平成28年度 日本看護協会通常総会リポート 新たな“会員情報管理体制

8
AUGUST 2016
Volume 68 / Number 10
J NA
日本看護協会
機関誌
Journal of the Japanese
Nursing Association
/日本看護協会
020■会長の手帳
坂本 すが
021■副会長活動ダイジェスト
菊池 令子、大久保 清子、真田 弘美
022■専務理事からのワークリポート
井伊 久美子
洪 愛子、齋藤 訓子、福井 トシ子、中板 育美、川本 利恵子、勝又 浜子
024■常任理事のマンスリー通信
「認知症ケアガイドブック」
の発刊
島橋 誠
026■ TOPICS
久保 祐子
028■ TOPICS「平成28年熊本地震」の支援活動について
065■都道府県看護協会事業だより 高知県
中屋 光代
阿部 さとみ
066 ■神戸研修センターの窓から 看護師長対象の看護管理者研修を企画して
金井 Pak 雅子
067■国際情報のページ
JNA information
058■平成28年度 日本看護協会教育計画
061■今からでも間に合う! 平成28年度 日本看護協会教育計画 他
062■第 47回(平成28年度)日本看護学会学術集会 参加者募集!! 063■第4回日中韓看護学会:参加登録受付開始 他
JNA NEWS
と「カンゴサウルス賞」授賞式開催/日本看護協会が2016年度第1回記者会見を開催
064■「都道府県看護協会看護労働担当者会議」
特集 1
平成 28年度
日本看護協会通常総会リポート
032 ■看護の未来に向かって力強く踏み出すために ――平成28年度 日本看護協会通常総会
編集部
035 ■子ども・子育て世代の地域包括ケアの実践と保健師のキャリア構築に向けて
――全国保健師交流集会
編集部
038 ■地域で母子・女性・家族を支えるためのスキルアップと意識改革を考える
――全国助産師交流集会
編集部
041 ■次世代の看護を支える看護師長が輝くために
――全国看護師交流集会Ⅱ(介護・福祉関係施設・在宅等領域)
――全国看護師交流集会Ⅰ(病院領域)
編集部
044 ■「認知症の人が暮らし続けられるまちづくり」
へ向けて
特集 2
編集部
新たな“会員情報管理体制(ナースシップ)”始まる!
[メッセージ]日本看護協会の新「会員情報管理体制」
について
048 ●
井伊 久美子
[解説]会員情報管理体制はこう変わる!
050 ●
高柴 正
施設代表者・会員の皆さまからよくある質問
056 ●[Q&A]
特集 3
地域と連携して取り組む
高柴 正
糖尿病の透析予防
[メッセージ「
] 糖尿病の透析予防」
は地域ぐるみで ― 鍵を握るのは看護職!―
074 ●
[コラム]糖尿病透析予防 国の動向 078 ●
平井 愛山
松本 洋
[事例報告 1 埼玉県皆野町]行政保健師との連携で「日々の暮らし」からケア
079 ●
山崎 玉枝、梅津 順子
[事例報告 3 千葉県芝山町]病院と行政の連携による透析予防 ― 行政保健師・栄養士の立場から
087 ●
山口 伊代、小関 陽子
[事例報告 2 千葉県房総半島]病院看護師と保健師が互いに役割を発揮 職場環境を見すえた連携 西原 晴美、町田 恵子
083 ●
コラム
連載
003●GRAPH
未来に向けてさらなる改革を推進!
平成28年度日本看護協会通常総会開催
006 ●かお
110 ●読者 FAX シート
性の多様性への理解を社会全体に広げていくために
LGBT 当事者として啓発活動に取り組む看護師
兵庫県立大学地域ケア開発研究所・WHO 看護協力センター
ワーク・ライフ・バランス
097 ●看護管理者が元気になる ! 看護と人事の協働で実現する W L B
「ナースは生涯現役!」を支援するために
お知らせ
109●「看護」
FAX ご注文票
浅沼 智也さん
068 ● WHO NEWS
108 ●日本訪問看護財団からの
竹中 君夫
111 ●今月のおすすめ BOOKS+
● Information
112 ● 次号予告/編集後記
100●医療安全 TOPICS(69)
転院における医療安全上のリスク―医療機器の継続使用に関する事故から考える―
慶越 真由美
(17)
102●みっちゃんの 気になる“ことのは”
大人の発達障害
中島 美津子
104●医療行政なるほど塾
消費税率引き上げの再延期を安倍首相が決定
社会保障の充実「すべてはできない」と首相 「社会保険旬報」編集部
106●このひと月
大日方 公男
特別寄稿
091●熊本地震における看護学生の自主的支援活動
中村 美沙希、実崎 歩美
新連載
094●これでワンランク UP ! 相手も自分も責めないコミュニケーション術
ティーチングからコーチングへワンランク UP !
