情報メモ No.28-35 中小企業の動向(2016 年夏号) ~ 『中小企業月次景況観測』 Quarterly Overview ~ 2016 年 7 月 12 日 [ 内 容 ] 調査部[担当:織田・上田 Tel:03-3246-9370] 1 景況感 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.1 全般 1.2 1.3 業種別 回答別企業数、他機関調査 2 2 売上高 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 3 販売価格・仕入価格 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 4 採算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 4.1 4.2 採算状況 営業利益率、経常利益計画 5 金融環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5.1 資金繰り 5.2 金融機関貸出態度、中小企業向け貸出 10 6 生産設備・設備投資 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 7 雇用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 消費および賃金の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 14 『中小企業月次景況観測』景況判断指数の推移 14/3 53.5 12/3~12/11 55 山 好転 谷 50 悪化 45 16/6 46.5 40 11/4 36.1 35 10/1 11/1 12/1 (年/月) 13/1 14/1 15/1 16/1 本資料は『中小企業月次景況観測』(2016 年 6 月調査)を中心に、最近の中小企業の動向をまとめたものです。 項目によっては、官公庁や他機関の調査・統計資料も用いています。『中小企業月次景況観測』調査方法の詳細等は、 毎月の公表資料をご参照ください。 【ご注意】本資料は情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断の 決定につきましては、お客様ご自身の判断でなされますようお願い致します。文中の情報は信頼できると思 われる各種資料・データに基づいて作成しております。 -1- 中小企業の動向(2016 年夏号) 1 景況感 1.1 全般 ○ 『中 小 企 業 月 次 景 況 観 測 』における 2016 年 6 月 の景 況 判 断 指 数 は 46.5 となり、 前 月 (45.6)から 0.9 ポイント上 昇 した。3 ヵ月 ぶりの上 昇 であるものの、ほぼ横 ばい圏 内 の 動 きとなった。 ○ 2016 年 7 月 (予 測 )は 48.0 と、6 月 から 1.5 ポイントの上 昇 を見 込 む。 ○ 5 月調査では、熊本地震や大手自動車メーカーによる燃費データ不正問題が景況感の下押し材 料となり、景況判断指数は低下した。6 月調査では、景況判断指数はやや上昇したものの、製造 業・非製造業ともに 5 月調査時点の予測を下回っており、中小企業の景況感は弱含みの傾向が続 く。2016 年 6 月の調査結果は「中小企業の景況感、弱含み横ばい」とまとめられる。 (図表 1-1) 「中小企業月次景況観測」 景況判断指数の推移(全産業) 全産業 1000社 製造業計 450社 非製造業計 550社 2016/1 47.2 [ 48.0 ] 46.1 [ 47.1 ] 48.1 [ 48.6 ] 4 47.8 [ 48.2 ] 46.1 [ 45.9 ] 49.2 [ 50.1 ] 2 47.9 [ 48.3 ] 47.4 [ 47.1 ] 48.3 [ 49.2 ] 3 48.8 [ 49.8 ] 47.9 [ 49.1 ] 49.5 [ 50.4 ] 5 45.6 [ 46.4 ] 44.7 [ 44.2 ] 46.4 [ 48.2 ] 山 好転 7予測 48.0 47.2 48.5 14/3 53.5 12/3~12/11 55 6 46.5 [ 47.6 ] 45.9 [ 47.0 ] 46.9 [ 48.0 ] 谷 50 悪化 45 16/6 46.5 40 11/4 36.1 35 10/1 11/1 12/1 (年/月) 13/1 14/1 15/1 16/1 (注)1:景況判断指数が 50 を上回っていれば企業の景況感が前月に比べ「好転」したことを表し、50 を下回っていれば 前月に比べ「悪化」したことを表す。 