超過の改善(図2右)が国際的な
資源価格を下支え、当面、資源国通貨の下落圧力が和らぐとみています。対
円相場も、市場が安定し米国の利上げ観測が高まれば、緩やかに上昇する可
能性が考えられます。豪州で利下げが実施された場合には、一時的に豪ドル
安に振れる恐れがあるものの、下落は小幅に留まりそうです。
【図1】 追加利下げ観測が豪ドル相場の上値を抑制
オーストラリアドル相場
(円/
オーストラリアドル)
120
(米ドル/
オーストラリアドル)
↑オーストラリアドル高
オーストラリア 政策金利と国債利回り
1.2
↓米ドル高↓円高
7
対米ドル(右軸)
110
1.0
 総選挙は野党が躍進、不安定な政治環境で格下げの懸念も
7月2日の解散総選挙は上下院ともに全議席が改選され、下院で与党・保守
連合が過半数を獲得したことで政権を維持、ターンブル氏が首相を継続する
ことが決まりました。しかし、財政支出で格差是正を訴えた野党・労働党が
上下院ともに議席を伸ばし、保守連合は上院で過半数の議席を確保できませ
んでした(図5)。今後、連立政権を模索する必要があります。法案通過など
の面で不安定な政治環境が再び続く見込みです。
10年国債利回り
6
7月26日
0.7502
100
0.8
2016年
1月15日
0.6864
90
80
5
4
0.6
79.32
景気は消費や輸出をけん引役に高めの成長が続いています(図3左)。しか
し物価上昇圧力は弱く、中銀の利下げを促す要因となっています(図3右)。
消費者物価を世界景気の影響を受けやすい貿易財(全体の約40%)と国内要
因に影響を受け易い非貿易財(同約60%)に分けると、貿易財が国際的な資
源安、非貿易財が賃金上昇率の鈍化の影響を受けているようです(図4)。今
後の消費者物価伸び率は、資源安一服の効果で鈍化が止まる見込みですが、
本格的な上昇には雇用環境の改善が賃金に波及するかが焦点となりそうです。
(%)
8
2016年
7月26日
1.92%
3
政策金利
2
1.75%
0.4
2016年
6月27日
74.754
対円(左軸)
70
2012
2013
2014
2015
2016
政策金利の市場予想
2016年12月 1.50%
1
(年)
0.2
0
2006
2008
2010
2012
2014
2016
(年)
2018
注)右図の政策金利の市場予想はBloombergが集計した市場予想。2016年7月26日時点。
出所)Bloombergより当社経済調査部作成
【図2】 中国景気回復や原油需給改善で資源価格が下げ止まり
国際商品価格と中国の粗鋼生産
40
(1991年1月2日
=100)
(% )
原油価格と原油需給
160
ブルームバーグ商品指数
(右軸)
800
(万バレル )
(米ドル/1バレル)
WTI原油先物
(右軸)
600
30
130
120
100
80
供給超過
↑
世界の原油需給
↓
需要超過
400
20
100
200
10
60
40
7月7日には、S&Pが豪州の格付けAAAを中立からネガティブ(引き下げ方
向で検討)に変更しました。財政赤字の改善がみられず、今後も政局の不安
定さで積極的な財政改善策の決定が困難と考えた模様です。しかし、AA格に
引き下げられた場合でも、先進国の中では財政赤字や政府債務は相対的に小
さいため(図6)、市場への影響は軽微に留まると予想されます。 (石井)
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
70
0
0
中国の粗鋼生産
(左軸、前年比)
-10
2012
2013
2014
2015
2016
(年)
40
20
世界の原油需給
(左軸)
(EIA予測)
-200
2012
2013
2014
2015
2016
2017
(年)
0
注)直近値は左図の粗鋼生産が2016年6月、商品指数が同年7月26日、右図の原油先物は期近物で同年7月26日、
原油需給は同年7月時点の米EIAの値。
出所)米EIA、Bloombergより当社経済調査部作成
7
M
投資環境マンスリー 2016年8月号
【図3】 景気は良好も消費者物価が低迷、利下げを促す要因に 【図4】 貿易財価格は上昇加速も、非貿易財は賃金動向に注目
M
15
(%)
オーストラリア 実質GDP
(前期比年率)
公的需要
6
(%)
消費者物価
(左軸、前年比)
2016年4-6月期
総合物価 +1.0%
コア物価 +1.6%
2016年1-3月期
実質GDP
+4.3%
民間設備投資
10
6
純輸出
実質GDP
4
オーストラリア 非貿易財と賃金上昇率
オーストラリア 貿易財と商品価格
オーストラリア 消費者物価
(%)
(%)
消費者物価
うち貿易財
(左軸、前年比)
5
4
ブルームバーグ
商品指数
(右軸、前年比)
40
2016年
4-6月
±0.0%
2
1
-5
民間住宅投資
個人消費
在庫投資
-10
(年)
2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
2008
2010
2012
2014
2016
出所)オーストラリア統計局、オーストラリア中銀より当社経済調査部作成
オーストラリア 改選前の議席数
野党
与党
労働党
保守連合
(25)
(90)
緑の党
(10)
2004
野党
労働党
(55)
緑の党
(1)
その他
(4)
2012
2016年
1-3月期
+2.1%
3
3
消費者物価
うち非貿易財
(左軸、前年比)
2016
(年)
-20
-40
1
2016年
4-6月期
±1.6%
0
2004
2008
2012
2016
(年)
0
【図6】 豪州の財政赤字と政府債務は相対的に小さい
先進国の財政収支と政府債務
8
(%)
(%)
6
政府債務
(右軸、GDP比)
財政収支
(左軸、GDP比)
4
240
180
2
0
120
-2
▲1.9%
-4
44.3%
-6
AAA
60
AA- ~AA+
A+
-8
フィンランド
ニュージーランド
カナダ
ドイツ
オランダ
デンマーク
オーストラリア
香
港
スウェーデン
ノルウェー
出所)Australian Electoral Commissionや各種報道より当社経済調査部作成
2008
スイス
その他
下院(150)
(8)
野党 オーストラリア 改選後の議席数(2016年7月27日時点)
野党
労働党
与党
労働党
(27)
保守連合
緑の党
(69)
(76)
(7)
緑の党
