グローバル・マクロ・ トピックス 2016/ 7/20 投資情報部 シニアエコノミスト 折原 豊水 レアルは中銀会合や財政改善策にらみの展開 ブラジル中銀は7月会合で政策金利を据え置き、タカ派的な姿勢を維持する見込み。ただ、イン フレ圧力は緩和の兆しがあり、17年以降は物価が徐々に安定するとみられ、年内利下げも。 下院議長選はテメル暫定政権派が勝利、世論調査でもテメル氏が盛り返しており財政改革を進 めやすい環境。弾劾裁判を経てテメル氏が大統領に昇格すれば財政改革に踏み込むだろう。 レアルは財政改革の進展期待等による下支えが見込まれる。中銀総裁は為替スワップ残高を ゼロにしたい意向を示すが、介入ペースは前回に比べ抑制されており、慎重に進めているとみ られる。 7月会合ではタカ派 的な姿勢が維持され る見込み ブラジル中央銀行(以下、中銀)は7/19~20に金融政策委員会(COPOM)を行 い、政策金利を14.25%で据え置く見込み。インフレ圧力は6月消費者物価指数が前 年同月比+8.8%と12ヵ月ぶりに8%台まで鈍化したものの、ゴールドファイン中銀総裁 は7/7、「消費者物価は物価目標(+4.5%)から大きくかい離している」と述べた。この ため、政策金利を据え置くことに加えて、声明文についても、「市場のインフレ予想 がインフレターゲットの中央値からかい離していることが、金融緩和を行うことを許容 しない」といった前回6月会合の文言が踏襲されるとみている。 17 年以降の 物価安 定を見越して16年内 に利下げを見込む みずほ証券投資情報部では通貨高による輸入物価の伸び抑制や、天候不順に よって上昇した食料品価格の伸びが徐々に鈍化することより、2017年以降、消費者 物価が安定に向かうとみている。また、後述するように、16年9月にかけて政府の財 政改善に向けた取り組みの進ちょく状況も確認できるとみられるため、早ければ10 月ないし11月会合にも、17年以降の物価安定を見越して利下げを行う可能性があ るとみている。16年末時点の政策金利は13.25%~13.75%と予想している。なお、金 融市場では財政改革の進展期待やインフレ圧力の緩和、利下げ観測により、2年国 債利回りは12%台前半まで低下している。 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 2016/7/20 グローバル・マクロ・トピックス インフレ率(IPCA、前年比)の推移 (%) 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 ブラジルの政策金利と2年国債利回り (%) (月次:2013/1~2016/6) (週次:2009/1/2~2016/7/15) 17 8.8 医療 政策金利 16 2年国債利回り 15 住宅・家具・衣服 14 13 教育・娯楽 12 11 運輸・通信 10 9 食料・飲料 8 13 14 15 16 (年) 消費者物価 (IPCA) 09 10 11 12 13 14 15 16 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 出所:CEICデータよりみずほ証券作成 テメル大統領代行の 支持率がやや回復 7 (年) 7月中旬に発表された大統領の支持率に関する現地世論調査(Datafolha)では、 テメル大統領代行に対する支持率は「良い/非常によい」と「普通」を合わせて5割を 超え、「悪い/非常に悪い」の3割を上回った。これ以前に行われた別の世論調査 (CNI-IBOPE:6月実施)の5割弱の支持率に比べやや上昇している。また、ルセフ 大統領の弾劾賛成が約7割となり、弾劾反対の約2割を大きく上回っている。オリン ピック終了後の8月下旬にも弾劾裁判を経てテメル氏が大統領に昇格すれば、政権 の安定度が増すだろう。 下院議長選ではテメ ル派が勝利、財政改 革に弾み また、連邦下院ではクーニャ下院議長(汚職疑惑等で職務停止中だった)の辞任 にともなう下院議長の選挙が7/13に下院で行われ、テメル暫定政権派のロドリゴ・マ イア議員が、クーニャ下院議長の派閥に属していたロジェリオ・ロッソ議員を決選投 票において285票対170票で破り当選した。下院において抵抗勢力であったクー ニャ派の勢いが削がれることで財政改革法案の審議が進みやすくなるだろう。 テメル政権は財政改 テメル大統領代行は7/15、財政改革について、公的資産の売却等による歳入増 革に向け議会と折衝 続く、弾劾判決後が ヤマ場 をA案(7/7に大枠発表)、歳出の伸びに上限を設ける憲法修正案をB案(6/15大枠 発表)としたうえで、A案やB案の進ちょくをみてもし必要があれば、増税等のC案も 検討するとした。政府はA案やB案の成立を前提とした2017年の基礎的財政収支目 標を7/7に発表した。その具体的な詳細については今後発表される見込み。B案に よって教育や医療等の社会保障まで抑制すれば、大統領の支持率低下や10月の 大型地方選挙にマイナスとなるおそれもあり、落としどころを巡って議会と折衝が続 いているとみられる。テメル氏はC案の必要性は高くないが、8月末までにその必要 性を判断するとしている。市場ではすでにA案の成立はほぼ織り込んでおり、加えて B案が成立すれば好意的に受け止めるだろう。他方、B案が紛糾し成立が難しくなっ たなかで、代案としてC案が検討されたり、仮にC案も成立せず財政目標の下方修 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 2 2016/7/20 グローバル・マクロ・トピックス 正となると市場にとってネガティブとなろう。弾劾裁判が終了する8月下旬から9月が 財政審議を巡るヤマ場となろう。 レアルは年初来高値 更新後、上昇ペース はやや鈍化 ブラジルレアルは6/30、1ドル=3.18レアルと年初来高値を更新したものの、7/1に はブラジル中銀が5/18以来となるレアル売りドル買いに相当するリバース(為替)ス ワップ入札を開始したことで、7/7には3.36レアル台まで下落した。その後、7/8に17 年の基礎的財政収支の改善案が発表されたことや、7/13、下院議長選挙でテメル 暫定政権派が勝利したことを好感し、3.2レアル台まで反発している。 