UT グループ 伪雇用サービス業界において日本を代表

Company Research and Analysis Report
FISCO Ltd.
http://www.fisco.co.jp
UT グループ
2146 東証 JASDAQ
伪伪雇用サービス業界において日本を代表するリーダー企
業へ成長することを目指す
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2016 年 7 月 15 日 (金)
Important disclosures
and disclaimers appear
at the back of this document.
企業調査レポート
執筆 客員アナリスト
森本 展正
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UT グループ <2146> は、 主力の製造請負 ・ 派遣事業のほか、 設計開発技術者などのエ
ンジニア派遣、 建築エンジニア派遣、 ソフトウェア開発受託を行うエンジニア派遣事業を展
開する。 製造派遣の主要顧客業種は、 半導体 ・ 電子部品、 環境 ・ エネルギー、 自動車関
連分野の 3 業種で、 売上の半分を占める、 パナソニック <6752>、 ソニー <6758>、 ローム
<6963> グループなどを主要顧客とする半導体関連産業への製造請負・派遣社員数は業界トッ
プを誇る。 正社員雇用や職能給制度などを業界でいち早く導入し業界 No.1 の定着率を実現、
「工程一括請負」 という独自のビジネスモデルで他社と差別化を図り、 事業を拡大してきた。
2015 年 3 月にエンジニア派遣事業の拡大を図るために、 UT システム ( 株 ) (旧 : ( 株 ) シス
テム ・ リボルーション) を子会社化した。
2016 年 3 月期連結業績は、 売上高が前期比 20.8% 増の 44,050 百万円、 営業利益は同
10.3% 増の 2,462 百万円、 親会社株主に帰属する当期純利益は同 28.2% 増の 1,497 百万円と
2 ケタ増収 ・ 増益となり、 6 期連続して増収 ・ 増益を確保した。 期末の取引工場数は 456 工
場(前期比 18 工場増加)、技術職社員数は過去最高の 10,926 人(内訳は製造派遣 10,022 人、
エンジニア派遣 904 人)。 製造派遣事業が月間 500 人採用体制の確立、 選別受注などによ
り好調に推移したことに加えて、 エンジニア派遣事業も既存子会社の成長や UT システムの
子会社化により順調に拡大したことによる 。
2017 年 3 月期は、 売上高が同 8.6% 増の 47,840 百万円、 営業利益は同 2.8% 増の 2,530
百万円、 親会社株主に帰属する当期純利益は同 8.2% 増の 1,620 百万円と、 1 ケタの増収 ・
増益を見込む会社計画。 4 月に起きた熊本地震の影響で待機人員が増加したことなどの影
響 (5 月現在、 売上高、 営業利益で 200 百万円) を織り込んだことによる。 弊社では、 1)
熊本地震の影響は一時的で懸念する必要はないもようである、 2)2015 年 9 月に施行された
改正労働者派遣法は同社にとってプラス要因として働いている、3) 新型車、次世代スマートフォ
ンなどの同社の主力顧客業種における需要が旺盛である、 4) 高単価、 高採算案件を選別受
注している、 などを考慮すると、 熊本地震の影響を織り込んだ会社計画は保守的であると見
ている。
2015 年 7 月に発表された新しい中期経営計画 (2017 年 3 月期から 2021 年 3 月期) の概
要は、 「はたらく力で、 イキイキをつくる」 というグループミッションのもと、 第 2 の創業期とし
て 「日本全土に仕事をつくる」 を新しいビジョンに掲げ、 2021 年 3 月期に在籍社員数 29,000
人、 EBITDA100 億円、 売上高 1,450 億円、 営業利益 82 億円を目標に、 雇用サービス業界
において日本を代表するリーダー企業へ成長することを目指すというものだ。 目標とする経営
指標については、 積極的な M&A を行うことを前提に今回一部が修正され、 「EBITDA 成長率
30% 以上(5 ヶ年計画の平均成長率)」、「グロス DE レシオ※ 1.0 以下(2021 年 3 月期に実現)」、
「総還元性向 30% 以上」 をコミットメントとすることに変更された。
※企業の資金源泉のうち、 負債が
資本の何倍に当たるかを示す指
標で、 一般にこの数値が 1 以下
だと財務内容が健全とされる。
株主還元については、 総還元性向の 30% 以上をコミットメントとし、 PEG レシオの値により
決定することを基本方針としている。 2017 年 3 月期は、 200 万株を上限とする総額 750 百万
円の自社株買いの実施 (取得期間 2016 年 5 月 13 日~ 2017 年 3 月 12 日) を決定、 取得
を完了しており、 取得株式については全株消却を予定している。 続く 2017 年 3 月期につい
ては、 新中期経営計画におけるコミットメント変更により、 業績及び株式市場の動向を考慮し
た上で、 配当及び自己株式の取得の組み合わせにより、 総還元性向 30% 以上となる利益配
分を予定している。
本資料のご利用については、 必ず巻末の重要事項 (ディスクレーマー) をお読みください。
1
伪伪Check Point
・ 2016 年 3 月期は 6 期連続の増収 ・ 増益を達成
・ 2017 年 3 月期は熊本地震の影響を織り込み 1 ケタ増収 ・ 増益を見込む
・ 株主還元の基本方針は、 積極的な M&A を行うことを前提に総還元性向 50% 以上か
ら総還元性向 30% 以上へ変更
UT グループ
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業績の推移
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(百万円)
売上高(左軸)
(百万円)
営業利益(右軸)
㻢㻜㻘㻜㻜㻜