与党
その他
(1)
保守連合
(8)
その他
(30)
下院(150)
上院(76)
(4)
未定(4)
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
6
注)左図は商品価格は豪ドルに換算。貿易財は世界経済の動向に影響を受けやすい品目、非貿易財は豪州景気の影
響を受けやすい品目で豪統計局による分類。
出所)Bloomberg、オーストラリア統計局より当社経済調査部作成
【図5】 下院は現政権が過半数で政権維持、上院は連立模索
上院(76)
2016年
7月
▲11.0%
-3
(年)
2006
4
-1
注)右図のコアは変動の大きい品目を除いたもの。
与党
保守連合
(33)
0
-2
0
2004
賃金上昇率
(右軸、前年比)
2
0
インフレ目標
+2~3%
5
20
0
2
(%)
(%)
9
60
3
5
80
米
国
英
国
0
日
本
注)2016年7月27日時点でBloombergの値。先進国の定義はBloombergによる。基準日はスイスの財政収
支が2013年、ニュージーランドの財政収支が2014年、それ以外は2015年。 出所)Bloombergより当社経済調査部作成
8
M
投資環境マンスリー 2016年8月号
⑤中国: 景気は減速感こそ和らぐも、民間部門の低迷が響き加速の兆しは見られず
M
 7月公表の指標は景気底固めを示唆も加速の兆しは見られず
直近4-6月期の実質GDPは前年比+6.7%と1-3月期から横ばいとなりました
(図1左)。他方、国家統計局PMIを見ると、製造業が業況拡大の節目50近
辺をうろつくなど、景気加速の期待感は高まっていない模様です(図1右)。
景気が政策頼みの状況にも変化はないようです。6月の都市部固定資産投
資を見ると、鉄鋼・セメントなど過剰設備削減を義務付けられた産業を多く
含む製造業を中心に、民間部門の減速ピッチが速まるなか、公的部門主導の
インフラ・不動産投資が全体を下支えしている様子が鮮明となっています
(図2)。ただし、こうした分野も年初からの急回復の反動で徐々に減速が
見込まれます。例えば、住宅市場では、一部大都市の市況過熱を抑えるべく、
金融当局が融資抑制などに動いた結果、住宅価格上昇率鈍化など沈静化の兆
しもうかがえます(図3)。とはいえ、不動産市場が極度に冷え込めば景気
全体に悪影響を及ぼす懸念もあり、当局の注意深い舵取りが求められます。
【図1】 中国景気の減速懸念は緩和も底打ち明確化には至らず
中国 実質GDP
(業種別、前年比)
(%)
16
15
14
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
中国 製造・非製造業PMI
(国家統計局)
(%)
60
非製造業
58
56
第3次産業
全体
53.7
54
+7.5%
+6.7%
52
50.0
50
第2次産業
2010
2012
2014
+6.3%
2016
(年)
48
製造業
46
2010
2012
2014
2016
(年)
注)左図:直近値は2016年4-6月期時点
右図:直近値は2016年6月時点。
出所) 中国国家統計局より当社経済調査部作成
 静かな下落基調が続く人民元、再び相場が荒れる可能性は?
底堅い推移が光る個人消費についても、小型車取得税減税(年末まで)で
好調な自動車、住宅市場活況を追い風とした家財など景気対策の恩恵を受け
る分野が少なからずあります(図4左)。業況低迷が長引き、雇用・所得環境
の改善が遅れれば、個人消費の減速感が強まるリスクがあります(図4右)。
外需には多くを期待できません。輸出入額ともに前年比の減少幅が縮小傾
向と安定化の兆しを見せるものの(図5左)、英国のEU(欧州連合)離脱の
影響で欧州景気の不透明感が浮上、外需を景気の起爆剤とするのは困難と予
想します(図5右)。やはり内需安定こそが景気回復の鍵を握ると考えます。
人民元相場は緩やかな下落が続くも、昨年8月や今年1月のような混乱は生
じていません(図6)。ただし、景気減速感が再び強まれば、元の先安期待
が浮上、さらに当局がそれを制御できないとの思惑が広がり市場が不安定化
するリスクもあり、予断を許さない状況に変わりないようです。(瀧澤)
【図2】 インフラ・不動産部門が国内投資を下支える構図は不変
(%)
中国 都市部固定資産投資
(属性別、年初来累計、前年比)
30
うち国有企業
25
+23.5%
20
15
+9.0%
全体
10
5
民間部門
+2.8%
0
2012
2013
2014
2015
2016
(年)
(%)
中国 都市部固定資産投資
(業種別、年初来累計、前年比)
35
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
インフラ関連
+20.9%
+7.2%
不動産業
+3.3%
製造業
2012
2013
2014
2015
2016
(年)
注)左図の民間部門のデータは2012年3月以降。右図のインフラ関連は電力除く。直近値はすべて2016年6月時点。
出所)中国国家統計局より当社経済調査部作成
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
9
M
投資環境マンスリー 2016年8月号
【図3】 住宅など不動産市場の急回復は一服の兆しも
M4
(%)
中国 新築住宅価格
(全70都市、都市階級別、前月比)
1級都市
3
2級都市
2
1
0
-1
3級都市
-2
2010
2012
2014
2016
(年)
【図4】 政策効果で底堅い個人消費、ただし持続力には不安も
中国 住宅新規着工・販売面積
(年初来累計、前年比)
(%)
70
60
50
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
販売面積
+28.6%
+14.0%
2010
2012
2014
2016
(年)
中国 仕向け先別輸出額
(米ドル建て、前年比)
0
-10
▲11.7%
-20
2010
2012
2014
2016
(年)
2012
2014
2016
(年)
-500
-1,000
日本
-20
2010
2012
2014
2016
2
2010
2012
(年)
出所)中国海関総署より当社経済調査部作成
2014
2016
(年)
【図6】 急激な資本流出こそ一服も、緩やかな元安基調は持続
人民元相場
(元/米ドル) (元/米ドル)
