NEWS RELEASE 2016 年 7 月 13 日 表情に伴う“頬”の「白トビ領域の変動」と「動きの遅れ」が老けた印象を与える 新解明!頬の動きに潜むエイジングサイン ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:三浦卓士)は、実年 齢が高くなるに従い、 1) 頬部において、表情の変化に伴って生じる白トビ領域(図 1 および補足資料参照)面積のばらつきが大きくな ることにより、若い肌にはない視覚的な「肌ノイズ」が生じること 2) 表情の変化に伴う頬部の皮膚の動きのタイミングが遅れ、「潜在的な老け印象」を与えること を見出しました。 以前の研究により“見た目の年齢を判断する際に、頬部に視線が向けられる”ことが分かっており、今後こ れらの現象を作り出す肌内部成分の構造を伴う変化を探ることで、相手に老けた印象を与えず若々しい印象 を与える方法の提案や化粧料の開発に結び付けたいと考えております。 本成果は 7 月 12 日(火)に開催された第 78 回日本化粧品技術者会(SCCJ)研究討論会で発表しました。 図1 頬部の白トビ領域 “頬の動き”と“年齢印象”に着目した継続研究 私達は実生活において表情に接し、相手の見た目の年齢に関する印象を得ています。 一方、顔の見た目の年齢を調べた従来の研究では真顔を対象としており、必ずしも実生 活で示される表情を反映しているとは言えませんでした。そのためポーラ化成工業は、 実生活を反映した条件で調査することにより、何がヒトの見た目の年齢を決めるのか、原 因を探る検討を行い、 1) 表情をつくる際に皮膚が動くことで、40 代を境に老けた印象を与えてしまうこと、 2) 見た目の年齢を判断する際には、“頬”に視線が向けられること を報告しました(2015 年 11 月 24 日技術リリース)。今回、表情の変化に伴う頬の動きと、 見た目の年齢の関係を結ぶ要因を導き出すことを目的に研究を進めました。 頬部白トビ領域面積のばらつき(SD)の 平均値 実験では表情の変化に伴い、頬の皮膚が動く際の特徴を 画像解析(補足資料 a)およびモーションキャプチャ(補足資料 b)を 用いて解析しました。その結果、実年齢が高くなるとともに、 1) 表情の変化に伴って生じる白トビ領域面積のばらつきが 大きくなること(図 2) 2) 表情の変化に伴う頬部の動きのタイミングに遅れが生じて いること(図 3) を見出しました。 一般的に表情をつくることで、「皮膚がキビキビと動き、若々しい」と いう印象を与える、と考えられます。一方、今回の結果から、加齢ととも に、 ① 頬部の白トビ領域が増加し、それが表情の変化とともに 大きく振れて動くことが、若い肌にはない視覚的な肌の ノイズとして感じられる可能性があること ② 顔を縦に伸ばした際、顎の動きに比べて頬の皮膚の 動きが遅れて動くことが、潜在的に老けた印象を与える 可能性があること が示唆され、これらが複合的にエイジングサイン(老化兆候)として認知 されている可能性があることを新たに解明しました。 図2 表情に伴って生じる頬部白トビ領域面積のばらつきの 加齢に伴う変化 0.05 0.04 0.03 0.02 0.01 各世代n=14 0 0 20代 30代 2 40代 50代 4 60代 年代 6 図3 顎の動きに対する頬の動きの遅れの加齢に伴う変化 顎の動きに対する頬の動きの遅れ (⊿frame) 頬の肌ノイズと動きの遅れが見た目の年齢を上げてしまう 白トビ領域 大きい 4 3.5 60代 50代 3 40代 2.5 2 1.5 20代 1 30代 0.5 各年代 n = 12 0 小さい 0.5 1 頬下部 1.5 2 頬中部 2.5 【本件に関するお問い合わせ先】 (株)ポーラ・オルビスホールディングス コーポレートコミュニケーション室 Tel 03-3563-5540/Fax 03-3563-5543 Tel 03-3563-5540/Fax 03-3563-5543 3 頬上部 3.5 【補足資料】 I:画像解析を用いた皮膚の動的特徴解析 ◆モデル : 20~60 代の日本人女性、各世代 14 名、計 70 名 ◆実験フロー : 下図に示すように、無表情を試験開始時の標準顔と定め、その後あらかじめ定めた顔の動き(a-f)をモデル にとらせ、 各表情の強度が最大となった時点の顔画像を右 45°の角度から取得した。二値化処理後、 顔面頬部位に存在する「白トビ領域の面積(高輝度領域)」を、全ての表情に対して無表情時点からの増減と して算出した。 a: 縦の伸び 無表情 b: 縦の縮み c: 横の伸び d: 横の縮み e: 膨らみ f: 萎み 画像解析による 白トビ領域解析フロ ー 白トビ領域 参照点 R 二 値 化 処 理 無表情 表情により 変化した 白トビ領域 白黒反転 した白トビ 領域 R 無表情 縦の伸び 頬部の白トビ領域は、加齢とともに肌表面のキメが減少し光が拡散しなくなることや肌内部の構造上の問題から生じると 考えられ、表情とともに白トビ領域が揺れ動くと「肌が滑らかに動く」という感覚からずれ、視覚的なノイズになると考えられ 1 ます。 1 縦 2 2 の 3 3 伸 II:モーションキャプチャを用いた皮膚の動的特徴解析 4 び 4 ◆モデル : 20~60 代の日本人女性、各世代 12 名、計 60 名 5 ◆実験フロー : 5 6 モデルの顔にマーカーを貼りつけて動画撮影を行い、表情を作った際の、マーカーの空間座標の時間変化 6 7 を計測した。モデルには下図左に示す無表情から、顔面の縦方向の伸びの表情をとらせた。解析として、顎 7 0 部(図中の点 0)と頬部皮膚の各点(図中の点 1 から 7)の参照点(下図中 R)に対する運動速度が最大になるフ レーム(画像)の差分すなわち、顎部の点0 が表情に伴い動くとき、頬の 1-7 の各点が、どれだけ顎からの動き 0 に付いて来られるか(表情表出に対する皮膚運動の追従性)について解析した。結果については、頬上部(マ ーカー1)、頬中部(マーカー3)および頬下部(マーカー7)で得られた値をグラフに表した。 モーションキャプチャーで解析した表情とマーカーの位置 参照点 R R 頬上部 1 2 3 4 5 6 7 1 2 3 4 5 6 7 縦 の 伸 び 0 0 モーションキャプチャで解析した表情とマーカーの位置 頬中部 頬下部
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