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2016 年 7 月 15 日 (金)
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㻞㻘㻞㻟㻞
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㻝㻠㻛㻟期
㻝㻡㻛㻟期
㻝㻢㻛㻟期
㻝㻣㻛㻟期㻔予)
伪伪事業の内容
製造派遣事業を主力事業にエンジニア派遣事業も手掛ける
(1) グループ会社の状況
同社グループは、 純粋持株会社としてグループ会社を統括する同社と、 連結子会社 6 社
等で構成される。
グループ会社一覧
会社名
設立
住所
事業内容
1995年4月 東京都品川区 製造派遣・請負
電池製品の加工組立て・
2013年7月 東京都品川区
包装・製造派遣・請負
UTエイム(株)
UTパベック(株)
UTテクノロジー(株)
2005年9月 東京都品川区 設計開発技術者派遣
(旧:UTリーディング(株))
UTコンストラクション(株)
(旧:UTコンストラクション・ネットワーク(株))
UTシステム(株)
(旧:(株)システム・リボルーション)
UTハートフル(株)
2012年4月 東京都品川区 建設技術者派遣
ソフトウェア開発・運用管理
特定労働者派遣事業
特例子会社(オフィスサービス事業、
2008年9月 東京都品川区
デザイン・プリント事業など)
1986年8月 東京都品川区
出所 : 会社資料よりフィスコ作成
本資料のご利用については、 必ず巻末の重要事項 (ディスクレーマー) をお読みください。
2
■事業の内容
■
(2) 事業内容
手掛ける事業は、 製造派遣事業とエンジニア派遣事業の 2 事業であるが、 財務会計上は
アウトソーシング事業の単一セグメントとして開示。 2016 年 3 月期の事業別売上構成比 (内
部消去前事業別利益構成比) は製造派遣事業が 87.1% (90.9%)、 エンジニア派遣事業 12.9%
UT グループ
(9.1%)。 なお、 エンジニア派遣事業は、 設計技術者派遣 (全売上高に占める割合 6.1%)、
建設技術者派遣 (同 3.8%)、 ソフトウェア開発技術者派遣 (同 3.0%) の 3 つに分かれる。
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事業別売上構成比と利益構成比 (2016 年 3 月期)
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事業別売上構成比(㻝㻢年㻟月期)
2016 年 7 月 15 日 (金)
㻟㻚㻤㻑
㻟㻚㻜㻑
㻢㻚㻝㻑
製造派遣
設計技術者派遣
建設技術者派遣
ソフトウェア開発技術者派遣
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出所 : 決算説明会資料よりフィスコ作成
事業別利益構成比(㻝㻢年㻟月期)
㻥㻚㻝㻑
製造派遣
エンジニア派遣
㻥㻜㻚㻥㻑
出所 : 決算説明会資料よりフィスコ作成
a) 製造派遣事業
国内大手製造業を中心に構内作業業務の正社員派遣 ・ 請負を行う。 個別派遣ではなく受
託した業務において経験のある社員が組織化して指揮命令系統を確立し、 業務単位で業務
を遂行する形態である工程一括型請負が主体。 なお、 同社では受託した業務を遂行する社
員を技術職社員と呼んでおり、 その雇用形態は全国に転勤を伴う正社員 (全体の約 7 割)
と契約社員に分かれる。
本資料のご利用については、 必ず巻末の重要事項 (ディスクレーマー) をお読みください。
3
■事業の内容
■
主要ユーザー業種は半導体、 エレクトロニクス、 環境エネルギー、 自動車、 建設建材業
界などの製造業企業で、 主要顧客はソニーグループ、 パナソニックグループ、 東芝 <6502>
グループなど。 連結子会社の UT エイム ( 株 ) と UT パベック ( 株 ) が業務を行う。 2016 年 3
月末時点の取引工場数は 456 (15 年 3 月期末 438 工場)、 技術職社員数は 10,022 人 (同
8,597 人) で、 顧客業種別の売上構成比は、 半導体・電子部品分野 50.6%、 環境・エネルギー
UT グループ
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分野 20.0%、 自動車関連分野 15.7%、 住宅分野 5.9%、 その他 7.8% となっている。
顧客業種別売上(製造派遣のみ)構成比(㻝㻢年㻟月期)
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2016 年 7 月 15 日 (金)
㻣㻚㻤㻑
㻡㻚㻥㻑
半導体・電子部品分野
環境・エネルギー分野
自動車関連分野
㻝㻡㻚㻣㻑
㻡㻜㻚㻢㻑
住宅分野
その他
㻞㻜㻚㻜㻑
出所 : 決算説明会資料よりフィスコ作成
b) エンジニア派遣事業
ソフトウェア受託開発、機械・電気・電子の設計開発 (3 次元 CAD を使った設計業務など)、
建設エンジニアの労働者派遣事業などを行っている。 ソフトウェア開発関連事業は UT テクノ
ロジー ( 株 ) と UT システムが、 機械・電気・電子の設計開発の労働者派遣を UT テクノロジー
が行う。 また、 建設エンジニアの労働者派遣事業は UT コンストラクション ( 株 ) が手掛ける。
ソフトウェア開発、 機械 ・ 電気 ・ 電子の設計開発の労働者派遣事業の主要顧客は大手電機
メーカー。 建設エンジニアの労働者派遣事業の顧客はスーパーゼネコンを中心とする大手建
設会社などとなっている。2016 年 3 月末時点の技術者数は 904 人(2015 年 3 月期末 702 人)。
伪伪業績動向
6 期連続の増収 ・ 増益を記録、 技術職社員数は過去最高の 1
万人を突破
(1) 2016 年 3 月期連結業績
2016 年 3 月期連結業績は、 売上高が前期比 20.8% 増の 44,050 百万円、 営業利益は同
10.3% 増の 2,462 百万円、 親会社株主に帰属する当期純利益は同 28.2% 増の 1,497 百万円と
