高硬度・高靭性で高耐熱性の 超モリブデン合金

セラミックスでもなければ金属でもない!?
高硬度・高靭性で高耐熱性の
超モリブデン合金
東北大学大学院 工学研究科
知能デバイス材料学専攻
教授 吉見享祐
1
材料の強度と靭性のジレンマ
理想的な複合材料
K. Lu, “The Future of Metals”, Science 328 (2010) 319.
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材料の強度と靭性のジレンマ
現実的な複合材料
K. Lu, “The Future of Metals”, Science 328 (2010) 319.
2
材料の強度と靭性のジレンマ
温度が上昇する
T
現実的な複合材料
材料性能の劣化
K. Lu, “The Future of Metals”, Science 328 (2010) 319.
2
高温で複合材料の性能が顕著に
劣化する理由
• 金属相の高温強度が一層低下する(強度低
下)
• 界面すべりが活発になる(強度低下)
• 金属間化合物など高温で安定な別の物質が
生成する(低靭性化)
• 熱サイクル下では熱膨張係数の違いによっ
て熱疲労する(低靭性化)
特別な設計アイディアが必要となる
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高硬度・高靭性で高耐熱性の超モリブデン合金
超高温材料 モシブチック合金
• Mo-6.8Ti-2Si-1.5B 1.7C (wt.%)
• 溶解鋳造法で作製する
ことを特徴とする
(特許第5876943号)
• 金属Moと炭化物TiC,
ホウ化物Mo5SiB2の複
合材料
1800°C, 24時間で熱処理済
• 室温から融点近傍まで
ミクロ組織が安定
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モシブチック合金の開発ターゲット
高圧タービン動翼
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モシブチック合金の材料特性:融点
Tm (TiC): 3160°C
Mo-6.8Ti-2Si-1.5B-1.7C
Tm (Mo5SiB2):2160°C
Tm (Mo): 2623°C
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モシブチック合金の材料特性:密度
7
モシブチック合金の材料特性:
ヤング率
7
モシブチック合金の材料特性:
圧縮高温強度
公称応力−塑性ひずみ曲線図(圧縮変形)
ピーク応力の温度依存性
Mo-6.8Ti-2Si-1.5B-1.7C
Mo-4.8Ti-1.9Si-1.5B-1.2C
山本, 吉見, 金, 横山:日本金属学会誌, 80 (2016) 51 – 59.
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モシブチック合金の材料特性:
圧縮高温強度
ピーク応力のひずみ速度依存性
山本, 吉見, 金, 横山:日本金属学会誌, 80 (2016) 51 – 59.
9
モシブチック合金の材料特性:
高温引張クリープ強度
Rene 80:鋳造Ni基超合金
CMSX-4, TMS-138:Ni基単結晶超合金
Moss:Si含有Mo固溶体合金
SiC/SiC:SiC長繊維強化SiCマトリックス複合材料
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モシブチック合金の材料特性:
室温破壊靭性
RF06, RX95:実用超硬合金(サンアロイ工業(株)製)
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モシブチック合金の原料価格と資源
(株)高純度化学研究所様 粉末試料
元 素
確定埋蔵量(t)
モリブデン
1.1 M
ニオブ
0.4 M
タングステン
0.35 M
確定埋蔵量の国内訳
MINERAL COMMODITY SUMMARIES 2014
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実用化に向けた課題
• 放電加工 良好
• 穴あけ加工・研削加
工・切削加工 可
• 鋳塊の大型化 やや難
• 熱間鍛造 難
• 溶接性 不明
• 耐酸化性 要解決
– ペスト現象の抑制
次世代モシブチック合金
の開発(JST-ALCA)
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企業への期待
• 混合素粉末の押出成形による棒材,熱間プ
レス等による板材の作製,その他粉末加工プ
ロセスを実施いただける企業を募集中
• 工具類,金型等への応用展開を検討いただ
ける企業との連携
• 耐熱性の高い超硬合金をお探しの企業,あ
るいは金属材料の耐熱性の評価を検討中の
企業との共同研究
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本技術に関する知的財産権
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発明の名称
登録番号
出願人
発明者
:合金およびその製造方法
:特許第5876943号
:東北大学
:吉見 享祐,丸山 公一,後藤 孝,
宮本 慎平,金子 昂弘,森山 貴裕
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お問い合わせ先
東北大学 産学連携機構 総合連携推進部
産学連携コーディネーター 山田、松野
TEL 022-217 - 6043
FAX 022-217 - 6047
e-mail [email protected]
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