概要説明

内部脅威対策の強化(個人の信頼性確認制度の導入等)のため
の原子力規制委員会規則(案)等の概要
平 成 2 8 年 7 月 1 4 日
原
子
力
規
制
庁
1.背景
(1)個人の信頼性確認とは、原子力施設における内部脅威対策の1つとして、一
定の重要な区域に常時立入る者と、防護秘密を業務上知り得る者を制限するた
め、個人に関する情報等に基づき確認を行う措置である。
(2)国際原子力機関(IAEA)の「核物質及び原子力施設の物理的防護に関する核
セキュリティ勧告 」(INFCIRC/225/Rev.5)(平成 23 年 1 月)では、個人の信頼性
確認の対象と方法を国が決定することが要請されている(別添1参照)。
(3)当該要請を受け、日本政府の対応として、国際組織犯罪等・国際テロ対策推
進本部において「個人の信頼性確認の制度の導入について速やかに結論を得る
ものとする。」ことが決定された(「原子力発電所等に対するテロの未然防止対
策の強化について」(平成 23 年 11 月))
(4)このため、核セキュリティに関する検討会において(別添2参照)、原子炉
等規制法に規定する防護措置の一環として関連規則を改正し、一定の施設での
個人の信頼性確認の実施を義務付けること等を内容とする制度の方向性につ
いての報告書を平成27年10月に取りまとめ、その後も原子力規制庁におい
て報告書に従い検討を進め、今般、個人の信頼性確認の導入に必要な関連規則
の改正案等を取りまとめたもの。
(5)また、同報告書に従い、個人の信頼性確認を補完する追加的な内部脅威対策
として、対象施設においては、防護区域内の監視装置(カメラ等)の増設を義務
付けることとし、上記の関連規則の改正に盛り込むこととする。
(6)さらに、関連規則の改正を行うほか、法令上の義務の要件の一部を定める告
示を制定する。あわせて、運用ガイドを制定する。このため、意見公募手続を
行うもの。
2.概要
(1)個人の信頼性確認及び監視装置の増設の対象となる事業者及び施設
内部脅威者の関与による妨害破壊行為が発生した場合の影響の大きさを勘
案して選定。
①再処理事業者
再処理施設
②発電用原子炉設置者
実用発電用原子炉施設及び研究開発段階発電用原子炉施設
③特定原子力事業者等
特定原子力施設(福島第一)
(2)個人の信頼性確認制度の概要
①個人の信頼性確認の実施主体は(1)に掲げる事業者とする。
②(1)に掲げる原子力施設の重要区域に業務上常時立ち入ろうとする者・特
定核燃料物質の防護の秘密を取り扱う者の指定を受けようとする者について、
あらかじめ、妨害破壊行為等を行うおそれがあるか否か又は秘密の取扱いを
行った場合にこれを漏らすおそれがあるか否かについての確認を行う。
③対象者の履歴、外国との関係、テロリズムその他の犯罪行為を行うおそれが
ある団体(暴力団を含む。)との関係、事理を弁識する能力及び防護に関連す
る犯罪や懲戒の経歴を調査し、確認を行う。
④原子力規制委員会が定める告示に従い、申告書その他の書類の提出・提示を
求める方法、対象者との面接、対象者の性格等に関する適性検査その他必要
な方法により調査し、確認を行う。
⑤あらかじめ、対象者に対し、確認の実施に際し知り得た情報の漏えいや目的
外利用を防止する措置を講じていることその他必要な事項を説明し、個人情
報の利用について対象者の同意を得た上で確認を行う。
⑥確認を行った結果、対象者について、妨害破壊行為等を行うおそれがあり、
又は特定核燃料物質の防護に関する秘密を漏らすおそれがあると認められる
場合(⑤に規定する同意が得られない場合を含む。)は、対象者に対し、常時
立入りに係る証明書等の発行・業務上知り得る者の指定を行わない。
⑦常時立入りに係る証明書等及び業務上知り得る者の指定の有効期間は、5年
とする。ただし、有効期間内であっても、事情の変更により特別の必要が生
じたときは、改めて確認を行う。
⑧常時立入りに係る確認の措置は、次の区域等について講じる(注1)。なお、一
時立入者が次の区域等に立ち入る場合には、常時立入者の監督を義務付ける。
防護区域・安全保護装置周辺区域(注2)/中央制御室外停止装置(注3) /防護区
域外防護対象枢要設備の周辺区域/見張人の詰所・監視所
(注1)区分Ⅰ及び区分Ⅱの原子力施設に適用する。
(注2)安全保護装置が防護区域の外に設置されている場合における当該装置の周辺の区域をいう(一部の実用発電
用原子炉施設に存在する)
。
(注3)再処理施設には適用しない(「中央制御室外停止装置」に相当する設備が存在しない)。
3.規則等
(1)一部改正(案)の対象となる原子力規制委員会規則
①使用済燃料の再処理の事業に関する規則
②実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則
③研究開発段階発電用原子炉の設置、運転等に関する規則
④東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物
質の防護に関する規則
(2)使用済燃料の再処理の事業に関する規則第十六条の三第二項第二十六号ロ等
の規定に基づき申告書に記載する事項等を定める告示(案)(新規制定)
(3)原子力施設における個人の信頼性確認の実施に係る運用ガイド(案)(新規
制定)
4.予定
意見募集の実施
平成28年7月14日(木)から平成28年8月12日(金)
まで
原子力規制委員会決定
平成28年8月下旬予定
公布・施行(注4)