2 ケタ増収 ・ 増益となり、 6 期連続して増収 ・ 増益を確保した。 期末における取引工場数は
456 工場 (前期比 18 工場増加)、 技術職社員数は過去最高の 10,926 人 (内訳は製造派遣
10,022 人、 エンジニア派遣 904 人) となった。
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4
■業績動向
■
2016 年 3 月期連結業績の概要
(単位 : 百万円)
15/3 期
実績
UT グループ
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売上高
36,478
売上原価
29,718
売上総利益
6,760
販管費
4,528
営業利益
2,232
経常利益
2,157
親会社株主に帰属する
1,168
当期純利益
出所 : 決算短信をもとにフィスコ作成
16/3 期
売上比
期初計画
実績
-
81.5%
18.5%
12.4%
6.1%
5.9%
40,000
32,440
7,560
5,160
2,400
2,240
44,050
35,303
8,747
6,284
2,462
2,421
3.2%
1,320
1,497
-
80.1%
19.9%
14.3%
5.6%
5.5%
計画比
増減率
10.1%
8.8%
15.7%
21.8%
2.6%
8.1%
前期比
増減率
20.8%
18.8%
29.4%
38.8%
10.3%
12.3%
3.4%
13.4%
28.2%
売上比
2016 年 7 月 15 日 (金)
売上高の増加は、 1) 月間 500 人採用体制の構築による技術職社員数の順調な増加、 取
引工場数の増加などにより製造派遣事業が順調に拡大した、 2) 既存子会社の成長と M&A
により子会社化した UT システムの寄与によりエンジニア派遣事業も 70% を超える高い伸びと
なったことが要因として挙げられる。 売上拡大に伴い売上総利益は前期比 29.4% 増の 8,747
百万円となり、 売上総利益率は前期の 18.5% から 19.9% へ 1.4 ポイント上昇した。 利益率の
改善は、 製造派遣事業において高採算案件の選別受注を行ったことに加えて、 利益率の高
いエンジニア派遣事業の売上ウエイトが増大したこと、 などによる。 一方、 販管費は同 38.8%
増の 6,284 百万円と大幅に増大した。 これは、 2017 年 3 月期の高いバックオーダー数を考
慮して積極的な採用活動を行ったことにより採用費が大幅に増加したことと、 M&A の積極化
に備えて金融関係の専門人員を強化したことなどが要因。 これらの結果、 営業利益は 2 ケタ
の増益を確保したものの、 営業利益率は前期の 6.1% から 5.6% へ 0.5 ポイント低下した。
一方、 会社計画 (売上高 40,000 百万円、 営業利益 2,400 百万円、 親会社株主に帰属す
る当期純利益 1,320 百万円) 対比では、 売上高、 各利益のすべてが計画を上回った。 これ
は、 製造派遣事業で、 想定以上に電子部品、 自動車向けが堅調に推移し既存顧客のシェア
が拡大したことに加えて、 新規顧客開拓が順調に進んだこと、 契約単価アップが図れたこと
などが上振れ要因として働いたことによる。 なお、 親会社株主に帰属する当期純利益の上振
れ幅が大きいのは、 繰越欠損金の減少と税率低下の影響により法人税等調整額が想定より
小さかったためだ。
事業別の状況は以下のとおり。
a) 製造派遣事業
製造派遣事業の売上高は前期比 15.4% 増の 38,333 百万円、営業利益は同 23.4% 増の 4,166
百万円と 2 ケタ増収 ・ 営業増益となった。 電子部品や自動車を中心とした需要増加を背景
に、 月間 500 人採用体制を構築し、 順調に技術職社員数が増加、 期末の社員数は初めて
10,022 人と 1 万人を突破した。 顧客業種別の売上高動向を見ると、 半導体 ・ 電子部品分野、
環境 ・ エネルギー分野、 自動車関連分野の主力 3 業種が揃って順調に拡大した。 さらに、
好採算案件の選別とインハウスシェアの上昇を目指した営業活動の成果が結実したことなど
により、 セグメント利益率は前期の 10.2% から 10.9% へ上昇した。
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5
■業績動向
■
顧客業種別の売上高推移
半導体・電子部品分野
環境・エネルギー分野
自動車関連分野
住宅分野
(百万円)
㻞㻘㻠㻥㻝
UT グループ
㻝㻡㻛㻟期
㻝㻡㻘㻣㻝㻟
㻢㻘㻥㻣㻢
㻡㻘㻞㻝㻡
その他
㻞㻘㻤㻞㻠
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㻞㻘㻞㻢㻞
2016 年 7 月 15 日 (金)
㻝㻢㻛㻟期
㻝㻥㻘㻟㻥㻢
㻜
㻡㻘㻜㻜㻜
㻣㻘㻢㻢㻣
㻝㻜㻘㻜㻜㻜
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㻞㻘㻥㻥㻜
㻟㻡㻘㻜㻜㻜
㻠㻜㻘㻜㻜㻜
㻠㻡㻘㻜㻜㻜
b) エンジニア派遣事業
エンジニア派遣事業の売上高は前期比 78.7% 増の 5,699 百万円、 営業利益は同 61.4% 増
の 418 百万円と 2 ケタ増収 ・ 営業増益となった。 高い需要を背景に UT テクノロジーや UT コ
ンストラクションといった既存子会社が順調に拡大したほか、 2015 年 3 月に子会社化した UT
システムがフル寄与したことが要因。 なお、 エンジニア派遣事業の技術職社員数は、 One
※UT グループが一体となって社
員のキャリアアップを支援し、 新
たなチャレンジを支援する独自
の教育プログラム。 年齢や職務
経験を問わず、 誰もがエントリー
可能で、 働きながら専門知識や
スキルを学ぶことができる。 現
在 「建設エンジニア」 と 「設計
開発エンジニア」 の 2 つのコー
スを開講中。
UT (グループ内キャリアチェンジ)
※による社員数の増加
(130 人) も手伝い、 前期末に比
べ 202 人増加し 904 人となった。
エンジニア派遣事業の技術社員数と稼働率推移(四半期ベース)