6
元高
元安
6.1
オンショア相場
6.2
7
人民元相場
(対米ドル、右軸)
6.3
6.4
8
元高
相場かい離
→人民元の
先安期待上昇
6.5
元安
0
EU
-20
出所)中国国家統計局、中国人力資源社会保障部より当社経済調査部作成
500
0
4
▲9.5%
注)左図:消費者物価(前年比)を用いて当社経済調査部が実質化。直近値は2016年6月時点。
右図:1人当たり実質可処分所得のデータは2013年10-12月期以降。直近値は2016年4-6月期時点。
1,500
注)すべて12ヵ月移動累計ベース。右図のアジアはアジアNIEs+ASEANとした。
直近値はすべて2016年6月時点。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
2010
1,000
-10
輸入
求人数(前年比、左軸)
全体
-5
2,000
米国
8
6
-10
2,500
10
▲6.3%
+6.5%
中国 外貨準備高と為替相場
20
10
10
0
3,000
20
12
20
10
(億米ドル)
30
輸出
自動車
0
新規着工面積
14
1人当たり実質可処分所得
(年初来累計、前年比、右軸)
30
5
アジア
30
30
10
40
40
家具・家電
35
(%)
40
15
(%)
50
中国 雇用・所得環境
(%)
20
【図5】 安定化の兆し見せるも、輸出低迷の状況は変わらず
中国 輸出入額
(米ドル建て、前年比)
40
25
注)左図:1線都市は北京・上海・広州・深圳の4都市、2線都市は省都・自治州・副省級市など31都市、
3線都市はその他35都市の平均値。直近値は2016年6月時点。
右図:直近値は2016年6月時点。
出所)中国国家統計局より当社経済調査部作成
(%)
中国 社会消費品小売総額
(実質、前年比)
(%)
9
外貨準備高
(前月差、左軸)
-1,500
2004
6.7
10
2007
2010
6.6
2013
2016
(年)
オフショア相場
6.8
2015
2016
(年)
注)左図:直近値は外貨準備高が2016年6月、人民元相場が同年7月時点。
右図:売買が自由なオフショア市場は市場の相場観を反映しやすいとされる。直近値は2016年7月27日時点。
出所)中国国家外為管理局、中国海関総署より当社経済調査部作成
10
M
投資環境マンスリー 2016年8月号
⑥為替: 足元のドル円相場は円安ドル高方向に反発も長続きはしない見通し
M
 2015年6月に始まった円高ドル安基調は終わったのか?
7月に入り、BREXIT(英国のEU(欧州連合)離脱決定)を受けた金融市
場の混乱が収束、6月の米国雇用統計が良好な内容となり、米国の年内利上
げ観測が再び高まりつつあります(図1)。一時1米ドル=99円台まで円高が
急進したドル円相場ですが、足元は105~106円台まで反発しています。
ただし、2015年6月以降の基調的な円高ドル安が終わったとみるのは早計
でしょう(図2)。昨年の中国人民元切り下げ、米国による通貨安政策批判
などを機に、通貨安の恩恵(輸出競争力回復など)を享受してきた日本や
ユーロ圏に対する風当たりが強まった印象があります(図3)。昨年来、2度
の中国ショック後のリスク回避局面では、円・ユーロ・スイスフランなど相対
的低金利かつ経常黒字通貨が選好される展開でした(図4左・中)。さらに、
BREXITは欧州が震源地となり、欧州政治・経済の先行きが展望しづらく
なったことで、直後のリスク回避局面では円独歩高となりました(図4右)。
【図1】 米国の年内利上げ観測が再燃、円安ドル高方向へ反発
2016年以降 米国の利上げ観測とドル円相場
(%)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
(円/米ドル)
ドル円相場(右軸)
45%
FF金利先物から見た
2016年内の利上げ確率(左軸)
1
2
3
4
5
6
7
(月)
122
120
118
116
114
112
110
108
106
104
102
100
98
注)直近値は2016年7月27日時点。
出所)Bloombergより当社経済調査部作成
 米国の利上げ観測は一進一退、円安ドル高には進みづらい
米国雇用統計を機に同国経済への悲観論が後退、7月に入り利上げ再開へ
の思惑が浮上し、米ドル高基調となりましたが、再び製造業心理が悪化に転
じるなど、為替の動きに神経質となっている様子がうかがえます(図5)。
当面、米国の景気加速・利上げ再開への期待は高まりにくいと想定されます。
米国景気が安定感を増せば、こうした為替感応度も徐々に低下、景気回復
に即した金利正常化を素直に織り込み、米ドル高が定着すると考えます。た
だし、経済活動全般を表すCFNAIやFOMC(連邦公開市場委員会)も注目す
るとされる労働市場全般を表すLMCIを見る限り、磐石に程遠い感は否めま
せん(図6)。今後、日銀が追加金融緩和に動けば一時的に円安へ振れる可
能性はあります。しかしながら、米国の金利先高感が高まりにくく、世界経
済に不確定要素が多いなか、ふとした材料でリスク回避へ動きやすい環境を
考慮すると、円高圧力のかかりやすい展開が続くと予想されます。(瀧澤)
【図2】 2015年6月以降は外的ショックも重なり円高ドル安に
2015年以降 ドル円相場
(円/米ドル)
135
130
125
120
115
110
105
100
95
90
2015/1
1
2015年6月5日
125円86銭
6月23日
英国国民投票で
EU離脱派が勝利
2015年8月11日
中国人民元切り下げ
2016年1月4日
中国株式市場で
サーキットブレーカー
(緊急取引停止措置)発動
2016年6月24日
99円02銭
3
5
7
9
11 2016/1
1
3
5
7
(月)
注)2015年のザラバ円安値、2016年のザラバ円高値を表示。直近値は2016年7月27日時点。
出所) Bloombergより当社経済調査部作成
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
11
M
投資環境マンスリー 2016年8月号
【図3】 米国・中国は通貨高を嫌気、調整の矛先は日本・ユーロ圏に 【図4】 中国ショック時と異なり、BREXIT時の反応は円一人勝ち
(2012年12月=100)
M
125
120
115
110
105
100
95
90
85
80
75