2:「予測」は調査月の翌月の景況判断を、当月の景況判断指数と同じ算出方法で指数化したもの。 3:[ ]内の数値は、当該月の前月調査時点における予測値。 4:網掛けは景気後退期を示す。 (資料)商工中金「中小企業月次景況観測」 -2- 中小企業の動向(2016 年夏号) 1.2 業種別 ○ 『中 小 企 業 月 次 景 況 観 測 』における 2016 年 6 月 の景 況 判 断 指 数 を業 種 別 にみると、製 造 業 は 45.9 と前 月 から 1.2 ポイント上 昇 した。非 製 造 業 は 46.9 と前 月 から 0.5 ポイント上 昇 し た。 ○ 2016 年 6 月 の景 況 判 断 指 数 を個 別 業 種 で見 ると、全 15 業 種 のうち、8 業 種 が上 昇 し、6 業 種 が低 下 、1 業 種 が横 ばい。50 を超 えたのは、③印 刷 (44→52)、⑮サービスのうち情 報 通 信 (46→54)の 2 業 種 だった。 ○ 業 種 別 にみると、繊 維 は前 月 から 4 ポイント低 下 の 43。海 外 及 び国 内 の消 費 低 迷 から売 上 が低 調 であり、2 ヵ月 連 続 で前 年 を下 回 った。先 行 きも低 調 な動 きが続 く見 込 み。輸 送 用 機 械 は前 月 から 7 ポイント上 昇 の 48。5 月 調 査 では、燃 費 データ不 正 問 題 を背 景 に景 況 感 を 「悪 化 」と回 答 した先 が増 加 したが、6 月 調 査 では減 少 した。卸 売 は前 月 から 4.0 ポイント低 下 の 41.5。繊 維 および木 材 ・建 材 の卸 売 業 者 において、需 要 の減 退 を反 映 して景 況 感 を 「悪 化 」と回 答 した先 が増 加 した。 ○ 2016 年 7 月 (予 測 )は製 造 業 が 47.2、非 製 造 業 が 48.5 と、ともに上 昇 が続 く見 込 み。 (図表 1-2-1)「中小企業月次景況観測」 6 12/3~12/11 60 山 好転 製造業・非製造業の景況判断指数の推移 14/3 53.5 谷 非製造業550社 55 14/3 53.6 非製造業 50 悪化 16/6 46.9 45 製造業 16/6 45.9 40 11/4 36.2 製造業450社 35 30 10/1 11/4 36.0 11/1 12/1 13/1 14/1 15/1 16/1 (年/月) (注)、(資料)図表 1-1 に同じ。 -3- 中小企業の動向(2016 年夏号) (図表 1-2-2) 全産業 1000社 製造業計 450社 非製造業計 550社 (製造業) 1 繊 維 50社 2 木材・木製品 50社 3 印 刷 50社 4 化 学 50社 5 鉄 鋼 50社 6 金属製品 50社 7 一般機械 50社 8 電気機械 50社 9 輸送用機械 50社 (非製造業) 10 建 設 50社 11 卸 売 100社 12 小 売 100社 13 不動産 50社 14 トラック運送 50社 15 サービス 200社 情報通信 50社 飲食店・宿泊 50社 その他のサービス 100社 2016/1 47.2 [ 48.0 ] 46.1 [ 47.1 ] 48.1 [ 48.6 ] 47 [ 50 46 [ 43 45 [ 48 50 [ 47 43 [ 46 39 [ 40 49 [ 48 47 [ 48 49 [ 54 ] ] ] ] ] ] ] ] ] 49 [ 47 ] 43.5 [ 49.0 ] 48.0 [ 50.5 ] 51 [ 50 ] 46 [ 45 ] 50.0 [ 48.5 ] 52 [ 51 ] 51 [ 48 ] 48.5 [ 47.5 ] 2 47.9 [ 48.3 ] 47.4 [ 47.1 ] 48.3 [ 49.2 ] 49 [ 50 45 [ 43 47 [ 46 45 [ 48 46 [ 45 42 [ 46 52 [ 49 48 [ 48 53 [ 49 ] ] ] ] ] ] ] ] ] 50 [ 48 ] 44.0 [ 49.0 ] 46.0 [ 47.0 ] 51 [ 53 ] 49 [ 48 ] 50.3 [ 50.0 ] 51 [ 50 ] 49 [ 51 ] 50.5 [ 49.5 ] 景況判断指数の推移 3 48.8 [ 49.8 ] 47.9 [ 49.1 ] 49.5 [ 50.4 ] 50 [ 47 48 [ 49 53 [ 55 45 [ 