(人)
㻝㻘㻜㻜㻜
㻥㻞㻚㻤㻑
㻥㻢㻚㻝㻑
技術社員数(左軸)
㻥㻡㻚㻤㻑
㻥㻡㻚㻝㻑
稼働率(右軸)
㻥㻝㻚㻣㻑
㻥㻝㻚㻣㻑
㻥㻟㻚㻡㻑
㻥㻢㻚㻞㻑
㻝㻜㻜㻚㻜㻑
㻤㻜㻜
㻤㻜㻚㻜㻑
㻢㻜㻜
㻢㻜㻚㻜㻑
㻠㻜㻜
㻞㻜㻜
㻣㻜㻞
㻠㻡㻡
㻠㻥㻡
㻡㻠㻜
㻝㻽
㻞㻽
㻟㻽
㻣㻥㻢
㻤㻡㻣
㻥㻜㻥
㻥㻜㻠
㻠㻜㻚㻜㻑
㻞㻜㻚㻜㻑
㻜
㻜㻚㻜㻑
㻝㻡㻛㻥期
㻠㻽
㻝㻽
㻞㻽
㻟㻽
㻝㻢㻛㻥期
出所 : 決算説明会資料よりフィスコ作成
本資料のご利用については、 必ず巻末の重要事項 (ディスクレーマー) をお読みください。
6
㻠㻽
■業績動向
■
自己資本比率は緩やかであるが改善
(2) 財務状態
2016 年 3 月末の総資産は前期末比 712 百万円増加し 17,139 百万円となった。 内訳を見
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2016 年 7 月 15 日 (金)
ると、 流動資産は前期末に比べ 669 百万円増加した。 これは、 現金及び預金が 689 百万円
減少したものの、 売上債権が 1,250 百万円増加したためだ。 一方、 固定資産は同 49 百万
円増加した。 これは、 繰延税金資産減少により投資その他の資産が 225 百万円減少したも
のの、 本社の改装等により有形固定資産が 84 百万円、 無形固定資産が 190 百万円増加し
たことによる。
一方、 負債は 12,891 百万円となり前期末に比べ 88 百万円増加した。 主な要因は、 社債
が 420 百万円減少したものの、 借入金 (短期及び長期借入金) が 631 百万円増加したこと
による。 また、 純資産は、 自己株式の消却と親会社株主に帰属する当期純利益計上等によ
り利益剰余金が 497 百万円増加したことなどから、同 623 百万円増加し 4,248 百万円となった。
キャッシュ・フローの状況について見ると、2016 年 3 月期末の現金及び現金同等物は 6,511
百万円となり、 前期末に比べ 606 百万円減少した。 営業キャッシュ ・ フローは 517 百万円の
収入となった。 法人税等の支払額 876 百万円、 売上債権増加額 1,250 百万円が計上された
ものの、 税金等調整前当期純利益 2,353 百万円が計上されたためだ。 投資キャッシュ ・ フ
ローは 334 百万円の支出となった。 これは、 有形固定資産の取得による支出 153 百万円と
無形固定資産の取得による支出 223 百万円があったためだ。 また、 財務キャッシュ ・ フロー
も 789 百万円の支出となった。 これは、長期借入れによる収入 2,990 百万円があったものの、
長期借入金の返済による支出 1,622 百万円、 短期借入金の純減少額 736 百万円、 自己株
式の取得による支出 999 百万円及び社債の償還による支出 420 百万円があったためだ。
経営指標を見ると、 健全性を表す指標は、 業績拡大に伴いバランスシートの構成の変化を
反映する格好となり緩やかであるものの、 いずれも改善した。 一方、 収益性を表す営業利益
率は 2017 年 3 月期のバックオーダーをさばくために採用費を大幅に増やしたことにより前期
比で低下したもので、 一時的な要因によるもので問題はない。
本資料のご利用については、 必ず巻末の重要事項 (ディスクレーマー) をお読みください。
7
■業績動向
■
貸借対照表、 キャッシュ ・ フロー計算書及び経営指標
貸借対照表
15/3 期 16/3 期
13,194 13,863
流動資産
固定資産
3,213
3,262
16,427
17,139
8,285
7,835
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固定負債
負債合計
(有利子負債残高)
(ネットキャッシュ)
4,517
12,803
6,856
817
5,056
12,891
7,049
-84
2016 年 7 月 15 日 (金)
純資産
負債純資産合計
3,624
16,427
4,248
17,139
3,131
-679
515
7,117
517
-334
-789
6,511
159.3%
21.4%
1.95
176.9%
23.9%
1.72
35.3%
15.1%
6.1%
39.3%
14.4%
5.6%
UT グループ
2146 東証 JASDAQ
総資産
流動負債
キャッシュ ・ フロー計算書
営業 CF
投資 CF
財務 CF
現金及び現金同等物期残高
経営指標
< 安全性 >
流動比率
自己資本比率
D/E レシオ
< 収益性 >
ROE
ROA
売上高営業利益率
出所 : 短信よりフィスコ作成
(単位 : 百万円)
増減
内訳
669 売上債権 +1,250 現金及び預金 -689
有形固定資産 +84 無形固定資産 +190
49
投資その他の資産 -225
712
1 年内返済予定長期借入金 +355
短期借入金 -736
538 長期借入金 +1,011 社債 -410
88
193 借入金 +631 社債 -420
-901
-450
623 利益剰余金 +497
712
-606
熊本地震の影響を考慮した会社計画は保守的
(3) 2017 年 3 月期業績見通し
2017 年 3 月期は、売上高が前期比 8.6% 増の 47,840 百万円、営業利益は同 2.8% 増の 2,530
百万円、 親会社株主に帰属する当期純利益は同 8.2% 増の 1,620 百万円と、 1 ケタの増収 ・
増益を見込む会社計画となっている。
2017 年 3 月期会社計画の概要
(単位 : 百万円)
16/3 期
実績
売上高
44,050
売上原価
35,303
売上総利益
8,747
販管費
6,284
営業利益
2,462
経常利益
2,421
親会社株主に帰属する
1,497
当期純利益
出所 : 会社資料よりフィスコ作成
売上比
期初計画
売上比
-
80.1%
19.9%
14.3%
5.6%
5.5%
47,840
38,660
9,180
6,650
2,530
2,430
-
80.8%
19.2%
13.9%
5.3%
5.1%
3.4%