70
主要国・地域 実質実効為替レート
通貨高
主要通貨の対米ドル騰落率(期間別)
2015年8月11-25日
2016年1月4-8日
2016年6月24日
中国人民元切り下げ
中国株急落
英国EU離脱
米国
日本円
スイスフラン
ユーロ
スウェーデンクローナ
←
ポーランドズロチ
英ポンド 通貨安
ノルウェークローネ
▲0.3
ニュージーランドドル
▲2.2
カナダドル
▲2.5
韓国ウォン
▲2.7
インドルピー
▲3.4
インドネシアルピア
▲3.6
オーストラリアドル
▲3.8
南アフリカランド
▲4.1
ブラジルレアル
▲5.0
トルコリラ
▲5.5
メキシコペソ
▲6.1
ロシアルーブル ▲8.8
コロンビアペソ ▲9.4
中国
英国
ユーロ圏
日本
通貨安
2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
(年)
注)Broadベース(対象国は61ヵ国・地域)。指数化は当社経済調査部。直近値は2016年6月時点。
-15 -10 -5
4.9
4.7
4.5
3.8
3.0
0.6
通貨安
▲0.7
▲1.9
▲1.5
▲0.4
▲4.2
▲2.3
▲1.9
▲0.7
▲1.0
▲4.6
▲5.1
▲1.6
▲3.4
▲4.1
▲3.0
▲2.8
→
通貨高
(%)
0
5
10
-15 -10 -5
出所)BIS(国際決済銀行)より当社経済調査部作成
【図5】 足元の米国製造業は米ドルの動きに過敏な傾向も
業況
改善
業況
悪化
米国 製造業景況感と米ドル相場
35
米ドル指数(右軸)
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
ニューヨーク連銀
-15
製造業景気指数(左軸)
-20
2015
2016
(2015年初=100)
(年)
112
110 米ドル高
108
106
104 米ドル安
102
100
98
96
94
92
注)指数化は当社経済調査部。
直近値は米ドル指数が2016年7月27日(日次)、ニューヨーク連銀製造業景気指数が同年7月(月次)時点。
出所)ニューヨーク連銀、FRB(連邦準備理事会)より当社経済調査部作成
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
2.5
0.7
0.6
←
通貨高
(%)
5
10
→
▲2.4
▲3.6
▲4.1
▲8.1
▲2.2
▲1.7
▲1.9
▲2.4
▲1.1
▲1.1
▲1.9
▲4.4
▲1.1
▲2.5
▲3.7
▲2.2
▲2.5
→
0
3.9
←
通貨安 ▲1.4
-15 -10 -5
通貨高
(%)
0
5
10
出所)Bloombergより当社経済調査部作成
【図6】 米国は利上げを正当化できる環境が整っているのか?
(ポイント)
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
-1
-2
-3
-4
-5
1967
米国 全米活動指数と労働市場情勢指数
(ポイント)
労働市場情勢指数(LMCI、右軸)
▲1.9
景気後退期
▲0.12
全米活動指数
(CFNAI、3ヵ月移動平均、左軸)
1974
1981
1988
1995
2002
2009
2016
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
-50
-60
-70
-80
-90
-100
(年)
注)景気後退期(網掛け部分)はNBERによる。 CFNAIは85の月次指標、LMCIは19の労働関連指標で構成。
値はCFNAIが1967年5月以降、LMCIが1976年8月以降。直近値は2016年6月時点。
出所)シカゴ連銀、FRB、NBER(全米経済研究所)より当社経済調査部作成
12
M
投資環境マンスリー 2016年8月号
Ⅱ.国際金融市場の動向
M
(すべて2005年初=100)
180
日本
140
120
100
80
60
40
20
0
2005
2008
2014
2017 (年)
中国
450
新
興
国
2011
米国
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
160
先
進
国
①株式: BREXITショックは収束、株価は世界的に反発へ
150
100
50
0
2008
400
350
300
300
250
250
200
200
150
150
100
100
50
50
0
2014
2017 (年)
インド
450
350
2011
2008
2011
2014
2017 (年)
メキシコ
350
250
200
150
100
50
0
2005
2008
2011
2014
2017 (年)
2011
2014
2017 (年)
2008
2011
2014
2017 (年)
2014
2017 (年)
2014
2017 (年)
トルコ
300
250
400
200
300
150
200
100
100
50
0
2005
2008
2011
2014
2017 (年)
ブラジル
2005
2008
2011
0
2005
2008
2017 (年)
2014
2017 (年)
ポーランド
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
2014
2011
2005
2008
2011
南アフリカ
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
2005
2008
2011
2014
2017 (年)
注1)2005年初=100として当社経済調査部が指数化。直近値は2016年7月27日、注2)先進国はMSCI WORLD、新興国はMSCI EMの国別指数に基づく(現地通貨ベース、配当後)。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
2005
350
500
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
300
2008
インドネシア
600
0
2005
2005
オーストラリア
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
200
2005
400
ドイツ
250
2005
2008
2011
