平成 28 年度 特別区Ⅰ類(事務) ボーダーラインについて

平成 28 年度
特別区Ⅰ類(事務)
ボーダーラインについて
特別区では,希望者に対して試験成績を受験者本人に開示していますが,試験の総配点数や配点比率等については非
公表であるため,その数値については不明であり,全てTACにおける推測であることをご了承ください。
■ 1.受験状況 ■
平成 28 年度の事務区分の採用予定者数は約 940 名程度と,昨年度より 10 名の増加となりました。一方,
申込者数は昨年度より 3,040 名,受験者数は 2,083 名の増加となりました。よって,現時点での名目倍率(受
験者数/採用予定者数)は,約 12.5 倍となっています。
(昨年度は約 10.4 倍)
平成 20 年度以降は,最終合格者数は採用予定者数の 1.8 倍~2 倍程度になっておりますので,今年度の採
用予定数や申込者数,受験者数を考慮すると,最終合格者数は 1,800 名前後になるものと予想されます。
その結果,実質倍率(受験者数/最終合格者数)は 6~7 倍前後になると思われます。昨年度の実質倍率が
約 5.6 倍であったことから,今年度の実質倍率は昨年度より上昇すると推測されます。
事務
採用
1 次試験
1次
最終
実質
Ⅰ類
予定 申込
受験 合格
合格
倍率
28 年度
940 15,574 11,795
―
―
―
27 年度
930 12,534 9,712 3,263 1,739
5.6
26 年度
830 16,078 12,906 3,031 1,668
7.7
25 年度
780 16,458 13,014 2,662 1,549
8.4
24 年度
830 17,606 13,815 2,948 1,635
8.4
23 年度
820 17,898 14,005 3,085 1,724
8.1
22 年度
720 16,758 12,852 2,664 1,524
8.4
21 年度
700 12,180 9,397 2,215 1,231
7.6
20 年度
640 8,320 5,934 2,127 1,278
4.6
19 年度
610 7,518 5,847 1,536
964
6.1
■ 2.最終合格の予想ボーダーライン
45 点前後 ■
今回の調査において,択一試験の平均点が教養択一は約 23.3 点,専門択一は約 25.4 点となり,昨年度の
調査と比べ教養択一が約 0.9 点上がり,専門択一が約 3.8 点下がりました。よって,択一試験合計の平均点
は約 48.6 点となり,
昨年度の調査と比べ約 3.0 点下がる結果となりました。
したがって調査結果を見る限り,
昨年度と比べ教養択一はやや易化、専門択一は難化したものと考えることができます。
実質倍率が 6~7 倍前後であると仮定し,今回のデータリサーチの結果を択一試験の成績のみで機械的に当
てはめた場合,択一試験合計で 57 点前後(得点率:約 71%)が最終合格のボーダーラインとなります。し
かし,これでは非常に高すぎる感は否めません。おそらくこれは,データリサーチの参加者が,本試験でよ
い手応えを実感した受験生に偏っているためであると思われます。例年,平均点が公表される国家一般職な
どでは,データリサーチの平均点と公表された平均点との間に 10 点以上開きが出ることもあります。昨年度
に実施したデータリサーチの結果による機械的な計算では,ボーダーラインが 60 点前後となりましたが,実
際には 45 点前後で最終合格を果たしている受験生がいました。
これらのことから,択一試験合計の平均点が昨年度より約 3.0 点下がり,実質倍率が上昇すると予想され
ることを考慮し,最終合格ボーダーラインは択一試験合計で 45 点前後(得点率:約 56%)になるのではな
いかと推定されます。ただし,教養択一・専門択一ともに基準点があると思われますので,それぞれ最低 4
割以上得点していることが前提となるでしょう。
ここで注意していただきたいのは,特別区Ⅰ類の第 1 次試験合格者は教養択一・専門択一・論文の筆記試
験の総合評価によって決定され,最終合格者は筆記試験と面接試験の総合評価によって決定されるというこ