1,620
3.4%
17/3 期
前期比 熊本地震
増減率 の影響前
8.6%
48,040
9.5%
38,860
5.0%
9,380
5.8%
6,850
2.8%
2,730
0.4%
売上比
8.2%
本資料のご利用については、 必ず巻末の重要事項 (ディスクレーマー) をお読みください。
8
-
80.9%
19.5%
4.3%
5.7%
前期比
増減率
9.1%
10.1%
7.2%
9.0%
10.9%
■業績動向
■
売上高、 営業利益で 1 ケタの増収増益を予想するのは、 4 月に起きた熊本地震で待機人
員が増加したことなどの影響 (5 月現在、 売上高、 営業利益で 200 百万円) を織り込んだこ
とが主要因。 もっとも、 それ以外は月間 500 人採用体制をベースに月間 750 人採用の安定
化に向けた採用体制を構築することで、 期末の在籍社員数は 1 万 2,000 人超、 顧客業種の
分散が進み、 収益基盤が安定することにより堅調に推移する予想となっている。 売上総利益
UT グループ
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は前期比 5.0% 増の 9,180 百万円を計画しているものの、 売上総利益率は熊本地震の影響を
織り込んだことなどにより、前期の 19.9% から 19.2% へ 0.7 ポイント低下すると見ている。 一方、
販管費は、 採用効率の向上と採用費を売上高の 3% 以内に抑えることで、 全体の適切なコン
トロールを行う計画で、販管費比率は前期の 14.3% から 13.9% へ低下する見通し。これらにより、
営業利益は 1 ケタ増益にとどまり、 営業利益率は 5.3% と前期に比べ 0.3 ポイント低下する予
想となっている。
2016 年 7 月 15 日 (金)
5 月初旬時点における熊本地震の影響については、 同社は 「九州地方で顧客企業 20 工
場が被災したものの、 BCP 対策などにより建物、 設備に被災の影響を受けなかった工場も
多く、ゴールデンウィーク明けには大半の工場で生産が再開された。 しかし、一部の工場 (主
に半導体) では生産再開に遅れが出ている」 としている。 このため、 生産停止中の工場に
勤務する従業員を一時的に他工場へシフト、 顧客向上稼働停止期間分の振替稼働や休日稼
働によるリカバリーなどの対応を行ったものの、 400 人、 2 ヶ月が不稼働になると想定し、 売
上高、 営業利益で 2 億円のインパクトを計画に織り込んだ。 その後の状況では、 九州を中
心に西日本地域への工場へのシフトが進んだことから、 地震の影響は極めて一時的で、 懸
念する必要はないもよう。
事業セグメント別の戦略、 取り組みは以下のとおり。
a) 製造派遣事業
技術職社員数を期末までに 1 万 1,000 人体制を目指す。 その実現に当たり、 売上、 営業
面では、 既存顧客ではインハウスシェアの拡大を継続するほか、 新規顧客では適正契約条
件の案件に照準を合わせた新規営業活動を展開する。 採用面では月間 750 人採用の安定
化に向けた採用体制を構築する。 従業員向けには、 教育研修の充実とスキル向上により給
与アップが可能となる仕組みの構築と、 キャリア形成支援体制の強化を図ることにより、 定着
率の上昇を目指す。
b) エンジニア派遣事業
エンジニア派遣事業の前期比 20% 以上の成長を実現し、 第 2 の事業柱へ育成する。 その
実現に当たり、 採用面では採用インフラの整備を行い、 中途採用活動の拡大、 通年の新卒
採用を行う。 売上面では、 営業強化により新規優良取引先を増やすことで、 マッチング率を
向上させ、 平均稼働率のアップを図る。 さらに、 製造派遣事業と連携することで、 製造派遣
※優 秀な PLM (製品ライフサイク
ル管理) 人材の育成と輩出や、
キャリアアップを目指す教育事
業の推進を目的として、 米シー
メンス PLM ソフトウェアの日本
法人シーメンス ( 株 ) と締結した
「Training Partner Program」。
事業のクライアント企業への紹介を行う。 従業員向けには、 シーメンス TPP プログラム※をは
じめとした従業員の教育 ・ 育成メニューの提供を行うほか、 One UT プロジェクトによる効率
的な技術者確保と従業員の給与アップを目指す。
弊社では、 1) 熊本地震の影響は一時的で懸念する必要はないもようである、 2)2015 年 9
月に施行された改正労働者派遣法は同社にとってプラス要因として働いている、 3) 新型車、
次世代スマートフォンなどの同社の主力顧客業種における需要が旺盛である、 4) 高単価、
高採算案件を選別受注している、 などを考慮すると、 熊本地震の影響を織り込んだ会社計画
は保守的であると見ている。
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9
伪伪中期経営戦略
2021 年 3 月期に雇用サービス業界において日本を代表するリー
ダー企業へ成長することを目指す
UT グループ
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2016 年 3 月期までの 5 ヶ年中期経営計画が終了し、 2015 年 7 月に発表した 2017 年 3 月
期から 2021 年 3 月期までの 5 ヶ年の新しい中期経営計画期間に突入した。 その概要は、「は
たらく力で、 イキイキをつくる」 というグループミッションのもと、 第 2 の創業期として 「日本全
土に仕事をつくる」 を新しいビジョンに掲げ、 2021 年 3 月期に在籍社員数 29,000 人、 売上
高 1,450 億円、 EBITDA100 億円、 営業利益 82 億円を目標に、 雇用サービス業界において
日本を代表するリーダー企業へ成長することを目指すというものだ。
2016 年 7 月 15 日 (金)
目標とする経営指標については、 これまでの中期経営計画では 「EPS 成長率 30% 以上」
と「総還元性向 50% 以上」をコミットメントとしてきたが、積極的な M&A を行うことを念頭に置き、
