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2016/
原油価格週間動向
7/19
投資情報部
シニアコモディティアナリスト
津賀田 真紀子
OPEC原油生産量、過去最高を更新
WTI 原油先物相場は先週、一時1バレル=44 ドル台と今年 5 月以来、およそ 2 ヵ月ぶりの安値をつけた。
世界の原油需給は依然として供給過剰であり、6 月の OPEC 原油生産量は過去最高を更新する結果と
なった。英国の EU 離脱問題で、今後、欧州の原油需要が減少する可能性も懸念されている。一方、米国
内の原油在庫は前年同期を大幅に上回る状態が続いており、ドライブシーズンの影響による需給改善も
期待が持ちにくい。米国の追加利上げ見送りにより、一時的にドル安に振れる可能性があることは下支
え要因ではあるが、利上げの方向性は維持されるとみられることから、効果は限定されるだろう。
国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物相場は先週、
OPEC原油生産量
は増加傾向に。6
月も過去最高を更
新
一時 1 バレル=44.42 ドルと 5 月以来、およそ 2 ヵ月ぶりの安値をつけた。強材料に乏
しいことから、上値の重い推移が続いている。
先週 12 日に石油輸出国機構(OPEC)から発表された最新の月報によると、6 月の原
油生産高は日量 3,286 万バレルと過去最高を更新。2016 年第 2 四半期(4~6 月)の
世界の原油需給は日量 110 万バレルの供給過剰であった。カナダで発生した森林火
災にともなうオイルサンドの生産施設閉鎖や、ナイジェリアで起きた武装勢力によるパ
イプライン攻撃等の影響で、供給過剰の幅は第 1 四半期(1~3 月)から大幅に改善し
たものの、依然として供給過剰の状態であることに変わりはない。
イランの経済制裁解除にともなう増産ばかりが懸念されてきたが、実際にはサウジアラ
ビアの増産意欲の方が強く、6 月の生産量は日量 1,055 万バレルと昨年末から 4%も
増加している。生産能力が上限に近づきつつあるため、ここから先の増産は限定され
ると考えられるが、引き続き原油相場にとって下押し圧力として意識されるだろう。
原油価格動向
W T I原油と北海ブレント原油先物価格
2016/7/4
~
~
2016/7/11
期間
前週比
2016/7/15
WTI
北海
ブレント
(1バレル=ドル)
70
(週次:2015/1/2~2016/7/15)
(1バレル=ドル)
2
65
2016/7/8
始値
45.07
48.38
▲ 3.31
60
高値
46.93
49.35
▲ 2.42
55
安値
44.42
44.77
▲ 0.35
50
終値
45.95
45.41
0.54
45
始値
46.49
50.60
▲ 4.11
40
高値
48.57
50.75
▲ 2.18
35
安値
45.90
46.15
▲ 0.25
終値
47.61
46.76
0.85
0
▲2
▲4
▲6
▲8
▲ 10
値差(右目盛)
WTI(左目盛)
北海ブレント(左目盛)
30
▲ 12
25
15/1
(注)価格は 1 バレル=ドル
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
15/3
15/5
15/7
15/9 15/11 16/1
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
1
1
16/3
16/5
▲ 14
16/7
(年/月)
2016/7/19
原油価格週間動向
英国の EU 離脱が
世界需要を下押す
可能性
なお、OPEC 月報では、欧州連合(EU)離脱が選択された英国民投票の結果が世界
経済および欧州の原油需要を下押しする可能性があると示唆されている。2016 年第
4 四半期(10~12 月)の世界需要は日量 9,520 万バレル、2017 年第 4 四半期は同
9,630 万バレルと予想されているが、今後、下方修正される展開も十分考えられる。
一方、米国内の原油在庫がいまだ高水準を維持していることもマイナス要因だ。米エ
ネルギー情報局(EIA)の週間石油統計によると、7/8 時点の米原油在庫は 5 億 2,180
万バレルと、前週から約 254 万バレル減少したものの、前年同期を 13.1%も上回る結
果となった。米ガソリン在庫は 2 億 4,008 万バレルと前年同期を 10.1%上回る。米国の
ドライブシーズンの需要のピークは 7/4 の独立記念日とされており、すでにピークアウ
トが意識され始めている。年内の大幅な需給改善はもはや期待薄といえそうだ。
唯一強材料を挙げるとすれば、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが
見送られ、再びドル安に転じる可能性があることだ。ただし、6 月の雇用統計が予想を
上回る結果であったことから、利上げの方向性は維持されるものと思われる。仮にドル
安に転じたとしても下落幅は限定されるとみている。
OPEC 加盟国余剰生産能力
世界原油需給
(四半期:2013/3~2017/12)
(百万バレル/日)
(2014/11 → 2016/6)
(百万バレル/日)
98
3
インドネシア
エクアドル
96
2
94
1
92
0
クウェ ート
アルジェ リア
ベネズエラ
2014年11月
アンゴラ
2016年6月
カタール
UAE
イラク
リビア
ナイジェ リア
90
過不足(右目盛)
需要(左目盛)
供給(左目盛)
88
13/3
15/3
14/3
16/3
17/3
▲1
イラン
サウジアラビア
▲ 500
▲2
(年/月)
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
OPEC 原油生産量
C FT C非商業筋建玉とWTI原油先物価格
(月次:2013/1~2016/6)
(週次:2014/4/1~2016/7/15)
(万枚)
33.5
(1バレル=ドル)
50
33.0
120
45
32.5
31.5
31.0
買残-売残(左目盛)
110
WTI原油先物(右目盛)
100
40
2016年
32.0
過去3年最多
35
過去3年平均
30
90
80
70
60
過去3年最少
30.5
3,500
(千バレル/日)
(注)2016 年第 3 四半期以降の需要は OPEC 予想
出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成
(百万バレル/日)
0
50
25
40
30.0
20
30
29.5
15
29.0
14/4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
14/7
14/10 15/1
15/4
15/7
15/10 16/1
10 11 12 (月)
16/4
20
16/7
(年/月)
(注)CFTC 非商業部門建玉は 7/12 現在
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
22
2016/7/19
原油価格週間動向
■ エネルギー関連統計
日付
国・地域
7 月 20 日
7 月 20 日
7 月 20 日
7 月 20 日
7 月 20 日
7 月 20 日
7 月 20 日
7 月 20 日
7 月 22 日
7 月 22 日
7 月 22 日
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
イベント
米国原油在庫(前週比・千バレル)
オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル)
米国ガソリン在庫(前週比・千バレル)
米国中間留分在庫(前週比・千バレル)
米国製油所稼働率(前週比)
米国原油推定需要(千バレル/日)
米国ガソリン推定需要(千バレル/日)
米国留出燃料推定需要(千バレル/日)
ベーカー・ヒューズ掘削リグ稼働数
ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ稼働数
ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ稼働数
期間
7 月 15 日
7 月 15 日
7 月 15 日
7 月 15 日
7 月 15 日
7 月 15 日
7 月 15 日
7 月 15 日
7 月 22 日
7 月 22 日
7 月 22 日
前回
▲2,546
▲232
1,213
4,058
▲0.2%
16,690
10,065.9
4,511.3
447
89
357
■ 今週の経済指標
日付
国・地域
7 月 19 日
7 月 19 日
7 月 19 日
7 月 19 日
7 月 19 日
7 月 19 日
7 月 19 日
7 月 19 日
7 月 20 日
7 月 20 日
7 月 20 日
7 月 20 日
7 月 21 日
7 月 21 日
7 月 21 日
7 月 21 日
7 月 21 日
7 月 21 日
7 月 21 日
7 月 21 日
7 月 21 日
7 月 22 日
7 月 22 日
7 月 22 日
7 月 22 日
欧州
欧州
欧州
欧州
米国
米国
米国
米国
欧州
欧州
米国
欧州
欧州
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
欧州
欧州
欧州
米国
イベント
ECB 銀行貸出サーベイ
建設業生産高(前月比)
建設業生産高(前年比)
ZEW 調査(期待)
住宅着工件数
住宅着工件数(前月比)
建設許可件数
住宅建設許可(前月比)
ECB ユーロ圏経常収支(季調済)
経常収支(季調前)
MBA 住宅ローン申請指数
消費者信頼感
ECB 主要政策金利
シカゴ連銀全米活動指数
新規失業保険申請件数
失業保険継続受給者数
フィラデルフィア連銀景況
FHFA 住宅価格指数(前月比)
中古住宅販売件数
中古住宅販売件数(前月比)
先行指数
マークイット ユーロ圏製造業 PMI
マークイット ユーロ圏サービス業 PMI
マークイット ユーロ圏コンポジット PMI
マークイット米国製造業 PMI
期間
5月
5月
7月
6月
6月
6月
6月
5月
5月
7 月 15 日
7 月 1 次速報
7 月 21 日
6月
7 月 16 日
7月9日
7月
5月
6月
6月
6月
7 月 速報
7 月 速報
7 月 速報
7 月 速報
前回
▲0.2%
▲0.4%
20.2
1,164,000
▲0.3%
1,138,000
0.7%
36,200,000,000
34,000,000,000
7.2%
▲7.3
0.0%
▲0.51
254,000
2,149,000
4.7
0.20%
5,530,000
1.8%
▲0.2%
52.8
52.8
53.1
51.3
(注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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2016/7/19
金融商品取引法に係る重要事項
原油価格週間動向
■国内株式のリスク
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資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。
■国内株式の手数料等諸費用について
○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負担いただ
きます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手
数料としてご負担いただきます。
○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。
○保護預かり口座管理料は無料です。
■外国株式のリスク
○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含む)、国や地域
の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込むことがあり、損失を被るこ
とがあります。
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ります。
○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が当該証券の
高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。
○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売却してお客さ
まの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市場があっても当該証券の
流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生しても本邦投資家が取り扱いできないこ
とがあります。
○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商品取引法に基
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■外国株式の手数料等諸費用について
○外国委託取引
国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および諸費用の額
は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。詳細は当社の担当者まで
お問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金に対して最大 1.08%+2,700 円(税込
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お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別途手数料お
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○外国証券取引口座
外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券取引口座管理
料は無料です。
外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決定した為替
レートによるものとします。
商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書またはお客さま向け
資料等をよくお読みください。
商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
広告審査番号 : MG5690-160719-23
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