奥山 美奈
編集部のオススメ BOOKS
069●病院経営、病棟運営、地域連携、離職対策等、懸案事項が山積み…という方にオススメの本
SPECIAL INTERVIEW
070 ●さまざまな生活の場での看取りに学ぶ
「最期までその人らしく生ききる」ことを支援する看護ケア・
宮崎 和加子
本誌『看護』2014年 1 月号から、日本看
護協会ホームページ内の「会員ダイレク
ト」で協会の重点政策・事業を取り上げ
る「特集 1」や連載「TOPICS」など一部の
ページが見られるようになりました。閲
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ジのトップページにある会員ログインボ
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「会員ダイレクト」に
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ています。本誌に掲載された著作物の複製 ・ 翻訳 ・
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および送信可能化権を含む)に関する許諾権は、小
社が保有しています。
特集
平成 28 年度
日本看護協会通常総会リポート
平成28年度 日本看護協会通常総会で示された
4つの重点政策は前年度と同じ「地域包括ケアシ
ステムの構築と推進」
「看護職の労働環境の整備
の推進」
「看護職の役割拡大の推進」
「少子超高齢
社会に対応する人材育成」。総会では各政策の進
捗状況を示し、今年度の10の重点事業について
説明しました。総会参加者からは、特定行為研修
開始に伴う認定看護師教育の見直し、地域包括
ケアにおける母子保健のあり方、NICU 退院児へ
の支援のあり方、准看護師養成停止などについて
の質問があり、熱心な討議が行われました。本
特集では、通常総会とそれに続いて行われた全
※通常総会の模様については、巻頭カラーグラフもご覧ください
国職能別交流集会をリポートします。
特集 3
地域と連携して取り組む
糖尿病の透析予防
メッセージ
「糖尿病の透析予防」は地域ぐるみで
― 鍵を握るのは看護職!―
平井 愛山
千葉県循環器病センター総合診療内科 臨床研修アドバイザー
日本慢性疾患重症化予防学会(JMAP)理事長
高齢化が進む中で、生活習慣と社会環境の変化に
入の原因疾患のトップになり、また糖尿病による心
伴う糖尿病患者数の増加が課題となっています。こ
血管疾患が増加。厚生労働省は、介入効果が出るの
こでは、
「糖尿病の透析予防」に関する政策展開と、
に10〜20年はかかるとみられる従来のメタボ対策
「日本慢性疾患重症化予防学会(JMAP)」での取り
(糖尿病の一次予防・二次予防)から、発症後の糖
組みを中心に、予防に必要な連携や、看護職が果た
尿病の合併症の重症化予防(三次予防)に政策展開
す役割について述べていただきます。
の軸を大きく切り替えました。それが示されたのは
糖尿病の透析予防の背景と
これまでの政策展開
2011年2月に厚労省健康局が新たに発表した「糖尿
病疾病管理強化対策事業」で、これは診療連携体制
を基盤に糖尿病の三次予防をめざす画期的な取り組
みです。2012年に施行されたわが国の医療政策の
074
糖尿病患者数は、1990年代以降増加の一途をた
基本となる「健康日本21(第二次)」に基づく「標準
どり、この20年間で3倍に増加しています。患者数
的な健診・保健指導プログラム」では、今後取り組
の急増を受けて、2007年に施行された第5次改正医
む3つの目標の1つに「糖尿病腎症による新規透析
療法では、がん・脳卒中・心筋梗塞と並んで、新た
導入患者数の減少」が明記されました。
に4大疾病として糖尿病が重点的に取り組む疾病に
この基本方針の下、2012年4月の診療報酬改定
加えられ、都道府県単位で、地域医療連携を基盤と
から新たに導入されたのが「糖尿病透析予防指導管
する糖尿病対策がスタートしました。糖尿病は放置
理料(350点、以下:糖防管)」です。この糖防管の
すると網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き
