2016/ 原油価格週間動向 7/11 投資情報部 シニアコモディティアナリスト 津賀田 真紀子 WTI原油相場、1バレル=40ドル台前半も視野に 原油価格の上値が重い。WTI 原油先物相場の先週末の終値は1バレル=45 ドル台と今年 5 月以来、およ そ 2 ヵ月ぶりの安値をつけた。英国の EU 離脱問題を受け、世界景気の減速にともなう需要減少懸念が 改めて弱材料として意識されたためだ。また、米国内のリグ稼働数が回復傾向にあることも原油相場に とって下押し圧力となっている。今週は OPEC の月次報告が発表される予定となっているが、世界需給が 劇的に改善するといったような内容になる可能性は低い。足元のファンダメンタルズから判断すると、WTI 原油先物相場は引き続き上値の重い状態が続くのではないかとみている。 原油価格の上値が重い。国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト WTI原油先物は2ヵ 月ぶりに1バレル =45ドル台に (WTI)原油先物相場は先週、一時 1 バレル=44.77 ドルと 5 月以来、およそ 2 ヵ月ぶり の安値をつけた。 6/23 に実施された英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱支持派が勝利したことを受 け、世界景気の減速懸念が改めて強まり、先行きの原油需要が伸び悩むとの見方か ら売りが広がったためだ。 また、米国内で石油掘削装置(リグ)の稼働数がジリジリと増加傾向にあることも WTI 原油先物相場にとって弱材料となっている。ベイカー・ヒューズ社のリポートによると、 7/8 時点の米国内のリグの稼働数は 351 基と前週から 10 基増。年初来最低を記録し た 5/27 時点から、わずか1ヵ月半で 35 基も増加している。 ただ、エネルギーセクターにおけるハイイールド債の発行額が前年同期に比べて激 減しており、資金不足に陥っている掘削業者が多数存在していると考えられることか ら、今後のリグ稼働数回復は限定されるのではないかと見ている。 原油価格動向 主要商品年初来騰落率 2016/6/27 期間 前週比 2016/7/8 WTI 北海 ブレント (2016/1/4 → 2016/7/8) ~ ~ 2016/7/4 銀 亜鉛 鉄鉱石 金 北海ブレント ヒーティングオイル 白金 錫(スズ) WTI 天然ガス ニッケル パラジウム アルミ ガソリン 鉛 銅 2016/7/1 始値 48.38 47.81 0.57 高値 49.35 50.00 ▲ 0.65 安値 44.77 45.83 ▲ 1.06 終値 45.41 48.99 ▲ 3.58 始値 50.60 48.43 2.17 高値 50.75 50.74 0.01 安値 46.15 46.69 ▲ 0.54 終値 46.76 50.35 ▲ 3.59 23.5 0 (注)価格は 1 バレル=ドル 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 10 20 30 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1 40 50 (%) 2016/7/11 原油価格週間動向 米国の原油在庫は いまだ過去最高に 近い状態 米国内の原油在庫はいまだ過去最高に近い状態にある。米エネルギー情報局 (EIA)の週間石油統計によると、7/1 時点の米原油在庫は 5 億 2,435 万バレルと、前 週から約 222 万バレル減少したものの、前年同期を 12.6%も上回る結果となった。 これまでは米国の旺盛なガソリン需要が相場を下支えするとの見方が強かった。今年 の米国のドライブシーズンは 5/30 のメモリアルデーから、9/5 レイバーデーまでの約 3 ヵ月だが、需要のピークは 7/4 の独立記念日とされており、すでにピークアウトが意 識され始めている。ガソリン需要の増加による原油在庫の減少も期待しにくい。 非商業筋のネットロングは縮小傾向にある。米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉 報告によると、WTI 原油先物相場のネットロングは 7/5 時点で 29 万 9,672 枚と前週か ら 4,567 枚減少。また、ピーク時(5/17)からは▲18.7%となった。 今週は石油輸出国機構(OPEC)から月次報告が発表される予定となっている。ナイ ジェリアやベネズエラの生産量が減少傾向にあるものの、世界需給が劇的に改善す るといったような内容になる可能性は低い。足元のファンダメンタルズから判断する と、今後、WTI 原油先物相場は1バレル=40 ドル台前半での推移になると思われる。 W T I原油先物価格とドルインデックス W T I原油先物相場と米国リグ稼働数 (週次:2013/1/4~2016/7/8) (1バレル=ドル) 120 (1バレル=ドル) 120 76 78 110 (基) 1,800 110 80 100 (週次:2014/1/3~2016/7/8) 1,600 リグ稼働数(右目盛) WTI原油先物(左目盛) 82 100 90 84 90 80 86 80 1,200 70 1,000 800 88 70 90 60 92 60 50 94 50 96 40 30 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 400 30 100 20 600 40 98 WTI原油先物(左目盛) ドルインデックス(右逆目盛) 20 102 16/7 (年/月) 14/1 14/7 15/1 15/7 200 16/7 (年/月) 16/1 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 C FT C非商業筋建玉とWTI原油先物価格 米国エネル ギーセクターハイイールド債発行額 (月次:2013/1~2016/6) (億ドル) 160 1,400 (週次:2014/4/1~2016/7/8) (万枚) 50 140 45 120 過去3年平均 80 過去3年最高 110 100 90 80 35 70 30 過去3年最少 60 買残-売残(左目盛) WTI原油先物(右目盛) 40 2016年 100 (1バレル=ドル) 120 60 50 25 40 40 20 30 20 15 0 14/4 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 14/7 14/10 15/1 15/4 15/7 15/10 16/1 (月) 16/4 20 16/7 (年/月) (注)CFTC 非商業部門建玉は 7/5 現在 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 22 2016/7/11 原油価格週間動向 ■ エネルギー関連統計 日付 国・地域 7 月 12 日 7 月 12 日 7 月 12 日 7 月 12 日 7 月 12 日 7 月 13 日 7 月 13 日 7 月 13 日 7 月 13 日 7 月 13 日 7 月 13 日 7 月 13 日 7 月 13 日 7 月 15 日 7 月 15 日 7 月 15 日 