45 40 [ 45 44 [ 44 51 [ 52 49 [ 53 51 [ 52 ] ] ] ] ] ] ] ] ] 50 [ 50 ] 47.5 [ 47.5 ] 47.5 [ 51.0 ] 50 [ 52 ] 48 [ 50 ] 51.8 [ 51.3 ] 53 [ 54 ] 54 [ 51 ] 50.0 [ 50.0 ] 4 47.8 [ 48.2 ] 46.1 [ 45.9 ] 49.2 [ 50.1 ] 44 [ 46 49 [ 44 46 [ 48 47 [ 48 45 [ 41 44 [ 46 48 [ 51 48 [ 47 44 [ 42 ] ] ] ] ] ] ] ] ] 49 [ 51 ] 48.0 [ 50.0 ] 46.0 [ 47.0 ] 53 [ 53 ] 47 [ 50 ] 51.0 [ 50.8 ] 51 [ 50 ] 52 [ 51 ] 50.5 [ 51.0 ] 5 45.6 [ 46.4 ] 44.7 [ 44.2 ] 46.4 [ 48.2 ] 47 [ 43 39 [ 43 44 [ 44 49 [ 47 47 [ 46 39 [ 39 47 [ 48 49 [ 45 41 [ 43 ] ] ] ] ] ] ] ] ] 47 [ 47 ] 45.5 [ 45.5 ] 43.0 [ 46.0 ] 49 [ 47 ] 44 [ 47 ] 48.3 [ 51.5 ] 46 [ 51 ] 48 [ 55 ] 49.5 [ 50.0 ] 6 46.5 [ 47.6 ] 45.9 [ 47.0 ] 46.9 [ 48.0 ] 43 [ 44 44 [ 43 52 [ 53 45 [ 48 48 [ 46 39 [ 42 46 [ 50 48 [ 50 48 [ 47 7予測 48.0 47.2 48.5 43 ] 47 ] 51 ] 49 ] 50 ] 45 ] 46 ] 49 ] 45 ] 48 [ 48 ] 41.5 [ 46.0 ] 46.0 [ 44.0 ] 48 [ 51 ] 47 [ 48 ] 49.5 [ 50.3 ] 54 [ 51 ] 47 [ 49 ] 48.5 [ 50.5 ] 46 46.0 47.5 50 48 50.8 49 53 50.5 (注) 図表 1-1 1~3 に同じ (資料)図表 1-1 に同じ -4- 中小企業の動向(2016 年夏号) 1.3 回答別企業数、他機関調査 ○ 『中 小 企 業 月 次 景 況 観 測 』における景 況 判 断 指 数 を構 成 する「好 転 」、「不 変 」、「悪 化 」の 回 答 企 業 数 をみると、2016 年 6 月 は 1,000 社 のうち 41 社 が「好 転 」、112 社 が「悪 化 」と回 答 した。2016 年 7 月 は、景 況 感 を「好 転 」と回 答 する企 業 数 は 38 社 へ減 少 する見 込 み。 ○ 内 閣 府 の『景 気 ウォッチャー調 査 』(2016 年 5 月 調 査 、毎 月 )で景 況 感 をみると、現 状 判 断 DI は 43.0 となり、前 月 から 0.5 ポイント低 下 した。低 下 は 2 ヵ月 連 続 。現 状 判 断 DI のうち、 企 業 動 向 関 連 は前 月 から 1.5 ポイント低 下 し 43.5 となった。 2~3 ヵ月 先 の景 気 の先 行 きに対 する先 行 き判 断 DI は 47.3 と、前 月 から 1.8 ポイント上 昇 し た。先 行 き判 断 DI のうち、企 業 動 向 関 連 は、前 月 から 2.6 ポイント上 昇 し 47.9 となった。 内 閣 府 はこの調 査 結 果 について、「景 気 は、引 き続 き弱 さがみられ、熊 本 地 震 によるマインド 面 の下 押 し圧 力 が未 だ残 っている。先 行 きについては、販 売 価 格 が引 き上 げられない中 で 原 材 料 価 格 が上 昇 する等 、物 価 動 向 への懸 念 がある一 方 、熊 本 地 震 からの復 興 、夏 のボ ーナスや設 備 投 資 増 加 への期 待 がみられる」とまとめている。 (図表 1-3-1)「中小企業月次景況観測」好転、不変、悪化企業数の推移 400 12/3~12/11 (社) 山 1,000 谷 (社) 不変回答企業数(右軸) 300 900 200 800 悪化回答企業数 100 700 好転回答企業数 0 10/1 11/1 600 12/1 (注)網掛けは景気後退期を示す。 (図表 1-3-2) 13/1 14/1 15/01 16/1 (資料)商工中金「中小企業月次景況観測」 内閣府「景気ウォッチャー調査」の各判断 DI の推移 60 60 50 50 40 40 30 30 (年/月) (年/月) 20 10/01 11/01 (年/月) 12/01 13/01 14/01 15/01 現状判断DI 先行き判断DI 20 10/01 16/01 11/01 12/01 13/01 現状判断DI(企業動向関連) 14/01 15/01 16/01 先行き判断DI(企業動向関連) (注)景気ウォッチャー調査では、景気の現状、または、景気の先行きに対する 5 段階の判断に点数を与え、これらを各 回答区分の構成比(%)に乗じて、DIを算出している。50 が景気の分岐点を示す。 (資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」 -5- 中小企業の動向(2016 年夏号) 2 売上高 ○ 『中 小 企 業 月 次 景 況 観 測 』における 2016 年 5 月 の売 上 高 (建 設 ・不 動 産 を除 く 900 社 (以 下 同 ))は前 年 同 月 比 ▲1.3%(4 月 同 ▲1.5%)。先 行 きは、6 月 (見 込 み)同 ▲3.2%、7 月 (予 測 )同 ▲3.7%。 ○ 売 上 水 準 (ピークである 2008 年 4 月 を 100 とする)の推 移 をみると、5 月 は 91 と 4 月 (93)から 低 下 。見 込 みと予 測 を基 に先 行 きを足 伸 ばしをすると、6 月 は 92、7 月 は 91 となる。 ○ 業 種 別 に 5 月 の売 上 高 をみると、製 造 業 は前 年 同 月 比 ▲0.7%と 6 ヵ月 連 続 で前 年 を下 回 っ た。製 造 業 は一 部 の業 種 を除 き、低 調 な動 きが続 いている。非 製 造 業 は同 ▲1.9%と、2 ヵ月 連 続 で前 年 を下 回 った。 (図表 2-1)「中小企業月次景況観測」 12/3~12/11 山 谷 15 売上高(前年同月比、%)の推移 1 14/3 +11.3 10 5 0 16/5 ▲1.3 -5 -10 10/1 11/1 12/1 13/1 14/1 15/1 (年/月) 16/1 (注)網掛けは景気後退期を示す。建設・不動産業を除く 900 社ベース。 (資料)商工中金「中小企業月次景況観測」 (図表 2-2) 100 「中小企業月次景況観測」 売上水準の推移 12/3~12/11 山 谷 95 90 16/5 91 85 80 10/1 11/1 12/1 13/1 14/01 15/01 16/01 (注)個々の売上規模の違いを排除した上で、ピーク時点(2008 年 4 月)を 100 として指数化した参考値。 売上には季節性が見られるため、季節調整を実施。建設・不動産を除く 900 社ベース。 (資料)図表 2-1 に同じ。 -6- 中小企業の動向(2016 年夏号) 3 販売価格・仕入価格 ○ 『中 小 企 業 月 次 景 況 観 測 』における 2016 年 6 月 の全 産 業 の販 売 価 格 DI(前 月 比 「上 昇 」 -「下 落 」)は▲1.7。販 売 価 格 DI は 5 月 に 10 ヵ月 ぶりに「上 昇 」超 となったが、6 月 は再 び 「下 落 」超 に転 じた。製 造 業 は▲3.6 と前 月 から「下 落 」超 幅 が拡 大 し、非 製 造 業 は▲0.2 と 「下 落 」超 に転 じた。 ○ 2016 年 6 月 の全 産 業 の仕 入 価 格 DI(前 月 比 「上 昇 」-「下 落 」)は+5.9。仕 入 価 格 DI は 素 原 材 料 価 格 の上 昇 に伴 い「上 昇 」超 幅 が拡 大 していたが、6 月 は鉄 スクラップ価 格 が下 落 したことなど伴 い小 幅 に縮 小 した。業 種 別 にみると、製 造 業 は+2.0、非 製 造 業 は+9.1 と、 ともに前 月 から「上 昇 」超 幅 が縮 小 した。 (図表 3-1) 「中小企業月次景況観測」 販売価格・仕入価格DIの推移 12/3~12/11 山 谷 25 上段:5月 下段:6月 20 仕入価格 仕入価格 +6.4 ↓ +5.9 15 10 上昇 5 販売価格 +0.1 ↓ ▲1.7 0 -5 販売価格 下落 -10 -15 10/1 販売価格・仕入価格DI=「上昇」-「下落」の企業割合(%) 11/1 12/1 13/1 14/1 15/1 16/1 (年/月) (注)網掛けは景気後退期を示す。 (資料)商工中金「中小企業月次景況観測」 参考(図表 3-2)消費者物価指数と国内企業物価指数の推移 消費者物価指数 (前年比%) 4 3 6 総合 コア 4 2 2 1 0 0 -2 -1 -4 (年/月) (年/月) -2 10/01 国内企業物価指数 (前年比%) 11/01 12/01 13/01 14/01 15/01 16/01 -6 10/01 11/01 12/01 13/01 14/01 15/01 (注)消費者物価指数のコアとは、生鮮食品を除く総合。消費者物価指数、国内企業物価指数とも 2010 年基準。 消費者物価指数、国内企業物価指数とも直近値は 2016 年 5 月。 (資料)総務省「消費者物価指数」、日本銀行「国内企業物価指数」 -7- 中小企業の動向(2016 年夏号) 16/01 4 採算 4.1 採算状況 ○ 『中 小 企 業 月 次 景 況 観 測 』における 2016 年 6 月 の全 産 業 の採 算 状 況 DI(前 月 比 「好 転 」 -「悪 化 」)は▲5.4 となり、前 月 (▲6.7)から「悪 化 」超 幅 が縮 小 した。製 造 業 は▲6.4、非 製 造 業 は▲4.5 と、ともに前 月 から「悪 化 」超 幅 が縮 小 した。 ○ 日 本 政 策 金 融 公 庫 総 合 研 究 所 の『中 小 企 業 景 況 調 査 』(2016 年 6 月 調 査 、毎 月 )による と、中 小 企 業 の利 益 額 DI(「増 加 」-「減 少 」、季 節 調 整 値 )は▲2.0 と、前 月 (▲0.9)から 1.1 ポイント低 下 した。最 終 需 要 分 野 別 にみると、建 設 関 連 や衣 生 活 関 連 、食 生 活 関 連 な どで低 下 している。 (図表 4-1-1) 好転 「中小企業月次景況観測」 採算状況DIの推移 12/3~12/11 山 谷 5 上段:5月 下段:6月 0 悪化 -5 採算状況 ▲6.7 ↓ ▲5.4 -10 -15 -20 -25 10/1 採算状況=「好転」-「悪化」の企業割合(%) 11/1 12/1 13/1 14/1 15/1 16/1 (年/月) (注)、(資料)ともに、図表 3-1 に同じ。 (図表 4-1-2) 「中小企業景況調査」 利益額DIの推移 15 10 5 0 -5 -10 -15 (年/月) -20 10/01 11/01 12/01 13/01 14/01 15/01 16/01 (注)「増加」-「減少」企業割合、季節調整値。 (資料)日本政策金融公庫総合研究所「中小企業景況調査」 -8- 中小企業の動向(2016 年夏号) 4.2 営業利益率、経常利益計画 ○ 財 務 省 『法 人 企 業 統 計 季 報 』の売 上 高 営 業 利 益 率 (中 小 企 業 、4 四 半 期 後 方 移 動 平 均 ) は、製 造 業 は 3.0%近 傍 で横 ばい推 移 が続 き、非 製 造 業 では上 昇 が続 く。 ○ 『日 銀 短 観 』(2016 年 6 月 調 査 、四 半 期 )における、2016 年 度 の経 常 利 益 計 画 (修 正 計 画 ) は、全 規 模 ・全 産 業 は前 年 度 比 ▲7.2%となった。 2016 年 度 の修 正 計 画 を規 模 別 ・業 種 別 にみると、大 企 業 ・製 造 業 は前 年 度 比 ▲11.6%、 同 ・非 製 造 業 は同 ▲3.4%。中 小 企 業 ・製 造 業 は同 +1.1%、同 ・非 製 造 業 は同 ▲12.8%。 大 企 業 ・製 造 業 が大 きく下 方 修 正 している。 事 業 計 画 の前 提 となっている想 定 為 替 レート(大 企 業 ・製 造 業 )は、2016 年 度 は 111.41 円 / ドルと、前 回 3 月 調 査 時 点 の 117.46 円 /ドルから 6 円 程 度 円 高 に修 正 された。 (図表 4-2-1)「法人企業統計季報」売上高営業利益率の推移(中小企業、4 四半期後方移動平均) (%) 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 (~四半期) 1.0 10/03 11/03 12/03 全産業 13/03 製造業 14/03 15/03 16/03 非製造業 (注)資本金 0.1 億円以上 1 億円未満。2016 年 1-3 月期まで、4 四半期後方移動平均。 (資料)財務省「法人企業統計季報」 (図表 4-2-2) 日本銀行「短観」 経常利益計画の推移 [中小企業(全産業)、前年度比) (%) 25 経常利益計画(前年度比) 経常利益計画 ( %) 年度 20 2 0 1 6 年度 (実績) 15 前年度比 10 4.6 8.4 大企業 全産業 製造業 非製造業 中堅企業 全産業 製造業 非製造業 中小企業 全産業 製造業 非製造業 全規模 全産業 製造業 非製造業 5 0 -0.1 -5 -10 2 0 1 5 年度 -5.4 1.9 -9.5 -15 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 -20 当初 計画 期中① 期中② 期中③ (3月) (6月) 【修正計画】 (9月) (12月) 実績 見込み 実績 (翌3月) (翌6月) 2 .8 ▲ 5 .3 1 1 .5 9 .0 8 .0 9 .5 8 .4 3 .4 1 0 .1 4 .8 ▲ 2 .9 1 0 .8 (修正計画) 修正率 ▲ 1.1 ▲ 1.8 ▲ 0.4 3.0 0.3 4.3 3.7 3.1 3.8 0.4 ▲ 1.0 1.5 前年度比 修正率 ▲ 7 .3 ▲ 1 1 .6 ▲ 3 .4 ▲ 3 .8 ▲ 4 .2 ▲ 3 .7 ▲ 9 .5 1 .1 ▲ 1 2 .8 ▲ 7 .2 ▲ 9 .3 ▲ 5 .8 ▲ 6.5 ▲ 11.6 ▲ 1.8 ▲ 2.1 ▲ 3.1 ▲ 1.6 ▲ 0.8 1.8 ▲ 1.7 ▲ 4.7 ▲ 9.0 ▲ 1.7 (注)大企業は資本金 10 億円以上、中小企業は資本金 0.2 億円以上 1 億円未満。修正率は、前回調査対比。 (資料)日本銀行「短観」 -9- 中小企業の動向(2016 年夏号) 5 金融環境 5.1 ○ 資金繰り 『中 小 企 業 月 次 景 況 観 測 』における 2016 年 6 月 の資 金 繰 り DI(前 月 比 「好 転 」-「悪 化 」) は、▲1.5 と前 月 (▲0.5)から「悪 化 」超 幅 が拡 大 した。 ○ 『日 銀 短 観 』(2016 年 6 月 調 査 、四 半 期 )によると、中 小 企 業 の資 金 繰 り判 断 DI(「楽 であ る」-「苦 しい」)は+7 となり、前 回 調 査 (+6)から 1 ポイント上 昇 。 ○ 日 本 政 策 金 融 公 庫 総 合 研 究 所 の『中 小 企 業 景 況 調 査 』(2016 年 6 月 調 査 、毎 月 )による と、中 小 企 業 の資 金 繰 り DI(「余 裕 」-「窮 屈 」、季 節 調 整 値 )は 8.6 と、前 月 (2.4)から 6.2 ポイント上 昇 した。 (図表 5-1-1)「中小企業月次景況観測」 5 資金繰りDIの推移 12/3~12/11 山 谷 好転 上段:5月 下段:6月 0 悪化 資金繰り ▲0.5 ↓ ▲1.5 -5 -10 資金繰り=「好転」-「悪化」の企業割合(%) -15 10/1 11/1 12/1 13/1 14/1 15/1 16/1 (年/月) (注)、(資料)ともに、図表 3-1 に同じ。 (図表 5-1-2)「日銀短観」資金繰り判断 DI (図表 5-1-3)「中小企業景況調査」資金繰り DI 30 10 25 大企業 20 5 15 10 0 5 0 -5 -5 -10 -10 中小企業 -15 (年/月) (年/四半期) -20 10 11 12 13 14 15 -15 10/01 16 (注)大企業・中小企業の定義は図表 4-2-2 に同じ。 11/01 12/01 13/01 14/01 15/01 16/01 (資料)日本政策金融公庫総合研究所「中小企業景況調査」 (資料)日本銀行「短観」 - 10 - 中小企業の動向(2016 年夏号) 5.2 ○ 金融機関貸出態度、中小企業向け貸出 『日 銀 短 観 』(2016 年 6 月 調 査 、四 半 期 )における、金 融 機 関 の貸 出 態 度 判 断 DI(中 小 企 業 )(「緩 い」-「厳 しい」)は+19 と、前 回 調 査 (+20)から 1 ポイント低 下 。 ○ 日 本 政 策 金 融 公 庫 総 合 研 究 所 の『中 小 企 業 景 況 調 査 』(2016 年 6 月 調 査 、毎 月 )による と、金 融 機 関 貸 出 態 度 DI(「緩 和 」-「厳 しい」)は 48.4 と前 月 (48.0)から 0.4 ポイント上 昇 し た。 ○ 国 内 銀 行 の中 小 企 業 向 け貸 出 (末 残 、月 次 )は、2016 年 5 月 に 180.4 兆 円 で前 年 同 月 比 +3.3%。都 市 銀 行 は 69.7 兆 円 で同 +0.5%、地 方 銀 行 は 73.9 兆 円 で同 +4.6%、地 方 銀 行 Ⅱは 23.0 兆 円 で同 +3.6%。地 方 銀 行 はこのところ伸 び率 が加 速 している。 (図表 5-2-1)「日銀短観」貸出態度判断 DI (図表 5-2-2)「中小企業景況調査」貸出態度 DI 35 60 30 50 25 大企業 40 20 15 30 10 5 20 中小企業 0 10 -5 (年/四半期) -10 10 11 12 13 14 15 (注)大企業・中小企業の定義は図表 4-2-2 に同じ (資料)日本銀行「短観」 (図表 5-2-3) 0 10/01 16 (年/月) 11/01 12/01 13/01 14/01 15/01 16/01 (資料)日本政策金融公庫総合研究所「中小企業景況調査」 中小企業向け銀行貸出残高前年比(末残) (前年比%) 6 4 2 0 -2 地方銀行Ⅱ 地方銀行 都市銀行 国内銀行 -4 -6 -8 08/01 09/01 10/01 11/01 12/01 13/01 14/01 15/01 16/01 (年/月) (注)国内銀行は、都市銀行、地方銀行、地方銀行Ⅱ、その他(信託銀行 4 行、新生銀行、あおぞら銀行)。 中小企業は法定中小企業。(資料)日本銀行「預金・現金・貸出金」 - 11 - 中小企業の動向(2016 年夏号) 6 生産設備・設備投資 ○ 『中 小 企 業 月 次 景 況 観 測 』における 2016 年 6 月 の生 産 設 備 DI(「不 足 」-「過 剰 」)は ▲2.8 と前 月 から横 ばい。 ○ 『法 人 企 業 統 計 季 報 』によると、2016 年 1-3 月 期 の中 小 企 業 の設 備 投 資 実 績 (金 融 業 、保 険 業 を 除 く ) は、 全 産 業 で 前 年 同 期 比 + 2.5 % 。 製 造 業 は同 + 13.0 % 、 非 製 造 業 は 同 ▲ 1.4%。 ○ 『日 銀 短 観 』(2016 年 6 月 調 査 、四 半 期 )における、2016 年 度 の設 備 投 資 計 画 (修 正 計 画 ・ 全 規 模 ・全 産 業 )は、前 年 度 比 +0.4%。このうち、中 小 企 業 ・全 産 業 は同 ▲ 14.9%。なお、 中 小 企 業 の設 備 投 資 計 画 は、6 月 調 査 時 点 では前 年 度 比 減 少 となることが多 く、過 去 と比 べて弱 い数 値 ではない。(参 考 :6 月 調 査 における中 小 企 業 ・全 産 業 の当 年 度 設 備 投 資 計 画 は、2015 年 6 月 では前 年 度 比 ▲15.7%、2014 年 6 月 調 査 では同 ▲19.7%。) (図表 6-1) 「中小企業月次景況観測」 不足 生産設備DIの推移 12/3~12/11 5 山 上段:5月 下段:6月 谷 0 -5 過剰 生産設備 ▲2.8 ↓ ▲2.8 -10 -15 -20 -25 -30 10/1 生産設備=「不足」-「過剰」の企業割合(%) 生産設備は該当業種のみ 11/1 12/1 13/1 14/1 15/1 16/1 (年/月) (注)、(資料)ともに、図表 3-1 に同じ。 (図表 6-2)設備投資(前年比)の推移 (図表 6-3)日銀短観設備投資計画の推移 設備投資計画(含む土地投資額) (%) 100 2015 (6月実績) 年度 80 60 大企業 40 20 -40 10/03 11/03 全産業 12/03 13/03 製造業 14/03 15/03 16/03 非製造業 修正率 ▲ 5.8 ▲ 4.3 前年度比 6.2 12.8 修正率 0.9 4.7 2.7 ▲ 4.6 5.8 ▲ 1.1 3.2 2.5 非製造業 全産業 製造業 1.0 8.7 9.3 ▲ 6.6 3.1 1.7 中小企業 非製造業 全産業 製造業 8.3 7.2 11.5 3.9 3.2 6.4 ▲ 10.2 ▲ 14.9 ▲ 17.8 3.7 8.8 12.3 全規模 非製造業 全産業 製造業 5.2 5.0 9.1 1.7 ▲ 2.8 ▲ 1.5 ▲ 13.5 0.4 6.0 7.3 2.5 5.3 非製造業 2.9 ▲ 3.5 ▲ 2.5 1.0 (~四半期) -60 前年度比 3.4 8.4 中堅企業 0 -20 全産業 製造業 ※修正率は前回調査からのもの。 (注)資本金 1,000 万円以上 1 億円未満で中小企業を定義。 (資料)財務省「法人企業統計季報」 (注) 図表 6-2 とは中小企業の定義が異なる。 (資料)日本銀行「短観」 - 12 - (%) 2016 ( 6 月修正計画) 中小企業の動向(2016 年夏号) 7 雇用 ○ 『中小企業月次景況観測』における 2016 年 6 月の雇用状況 DI(「不足」-「過剰」)は+14.8 と、前月 (13.7)から「不足」超幅が拡大。 ○ 『景気ウォッチャー調査』(2016 年 5 月調査、毎月)の雇用関連DI(現状判断)は 49.3 と前月(48.9)か ら 0.4 ポイント上昇した。 ○ 日本政策金融公庫総合研究所の『中小企業景況調査』(2016 年 6 月調査、毎月)によると、製造業の 従業員判断DI(「不足」-「過剰」、季節調整値)は 6.5 と前月(10.2)から 3.7 ポイント低下した。業種別 にみると、金属製品製造業や電気機械器具製造業、繊維品製造業などで低下した。 (図表 7-1)「中小企業月次景況観測」 雇用状況DIの推移 12/3~12/11 20 山 上段:5月 下段:6月 谷 15 雇用状況 +13.7 ↓ +14.8 10 不足 5 0 過剰 -5 -10 -15 10/1 11/1 12/1 13/1 14/1 15/1 16/1 (年/月) (注)、(資料)ともに、図表 3-1 に同じ。 (図表 7-2)雇用関連(現状判断)DIの推移 (図表 7-3)従業員判断DI(製造業)の推移 20 70 65 10 60 0 55 -10 50 45 -20 40 -30 35 30 10/01 (年/月) (年/月) 11/01 12/01 13/01 14/01 15/01 16/01 -40 10/01 11/01 12/01 13/01 14/01 15/01 (注)調査対象は製造業のみ。 (資料)日本政策金融公庫総合研究所 「中小企業景況調査」 (資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」 - 13 - 中小企業の動向(2016 年夏号) 16/01 8 消費および賃金の動向 ○ 『中小企業月次景況観測』における小売業の景況判断指数、および『景気ウォッチャー調査』におけ る現状判断 DI のうち小売関連は低調な動きが続いている(図 8-1)。この背景には、企業が賃上げに 慎重な姿勢を示しており、消費マインドが下振れていることが考えられる。 ○ 商工中金が 1 月に実施した調査では、2016 年の賃上げ動向(定期昇給、ベースアップ、定昇・ベア以 外の賃上げ、賞与などの一時金を含む)は、前年から大きな変化は生じていない(図 8-2)。 ○ 一方、賞与など一時金を見ると、動きが二極化している。2016 年夏の見込みは、2015 年冬に比べて 引き上げる企業が多いものの、景気の先行き不透明感を受けて減少させる企業も少なからず存在す る(図 8-3)。 ○ 引き上げ幅についても、過去に行った調査に比べ小幅に留まる見通しとなっている(図表 8-4)。企業 が賃上げに慎重な姿勢であることが垣間見られ、今後の個人消費の動向が懸念される。 (図表 8-1)小売関連 DI の推移 (図表 8-2)賃上げ実施の有無 (%) 55 100 なし 22.7 なし・未定 27.8 あり 77.3 あり 72.2 2015年実績 2016年見込み 景況判断指数「小売」 80 50 60 40 45 20 景況ウォッチャー調査 小売関連(現状判断) 40 0 15/1 3 5 7 9 11 16/1 3 5 (年/月) (n=4,640) (図表 8-3) 賞与などの一時金の動向 (図表 8-4) 夏季賞与の引き上げ幅 (%) (%) 80 66.9 60 80 2015年冬実績 2016年夏見込み 63.9 2014年 度 2016年 見 込 み 60 52.0 40 40 20.3 20 25.0 26.5 21.5 10.9 8.6 10.2 36.6 20 引き上げを行っ 前回と同水準を 引き下げた・引き た・行う予定 維持した・15年冬 下げる予定 と同水準を維持 する予定 18.0 8.3 0.4 0 18.9 未定 6.3 0 ゼロ%以上~ +3% 以 上 ~+5% 以 上 ~ +10% 以 上 +3% 未 満 +5% 未 満 +10% 未 満 (n:2015 年実績=4,566、2016 年見込み=4,533) (注)該当なしを省略しているため、合計は 100%にならない。 (n:2014 年度=1,553、2016 年見込み=2,219) (資料) 図表 8-1 商工中金「中小企業月次景況観測」、内閣府「景気ウォッチャー調査」 図表 8-2~図表 8-4 商工中金「中小企業の賃金動向に関する調査(2016 年 1 月調査 ) - 14 - 中小企業の動向(2016 年夏号)
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