詳細は、糖尿病性腎症2期以上の外来患者に対して、
起こし、患者の QOL を著しく低下させるだけでな
疾病管理の手法を用いて医師・看護師(または保健
く、医療経済的にも大きな負担を社会に強いること
師)
・管理栄養士からなるチームによる指導介入を
になるからです。
行い、1年後にその臨床アウトカム(HbA1c、腎機
1998年以降、糖尿病性腎症が人工透析の新規導
能:eGFR または血清クレアチニン、血圧)を報告
看護 2016. 8
メッセージ
「 糖 尿 病 の 透 析 予 防 」は 地 域 ぐ る み で
― 鍵を握るのは看護職!―
することを前提に、毎月1回350点の算定ができる
出をめざして設立されたのが、日本慢性疾患重症化
ものです。糖防管は、アウトカム報告を前提にした
予防学会(略称:JMAP) です 。医師・歯科医
糖尿病三次予防の実践・遂行を医療機関へ要請した
師・看護師・栄養士・薬剤師などの医療機関スタッ
国からの最初のメッセージだと理解できるでしょう。
フとともに、構成メンバーとして保健師等の行政関
2016年4月の診療報酬改定で、さらに内容が充実し、
係者が多数参加しているのが特徴です。
その算定要件に新たに「保険者による保健指導への
JMAPが最初に取り組んだのが、糖尿病重症化予
協力」が盛り込まれました。また、腎症4期(腎不全
防の最優先課題である医療機関での糖防管算定の
期)について、運動療法などによる介入で腎機能の
ツールとワークフローづくり。まず、糖防管算定の目
低下が改善(具体的には eGFR の低下率が一定以上
標を糖尿病性腎症による新規透析導入患者数の減少
改善)した場合の腎不全期患者指導加算(100点)が
に絞りました。そして、限られた医療資源を集中的に
新たに付け加えられ、医療機関を対象とした糖尿病
投入し明確なアウトカムを創出することをめざして、
重症化予防の取り組みはさらに強化されました。
最優先の介入対象を「5年以内に透析導入になる急速
一方、国は2012年ごろから自治体国保、健保組
進行性糖尿病性腎症の患者」とし、その層別抽出ツー
合や協会けんぽをはじめとする医療保険者に対して、
ルとして、
「疾病管理 MAP」と指標の ΔeGFR(年
レセプト情報や健診情報などからなる国保データ
間当たりの eGFR の低下量)を整備しました。
ベース(KDB)を活用した受診勧奨を呼びかけ、重
疾病管理 MAP は、各医療機関に通院加療中の全
複受診の回避や重症化予防などをめざす「データヘ
糖尿病患者集団を対象として、HbA1c、eGFR、尿
ルス事業」を展開しています。2016 年6 月には、
中微量アルブミン定量、尿蛋白定量等からなるミニ
データヘルス、予防・健康づくりの取り組み状況に
マムデータセットを用いて、その医療機関の全糖尿
1)
*1
2)
ついて、医療保険者を対象とした全数調査を実施 。
病患者の中に各腎症ステージの患者が何人いるのか、
今後、国はこの調査結果を基に、医療保険者の保健
そして、優先的に介入する必要のある患者が何人い
事業の参考となるよう、糖尿病重症化予防の好取り
るのかを可視化し、層別抽出できる IT ツールです 。
組み事例などを紹介することになっており、データ
一方、3期以上の糖尿病性腎症では、顕性蛋白尿
ヘルス事業と糖尿病重症化予防(三次予防)は、医
の出現と平行して、腎機能(具体的には eGFR)が
療機関・医療保険者の共通したキーワードとして、
時間とともに直線的に低下していくことに注目し、
今後ますます重要になっていくと思われます。
臨床指標(ΔeGFR)を導入。また ΔeGFR から透
日本慢性疾患重症化予防学会(JMAP)
の設立と糖尿病透析予防手法の確立
3)
析導入の時期を見える化することも可能です。
*2
KDIGO の2013年の診療ガイドラインでは Δ
4)
eGFR が5以上を急速進行性の腎症としています 。
JMAP では、ΔeGFR が5以上で、5年以内に透析
こうした一連の国の医療政策展開を受けて、医療
導入になる患者を急速進行性糖尿病腎症として、最
機関における重症化予防のツールとワークフローを