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 イベント 短期見通し 原油 短期見通し 自動車用ガソリン 短期見通し ディーゼル 短期見通し ヒーティングオイル 短期見通し 天然ガス 米国原油在庫(前週比・千バレル) オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル) 米国ガソリン在庫(前週比・千バレル) 米国中間留分在庫(前週比・千バレル) 米国製油所稼働率(前週比) 米国原油推定需要(千バレル/日) 米国ガソリン推定需要(千バレル/日) 米国留出燃料推定需要(千バレル/日) Baker Hughes U.S. Rig Count ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ稼働数 期間 前回 7月 7月 7月 7月 7月 7月8日 7月8日 7月8日 7月8日 7月8日 7月8日 7月8日 7月8日 7 月 15 日 7 月 15 日 7 月 15 日 51.82 2.27 2.69 2.61 10.42 ▲2,223 ▲82 ▲122 ▲1,574 ▲0.5% 17,109 10,150 5,237.9 440 88 351 ■ 今週の経済指標 日付 国・地域 7 月 11 日 7 月 12 日 7 月 12 日 7 月 12 日 7 月 12 日 7 月 12 日 7 月 12 日 7 月 13 日 7 月 13 日 7 月 13 日 7 月 13 日 7 月 14 日 7 月 14 日 7 月 14 日 7 月 14 日 7 月 14 日 7 月 14 日 7 月 14 日 7 月 15 日 7 月 15 日 7 月 15 日 7 月 15 日 7 月 15 日 7 月 15 日 7 月 15 日 7 月 15 日 7 月 15 日 7 月 15 日 7 月 15 日 米国 米国 米国 米国 中国 中国 中国 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 米国 中国 中国 中国 中国 欧州 欧州 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 イベント 労働市場情勢指数 NFIB 中小企業楽観指数 卸売在庫(前月比) 卸売売上高(前月比) 貿易収支 輸出(前年比) 輸入(前年比) 鉱工業生産(季調済/前月比) MBA 住宅ローン申請指数 輸入物価指数(前月比) 米地区連銀経済報告(ベージュブック) 新規失業保険申請件数 失業保険継続受給者数 PPI 最終需要(前月比) 鉱工業生産(前年比) 小売売上高(前年比) 固定資産投資(除農村部/年初来/前年比) GDP (前年比) EU27 カ国新車登録台数(前年比) 貿易収支(季調前) 消費者物価指数(前月比) 小売売上高速報(前月比) 消費者物価指数(前月比) 実質平均週賃金(前年比) ニューヨーク連銀製造業景気指数 鉱工業生産(前月比) 設備稼働率 企業在庫 ミシガン大学消費者マインド 期間 前回 6月 6月 5月 5月 6月 6月 6月 5月 7月8日 6月 ▲4.8 93.8 0.6% 1.0% 49,980,000,000 ▲4.1% ▲0.4% 1.1% 14.2% 1.4% 7月9日 7月2日 6月 6月 6月 6月 4-6 月期 6月 5月 6月 6月 6月 6月 7月 6月 6月 5月 7 月 速報 254,000 2,124,000 0.4% 6.0% 10.0% 9.6% 6.7% 16.0% 27,500,000,000 0.4% 0.5% 0.2% 1.1% 6.01 ▲0.4% 74.9% 0.1% 93.5 (注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 33 2016/7/11 金融商品取引法に係る重要事項 原油価格週間動向 ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化等により、投 資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負担いただ きます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手 数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含む)、国や地域 の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込むことがあり、損失を被るこ とがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与えることがあ ります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が当該証券の 高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売却してお客さ まの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市場があっても当該証券の 流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生しても本邦投資家が取り扱いできないこ とがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商品取引法に基 づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および諸費用の額 は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。詳細は当社の担当者まで お問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金に対して最大 1.08%+2,700 円(税込 み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対 して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別途手数料お よび諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負 担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を 委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券取引口座管理 料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決定した為替 レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書またはお客さま向け 資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-160711-23 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 44
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