財政改革や 景気回 復期待がレアルを下 支え 今後については、①8月下旬に予定されるルセフ大統領の弾劾裁判で罷免が成 立してテメル氏が正式に大統領となり政権の安定度が増す、②テメル暫定政権が 議会と協調して、一部修正しつつも財政改革法案成立に向けた展開が開ける、③ インフレ圧力の緩和や財政改革期待等により、消費マインドや企業マインドが改善 し景気悪化ペースに緩和の兆しがあらわれる、等の段階を踏んでいくことで、レアル の下支えが見込まれる。 中銀総裁は 為替ス ワップ残高をゼロに したい意向も、介入 ペースは緩やか ただ、中銀が7/19にかけ連日のように為替介入を行っていることから、レアルの 上値はやや重くなるとみられる。中銀総裁は7/13、スワップ残高(566億ドル)はゼロ にすることが望ましいと発言している。ただ、介入規模は前回2016年3月下旬以降と 比較して抑制されている。市場への中銀の介入の強まりと受けとめられないよう慎重 に対応していることがうかがえる。レアル高圧力が続いている場面でスワップ残高の 圧縮を市場に配慮しながら淡々と進めるとみられる。 リスクとしては、世界経済の減速懸念や投資家のリスクオフにより、原油価格の急 落や人民元安が加速することが挙げられる。ブラジル国内では、テメル暫定政権下 でも幹部の汚職疑惑が続き政治不信が長期化することが挙げられる。 ブラジルレアルと中銀の為替介入額 ブラジルレアルと中銀の為替スワップ残高 (日次:2016/1/1~2016/7/11) リバーススワップ入札額(右目盛) (1ドル=レアル) 3.00 テメル暫定 政権発足 ↑レアル高 ↑レアル売りドル買い介入 3.20 3.40 政権交代期待 原油価格上昇 3.60 (月次:2011/1~2016/7) ドル・レアル(左逆目盛) (10億ドル) Brexit 米利上 げ観測 3.80 米利上げ先 送り観測 4.00 4.20 16/1 16/2 16/3 16/4 16/5 (注)リバーススワップはレアル売りドル買いに相当 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 16/6 9.0 8.0 7.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 ブラジル・レアル(左逆目盛) (1ドル=レアル) 1.5 (年/月) ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 0 20 40 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 ↑レアル上昇 ↑スワップ・レアル買い(ネット) 4.5 16/7 (10億ドル) 中銀の為替スワップ残高(右逆目盛) 11 12 13 14 15 16 120 100 80 60 40 20 (年) (注)スワップ残高はドル売りポジションはマイナス、ドル買いはプラス 表記、スワップ残高は7/18、レアルは7/18まで 出所:ブラジル中銀、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 3 2016/7/20 金融商品取引法に係る重要事項 グローバル・マクロ・トピックス ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化 等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料を ご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込 み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含 む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込 むことがあり、損失を被ることがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与 えることがあります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が 当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売 却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市 場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商 品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および 諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。 詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金 に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、 約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別 途手数料および諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託 手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券 取引口座管理料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決 定した為替レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または お客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-160720-09 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 4
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