Yano Research Institute Ltd

2016 年 7 月 11 日
プレスリリース
先進運転支援システム(ADAS)用キーデバイス/
コンポーネント世界市場に関する調査を実施(2016 年)
-2020 年における ADAS キーデバイス/コンポーネントの世界市場は 1 兆円を突破-
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて先進運転支援システム(ADAS)の世界市場について調査を実施した。
1.調査期間:2016 年 3 月~6 月
2.調査対象:カーエレクトロニクスメーカ、半導体メーカ、自動車メーカ
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<ADAS 用キーデバイス/コンポーネントとは>
先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driving Assistant System、以下 ADAS)は、車両のフロントやサイド、リ
アに装着されたセンサデバイスにより車両の周辺状況を検知し、事故を未然に防ぐシステムである。主な運転支援
機能は、LKS(車線維持支援)や ACC(前方車両追従)、AEB(緊急自動ブレーキ)、TSR(標識認識)などがある。
本調査における ADAS 用キーデバイス/コンポーネントとは、車両のフロントおよびサイド、リアに搭載された各種セ
ンサユニット(76/77GHzミリ波レーダ、24/25GHz準ミリ波レーダ、(ADAS 用)カメラ、赤外線レーザ、ナイトビジョン、
超音波センサ)などを指す。いずれも、乗用車および車両重量 3.5t 以下の商用車に搭載されるキーデバイス/コンポ
ーネントを対象とする。
【調査結果サマリー】
 2015 年における ADAS 用キーデバイス/コンポーネントの世界市場は 4,327 億円
2015 年の ADAS 用キーデバイス/コンポーネント世界市場規模(自動車部品メーカ Tier1 出荷金額ベー
ス)は前年比 39.5%増となる 4,327 億 7,900 万円となった。2015 年から本格的な拡大基調に入っており、
ADAS 装着車が日米欧で急増している。
◆ ADAS 用キーデバイス/コンポーネント世界市場規模の 2014 年から 2020 年までの
年平均成長率(CAGR)は 29.3%で推移し、2020 年には 1 兆 4,475 億円に成長と予測
欧州と日本における新車アセスメントプログラム(New Car Assessment Programme:NCAP)において歩
行者 AEB の評価試験が 2016 年から始まり、米国でも AEB の標準化についての発表が米国運輸省
(USDOT)からされている。このため、2016 年~2018 年にかけて AEB の標準搭載が日米欧で進み、
2020 年の市場規模は 1 兆 4,475 億 5,500 万円に達すると予測する。
 ADAS 用カメラは年平均 43.6%で成長し、2020 年の世界市場規模は 6,800 億円に伸張
歩行者 AEB に対応するためにフロントに搭載される ADAS 用カメラが日米欧で必須となる。また、自動
運転機能を実現するために ADAS 用カメラの高性能化も進み、車両 1 台あたりの搭載個数も増える。こ
のため、2014 年~2020 年における年平均成長率(CAGR)43.6%で市場は拡大し、2020 年の ADAS 用
カメラの世界市場規模は 6,800 億 3,000 万円に伸張すると予測する。
◆ 資料体裁
資料名:「先進運転支援システム(ADAS)用キーデバイス/コンポーネント 2016」
発刊日:2016 年 6 月 28 日
体 裁:A4 判 149 頁
定 価:130,000 円(税別)
 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
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2016 年 7 月 11 日
プレスリリース
【 調査結果の概要 】
1. 市場概況と 2020 年の市場規模予測
2015 年における ADAS(ADAS:Advanced Driving Assistant System、以下 ADAS)用キーデバイス/コン
ポーネントの世界市場規模は 4,327 億 7,900 万円であった。2014 年の市場規模から 39.5%増となり、日