「EBITDA 成長率 30% 以上 (5 ヶ年計画の平均成長率)」、 「グロス DE レシオ 1.0 以下 (2021
年 3 月期に実現)」、 「総還元性向 30% 以上」 をコミットメントとすることに変更された。 その実
行に当たり、 2 大カスタマーと位置付けている派遣社員 ・ 従業員とユーザー企業それぞれに
向けた具体的な方針、 戦略を策定した内容となっている。
(1) 従業員、 同社への求職者向けの方針、 戦略
従業員、 同社への求職者向けでは、 「安心」、 「つながり」、 「成長」 をテーマとして戦略を
展開する。 それぞれのテーマ毎に具体的にみると、「安心」 に関しては、各現場での同社シェ
アを引き上げ、 従業員が安心して働ける環境を提供する。 「つながり」 については、 キャリア
カウンセリングの充実などにより定着率の向上を図り、 働くことで仲間や会社、 地域社会との
つながりが感じられる仕事を提供する。 「成長」 に関しては、 教育研修プログラムや機会の
提供などにより、 5 年以内に従業員の平均年収 20% アップを目指すことで、 仕事により成長
が感じられる環境を提供する。
(2) 顧客企業向けの方針、 戦略
顧客企業向けでは、 「マッチング」、 「リスク管理」、 「人材戦略策定支援」 をテーマとする
戦略を展開する。 「マッチング」 としては、変動対応力や営業力の強化により、顧客企業へ量、
質、 スピードを伴った人材活用の提案を行う。 「リスク管理」 に関しては、 労働者派遣法や
労働契約法など労働関連の法令を遵守し、 法改正に伴うリスクを低減させることに加え、 法
令順守により、 顧客企業における労務リスクや評判リスクの低減にも努める。 「人材戦略策
定支援」 については、 ツールの充実やセミナーの実施、 非正規労働力活用コンサルティング
や外国人労働者の活用の提案などにより、 顧客企業の現場における人材活用における問題
を発見し、 解決するべく、 提供メニューの拡充を行う。
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10
伪伪株主還元
2017 年 3 月期以降は総還元性向 30% 以上へコミットメントを変更
同社では、 総還元性向 (配当と自己株式の取得を合わせた金額を当期純利益で割った比
UT グループ
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率で、 当期純利益に対する株主還元の割合を指す) 30% 以上をコミットメントとし、 株主還元
については、 PEG レシオ※の値により決定することを基本方針としている。
具体的には、 下記の基本方針に基づき、 投資とのバランス等も考慮しながら、 株主還元
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方針を総合的に判断する。
2016 年 7 月 15 日 (金)
(1) 「PEG レシオ」 が <1 倍…割安と判断。
この間は配当、 自己株式取得の両面から総合的に判断する。 現在の水準は1倍前後の値
※P r i c e E a r n i n g s G r o w t h
Ratio=PER ÷年間 EPS 成長率
が見込まれることから、 当期については割安の水準にあると判断し、 自己株式取得を行う。
(2) 「PEG レシオ」 が >2 倍…株式市場に十分評価されている水準と判断。 配当を基本方針
とする。
この基本方針に基づいて 2017 年 3 月期は自社株買い (取得株式数 2,000 千株を上限 (自
己株式を除く発行済株式数に占める割合は 5.43%)、 取得総額 750 百万円、 取得期間 2016
年 5 月 13 日~ 2017 年 3 月 12 日) の実施を決定、 取得を完了した。 同時に株主還元を目
的とする観点から株式取得後、 全株を消却する予定。 2017 年 3 月期については、 新中期経
営計画での 「総還元性向 30% 以上」 へのコミットメント変更により、 業績及び株式市場の動
向を考慮した上で、 配当及び自己株式の取得の組み合わせにより、 総還元性向 30% 以上と
なる利益配分を予定している。
総還元性向の推移(㻞㻜㻝㻝年㻟月期~)
(㻑)
㻞㻡㻜㻚㻜
㻞㻜㻜㻚㻢
㻞㻜㻜㻚㻜
㻝㻠㻝㻚㻢
㻝㻡㻜㻚㻜
㻤㻡㻚㻢
㻝㻜㻜㻚㻜
㻢㻢㻚㻢
㻡㻢㻚㻟
㻡㻜㻚㻝
㻡㻜㻚㻜
㻜㻚㻜
㻝㻝㻛㻟期
㻝㻞㻛㻟期
㻝㻟㻛㻟期
㻝㻠㻛㻟期
㻝㻡㻛㻟期
出所 : 会社資料よりフィスコ作成
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11
㻝㻢㻛㻟期
伪伪会社の概要 ・ 沿革
リーマン ・ ショックの金融危機後に製造派遣事業へ回帰する経営
判断を行う
UT グループ
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(1) 会社の概要
同社は、 「はたらく力でイキイキをつくる」 というグループミッションのもと、 国内の半導体 ・
電子部品を中心に環境 ・ エネルギー、 自動車関連業界等に構内作業業務の正社員派遣 ・
請負の製造派遣事業を主力事業として手掛けるほか、 エンジニア派遣事業も展開する。 主
力業種であるパナソニック、 ソニーなどの半導体関連分野における製造請負 ・ 派遣社員数は
2016 年 7 月 15 日 (金)
業界トップを誇る。 一方、 エンジニア派遣事業は国内メーカーを主要顧客とし、 ソフトウェア
の受託開発、 機械 ・ 電気 ・ 電子の設計開発等の技術者派遣を行う。 正社員雇用や職能給
制度などを業界でいち早く導入し業界 No.1 の定着率を実現、 「工程一括請負」 という独自の
ビジネスモデルで他社を差別化し、 成長を遂げる。
(2) 沿革
同社は、代表取締役社長兼 CEO の若山陽一(わかやまよういち)氏の「職を求める人」と「人
を求める企業」 の両方に貢献したいとの思いから、 1995 年 4 月に設立された。 その沿革は、
a)2001 年までの創業期、 b) 半導体分野に特化するニッチ戦略を採った 2009 年までの第 1 成
長期、 c) 製造アウトソーシング業に回帰、 マーケットリーダー戦略に転換による脱半導体を
