インフォメーション・ディベロプメント

インフォメーション・ディベロプメント
(4709・東証 1 部)2016 年 7 月 13 日
17/3 期は金融機関向けを中心に伸長する見通し
ベーシックレポート
社
概
システム導入後の運営管理をサポートするシステム運営管理事業を
主力とする独立系の情報サー
(株)QUICK
前田 俊明
会
独立系の情報サービス会社。システム運営管理が主力
ビス会社。システム構築を
サポートするソフトウエア
要
開発事業なども展開している。
銀行を中心とした金融機関が
所
在
地
東京都千代田区
主要顧客。連結売上高に占め
代
表
者
舩越 真樹
る金融機関向けの割合は 5 割
設 立 年 月
資
本
1969/10
金
592 百万円
(2016/03/31 現在)
上
場
日
U
R
L
16/3 期は本店移転などに係る費用などで営業微増益
16/3 期の連結業績は売上高が前期比 6%増の 201 億円、営業利益は
1998/11/11
同微増の 9.7 億円。不採算案件が発生したが、生産性を改善し労務費
を削減したことで売上総利益率はわずかながら上昇。ただ本店移転に
http://www.idnet.co.jp/
業
を超える。
種
情報・通信業
伴う経費などが膨らみ販管費が増加したことから、営業利益は伸び悩
んだ。受注高は前期比 9%増の 200 億円、16/3 期末の受注残高は前期
末比 90%増の 14 億円。ソフトウエア開発事業を中心に残高が積み上が
主 要 指 標 2016/7/13 現 在
株
価
っており、今期は豊富な受注残高を抱えてのスタートとなる。
17/3 期は一過性費用なく 3 割営業増益見通し
959 円
1,080 円
(6/2)
790 円
(4/12)
比 5%増)、営業利益 12.7 億円(同 31%増)を予想。企業のソフトウ
発行済株式数
8,029,535 株
機関を中心とした受注が増加する見通し。前期末の高水準の受注残高
売 買 単 位
100 株
も寄与しよう。システム運営管理事業とソフトウエア開発事業はとも
時 価 総 額
7,700 百万円
に増収を予想。人件費や外注費の増加を想定するものの、本店移転に
予 想 配 当
35.0 円
係る一過性の費用負担がなくなることが利益を押し上げる見通し。不
114.79 円
採算案件は管理体制の強化などで抑制できるとみている。営業利益率
年初来高値
年初来安値
(
会
社
予 想
)
E P S
( ア ナ リ ス ト )
実 績
業
P B R
績
1.07 倍
動
向
売上高
百万円
17/3 期の連結業績について企業価値研究所は売上高 210 億円(前期
エア投資は緩やかな増加が続くとみており、主な顧客業種である金融
は 08/3 期以来の 6%台に上昇しよう。
前期比
%
営業利益
百万円
前期比
%
経常利益
百万円
前期比
%
当期純利益
百万円
前期比
%
EPS
円
績
20,082
6.4
970
0.4
964
-3.4
548
7.9
76.09
想
(2016 年 4 月発表)
21,400
6.6
1,280
31.9
1,260
30.6
830
51.2
114.79
アナリスト予想
21,000
4.6
1,270
30.9
1,250
29.6
830
51.2
114.79
2 0 1 8 / 3 アナリスト予想
22,000
4.8
1,450
14.2
1,430
14.4
950
14.5
131.38
2016/3 実
会
2017/3
社
予
アナリストレポート・プラットフォーム
1
会
社
会
社
概
概
要
要
 会社概要

会社概要
システム導入後の運営管理をサポートするシステム運営管理事業を主力
とする独立系の情報サービス会社。システム構築をサポートするソフトウエ
ア開発事業なども展開している。銀行を中心とした金融機関が主要顧客。連
結売上高に占める金融機関向けの割合は 5 割を超える。
経
経
営
営
者
理
念

経営者
代表取締役社長 舩越 真樹氏

経営理念
Innovation Driven Visionary Company
