フラックス添加固相反応法に よる単結晶性薄膜の作製方法

フラックス添加固相反応法に
よる単結晶性薄膜の作製方法
東京大学
新領域創成科学研究科
客員教授 鯉沼 秀臣
東京工業大学
応用セラミックス研究所
准教授 松本 祐司
1
従来技術とその問題点
既に実用化されているものには、
1)固相反応法
2)反応性固相エピタキシー
等があるが、
反応温度が高いことに起因する組成ずれの発生
分解溶融型の化合物の分解・相分離
等の問題があり、広く利用されるまでには至っていな
い。
2
反応性固相エピタキシー法
化学量論組成のアモルファス膜を高温焼成
http://www.apchem.nagoya-u.ac.jp/06-III-1/koumotoken/index.html
3
新技術の特徴・従来技術との比較
• 従来技術の問題点であった、
「高い反応温度」の低温化
「分解反応」の抑制
「組成ずれ」の改善
に成功した。
• 従来は化合物の熱安定性の点で一致溶融型の固
相合成に限られていたが、Bi酸化物フラックスを共
添加することで、多種多様な化合物薄膜の固相エピ
タキシーが可能となった。
• 本技術の適用により、多様な材料に対して、単結晶
レベルの薄膜を安価に、簡単に製造できるものと期
待される。
4
実施例
強誘電体Bi4Ti3O12薄膜
1 高温で不可逆に分解!
2 異なる相が多い!
高温での反応性固相エピは困難
5
Bi2O3過剰下でのBi4Ti3O12薄膜の
反応性固相エピタキシー
TiO2
Bi2O3
BiOx25% TiOx75%
BiOx50% TiOx50%
BiOx75% TiOx25%
BiOx100%
Amorphous
Amorphous
Nothing
Nothing
TiOx100%
1200℃
Rutile(110)
1000℃
Rutile(110)
800℃
Rutile (110)
Non-anneal
Amorphous
BIT(001)
BIT(001)
Bi2Ti4O11
Rutile(110)
Bi2O3
Bi2O3
Bi2O3
Bi2O3
BIT(001)
BIT(001)
BIT(001)
Amorphous
Amorphous
Amorphous
Amorphous
10μ
m
6
高品質Bi4Ti3O12薄膜の作製に成功
Bi 57, Ti 43 (BIT)
TiOx
Position
[ mm ]
BIT
1200℃
100
BiOx
80
60
40
5μm×5μm
20
0
1000℃
Bi 62 , Ti 38 (Bi-rich)
Composition
spread
TiO2
800℃
1 m
Bi2O3
Bi2Ti4O11
Bi4Ti3O12
STO( 002)
500nm×500nm
7
想定される用途
• 本技術の特徴を生かすためには、安価な既存の単結晶基板
上に、ニーズに合った単結晶薄膜を作り込むことに本技術を
適用することで、「単結晶薄膜基板」として製品化。従来の大
型単結晶丸ごとの製造プロセスとくらべ、少量の原料で、低
コスト化のメリットが大きいと考えられる。
• 上記以外に、既存の単結晶基板材料の高機能化(例えば、
デバイス作製用基板)による付加価値の効果が得られること
も期待される。
• また、達成された薄膜表面の形状に着目すると、既存の単
結晶基板表面の表面改質といった分野や用途に展開するこ
とも可能と思われる。
8
Bi酸化物フラックスの応用例(1)
エピタキシャルScAlMgO4薄膜の作製
ScAlMgO4(SCAM)の結晶構造
Ref. : A.Tsukazaki et al, Jpn.J.Appl.Phys.44,L643 (2005)
A.Tsukazaki et al, Nature Mater. 4, 42 (2005)
SCAMと Al2O3の比較
Lattice
Constant
[• ]
Misfit to
ZnO
[%]
Misfit to
GaN
[%]
SCAM
3.246
0.09
1.79
Al2O3
4.758
15.4
13.8
格子整合が良い
格子定数: a=3.246 [ • ], c=25.195 [ • ]
SCAMはp型ZnOに対して有効な基板材料
9
SCAM(0018)
substrate
SCAM(0015)
SCAM(0012)
unknown
SCAM(009)
substrate
SCAM(006)
substrate
unknown
substrate
フラックス
なし
あり
Furnace Heating
Amorphous film with mixed target
Substrate
10
Bi酸化物フラックスの応用例(2)
MgO単結晶基板の平坦化
flux
substrate
QuickTimeý Dz ÉOÉâÉtÉBÉbÉNÉX êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇ-Ç• ÅB
substrate
QuickTimeý Dz ÉOÉâÉtÉBÉbÉNÉX êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇ-Ç• ÅB
1時間
アニール
蒸発
liquid
substrate
solid
市販基板
フラックス
+アニール処理後
10x10m
10x10m
half
unit
1
[ m]
0.8
[nm]
1
[ m]
0.000 nm
3.693 nm
0.000nm
0
0
0.733nm
11
想定される業界
• 想定されるユーザー
単結晶製造メーカ
電気・半導体メーカ加工工場・研究所等
12
実用化に向けた課題
• 現在、実験室レベルで、大きさ10mm□が可
能なところまで開発済み。しかし、大面積化プ
ロセスへの点が未解決である。
• 原理的には、アモルファス原料を基板上に堆
積できる手法であれば、何でも良いはず。ス
パッタ、MOCVD、ゾル-ゲル法など様々な膜
堆積手法に適用できる。
13
企業への期待
• 未解決の大面積化については、原理的に克
服できると考えている。
• 薄膜作製技術を持つ、企業との共同研究を
希望。
• また、本技術は、Bi酸化物材料に限ったもの
ではなく、他の材料開発に展開できるので、
他の材料開発への展開を考えている企業に
は、本技術の導入が有効と思われる。
14
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :固相フラックスエピタ
キシー成長法
• 出願番号 :特願2004-085232
• 出願人
:科学技術振興機構
• 発明者
:鯉沼秀臣、松本祐司、
高橋竜太
※特許出願から1.5年未満の未公開特許情報を含んだ説明会ですので、情報の
取り扱いに十分ご注意下さい。公開する情報の範囲につきましては、特許出願
人(知財本部、TLO等)とご相談ください。
15
お問い合わせ先
【技術内容について】
東京工業大学 応用セラミックス研究所
研究室 松本研究室 松本 祐司
電話:045ー924ー5314 FAX:045ー924ー5377
E-mail: matsumoto@oxide.msl.titech.ac.jp
【技術移転について】
科学技術振興機構(JST) シーズ展開課
技術移転プランナー 遠藤 穂積
電話:03-5214-7519 FAX:03-5214-8454
E-mail: h3endo@jst.go.jp
16