目指す 2010 年からの第 2 成長期、 の 3 つのステージに分類できる。
a) 創業期 (1995 年~ 2001 年)
同社の起源は、 1995 年 4 月に構内作業業務請負事業を行うために横浜で設立されたエイ
ムシーアイシー (有)。 1996 年 7 月に日本エイム (株) へ改組された。 設立当初から製造
分野に的を絞り、 正社員雇用、 社会保険 100% 加入に加えて職能給制度を導入するなど当
時の業界の常識を覆す雇用制度を相次いで採用したことにより、 社員の定着率と生産効率を
高めることに成功。 加えて、 個別派遣からチーム単位で工程全体を一括受託する工程一括
請負という独自のビジネスモデルを打ち出し、 社員の働き方の改革を実施。 これにより顧客
企業の経営効率向上に貢献し、取引先数が一段と拡大、第 1 成長期に向けた事業基盤が整っ
た。
b) 第 1 成長期 (2001 年~ 2009 年)
IT バブル崩壊により、 取引先である製造業企業の業績悪化で同社の業績も悪化を余儀な
くされた。 こうした状況下で、 高度な専門性が要求され、 工程単位の請負に適している半導
体分野に特化するニッチ、 トップ、 グロース (成長) 戦略へ転換。 2002 年 10 月に半導体デ
バイスメーカーでの工程一括型請負化の推進、 半導体事業に特化する機能社員の能力向上
に関する企画を行う半導体開拓チーム (現つくばトレーニングセンター) を設置する。 これら
の成果が結実し、 リーマン ・ ショック前の 2007 年頃までに半導体関連産業の製造請負 ・ 派
遣社員数で製造アウトソーシング業界第1位の地位を確立した。 2006 年 4 月には半導体デ
バイス設計事業進出のために ( 株 ) アルティスタ (2011 年 12 月にコムリーディング ( 株 ) と
合併) を子会社化し設計開発技術者派遣事業へも参入。
さらに、 2007 年 4 月には半導体製造中古装置の販売及び技術サービスを提供する ( 株 )
エイペックスとともに共同持株会社ユナイテッド ・ テクノロジー ・ ホールディングス ( 株 ) (2009
年 1 月に UT ホールディングス ( 株 ) へ、2015 年 7 月に UT グループへ社名変更)を設立した。
続く 2007 年 6 月には日本エイム (2012 年 7 月に UT エイムへ社名変更) が半導体製造装
置の製造 ・ 販売を行うミクロ技研 ( 株 ) を子会社化し半導体装置の製造 ・ 販売事業へ進出し
半導体事業領域の拡大戦略を加速。
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12
・ 沿革
■会社の概要
■
しかし、 リーマン ・ ショックによる世界景気悪化による半導体業界の業績悪化で半導体事
業の拡大をあきらめ、 2009 年 6 月にミクロ技研を売却、 11 月にはエイペックスを売却し、 創
業以来の事業ドメインである製造分野の技術者派遣ビジネスへ回帰する決断を行った。
なお、 2003 年 12 月には前身の日本エイムで 「社員が筆頭株主になれる会社をつくる」 を
UT グループ
株式公開の目的の 1 つとして株式を店頭登録。 ちなみに、 株式公開はアウトソーシング企業
として業界初、 また社員持株会の組成も業界で初めてであった。
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c) 第 2 成長期 (2010 年~現在)
製造アウトソーシング事業への本業回帰を決定してからは、 主力の製造派遣事業において
取引深耕と取引先業種を環境 ・ エネルギー分野、 自動車関連分野、 住宅分野などの成長
2016 年 7 月 15 日 (金)
分野に拡大することに加えて、 エンジニア事業 (設計及び建設技術者派遣) の拡大という事
業基盤の拡大を図る。 これにより脱半導体、 請負会社で No.1 になるというマーケットリーダー
戦略を展開すると同時に、 財務リストラクチャリングを推進。 東日本大震災、 円高による製造
業の海外移転というアゲインストな環境であったにもかかわらず、 2012 年問題※ 1 が正社員
※ 1同 社に影響する 2012 年問題
とは、 リーマン ・ ショック後に
急激に生産が拡大したことに
伴 い、 2009 年 か ら 再 び 製 造
業務についても派遣労働者の
再活用が始まり、 その時にス
タートした派遣労働者の派遣
受入期間が、 2012 年に一斉
に終了期限を迎えたこと。 顧
客である製造業企業は、 派遣
労働者 ・ 期間工を自社採用
するか請負に切り替えるかの
選択を迫られた。 以降、 半導
体業界以外でも請負化の流れ
が加速した。
※ 22012 年 7 月 に UT リ ー デ ィ ン
グ ( 株 ) に社名変更、 さらに
2015 年 10 月 に UT テ ク ノ ロ
ジーへ社名変更。
※ 32012 年 4 月 に UT ア イ コ ム
( 株 ) へ社名変更と同時に製
造派遣 ・ 請負事業を開始した
が、 2012 年 6 月に流通小売
派遣事業を分割し UT エージェ
ント ( 株 ) を設立。 UT エージェ
ントは 2013 年 4 月に UT アイ
コム (UT アイコムは 2014 年 4
月に UT エイムに吸収合併さ
れた ) へ事業を譲渡。
※ 4取 得 価 額 は 1,000 百 万 円。
2015 年 10 月 に UT シ ス テ ム
に社名変更。
※ 5優 れた人材、 チームワーク、
成長をイメージして開発され
た。
雇用の同社にとって有利に働いたことも手伝って取引工場数が増大、 業績回復、 拡大トレン
ドが加速する格好となった。
事業基盤拡大を図るために、 2010 年 1 月にコムリーディング (設計開発技術者派遣事
業)
※2
を設立、続く 3 月にコムエージェント ( 株 ) (流通小売派遣事業)
※3
を設立したほか、
2013 年 7 月にはパナソニックバッテリーエンジニアリング ( 株 ) の株式 81% を取得し、 子会社
化 (同時に UT パベックへ社名変更)。 さらに、 2015 年 3 月にエンジニア事業の一段の拡大