■誇り/Pride
私たちは、損か得かで判断するのではなく、正しいか正しくないかで行動し
ます。
■ミッション/Mission
私たちは情報サービス企業として、わくわくする未来創りに参加します。
■三命/Attributes
・卓越した技術(High
Technology)は ID グループの生命
・高品質のサービス(High Quality)は ID グループの使命
・未知への挑戦(Challenge)は ID グループの命題
■3 つの組織/Organization
・「前向きな姿勢」を怠らない組織
・「明日の組織造り」を怠らない組織
・「人間力作り」を怠らない組織
アナリストレポート・プラットフォーム
2
会
社
沿
概
要
革

沿革
1969 年
10 月
 会社概要
コンピュータの高度利用のための広範な技術サービ
スの提供を目的に設立
(
12 月
IBM0024 型穿孔機、IBM0056 型穿孔検査機を導入しデ
出
ータ入力業務を開始、安田信託銀行(現みずほ信託銀
所
行)から最初の直接取引となるデータ入力業務を受託
)1970 年
5月
有
価
ほ銀行)からシステム運営管理業務を受託
7月
証
券
1982 年
システム運営管理業務を開始、日本興業銀行(現みず
ソフトウエア開発業務を開始、安田信託銀行(現みず
ほ信託銀行)からソフトウエア開発業務を受託
9月
ソフトウエア開発業務の拡大を目的に日本ユニシス
報
との共同出資でソフトウエア・ディベロプメントを設
告
立
書
1998 年
11 月
2004 年
 大
4月
株
2011 年
主
日本証券業協会に株式を店頭登録
ソフトウエア生産拠点の確保を目的に中国・武漢市に
艾迪系統開発有限公司(現・連結子会社)を設立
5月
米国でデータセンター構築・ ERP 導入を手掛け る
SYSCOM INC.と業務提携
9月
英国で IT 基盤構築・運用・保守を展開するニュート
ン IT 社と業務提携
2012 年
2月
シンガポールで PC サポート・LAN 構築・運用を提供す
る KAWATEC PTE LTD と業務提携
8月
グローバル人材の確保と育成を目的に米国マサチュ
ー セ ッ ツ 州 ボ ス ト ン に INFORMATION DEVELOPMENT
AMERICA INC.(現・連結子会社)を設立
2013 年
7月
東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い、東京
証券取引所 JASDAQ(スタンダード)に上場
12 月
2014 年
3月
東京証券取引所第 2 部上場
東南アジアでの IT サービスの拡充を目的に、シンガ
ポールに本社を置く DeClout およびその子会社(クラ
ウドソリューション、災害復旧サービス、ネットワー
ク構築サービス等の幅広い IT サービスを提供)と業
務提携
(2016 年
9月
東京証券取引所第 1 部指定
3月
リアルグローブと業務・資本提携
出所)有価証券報告書
アナリストレポート・プラットフォーム
3
会
大
社
概
株
要
主
株主
 会社概要
所有比率
(%)
1
エイ・ケイ
889
11.19
2
みずほトラストシステムズ
682
8.50
3
ID 従業員持株会
486
6.05
4
MSCO CUSTOMER SECURITIES
341
4.25
5
資産管理サービス信託銀行(信託 E 口)
337
4.20
6
みずほ信託銀行
281
3.51
7
NORTHERN TRUST
210
2.62
8
TDC ソフトウェアエンジニアリング
189
2.35
9
舩越
朱美
132
1.64
丸林 香織
119
1.49
10
アナリストレポート・プラットフォーム
所有株式数
(千株)
CO.(AVFC)
4
事
事
業
業
概
の
内
要
容
 会社概要

事業の内容
システムのコンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理、
クラウド・セキュリティ、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)まで