平成28年8月下旬予定
(注4)公布日からの施行を想定しているが、個人の信頼性確認の実施及び防護区域における監視装置の設置はいずれも計
画的・段階的に実施する必要があり、その手順・時期の妥当性については核物質防護規定の変更認可手続の中で審査
することとなるため、事業者による当該措置の着手時期はいずれも公布・施行時期からおおむね 1 年以内となる見込
み。
以上
(別添1)
IAEA 核物質及び原子力施設の物理的防護に関する核セキュリティ勧告
(INFCIRC/225/Rev.5)信頼性確認制度関連部分(仮訳)
3.14. 個人のプライバシーに関する国内法、規則又は政策及び業務上の必要性を考慮して、
国は、等級別手法を用いて個人の信頼性判定が要求される状況及び如何に実施するかを明
確にするための個人の信頼性に関する方針を決定すべきである。この方針の実施において
国は、機微情報へのアクセス権を有する個人の信頼性確認、又は必要であれば核物質又は
原子力施設へのアクセス権を有する個人の信頼性確認の手続きが採られていることを保証
すべきである。
3.14. Taking into consideration State laws, regulations, or policies regarding personal privacy and
job requirements, the State should determine the trustworthiness policy intended to identify the
circumstances in which a trustworthiness determination is required and how it is made, using a
graded approach. In implementing this policy, the State should ensure that processes are in place
to determine the trustworthiness of persons with authorized access to sensitive information or,
as applicable, to nuclear material or nuclear facilities.
3.54. 物理的防護システムの管理は、機微情報にアクセスする人の信頼性が情報の秘密保持
に対して適切であると確認され、かつその職務上知る必要のある者だけにアクセスを制限
すべきである。物理的防護システムの脆弱性を示す情報は、
高度に防護されるべきである。
3.54. Management of a physical protection system should limit access to sensitive information to
those whose trustworthiness has been established appropriate to the sensitivity of the
information and who need to know it for the performance of their duties. Information addressing
possible vulnerabilities in physical protection systems should be highly protected.
4.26. 許認可を受けた者のみが、防護区域に立入可能とすべきである。無許可立入の検知及
び防止を確実にするために効果的な出入管理措置が取られるべきである。防護区域に入る
ことを許認可される人数は、必要最小限に抑えられるべきである。防護区域への付き添い
なしで立入りを許可される者は、その個人の信頼性が確定された者に限定されるべきであ
る。臨時の修理員、サービス員又は建設作業員のようにその個人の信頼性が確定されてい
ない者及び訪問者は、付き添いなしで立入りの許認可を受けた者の付き添いを受けるべき
である。
4.26. Only authorized persons should have access to the protected area. Effective access control
measures should be taken to ensure the detection and prevention of unauthorized access. The
number of authorized persons entering the protected area should be kept to the minimum
necessary. Persons authorized unescorted access to the protected area should be limited to
persons whose trustworthiness has been determined. Persons whose trustworthiness has not
been determined such as temporary repair, service or construction workers and visitors should
be escorted by persons authorized unescorted access.