米欧を中心に ADAS 搭載車が急増している。2015 年は欧州よりも日米の増加率が高く、両市場ともラグ
ジュアリークラス(高級車)以外でも ADAS 搭載車両が増えている。
日本市場は JNCAP(Japan New Car Assessment Programme)において AEB(緊急自動ブレーキ、以下
AEB)評価試験が 2014 年から始まっており、2016 年からは歩行者 AEB 評価試験も実施される予定であ
る。これに対応するためにトヨタ自動車は Toyota Safety Sense C, P、ホンダは Honda SENSING などの新
しい安全システムを 2014 年末に市場投入して AEB 搭載車種を増やしている。このため、日本市場にお
ける ADAS 装着率は 2015 年に 40%を超え、日米欧の中で最も装着率の高い市場となっている。
米国市場については、米国運輸省(USDOT)、米国運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)、米国道
路安全保険協会(IIHS)が 2022 年までに主要自動車メーカ 20 社が製造する全新規販売車両において
AEB が標準装備になると発表している。このため、各自動車メーカでは前倒しして AEB の搭載を進める
可能性が高く、2020 年までに 9 割以上の新規販売車両に ADAS が標準搭載されると推測する。
欧州についてはミドルクラス以下にも ADAS の標準化が進んでおり、2015 年は日本と同様に ADAS
装着率は 40%を超えている。今後はコンパクトクラスへの標準化が 2017 年~2019 年にかけて進むと予
測する。
このような状況から、2016 年以降は ADAS 用センサの需要拡大が急速に進み、2020 年における
ADAS 用キーデバイス/コンポーネントの世界市場規模は 1 兆 4,475 億 5,500 万円、2014 年~2020 年に
おける年平均成長率(以下 CAGR)は 29.3%になると予測する。
2.主なセンサ別 2020 年の市場展望
2-1. ADAS 用カメラ
ADAS 用センサの中で最も市場規模が大きいのがカメラ ※である。2015 年の市場規模は 1,511 億
8,500 万円に達し、ミリ波レーダの市場規模(1,113 億 6,700 万円)を上回っている。歩行者 AEB の採用
が日米欧で進んでおり、車両と歩行者、自転車等の認識・区別が可能なカメラは ADAS では必須のセン
サとなっている。さらに、カメラの高機能化(高画素化、画像処理の高速化)が進展しており、人工知能
(ディープラーニング)の採用も 2016 年から一部メーカで始まっている。カメラを使った運転支援機能の
種類が広がっており、自動運転向けに複数のカメラの搭載も検討されている。このため、2014 年~2020
年までの CAGR は ADAS 用センサの中で最も高い 43.6%であり、2020 年には 6,800 億 3,000 万円に市
場は拡大すると予測する。
※本調査におけるカメラとは、ADAS 用カメラを対象とし、センサ機能を使用して障害物を検知し、ドライバーを介さずに
自動的に自動車のブレーキをかけるなどの走行を支援するシステムをさす。パーキングアシスト等のビューカメラを除く。
2-2. 76/77GHz ミリ波レーダ
ADAS 用カメラの次に市場規模の大きい 76/77GHz ミリ波レーダの 2014 年~2020 年までの CAGR は
27.8%、2020 年の市場規模は 3,884 億 1,600 万円になると予測する。2019 年以降に CMOS プロセスを
適用したミリ波レーダの製品投入が進み、検知距離 100m 以下の周辺監視向け SRR(Short Range
Rader)に使われる。このため、車両 1 台あたりに搭載されるミリ波レーダの数は 5~6 個に増加し、
24/25GHz 準ミリ波レーダから 76/77GHz ミリ波レーダへの置き換えも 2020 年以降は進む。これに伴い需
要拡大によるコストダウンも進むことから、金額ベースでの年平均成長率は ADAS 用カメラよりも低いと推
測する。
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2016 年 7 月 11 日
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2-3.