一貫して手掛ける強みを生かし、トータルな IT アウトソーシングサービス
「i-Bos24」を提供している。
図1.i-Bos24
(出所)同社ホームページ
同社および子会社を通じて、システム運営管理とソフトウエア開発の両事業
を中心に展開する。
主力のシステム運営管理事業ではシステム導入後の運営管理をサポート。
顧客のコンピュータ部門に常駐して情報処理システムの管理・運営ならびに
オペレーションを行うほか、システムの新規導入や再構築の際の運用構築な
ども手掛けて、ミドルウエアのカスタマイズからハードウエアの保守、24
時間体制のオペレーションまで、一貫したサービスを提供できる体制を整備
している。
ソフトウエア開発事業では、顧客のソフトウエア開発を一括で請け負う受
託開発業務や顧客の事業所に常駐してソフトウエア開発を行う。銀行を中心
とした金融機関のほか、運輸、エネルギーなど幅広い分野の顧客にサービス
アナリストレポート・プラットフォーム
5
事
業
概
要
を提供する。
その他の事業では、ネットワークセキュリティ商品の販売およびセキュリ
 会社概要
ティシステム構築・導入支援サービス業務や情報システム開発・運営技術に
関する教育、コンサルティング業務などを手掛ける。
図2.事業系統図
(注)当社:インフォメーション・ディベロプメント
(注)当社:インフォメーション・ディベロプメント
(出所)有価証券報告書
売
上
構
成

売上構成
16/3 期の事業別売上構成比(外部顧客ベース)は、システム運営管理
58.4%、ソフトウエア開発 37.5%、その他 4.2%。同期の顧客業種別構成比
は、金融機関 54.7%、情報・通信・サービス 26.1%、その他 19.1%。主な
顧客別売上構成比は、みずほトラストシステムズ 15.8%、日本アイ・ビー・
エム 10.2%となっている。
アナリストレポート・プラットフォーム
6
事
業
概
要
図3.売上構成比(16/3期)
・事業別
 会社概要
・顧客業種別
その他
4.2%
その他
19.1%
ソフトウエア開発
37.5%
システム運営管理
58.4%
金融機関
54.7%
情報・通信・サービス
26.1%
(出所)決算短信、決算説明資料より当研究所作成
アナリストレポート・プラットフォーム
7
経 営 環 境 解 説
情報サービス業界
は増収基調
 会社概要

経営環境解説
情報サービス業界では、08 年秋のリーマンショック後に企業の IT 投資の
先送り・凍結の動きが顕著となり、数年にわたり停滞した。その後は緩やか
に回復しここ数年は成長が続いている。経済産業省の「特定サービス産業動
態統計調査」の情報サービス業の売上高からもその傾向が読み取れる。同社
のシステム運営管理事業とソフトウエア開発事業に関連するシステム等管
理運営受託と受注ソフトウエアの売上高の推移を図 4 に示した。
受注ソフトウエアは 09 年に入ると大きく落ち込み、システム等管理運営
受託もやや遅れてマイナス基調に転じ、11 年にかけて厳しい状況に陥った。
その後は一進一退を繰り返しながらも増加基調。受注ソフトウエアは 16 年
1~3 月期に前年同期割れとなったが、システム等管理運営受託は安定成長
が続いている。
図4.情報サービス業の売上高の推移
10
5
前
年 0
同
期
比 -5
(
%
)-10
-15
受注ソフトウェア
システム等管理運営受託
ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠ
08年
09年
10年
11年
12年
13年
14年
15年 16年
(注)Ⅰ:1~3月、Ⅱ:4~6月、Ⅲ:7~9月、Ⅳ:10~12月
(出所)経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」より当研究所作成
直近の日銀短観(16 年 7 月公表の 6 月調査)によれば(図 5 参照)
、15
日銀短観(6 月)~
16 年度の民間企
業のソフトウエア投
資額は増加見通し