出所) MSCI、Bloombergより当社経済調査部作成
13
M
投資環境マンスリー 2016年8月号
②金利: リスク選好でやや上昇も、日欧追加金融緩和期待で上昇余地は限定的に
M
(単位はすべて%)
先
進
国
8
日本
ユーロ圏
8
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
0
0
0
利回り(10年物国債)
2
0
政策金利
-2
2006
2008
2010
2012
2014
2016
中国
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
2006
2008
2010
2012
2008
2014
2016
2006
(年)
2008
2012
2014
2016
2010
2012
2014
2016
8
4
3
0
0
2006
2008
2010
2012
2014
2016
(年)
2008
2012
2014
2016
2010
2012
2014
2008
2010
2012
2014
2016
(年)
2008
2016
2006
(年)
2008
15
12
12
9
9
6
6
3
3
2012
2014
2016
(年)
2010
2012
2014
2016
(年)
2016
(年)
南アフリカ
18
15
2010
トルコ
27
24
21
18
15
12
9
6
3
0
0
2006
2006
(年)
ポーランド
18
9
2010
インドネシア
2006
(年)
12
6
2008
27
24
21
18
15
12
9
6
3
0
16
12
-2
2006
(年)
ブラジル
20
15
2010
インド
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
メキシコ
18
-2
2006
(年)
オーストラリア
8
6
-2
新
興
国
米国
8
0
2006
2008
2010
2012
2014
2016
(年)
2006
2008
2010
2012
2014
注1) 政策金利は、日本:無担保コールレート(翌日物)、米国:FFターゲットレート、ユーロ圏:リファイナンス・レート、オーストラリア:キャッシュレートを使用。中国: 1年もの最優遇銀行貸付金利、インド:RBIレポ金利、
インドネシア:BI金利、トルコ:2010年5月18日まで翌日物借入金利、以降は1週間レポ金利、メキシコ:翌日物金利、ブラジル:SELIC金利誘導目標、ポーランド:2週間物レポ金利、南アフリカ:レポ金利を使用。
注2)国債利回りは、ユーロ圏:ドイツの10年国債利回り、トルコ:2年国債利回り、ブラジル:2年国債利回り、南アフリカ:10年国債利回り(2011年10月5日~2012年6月26日は9年国債で代用)を使用。
注3)直近の米国の政策金利(FF金利誘導目標)は0.25~0.50%だがグラフ上は0.50%で表示、なお、日本では政策目標を無担保コールレート(翌日物)とする措置を2013年4月4日で終了。
注4)直近値は2016年7月27日。注5)一部データの欠損あり。
出所)Bloombergより当社経済調査部作成
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
14
M
投資環境マンスリー 2016年8月号
③為替: 米国の年内利上げ観測が再び浮上し、米ドル優勢の環境に
(円/米ドル)
M
70
各国・地域通貨高
米ドル(日本円)安
先
進
国
日本・円
(米ドル/ユーロ)
1.8
80
100
円高
110
各国・地域通貨安
米ドル(日本円)高
中国・人民元
(円/元)
22
6.0
20
18
7.0
16
7.5
14
8.0
12
円安
8.5
(INR/米ドル)
30
インド・ルピー
0.9
1.2
120
0.8
10
(MXN/米ドル)
8
メキシコ・ペソ
3.2
3.0
2.8
2.6
2.4
2.2
2.0
1.8
1.6
1.4
1.2
45
50
55
65
70
10
12
14
16
1.0
11
1.5
10
2.0
9
2.5
8
3.0
7
18
20
(BRL/米ドル)
12
ブラジル・レアル
4.0
5
4.5
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
120
100
80
(IDR/米ドル)
インドネシア・ルピア
80
70
1.5
1.3
10000
40
(TRY/米ドル)
1.0
トルコ・リラ
(年)
(円/TRY)
120
1.5
100
2.0
80
2.5
60
3.0
40
1.1
12000
0.9
14000
16000
0.7
3.5
(PLN/米ドル)
1.5
ポーランド・ズロチ
(円/PLN)
60
2.0
60
2.5
50
3.0
40
3.5
30
4.0
20
4.5
40
30
20
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
20
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
50
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
0.5
2006 2008 2010 2012 2014 2016
(円/IDR)
8000
60
0.6
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
(円/BRL)
3.5
6
80
6000
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
(円/MXN)
100
対日本円
(右軸)
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
(円/INR)
35
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
(円/豪ドル)
1.0
0.8
60
新
興
国
オーストラリア・ドル
1.1
140
1.0
40
6.5
160
(米ドル/豪ドル)
1.2
1.4
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
(元/米ドル)
180
0.7
120
130
5.5
(円/ユーロ)
対米ドル
(左軸)