24/25GHz 準ミリ波レーダ
24/25GHz 準ミリ波レーダの検知距離は 70~80m、検知角度 180 度のリア/サイドの周辺監視向け SRR
として採用されている。BSD(死角検知)や LCA(車線変更補助)、RCTA(後方車両衝突・接近警報)向
けにリアバンパーに 2 個装着されるケースが多く、高級車では一台あたり 5 個の準ミリ波レーダを搭載す
る。低コストであるため一定の需要が期待出来ることから、2014 年~2020 年までの CAGR は 26.2%、
2020 年の市場規模は 2,553 億 6,000 万円と予測する。24/25GHz 準ミリ波レーダを量産出荷しているメー
カは高度な運転支援機能に対応するために、より高分解能な 76/77GHz ミリ波レーダによる SRR の製品
開発を進めている。このため、CMOS プロセスによるミリ波レーダのコストダウンが進む 2020 年以降につ
いては、SRR の 24/25GHz から 76/77GHz への置き換えが進む可能性が高く、24/25GHz 準ミリ波レーダ
の成長は鈍化すると予測する。
2-4. 超音波センサ
検知距離が 3~4m の超音波センサについては、近距離における障害物を警報するクリアランスソナー
が、駐車支援システムなどで使われている。車両 1 台当たりの搭載個数は年々増加しており、高級車で
は 12 個の超音波センサが使われている。超音波センサを採用した駐車支援システムは欧州市場がこれ
まで中心であったが、低コストであるために日本市場でも採用が拡大する見込みである。また、駐車支援
システムの高機能化、自動駐車の実用化と合わせて超音波センサの車両 1 台あたりの平均搭載個数は
9~10 個まで上昇する。このため、超音波センサの 2014 年~2020 年までの CAGR は 19.0%になり、2020
年の市場規模は 858 億 2,600 万円と予測する。
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2016 年 7 月 11 日
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図表 1. ADAS 用キーデバイス/コンポーネントの世界市場規模と予測
(百万円)
(単位:百万円)
2014年
ミリ波レーダ
(76/77GHz)
前年比
準ミリ波レーダ
(24/25GHz)
前年比
2015年
2016年
予測
2017年
予測
2018年
予測
2019年
予測
2020年
予測
89,216
111,367
160,832
222,700
275,490
341,352
388,416
-
124.8%
144.4%
138.5%
123.7%
123.9%
113.8%
63,066
91,245
108,950
136,800
171,072
216,192
255,360
-
144.7%
119.4%
125.6%
125.1%
126.4%
118.1%
77,640
151,185
214,340
326,760
451,880
575,510
680,030
-
194.7%
141.8%
152.4%
138.3%
127.4%
118.2%
10,294
10,818
11,340
11,125
10,626
9,889
9,713
-
105.1%
104.8%
98.1%
95.5%
93.1%
98.2%
39,900
38,400
36,600
35,850
29,510
28,470
28,210
前年比
-
96.2%
95.3%
98.0%
82.3%
96.5%
99.1%
超音波
30,218
29,764
39,266
49,581
65,934
78,490
85,826
-
98.5%
131.9%
126.3%
133.0%
119.0%
109.3%
310,334
432,779
571,328
782,816
1,004,512
1,249,903
1,447,555
-
139.5%
132.0%
137.0%
128.3%
124.4%
115.8%
ADAS用カメラ
前年比
赤外線レーザ
前年比
ナイトビジョン
前年比
世界市場規模
(合計)
前年比
2014年~
2020年の
年平均成長率
27.8%
26.2%
43.6%
-1.0%
-5.6%
19.0%
29.3%
矢野経済研究所推計
注1. 自動車部品メーカ(Tier1)出荷金額ベース
注2. 2016 年以降は予測値
注3. ADAS 用カメラは、パーキングアシスト等のビューカメラを除く
注4. ADAS 用キーデバイス/コンポーネントとは、車両のフロントおよびサイド、リアに搭載された各種センサユニット
(76/77GHzミリ波レーダ、24/25GHz準ミリ波レーダ、(ADAS 用)カメラ、赤外線レーザ、ナイトビジョン、超音波セン
サ)などを指す。いずれも、乗用車および車両重量 3.5t 以下の商用車に搭載されるキーデバイス/コンポーネントを対
象とする。
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