とです。たとえ択一試験の出来が良かったとしても,論文の出来が悪かった場合,合格を逃がす場合もあり
ますし,筆記試験の出来が良かったとしても,面接試験の出来が悪ければ最終合格できないことはあります。
したがって,択一試験合計 45 点前後というのは,一応の目安にすぎないという点についてはくれぐれもご
注意ください。
■ 3.昨年度のボーダーライン(27 年度 TAC 合否調査アンケートより抜粋) ■
特別区Ⅰ類では択一試験に加え,論文試験を一次試験の段階で採点しているようです。下表の No.15 及び
No.17 の受験者からも分かるとおり,一次試験の合否は択一試験の成績だけで決定されていないことは明ら
かです。配点については全く不明ですが,論文試験のウェートは低くないことが推測できます。今年度に関
しても,昨年度と同様に,一次試験の合否の決定は,択一試験だけではなく,論文も採点したうえで行われ
るものと予想されます。
また,最終合格者に開示される総合得点・順位と受験者からの情報を総合して考えると,面接試験の点数
も決して配点が小さくないことが推測できます。つまり,一次試験で少々出遅れてしまった場合でも,面接
試験での挽回は十分に期待できたものと考えられます。
受験者
No.1
No.2
No.3
No.4
No.5
No.6
No.7
No.8
No.9
No.10
教養
専門
素点
択一
総合点 結果
(素点) (素点) 合計 得点率
26
29
55
69%
472 ◎
30
31
61
76%
459 ◎
23
31
54
68%
428 ◎
28
30
58
73%
417 ◎
24
39
63
79%
398 ◎
21
32
53
66%
382 ◎
27
32
59
74%
364 ◎
21
32
53
66%
357 ◎
22
23
45
56%
349 ◎
25
26
51
64%
330 ◎
順位
17
68
249
333
611
970
1263
1355
1466
1696
No.11
No.12
No.13
No.14
19
20
22
21
26
25
34
26
45
45
56
47
56%
56%
70%
59%
324
203
199
190
○
○
○
○
1789
2490
2616
2932
No.15
No.16
No.17
20
19
21
30
24
30
50
43
51
63%
54%
64%
158
154
149
×
×
×
3292
3925
4593
内定先
豊島区
目黒区
中央区
練馬区
千代田区
墨田区
台東区
板橋区
練馬区
荒川区
※結果(◎=最終合格,○=1 次のみ合格,×=1 次不合格)
■ 4.第2次試験(面接試験)について ■
ご存じの通り,第 1 次試験を合格した後には第2次試験で面接試験があります。昨年度(平成 27 年度)か
ら、面接試験の回数が 2 回から 1 回に変更されました。
(第 1 次試験で実施された性格検査は第2次試験の面
接試験において人物理解を深めるための資料とし、直接合否判定には使用しないとされています。
)
例年,択一試験の合計点数が低い場合や論文試験の出来が芳しくない場合,面接対策をしても無駄である
とあきらめてしまう受験者がいます。しかしながら,択一試験の合計点数がボーダーラインぎりぎりの受験
者や論文試験の出来が芳しくないと予想された受験者でも,面接対策をしっかり行って見事最終合格を果た
しているケースが例年少なからず見受けられます。面接対策をきっちり行えば,逆転は十分可能です。また,
最終合格後に行われる各区による採用面接では,
「ギリギリで最終合格をすると内定はもらえない」といった
噂を耳にすることがありますが,過去の受験者の情報から,総合順位と採用区の内定との間に相関関係は特
に見られません。逆に,一次試験の点数が高くても,油断していると,最終不合格になるケースが多く存在
します。
したがって,択一試験の合計点数や論文試験の出来に一喜一憂せず,面接対策を十分に行っていただき,
ぜひ最終合格を果たしてください。
最後に,皆様の今後のご健闘を,講師・スタッフ一同祈念いたしております。
以上
TAC公務員講座