年度の全産業(含む金融機関)のソフトウエア投資額は前年度比 7.8%増と
なり、5 年連続で増加した。特に金融機関は同 32.4%増加。銀行業、保険業
など全般に大きく伸びた。金融機関を除く全産業も同 1.2%増と堅調に推移。
運輸・郵便の落ち込みなどで非製造業が同横ばいだったものの、輸送用機器
を牽引役に製造業が伸びた。
続く 16 年度の全産業(含む金融機関)のソフトウエア投資額は、前年度
比 5.3%増となる計画。3 月調査から上方修正された。同社との関連が深い
銀行業は同 6.6%増となる見通し。前年度に伸び悩んだ非製造業も同 6.2%
増となる計画で、特に電気・ガスで投資の増加が見込まれている。同社もこ
の分野で顧客を持つことから追い風になりそうだ。
アナリストレポート・プラットフォーム
8
経 営 環 境 解 説
図5.民間企業のソフトウェア投資額の推移
40
 会社概要
全産業(含む金融機関)
金融機関
全産業(除く金融機関)
30
前
年
度 20
比
(
%
) 10
0
-10
10年度
11年度
12年度
13年度
14年度
15年度
3月調査
6月調査
16年度
(出所)日銀短観より当研究所作成。16年度は計画
アナリストレポート・プラットフォーム
9
業
績
16/3 期は 6%増
収、営業微増益
 会社概要

業績解説
16/3 期の連結業績は売上高が前期比 6%増の 201 億円、営業利益は同微増
の 9.7 億円。システム運営管理、ソフトウエア開発の両事業がともに伸び、
売上高は過去最高を更新し 200 億円台に到達した。不採算案件が発生したが、
生産性を改善し労務費を削減したことで売上総利益率はわずかながら上昇。
ただ本店移転に伴う経費などが膨らみ販管費が増加したことから、営業利益
は伸び悩んだ。不採算案件はシステム開発などに絡んで 2Q と 4Q に発生した
ようで、プロジェクト管理に課題が残る結果となった。移転経費は一過性の
費用であることから、17/3 期はこうした費用負担が軽減され利益を押し上
げよう。
受注高は前期比 9%増の 200 億円。ソフトウエア開発事業が 2 割近く伸び
たほか、システム運営管理事業も増加した。16/3 期末の受注残高は前期末
比 90%増の 14 億円。ソフトウエア開発事業を中心に残高が積み上がり、今
期は豊富な受注残高を抱えてのスタートとなる。
事業別売上高をみると、システム運営管理は前期比 4%増の 117 億円。既
システム運営管理
事業、ソフトウエア
開発事業はともに
増収
存の金融系運営管理業務は一部で規模が縮小したが、既存顧客の深耕により、
運輸系のプラットフォーム開発業務(低コストかつ高信頼性のシステム稼働
環境を設計・構築するサービス)などが伸長した。ソフトウエア開発は同 8%
増の 75 億円。制度改正、法改正対応などに係る公共系の案件が増加したこ
とに加え、金融系もシステム統合や更改対応などが寄与した。
表1.業績動向
15/3期
通期
A
売上高
18,868
事 システム運営管理
11,271
業 ソフトウエア開発
6,977
別 その他
620
売上原価
15,219
売上総利益
3,649
販管費
2,682
営業利益
966
経常利益
998
純利益
508
(出所)決算短信などより当研究所作成
アナリストレポート・プラットフォーム
単位:百万円
16/3期
通期
B/A
B
20,082
11,721
7,521
839
16,108
3,973
3,003
970
964
548
6.4%
4.0%
7.8%
35.3%
5.8%
8.9%
12.0%
0.4%
-3.4%
7.9%
B-A
1,214
450
545
219
889
325
321
4
-34
40
10
業
績
16/3 期の ROE は
8.3%
 会社概要
図 6 には投資家の関心事である ROE(自己資本利益率)の推移を示した。
16/3 期の ROE は 8.3%。前期比で 0.2 ポイント改善した。株式投資家の要求
(または期待)する ROE の水準は 8%がひとつの目安になっており、この水
準はクリアしている。ただ、より高い収益性を意識するなら 10%以上が次