優先介入の対象としました。
構築し、地域ぐるみの取り組み、すなわち医療機関
また JMAP では、エクセル2007以上で作動する
と医療保険者との連携・協働によるアウトカムの創
「疾病管理 MAP」とΔeGFR をワンセットにしたコ
* 1 The Japanese Multidisciplinary Academy of the Prevention
* 2 Kidney Disease Improving Global Outcomes
Vol. 68 No. 10
075
次号予告
9 月号
8月20日発行・発売
編集後記
●夫が病気になって家族の健康が第一としみじみと思い、1カ月に
1度、夫の母の様子を見に山形に行く生活を始めてみて地域のつな
がりの強さ・温かさを実感。今、医療と介護の必要性・重要性を身
特集 1
病院で働く看護職の
賃金のあり方
2016年6月に公表された「
『病院で働く看護職
の賃金のあり方』日本看護協会の提案」を紹介し、
その基本的な考え方や内容を解説。そして賃金
全体のモデル事例を示しながら、看護職を長期
的に定着させ、育成・活用するための人事管理
のあり方を示します。
に染みて感じている者として、再度『看護』という雑誌づくりにかか
われて光栄です。しばらくの間よろしくお願いいたします。(阿部)
●以前、家族が透析治療を受けていたことがあり、毎日必ず通わ
なければいけないというのは、本人にとっても家族にとっても負
担が大きいものでした。踏み止まれるチャンスがある方には、ぜ
ひ踏み止まってほしい! 今月号の特集3は、
「地域と連携して取
り組む糖尿病の透析予防」です。
(遊佐)
●今春は LGBT 啓発イベント取材の機会が多く、住宅事情がテー
マのイベントでは当事者や不動産・行政関係者から「入居審査」
「近
所づきあい」の困難さ等の現状を聞きました。
「その人らしく生き
る支援」の“その人”の背景も多様でしょうし、ほかに自分がまだ
知らない方面での課題もあるんだろうなと感じています。(米丸)
特集 2
看護職の起業家を
育てる
在宅看護を支える施設を管理・運営する看護
職を育成するための取り組み「日本財団在宅看
護センター起業家育成事業」を紹介。看護職が
起業し施設を運営していくためにはどんな力が
必要か、看護職だからこそ果たせる役割とは何
かについて考えます。
●来年の誌面構成を考える際の参考にさせていただくため、メール
で新刊案内をさせていただいている方を対象にアンケートをお願い
しました。お答えいただいた皆さまからは、参考になるご意見とと
もに温かいお言葉もいただき、大変励みになりました。より皆さま
の役に立つ誌面をめざして改善に取り組んでまいります。 (濵田)
2016
8
6月
臨時増刊号
好評発売中!
Vol. 68
No. 10
発 行 所:
(株)
日本看護協会出版会
東京都渋谷区神宮前 5 - 8 - 2 日本看護協会ビル 4 階
Tel.0436 - 23 - 3271(コールセンター:ご注文)
振替 00190 - 8 -168557
東京都文京区関口 2 - 3 -1
総特集
Tel.03 - 5319- 8017(編集直通)
病院看護職の介護保険入門
編 集 長:
濵田 拓男
地域包括ケアの時代、欠かせないのが介護保
険の知識。本号では病院看護職が身につけてお
くべき基礎知識をまとめます。制度の解説に加
え、それぞれの現場から介護保険サービスの実
際も報告していただきます。
※予告内容は変更になる場合があります。
看護 2016. 8
August 2016
発行・発売
: 2016年 7 月 20日
地域包括ケアの共通言語を身につける!
112
日本看護協会 機関誌
発 行 人:
井部 俊子
編 集 者:
米丸 未央子・遊佐 なつみ・阿部 真里子・古川 美穂子
編 集 委 員: 井伊 久美子・和田 幸恵・長田 晋一・伊藤 雄介(日本看護協会)
D
T
P:
今村 陽子・長谷川 栄
表紙イラスト: 平岡 瞳
本文イラスト: しおた まこ
表紙デザイン: 新井田 清輝
本文デザイン: 手塚 久美子(móno)
・新井田 清輝
印 刷: 三報社印刷株式会社
定 価:
本体 1,400円 + 税