4.42. 許認可を受けた者のみが、内部区域に立入りを許されるべきである。無許可立入の検
知及び防止を確実にするために効果的な出入管理がなされるべきである。内部区域へ入る
ことの許認可を受けた者の数は、必要最小限に抑えられるべきである。内部区域への立入
許可は信頼性確認がされた者に限定すべきである。例外的な状況でかつ限定された期間だ
けは、付き添いなしの立入りの許認可を受けた者による付き添いを条件に信頼性確認がさ
れていない者の立入りが許されるようにすべきである。
4.42. Only authorized persons should have access to the inner area. Effective access control
measures should be taken to ensure the detection and prevention of unauthorized access. The
number of authorized persons entering the inner area should be kept to the minimum necessary.
Persons with authorized access to the inner area should be limited to those whose
trustworthiness has been determined. In exceptional circumstances and for a limited period,
persons whose trustworthiness has not been determined should be provided access only when
escorted by persons authorized unescorted access.
5.31. 許認可を受けた者のみが、枢要区域に立入りを許されるべきである。無許可立入の検
知及び防止を確実にするために効果的な出入管理がなされるべきである。枢要区域に入る
ことの許認可を受けた者の数は、必要最小限に抑えられるべきである。枢要区域への立入
許可は信頼性確認がされた者に限定すべきである。例外的な状況でかつ限定された期間だ
け付き添いなしの立入りの許認可を受けた者による付き添いを条件に信頼性確認がされて
いない者の立入りが許されるようにすべきである。
5.31. Only authorized persons should have access to the vital area. Effective access control
measures should be taken to ensure the detection and prevention of unauthorized access. The
number of authorized persons entering the vital area should be kept to the minimum necessary.
Authorized access to the vital area should be limited to persons whose trustworthiness has been
determined. In exceptional circumstances and for a limited period, persons whose
trustworthiness has not been determined should be provided access only when escorted by
persons authorized for unescorted access.
(別添2)
開催日時
会議名
原子力規制委員会
核セキュリティに関
核セキ ュリテ ィに 関す
する検討会
る検討 会個人 の信 頼性
確認制 度に関 する ワー
キンググループ
平成25年 3月 4日
第1回
平成25年 7月 8日
第2回
平成26年 1月24日
第1回
平成26年 3月17日
第2回
平成26年 8月 1日
第3回
第3回
平成26年10月24日
第4回
平成26年12月 5日
第5回
平成27年 4月13日
第4回
平成27年10月19日
第5回
平成27年10月21日
第35回
平成27年12月15日
第6回
平成28年 3月 8日
第7回
主要議題
【原子力規制委員会】
(第35回:平成27年10月21日)個人の信頼性確認制度の方向性について(報告書)
【核セキュリティに関する検討会】
(第 1回:平成25年 3月 4日)核セキュリティに関する検討会の設置について
(第 2回:平成25年 7月 8日)信頼性確認制度及び輸送における核セキュリティの今後
の検討の進め方について
(第 3回:平成26年 8月 1日)個人の信頼性確認制度に関するWGの今後の進め方につ
いて
(第 4回:平成27年 4月13日) (関連議題無し)
(第 5回:平成27年10月19日)個人の信頼性確認制度の方向性について
【核セキュリティに関する検討会個人の信頼性確認制度に関するワーキンググループ】
(第 1回:平成26年 1月24日)個人の信頼性確認制度 個別論点について
(第 2回:平成26年
3月17日)個人の信頼性確認制度について(第一次とりまとめ案)
(第 3回:平成26年 8月 1日)個人の信頼性確認制度 事務局素案
(第 4回:平成26年10月24日)個人の信頼性制度の方向性について
(第 5回:平成26年12月 5日)個人の信頼性制度の方向性について(報告書(案)
)
(第 6回:平成27年12月15日)個人の信頼性制度の制度設計の方向性について
(第 7回:平成28年 3月 8日)原子力施設における信頼性の確認の実施に係る運用ガイ
ド(案)について