を図るため、 ソフトウェア開発事業を展開するシステム ・ リボルーションを子会社化した※ 4。
創業 20 周年を迎えた 2015 年を新たな創業の年と位置付け、 2015 年 7 月に 「日本全土に
仕事をつくる」 という新たなビジョンを掲げ、 UT ホールディングスから UT グループへ社名を
変更し、 同時にブランドマーク※ 5 を刷新した。
沿革
1995年  4月
1996年  7月
2002年10月
2003年12月
2006年  4月
2007年  4月
2009年  1月
2009年11月
2010年  1月
2010年  3月
2011年  1月
2012年  4月
2012年  6月
2012年  7月
2012年10月
2013年  7月
2015年  3月
2015年  7月
2015年10月
構内作業業務請負事業を目的としてエイムシーアイシー (有) を設立
エイムシーアイシー (有) を日本エイム (株) に改組
半導体開拓チーム (現つくばトレーニングセンター) 設置
店頭市場 (JASDAQ 市場) に上場
設計開発技術者派遣事業へ参入を目的として (株) アルティスタを子会社化
日本エイム (株)、(株) エイペックスが共同して株式移転を行い純粋持株会社ユナイテッ
ド ・ テクノロジー ・ ホールディングス (株) を設立、 同時に JASDAQ 市場に上場 (日
本エイム (株) は非上場化)
UTホールディングス (株) に商号変更
( 株 ) エイペックスの全株式を (株) 八徳に譲渡
設計開発技術者派遣事業の強化を狙いコムリーディング ( 株 ) を設立
流通小売派遣事業へ参入を目的としてコムエージェント ( 株 ) を設立
( 株 ) アルティスタとコムリーディング ( 株 ) が合併し、 コムリーディング ( 株 ) として統合
コムエージェント ( 株 ) がUTアイコム (株) へ商号変更するとともに製造派遣 ・ 請負事
業を開始。 UTキャリア ( 株 ) を設立 (アウトプレースメント事業へ参入)。 建設技術者
派遣事業へ参入することを目的としてUTコンストラクション ・ ネットワーク ( 株 ) を設立
UTアイコム ( 株 ) から流通小売派遣事業を分割し、 UT エージェント ( 株 ) を設立
UTグループのブランド力強化のため、 全子会社名を 「UT」 を冠する商号へ変更
社員への福利厚生サービスの拡充を狙いUTライフサポート ( 株 ) を設立
パナソニックバッテリーエンジニアリング (株) の株式を 81%取得し子会社化、 同時に
UT パベック (株) に商号変更
( 株 ) システム ・ リボリューションを子会社化
UT グループ (株) に社名変更
UT リーディング (株) が 「UT テクノロジー (株)」 へ、UT コンストラクション・ネットワー
ク (株) が 「UT コンストラクション (株)」 へ、 (株) システム ・ リボルーションが 「UT
システム (株)」 へ商号変更
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13
伪伪強みと事業リスク
人材育成、 研修制度が充実しており業界で最も高い定着率を実現
(1) 強みと競合
UT グループ
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同社の強みは、 正社員雇用、 社会保険 100% 加入のほか、 25 段階のスキル評価制度で
ある Job Grade、 経営に社員が公平に立候補できる制度であるエントリー制度、 従業員持株
会を活用した ESOP (Employee Stock Ownership Plan : 株式給付信託) 制度などを導入す
ることにより、 業界で最も低い離職率を実現していること (ちなみに、 足元の離職率は 3 ~
4% 程度で業界平均の 8% を大きく下回る)。 加えて、One UT プロジェクト(設計技術者ヘのキャ
2016 年 7 月 15 日 (金)
リアアッププログラム)、 スーパーマネージャースクール (幹部育成スクール)、 MTM 研修 (マ
ネジメント ・ リーダーシップ育成プログラム) などの人材育成、 研修制度が充実しており、 社
員のクオリティーの高さを維持していることも顧客企業から高く評価される要因になっていると
考えられる。
さらに、 チーム制による工程一括請負の契約形態により顧客の経営効率向上に貢献できる
ことも強みとして挙げられる。
主力顧客である半導体分野では同社の強みが差別化要因として働いており、 製造請負 ・
派遣社員数で製造アウトソーシング業界第1位の地位を不動のものにしている。 一方、 同社
が脱半導体、 マーケットリーダー戦略展開により拡大を図っている自動車などの成長分野に
おける製造アウトソーシングの競争は激しいものの、 強みを生かし着実に取引先を拡大しつ
つある。 この分野での具体的な競合企業として、日研総業 ( 株 )、日総工産 ( 株 )、アウトソー
シング <2427>、 ワールドホールディングス <2429> など。
(2) 事業リスク
同社の事業リスクは、 1) 製造業及び半導体関連分野への依存度が高い、 2) 人材の確保、
の 2 点に集約される。
同社の顧客が製造業であるため、 円高や国内景気などのマクロ経済の変動による影響を
受ける可能性があること。 さらに、 脱半導体関連戦略の進捗により半導体分野の比率が低
下しているものの、 そのウエイトは依然として売上高の 4 割程度を占めているため、 半導体
関連顧客企業の業績変動による影響を受ける可能性がある。
同社の収益源は人材であり、 その確保が最大の課題である。 労働市場の状況により必要
となる技術者の確保ができない可能性があるほか、 定着率が低下した場合でも採用費が増
加し収益にマイナス影響を与えることがある。 加えて、 主力の製造派遣事業における採用は
地元採用を基本とする体制となっているため、 当該地域での採用が困難になった場合、 他の
地域で採用を行うため移転費用が発生し、 利益率低下要因になる可能性がある。
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