の目標になる。同社も 08/3 期、09/3 期は 10%を上回っていた。なお、13/3
期に ROE がマイナスだったのは、事業再構築の過程で早期退職を募集し関連
費用を特別損失に計上、最終赤字となったため。14/3 期は黒字に転じ ROE
もプラスに戻った。
図6.ROE(自己資本利益率)の推移
15.0
2.5
(%)
(倍、回)
10.0
2.0
5.0
1.5
0.0
-5.0
1.0
ROE(%)
売上高純利益率(%)
総資産回転率(回)
財務レバレッジ(倍)
-10.0
08/3期 09/3期 10/3期 11/3期 12/3期 13/3期 14/3期 15/3期 16/3期
(注)自己資本と総資産は期首・期末平均
(出所)会社資料より当研究所作成
0.5
0.0
ROE は 3 分解して要因分析することが多い(分解式は表 2 参照)
。16/3 期
の ROE について、10%を超えていた 08/3 期と比較すると、総資産回転率は
上回っているものの、売上高純利益率と財務レバレッジが低下している。総
資産回転率は効率性を示す指標で、資産を増やさず売上高を拡大するほか、
遊休資産の売却などで資産を圧縮し効率的に稼ぐ仕組みを築けば高まりや
すい。売上高純利益率は収益性を示し、これを高める努力が求められる。財
務レバレッジは負債活用の程度を示し(レバレッジはてこの意味)、逆数を
とると安全性を示す自己資本比率となる。自己資本比率は高い方が財務体質
は健全といえる。財務レバレッジは自己資本の抑制や資本構成に占める有利
子負債の割合を増やすことなどで高められるが、レバレッジを効かせ過ぎる
と財務の安定性が損なわれる(自己資本比率の低下)。一方、自己資本の過
剰な積み上げは資本効率の低下に繋がることから、バランスが求められる。
したがって、売上高純利益率と総資産回転率の改善が ROE 向上の王道といえ
よう。後述のように、当研究所は 17/3 期に利益率の向上を予想しており、
ROE は 12%台に高まると見込んでいる。
アナリストレポート・プラットフォーム
11
業
績
表2.ROEの3分解式
ROE
 会社概要
=
自己資本
利益率
=
売上高
純利益率
×
総資産
回転率
×
財務
レバレッジ
自己資本
比率
純利益
自己資本
=
純利益
売上高
×
売上高
総資産
×
総資産
自己資本
自己資本
総資本
逆数
※ 総資産
=

17/3 期は 5%増
収、31%営業増益
を予想
総資本
当研究所予想
経営環境解説で述べたように、民間企業のソフトウエア投資額は、金融機
関を含め増加する見通し。金融機関向けに強みを持つ同社には追い風といえ
る。為替の円高進行による製造業を中心とした業績下振れへの懸念など不透
明な要素はあるが、当研究所では金融機関向け主体の同社の事業構造などか
ら、受注が増加するとみている。
17/3 期の連結業績について当研究所は売上高 210 億円(前期比 5%増)、
営業利益 12.7 億円(同 31%増)を予想。企業のソフトウエア投資は緩やか
な増加が続くとみており、主な顧客業種である金融機関を中心とした受注が
増加する見通し。前期末の高水準の受注残高も寄与しよう。システム運営管
理事業とソフトウエア開発事業はともに増収を予想。人件費や外注費の増加
を想定するものの、本店移転に係る一過性の費用負担がなくなることが利益
を押し上げる見通し。不採算案件は管理体制の強化などで抑制できるとみて
いる。営業利益率は 08/3 期以来の 6%台に上昇しよう(図 7 参照)。
事業別売上高では、ソフトウエア開発は金融機関向けを中心に拡大し同
6%増の 80 億円を見込む。システム運営管理もプラットフォーム開発業務の
増加などから同 3%増の 121 億円を見込む。
同社は 6 月 24 日、17/3 期 1Q に特別利益を計上すると発表。退職給付制
度を改定、確定給付企業年金制度を終了し、16 年 4 月 1 日から確定拠出年
金制度に全面移行した。これに伴う業績への影響額として 2.5 億円を特別利
益に計上する。ただ、その他の要因を含め業績予想については現在検討中と