1.6
90
ユーロ
(ZAR/米ドル)
4
南アフリカ・ランド
(円/ZAR)
20
6
18
8
16
10
14
12
12
14
10
16
8
18
6
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
注)上段右図:豪ドル=オーストラリアドル。直近値は2016年7月27日。
出所) Bloombergより当社経済調査部作成
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
15
M
投資環境マンスリー 2016年8月号
Ⅲ.金融・商品市場のパフォーマンス
期間別 各資産の投資収益率(%)
M
基準日:
現地通貨ベース
1ヵ月
地域別
▲ 18.9
海外先進国
9.2
3.8
3.5
9.2
2.2
その他
転換社債
1年
2011年
2012年
2013年
2014 年
2015 年
2016 年
8.3
▲ 4.9
▲ 18.9
▲ 18.6
21.8
54.8
9.8
10.3
▲ 14.2
1.7
12.5
▲ 3.3
▲ 12.7
▲ 9.2
30.2
48.8
20.1
▲ 0.8
▲ 7.3
3.1
10.6
5.0
0.7
13.9
▲ 0.4
▲ 13.8
▲ 23.4
31.4
19.1
11.9
▲ 14.2
▲ 0.3
4.7
4.7
11.2
2.9
4.3
14.6
▲ 2.5
▲ 10.2
▲ 24.8
24.6
25.3
9.1
▲ 14.5
2.9
4.1
1.0
4.3
4.0
▲ 1.3
1.6
7.3
▲ 6.7
▲ 12.8
▲ 4.5
15.3
40.2
2.7
▲ 21.8
1.5
12.9
7.5
7.7
12.6
7.5
8.5
15.9
2.0
▲ 6.0
▲ 7.4
26.6
50.7
30.4
5.6
▲ 6.3
9.6
5.4
▲ 1.8
9.3
4.5
▲ 2.5
12.6
▲ 1.0
▲ 16.9
5.0
31.2
58.5
32.4
7.5
▲ 9.9
▲ 0.3
1.7
8.5
▲ 0.3
1.7
8.5
2.2
1.8
2.1
4.5
1.2
6.8
海外先進国
0.6
3.9
7.3
0.7
1.6
5.0
4.0
▲ 3.8
▲ 9.5
1.2
19.8
21.7
17.1
▲ 3.4
▲ 6.3
新興国(現地通貨建て)
1.3
2.4
8.9
2.4
0.9
2.5
5.7
▲ 4.6
▲ 12.0
▲ 5.2
24.1
15.0
13.9
▲ 9.0
▲ 4.0
3.2
5.4
11.9
6.6
▲ 0.1
▲ 2.6
2.2
30.2
16.1
21.2
1.6
▲ 0.2
海外先進国
0.6
3.5
6.4
6.8
4.9
▲ 1.5
9.4
0.6
6.0
新興国(米ドル建て)
3.0
4.8
10.7
6.9
17.2
▲ 5.7
7.0
0.8
11.1
エネルギー
IT(情報技術)
投資適格
1.5
2.4
6.5
4.8
▲ 3.1
▲ 8.0
▲ 0.7
23.9
21.5
16.9
▲ 3.4
▲ 4.4
ハイイールド
3.8
3.8
5.5
7.1
▲ 1.7
▲ 9.0
▲ 2.6
32.1
29.4
13.6
▲ 3.8
▲ 1.3
投資適格
新興国
(米ドル建て) ハイイールド
1.7
3.5
5.5
5.0
▲ 1.9
▲ 9.0
0.5
26.0
19.5
19.3
0.2
▲ 4.3
2.9
5.1
10.0
6.2
▲ 0.3
▲ 4.5
▲ 8.7
33.9
21.9
12.9
3.8
1.2
先進国
5.4
3.3
3.6
5.1
2.9
4.2
8.4
▲ 2.5
▲ 10.3
▲ 10.4
25.1
38.6
17.5
1.6
▲ 7.2
新興国
2.5
1.7
2.3
2.5
0.2
0.7
5.8
▲ 5.2
▲ 13.8
▲ 17.0
28.6
33.9
15.5
4.3
▲ 10.8
1.1
2.1
2.1
4.5
▲ 3.3
▲ 12.4
5.5
19.7
16.6
17.8
▲ 4.3
▲ 6.3
3.8
5.1
11.2
7.2
▲ 0.3
▲ 3.3
▲ 8.1
30.6
6.3
15.6
▲ 18.8
10.0
2.5
物価連動 先進国
国債
新興国
リート
3ヵ月
4.9
世界
その他
債券
1ヵ月
8.5
新興国(米ドル建て)
社債
円換算ベース
1年
11.7
日本
ヘッジ有
3ヵ月
▲ 4.9
ヘルスケア
国債
1ヵ月
8.3
素材(景気敏感)
業種別
米ドルベース
1年
日本
新興国
株式
3ヵ月
2016年7月27日
先進国
7.3
7.5
17.7
10.6
2.1
3.2
▲ 3.4
36.3
24.6
37.1
1.6
新興国
10.7
▲ 1.3
1.1
14.0
▲ 6.7
▲ 13.4
▲ 13.1
49.5
9.4
22.8
▲ 17.2
3.3
▲ 4.0
▲ 1.3
▲ 9.6
▲ 0.7
▲ 6.8
▲ 24.1
▲ 18.5
11.7
11.9
▲ 3.3
▲ 24.3
▲ 6.3
商品
注)株式は、日本、海外先進国、業種別がMSCI WORLDにおける当該地域・業種別の各指数、新興国がMSCI EM、
債券は、国債(日本、海外先進国、海外先進国ヘッジ有り)、社債(世界)、転換社債がBofA メリルリンチ債券インデックスにおける当該市場の各指数、国債(新興国《現地通貨建て》は
J.P. Morgan GBI - EM Broad、国債(新興国《米ドル建て》、新興国《米ドル建て》ヘッジ有)はJ.P. Morgan EMBI Global Diversified、社債(新興国《米ドル建て、投資適格》) は
J.P. Morgan CEMBI High Grade、社債(新興国《米ドル建て、ハイイールド》) はJ.P. Morgan CEMBI High Yield、物価連動国債(先進国)がバークレイズ世界物価連動国債インデックス、物価連動債(新興国)が
バークレイズ新興市場物価連動国債インデックス、リート(先進国)はS&P先進国REIT指数、 リート(新興国)はS&P新興国REIT指数、商品はブルームバーグ商品指数に基づく。
2016年は2015年末から基準日までの数字。
上記分析は作成時点のものであり、将来の市場環境等を示唆・保証するものではありません。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