している。
当研究所では、今回の予想にはこの影響額を考慮せず、その他の要因を含
めた詳細が確定した時点で織り込むことにする。
アナリストレポート・プラットフォーム
12
業
績
表3.業績見通し
 会社概要
16/3期
実績
会社
A
計画
売上高
20,082
21,400
事 システム運営管理
11,721
業 ソフトウエア開発
7,521
別 その他
839
営業利益
970
1,280
(営業利益率)
4.8%
6.0%
経常利益
964
1,260
純利益
548
830
(出所)決算短信などより当研究所作成
17/3期
当研究所予想
B
B/A
21,000
4.6%
12,100
3.2%
8,000
6.4%
900
7.2%
1,270
30.9%
6.0%
1,250
29.6%
830
51.2%
単位:百万円
18/3期
当研究所予想
C
C/B
22,000
4.8%
12,600
4.1%
8,500
6.3%
900
0.0%
1,450
14.2%
6.6%
1,430
14.4%
950
14.5%
翌 18/3 期は売上高 220 億円(前期比 5%増)、営業利益 14.5 億円(同 14%
18/3 期は 5%増
収、14%営業増益
を予想
増)を予想する。企業のソフトウエア投資は緩やかな増加が続くとみており、
主な顧客業種である金融機関を中心とした受注が増加する見通し。システム
運営管理事業とソフトウエア開発事業はともに増収を予想する。
図7.業績推移
売上高-左軸
営業利益率-右軸
25,000
10
金 20,000
額
(
百 15,000
万
円
) 10,000
8 利
益
6 率
(
%
)
4
5,000
0
2
08/3 09/3 10/3 11/3 12/3 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3
期
期
期
期
期
期
期
期
期
期
期
0
予想
(出所)決算短信より当研究所作成。予想は当研究所

中期経営計画
同社では、決算発表にあわせ 3 カ年の中期経営計画を公表。毎年期初に計
画を見直しており、数値目標を 3 年先の計画値に差し替えるとともに、各種
施策とあわせて中期的な経営方針を示している。数値目標として、今回は最
終年度の 19/3 期に、売上高は 240 億円、営業利益は 16.8 億円(営業利益率
7.0%)
、ROE(自己資本利益率)は 13.5%(16/3 期実績は 8.3%)を掲げた。
経営戦略における重点施策として、5 つの施策を推進する(表 4 参照)。ダ
イバーシティ推進では女性活用や外国人社員の比率を高め、組織活性化など
に繋げる。情報サービス業界の趨勢であるクラウドサービスについては、新
しいセキュリティ商品や技術を取り入れたサービスを提供するとともに、プ
アナリストレポート・プラットフォーム
13
業
績
ラットフォーム系開発業務など付加価値の高いビジネスに注力する。グロー
バル推進では、中国、シンガポールなどの拠点や業務提携先との協業などを
 会社概要
進める。
表4.経営戦略における重点施策
◆女性および女性管理職比率などの目標を定め、進捗状況を確認
◆バイリンガル社員数を増やし、組織を活性化する
1 ダイバーシティ推進
・2020年女性管理職比率 30%
・2018年多国籍社員比率 15%
◆既存顧客を深耕、新規顧客を開拓
2 BOO戦略
◆コンサルティングからBPOまでのトータルなITサービス「i-Bos24」を提供
◆新しいセキュリティ商品、技術を積極的に取り入れたクラウドの提供
3 「iD-CLOUD」の推進
◆プラットフォーム系開発業務の要員育成、売上拡大
◆中国、シンガポール、ミャンマー、インドネシア、米国、英国における拠点及び業務提携先との協業推進
◆日系のみならず非日系の現地企業とも提携
4 グローバル推進
◆ミャンマーの合弁会社の株式取得
◆インドネシア子会社設立予定
◆国内子会社吸収による人材の底上げ
グループ経営の効率化と ◆営業活動におけるグループ内連携強化
5
業務プロセスの改善
◆生産性の向上、要員の適正配置、時間外勤務管理の厳格化による業務プロセス改善
◆テラコーポレーションを子会社化
(出所)決算説明資料より当研究所作成
アナリストレポート・プラットフォーム
14
(出所)㈱QUICK
上記チャート図の一部又は全部を、方法の如何を問わず、また、有償・無償に関わらず第三者に配布してはいけません。
上記チャート図に過誤等がある場合でも㈱QUICK 社及び東京証券取引所は一切責任を負いません。
上記チャート図の複製、改変、第三者への再配布を一切行ってはいけません。
2014/03
株 価 推 移
2015/03
2016/03
2017/03 予
(アナリスト)
株価(年間高値)
円
749
1,089
1,036
-
株価(年間安値)
円
478
605
822
-
月間平均出来高
百株
2,185
4,314
2,487
-
売
上
高
百万円
17,578
18,868
20,082
21,000
営
業
利
益
百万円
735
966
970
1,270
経
常
利
益
百万円
765
998
964
1,250
百万円
372
508
548
830
業 績 推 移
当 期 純 利 益
E
P
S
円
52.42
71.05
76.09
114.79
R
O
E
%
6.5
8.1
8.3
12.3
流動資産合計
百万円
6,399
6,731
6,551
-
固定資産合計
百万円
3,270
3,571
3,768
-
資
百万円
9,670
10,303
10,319
-
産
合
計
貸借対照表
流動負債合計
百万円
2,928
3,331
3,105
-
主 要 項 目
固定負債合計
百万円
655
210
705
-
負
百万円
3,584
3,542
3,810
-
株主資本合計
百万円
5,675
6,044
6,388
-
純 資 産 合 計
百万円
6,085
6,760
6,509
-
営業活動による CF
百万円
-15
506
187
-
投資活動による CF
百万円
-106
-430
-219
-
財務活動による CF
百万円
-324
-272
-231
-
現金及び現金同等
物の期末残高
百万円
2,594
2,485
2,167
-
キャッシュフ
ロー計算書
主 要 項 目
債
合
計
アナリストレポート・プラットフォーム
15
リ
ス
ク
分
析

事
業
関 会社概要
す る リ

に
ス ク
事業に関するリスク
・ソフトウエア開発および基盤環境構築業務遂行上のリスクについて
高度化、複雑化、短納期化するソフトウエア開発および基盤環境構築業務
では、開発途中での要件変更や品質の低下、納期遅延などの問題が発生する
リスクがあるため、同社では ISO9001 に準拠した品質マネジメントシステム
を導入している。業務管理部門、品質管理部門は各プロジェクトの QCD(品
質・コスト・納期)状況のリアルタイム監視を通じて、異常を検知・予測し、
早期に対策を講じて不採算案件の発生防止に努めている。しかし、このよう
な取り組みにもかかわらず障害が防止できない場合、追加費用が発生して採
算が悪化し、同社の業績に影響を及ぼす可能性がある。
・システム運営管理業務遂行上のリスクについて
システム運営管理業務において、誤操作などによるシステム障害や情報提
供の遅延などを発生させる可能性があるが、同社はこの種の障害を未然に防
止するための品質管理部門を設け、
「障害の未然防止研修」、
「障害要因分析・
フィードバック」、「現場立ち入り検査」などを企画実施している。ISO9001
認証を取得し、品質向上を図っている。しかし、大規模なシステム障害など
を発生させた場合、損害賠償責任が発生し、同社の業績に影響を及ぼす可能
性がある。
・人材確保のリスクについて
最新のIT技術への対応、顧客満足度の向上のためには、優秀な人材の確
保は重要課題。同社は人事制度を見直し、付加価値の高い人材を確保するよ
う努め、採用活動に注力している。しかし、優秀な人材を確保・育成できな
い場合、また事業変革に伴うニーズにマッチした人材の補充ができない場合
には、同社の業績に影響を及ぼす可能性がある。