出所)J.P. Morgan、Bloomberg、S&P、MSCI、バークレイズ、BofA メリルリンチより当社経済調査部作成
16
M
投資環境マンスリー 2016年8月号
Ⅳ.2016年8月の主要な政治・経済日程
月
8/1
M
火
2
水
3
木
4
(日)
7月 新車登録台数
(日)
7月 消費者態度指数
(日)
日銀金融政策決定会合議事要旨
(6月15日~16日分)
(米)
(米)
6月 建設支出
7月 ISM(米供給管理協会)
製造業景気指数
(米)
6月 個人所得・消費
(米)
(米)
(中)
(中)
7月 製造業PMI(マークイット)
7月 製造業PMI(国家統計局)
(他)
ブラジル 6月 鉱工業生産
(米)
7月 ADP雇用統計
7月 ISM(米供給管理協会)
非製造業景気指数
7月 新車販売台数
6月 経常収支
7月 銀行貸出
7月 景気ウォッチャー
(日)
7月 マネーストック
(米)
6月 卸売売上高
(英)
6月 鉱工業生産
(豪)
(中)
(中)
7月 NAB企業景況感指数
7月 消費者物価指数
7月 生産者物価指数
8
(日)
(日)
(日)
(独)
9
6月 鉱工業生産
15
16
(日)
(日)
4-6月期 実質GDP(1次速報)
6月 製造工業 稼働率指数
(米)
(米)
8月 ニューヨーク連銀景気指数
8月 全米住宅建築業協会
(NAHB)住宅市場指数
22
7月 鉱工業生産
7月 住宅着工・許可件数
7月 消費者物価
(独)
(英)
(英)
8月 ZEW景況感指数
7月 消費者物価指数
7月 生産者物価指数
23
7月 新築住宅販売件数
30
(日)
(日)
(日)
(米)
(米)
(他)
(米)
(仏)
7月 月次財政収支
6月 鉱工業生産
(豪)
(他)
8月 消費者信頼感指数
ブラジル 7月消費者物価(IPCA)
(米)
6月 S&P/ケース・シラー住宅価格指数
8月 消費者信頼感指数
(カンファレンス・ボード)
ブラジル 7月 失業率
(日)
(日)
6月 毎月勤労統計
6月 景気動向指数
(米)
(米)
(米)
6月 貿易収支
6月 消費者信用残高
7月 雇用統計
(伊)
6月 鉱工業生産
11
12
(米)
7月 輸出入物価指数
(米)
(米)
(米)
(米)
7月 鉱工業生産
(欧)
(欧)
(独)
(伊)
(中)
発表日未定経済指標など
6月 企業売上高・在庫
7月 生産者物価
7月 小売売上高
8月 ミシガン大学
消費者信頼感指数(速報)
4-6月期 実質GDP(2次速報)
6月 鉱工業生産
4-6月期 実質GDP(1次速報)
4-6月期 実質GDP(1次速報)
19
(日)
7月 貿易統計
(豪)
7月 雇用統計
FOMC議事録(7月27日開催分)
25
26
(日)
7月 企業向けサービス価格
(日)
(日)
7月 消費者物価指数(全国)
7月 消費者物価指数(総務省)
4-6月期 実質GDP(2次速報)
8月 ミシガン大学
消費者信頼感指数(確報)
9月 GfK消費者信頼感指数
4-6月期 実質GDP(2次速報)
4-6月期 実質GDP(2次速報)
(米)
7月 中古住宅販売件数
(米)
7月 耐久財新規受注
(米)
(米)
(独)
4-6月期 実質GDP(2次速報)
(独)
8月 ifo景況感指数
(独)
(仏)
(英)
(日)
7月 鉱工業生産
(日)
(日)
4-6月期 法人企業統計調査
8月 新車登録台数
(日)
8月 消費者態度指数
(米)
(米)
(米)
7月 中古住宅販売仮契約指数
8月 シカゴ購買部協会景気指数
8月 ADP雇用統計
(米)
(米)
7月 建設支出
8月 ISM(米供給管理協会)
製造業景気指数
(欧)
8月 消費者物価(速報)
(他)
ブラジル 4-6月期 実質GDP
(中)
(中)
8月 製造業PMI(マークイット)
8月 製造業PMI(国家統計局)
(米)
(米)
(米)
(米)
(米)
(伊)
(他)
7月 製造業新規受注
7月 耐久財新規受注
7月 貿易収支
8月 雇用統計
8月 新車販売台数
4-6月期 実質GDP(2次速報)
ブラジル 7月 鉱工業生産
31
7月 商業販売統計
7月 家計調査
7月 労働関連統計
6月 製造業新規受注
6月 耐久財新規受注
18
24
4-6月期 実質GDP(1次速報)
29
6月 機械受注統計
6月 第3次産業活動指数
7月 企業物価指数
17
(米)
(米)
(米)
(米)
(仏)
10
(日)
(日)
(日)
(米)
(米)
金
5
9/1
2
注)(日)は日本、(米)は米国、(欧)はユーロ圏、(英)は英国、(独)はドイツ、(仏)はフランス、(伊)はイタリア、(豪)はオーストラリア、(中)は中国、を指します。
日程は変更になる可能性があります。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
出所)Bloomberg等より当社経済調査部作成
17
M
投資環境マンスリー 2016年8月号
留意事項
◎投資信託に係るリスクについて
投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象としているため、当該資産の市場における取引価格の変動や
為替の変動等により基準価額が変動します。したがって、投資者のみなさまの投資元金が保証されているものではなく、基準価額の下落
により損失を被り、投資元金を割り込むことがあります。運用により信託財産に生じた損益はすべて投資者のみなさまに帰属します。
投資信託は預貯金と異なります。また、投資信託は、個別の投資信託毎に投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が
異なることから、リスクの内容や性質が異なりますので、ご投資にあたっては投資信託説明書(交付目論見書)、目論見書補完書面等を
よくご覧ください。
M
◎投資信託に係る費用について
ご投資いただくお客さまには以下の費用をご負担いただきます。
■購入時(ファンドによっては換金時)に直接ご負担いただく費用
・購入時(換金時)手数料 … 上限 3.24%(税込)
※一部のファンドについては、
購入時(換金時)手数料額(上限 37,800円(税込))を定めているものがあります。
■購入時・換金時に直接ご負担いただく費用
・信託財産留保額 … ファンドにより変動するものがあるため、事前に金額もしくはその上限額またはこれらの計算
方法を表示することができません。