・パートナー会社からの要員調達について
案件ニーズにマッチした人材を機動的に調達するため、パートナー会社か
らの要員調達についても積極的に進めている。150 社強のパートナー会社と
の協力関係を深め、かつ新規のパートナー会社の開拓にも注力し、要員の調
達力向上に努めている。しかし、要員の調達が不調に終わった場合、同社の
業績に影響を及ぼす可能性がある。
・特定の取引先への依存について
みずほフィナンシャルグループ傘下の企業への売上構成比が高くなって
おり、みずほフィナンシャルグループとの受託業務について変動が生じた場
合、同社の業績に影響を及ぼす可能性がある。
アナリストレポート・プラットフォーム
16
デ ィ ス ク レ ー マ ー
1.本レポートは、株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。
)が実施する「アナリストレポー
ト・プラットフォーム」を利用して作成されたものであり、東証が作成したものではありません。

会社概要
2.本レポートは、本レポートの対象となる企業が、その作成費用を支払うことを約束することにより作
成されたものであり、その作成費用は、当該企業が東証に支払った金額すべてが、東証から株式会社 QUICK
(以下「レポート作成会社」といいます。
)に支払われています。
3.本レポートは、東証によるレビューや承認を受けておりません(ただし、東証が文面上から明らかに
誤りがある場合や適当でない場合にレポート作成会社に対して指摘を行うことを妨げるものではありま
せん)
。
4.レポート作成会社及び担当アナリストには、この資料に記載された企業との間に本レポートに表示さ
れる重大な利益相反以外の重大な利益相反の関係はありません。
5.本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を唯一の目的として作成されたもので、有価証券の
取引及びその他の取引の勧誘又は誘引を目的とするものではありません。有価証券の取引には、相場変
動その他の要因により、損失が生じるおそれがあります。また、本レポートの対象となる企業は、投資
の知識・経験、財産の状況及び投資目的が異なるすべての投資者の方々に、投資対象として、一律に適
合するとは限りません。銘柄の選択、投資判断の最終決定は、投資者ご自身の判断でなされるようにお
願いいたします。
6.本レポート作成にあたり、レポート作成会社は本レポートの対象となる企業との面会等を通じて、当
該企業より情報提供を受けておりますが、本レポートに含まれる仮説や結論は当該企業によるものでは
なく、レポート作成会社の分析及び評価によるものです。また、本レポートの内容はすべて作成時点の
ものであり、今後予告なく変更されることがあります。
7.本レポートは、レポート作成会社が信頼できると判断した情報に基づき記載されていますが、東証及
びレポート作成会社は、本レポートの記載内容が真実かつ正確であり、そのうちに重要な事項の記載が
欠けていないことやこの資料に記載された企業の発行する有価証券の価値を保証又は承認するものでは
ありません。本レポート及び本レポートに含まれる情報は、いかなる目的で使用される場合におきまし
ても、投資者の判断と責任において使用されるべきものであり、本レポート及び本レポートに含まれる
情報の使用による結果について、東証及びレポート作成会社は何ら責任を負うものではありません。
8.本レポートの著作権は、レポート作成会社に帰属しますが、レポート作成会社は、本レポートの著作
権を東証に独占的に利用許諾しております。そのため本レポートの情報について、東証の承諾を得ずに
複製、販売、使用、公表及び配布を行うことは法律で禁じられています。
<指標の説明について>
本レポートに記載の指標に関する説明は、東京証券取引所ウェブサイトに掲載されております。
参照 URL ⇒ http://www.jpx.co.jp/listing/ir-clips/analyst-report/02.html
アナリストレポート・プラットフォーム
17