■投資信託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用
・運用管理費用(信託報酬) … 上限 年3.348%(税込)
※一部のファンドについては、運用実績に応じて成功報酬をご負担いただく場合があります。
■その他の費用・手数料
上記以外に保有期間等に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見書)、目論見書補完
書面等でご確認ください。
※その他の費用・手数料については、運用状況等により変動するものであり、事前に金額もしくはその上限額ま
たはこれらの計算方法を表示することができません。
お客さまにご負担いただく費用の合計額もしくはその上限額またはこれらの計算方法は、購入金額や保有期間等に
応じて異なりますので、表示することができません。
《ご注意》
上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきましては、三菱UFJ
国際投信が運用するすべての公募投資信託のうち、ご負担いただくそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。投資信託に
係るリスクや費用は、それぞれの投資信託により異なりますので、ご投資をされる際には、事前によく投資信託説明書(交付目論見書)、
目論見書補完書面等をご覧ください。
各資産のリスク
◎株式の投資に係る価格変動リスク
:株式への投資には価格変動リスクを伴います。一般に、株式の価格は個々の企業の
活動や業績、市場・経済の状況等を反映して変動するため、株式の価格の下落により損失を被り、投資元金を割り込むことがあります。
◎公社債の投資に係る価格変動リスク
:公社債への投資には価格変動リスクを伴います。一般に、公社債の価格は市場金
利の変動等を受けて変動するため、公社債の価格の下落により損失を被り、投資元金を割り込むことがあります。
◎REIT(不動産投資信託証券、以下REIT)の投資に係る価格変動リスク
:REITへの投資には価
格変動リスクを伴います。一般にREITの価格は保有不動産等の価値やそこから得られる収益の増減等により変動するため、REIT
の価格の下落により損失を被り、投資元金を割り込むことがあります。
◎オルタナティブ(代替投資手段、以下オルタナティブ)の投資に係る価格変動リスク
:オルタナティブ
への投資には価格変動リスクを伴います。オルタナティブは各種有価証券、商品、ならびに関連する派生商品(デリバティブ)等に投資
するため、各種有価証券、商品、ならびに関連する派生商品(デリバティブ)の価格の変動により損失を被り、投資元金を割り込むこと
があります。
◎信用リスク
:信用リスクとは、有価証券等の発行者や取引先等の経営・財務状況が悪化した場合またはそれが予想された場合も
しくはこれらに関する外部評価の悪化があった場合等に、当該有価証券等の価格が下落することやその価値がなくなること、または利払
いや償還金の支払いが滞る等の債務が不履行となること等をいいます。この場合、有価証券等の価格の下落により損失を被り、投資元金
を割り込むことがあります。
◎カントリーリスク
:新興国への投資は、先進国への投資を行う場合に比べ、投資対象国におけるクーデターや重大な政治体制
の変更、資産凍結を含む重大な規制の導入、政府のデフォルト等の発生による影響を受けることにより、市場・信用・流動性の各リスク
が大きくなる可能性があります。この場合、有価証券等の価格の下落により損失を被り、投資元金を割り込む可能性が高まることがあり
ます。
本資料に関してご留意頂きたい事項
■本資料は、投資環境等に関する情報提供のために三菱UFJ国際投信が作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではあり
ません。本資料は投資勧誘を目的とするものではありません。
■投資信託は、預金等や保険契約とは異なり、預金保険機構、保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。銀行等の登録金融機関
でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の補償の対象ではありません。
■投資信託は、販売会社がお申込みの取扱いを行い委託会社が運用を行います。
■本資料の内容は作成時点のものであり、将来予告なく変更されることがあります。(作成基準日:2016年7月28日)
■本資料は信頼できると判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性等を保証するものではありません。
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■本資料に示す意見等は、特に断りのない限り本資料作成日現在の三菱UFJ国際投信経済調査部の見解です。また、三菱UFJ国際投信が設
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判断ください。
■クローズド期間のある投資信託は、クローズド期間中は換金の請求を受け付けることができませんのでご留意ください。
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◎流動性リスク
:有価証券等を売却あるいは取得しようとする際に、市場に十分な需要や供給がない場合や取引規制等により十
分な流動性の下での取引を行えない場合または取引が不可能となる場合、市場実勢から期待される価格より不利な価格での取引となる可
能性があります。この場合、有価証券等の価格の下落により損失を被り、投資元金を割り込むことがあります。
国内株式・国内債券への投資は上記のリスクを伴います。海外株式・海外債券への投資は上記リスクに加えて以下の為替変動リスクを伴
います。
◎為替変動リスク
:海外の株式や公社債、REIT、オルタナティブ資産は外貨建資産ですので、為替変動の影響を受けます。
そのため、為替相場が円高方向に進んだ場合には、投資元金を割り込むことがあります。
新興国への投資は上記リスクに加えて以下のカントリーリスクを伴います。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
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